JP3693565B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排泄物を吸収、保持する使い捨ておむつに関する。
【０００２】
【従来の技術】
透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、縦方向に前胴周り域と、後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前後胴周り域に位置するコアの両端縁から縦方向外方へ延出する一対のエンドフラップと、コアの両側縁から横方向外方へ延出する一対のサイドフラップとを有する開放型の使い捨ておむつは公知である。
【０００３】
前後胴周り域の少なくとも後胴周り域におけるエンドフラップには、横方向へ伸縮する胴周り用弾性部材が伸長状態で取り付けられている。サイドフラップには、縦方向へ伸縮する脚周り用弾性部材が伸長状態で取り付けられている。コアは、粉砕パルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。ゆえに、コアは、表裏面シートと比較して高剛性である。そのようなおむつとしては、特開平８−１５４９７３号公報、特開平８−３１７９５０号公報、特開平８−３２２８７６号公報に開示されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
おむつのエンドフラップは、コアが介在する領域と比較してその剛性が低いので、胴周り用弾性部材の収縮によってエンドフラップの略全域に多数の皺が寄ったり、おむつの着用中に着用者の動作によってエンドフラップがよじれ、それに部分的な皺が寄ってしまう場合がある。皺が寄ったエンドフラップには、着用者の肌から離間する部分が形成されるので、着用者の肌とエンドフラップの前記部分との間に隙間が生じ、排泄物が隙間を通っておむつの外部に漏れてしまう場合がある。
【０００５】
本発明の課題は、エンドフラップに皺が寄り難く、着用者の肌とエンドフラップとの間に隙間が生じることがない使い捨ておむつを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、縦方向に前胴周り域と、後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記前後胴周り域に位置する前記コアの両端縁から縦方向外方へエンドフラップが延出する使い捨ておむつである。
【０００７】
かかる前提において、本発明の特徴は、可撓性かつ実質的に非伸縮性のプレート部材が、前記前後胴周り域の少なくとも後胴周り域における前記エンドフラップに取り付けられて横方向へ延び、前記プレート部材の剛性が、前記エンドフラップのそれよりも高いことにある。
【０００８】
本発明の実施の態様の一例としては、前記横方向へ伸縮する胴周り用弾性部材が、前記前後胴周り域の少なくとも後胴周り域における前記エンドフラップに伸長状態で取り付けられ、前記プレート部材が、前記コアの端縁と前記胴周り用弾性部材との間に配置されている。
【０００９】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記プレート部材が、横方向両側部と、前記横方向両側部の間に位置する中央部とを有し、前記プレート部材の着用者の肌に対向する内面が、前記横方向両側部から前記中央部に向かって前記肌から離間する方向へ弧を描いて延びている。
【００１０】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記プレート部材の中央部が、着用者の肌に接近する方向へ向かって中高に形成されている。
【００１１】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記プレート部材が、気泡性ポリエチレンからなり、前記プレート部材のガーレ法による剛軟度が、０．５ｍＮ・ｃｍ〜１５０ｍＮ・ｃｍの範囲にある。
【００１２】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明にかかる使い捨ておむつの詳細を開放型のおむつを例として説明すると、以下のとおりである。
【００１３】
図１，２は、表面シート２の側から示す使い捨ておむつ１Ａの部分破断平面図と、前後胴周り域２０，２２を連結した着用状態で示すおむつ１Ａの部分破断斜視図とであり、図３は，図１のＡ−Ａ線端面図である。図１では、縦方向を矢印Ｙで示し、横方向を矢印Ｘで示す。なお、プレート部材６の内面６ａとは、着用者の肌に対向する面をいい、プレート部材６の外面６ｂとは、着用者の肌に非対向の面をいう。
【００１４】
おむつ１Ａは、透液性表面シート２と、疎水性繊維不織布３ｃにプラスチックフィルム３ｄをラミネートした複合シートからなる不透液性裏面シート３と、表面シート２と裏面シート３との間に介在し、全体がティッシュペーパー５に被覆、接合された吸液性コア４とを主要な構成部材とする。コア４は、ティッシュペーパー５を介して表面シート２と裏面シート３とに接合されている。おむつ１Ａは、それら構成部材の他に、可撓性かつ実質的に非伸縮性のプレート部材６と、実質的に不透液性の防漏カフ７とを有する。
【００１５】
おむつ１Ａは、縦方向に前胴周り域２０と、後胴周り域２２と、前後胴周り域２０，２２の間に位置する股下域２１とを有する。おむつ１Ａでは、前後胴周り域２０，２２に位置するコア４の両端縁４ａから縦方向外方へ一対のエンドフラップ８が延び、コア４の両側縁４ｂから横方向外方へ一対のサイドフラップ９が延びている。サイドフラップ９は、股下域２１においておむつ１Ａの横方向内方へ向かって弧を画いている。おむつ１Ａでは、表面シート２の端部２ａと裏面シート３の端部３ａとがエンドフラップ８を形成し、表裏面シート２，３の側部２ｂ，３ｂと防漏カフ７の側部７ｄとがサイドフラップ９を形成している。
【００１６】
後胴周り域２２のエンドフラップ８には、横方向へ伸縮する複数条の胴周り用弾性部材１０が伸長状態で取り付けられている。股下域２１に延びるサイドフラップ９には、縦方向へ伸縮する複数条の脚周り用弾性部材１１が伸長状態で取り付けられている。
【００１７】
プレート部材６は、横方向へ長い矩形を呈し、その内面６ａと外面６ｂとが実質的に平らな延板状のものである。プレート部材６は、コア４の端縁４ａと胴周り用弾性部材１０との間に配置されて後胴周り域２２のエンドフラップ８を横方向へ延びている。プレート部材６は、表面シート２と裏面シート３との間に介在し、図１に示すように、縦横方向ヘ延伸した状態にあるそれらシート２，３に固着されている。
【００１８】
プレート部材６は、サイドフラップ９の側に位置する横方向両側部６ｃと、横方向両側部６ｃの間に位置する中央部６ｄとを有する。プレート部材６は、気泡性ポリエチレンからなり、その剛性がエンドフラップのそれよりも高い。
【００１９】
防漏カフ７は、サイドフラップ９に配置されて縦方向へ延びている。防漏カフ７は、コア４の両側縁４ｂ近傍を縦方向へ延びる固定縁部７ａと、表面シート２の上方へ起立性向を有する自由縁部７ｂと、おむつ１Ａの横方向内方へ倒伏された固定両端部７ｃとを有する。防漏カフ７では、固定縁部７ａからおむつ１Ａの横方向外方へ側部７ｄが延びている。固定縁部７ａは、サイドフラップ９を形成する表面シート２の側部２ａに固着されている。固定両端部７ｃは、エンドフラップ８を形成する表面シート２の端部２ｂに固着されている。自由縁部７ｂには、縦方向へ伸縮する弾性部材１２が伸長状態で取り付けられている。弾性部材１２は、自由縁部７ｂの一部に被覆されている。
【００２０】
後胴周り域２２のサイドフラップ９には、横方向内方へ延びるテープファスナ１３が取り付けられている。テープファスナ１３の基端部１３ａは、裏面シート３の側部３ｂと防漏シート７の側部７ｄとの間に介在し、それらシート３，７に固着されている。テープファスナ１３の自由端部１３ｂには、粘着剤１５が塗布されている。テープファスナ１３の自由端部１３ｂは、防漏カフ７の側部７ｄに固着されたプラスチック製の剥離フィルム１６に粘着剤１５を介して剥離可能に仮着されている。前胴周り域２０には、プラスチックフィルムからなる矩形のターゲットテープ１４が取り付けられている。ターゲットテープ１４は、テープファスナ１３に対する止着域となる。
【００２１】
おむつ１Ａを着用するには、後胴周り域２２のサイドフラップ９を前胴周り域２０のサイドフラップ９の外側に重ね合わせ、粘着剤１５を介してテープファスナ１３の自由端部１３ｂをターゲットテープ１４に止着し、前胴周り域２０と後胴周り域２２とを連結する。おむつ１Ａでは、プレート部材６が可撓性を有するので、おむつ１Ａを着用すると、プレート部材６が着用者の腰周りに沿って湾曲する。
【００２２】
前後胴周り域２０，２２が連結されたおむつ１Ａには、図２に示すように、胴周り開口１７と、一対の脚周り開口１８とが画成されている。おむつ１Ａでは、それが表面シート２を内側にして縦方向へ湾曲し、弾性部材１２が収縮して防漏カフ７の自由縁部７ｂが表面シート２の上方へ起立している。
【００２３】
おむつ１Ａでは、エンドフラップ８にそれよりも高剛性のプレート部材６を取り付けているので、エンドフラップ８の動きがプレート部材６によって拘束される。おむつ１Ａでは、胴周り用弾性部材１０の収縮によってエンドフラップ８が縮もうとしたり、おむつ１Ａの着用中に着用者の動作によってエンドフラップ８がよじれようとしても、エンドフラップ８のそれら挙動をプレート部材６が抑制し、エンドフラップ８の縮みやよじれを阻止する。ゆえに、おむつ１Ａでは、エンドフラップ８に皺が寄り難く、プレート部材６を配置したエンドフラップ８の部分Ｚ（図１，２に仮想線で示す）と着用者の肌との間に隙間が生じることはない。
【００２４】
プレート部材６のガーレ法による剛軟度は、０．５ｍＮ・ｃｍ〜１５０ｍＮ・ｃｍの範囲にあることが好ましい。プレート部材６の剛軟度が０．５ｍＮ・ｃｍ未満では、プレート部材６がエンドフラップ８の縮みやよじれを阻止することができず、エンドフラップ８に皺が寄ることを防ぐことができない。プレート部材６の剛軟度が１５０ｍＮ・ｃｍを超過する場合では、エンドフラップ８の部分Ｚの剛性が必要以上に高くなり、おむつ１Ａの着用時に違和感がある。
【００２５】
なお、エンドフラップ８とサイドフラップ９との剛軟度は、それらフラップ８，９の柔軟性を保持する上で、０．２ｍＮ・ｃｍ〜１．０ｍＮ・ｃｍの範囲にあることが好ましい。それら剛軟度は、ＪＩＳ Ｌ １０９６（６．２０．１）に準拠して測定した値である。
【００２６】
図４，５は、図２のＢ−Ｂ線端面図と、図２のＣ−Ｃ線端面図とである。エンドフラップ８では、図４に示すように、表面シート２の端部２ａと裏面シート３の端部３ａとがコア４の端縁４ａから縦方向外方へ延び、それら端部２ａ，３ａの互いに重なり合う部分において固着されている。胴周り用弾性部材１０は、端部２ａと端部３ａとの間に介在し、それら端部２ａ，３ａに固着されている。
【００２７】
サイドフラップ９では、図５に示すように、表面シート２の側部２ｂがコア４の両側縁４ｂから横方向外方へわずかに延び、表面シート２の側部２ｂからさらに横方向外方へ裏面シート３の側部３ｂと防漏カフ６の側部６ｄとが延びている。側部２ｂは、側部３ｂと側部６ｄとの間に介在し、それら側部３ｂ，６ｄに固着されている。側部３ｂと側部６ｄとは、それら側部３ｂ，６ｄの互いに重なり合う部分において固着されている。脚周り用弾性部材１１は、裏面シート３の側部３ｂと防漏カフ６の側部６ｄとの間に介在し、それら側部３ｂ，６ｄに固着されている。
【００２８】
図６，７は、他の実施の形態を示す使い捨ておむつ１Ｂの部分破断平面図と、図６のＤ−Ｄ線端面図とである。図５のおむつ１Ｂが図１のそれと異なる点は、以下のとおりである。このおむつ１Ｂは、図６に示すように、プレート部材６の内面６ａが横方向両側部６ｃから中央部６ｄに向かって着用者の肌から離間する方向へ弧を画いて延び、かつ、プレート部材６の中央部６ｄが着用者の肌に接近する方向へ向かって中高に形成されている。
【００２９】
おむつ１Ｂでは、それを着用したときに、プレート部材６の横方向両側部６ｃが着用者の背側における腸骨近傍の膨らみに適応し、プレート部材６の中央部６ｄが着用者の背側における腰椎近傍の窪みに適応するので、プレート部材６の内面６ａが着用者の肌に密着する。
【００３０】
また、おむつ１Ｂでは、胴周り用弾性部材１０の収縮によるエンドフラップ８の縮みや着用者の動作によるエンドフラップ８のよじれがプレート部材６によって阻止されるので、エンドフラップ８に皺が寄り難く、エンドフラップ８の部分Ｚと着用者の肌との間に隙間が生じることはない。
【００３１】
表面シート２には、親水性繊維不織布、または、多数の開孔を有するプラスチックフィルムを使用することができる。裏面シート３には、疎水性繊維不織布、または、不透液性のプラスチックフィルムを使用することができる。防漏カフ７には、疎水性繊維不織布を使用することができる。
【００３２】
裏面シート３や防漏カフ７には、高い耐水性を有するメルトブローン法による繊維不織布を、高い強度を有しかつ柔軟性に富んだスパンボンド法による繊維不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【００３３】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンボンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン／ポリプロピレン、または、ポリエチレン／ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維またはサイドバイサイド型複合繊維を使用することができる。
【００３４】
コア４は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。高吸収性ポリマーとしては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【００３５】
プレート部材６は、前胴周り域２０におけるエンドフラップ８に取り付けられていてもよい。プレート部材６には、気泡性ポリエチレンの他に、可撓性かつ実質的に非伸縮性のプラスチック製のシートまたは非伸縮性の多数の繊維不織布を重ね合わせたマット状のシートを使用することもできる。また、プレート部材６は、その形状を矩形のものに限定するものではなく、横方向へ長い長円形、台形等の任意の形状を採用することができる。
【００３６】
表裏面シート２，３どうしの固着、プレート部材６や防漏カフ７の固着、コア４の接合、弾性部材１０，１１，１２の取り付けには、ホットメルト型接着剤、または、ヒートシールやソニックシール等の熱による溶着手段を使用することができる。
【００３７】
この発明は、開放型のおむつ１Ａ，１Ｂの他に、前後胴周り域があらかじめ連結されたパンツ型のおむつにも実施することができる。
【００３８】
【発明の効果】
本発明にかかる使い捨ておむつによれば、前後胴周り域の少なくとも後胴周り域におけるエンドフラップに横方向へ延びるプレート部材が取り付けられているので、胴周り用弾性部材の収縮によるエンドフラップの縮みや着用者の動作によるエンドフラップのよじれがプレート部材によって阻止される。ゆえに、このおむつでは、エンドフラップに皺が寄り難く、プレート部材を配置したエンドフラップの部分と着用者の肌との間に隙間が生じることはない。
【００３９】
プレート部材の内面が横方向両側部から中央部に向かって着用者の肌から離間する方向へ弧を画いて延び、かつ、プレート部材の中央部が着用者の肌に接近する方向へ向かって中高に形成されたおむつでは、エンドフラップの縮みやよじれがプレート部材によって阻止されることはもちろんのこと、プレート部材の内面が着用者の背側における腰周りの起伏に適応するので、プレート部材の内面が実質的に平らなものと比較し、着用者の肌に対するプレート部材の密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】表面シートの側から示すおむつの部分破断平面図。
【図２】着用状態で示すおむつの部分破断斜視図。
【図３】図１のＡ−Ａ線端面図。
【図４】図２のＢ−Ｂ線端面図。
【図５】図２のＣ−Ｃ線端面図。
【図６】他の実施の形態を示すおむつの部分破断平面図。
【図７】図６のＤ−Ｄ線端面図。
【符号の説明】
１Ａ，１Ｂ 使い捨ておむつ
２ 透液性表面シート
３ 不透液性裏面シート
４ 吸液性コア
４ａ 端縁
６ プレート部材
６ａ 内面
６ｃ 横方向両側部
６ｄ 中央部
８ エンドフラップ
１０ 胴周り用弾性部材
２０ 前胴周り域
２１ 股下域
２２ 後胴周り域

Claims (5)

1. 透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、縦方向に前胴周り域と、後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記前後胴周り域に位置する前記コアの両端縁から縦方向外方へエンドフラップが延出する使い捨ておむつにおいて、
   可撓性かつ実質的に非伸縮性のプレート部材が、前記前後胴周り域の少なくとも後胴周り域における前記エンドフラップに取り付けられて横方向へ延び、前記プレート部材の剛性が、前記エンドフラップのそれよりも高いことを特徴とする前記おむつ。
2. 前記横方向へ伸縮する胴周り用弾性部材が、前記前後胴周り域の少なくとも後胴周り域における前記エンドフラップに伸長状態で取り付けられ、前記プレート部材が、前記コアの端縁と前記胴周り用弾性部材との間に配置されている請求項１記載のおむつ。
3. 前記プレート部材が、横方向両側部と、前記横方向両側部の間に位置する中央部とを有し、前記プレート部材の着用者の肌に対向する内面が、前記横方向両側部から前記中央部に向かって前記肌から離間する方向へ弧を描いて延びている請求項１または請求項２に記載のおむつ。
4. 前記プレート部材の中央部が、着用者の肌に接近する方向へ向かって中高に形成されている請求項３記載のおむつ。
5. 前記プレート部材が、気泡性ポリエチレンからなり、前記プレート部材のガーレ法による剛軟度が、０．５ｍＮ・ｃｍ〜１５０ｍＮ・ｃｍの範囲にある請求項１ないし請求項４いずれかに記載のおむつ。

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