JP3694299B2 - B型肝炎ウイルスに対する細胞障害性tリンパ球の応答を誘発するペプチド - Google Patents

B型肝炎ウイルスに対する細胞障害性tリンパ球の応答を誘発するペプチド Download PDF

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Description

【0001】
発明の背景
B型肝炎ウイルス(HBV)は肝実質細胞に感染して、急性および慢性の肝臓病ならびに肝臓癌を起こす。 HBVは一般に汚染された血液または体液によって感染するので、この感染は静脈注射を行う麻薬常用者と同性愛者間、および健康管理システムの発達が遅れて、汚染血液製品に暴露される危険性が高い国に流行している。感染した個体の約90〜95%はその感染を消散することができるが、残りの5〜10%は慢性の肝炎を起こしてキャリヤー態(carrier state)になり、その後肝硬変および/または肝臓癌を起こす可能性がある。全世界を通じて HBVの慢性キャリヤーが約2億5千万人いると最近推定されている。
【0002】
HBV感染による肝細胞の損傷に関与する病原性の機構は充分に理解されていないが、このウイルスは細胞を直接には変性しないと考えられている。しかし、 HBVは生体外ではヒト細胞に容易には感染しないので、このウイルスの研究は非常に困難である。したがって、いままでのところ、定着 HBV感染に対する有効な治療法がない。
【0003】
HBsAgが防御免疫応答を誘発する HBV抗原であり、その応答によってほとんどの感染個体はその感染と防御抗体で消散させることができると広く考えられている。実際に、抗-HBVエンベロープ抗体は HBV粒子を中和することができるので、 HBsAgに基づいて、 HBV感染が樹立されるに至るのを防止するワクチンが開発されている。これらのワクチンには、慢性 HBVキャリヤーの血清から精製した HBsAg、または組換え DNA法で製造した HBsAgが用いられる。合成 HBsAgペプチドベースのワクチンも提案されている(例えば米国特許第 4,599,230号および同第 4,599,231号参照)。しかしこれらの抗−HBsAg ワクチン類は、免疫化された個体の約90%しか防御しない。したがって免疫化されているが防御されない個体は、感染を起こす可能性がある、重大でかつ疑われることがない保菌者になる。
【0004】
HBVヌクレオキャプシドのコア抗原(HBcAg)の、防御免疫と発現する際の役割は明らかではない。いくつかの例では、ヌクレオキャプシドコア抗原(HBcAgまたはWHcAg)によるチャイニーズハムスターとウッドチャックの免疫化は、 HBVと WHVの感染に対して完全にもしくは部分的になされている。 HBcAg特異的ヘルパーT細胞も、HBVエンベロープ特異的B細胞による抗エンベロープ抗体の産生を保持することが報告されている。またHBcAg は、慢性 HBV感染中の肝臓内T細胞に対する感作抗原として報告されている。
【0005】
他の免疫形態の HBV抗原に対する寄与は、特に、細胞障害性Tリンパ球を必要とする場合、評価が難しい。 Chisariら(MicrobialPathogen., 6巻、31頁、1989年)は、肝細胞の損傷は、 HBVがコードする抗原に対する、HLA-クラスIで制限されたCD8+ 細胞障害性T細胞の応答によって仲介されるということを示唆した。クラスI主要組織適合性(MHC)で制限された細胞障害性リンパ球の応答は、インフルエンザウイルスのような各種の他ウイルスについて同定されている。例えば、Townsendら(Cell, 44巻、 959頁、1986年)は、細胞障害性Tリンパ球よって認識されるインフルエンザウイルスの核タンパク質のエピトープは合成ペプチドによって作ることができると報告している。
【0006】
細胞障害性Tリンパ球の HBVに対する応答を定義する試みを行った際に、急性および慢性の HBVに罹っている患者由来の末梢血液のリンパ球は生体外で自家の肝実質細胞を殺すことができるが、その細胞分解活性の特異性、その HLA制限要素および細胞表現型は樹立されなかったことが報告されている(Mondelliら、J. Immunol., 129巻、2773頁、1982年、およびMondelliら、Clin.Exp. Immunol., 6巻、 311頁、1987年参照)。ごく最近になって、Moriyamaら(Science, 248巻、 361〜364 頁、1987年)は、 HBV主要エンベロープ抗原が、 MHCクラスIで制限されたCD8+ 細胞障害性Tリンパ球およびエンベロープ特異的抗体によって認識可能な形態で肝実質細胞の表面に発現されたと報告している。
【0007】
異なる系統の HBVが存在するが、これらは各々、“a”と呼ばれる少なくとも一つの共通のエンベロープ決定因子を共有している。これらの各系統は、他の二つのエンベロープ決定因子をもっており、その一方は“d”もしくは“y”であり、他方は“w”または“r”である。したがってウイルスの四種のサブタイプ: adw, ayw, adrおよびayr が考えられる。 HBVのクローン化、配列決定および発現は、英国特許第 2,034,323号、ヨーロッパ特許第 13828号および米国特許第 4,935,235号に開示され、また HBVヌクレオキャプシド領域の完全配列はGalibertら、 Nature, 281巻、 646頁、1979年に開示されている。これらの各文献は本願に援用するものとする。
【0008】
現在認可されている HBVワクチンは、免疫化された個体の約90%しか防御しないので、例えばワクチンの免疫原性を増大もしくは多様化することによって一層有効な免疫性を誘発させることが望ましい。また、慢性的に HBVに感染した個体の免疫応答を刺激し適当な HBV抗原に応答させて感染を消失させるか、または急性から慢性にまで感染が進展するのを防止することが望ましい。さらに、 HBVキャリヤーは、感染過程の早期に適切な治療および/または予防措置を実施できるので、 HBVに急性感染したどの患者が慢性感染症になり易いかを予報する手段も望ましい。全く驚くべきことであるが、本発明はこれらおよび他の関連する必要性を満たすのである。
【0009】
発明の要約
本発明は、 HBV抗原に対する MHCクラスI制限細胞障害性Tリンパ球の応答を誘発するペプチドを提供するものである。対象のペプチドは HBVヌクレオキャプシドから誘導する。いくつかの実施態様で、そのペプチドは6個〜約50個のアミノ酸を含有し、配列II(HBc19-27)〔配列番号4〕leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val内由来の少なくとも4個の連続アミノ酸をもっており、そのペプチドは、所望の場合、そのN末端とC末端の一方もしくは両方において、任意に隣接を行うかおよび/または修飾を行ってもよい。好ましい実施態様において、該ペプチドの配列は、Ala-Thr-Val-Glu-Leu-Leu-Ser-Phe-Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val(HBc11-27)〔配列番号2〕およびLeu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val(HBc19-27)〔配列番号4〕であり、どちらの領域も HBVの主要サブタイプ中に保存されているが、置換、欠失および付加が、そのペプチドに対して、その生物活性に大きく不利に影響することなく行うことができる。
【0010】
他の実施態様において、該ペプチドは、6〜約50個のアミノ酸を有し、配列V(HBc140-154)〔配列番号7〕Leu-Ser-Thr-Leu-Pro-Glu-Thr-Thr-Val-Val-Arg-Arg-Arg-Gly-Arg 由来の少なくとも4個の連続残基を有し、そのペプチドは、所望の場合、N末端およびC末端の一方または両方において任意に隣接を行うかおよび/または修飾を行ってもよい。他の実施態様において、該ペプチドは、HBc111-125の配列の少なくとも7個の連続アミノ酸由来のペプチドであり、 HBVサブタイプの awyのHBc111-125は配列 Gly-Arg-Glu-Thr-Val-Ile-Glu-Tyr-Leu-Val-Ser-Phe-Gly-Val-Trp 〔配列番号6〕を有し、両末端は上記したのと同様に修飾してもよい。HBVadwについてはそのIle116は Leuで置換されている。さらに別の実施態様では、 MHCクラスI制限細胞障害性Tリンパ球の応答を誘発するペプチドは、配列: Arg-Asp-Leu-Leu-Asp-Thr-Ala-Ser-Ala-Leu-Tyr-Arg-Glu-Ala-Leu-Glu-Ser-Pro-Glu-His を有するペプチドVI(HBc28-47)〔配列番号8〕であり、その選択されたペプチドの両末端も所望の場合修飾することができる。
【0011】
種々のペプチドの実施態様において、該ペプチドは、それ自体に各ペプチドを重合させてより大きなホモポリマーを形成させてもよく、または異なるペプチドを用いてヘテロポリマーを形成させてもよい。場合によっては、ペプチドは一つの組成で混合物として混合して連結させない。また該ペプチドには、例えば、Tリンパ球の応答を増大できる脂質含有分子に複合させるか、またはTヘルパー細胞応答を誘発する異なるペプチドに複合させることができる。
【0012】
本発明は、本発明のペプチドを含有し、追加のペプチド、リポソーム、アジュバントおよび/または医薬として許容される担体を配合した組成物を提供するものである。したがって、この医薬組成物は、急性 HBV感染症を治療する方法、特に該感染症が慢性またはキャリヤー態の感染症まで進行するのを防止する方法に用いることができる。また本発明は、慢性 HBV感染症および HBVキャリヤー態の治療法も提供するものであり、この治療法では、本発明の医薬組成物を、 HBcエピトープに対する、免疫性を得るのに有効な細胞障害性T細胞の応答を刺激激するのに充分な量で、感染個体に投与する。
【0013】
これらの感染症を治療するために、 HBV抗原に対する、 MHCクラスI制限細胞障害性Tリンパ球の応答を誘発するペプチドを、他のHBV抗原例えば HBsAgに対する免疫応答を誘発する他のペプチドまたはタンパク質を組合わせることが特に好ましい。慢性感染症またはキャリヤー態感染症の個体を治療するために、本発明の組成物を、必要に応じて長期間にわたって繰返し投与して、ウイルスの感染および/または脱粒(Shedding)を消散させるか大きく低減させる。
【0014】
また本発明は、 HBVの感染、特に慢性 HBV感染を防止するワクチン組成物を提供するものである。このワクチン組成物は、特にHLA-A2ハプロタイプの個体の場合、配列: Ala-Thr-Val-Glu-Leu-Leu-Ser-Phe-Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val からなるHBcAg11-27のような、 MHCクラスI制限細胞障害性Tリンパ球の応答を誘発する HBVヌクレオキャプシドのペプチドの免疫性を得るのに有効な量を含有し、一般に、アジュバント例えば不完全フロイントアジュバントまたは水酸化アルミニウムをさらに含有している。 HBVに対する防御を促進するため、本発明のワクチンは、 HBVエンベロープ抗原に対する、防御抗体応答を誘発する成分をさらに含有させてもよい。
【0015】
さらに別の実施態様において、本発明は、本発明のペプチドを使って、 HBVヌクレオキャプシド抗原に対する細胞障害性T細胞の応答を行えるリンパ球が個体中に存在しているのを決定する診断法に関する。上記の細胞が存在しないと、対象の個体が慢性 HBV感染を受け易いかどうかを決定する。一般に、上記リンパ球は末梢血液のリンパ球であり、対象の1個体は急性 HBV感染症にかかっている。
【0016】
具体的実施態様の説明
本発明は、 HBV感染症の治療、予防および診断に用いる組成物と方法に使用する HBVタンパク質由来のペプチドを提供するものである。これらのペプチドは、 HBVが感染した細胞に対する MHC HLAクラスI制限細胞障害性Tリンパ球の応答を刺激する。刺激された細胞障害性Tリンパ球は、感染細胞を殺すかまたはウイルスの複製を阻害し、その結果、慢性 HBV感染を含む感染を遮断するかまたは感染をほゞ防止する。細胞障害性T細胞の応答を誘発するのに有効なペプチドは、T−ヘルパー応答を誘発できる免疫原と組合わせてもよい。
【0017】
本発明の一つの態様では、本発明に用いられるペプチドを、二つの独立した HBVヌクレオキャプシド(HBc)ポリペプチドすなわちコアとプレコア内から誘導する。プレコアは、これを小胞体中に転位させてHBeAとして分泌させるアミノ末端シグナル配列をもっているが、コアは、主として細胞質の核タンパク質(HBcAg)であり分泌されない。これらのペプチドは、 HBC残基 19-27の領域から誘導し、HBC28-47,HBc111-125,HBc140-154(特にHBc141-151)があり、その番号付けはGalibertらの上記文献にしたがって行う。
【0018】
他の実施態様では、これらのペプチドは、 HBVポリメラーゼタンパク質(HBpol)の配列、特にHBpol61-69とHBpol803-811の中の CTLエピトープ由来のものである。さらに他の実施態様では、これらペプチドは、 HBVの転写トランス作用因子タンパク質の HBx由来の、さらに詳しくはHBx126-134の領域由来の CTL誘発エピトープを含有している。またこの CTL誘発ペプチドは、HBエンベロープ抗原から、特にHBenv348-357の HBV配列に相当するペプチドからも製造することができる。
【0019】
本発明の、 HBV細胞障害性Tリンパ球を誘発する“ペプチド”または“オリゴペプチド”は、少なくとも4個の HBVアミノ酸配列の残基からなる連鎖を意味し、好ましくは少なくとも6個、より好ましくは8個もしくは9個、ときには10〜12個の残基からなり、かつ通常約50個より少ない残基からなり、より普通に約35個より少なく好ましくは25個より少ない残基からなり、例えば HBc配列由来の8〜17個のアミノ酸残基からなる連鎖を意味する。
【0020】
本発明のペプチドは、細胞表面の MHCクラスI分子に結合する、内因的にプロセスされたウイルスペプチドと大きさが等しい8〜12個のアミノ酸残基の長さに最適化することが望ましい(一般に、Schumacherら、Nature, 350巻、 703〜706頁、1991年; Van Bleekら、 Nature, 348巻、 213〜216 頁、1990年; Rotzschkeら、 Nature, 348巻、 252〜254頁、1990年;およびFalkら、 Nature, 351巻、 290〜296 頁、1991年を参照のこと。なおこれらの文献は本願に援用するものとする)。以下に詳細に述べるように、通常、本発明のペプチドは、本願で同定された HBV配列の連続残基の対応する部分に相同でかつ CTL誘発エピトープを含有するアミノ酸の少なくとも大部分をもっている。
【0021】
本発明のペプチドは、以下に述べるように“合成によって”、または組換え DNA法によって製造することができる。本発明のペプチドは、他の天然産生の HBVタンパク質およびそのフラグメントを実質的に含有していないことが好ましいが、いくつかの実施態様では天然のフラグメントもしくは粒子に合成で接合することがある。ペプチドという用語は、本願明細書ではポリペプチドという用語と交換可能に用いられ、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とα−カルボキシ基間のペプチド結合によって互いに連結された一連のアミノ酸を意味する。これらのポリペプチド類またはペプチド類は、種々の長さのものでもよく、その中性の(無荷電の)形態または塩の形態でもよく、およびグリコシル化、側鎖の酸化もしくはリン酸化のような修飾がないか、またはその修飾が本願に記載されているポリペプチドの生物活性を破壊しないという条件のもとにこれらの修飾がなされていてもよい。
【0022】
本発明のペプチドは、できるだけ小さく、しかもその大きなペプチドの生物活性のほぼすべてを保持していることが望ましい。生物活性という用語は、適切な MHC分子を捕捉し、 HBV抗原もしくは擬似抗原に対する細胞障害性Tリンパ球の応答を誘発する性能を意味する。細胞障害性Tリンパ球の応答という用語は、対象の HBV抗原に対して特異的なCD8+ Tリンパ球の応答を意味し、CD8+ の MHCクラスI制限Tリンパ球が活性化される。活性化されたTリンパ球は、リンホカイン類(例えばγインターフェロン)を分泌し、感染された自家細胞もしくはトランスフェクトされた細胞内でウイルスが複製するのを、細胞を殺すかもしくは殺さずに阻害する産物(例えばセリンエステラーゼ類)を放出する。
【0023】
“相同の”、“実質的に相同の”および“かなりの相同性”という本願で用いられる用語は、一つの配列を基準のアミノ酸配列と比較して少なくとも50%が同一であるアミノ酸配列を意味する。配列の同一性もしくは相同性の百分率は、基準配列の対応する部分に並べて互いに比べることによって計算する。
【0024】
ヌクレオキャプシド領域由来の、本発明の CTL誘発性 HBVヘプチドの実施態様は、6 〜35個のアミノ酸からなり、およびペプチド領域HBc11-27由来の少なくとも一つの HLA制限 CTLエピトープ部位を含有している。このペプチドのアミノ酸の大部分は、天然産のHBc11-27領域の対応する部分のアミノ酸と同一もしくは実質的に相同であり、HBc11-27は、配列:I(HBc11-27) Ala-Thr-Val-Glu-Leu-Leu-Ser-Phe-Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val を有している。このHBc11-27領域のペプチドの実施態様は、本願でさらに説明するように、 HBcを含む HBV配列由来のアミノ酸、連結を容易にするために付加するアミノ酸、担体に連結される他のN末端およびC末端の修飾などによって、所望の場合に、N末端およびC末端の一方もしくは両方において任意に連結および/もしくは修飾が行われる。このペプチドHBc11-27は、少なくとも MHCクラスI分子のHLA-A2によって仲介される細胞障害性Tリンパ球の応答を誘発する。
【0025】
上記ペプチドI領域内には、9量体ペプチドHBc19-27からなりかつ HLA制限 CTLを誘発するエピトープを含有するペプチド、およびHBc19-27の配列の少なくとも4個の連続アミノ酸からなる CTL誘発性エピトープ部位を含有する、HBc19-27由来のペプチドが存在している。なおHBc19-27は次の配列:II(HBc19-27)〔配列番号4〕 Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val(このペプチドは上記ペプチドIについて述べたのと同様に一方もしくは両方の末端において連結および/または修飾がなされてもよい)をもっている。ペプチドIの場合と同様に、ペプチドIIは、少なくともHLA-A2で仲介される細胞障害性Tリンパ球の応答を誘発する。
【0026】
ペプチドI/II領域中の特に好ましいペプチドの実施態様は10量体のHBc18-27であり、次の配列:III (HBc18-27)〔配列番号5〕 Phe-Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val(このペプチドは前述したのと同様に修飾および/または連結を行ってもよい)を有している。
本発明の他の HBcペプチドの実施態様は、15量体ペプチドのHBc111-125、および少なくとも7個の連続アミノ酸からなる CTL誘発性 HLAクラスI制限エピトープ部位を含有する、HBc111-125由来のペプチドを含有している。このペプチドのアミノ酸の大部分は、天然産生のHBc111-125配列の対応する部分のアミノ酸と同一または実質的に相同であり、HBc111-125は配列(HBVサブタイプ aywについての配列):IV(HBc111-125)〔配列番号6〕Gly-Arg-Glu-Thr-Val-Ile-Glu-Tyr-Leu-Val-Ser-Phe-Gly-Val-Trp を有する。
【0027】
HBc111-125領域由来のペプチドは先に述べたのと同様に一方もしくは両方の末端において連結および/または修飾を行ってもよい。 HBVサブタイプ adwのペプチドにおいて、Ile116は Leuで置換されている。
さらに他の実施態様において、本発明のペプチドは、15量体のペプチドHBc140-154、および少なくとも10個の連続アミノ酸からなる CTL誘発性 HLAクラスI制限エピトープ部位を含有する、HBc140-154由来のペプチドを含有している。このペプチドのアミノ酸の大部分は、天然産生のHBc140-154配列の対応する部分のアミノ酸と同一もしくは実質的に相同であり、HBc140-154は、配列(HBVサブタイプaywに対する配列):V(HBc140-154)〔配列番号7〕Leu-Scr-Thr-Leu-Pro-Glu-Thr-Thr-Val-Val-Arg-Arg-Arg-Gly-Arg を有する。
【0028】
この領域から作られるペプチドは、先に述べたのと同様に、一方の末端または両方の末端において連結および/または修飾を行ってもよい。ペプチドV(HBc140-154)は、少なくとも一つの MHCクラスI分子、 HLA-A31で仲介されかつHLA-Aw68で制限することもできる細胞障害性Tリンパ球の応答を誘発する。下記の実施例の項でより詳細に示すように、HBc141-151の配列は、 A31とAw68の両方の制限要素に対する最小で最適に認識されるエピトープを含有している。
【0029】
本発明のさらに他の CTL誘発性ペプチドは、HBc28-47の領域由来であり、少なくとも7個の連続アミノ酸からなる1個以上の CTL誘発性 HLAクラスI制限エピトープ部位を含有する、HBc28-47由来のペプチドを含有している。このペプチドのアミノ酸の大部分は、天然産生のHBc28-47配列の対応する部分のアミノ酸と同一もしくは実質的に相同であり、HBc28-47は、配列(HBVサブタイプ aywに対する配列):VI(HBc28-47)〔配列番号8〕 Arg-Asp-Leu-Leu-Asp-Thr-Ala-Ser-Ala-Leu-Tyr-Arg-Glu-Ala-Leu-Glu-Ser-Pro-Glu-His(その選択されたペプチドは、前に述べたのと同様に、一方の末端または両方の末端において連結および/または修飾を行ってもよい)を有している。
【0030】
本発明の他の実施態様において、本発明のペプチドはポリメラーゼタンパク質由来の CTL誘発性エピトープを含有している。さらに詳しく述べると、このペプチドは、HBpol61-69またはHBpol803-811の領域由来のペプチドでありかつ少なくとも7個の連続アミノ酸からなる一つ以上の CTL誘発性 HLAクラスI制限エピトープ部分を含有する、上記配列領域由来のペプチドを含有している。
【0031】
このペプチドのアミノ酸の大部分は、天然産生のHBpol61-69もしくはHBpol803-811の配列の対応する部分のアミノ酸と同一もしくは実質的に相同であり、HBpol61-69とHBpol803-811は下記配列(HBVサブタイプ aywに対する配列):VII (HBpol61-69)〔配列番号9〕Gly-Leu-Tyr-Ser-Ser-Thr-Val-Pro-Val 、ならびにVIII(HBpol803-811)〔配列番号10〕 Ser-Leu-Tyr-Ala-Asp-Ser-Pro-Ser-Val(その選択されたペプチドは、前に述べたのと同様に一方の末端もしくは両方の末端において連結および/または修飾を行ってもよい)をもっている。
【0032】
また抗 HBV CTL誘発性エピトープを含有する本発明のペプチドは、 HBV転写活性タンパク質Xからも誘導される。 CTL誘発活性を有する各種の HBxペプチドは先に述べたのと同様にして同定することができるが、好ましくはこれらのペプチドはHBx126-134の領域から誘導される。この配列領域由来のペプチドは、少なくとも7個の連続アミノ酸からなる、一つ以上の CTL誘発性 HLAクラスI制限エピトープ部位を含有している。この領域から製造されるペプチドのアミノ酸の大部分は、天然産生のHBx126-134の配列の対応する部分のアミノ酸と同一かまたは実質的に相同であり、HBx126-134は下記の配列:IX(HBx126-134)〔配列番号 〕Glu-Ile-Arg-Leu-Lys-Val-Phe-Val-Leu (この領域から製造されるペプチドは、本願で述べているのと同様に一方の末端または両方の末端において連結および/または修飾を行ってもよい)をもっている。
【0033】
CTL誘発性ペプチドは HBVエンベロープタンパク質からも誘導される。より詳しくのべると、そのペプチドはHBenv348-357であり、 HLAクラスIに制限され、HBenv348-357は下記の配列(サブタイプ aywに対する配列):X(HBenv348-357)〔配列番号 〕 Gly-Leu-Ser-Pro-Thr-Val-Trp-Leu-Ser-Val (この領域から製造されるペプチドは先に述べたのと同様に一方の末端または両方の末端で連結および/または修飾を行ってもよい)をもっている。HBenv348-357の adwサブタイプの配列はカルボキシ末端においてバリンの代わりにアラニンをもっている。
【0034】
上記のように、追加のアミノ酸は先に考察した理由からオリゴヌクレオチドまたはペプチドの両末端に付加して、ペプチドを互いに連結し易くし、担体、支持体またはより大きなペプチドにカップリングし、または前記ペプチドもしくはオリゴペプチドの物理特性もしくは化学特性の修飾などを行うことができる。チロシン、システイン、リシン、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸などのようなアミノ酸は、上記ペプチドもしくはオリゴペプチドのC末端もしくはN末端に導入することができる。さらにこのペプチドもしくはオリゴペプチドの配列は、末端NH2 のアシル化反応、例えばアセチル化もしくはチオグリコール酸アミド化、末端カルボキシのアミド化、例えばアンモニア、メチルアミンなどで修飾することによって、天然の配列と異なっていてもよい。場合によっては、これらの修飾によって、支持体などの分子に連結する部位が得られる。
【0035】
細胞障害性Tリンパ球刺激活性を有する本発明の HBVペプチドまたはその類似体は、必要に応じて修飾して、未修飾のペプチドの生物活性を増大するかまたは少なくとも実質的に保持しながら、ある種の他の所望の特性、例えば改良された薬理特性を提供することができることは分かるであろう。例えば本発明のペプチドは、例えば本願に開示されている配列由来のペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端または両方の末端においてアミノ酸を付加するかもしくは除去することによって、本発明のペプチドの配列のアミノ酸を延長、減少もしくは置換して修飾することができる。本発明のペプチドは、修飾してその CTL誘発活性を大きく増大することができ、その結果その修飾されたペプチド類似体は野生型配列のペプチドより CTL活性が大きい。
【0036】
例えばヘプチドのN末端の疎水性を増大することが望ましく、特に、N末端の第2残基が疎水性で HLA制限分子への結合に関与している。N末端の疎水性を増大することによって、T細胞に与える効率を増大することができる。例えば、後記実験の項で述べるように、野生型のHBX126-134ペプチドはほとんど CTL活性をもっていないが、アミノ末端の比較的極性で正に帯電している残基 Gluを、非極性で疎水性の分子の Alaで置換すると、 CTL誘発活性が著しく増大した。他の疾患に関連する抗原から調製したペプチド、特に宿主が有意な CTL活性をもっていない CTL誘発性エピトープを含有するペプチドは、そのペプチド(その二番目の残基は通常疎水性である)のN末端における疎水性残基を置換することによって CTL誘発性にすることができる。
【0037】
本発明に用いるペプチドは、本発明の化合物が HBVの四つの主要サブタイプの少なくとも一つに対する細胞障害性Tリンパ球活性を提供できるかぎり、ペプチド類I〜X、または特定の HBVヌクレオキャプシド、エンベロープ、ポリメラーゼもしくはXタンパク質の配列と同一である必要はない。それ故に、これらのペプチドは、保存的または非保存的な、挿入、欠失および置換のような各種の変化を受けることができ、このような変化によってその使用時にある種の利点が得られる。保存的置換という用語は、アミノ酸残基を生物学的および/または化学的に類似の別のアミノ酸残基で置換することを意味し、例えば別のアミノ酸残基としては一つの疎水性残基または極性残基がある。
【0038】
その置換には次のような組合せ:Gly, Ala;Val,Ile, Leu;Asp, Glu;Asn, Gln;Ser, Thr;Lys, Arg;およびPhr, Tyrがある。通常、 HBVの細胞障害性Tリンパ球刺激エピトープに実質的に似せるのを目的とする配列の部分は、例えば連結もしくはカップリングなどを容易に行うために、ペプチドの物理的特性もしくは化学的特性を修飾するのを目的として、追加のアミノ酸を両方の末端に付加する場合を除いて、 HBVの少なくとも一つのサブタイプの配列と比べてその差異は20%以下である。ペプチド配列の領域が、 HBVサブタイプ中で多形(polymorphic)であることが分かっている場合、一つ以上の特定のアミノ酸を、異なる HBV株もしくは HBVサブタイプのより有効に類似した異なる細胞障害性Tリンパ球エピトープに変えることが望ましい。
【0039】
本発明によって同定されるヘプチド配列には、代表的なヘプチドI(HBc11-27)、ペプチドII(HBc19-27)、ペプチドIII (HBc18-27)、ペプチドIV(HBc111-125)、ペプチドV(HBc140-154)、ペプチドVI(HBc28-47)、ペプチドVII (HBpol61-69)、ペプチドVIII(HBpol803-811)およびペプチドIX、(HBX126-134)が含まれ、それらの生物活性すなわち HBVに感染した細胞または HBV抗原を発現する細胞に対するクラスI制限細胞障害性Tリンパ球の応答を刺激する性能をペプチドに保持させる残基(または機能が実質的に均等である残基)である。これらの残基は、単一のアミノ酸の置換、欠失または挿入によって同定することができる。さらに、残基の側鎖によってなされる寄与は、特定のアミノ酸(例えばAla)によって系統的な走査を行うことによってプローブすることができる。
【0040】
多重置換を行えるペプチドは、小さくかつ比較的中性の分子例えば Ala,Gly, Proまたは類似の残基のような置換基を一般に取入れる。置換、付加または取出しを行える残基の数と種類は、必須のエピトープ部間に必要な間隔と、求められているある種の配座特性と機能特性(例えば疎水性対親水性)に依存している。所望により、細胞障害性Tリンパ球に与えるため、ペプチド類似体の、その MHC分子に対する結合親和性を増大することは、上記のHBX126-134ペプチドで例示するような変更によって達成できる。一般に、エピトープとしておよび/または配座として重要な残基間におけるスペサーの置換、付加または欠失には、結合を破壊することがある立体的および電荷による干渉を避けるため、選択されたアミノ酸もしくは部分を利用する。
【0041】
所望の生物活性を保持しながら多重置換を行えるペプチドも、D−アミノ酸を含有するペプチドとして合成することができる。このようなペプチドは、配列のL−アミノ酸をD−アミノ酸で置換するか、またはアミノ酸の配列の逆転およびL−アミノ酸のD−アミノ酸による置換を行うことによって、“インバーソ(inverso)”または“レトロ−インバーソ(retro-inverso)”形として合成することができる。D−ペプチドはペプチダーゼに対してかなり耐性であるからその相対物のL−ペプチドに比べて血清および組織中でより安定であるので、D−ペプチド類の生理的条件下での安定性は、対応するL−ペプチドと比べたときの親和性の差をおぎなって余まりがある。さらにL−アミノ酸含有ペプチドは置換があるなしにかかわらず、D−アミノ酸でキャップ(cap)して抗原ペプチドのエキソペプチダーゼによる破壊を阻害することができる。
【0042】
本願に記載されている典型的なペプチドに加えて、本発明は、 HBV、またはHCV, HIVなどのような他のウイルス類に対する MHC制限細胞障害性Tリンパ球の応答の誘発に関連する他のエピトープ領域を同定する方法を提供するものである。
この方法は、被感染もしくは非感染の個体から末梢血液のリンパ球(PBL)を採取し、次いでその細胞を、対象の病原体もしくは抗原のタンパク質由来の合成のペプチドもしくはポリペプチドフラグメントに暴露する(刺激する)ことからなる方法である。上記のタンパク質もしくは抗原のアミノ酸配列が公知の場合、合成のオーバーラップペプチドのプール(このペプチドは一般に各々約8〜20残基の長さを有する)が、該細胞を刺激するのに用いることができる。
【0043】
活性ペプチドは、細胞障害性Tリンパ球活性を誘発するプールから選択することができる。特異的な細胞障害活性を誘発するペプチドの性能は次のようにして測定する。すなわち、病原体またはそのサブゲノミックフラグメント(subgenomic fragment)に感染させたかまたはそれでトランスフェクトした自家標識(例えば51Cr)標的細胞〔例えば HLA適合マクロファージ(HLA matched macrophage)、T細胞、繊維芽細胞もしくはBリンホブラストイド細胞(B lymphoblastoid cell)〕とともに、刺激された PBLをインキュベートし、その結果、標的化抗原が該細胞によって内因的に合成され(または該細胞を対象のペプチドとパルスさせ)、次いで標的の特異的放出量を測定することによって行う。
【0044】
細胞障害性Tリンパ球の応答を刺激するエピトープ領域を有するペプチドが同定されれば、その応答の MHC制限要素を決定することができる。この決定は、刺激された PBLもしくはその短期系(shortterm line)を、対象のペプチドもしくは適切な対照で予めパルスしておいた公知の HLAタイプの(標識を付けた)標的細胞のパネルとともにインキュベートして行われる。 CTLで溶解されるパネル中の細胞の HAL対立遺伝子を、溶解されない細胞と比べ、次いで細胞障害性Tリンパ球の対象抗原に対する応答の HLA制限要素を同定する。
【0045】
Carboneら、 J. Exp. Med., 167巻、1767頁、1988年には次のように報告されている。すなわち、ペプチドで刺激すると、対応する内因性タンパク質に対する親和性が低い細胞障害性Tリンパ球が誘発され、その結果、ペプチドによる刺激を反復すると、ペプチドを認識するが、未変性の抗原を認識しない細胞障害性Tリンパ球が生成すると報告されている。刺激された細胞障害性Tリンパ球が未変性の HBVタンパク質を認識できないことは、 HBVペプチド治療法およびワクチン組成物を開発するには望ましくないので、この潜在的な制限を避ける方法を用いる。
【0046】
本発明は、天然にプロセスされた抗原に対して、合成ペプチドに対するよりも高い親和性を有するT細胞を同定して選択するために、細胞障害性T細胞を連続して再刺激する(restimulate)方法を利用する。細胞障害性Tリンパ球の短期系は、活性化された PBLを再刺激することによって樹立される。ペプチドで刺激された細胞は、ペプチドおよび組換えもしくは未変性の HBV抗原例えば HBcAg, HBsAg, HBpolもしくは HBXで再刺激する。活性を有する細胞も適切なT細胞マイトジェン例えばフィトヘマグルチニン(PHA)で刺激する。
【0047】
再刺激された細胞には、照射された同種異形の PBLを、T細胞ヘルプ(T cell help)および HBV抗原の抗原非特異的起源として与える。未変性の HBV抗原を認識する細胞障害性Tリンパ球の集団を選択的に膨脹させかつ長期系を樹立するために、まず患者由来の PBLを、ペプチドおよび組換えもしくは未変性の HBV抗原で刺激し、次いで対応する HBV抗原のポリペプチドを安定に発現する HLA適合化Bリンホブラストイド細胞で再刺激する。この細胞系は、内因的に合成された抗原を認識する性能について、自家および同種異系のB−リンホブラストイド、または適切抗原でトランスフェクトされているかもしくは適切な抗原に感染している他の細胞を用いて、再確認する。
【0048】
一つ以上の患者または HLAタイプにおいて抗 HBV細胞障害性Tリンパ球の応答を誘発するのに関与する本発明の各種ペプチドを同定したので、場合によっては、一つの組成物に2種以上のペプチドを組合わせることが望ましい。本発明の組成物のペプチドは同一もしくは異なっていてもよく、ともに親のペプチドと同等もしくは親ペプチドより高い生物活性をもっていなければならない。例えば、本願に記載する方法を用い、2種以上のペプチド、例えばHBc11-27およびHBc19-27のペプチドを用い、特定の領域で、異種のまたはオーバーラップしている細胞障害性Tリンパ球エピトープを作ることができる。これらのペプチドは、“反応混液(cocktail)”中で結合可能であり、細胞障害性Tリンパ球の応答に対する免疫原性を強化する。
【0049】
一領域からなるペプチドは、特に第二のもしくは次のペプチドが第一のペプチドと異なる MHC制限要素をもっている場合、同じか異なる HBVタンパク質由来の他の HBV領域のペプチドと組合わせてもよい。この組成物は、本発明の治療法、ワクチンもしくは診断法および組成物の免疫学的適用範囲を、多様の個体群に有効に広げるために使用できる。例えば主な民族グループ(コーカソイド、アジヤ人およびアフリカ黒人)間の HLA対立遺伝子の頻度の差を下記表Iに示す。本発明の治療用組成物もしくはワクチン組成物は、できるだけ高い比率の個体群に潜在的な治療もしくは免疫性を与えるように配合することができる。したがって、治療剤もしくはワクチンにHBc141-151 CTLエピトープとHBc18-27由来のペプチドを含有させると、 HBVに慢性感染した、全世界の3億人の人々の57%もの多くの人に対して有益である。
【0050】
【表1】
Figure 0003694299
【0051】
本発明のペプチドは結合によって連結してポリマー(多量体)を形成させるか、または結合させずに混合物として一つの組成物に配合することができる。同じペプチドをそれ自体に結合させるとポモポリマーが形成され、複数の反復エピトープ単位が提供される。ペプチドが異なる場合、例えば異なる HBVサブタイプを示す反応混液、一つのサブタイプ内の異なるエピトープ、異なる HLA制限特異性、Tヘルパーエピトープを含有するペプチドの場合は、反復単位を有するヘテロポリマーが得られる。共有結合に加えて、分子間および構造内の結合を形成できる非共有結合も含まれる。
【0052】
ホモポリマーまたはヘテロポリマーまたは担体へのカップリングの結合は種々の方法で行うことができる。例えばシステインの残基をアミノ末端とカルボキシ末端の両方に付加し、そのシステイン残基を制御した酸化反応に付して、該ペプチドを両末端で共有結合させることができる。多数のヘテロ2官能性試薬も有用であり、これらの試薬は、一方の官能基でジスルフィド結合を生成し、他の官能基でペプチド結合を形成し、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジル−ジチオ)プロピオネート(SPDP)が挙げられる。この試薬は、それ自体と一つのタンパク質のシステイン残基との間にジスルフィド結合を生成し、およびリシンのアミノ基もしくはその外の他の遊離アミノ基によってアミド結合を生成する。
【0053】
各種のこのようなジスルフィド/アミド形成試薬が知られている(例えば、Immun. Rev., 62巻、 185頁、1982年参照、なおこの文献は本願に援用するものである)。他の二官能性カップリング試薬はジスルフィド結合ではなくチオエーテル結合を形成する。これらのチオエーテル形成試薬は多数市販されており、6−マレイミドカプロン酸、2−ブロモ酢酸、2−ヨード酢酸、4−(N−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸などの反応性エステルがある。
【0054】
そのカルボキシル基は、それにスクシンイミドまたは1−ヒドロキシ−2−ニトロ−4−スルオン酸ナトリウム塩を結合させることによって活性化することができる。特に好ましいカップリング剤は、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)である。結合は、結合された基のいずれかが例えば HBV細胞障害性T細胞決定因子、ペプチド類似体またはTヘルパー決定因子として、記載されているように機能するのを実質的に阻害してはならないことは分かるであろう。
【0055】
他の態様で、本発明のペプチドは、HBV Tヘルパー細胞のエピトープすなわち細胞障害性T細胞を HBVに対し誘発する際に協働するT細胞を刺激するエピトープを提供する他のペプチドと結合またはカップリングさせることができる。そのTヘルパー細胞は例えばTヘルパー1またはTヘルパー2の表現型でもよい。 HBV配列由来のTヘルパーエピトープは、配列:Met-Asp-Ile-Asp-Pro-Tyr-Lys-Glu-Phe-Gly-Ala-Thr-Val-Glu-Leu-Leu-Ser-Phe-Leu-Pro を有するHBc1-20 で同定した。他のTヘルパーエピトープ類は下記の領域由来のペプチドによって得られる。
【0056】
すなわち配列:Pro-His-His-Tyr-Ala-Leu-Arg-Gln-Ala-Ile-Leu-Cys-Trp-Gly-Glu-Leu-Met-Tyr-Leu-Ala を有するHBc50-69の領域、ならびに配列:Leu-Leu-Trp-Phe-His-Ile-Ser-Cys-Leu-Thr-Phe-Gly-Arg-Glu-Thr-Val-Ile-Glu-Tyr-Leu(そのIle116は HBV adwサブタイプでは Leuである)を有するHBc100-119の領域と、配列:Glu-Tyr-Leu-Val-Ser-Phe-Gly-Val-Trp-Ile-Arg-Thr-Pro-Pro-Ala を有するHBc117-131の領域と、配列:Val-Ser-Phe-Gly-Val-Trp-Ile-Arg-Thr-Pro-Pro-Ala-Tyr-Arg-Pro-Pro-Asn-Ala-Pro-Ile を有するペプチドHBc120-139とを含むHBc100-139の領域由来のペプチドによって得られる(Ferrari 3, J. Clin.Invest., 88巻、 214-222頁、1991年および米国特許第 4,882,145号参照。なおこれらの文献は本願に援用するものとする)。
【0057】
本発明のペプチド類は多種類の方法で製造することができる。本発明のペプチド類は比較的短かいので、溶液中または固体支持体上で通常の方法にしたがって合成することができる。種々の自動合成器が市販されており、公知のプロトコルにしたがって使用できる(例えば、Stewart およびYoung, Solid Phase Peptide Synthesis第2版,Pierce Chemical Co. 社,1984年; Tamら,J. Am. Chem.Soc., 105 巻、6442頁、1983年;Merrifield, Science, 232巻、 341〜347 頁、1986年;およびBaranyおよびMerrifield, ThePeptides, Gross およびMeienhofer編集、Academic Press社、米国、ニューヨーク、1〜284 頁、1979年参照。これらの文献は本願に援用するものである)。
【0058】
あるいは組換え DNA法を採用してもよい。すなわち、対象のペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、そのベクターを用いて適切な宿主細胞を形質転換するかまたはトランスフェクトし、次いで発現させるのに適切な条件下で培養する。これらの方法は以下の文献に記載されているように当該技術分野で一般に公知である(例えばSambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold SpringHarbor、米国ニューヨーク州、1982年;Ausubel ら編集、CurrentProtocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. 社、米国ニューヨーク、1987年;ならびに米国特許第 4,237,224号、同第 4,273,875号、同第 4,431,739号、同第 4,363,877号および同第 4,428,941号参照。これら文献の開示事項は本願に援用するものとする)。
【0059】
したがって、本発明の一つ以上のペプチド配列からなる融合タンパク質は HBV細胞障害性T細胞決定因子を提供するのに使用できる。例えば、本願に記載されているペプチド領域のエピトープをより有効に提供して細胞障害性Tリンパ球の応答を刺激するために HBcのアミノ酸配列を変更した組換えコアタンパク質を製造する。このようにして、いくつものT細胞エピトープを含有するポリペプチドが使用される。
【0060】
本願で目的としている長さのペプチドのコーディング配列は、化学的方法の例えば Matteucciら, J. Am. Chem. Soc., 103巻、3185頁、1981年のホスホトリエステル法で合成することができるので、未変性のペプチド配列をコードする塩基を適切な塩基で置換することによって簡単に修飾することができる。次いでそのコーディング配列に適切なリンカーを与えて、当該技術分野で市販されている発現ベクターに連結し、次いでそのベクターを使用して適切な宿主を形質転換して所望の融合タンパク質を生成させる。
【0061】
かようなベクターと適切な宿主系は多数市販されている。融合タンパク質を発現させるために、そのコーディング配列は、作動可能に連結された出発コドンと停止コドン、プロモーターとターミネーターの領域および普通は複製系を備え、所望の細胞宿主中で発現するための発現ベクターを提供する。例えば細菌宿主と相容性のプロモーター配列を、所望のコーディング配列を挿入するのに便利な制限部位を含有するプラスミド中に入れる。得られた発現ベクターで適切な細菌宿主を形質転換する。酵母または哺乳動物の細胞の宿主も、適切なベクターと制御配列を用いて利用することができる。
【0062】
本発明のペプチドおよびその医薬組成物とワクチン組成物は、哺乳動物特にヒトに投与して HBV感染症を治療および/または予防するのに有用である。本発明のペプチドが、 HBVに感染した細胞に対する細胞障害性T−リンパ球の応答を刺激するのに使用されるので、その組成物は急性および/または慢性の HBV感染症を治療もしくは予防するのに利用できる。
【0063】
すでに HBVに感染した個体には、医薬組成物の代わりに、上記の本発明のペプチドを投与する。感染が潜伏相もしくは急性相の個体は、他の治療法とは別個にまたは一諸に免疫原性ペプチドで治療できる。治療用途で、組成物は、細胞障害性リンパ球の HBVに対する有効な応答を誘発しかつその病状および/または合併症を治癒させるかまたは少なくとも一部を阻止するのに充分な量で患者に投与する。これを達成するのに適切な量は“治療に有効な投与量”として定義する。
【0064】
この用途に有効な量は、例えばペプチドの組成、投与法、治療する疾患の段階と重症度、患者の体重と一般健康状態、および処方する医師の判断によってきまるが、一般に70kg体重の患者については約1μg〜約2000mgのヘプチドの範囲内にあり、約10μg〜約 100mgのペプチドの投与量がより普通に用いられ、次いで患者から得た PBLの HBV特異的 CTL活性を測定して求めた患者の CTL応答によって、数週間〜数ヶ月にわたって約1μg〜約1mgのペプチドをブースター投与する。本発明のペプチドと組成物は、一般に、重篤な病状すなわち生命にかかわるかまたは潜在的に生命にかかわる場合に用いることができることに留意しなければならない。このような病状の場合、外来物質を最少にすることと本発明のペプチドが相対的に非毒性であることから、これらペプチドの組成物のかなりの過剰量を投与することが可能であり、かつ治療医師は望ましいと感じるであろう。
【0065】
本発明の組成物を一回投与するかまたは多数回投与するかは治療医師が選択する投与レベルとパターンによって実施することができる。いずれにしろ、本発明の医薬組成物は、患者を有効に治療するのに充分な量で本発明の細胞障害性Tリンパ球刺激ペプチドを投与しなければならない。
【0066】
治療に用いる場合、投与は、 HBV感染の最初の徴候が見えたときかまたは急性感染の症例では診断後すぐに始め、次いで少なくとも症状が大きく軽減するまでおよびその後しばらくの期間続けなければならない。充分に定着した慢性症例では、初回投与量、続いて維持投与量またはブースター投与量が必要である。急性肝炎の治療中、細胞障害性Tリンパ球の HBVに対する有効な応答が誘発されると、続いて、慢性肝炎、 HBVキャリヤー段階およびその後の肝細胞癌が発生する可能性が最少になる。
【0067】
被感染個体を本発明の組成物で治療すると、急性感染個体の感染の消散を速めることができる。なお急性感染個体の約90%は自然に感染を消散することができる。慢性感染になり易い(または慢性感染になる傾向がある)これらの個体に対して、本発明の組成物は、急性感染から慢性感染へ進行するのを防止する方法に特に有用である。慢性感染になり易い個体が感染の前もしくは感染中に、例えば本願で述べるようにして同定されると、本発明の組成物はそれらの個体を標的にすることができ、大集団に投与する必要が少なくなる。
【0068】
また本発明のペプチド組成物は、慢性肝炎の治療に用いることができ、かつキャリヤーの免疫系を刺激してウイルス感染細胞を著しく減少させるかまたは消失させることさえできる。慢性肝炎の個体は、感染後約3〜6ヶ月間にウイルスに対して陽性であるという試験結果で同定することができる。個体は、その感染の急性相中に細胞障害性Tリンパ球の応答が不適切か(または該応答がない)ために、慢性 HBV感染になるのであるから、細胞障害性T細胞応答を有効に刺激するのに充分な量の免疫強化ペプチドを組成物に含有させることと、上記刺激を行うのに充分な投与モードを実施することが重要である。
【0069】
したがって慢性肝炎を治療するのに用いる代表的な投与量は、70kg体重の患者に対し一回の投与当り約1μg〜1,000 mgの範囲内であり、好ましくは約5μg〜100 mgである。投与は、少なくとも臨床徴候または試験指示薬が、 HBV感染が消失したかまたは著しく緩和したことを示すまでおよびその後しばらくの間続けなければならない。免疫化投与に続いて、所定の時間間隔例えば1〜4週間をおいて維持投与もしくはブースター投与が必要である。また感染を消散させるため必要に応じて期間を延長することもある。慢性およびキャリヤーの HBV感染を治療するには、 CTLペプチドと、他の HBV抗原に対する免疫応答を誘発する他のペプチドまたはタンパク質を組合すことが望ましい。
【0070】
治療に用いる本発明の医薬組成物は、非経口、局所、経口または局部の投与を目的としている。本発明の医薬組成物は、例えば静脈、皮下、皮内または筋肉内の投与のような非経口で投与するのが好ましい。したがって本発明は、容認できる担体、好ましくは水性担体に溶解もしくは懸濁させた細胞障害性Tリンパ球刺激ペプチドの溶液もしくは懸濁液からなる非経口投与用組成物を提供するものである。各種の水性担体を使用することができ、例えば水、緩衝水、0.4%生理的食塩水、 0.3%グリシン、ヒアルロン酸などがある。これらの組成物は、通常の公知の滅菌法で滅菌することができ、または滅菌濾過を行うことができる。
【0071】
得られた水溶液は、そのまゝもしくは凍結乾燥して使用のために包装する。なお凍結乾燥された製剤は投与する前に滅菌溶液と混合する。本発明の組成物は、必要に応じて生理的条件に近づけるために、pHを調節する緩衝剤、等張化剤、湿潤剤などのような医薬として許容される補助物質を含有させてもよく、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエートなどがある。
【0072】
いくつかの実施態様では、 CTLをプライムする成分を少なくとも一つ、本発明の医薬組成物中に含有させることが好ましい。生体内で、ウイルス抗原に対して CTLをプライムすることができる脂質類が同定されており、例えばトリパルミトイル−S−グリセリルシステイニル−セリル−セリン(P3CSS) があるが、これは、適切なペプチドに共有結合させると、ウイルス特異的細胞障害性Tリンパ球を有効にプライムすることができる(Deresら, Nature, 342巻、 561〜564 頁、1989年参照。この文献は本願に援用するものである)。
【0073】
本発明のペプチドは例えば P3CSSにカップリングすることができ、生成したりポリペプチドは個体に投与すると、細胞障害性Tリンパ球の HBVに対する応答を特異的にプライムする。さらに、中和抗体の誘発も、適正なエピトープ例えば HBsAgエピトープを示すペプチドに接合された P3CSSでプライムされるので、これら二つの組成物を組合わせて、 HBV感染に対する体液性および細胞性の両方の応答を一層有効に誘発することができる。
【0074】
医薬製剤中の本発明の細胞障害性Tリンパ球刺激ペプチドの濃度は広範囲に変えることができる。すなわち、約1重量%未満、通常は約10重量%もしくは少なくとも約10重量%から、20〜50重量%以上までの濃度であり、主として流体の容積、粘度などにより、選択される特定の投与モードにしたがって選択される。
【0075】
したがって、静脈注入用の典型的な医薬組成物は、滅菌リンゲル液 250mlとペプチド 100mgを含有させて調製することができる。非経口投与を行える化合物の実際の製造方法は、当該技術分野の当業者にとって公知もしくは明らかであり、例えばRemington'sPharmaceutical Science、第17版、 Mack Publishing Company、米国ペンシルベニア州,イーストン、1985年により詳細に記載されている。なおこの文献は本願に援用するものである。
【0076】
また本発明のペプチドはリポソーム類によって投与してもよく、リポソーム類は、特定の組織例えばリンパ組織もしくは HBVに感染した肝細胞を目標として本発明のペプチドを向ける働きをする。リポソーム類は本発明のペプチド組成物の半減期を長くするのにも用いることができる。本発明に有用なリポソームとしては、乳濁液、発泡体、ミセル、不溶性単分子層、液晶、リン脂質の分散液およびラメラ層などがある。これらの製剤において、放出されるペプチドは、リポソームの一部として、単独か、またはCD45抗原に結合するモノクローナル抗体のようなリンパ系細胞中に多く存在している受容体に結合する分子もしくは他の治療組成物もしくは免疫原性組成物とともに組込む。
【0077】
このようにして、本発明の所望のペプチドとともに充填されたリポソームは、リンパ系細胞または肝細胞の部位に送ることができ、その部位でリポソームは選択された治療/免疫原性ペプチド組成物を放出する。本発明に使用するリポソームは、標準の小胞形成性脂質から製造され、該脂質としては、一般に中性で負に帯電したリン脂質類およびステロール例えばコレステロールがある。脂質類の選択は、例えばリポソームの大きさおよび血液流中のリポソームの安定性を考慮することによって行う。
【0078】
リポソームを製造するのに各種の方法を利用でぎるが、例えば Szokaら、Ann.Rev. Biophys.Bioeng., 9巻、 467頁、1980年;米国特許第 4,235,871号、同第 4,501,728号、同第 4,837,028号および同第 5,019,369号に記載されている。なおこれらの文献は本願に援用するものとする。免疫細胞を目標としてこれに向けるために、リポソームに組込まれるリガンドには、例えば所望の免疫系の細胞の細胞表面決定因子に対して特異的な抗体もしくはそのフラグメントを含有させてもよい。ペプチドを含有するリポソーム懸濁液は、投与モード、放出されるペプチド、治療される疾患の段階などによって、投与量を変えて、静脈、局部、局所などに投与することができる。
【0079】
固体組成物に対しては通常の非毒性固体の担体を用いることができ、担体としては例えば医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。経口投与用の医薬として許容される非毒性組成物は、先に挙げた担体のような通常用いられる賦形剤のいずれかを、活性成分すなわち本発明の1種以上のペプチドのほゞ10〜95%で、より好ましくは25%〜75%の濃度で組込んで製造する。
【0080】
エアゾル投与用には、細胞障害性Tリンパ球刺激ペプチドは界面活性剤および噴射剤によって細かく分割された形態で供給することが好ましい。ペプチドの一般的な百分率は0.01〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。界面活性剤は勿論非毒性でなければならず噴射剤に可溶性であるのが好ましい。このような界面活性剤の代表的なものは、6〜22個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばカプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステリン酸(olesteric acid)およびオレイン酸の脂肪族多価アルコールもしくはその環状無水物によるエステルもしくは部分エステルである。混合グリセリドもしくは天然グリゼリドのような混合エステルも利用できる。界面活性剤は組成物の 0.1〜20重量%を構成していてもよく好ましくは0.25〜5%を構成している。組成物の残りの部分は通常噴射剤である。所望の場合、担体も含有させてもよい。例えば鼻腔内放出用のレシチンが挙げられる。
【0081】
他の態様において、本発明は、本願に記載されているような細胞障害性Tリンパ球刺激ペプチドの免疫原性的に有効な量を活性成分として含有するワクチンに関する。本発明のペプチドは、それ自体の担体に連結されて、または活性ペプチド単位のホモポリマーもしくはヘテロポリマーとして、ヒトを含む宿主中に導入することができる。かようなポリマーは免疫反応を増大するという利点があり、そしてポリマーを製造するのに異なるペプチドを使用すると、 HBVの異なる抗原決定因子と反応する抗体および/または細胞障害性T細胞を誘発する追加の性能が得られる。
【0082】
有用な担体は当該技術分野では公知であり、例えばキーホール・リンペット・ヘモシアニン、チログロブリン、ヒト血清アルブミンのようなアルブミン類、破傷風トキソイド、ポリ(D−リシン:D−グルタミン酸)のようなポリアミノ酸類などが挙げられる。本発明のワクチンは、水、リン酸緩衝食塩水もしくは生理的食塩水のような生理学的に容認できる(許容できる)希釈剤を含有していてもよく、さらに一般にアジュバントを含有している。不完全フロイントアジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウムまたはミョウバンのようなアジュバントは当該技術分野で公知の物質である。
【0083】
そして、前述のように、細胞障害性Tリンパ球の応答は、本発明のペプチドを脂質類例えば P3CSSに接合することによってプライムすることができる。本願に記載のペプチド組成物を用い、注射、エアゾル、経口、経皮などの経路で免疫化すると、宿主の免疫系はワクチンに応答して HBV抗原に対して特異的な細胞障害性Tリンパ球を大量に産生し、そのため宿主は HBVの感染に対して少なくとも部分的に免疫になるか、または慢性 HBV感染症になることに対して耐性になる。
【0084】
本発明のペプチドを含有するワクチン組成物は、 HBVに感染し易いか、さもなければ HBVに感染する危険がある患者に投与すると、患者自身の免疫応答性能を増大させる。このような量は“免疫原性的に有効な投与量”と定義する。この用途では、その正確な量はやはり、患者の健康状態と体重、投与法、製剤の性質などによって決まるが、一般に70kg体重の患者に対して約 1.0μg〜約 500mgの範囲内にあり、より普通は70kg体重当り約50μg〜約 200mgである。本発明のペプチドは適切な HLAタイプの個体に投与する。例えばHBc19-27の領域由来のペプチドのワクチン組成物はHLA-A2の個体に投与し、HBc141-151エピトープ決定因子を含有するペプチドは、A31とAw68の個体に投与する。
【0085】
場合によっては、本発明のペプチドワクチンは、 HBV特に HBVエンベロープ抗原、例えば組換えHBVcnvがコードする抗原に対する中和抗体の応答を誘発するワクチン、または HBVに感染した個体から得た精製血清製剤から製造したワクチンと混合することが好ましい。各種の HBVワクチン製剤がすでに報告されているが、主としてHBsAgと、そのポリペプチドフラグメントに基づいている。
【0086】
本発明のペプチドを配合することができるワクチンの参照すべき例としては、ヨーロッパ特許第 154,902号と同第 291,586号、および米国特許第4,565,697号、同第 4,624,918号、同第 4,599,230号、同第4,599,231号、同第 4,803,164号、同第 4,882,145号、同第 4,977,092号、同第 5,017,558号および同第 5,019,386号がある。なおこれらの文献は本願に援用するものである。これらのワクチン類は混合して同時に投与してもよくまたは別個の製剤として投与してもよい。
【0087】
治療または免疫化の目的のため、本発明のペプチドはワクシニアウイルスのような弱毒化させたウイルス宿主によって発現させることもできる。この方法としては、ワクシニアウイルスをベクターとして用いて、本発明の HBVペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させる方法がある。組換えワクシニアウイルスは、急性または慢性の HBV感染宿主または未感染宿主中に導入すると、 HBVペプチドを発現して宿主の細胞障害性Tリンパ球の HBVに対する応答を誘発する。免疫化のプロトコルに有用なワクシニアベクターと方法は例えば米国特許第 4,722,848号に記載されている。なおこの文献は本願に援用するものとする。
【0088】
もう一つのベクターはBCG (bacille Calmette Guerin) である。 BCGベクター類は、Stoverら、Nature、 351巻、 456〜460 頁、1991年に記載されている。なおこの文献は本願に援用するものである。本発明のペプチドを治療のための投与かまたは免疫化のために有用な他のベクターとしては例えばサルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi)のベクターなど様々の種類のものがあることは、本願の記載事項から当該技術分野の当業者にとって明らかであろう。
【0089】
特許を請求する本発明の組成物と方法は生体外治療(ex vivo therapy)に用いることができる。生体外治療という用語は、治療または免疫原性の操作を体外で行うことを意味する。例えばリンパ球などの標的細胞を患者から取出し、高い投与量の対象ペプチドで処理し、患者が達成もしくは容認できるレベルよりもはるかに過剰のペプチド刺激濃度を細胞媒体に与える。 CTLを刺激する処理に続いて、その細胞を宿主に戻して HBV感染を治療する。宿主の細胞は、上記のようにペプチドをコードする遺伝子を保持するベクターに暴露してもよい。細胞は該ベクターでトランスフェクトさせて、試験管内で増殖させるかまたは患者に戻す。試験管内で増殖させた細胞は所定の細胞密度に到達してから患者に戻す。
【0090】
本発明のペプチドには診断剤としての用途もある。例えば本発明のペプチドは、特定の個体の、本発明のペプチドまたは類縁ペプチドを用いる治療処方計画に対する感受性を測定するのに使えるので、既存の治療プロトコルの修正または罹患個体に対する予後を決定するのに役立つ。その上、本発明のペプチドは、どの個体が慢性 HBV感染症になる危険性が大きいかを予測するのにも用いることができる。
次に実施例を示すが、これは例示を目的とするものであり、本発明を限定するものではない。
【0091】
実施例1. CTL 特異的 HBc エピトープの同定
B型ウイルス肝炎の急性相中の3名の患者(M.B., J.P.およびJ.V.)について試験した。急性肝炎の診断は、SGPT活性の値が上昇していることを見つける(正常値の少なくとも約10倍の高いレベル;平均のSGPTの値のピークは2179IV/Lであった)のと、併せて血清中の IgM抗− HBcAg抗体を検出することに基づいて行った。すべての患者が該疾病から完全に回復し、血清トランスアミダーゼが正常になりかつ HBsAgが排除された。これらの患者は、δAgとC型肝炎ウイルスに対して抗体陰性であった。患者J.P.はA2,A3,B44,B35, Cw4, DR1, DR2, DRw8、およびDQw1であった;V.J.はA2,A11, B44, B62, Cw5, DR4, DRw12 であった;B.M.はA2,B38, B27, DR5, DRw52 およびDQw3であった。
【0092】
したがって全患者がHLA-A2陽性であった。これらの患者から採取した末梢血液リンパ球の HBV特異的 CTL活性を、単離直後、後述のようにして HBA発現ベクターでトランスフェクトした自家刺激細胞で刺激してから1週間後もしくは2週間後、または10〜20残基の長さのオーバーラップ合成ペプチドの4プールの1パネル〔これらのプールは各々、全HBVヌクレオキャプシド(コアとプレコア)領域(aywサブタイプ)をカバーする5〜6種のペプチドで構成されている〕で刺激してから測定した。各プールを構成するペプチドを図1に示す。
【0093】
ペプチド特異的 CTLは、下記のように、急性肝炎の上記3名の患者の PBLから得た。 PBLは、10% AB血清+HBc11-27ペプチドを含有するペプチドプールの10μg/ml、またはHBc11-27ペプチドと組換え(r)HBcAg(Biogen社、スイス,ジエネバ)1μg/mlを含有する、 RPMI 1640中4×106 個/mlの細胞を、24ウエルプレート(Corning社) 中で培養した。4日間培養した後、10% FCSと20U/mlのrIL2(Hoffman-LaRoche社、スイス バーゼル)を含有するRPMI1640を再供給した。患者V.J.の場合、ペプチドでプライムされた細胞は、培養を1週間行った後、抗原提供細胞として自家の放射線を照射された (3500RAD) PBLの存在下、HBc11-27ペプチドとrHBcAg(1mg/ml)で再刺激を行った。患者J.P.由来のペプチドでプライムした細胞を、同種異系の放射線を照射された (7000RAD) PBLの存在下1μg/mlのフィトヘマグルチニン(PHA) で7日目に再刺激を行った。細胞障害活性を培養7日後(患者M.B.)または14日後(患者V.J.およびJ.P.)に評価した。
【0094】
細胞障害活性は、刺激された PBLを、自家もしくは同種異系の(HLA適合もしくは HLA非適合の)51Crで標識をつけたペプチドでパルスした(20μg/ml、1時間) BCL細胞とともに、丸底96ウエルプレート内でエフェクター対標的比(E/T比)が100(M.B.) または10 (V.J., J.P.) にて4時間インキュベートすることによって評価した。ペプチドでパルスしなかった親の BCL細胞は負の対照として使用できた。標的細胞溶解の百分率は、式(E−M/T−M)× 100(式中E=実測51Cr放出量(cpm) ;M=培養培地の存在下での51Cr放出量(これは全カウント数の15〜25%の範囲内であった);およびT=10% TritonXが放出した全51Cr)で計算した。
【0095】
図2に示すように、 HBV特異的 CTL活性は、オーバーラップヌクレオキャプシドペプチドのパネルによる刺激の場合のみ、再現可能に観察された。ペプチド特異的 CTL活性は、前記4種のペプチドプールのなかの1種によってのみ常に誘発され、認識はそのプール内の単一のペプチドに限定されており、そのペプチドはB型肝炎コア抗原(HBcAg) の残基11〜27で構成され、配列:Ala-Thr-Val-Glu-Leu-Leu-Ser-Phe-Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val 〔Seq.ID. No.2〕を有し、 HBVの主要サブタイプ中に保存されている。これは急性ウイルス肝炎にかかっているHLA-A2陽性患者の優性エピトープである。
【0096】
HBc11-27決定因子を含有するペプチド混合物による刺激を1週間行った後、患者M.B.由来のリンパ球は、ペプチドとともにインキュベートした自家のHLA-A2適合Bリンホブラストイド細胞 BCLを特異的に溶解した(図2のA)。ペプチド特異的 CTL系も、HBc11-27特異的 CTLを膨脹させるためのT細胞ヘルプの抗原非特異的起源(Ferrariら、 J.Immunol., 145巻、3422頁、1990年)として、HBc11-27ペプチド+組換え HBV−コア抗原で刺激し、続いて同じ試薬で再刺激することによって、患者V.J.由来の PBLから樹立した(図2のB)。
【0097】
同様に、HBc11-27特異的 CTL系は、患者J.P.由来 PBLを用い(図2のC)、ヘプチドと HBcAgの刺激の1週間に続いて、T細胞ヘルプの抗原非特異的起源としての PHAと放射線を照射された同種異系 PBLによる再刺激によって樹立した。この方法によって、ペプチドでパルスした自家および同種異系HLA-A2陽性標的細胞を溶解できる短期 CTL系を樹立できたが、HLA-A2非適合標的については樹立できなかった。このことは CTLによるペプチドの認識がHLA-A2に制限されていたことを示している。
【0098】
こゝに記載されているのと同様に行った別の実験で、ペプチドHBc19-27とHBc18-27は少なくともHLA-A2に制限された方式で CTL活性を特異的に刺激することが見出された。他の実験で、ペプチドHBc28-47とHBc111-125は HBV抗原に対する CTL活性を特異的に刺激することを示し、およびペプチドHBc140-154が少なくとも HLA-A31に制限されていると思われる方式で CTL活性を刺激した。
【0099】
実施例2. HBc ペプチドに対して特異的な CTL HBV コア抗原を認識する
実施例1の3名の患者由来の短期のペプチド特異的 CTL系を、HBVコア発現ベクターでトランスフェクトさせたかもしくは該ベクターに感染させた自家および同種異系 BCL標的を用い、内因的に合成された HBVコア抗原を認識する性能について試験した。
【0100】
2種の真核発現系を用いた。 HBVのコア(Vコア)またはプレコア(Vプレコア)のポリペプチド(サブタイプ aym)を発現する組換えワクシニアウイルスを、SchlichtとSchaller, J.Virol., 63巻、5399頁、1989年に記載されているのと同様にして用いた。なおこの文献は本願に援用するものである。さらに EBV-B細胞は、Canfieldら、Mol.Cell.Biol., 10巻、1367頁、1990年に記載されているのと同様に、エプスタイン・バールウイルスに基づくベクター(EBOpLPP)中で HBVのコア(EBO−コア)およびエンベロープ(EBO-env) のポリペプチド(サブタイプ ayw)を発現する組換えプラスミドのパネルで安定にトランスフェクトされた。
なお上記の文献は本願に援用する。
【0101】
患者M.B.とJ.P.由来のエフェクター細胞を実施例1に記載されているのと同様に7日間および14日間刺激した後、それぞれ、 100:1と10:1のE/T比で4時間標的細胞とともにインキュベートした。51Crで標識を付ける前に、 BCL標的は、感染多重度20で14時間、組換えワクシニアウイルスに感染させて(図3パネルA) HBVがコードする遺伝子産物を発現させるか(Vw=ワクシニア野生型、Vcore= HBcAg読取り枠を保有するワクシニア)、または患者J.P.については、エンベロープ(EBO-env) もしくはヌクレオキャプシド抗原(EBO−コア)の有効な発現を誘発することが予め分かっている EBVベースのエピソームベクターでトランスフェクトした(パネルB)。
【0102】
図3に示すように、 CTLは、 HBVコアポリペプチドを一時的にまたは安定して発現する自家の BCLを特異的に溶解した。HLA-A2適合およびHLA-A2非適合の同種異系の標的細胞のパネルを用いることによって、内因的に合成された未変性(組換え)コア抗原の特異的認識もHLA-A2に制限されていた。
【0103】
実施例3.ヌクレオキャプシドのトランスフェクタント( transfectant )による逐次刺激によって高親和性の抗 HBV CTL が産生される
ペプチド抗原によって刺激すると、対応する内因性タンパク質に対して低い親和性を有する CTLを誘発することができ(Carboneら、 J.Exp.Med., 167巻、1767頁、1988年)、その結果、ペプチド刺激を反復すると、合成ペプチドを認識するが未変性抗原を認識しない CTLを得ることができる。未変性のヌクレオキャプシド抗原を認識する CTLの集団を選択的に膨脹させかつ別の分析に用いる長期系を樹立するために、患者J.V.由来の PBLを、ペプチドHBc11-27プラス組換え HBcAgで1週間刺激し、得られた活性化 PBLは、 HBVヌクレオキャプシドポリペプチドを安定して発現する、 HLA適合のトランスフェクトされた BCLで再刺激した。
【0104】
詳細は下記のとおりである。HBc11-27ペプチドとrHBcAgで2週間刺激した後、ペプチド特異的 CTL系J.V.(図2のB)を、さらに、放射線照射 (7000RAD) HLAクラスI適合 EBO−コアトランスフェクタント(1×106 /ml)プラス自家の放射線照射 (3000RAD) PBL (5×106 /ml)、およびrHBcAg (RPMI+10% FCS+20U/mlのrIL2中1mg/ml)で7日毎に再刺激した。図4のAに示すように、細胞障害活性は、HBc11-27ペプチドでプレパルスされたかもしくは培地だけで培養されたHLA-A2適合 BCL、または内因的に合成されたヌクレオキャプシドもしくはエンベロープ抗原を発現する EBOトランスフェクタントに対して試験した。試験は、 EBO−コアトランスフェクタントによる2ラウンドの刺激(E/T比=20:1)の2週間前と4週間後に実施した。
【0105】
図4のAに示すように、再刺激を行う前に、 CTLはペプチドでパルスされた標的に対して高レベルの細胞障害性を示したが、内因的に合成された抗原を発現する標的細胞の特異的キリング(killing) は最少であった。T細胞は、ヌクレオキャプシドのトランスフェクタントによる再刺激に続いて、内因的に合成された抗原を発現する標的のキリングの増大を示し、同時にペプチドでパルスされた標的細胞のキリングの減少を示した(図4のA参照)。
【0106】
内因的に合成された抗原の認識は、図4のBに示すように、再刺激に続いて時間が経過するにつれて次第に増大した。このパネルは、 EBO−コアトランスフェクタントによる1,2または3の連続ラウンドの刺激の後3,4および4週間の培養中(E/T=20:1)の CTL系V.J.による、内因的に合成された HBVヌクレオキャプシド抗原の認識を示す。これらの結果は、内因的に産生された抗原に対して高い親和性を有する CTLが選択されていたことを示唆している。
図4のCは、組換えワクシニアウイルスに感染させた(実施例IIに記載したのと同様にして感染させた)HLA-A2適合およびHLA-A2非適合の BCL標的に対する、5週間培養(E/T=50:1)後の細胞障害活性を示す。
【0107】
これらの結果は、天然にプロセスされたヌクレオキャプシド抗原が、 CTL前駆体の集団を膨脹させるために使用された合成HBc11-27ペプチドに類似しているが同一でないことを示唆している。予め刺激を行うことなく、新たに単離した PBL中に HBC特異的 CTLを検出しようとした従来の多くの試みが失敗したのに上記の連続刺激がこのように良好に作用したという事実は、末梢血液区域に非常に低い頻度で HBV特異的 CTL前駆体が存在していることを示唆している。優れた標的細胞として役立った、安定にトランスフェクトされた自家 BCLで試験管内刺激を行うだけでは HBc特異的 CTLを誘発することができないのは、 CTLを誘発するには、溶解に必要なエピトープ密度と比べて一層高いエピトープ密度が一般に必要であることを示唆している。
【0108】
HBc11-27特異的 CTLの表現型は、 HBVコアトランスフェクタントと患者V.J.由来のヌクレオキャプシド特異的 CTL系を、分化マーカーのCD4とCD8に対して特異的な抗体とともにインキュベートすることによって評価した。V.J.の CTL系は、飽和濃度(0.6μg/ml)のIgG1モノクローナル抗体の抗−Leu-3a(CD4)と抗−Leu-2a(CD8)(Becton-Dickinson社から入手) の存在下、A2陽性 EBO−コアと EBO-envの標的に対して試験した。抗体は、クロム放出検定を開始するときに培養物に添加した。抗原特異的溶解は、CD8に対する抗体によって80%阻害され、一方CD4に対する抗体では阻害は全く起こらなかった。これらの結果は、HBc11-27特異的でHLA-A2で制限された CTL活性は、CD8陽性細胞によってもっぱら仲介されることを示している。
【0109】
実施例4. HBc 11-27 特異的 CTL は、 HBV のコアとプレコアの領域でコードされるポリペプチドによって共有されているエピトープを認識する
HBc11-27エピトープは二つの独立したヌクレオキャプシドポリペプチド(コアおよびプレコア)の中に位置し、その一方(プレコア)は、その小胞体へのトランスロケーションとB型肝炎e抗原(HBeAg)としての分泌をもたらすアミノ末端のシグナル配列を含有している(Uyら、Virology、 155巻、89頁、1986年;Roosinckら、Mol.Cell. Biol., 6巻、1393頁、1986年;および Standringら、Proc.Natl. Acad.Sci. USA、85巻、8405頁、1988年)。
【0110】
そのコアポリペプチドは、主として細胞質の核タンパク質(HBcAg) であり分泌されない(RoosinckおよびSiddiqui, J.Virol., 61巻、 955頁、1987年、および McLachlanら、J.Virol., 61巻、 683頁、1987年)。一方のポリペプチドまたは両方のポリペプチドのどちらがHLA-A2制限HBc11-27特異的 CTLエピトープを生成するのに役立つのかを決定するために、HLA-A2陽性 BCL標的細胞を、実施例2に記載されているのと同様にして、独立して未変性のコアとプレコアのポリペプチドを発現するため調製した組換えワクシニアウイルスに感染させた。図5に示すE:T比での4時間の51Cr放出検定に、 CTL系J.V.をエフェクター細胞の起源として使用した。
【0111】
試験結果は、両方の標的細胞系が、患者V.J.由来のHBc11-27特異的 CTL系によって同程度に死滅させられたことを示した。このことは、 HBcAgと HBeAgが共通の細胞内プロセシング経路を共有し、かつ HLAクラスI制限 CTLレベルで交差反応性であることを示している。
【0112】
実施例5. HLA-A2 ハプロタイプ個体中の HBc 11-27 CTL エピトープの免疫優性
ペプチドHBc11-27中に含有されている CTLエピトープのHLA-A2ハプロタイプの免疫優性を評価するために、自己限定性の急性B型肝炎に感染している8名の追加の被検者、慢性の活性B型肝炎の4名の被検者および以前に HBVに暴露されたという徴候がない8名の健康な被検者(すべてHLA-A2陽性)を繰返し試験した。
【0113】
疾患の症状期と回復期の間に連続的に試験した(7〜10日毎に)急性患者はすべて、混合物4でのみならずペプチドHBc11-27でパルスされた自家標的細胞を有効に認識した(図1)。それらの四つ由来の混合物4−刺激PBMCで実施した制限実験によって、ペプチドHBc11-27の CTL認識がHLA-A2で制限されていることが確認された。ペプチドに対する応答のパターンの患者毎の変化は、疾病の過程中で観察された。細胞障害活性は、トランスアミナーゼ値が高い黄疸期中、一般に検出できたが、いくらかの患者ではこの応答が長く続き、 GPTレベルがすでに正常になったときでもいぜんとして検出可能であった。そして他の被検体では溶解活性は、トランアミダーゼがピークになってから2,3週間後、 GTPレベルがわずかしか変化しなくなったときに検出できなくなった。このように CTL活性とSGPTレベルとの間に一定の関連がないことは、末梢血液区域が、肝臓中、抗原合成と細胞損傷の部位で起こる免疫現象をごく部分的にしか反映していないを示唆している。
【0114】
4名の慢性患者のうち3名は(これらの患者は各々急性の患者に対して用いたのと同じ試験プロトコルにしたがって2〜3回試験した)、ペプチドHBc11-27でパルスした自家マクロファージに対して細胞障害活性を示さなかったが、1名の患者は、関連ペプチド配列に対する細胞障害性をごく低いレベルではあるが、検出可能であることを示した。ペプチドHBc11-27に対する溶解活性は正常なHLA-A2陽性対照被検体には検出できなかった。このことは、この応答が試験管内プライミングが原因ではなく、ペプチド刺激によって、 HBV感染で試験管内プレプライムがなされた特異的T細胞集団が選択的に膨脹したことを示している。
【0115】
これらの結果は、コアペプチドHBc11-27に対する CTL応答と、ウイルスを除去するのに成功した患者の急性 HBV感染との間の明確な相関関係を示している。
【0116】
実施例6. HLA-A31 HLA-Aw68 に制限された CTL 活性の同定
この実施例では、二つの独立した HLAクラスI分子であるHLA-A31とHLA-Aw68によって制限されている HBVヌクレオキャプシドエピトープに対する CTL応答の同定について述べる。
急性のB型肝炎にかかっている6名の患者(男性5名および女性1名)ならびに6名の正常な献血者を試験した(表II)。急性B型肝炎の診断は、正常者の上限の少なくとも20倍も高いアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT) 活性を有する重篤な肝臓細胞の損傷の臨床および生化学上の徴候および急性 HBV感染の血清学的徴候;ならびに肝炎表面抗原(HBsAg) と IgM抗 HBc抗体(IgM HBc-Ab)、およびデルタ型肝炎もしくはC型肝炎のウイルスによる感染の血清学的徴候がないこと(米国,イリノイ州,ノースシカゴ、AbbottLaboratories社から入手した市販試薬を使用)を含む標準の診断基準に基づいて行った。すべての患者が最初の診断から4ケ月以内に血清トランスアミナーゼが正常化しかつ HBsAgが除去されて、疾病から完全に回復した。
【0117】
【表2】
Figure 0003694299
【0118】
患者と正常な献血者由来のPBMCは、Ficoll-Hypaque密度勾配法で分離し、ハンクスの平衡塩類溶液(HBSS)で3回洗浄し、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(50U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)、および10%の熱不活化ヒトAB血清を含有するHEPES(10mM)を補充した RPMI 1640培地中に懸濁させ、次いで24ウエルプレートに4×106 細胞/ウエルの量でプレートした。合成のペプチドを各々10μg/mlで下記のようにして細胞培養物中に添加した。
【0119】
すなわち、混合物1、コア残基1-20, 20-34, 28-47, 50-69, 70-89, 61-80;混合物2、コア残基82-101, 100-119, 120-139, 140-155,155-169, 169-183;混合物3、プレーコア残基20−コア残基2、コア残基50-59, 117-131, 131-145, 111-125;および混合物4、コア残基 11-27, 91-110, 147-160, 162-176である。
刺激の第1週中に培養物内でヘルパーT細胞の応答の利益をもたらすために、rHBcAg(Biogen社、スイス,ジエネバ)を1μg/mlで添加した。3日目に、10%ヒトAB血清およびrIL2(最終濃度10U/ml)を含有するRPMI 1mlを各ウエルに添加した。培養したPBMCを7日目に CTL活性について試験し、次いで刺激中の第1週に用いたペプチド混合物に対して特異的な CTL活性を示した短期 CTL系を下記のように再刺激によって膨脹させた。
【0120】
HBVコア特異的 CTL系H1は、最初、ペプチド混合物2+rHBcAgとともに培養し、週に1回、RPMI+10%ヒトAB血清、rIL2(20U/ml)およびペプチド混合物2中で放射線を照射された(3000rad) 5×105 の自家PBMCで再刺激し(第1回再刺激)または続く全刺激にペプチド 140〜155(10μg/ml)を用いて刺激することによって、患者H.P.から生成した。 CTL系E4(患者E.W.由来)および4名の追加の患者(V.T., H.F., Q.M., C.N.)由来の CTL系を、PBMCをペプチド 140〜155 +rHBcAgで最初の1週間刺激し、次いで1週間毎にペプチド 140〜155 とrIL2で再刺激することによって樹立した。正常な未感染の対照のPBMCは、これらの個体が HBcAgに暴露されたことがなかったので、T細胞ヘルプの別の起源を与えるため、選択された例で、刺激の最初の一週間は破傷風トキソイドをrHBcの代わりに用いることを除いて同様に刺激した。
【0121】
HBV特異的 CTLのクローンは、96ウエル微量滴定プレート中1細胞/ウエルに希釈を限定することによって、 HBV特異的 CTL系E4(患者E.W.)から生成させた。CD4+該 CTL系由来のT細胞を、CD4特異的モノクローナル抗体(米国,カリフォルニア州,マウンテン・ビュー、Becton Dickinson社)+補体とともにインキュベートすることによって除去した後、得られた細胞を、 PHA(1μg/ml)、CD3特異的モノクローナル抗体(0.5μg/ml、米国,フロリダ州,ハイアリーア、Coulter Immunology社)、rIL-2 (200U/ml)および放射線を照射した(5000ラド)同種異系PBMC 105/ウエルの存在下プレートした。 HBV特異的クローンを、10%の熱不活性化FCSおよびIL2 20U/mlを含有する RPMI 1640培地中、 HBVコア領域(上記の)を発現する 105の放射線照射(7000ラド)自家トランスフェクタントおよび1ウエル当り2×106 の同種異形の放射線照射(3000ラド)PBMC支持細胞で、24ウエルプレート中で再刺激した。
【0122】
標的細胞系については、自家および同種異系の EBVで形質転換されたBリンホブライストイド細胞系(LCL) は、American Societyfor HistocompatibilityおよびImmunogenetics社(米国,マサチューセッツ州,ボストン)から購入するか、または上記の患者および正常な献血者のプールから樹立した。これらの細胞は10%(vol/vol)の熱不活性化 FCSを含有するRPMI中に保存した。自家PBMC芽球の短期系は、標的細胞として使用する前に、10% FCS、10U/mlのrIL2を含有するRPMI中で1μg/mlの PHAで、末梢血液PBMCを7日間刺激することによって製造した。
【0123】
細胞障害性の検定は、a) PHAで刺激された自家芽球もしくは合成ペプチド(10pg/ml)とともに一夜インキュベートした同種異形の HLA適合と非適合の B-LCL;b)上記の安定な B-LCLトランスフェクタント;またはc)組換えワクシニアウイルスに感染させた B-LCLの標的細胞を用いて行った。ワクシニアに感染した標的は、室温で1時間ロッキングプレート(rocking plate) 上で50プラーク形成U/細胞で1×106 の細胞に感染させ、続いて一回洗浄し、次いで一夜37℃でインキュベートすることによって製造した。標的細胞は次いで 100μCiの51Crで1時間かけて標識つけ、HBSSで3回洗浄した。
【0124】
細胞障害活性は、1ウエル当り5000の標的が入っているU形底96ウエルプレートを用い、標準の4時間51Cr放出検定法で測定した。刺激されたPBMCは70〜100 :1のE:T比で試験し、一方HBVコア特異的 CTL系は4〜50:1のE:T比で試験し、正常な献血者のPBMCは60:1のE:T比で刺激した。検定はすべて2回づつ行った。細胞障害性の百分率は、式: 100×〔(実測放出値−自然放出値)/(最大放出値−自然放出値)〕から求めた。最大放出値は界面活性剤(1% Triton X-100 、 Sigma社)で標的を溶解することによって求めた。自然放出値は、すべての検定において最大放出値の25%未満であった。
【0125】
急性 HBV感染の2名の患者(E.W.とH.P.)由来のPBMCは、前記のペプチド混合物で7日間刺激し、次いで、同じペプチド混合物もしくは媒体でプレパルスされ51Crで標識を付け PHAで活性化された自家の芽球に対する細胞障害活性を試験した。応答は両方の患者に、混合物2に対して認められた(図6)。残りの細胞を第2の1週間ペプチド混合物2で再刺激を行い、その再刺激された CTL系の抗原特異性を、該混合物内に含有されている個体のペプチドでプレパルスされ PHAで活性化された自家の芽球標的で樹立した。この方法によって、ペプチドHBcAg140 155は、両方の患者に対し混合物2によって誘発された CTL活性に対して応答可能であることを示した(図7)。
【0126】
ペプチドHBcAg140-155を供給された、自家 B-LCLに対するエフェクターとしての患者E.W.の未刺激PBMCを用いた場合、細胞障害活性は全く認められなかった。
このことは特異的 CTLが、急性 HBV感染中、末梢血液中に低頻度で存在していたことを示唆している。また患者H.P.は、混合物4に対して CTL応答を示し(図6)、結局、コア残基11〜27に対し特異的でかつHLA-A2で制限されていることを示した。このことは、同じウイルスタンパク質上に存在する非オーバーラップ CTLエピトープに対する多重の独立して制限されている CTL応答は、急性 HBV感染中、容易に検出できることを示した。
【0127】
HBcAg140-155特異的 CTL系は、PBMCを、混合物2または活性成分ペプチド(コア残基 140〜155)で毎週刺激することによって製造した。系E4(患者E.W.)はrHBcAgとペプチドHBcAg140 155の存在下でスタートし;系H1(患者H.P.)はrHBcと混合物2の存在下でスタートした。4週間の再刺激を終ってから、 CTL系H1の HLAクラスI制限を、 HLAクラスIの遺伝子座においてエフェクター細胞と部分的に適合しているが HLAクラスIIとは完全に非適合のいくつかの同種異形標的細胞を用いて試験した。その試験結果は、図8に示したが、その CTL活性はHLA-Aw68で制限されていたことを示している。
【0128】
HBcAg140 155特異的 CTL系E4を、抗−CD3、 PHAおよび支持細胞としての同種異系 PBLの存在下、1細胞/ウエルでクローン化した。2〜3週間後、接種されたウエルの15%が増殖を示し、次いでその増殖細胞集団を、HBcAg140 155とともにプレインキュベートした自家 B-LCLの特異的溶解について試験した。高度に効率的な特異的細胞障害活性を示した二つのクローン(3D11, 2D7) をさらに分析するために選択した。これらのクローンは、 HLAのクラスIとクラスIIの対立遺伝子のレベルで、エフェクターと部分的に適合した自家および同種異系の標的細胞に対して試験した。クローン3D11の細胞障害活性は HLA-A31で制限され、そして同じ患者由来のクローン 2D7の細胞障害活性はHLA-Aw68で制限されていることが見出された(図9)。また両方のクローンは流動細胞計測法によって、CD4−,CD8+表現型を示した。
【0129】
これらの試験結果は、急性 HBV感染の4名の追加の HLA-A31もしくはHLA-Aw68陽性の患者(H.F., V.T., Q.M., C.N.)の分析で確認され拡大された。これらの患者の全員に、HBcAg140-155特異的 CTL系が、系E4について記載したのと同様に生成した(表III )。部分的に HLAに適合した同種異形標的細胞を用いて、 CTL応答が、患者V.T.では HLA-A31対立遺伝子で制限されていることが分かり、患者Q.M.では明らかにHLA-Aw68で制限されており、また患者C.N.では恐らくAw68で制限されているようであった。一方患者H.F.の応答は非常に弱いため分析できなかった。
【0130】
【表3】
Figure 0003694299
【0131】
PBMCはHBcAg140-155+rHBcAg(1μg/ml)で刺激した。
HBcAg140-155特異的 CTL系とクローンの、内因的に合成された HBcAgを発現する標的細胞を溶解する性能を測定した。二つのポリクローナル CTL系(E4とH1)および系E4由来の二つのクローン(3D11と 2D7)を、予め、組換えワクシニアウイルスに感染させたか、または細胞による HBVのコアとプレコアのタンパク質の合成を誘導する EBVベースの発現ベクターで安定してトランスフェクトした自家および同種異形の標的細胞を用いて試験した。系H1は、組換えワクシニアウイルスで誘発され内因的に合成されたコアタンパク質に対して試験し、そして系E4は両方の発現ベクターで誘発され内因的に合成されたコアとプレコアのタンパク質に対して試験した(図10)。
【0132】
クローン3D11と 2D7は、組換えワクシニアウイルスによって誘発され内因的に合成されたコアとプレコアのタンパク質に対してのみ試験した(図11)。有意なレベルの比細胞障害活性(specfic cytolytic activity)がすべての場合に検出された(図10と11)。内因的に合成された抗原が、HBcAg140-155ペプチド特異的系とクローンによって認識されるということは、コア配列140-155で表される CTLエピトープが、内因的に合成された HBVのコアとプレコアのタンパク質の細胞内プロセシングによって生成し、およびこれらの CTLが HBV感染中、生体内でプライムされることを示している。上記の後者の結論は、六つの HLA-A31陽性の正常な未感染対照または四つのHLA-Aw68陽性の正常な未感染対照からHBcAg140-155特異的 CTL系を樹立できないことによって確認されている。
【0133】
最小の最適に認識され HLA A31とHLA Aw68で制限されたエピトープをHBcAg140-155内で測定するために、HBcAg140-155のカルボキシ末端とアミノ末端を切取ったものを製造し、表IVに示した。クローン3D11は HLA A31で制限され、そしてクロン 2D7はHLA Aw68で制限されているが、 CTL応答の微細な特異性を定義するのに使用されるエフェクター細胞であった。自家 B-LCLは、前記の切取ったペプチドでプレインキュベートして前記二つのクローンとともに標的として使用した。
【0134】
データは、配列 141-151が、両方の制限要素に対する最小で最適に認識されたエピトープであることを示している。表IVから、残基151 (Arg) が、両方の CTLクローンによって認識されるエピトープのカルボキシ末端を形成し、一方残基 150はこれもアルギニンでありカルボキシ末端の残基として働くが、残基 141がアミノ末端として働く限り両方のクローンに対して効率が低いと考えられる。残基141 (Ser) は最適のアミノ末端残基のようであるが、データは、 Arg 151がカルボキシ末端残基の場合、残基142 (Thr) も両方のクローンに対するエピトープのアミノ末端として働くことを示している。それに対して、ペプチドのカルボキシ末端が残基 151を越えて延びる場合、HLA-Aw68制限クローン(2D7) だけが Thr 142を利用できる。
【0135】
【表4】
Figure 0003694299
【0136】
エピトープの境界をより正確に定義するために、用量滴定分析を行なった。ここで2種の CTLクローンが、10-3μM〜1μMの範囲の異なったモル濃度でペプチド140-151, 141-150, 141-151, 141-152, 142-151と共にプレインキュベートされたアロジェニックHLA-A31 及びHLA-Aw68陽性標的細胞と共にインキュベートされた。第12図に示されるように、残基 141-151は、両 CTLクローンにより認識される最小の最適に認識されたエピトープを表わす。1つの残基によるアミノ末端拡張は、いづれかのクローンによる標的分解の効率に影響を及ぼさず、そしてカルボキシ末端での1つのアミノ酸の付加は、 HLA A31及びAw68制限クローンの両者に対して CTL応答を10倍減じ、これは、両 HLA対立遺伝子が、それらの対応する CTLに同じペプチドを結合し、そして向けることを示す。
【0137】
例7. HBV ポリメラーゼエピトープに対する HLA −制限 CTL 応答
この例は、急性ウイルス肝炎を有する患者における2種の HBVポリメラーゼペプチドに対するHLA-A2制限 CTL応答の同定を記載する。前記エピトープは、アミノ酸配列HBpol61-69〔配列番号9〕Gly-Leu-Tyr-Ser-Ser-Thr-Val-Pro-Val (GLYSSTVPV)(また図においてはペプチド927.21としても命名される)及びHBpol803-811〔配列番号10〕Ser-Leu-Tyr-Ala-Asp-Ser-Pro-Ser-Val (SLYADSPSV)(また図においてはペプチド927.27としても命名される)に存在する。
【0138】
HBpolペプチドにより誘発された CTLは、例6に示される方法に従って、急性肝炎を有する患者からのPBMCに同定され、但し、PMBCはペプチド混合物よりもむしろ個々のペプチドにより刺激された。次に、得られた CTL系及び/又はクローンを、前記ペプチドによりパルスされた又はその対応する内因性ポリメラーゼ抗原(Vpol又は EBO-pol)を発現する、HLA-A2適合標的細胞を殺す能力について試験した。ワクシニアに基づくVpol及びEpstein-Banrウイルスに基づく EBO-pol構成体の構成法は例2に記載される通りであった。
【0139】
第13図に示されるように、両ペプチドHBpol803-811及びHBpol61-69刺激 CTLは、ペプチドによりパルスされた標的細胞を用いて患者(HLA-A2+ ) において応答し、ところが他のペプチド927.24(WIIRGTSFR) 及び927.30(DLNLGNLNV) 及び媒体対照は特異的 CTL応答を刺激しなかった。内因的に合成されたポリメラーゼ抗体(Vpol及び EBO-pol)を認識するHBpol803-811特異的クローンの能力は第14図に示される。 Be.27-1A1及び Be.27-1A5と命名された2種のクローンが同定され、これらはHBpol803-811ペプチドを認識した。第15図に示されるように、HBpol61-69及びHBpol803-811に対する CTL応答が相同ペプチドによりパルスされた標的細胞により示されているが、しかしHBpol803-811クローンのみが内因的に合成されたVpol抗原に対する応答を示した。
【0140】
例8. HBV X タンパク質に対する HLA 制限 CTL 応答
この例は、 HBV Xタンパク質に由来するペプチド配列に対する、急性ウイルス肝炎を有する患者におけるHLA-A2制限 CTL応答の同定を記載する。 CTLエピトープは、アミノ酸配列HBx126-134〔配列番号9〕Glu-Ile-Arg-Leu-Lys-Val-Phe-Val-Leu (EIRLKVFVL) のペプチドに存在する。
HBpolペプチドにより誘発された CTLは、例VIに示される方法に従って、急性肝炎を有する患者からのPBMCに同定され、但し、PMBCはペプチド混合物よりもむしろ個々のペプチドにより刺激された。次に、得られた CTL系を、前記ペプチドによりパルスされた、HLA-A2適合標的細胞を殺す能力について試験した。
【0141】
第16図に示されるように、 CTLが HBxペプチド 126-134により刺激され、ここでアミノ末端残基がアラニン残基により置換された(EIRLKVFVL → AIRLKVFVL)。相同ペプチドを認識した CTLはまた、野生型配列を有するペプチドを認識した。他方、野生型ペプチドは、いづれかのペプチドによりパルスされた細胞により検出できる特異的 CTL応答を誘発することができなかった。
【0142】
例9. HBenv 348-357 に対する HLA −制限 CTL 応答
この例は、 HBVエンベロープタンパク質に由来するペプチド配列に対する、急性ウイルス肝炎を有する患者におけるHLA-A2制限 CTL応答の同定を記載する。CTLエピトープは、アミノ酸配列HBenv348-357〔配列番号10〕Gly-Leu-Ser-Pro-Thr-Val-Trp-Leu-Ser-Val(サブタイプayw)(Alaはサブタイプ adwにおいてC−末端 Valと置換される)のペプチドに存在する。
【0143】
HBenv348-357ペプチドにより誘発された CTLは、例VIに示される方法に従って、急性肝炎を有する患者からのPBMCに同定され、但し、PMBCはペプチド混合物よりもむしろ個々のペプチドにより刺激された。次に、得られた CTL系を、ペプチドによりパルスされ、又はayw又は adwサブタイプの内因性エンベロープ抗原を発現する、HLA-A2適合標的細胞を殺す能力について試験した。
【0144】
第17図に示されるように、 HBenvペプチド 348-357により刺激された CTLは、ペプチド(884.01-aywと命名された)によりパルスされた標的細胞(3:1のエフェクター:標的細胞比で)、及び aywサブタイプの内因性エンベロープ抗原に対して応答するが、しかしたぶん、カルボキシ末端のアミノ酸残基(Alaが Valと置換されている)における差異のために、 adwサブタイプを認識しなかった。
【0145】
前記例に記載される結果は、ヒトにおける HBVに対する CTL応答は、たぶんこの重度のウイルス感染からの効果的な保護を付与するために、多価であるように思われる。さらに、データは、本発明で使用されるペプチド刺激法は、多価応答の同定及び分析のために効果的且つ有効であることを示す。追加の HLA対立遺伝子特異的結合も特性が同定されるので、それらの特性を含む HBV由来のペプチドは、 CTL前駆体のインビトロ刺激のために使用され得る。
前記から、本発明の特定の態様が例示的目的のために本明細書に記載されて来たが、種々の変法が本発明の範囲内で行なわれ得ることは明らかであろう。
【0146】
発明の要約
1.6〜25個のアミノ酸を含んで成る CTL誘発性ペプチドであって、前記 CTL誘発性ペプチドの少なくとも大多数のアミノ酸が、次の配列:
I(HBc11-27)〔配列番号2〕
Ala-Thr-Val-Glu-Leu-Leu-Ser-Phe-Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val
を有する、HBc11-27の対応する部分に対して相同であることを特徴とするペプチド。
2.II(HBc19-27)〔配列番号4〕
Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val
である第1項記載のペプチド。
3.III (HBc18-27)〔配列番号5〕
Phe-Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val
である第1項記載のペプチド。
4.I(HBc11-27)〔配列番号2〕
Ala-Thr-Val-Glu-Leu-Leu-Ser-Phe-Leu-Pro-Ser-Asp-Phe-Phe-Pro-Ser-Val
である第1項記載のペプチド。
5.前記 CTL応答が少なくともHLA-A2に制限される第1項記載のペプチド。
6.6〜25個のアミノ酸を含んで成る CTL誘発性ペプチドであって、前記 CTL誘発性ペプチドの少なくとも大多数のアミノ酸が、次の配列:
V(HBc140-154)〔配列番号7〕
Leu-Ser-Thr-Leu-Pro-Glu-Thr-Thr-Val-Val-Arg-Arg-Arg-Gly-Arg
の対応する部分に対して相同であることを特徴とするペプチド。
7.V(HBc140-154)〔配列番号7〕
Leu-Ser-Thr-Leu-Pro-Glu-Thr-Thr-Val-Val-Arg-Arg-Arg-Gly-Arg
である第6項記載のペプチド。
8.(HBc141-151)〔配列番号 〕
Ser-Thr-Leu-Pro-Glu-Thr-Thr-Val-Val-Arg-Arg
である第6項記載のペプチド。
9.前記 CTL応答が少なくとも HLA-A31に制限される第6項記載のペプチド。
10.前記 CTL応答が少なくとも HLA-A31又はHLA-Aw68に制限される第8項記載のペプチド。
11.VI(HBc28-47)〔配列番号8〕
Arg-Asp-Leu-Leu-Asp-Thr-Ala-Ser-Ala-Leu-Tyr-Arg-Glu-Ala-Leu-Glu-Ser-Pro-Glu-His
である、B型肝炎ウイルスに対して MHCクラスI−誘発性 CTL応答を誘発するペプチド。
12.6〜25個のアミノ酸を含んで成る CTL誘発性ペプチドであって、前記 CTL誘発性ペプチドの少なくとも大多数のアミノ酸が、次の配列:
IV(HBc111-125)〔配列番号6〕
Gly-Arg-Glu-Thr-Val-Ile-Glu-Tyr-Leu-Val-Ser-Phe-Gly-Val-Trp
を有する、HBc111-125の対応する部分に対して相同であることを特徴とするペプチド。
13.IV(HBc111-125)〔配列番号6〕
Gly-Arg-Glu-Thr-Val-Ile-Glu-Tyr-Leu-Val-Ser-Phe-Gly-Val-Trp
である第12項記載のペプチド。
14.6〜17個のアミノ酸を含んで成る CTL誘発性ペプチドであって、前記 CTL誘発性ペプチドの少なくとも大多数のアミノ酸が、次の配列:
VII (HBpol61-69)〔配列番号9〕
Gly-Leu-Tyr-Ser-Ser-Thr-Val-Pro-Val
を有する、HBc61-69の対応する部分に対して相同であることを特徴とするペプチド。
15.VII (HBpol61-69)〔配列番号9〕
Gly-Leu-Tyr-Ser-Ser-Thr-Val-Pro-Val
である第14項記載のペプチド。
16.6〜17個のアミノ酸を含んで成る CTL誘発性ペプチドであって、前記 CTL誘発性ペプチドの少なくとも大多数のアミノ酸が、次の配列:
VIII(HBpol803-811)〔配列番号10〕
Ser-Leu-Tyr-Ala-Asp-Ser-Pro-Ser-Val
を有する、HBpol803-811の対応する部分に対して相同であることを特徴とするペプチド。
17.VIII(HBpol803-811)〔配列番号10〕
Ser-Leu-Tyr-Ala-Asp-Ser-Pro-Ser-Val
である第16項記載のペプチド。
18.6〜17個のアミノ酸を含んで成る CTL誘発性ペプチドであって、前記 CTL誘発性ペプチドの少なくとも大多数のアミノ酸が、次の配列:
IX(HBx126-134)〔配列番号9〕
Glu-Ile-Arg-Leu-Lys-Val-Phe-Val-Leu
を有する、HBx126-134の対応する部分に対して相同であることを特徴とするペプチド。
19.IX(HBx126-134)〔配列番号9〕
Glu-Ile-Arg-Leu-Lys-Val-Phe-Val-Leu
である第18項記載のペプチド。
20.下記配列:
X(HBenv348-357)〔配列番号10〕
Gly-Leu-Ser-Pro-Thr-Val-Trp-Leu-Ser-Val
を有する CTL誘発性ペプチド。
21.異なった第2免疫原性ペプチドに連結される第1,3,6,8,11, 12, 14, 16, 18又は20項記載のペプチド。
22.前記第2免疫原性ペプチドがB型肝炎ウイルスに対して特異的な免疫応答を誘発する第21項記載のヘテロポリマー。
23.前記第2免疫原性ペプチドがT−ヘルパー細胞介在の応答を誘発する第22項記載のヘテロポリマー。
24.免疫原性脂質キャリヤーに接合される第1,3,6,8,11, 12, 14, 16, 18又は20項記載のペプチド。
25.前記脂質キャリヤーがヒトT−リンパ球応答を増強する第24項記載のペプチドキャリヤー接合体。
26.前記脂質がリポタンパク質である第25項記載のペプチドキャリヤー接合体。
27.第1,3,6,8,11, 12, 14, 16, 18又は20項記載のペプチド及び医薬的に許容できるキャリヤーを含んで成る医薬組成物。
28.前記キャリヤーがリポソームである第27項記載の医薬組成物。
29.B型肝炎感染の処理方法であって、第1,3,14,16, 18又は20項記載のペプチドの有効量を、HLA-A2ハプロタイプを有する感染された宿主に投与することを含んで成る方法。
30.前記感染された宿主が慢性B型肝炎感染を有し、又はB型肝炎キャリヤーである第29項記載の方法。
31.B型肝炎感染の処理方法であって、第6又は8項記載のペプチドの有効量を、 HLA-A31又はHLA-Aw68ハプロタイプを有する感染された宿主に投与することを含んで成る方法。
32.前記宿主が慢性B型肝炎感染を有し、又はB型肝炎キャリヤーである第31項記載の方法。
33.B型肝炎感染の処理方法であって、第11又は12項記載のペプチドの有効量を、感染された宿主に投与することを含んで成る方法。
34.非感染宿主において、B型肝炎ウイルスに対する細胞毒性Tリンパ球応答を誘発するのに十分な量での第1,3,6,8,11, 12, 14, 16, 18又は20項記載のペプチド、及び生理学的に許容できるキャリヤーを含んで成るB型肝炎ワクチン組成物。
35.アジュバントをさらに含んで成る第34項記載のワクチン。
36.B型肝炎ウイルスに対する保護抗体応答を誘発するタンパク質をさらに含んで成る第35項記載のワクチン。
37.進行する慢性B型肝炎感染に対して敏感な個人を同定するための方法であって:
第1,3,6,8,11, 12, 14, 16, 18又は20項記載の及びB型肝炎ウイルスに対する HLAクラスI−制限細胞毒性Tリンパ球応答を誘発するB型肝炎ヌクレオカプシドペプチド抗原と共に対象の個人からのリンパ単核細胞をインキュベートし;そして
それから、抗原に対する細胞毒性Tリンパ球応答を高める個人の能力及び従って、進行する慢性B型肝炎ウイルス感染に対する感応性を決定することを含んで成る方法。
38.前記リンパ単核細胞が末梢血液から得られる第37項記載の方法。
39.前記対象の個人が急性B型肝炎感染を有する第38項記載の方法。
40.第1,3,6,8,11, 12, 14, 16, 18又は20項記載のペプチドであって、転写プロモーター、前記ペプチドをコードする DNA配列及び転写ターミネーター、ここで個々は前記ペプチドの発現のために操作可能的に連結されている、を含んで成る DNA構造体により発現されることを特徴とするペプチド。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、末梢血液の単核細胞を刺激して、 HBV特異的細胞障害性Tリンパ球を同定するのにプールで用いるペプチドを示す。
【図2】図2は、患者M.B.(図2のA)、同V.J.(図2のB)および同J.P.(図2のC)のペプチドプールで観察された細胞障害性T細胞活性、ならびにHLA-A2制限応答を示す。図中に各患者の細胞と標的細胞とが共有する HLA対立遺伝子を示す。
【図3】図3はペプチド特異的 CTLで内因的に合成された HBAヌクレオキャプシド抗原の、患者M.B.(パネルA)および患者J.P.(パネルB)由来のエフェクター細胞による認識を示す。図中、Vw=ワクシニア野生型、 Vcore=HBcAg 読取り枠を保持するワクシニア、 EBO-enV=HBV エンベロープを発現する EBVベースのエピソームベクター、およびEBO-core=HBV ヌクレオキャプシド抗原を発現する EBVベースのエピソームベクターを示す。
【図4】図4は、内因的に合成された HBVヌクレオキャプシド抗原を認識するHLA-A2制限 CTLの選択膨脹を示し、図中パネルAは、HBc11-27ペプチドでプレパルス(prepulse)するかまたは培地だけで培養されたHLA-A2適合BCL(HLA-A2 matched BCL) ならびにヌクレオキャプシドまたはエンベロープ抗原を発現するEBO-形質導入体に対する、 CTL系V.J.による細胞溶解活性を示すが、試験はEBO-core形質導入体による刺激の前(2週間)および刺激の後(4週間)に行った。パネルBは、EBO-core形質導入体による、1,2または3ラウンドの連続刺激後の3,4および5週中の CTL系V.J.による認識を示す;およびパネルCは、組換えワクシニアウイルスに感染させたHLA-A2適合およびHLA-A2不適合の BCL標的に対する、5週間培養後の CTL活性を示す。
【図5】図5は、組換えワクシニアを感染させた HLA-A2BCLによって発現され、 HBVのコアとプレコアの領域でコードされたポリペプチドが共有するエピトープのHBc11-27特異的 CTL認識を示す。なおエフェクター細胞の起源として CTL系J.V.を用いた。
【図6】図6は、合成ペプチドの混合物でのPBMC刺激による HBV特異的CTLの活性化を示す。同じ刺激混合物または培地のみでプレパルスされた自家標的に対する、一週間刺激されたPBMCの細胞溶解活性を示す。使用したE/T比は、患者E.W.については70:1であり、患者H.P.については 100:1であった。
【図7】図7は、HBcAg140-155が混合物2で認識されるペプチドであることを確証している。最初の一週間、混合物2に含有されているペプチドで刺激され次いで同じペプチドで再刺激されたPBMCの、該混合物の個々のペプチドでプレパルスされた自家標的細胞に対する細胞溶解活性を示す。利用されたE/t比は患者E.W.については50:1であり、患者H.P.については40:1であった。
【図8】図8は、Aw68がM1系のHBcAg140-155特異的 CTL応答の制限要素であることを示す。同種異系標的細胞は、ペプチドHBcAg140-155または培地でプレパルスし、次いでエフェクター細胞でクラスIのレベルで適合させ、次いでクラスIIのレベルで完全に不適合にした。利用したE/Tは4:1であった。
【図9】図9は、Aw68と A31がそれぞれ、クローン2D7 と3D11のHBcAg140-155特異的 CTL応答の制限要素であることを示す。自家および同種異系の標的細胞は、ペプチド 140-155でプレパルスした。同種異系標的細胞はクラスIとクラスIIのレベルでエフェクター細胞と適合させた。利用したE/T比は10:1であった。
【図10】図10は、HBcAg140-155特異的 CTL系のE4とH1が内因的に合成される抗原を発現する標的細胞を溶解できることを示す。E4系に利用したE/T比は10:1であり、H1系に利用したE/T比は、ペプチドでプレパルスされた標的細胞については20:1で、組換えワクシニアウイルスを感染させた標的細胞については15:1であった。
【図11】図11は、 CTLクローン2D7 と3D11が、内因的に合成された抗原を発現する標的細胞を、 HLA制限方式で溶解できることを示す。クローン2D7 と3D11はそれぞれ、ペプチド 140-155とともに正のプレインキュベートを行い、次いで HBVのコアおよびプレコアのタンパク質をコードする組換えワクシニアウイルスを感染させた同種異系の標的細胞AW68と A31に対して試験した。
【図12】図12は、ペプチド 141-151が、両方の制限要素に対して、HBcAg140-155中の最適に認識される最も短かい配列であることを示す実験結果を示す。クローン3D11は同種異系のA31-陽性標的細胞に対して試験し、クローン 2D7は同種異系のAW68−陽性標的細胞に対して試験した。これら標的細胞は 0.001〜1μMの範囲の濃度のペプチドでプレパルスを行った。利用したE/T比は10:1であった。
【図13】図13は、HLA-A2にのみ適合する、ペプチドでパルスされた標的細胞を用いた、患者の、HLA-A2モチーフを含有する二つのポリメラーゼペプチドに対する CTL応答を示す。
【図14】図14は、いくつかのポリメラーゼ 803-811ペプチド特異的クローンの、内因的に合成されたポリメラーゼを認識する性能を示す。
【図15】図15は、ポリメラーゼペプチド 803-811に対する CTL応答は、ペプチドでパルスされた細胞と内因的に合成されたポリメラーゼ(Vpol)を認識できるが、ポリメラーゼペプチド 61-69に対する CTL応答は 61-69ペプチドでパルスされた細胞しか認識しなかったことを示す。
【図16】図16は、 CTL応答がHBX126-134ペプチド類似体によって誘発されるが野生型では誘発されないことを示す。
【図17】図17は、相同ペプチドでパルスされた標的細胞(884.01-aywと命名)とその aywサブタイプの内因性エンベロープ抗原に対する、 HBenVペプチド 348-357によって刺激された CTL応答を示すが、adwサブタイプの抗原を発現する細胞に対する応答が欠除していることを示す。

Claims (15)

  1. 次のアミノ酸配列:
    Gly-Leu-Tyr-Ser-Ser-Thr-Val-Pro-Val(HBpol61-69)〔配列番号9〕
    を含む17個以下のアミノ酸から成る、HB ポリメラ−ゼの一部分であるCTL誘発性ペプチド。
  2. 下記アミノ酸配列:
    VII (HBpol61-69)〔配列番号9〕
    Gly-Leu-Tyr-Ser-Ser-Thr-Val-Pro-Val
    である請求の範囲第1項記載のペプチド。
  3. 請求の範囲第1又は第2項に記載のペプチドに第2免疫原性ペプチドが連結されているヘテロポリマー
  4. 前記第2免疫原性ペプチドがB型肝炎ウイルスに対して特異的な免疫応答を誘発する、請求の範囲第3項記載のヘテロポリマー
  5. 前記第2免疫原性ペプチドがT−ヘルパー細胞介在の応答を誘発する、請求の範囲第3項記載のヘテロポリマー。
  6. 請求の範囲第1又は2項に記載のペプチドに免疫原性脂質キャリヤーが接合されているペプチドキャリヤー接合体。
  7. 前記脂質キャリヤーがヒトT−リンパ球応答を増強する、請求の範囲第6項記載のペプチドキャリヤー接合体。
  8. 前記脂質キャリヤーがリポタンパク質である、請求の範囲第6項記載のペプチドキャリヤー接合体。
  9. 次のアミノ酸配列:
    Gly-Leu-Tyr-Ser-Ser-Thr-Val-Pro-Val HBpol 61-69 )〔配列番号9〕
    から成る CTL 誘発性ペプチド。
  10. 請求の範囲第9項に記載のペプチドに第2免疫原性ペプチドが連結されているヘテロポリマー
  11. 前記第2免疫原性ペプチドがB型肝炎ウイルスに対して特異的な免疫応答を誘発する、請求の範囲第 10 項記載のヘテロポリマー
  12. 前記第2免疫原性ペプチドがT−ヘルパー細胞介在の応答を誘発する、請求の範囲第 10 項記載のヘテロポリマー。
  13. 請求の範囲第9項に記載のペプチドに免疫原性脂質キャリヤーが接合されているペプチドキャリヤー接合体。
  14. 前記脂質キャリヤーがヒトT−リンパ球応答を増強する、請求の範囲第 13 項記載のペプチドキャリヤー接合体。
  15. 前記脂質キャリヤーがリポタンパク質である、請求の範囲第 13 項記載のペプチドキャリヤー接合体。
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