JP3693867B2 - 車両の挙動安定化機構の検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両がオーバーステアやアンダーステアになったときに車両を安定させるように車両の4個の車輪のブレーキを個々に制御する、所謂、VDC(ビークル・ダイナミック・コントロール)と呼ばれる挙動安定化機構の検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
挙動安定化機構は、横Gセンサやヨーレートセンサや舵角センサといった各種センサからの信号を車載コントローラに入力し、これら信号から車両がオーバーステアであると判断したときに、外輪側のブレーキを作動させ、車両がアンダーステアであると判別したときに、内輪側のブレーキを作動させるように構成されている。
【0003】
従来、このような挙動安定化機構の検査は、挙動安定化機構の制御プログラムを格納した車載コントローラにオーバーステアやアンダーステアの擬似信号を入力し、コントローラが適切なブレーキ制御信号を出力するか否かを見る電子シミュレート方式で行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記電子シミュレート方式の検査では、コントローラの機能の良否は判別できるが、コントローラで制御されるバルブ類やブレーキ配管を含むハード系の検査は行い得ず、品質保証の面で信頼性に欠ける。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、挙動安定化機構のハード系の異常の有無を正確に判定できるようにした検査方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、車両がオーバーステアやアンダーステアになったときに車両を安定させるように車両の4個の車輪のブレーキを個々に制御する挙動安定化機構の検査方法において、挙動安定化機構の制御プログラムを格納した車載コントローラに、車両の4個の車輪のブレーキを順番に所定の検査モードで作動させる検査用プログラムを格納しておき、車両の4個の車輪を乗せる4個のローラと、これらローラを相互に連結するクラッチと、各ローラの減速度を検出する検出手段とを有する台上試験機を用い、車両の各車輪を台上試験機の各ローラに乗せ、台上試験機の全てのローラをクラッチを介して相互に連結した状態で車両を走行させ、車速が所定速度に達したところで車両の変速機をニュートラル状態にし、この状態で台上試験機のローラ相互の連結を解除すると共に前記検査用プログラムを起動させ、検査用プログラムの起動後、各ローラの減速度が所定値以上になった時を該各ローラに乗せた車輪のブレーキの作動開始時点として判定し、この作動開始時点から各車輪のブレーキの作動時間間隔を求め、この作動時間間隔が検査用プログラムに応じた所定の設定時間間隔以上であるか否かを判別する診断工程を実行するようにしている。
【0007】
車両の変速機をニュートラル状態にすると共に台上試験機のローラ相互の連結を解除すると、各ローラはこれに乗せた車輪のブレーキの作動により個々に減速される。従って、各ローラの回転変動から各車輪のブレーキの作動状態を知ることができる。
【0008】
ここで、バルブ類の誤配線等により車載コントローラが制御対象としているブレーキと実際に制御されるブレーキとの対応関係に狂いを生ずると、4個のブレーキの作動順序が検査用プログラム上の作動順序に一致しなくなる。かくて、診断工程において、各ローラの減速度が所定値以上になった時を該各ローラに乗せた車輪のブレーキの作動開始時点として検出して、各ブレーキの作動開始時点の時系列から求める4個の車輪のブレーキの作動順序が検査用プログラム上の作動順序と一致しているか否かを判別することにより、誤配線等の異常を検出できる。
【0009】
また、ブレーキに液圧を供給する給液バルブの故障等でブレーキ圧が早期に立上ると、ブレーキの作動時間間隔が短くなる。このような異常は、診断工程において、各ブレーキの作動開始時点の時間差から求める4個の車輪のブレーキの作動時間間隔が検査用プログラムに応じた所定の設定時間間隔以上であるか否かを判別することで検出できる。
【0010】
また、ブレーキから液圧を抜く排液バルブの故障等でブレーキ圧の減圧遅れといった異常を生ずることもある。このような異常は、検査モードを、各車輪のロックを生じないようにブレーキ圧を制御しつつ各ブレーキを一定時間作動させるように設定し、診断工程において、各ローラの減速度が前記所定値を下回った時を該各ローラに乗せた車輪のブレーキの作動終了時点として検出して、各ブレーキの作動開始時点と作動終了時点との時間差から求める各ブレーキの作動時間が検査モードに応じた所定の設定時間以下であるか否かを判別すると共に、各車輪のロックを生じたか否かを判別することにより検出できる。
【0011】
給液バルブが開弁したままになる故障を生じた場合、作動順序が最先のブレーキ以外のブレーキ用の給液バルブについては、ブレーキの作動時間が短くなるため、故障を検出できるが、作動順序が最先のブレーキ用の給液バルブについては、ブレーキの作動時間間隔から故障を検出することはできない。ここで、ブレーキの作動終了時に排液バルブが開弁しても、給液バルブの故障でこれが閉弁しないと、車輪は一定時間内に緩やかに停止する。かくて、診断工程において、作動順序が最先のブレーキを取付けた車輪の回転速度が当該ブレーキの作動開始時点からブレーキ作動時間に関する前記設定時間よりも長く設定した第2の設定時間経過した時点で停止判別の基準となる所定の設定速度以上になっているか否かを判別することにより、上記異常を検出することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は挙動安定化機構を搭載した車両の左右の前輪FL,FRと左右の後輪RL,RRのブレーキBFL,BFR,BRL,BRRを制御するブレーキ用液圧回路を示している。この回路には、ブレーキペダルBPに連動するマスタシリンダ100と、電動モータ101aで駆動される1対のポンプ101,101と、各ブレーキBFL〜BRRに液圧を供給する常開型電磁弁から成る各別の給液バルブ102と、各ブレーキBFL〜BRRの液圧をポンプ用リザーブタンク103に逃がす常閉型電磁弁から成る各別の排液バルブ104とが設けられている。そして、一方のポンプ101の吐出通路105を左前輪ブレーキBFLと右後輪ブレーキBRRとに各給液バルブ102を介して接続し、他方のポンプ101の吐出通路105を右前輪ブレーキBFRと左後輪ブレーキBRLとに各給液バルブ102を介して接続している。更に、各ポンプ101の吐出通路105を給液バルブ102の上流側で分岐して、この分岐部を調圧機能を有する常開型電磁弁から成る調圧バルブ106と常閉型電磁弁から成るリターンバルブ107とを介して各ポンプ101の吸込通路108に接続している。また、マスタシリンダ100から2本の給液通路109,109を導出して、各給液通路109を調圧バルブ106とリターンバルブ107との間の通路部分に接続し、この通路部分にアキュムレータ110を接続している。図中111は調圧バルブ106に並列の給液用チェック弁、112は給液バルブ102に並列の排液用チェック弁である。
【0013】
前記モータ101aと各給液バルブ102と各排液バルブ104と各調圧バルブ106と各リターンバルブ107は車載コントローラ113で制御されるようになっており、ブレーキペダルBPの踏込みによるブレーキング中に車輪のロックを生じそうになったとき、給液バルブ102と排液バルブ104の開閉によるブレーキ圧の制御で車輪のロックを防止するアンチロック制御を行う。また、走行中にオーバーステアやアンダーステアになったときは、モータ101aを駆動すると共に、車両を安定させるのに必要なブレーキ(オーバーステア時は外輪側ブレーキ、アンダーステア時は内輪側ブレーキ)以外のブレーキ用の給液バルブ102を閉弁して、安定化に必要な車輪のブレーキのみにポンプ101からの液圧を供給可能とし、このブレーキ用の給液バルブ102と排液バルブ104の開閉によるブレーキ圧の制御で車両を安定させる挙動安定化制御を行う。尚、挙動安定化制御に際しては、調圧バルブ106を調圧位置に切換えると共に、リターンバルブ107を開位置に切換えて調圧バルブ106からのリーク液をポンプ101の吸込み側に戻し、ポンプ101の吐出圧を一定に調圧する。
【0014】
コントローラ113には、アンチロック制御及び挙動安定化制御のためのプログラムに加えて、検査用プログラムが格納されており、後記する台上試験機上で車両を走行させて行う車両の検査工程において検査用プログラムを起動させ、挙動安定化機構のハード系たるブレーキ用液圧回路の検査を行う。検査用プログラムは、4輪のブレーキを所定の時間間隔(例えば0.4秒)で所定の順序、例えば、左前輪ブレーキBFL→右後輪ブレーキBRR→右前輪ブレーキBFR→左後輪ブレーキBRLの順序で夫々所定の検査モードで作動させるように構成されている。検査モードは、各車輪FL〜RLのロックを生じないようにブレーキ圧を制御しつつ各ブレーキBFL〜BRLを所定時間(例えば0.3秒)作動させるように設定されている。
【0015】
台上試験機は、図2に示す如く、左右1対の前輪用ローラ1L,1Rと、左右1対の後輪用ローラ2L,2Rとを備えており、前輪用の1対のローラ1L,1R間に該各ローラ1L,1Rを夫々クラッチ3L,3Rを介して連結したギアボックス4を配置すると共に、後輪用の1対のローラ2L,2R間に該各ローラ2L,2Rを夫々クラッチ5L,5Rを介して連結したギアボックス6を配置し、両ギアボックス4,6を連結軸7を介して連結している。
【0016】
各ローラ1L,1R,2L,2Rは、同期回転するようにベルト1a,2aを介して連結した前後1対の分割ローラ1b,1c,2b,2cで構成されており、各ローラの前側の分割ローラ1b,2bに前記各クラッチ3L,3R,5L,5Rと速度計8とを連結すると共に、後側の分割ローラ1c,2cにトルク計9を介してフライホイール10を連結し、各ローラ1L,1R,2L,2Rの速度計8とトルク計9の検出信号を診断装置11に入力している。ここで、トルク計9で検出されるトルクは各ローラの回転変動、即ち、加減速度を表わすパラメータとなる。
【0017】
検査に際しては、車両の各車輪FL,FR,RL,RRを台上試験機の各ローラ1L,1R,2L,2Rに乗せ、全てのローラのクラッチ3L,3R,5L,5Rをオンした状態で車両の駆動輪を車載駆動源たるエンジンで駆動し、台上試験機上で車両を走行させる。この場合、前輪駆動車であれば、前輪用ローラ1L,1Rとクラッチ3L,3Rとギアボックス4と連結軸7とギアボックス6とクラッチ5L,5Rと後輪用ローラ2L,2Rとを介して従動輪たる後輪RL,RRが回転され、後輪駆動車であれば、上記とは逆の経路で従動輪たる前輪FL,FRが回転される。
【0018】
図3は検査手順を示しており、上記の如く台上試験機上で車両を走行させることにより、各速度計8で検出される各車輪FL,FR,RL,RRの回転速度VFL,VFR,VRL,VRRから求める車速Vが所定の高車速YVH(例えば50km/h)に上昇したとき(S1)、車両に搭乗している作業者に車両の変速機をニュートラル状態にせよとのニュートラル指示を出すと共に(S2)、診断装置11に内蔵されている第1タイマの計時動作を開始する(S3)。
【0019】
変速機をニュートラル状態にすることで車速Vが図4(A)に示す如く低下し、YVHと現在の車速Vとの差△Vが所定値Y△V(例えば2km/h)以上になると(S4)、全てのローラのクラッチ3L,3R,5L,5Rをオフしてローラ相互の連結を解除すると共に(S5)、診断装置11に内蔵されている第2タイマの計時動作を開始する(S6)。また、ニュートラル指示に従って変速機がニュートラル状態にされると、車載コントローラ113が検査用プログラムを起動する(S7)。
【0020】
検査用プログラムの起動で車両の各ブレーキBFL〜BRLが作動されると、各ローラ1L,1R,2L,2Rの減速度、即ち、各ローラのトルク計9で検出されるトルクが図4(B)に示す如く立上る。そして、左前輪FL用のローラ1Lのトルク計9で検出されるトルクTRQFLが前輪ブレーキ用の作動判別値YTRQ1以上になったとき(S81)、左前輪ブレーキBFLの作動フラグFAを「1」にセットすると共に、その時点での第2タイマの計時時間TM2を左前輪ブレーキBFLの作動開始時点tAとして記憶し(S91)、その後TRQFLがYTRQ1を下回ったとき(S101)、その時点での第2タイマの計時時間TM2を左前輪ブレーキBFLの作動終了時点tA′として記憶する(S111)、また、右後輪RR用のローラ2Rのトルク計9で検出されるトルクTRQRRが後輪ブレーキ用の作動判別値YTRQ2以上になったとき(S82)、右後輪ブレーキBRRの作動フラグFBを「1」にセットすると共に、その時点での第2タイマの計時時間TM2を右後輪ブレーキBRRの作動開始時点tBとして記憶し(S92)、その後TRQRRがYTRQ2を下回ったとき(S102)、その時点での第2タイマの計時時間TM2を右後輪ブレーキBRRの作動終了時点tB′として記憶する(S112)。同様に、右前輪FR用のローラ1Rのトルク計9で検出されるトルクTRQFRがYTRQ1以上になったとき(S83)、右前輪ブレーキBFRの作動フラグFCを「1」にセットすると共に、その時点での第2タイマの計時時間TM2を右前輪ブレーキBFRの作動開始時点tCとして記憶し(S93)、その後TRQFRがYTRQ1を下回ったとき(S103)、その時点での第2タイマの計時時間TM2を右前輪ブレーキBFRの作動終了時点tC′として記憶し(S113)、また、左後輪RL用のローラ2Lのトルク計9で検出されるトルクTRQRLがYTRQ2以上になったとき(S84)、左後輪ブレーキBRLの作動フラグFDを「1」にセットすると共に、その時点での第2タイマの計時時間TM2を左後輪ブレーキBRLの作動開始時点tDとして記憶し(S94)、その後TRQRLがYTRQ2を下回ったとき(S104)、その時点での第2タイマの計時時間TM2を左後輪ブレーキBRLの作動終了時点tD′として記憶する(S114)。
【0021】
ここで、給液バルブ102及び排液バルブ104が正常であれば、各ブレーキBFL〜BRLの作動時間は検査モードに応じた所定の設定時間内に収まる。そこで、各ブレーキBFL〜BRLの作動時間(作動開始時点tA〜tDと作動終了時点tA′〜tD′との時間差)が前輪ブレーキ用と後輪ブレーキ用の各設定時間t1,t2(例えばt1=0.3秒、t2=0.3秒)以下か否かを判別し(S121〜S124)、設定時間を上回っていれば、対応するブレーキの異常表示を行うと共に(S141〜S144)、全体的な合否判定結果として不合格表示を行う(S15)。
【0022】
また、排液バルブ104が閉弁したままになると、ブレーキ圧の上昇で車輪がロックする。車輪のロックでローラが停止すると、車輪、ローラ、フライホイールから成る慣性系に貯えられていた弾性エネルギーが解放されて、トルク計9で検出されるトルクが、図5に示す如く、一旦ゼロレベル以下に低下する。そこで、各ブレーキBFL〜BRLの作動時間が設定時間以下であれば、次に、各トルク計9で検出したトルクの最小値TRQFLmin〜TRQRLminが前輪ブレーキ用と後輪ブレーキ用の各ロック判定値(負の値)YTRQ3,YTRQ4以下になったか否かを判別し(S131〜S134)、ロック判定値以下になっていれば、対応するブレーキの異常表示を行うと共に(S141〜S144)、全体的な合否判定結果として不合格表示を行う(S15)。
【0023】
各ブレーキBFL〜BRLの作動時間が設定時間以下で、且つ、トルクの最小値がロック判定値を上回っていれば、各ブレーキBFL〜BRLの作動開始時点tA〜tDに基づいてブレーキBFL〜BRLの作動順序が検査用プログラム上の順序、本実施形態では左前輪ブレーキBFL→右後輪ブレーキBRR→右前輪ブレーキBFR→左後輪ブレーキBRLの順序であるか否かを判別し(S16)、その判別結果が「YES」であれば、各ブレーキBFL〜BRLの作動時間間隔(tB−tA,tC−tB,tD−tC)が検査用プログラムに応じた設定時間間隔t3(例えば0.2秒)以上であるか否かを判別する(S17)。
【0024】
バルブ類の誤配線等により、例えば、車載コントローラ113の右後輪ブレーキBRR用の給排液バルブ102,104の制御端子に右前端ブレーキBFR用の給排液バルブ102,104のソレノイドが接続され、右前輪ブレーキBFR用の給排液バルブ102,104の制御端子に右後輪ブレーキBRR用の給排液バルブ102,104のソレノイドが接続されていると、ブレーキ作動順序は左前輪ブレーキBFL→右前輪ブレーキBFR→右後輪ブレーキBRR→左後輪ブレーキBRLになり、検査用プログラム上の順序に対し右後輪ブレーキBRRと右前輪ブレーキBFRの順番が入れ換わる。このように、ブレーキ作動順序が検査用プログラム上の順序と違って、S16のステップで「NO」と判定された場合は、順番の狂った全てのブレーキの異常表示を行うと共に(S18)、全体的な合否判定結果として不合格表示を行う(S15)。
【0025】
また、何れかのブレーキが給排液バルブ102,104の故障や過大なエア噛み等で作動せず、ブレーキの作動フラグが「1」にセットされなかった場合も、S16のステップで「NO」と判定され、S18のステップで不作動のブレーキの異常表示が行われる。
【0026】
また、何れかのブレーキ、例えば、右後輪ブレーキBRR用の給液バルブ102の故障等で右後輪ブレーキBRRのブレーキ圧の立上りが早くなると、左前輪ブレーキBFLと右後輪ブレーキBRRの作動時間間隔(tB−tA)が設定時間間隔t3を下回って、S17のステップで「NO」と判定される。この場合は、S18のステップで作動時間間隔が短くなったブレーキの異常表示を行う。
【0027】
ここで、給液バルブ104が開弁したままになる故障を生じた場合、作動順序が最先のブレーキ以外のブレーキ用の給液バルブ104については、ブレーキの作動時間が短くなるため、故障を検出できるが、作動順序が最先のブレーキ用の給液バルブ104については、ブレーキの作動時間間隔から故障を検出することはできない。ところで、ブレーキの作動終了時に排液バルブ104が開弁しても、給液バルブ102の故障でこれが閉弁しないと、車輪は一定時間内に緩やかに停止する。この場合、車輪ロック時のような負のトルクは発生せず、ロック判定値に基づいて異常を検出することはできない。そこで、作動順序が最先のブレーキ、即ち、左前輪ブレーキBFLの作動開始がS81のステップで検出されたとき、診断装置11に内蔵する第3タイマの計時動作を開始し(S19)、第3タイマの計時時間TM3がブレーキ作動時間に関する設定時間t1,t2よりも長く設定した所定の設定時間t4(例えば1.0秒)になったとき(S20)、その時点での左前輪FLの回転速度VFLが停止判別の基準となる所定の低速度YVL(例えば車速換算で2km/h)以上であるか否かを判別し(S21)、VFL<YVLであれば、左前輪ブレーキBFLの異常表示を行うと共に(S22)、全体的な合否判定結果として不合格表示を行う(S15)。
【0028】
また、ニュートラル指示が出されても作業者が変速機をニュートラル状態にしなかったり、電装系やポンプ101の故障等で液圧が発生しなかった場合は、全てのブレーキBFL〜BRLが不作動となる。そこで、V≧YVHになった時点で計時動作を開始する第1タイマの計時時間TM1が所定の検査上限時間t5(例えば12秒)になったとき(S23)、何れかのブレーキの作動フラグFA〜FDが「1」にセットされているか否かを判別し(S24)、何れの作動フラグFA〜FDも「1」にセットされていなければ、検査のエラー表示を行うと共に(S25)、全体的な合否判定結果として不合格表示を行う(S15)。
【0029】
一方、S17,S21,S24の全てのステップで「YES」と判定されたときは、合格表示が行われる(S26)。結局、ポンプ101や各バルブ102,104,106,107の故障、バルブ類の誤配線、エア噛み等のハード系の異常が有れば、不合格と表示されることになり、ハード系に異常が無いときにのみ、合格と表示される。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、挙動安定化機構のハード系の異常の有無を正確に判定でき、品質保証の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 挙動安定化機構のハード系たるブレーキ用液圧回路を示す回路図
【図2】 台上試験機を示す平面図
【図3】 検査手順を示すフロー図
【図4】 (A)検査工程における車輪速度の変化を示すグラフ、(B)台上試験機の各ローラのトルク変化を示すグラフ
【図5】 車輪ロック時のトルク変化を示すグラフ
【符号の説明】
FL,FR,RL,RR 車輪
BFL,BFR,BRL,BRR ブレーキ
1L,1R,2L,2R ローラ
3L,3R,5L,5R クラッチ
11 診断装置
Claims (4)
- 車両がオーバーステアやアンダーステアになったときに車両を安定させるように車両の4個の車輪のブレーキを個々に制御する挙動安定化機構の検査方法において、
挙動安定化機構の制御プログラムを格納した車載コントローラに、車両の4個の車輪のブレーキを順番に所定の検査モードで作動させる検査用プログラムを格納しておき、
車両の4個の車輪を乗せる4個のローラと、これらローラを相互に連結するクラッチと、各ローラの減速度を検出する検出手段とを有する台上試験機を用い、
車両の各車輪を台上試験機の各ローラに乗せ、台上試験機の全てのローラをクラッチを介して相互に連結した状態で車両を走行させ、車速が所定速度に達したところで車両の変速機をニュートラル状態にし、この状態で台上試験機のローラ相互の連結を解除すると共に前記検査用プログラムを起動させ、
検査用プログラムの起動後、各ローラの減速度が所定値以上になった時を該各ローラに乗せた車輪のブレーキの作動開始時点として判定し、この作動開始時点から各車輪のブレーキの作動時間間隔を求め、この作動時間間隔が検査用プログラムに応じた所定の設定時間間隔以上であるか否かを判別する診断工程を実行する、
ことを特徴とする車両の挙動安定化機構の検査方法。 - 前記診断工程は、各ブレーキの作動開始時点の時系列から求める4個の車輪のブレーキの作動順序が検査用プログラム上の作動順序と一致しているか否かを判別する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の挙動安定化機構の検査方法。
- 前記検査モードは、各車輪のロックを生じないようにブレーキ圧を制御しつつ各ブレーキを一定時間作動させるように設定され、前記診断工程は、各ローラの減速度が前記所定値を下回った時を該各ローラに乗せた車輪のブレーキの作動終了時点として検出する工程と、各ブレーキの作動開始時点と作動終了時点との時間差から求める各ブレーキの作動時間が検査モードに応じた所定の設定時間以下であるか否かを判別する工程と、各車輪のロックを生じたか否かを判別する工程とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の挙動安定化機構の検査方法。
- 前記診断工程は、作動順序が最先のブレーキを取付けた車輪の回転速度が当該ブレーキの作動開始時点からブレーキ作動時間に関する前記設定時間よりも長く設定した第2の設定時間経過した時点で停止判別の基準となる所定の設定速度以上になっているか否かを判別する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の車両の挙動安定化機構の検査方法。
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