JP3692628B2 - 重合リポソームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合リポソームの製造方法に関する。更に詳しくは、高活性なチオール反応性基を有する物理化学的に安定な重合リポソームの製造方法に関し、さらに、得られる重合物の1つが、免疫凝集反応試薬などの臨床検査診断試薬用担体、クロマトグラフィー用担体、酵素固定化用担体、医療用材料、化粧品、センサー、バイオ素子、遺伝子治療製剤、注射薬剤用リポソーム懸濁液、経口経腸薬用リポソーム懸濁液、輸液用リポソーム懸濁液、ワクチン用担体、人口酸素運搬体、貪食機能テストマーカー、細胞標識マーカーなどに有用である重合リポソームに関する。なお、本明細書では、以下の定義に従って用語を使用した。「重合性」とは、重合できる能力を持ち、未だ重合していない状態をいい、「重合性組成物」とは、重合性を有する化合物を含有する組成物をいう。本明細書において、「重合物」とは、重合性組成物を重合させたものをいう。本明細書において、エネルギー線照射とは、重合性基を重合しうる能力を持つ、放射線、電子線あるいは電磁波などを照射することをいう。本明細書において、「重合性リポソーム」とは、重合性を有する化合物を膜構成成分中あるいは内水相中に含有するリポソームをいい、「重合リポソームはエネルギー線照射やラジカル等の活性化によって「重合性リポソーム」を重合したものをいう。本明細書において、「チオール反応性」とは、チオール基(SH基)と反応する能力を持ち、未だ反応していない状態をいう。
【0002】
【従来の技術】
ホスファチジルグリセロール骨格を有する一連のリン脂質化合物から形成されるいわゆるリポソームは、ドラッグデリバリー製剤、遺伝子治療製剤、人口赤血球、臨床検査診断試薬、化粧品、センサーなど様々な分野で実用化が検討されている。
このような、実用化検討に際して、リポソーム膜に化学結合により所望の蛋白質あるいはペプチドなどの化合物をチオール反応性基(ジチオピリジル基、マレイミド基などのチオール基と反応し得る反応性基)を用いて固定化することが行われている(「リポソーム」第258〜261頁、南光堂出版、1988年;Methods in Enzymology、第149巻、第111頁、1987年;特開平6−3358号公報および特開平6−230010号公報)。
前記の「リポソーム」では、標的器官への薬物送達(ドラッグデリバリー)を目的に、リポソーム膜に標的器官特有のリセプターに親和性を有する蛋白質を固定化している。
また、特開平6−230010号公報では、免疫凝集反応を利用した臨床検査診断試薬への応用が開示されており、血液中に存在する被検物質に対する抗体をリポソーム膜にジチオピリジル基を用いて固定化することが開示されている。
【0003】
一方、リポソームの安定性を向上させる目的から、重合性リン脂質を膜構成成分とするリポソームあるいは水溶性の重合性単量体を内包した重合性リポソームを作成し、重合処理を行って物理化学的に安定な重合リポソームを得ることも知られている(特開昭61−155336号公報、特開平3−291216号公報、特開平8−52345号公報)。
特開昭61−155336号公報及び特開平3−291216号公報は、それぞれリポソームを医用担体及び人口赤血球に応用する試みであり、リポソームをエネルギー線照射などで重合して重合リポソームとすることで、物理化学的な安定性あるいは血液中の安定性向上と滞留時間の延長が提案されている。
また、特開平8−52345号公報では、臨床検査診断薬、クロマトグラフィーなどへの応用を目的に、リン脂質の有するホスファチジルコリン基に由来する親水性表面を有し、しかもポリスチレンラテックス同等の物理化学的強度を有するチオール反応性化合物を膜に含有する重合リポソームが開示されている。
前記の技術では、チオール基を有する化合物を固定化するためにチオール反応性基を有するリポソームの検討が進められている。また、物理化学的などの安定性を向上させるために重合リポソーム(重合性基を有するリポソームを重合して膜の強度、安定性を向上させたもの)が実用化の検討段階に入っており、更に、チオール反応性化合物を構成成分とする重合リポソームに関して盛んに検討が進められている。
【0004】
チオール反応性重合物の1つであるチオール反応性化合物を膜構成成分中に含有する重合リポソームの製造では、リポソーム調製前の原料段階において反応性基を有する化合物を含有させることが広く行われている。例えば、特開平6−230010号公報、特開平8−52345号公報、Methods in Enzymology(第149巻、第111頁、1987年)などに開示されている。
リポソーム調製後のγ線などのエネルギー線照射あるいはラジカル重合開始剤などの開始剤添加による重合処理によって、膜構成成分中に含まれるチオール反応性化合物(例えばジチオピリジル基含有化合物、マレイミド残基含有化合物など)の反応性基の反応性基活性が、分解などによって低下する問題点がある。
γ線などのエネルギー線照射あるいはラジカル重合開始剤などの開始剤添加による重合処理は、いずれもラジカルを発生させることで、重合性単量体が重合されている。このようなラジカルを安定化あるいは分解する物質としては、一般的に、抗酸化剤あるいは重合防止剤が広く知られている(「食品と酸化防止剤」第39頁〜103頁(株)食品資材研究会;「抗酸化剤の理論と実際」第27頁〜95頁、三▲しゅう▼書房;「有機合」(成重合防止剤の機能について)第33巻、第8号、第634頁、1975年)。
抗酸化剤としては、トコフェロール類、フラボン誘導体、アミノ酸あるいはその誘導体、ペプチド類、糖類あるいは糖アルコール類などの天然系抗酸化剤あるいは相乗剤、フェノール系化合物、芳香族系化合物、リン酸系化合物などの合成系抗酸化剤あるいは相乗剤などが挙げられている。
また、重合防止剤としては、キノン類、ニトロ化合物類、ニトロフェノール類、ニトロソ化合物類、ニトロン化合物類および鉄や銅などの金属塩などの具体例が挙げられている。
これらの化合物は、その水溶性、脂溶性などの性質、使用目的に応じて選択され、医薬、食品および工業用途など様々な分野で実用化されている。この様に、従来、抗酸化剤あるいは重合防止剤としては多くの化合物が知られているが、チオール反応性化合物を含有した重合性組成物あるいは重合性リポソーム(重合性基を有するリポソームで未だ重合していない段階のもの)懸濁液に応用し、チオール反応性化合物のラジカルによる分解の抑制について検討を加えた例は未だ知られていない。
【0005】
ペプチド類の抗酸化剤あるいはラジカル消去剤としての応用例は、油化学(第39巻、第1号、1990年)、及び化学工業日報(1996年1月22日発行新聞)などが記載されている。例えば、前記化学工業日報には、アミノ酸の一つであるヒスチジンを必須とするアミノ酸4〜5個のペプチドが非常に高効率にOHラジカルを消去することが記載されており、ガン治療時の放射線照射時に放射線障害改善薬に応用することが提案されている。これらの技術分野では、可能な限り高効率にラジカルを消去することを目的としているのみである。
重合性組成物の重合と、他の課題を両立させることを目的とする提案として、人工血液(第3巻、第3号、第76頁、1995年)には次の技術が開示されている。すなわち、ヘモグロビン内包リポソームをγ線照射にて重合する際、リポソームの外水相にヘモグロビンを含有させることで、重合性リポソーム膜の重合に悪影響を与えることなく、リポソームの内包ヘモグロビンの劣化を抑制する製造方法が提案されている。更に、この技術は、外水相のヘモグロビンの作用に関して、γ線照射時に外水相で発生するラジカルを捕捉することが、内包物質のラジカルによる分解の抑制に関与していると類推している。このように、γ線照射時における内包物質のラジカルによる分解の問題に関して、外水相にヘモグロビンを含有させることが提案されているが、チオール反応性化合物の分解抑制に関しては、何ら解決策を提示していない。
前記のヘモグロビンの技術では、外水相で発生したラジカルが、重合性リポソーム膜で隔てられた内水相中の化合物に及ぼす悪影響を改善しており、重合性リポソーム膜は外水相のラジカルによって充分な重合が達成されるとしている。
【0006】
しかし、ヘモグロビンは分子構造中にチオール基を含有しており、チオール反応性化合物と一緒に用いた場合、チオール反応性化合物と容易に反応するため、ラジカルによる分解の抑制の課題解決に用いることは非常に困難である。
以上に記したように、重合物を製造する際に、γ線などのエネルギー線照射あるいはラジカル重合開始剤などの開始剤添加による重合処理に際して、膜構成成分中あるいはリポソーム内水相に含有される重合性単量体を重合するとともに、膜構成成分中に含まれるチオール反応性化合物(例えばジチオピリジル残基、マレイミド基を含有する化合物)などの反応性基のラジカルによる分解の抑制を両立する技術は未だ確立されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、チオール反応性化合物を含有する重合性リポソームを、エネルギー線照射または重合開始剤によって重合を行う際に、ラジカル反応によってチオール反応性化合物の反応活性が、反応性基の分解などによって、低下することを抑制する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点に鑑み鋭意検討した結果、チオール反応性化合物を含有する重合性リポソームを、ラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物を含む水溶液中で重合を行うと、上記の問題点を解決できることを見いだし、発明を完成するに至った。即ち、本発明は、チオール反応性化合物を含有する重合性リポソームを、エネルギー線照射または重合開始剤によって重合を行う際に、ラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物を含む水溶液中で重合を行うことを特徴とする重合リポソームの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のチオール反応性化合物を含有する重合性リポソームは、チオール反応性化合物と重合性単量体を必須成分として含有する。該重合性リポソームに用いることができる重合性単量体としては、例えば、アリル基、ビニル基、イソプロペニル基、ビニレン基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、共役ジエン基あるいは共役ジイン基などの重合性基を含有する、水溶性あるいは非水溶性の化合物などが挙げられる。リポソームの組成については、例えば、次の例が挙げられる。
(A)チオール反応性化合物(重合性、非重合性)
(B)重合性単量体(重合性リン脂質、重合性脂肪酸、重合性アミン、重合性コレステロール、その他単量体)
(C)その他の添加剤(非重合性リン脂質、非重合性脂肪酸、非重合性アミン、非重合性コレステロール、抗酸化剤、膜安定化剤、機能性付与剤など)
(A)のチオール反応性化合物は、重合性および非重合性のものが挙げられ、チオール反応性化合物は、重合後の用途に応じて、重合物にチオール基を有する化合物を化学結合により固定化するために、チオール反応性化合物を含有する。チオール反応性化合物が有するチオール反応性基とは、具体的には、チオピリジル基、マレイミド基、チオフタルイミド基あるいは活性ハロゲン基などである。 これらのうち、チオピリジル基およびチオフタルイミド基は、チオール基とチオール−ジスルフィド交換反応し、ジスルフィド結合により目的化合物を固定化できる。マレイミド基および活性ハロゲン基は、それぞれチオール基と反応して、チオエーテル基を介して目的化合物を固定化できる。例として、チオール反応性基の反応例を下式に示した。
【化3】
【0010】
本発明のチオール反応性化合物を含有する重合性組成物の状態は、溶液状、懸濁液状、乳化状、膜状あるいは粒子状などが挙げられる。
溶液状の重合性組成物とは、チオール反応性化合物と重合性単量体を溶媒に溶解した組成物である。
懸濁状あるいは乳化状の重合性組成物とは、それぞれ分散剤あるいは乳化剤を用いて水溶液系に非水溶性の重合性単量体を懸濁あるいは乳化した組成物である。 膜状の重合性組成物とは、重合性単量体を含有するリン脂質薄膜あるいはラングミュアーブロジェット膜などである。
粒子状の重合性組成物とは、例えば、重合性単量体を含有するリポソームである。
【0011】
これらの重合性組成物を得る方法は、高分子合成における一般的な公知の方法(「高分子合成の実験法」、化学同人発刊、1972年)や、前記の「リポソーム」南光堂出版などに記載されている方法が挙げられる。
【0012】
得られたチオール反応性化合物を含有する重合性組成物に、ラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物を添加した後、エネルギー線照射あるいは重合開始剤を加えて重合する。重合処理中は、撹拌あるいは静置何れの状態でも実施可能である。
重合処理によって得られるチオール化合物を含有する重合物の状態は、例えば、高粘度溶液状、ラテックス状、パール状、微小粒子状、ゲル状、膜状あるいは重合リポソーム状のものなどが挙げられる。
重合リポソーム状の重合物は、リポソームの内水相にのみ重合物を有するもの、リポソームの膜中に重合物を有するもの、この何れにも重合物を有するものが挙げられる。本発明では、何れの製造方法でも用いることができる。
【0013】
重合性リポソーム中に含有させるチオール反応性化合物は、例えば特開平8−52345号公報に示されるジチオピリジル基あるいはマレイミド基を有する化合物が挙げられる。
具体的には、原料としては、N−サクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(以下、SPDPと略す。以下同様)、スルホサクシンイミジル−6−(3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノエート、サクシンイミジル−6−(3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノエート、N−サクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB)、スルホサクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート、(Sulfo−SMPB)、N−サクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)アセテート(SMPA)、N−サクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)プロピオネート(SMPP)、4−サクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)−トルエン(SMPT)、サクシンイミジル−4−(N−マレイミドエチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スルホサクシンイミジル4−(N−マレイミドエチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(Sulfo−SMCC)、N−(γ−マレイミドブチリルオキシ)サクシンイミド(GMBS)及びN−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)サクシンイミド(EMCS)などが挙げられる。
以上に記した原料から例えば式(4)および(5)で示したチオール反応性化合物を得、本発明に用いることができる。
【化4】
(ただし、X1は、ジチオピリジル基あるいはマレイミド基を含有するリン酸極性基、R1およびR2は、それぞれ炭素数6〜24の重合性あるいは非重合性の脂肪酸残基あるいは炭素数6〜24の炭化水素基である。)
【0014】
重合性リポソーム中に、チオール反応性基を含有させる方法は、具体的には、公知の特開平8−52345号公報に開示されている方法等で可能であり、例えば、チオール反応性基を有するリン脂質を作成し、リポソーム膜構成成分の原料粉末の段階で混合してリポソーム懸濁液の調製に供することができる。
上記の式(4)または(5)で示される化合物は、例えば、ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基を介してチオール反応性基を付与して得ることが可能で、具体的には、片方にリン脂質のアミノ基と結合可能なサクシンイミジル基を、もう一方に本発明で用いるチオール反応性基を有する化合物を用いホスファチジルエタノールアミンに化学結合させて得ることができる。
このような反応は、前記の公知の「Methods in Enzymology」(第149巻、第111頁、1987年)の方法で可能である。
【0015】
式(4)または(5)で示される化合物の具体例としては、例えば1,2−ビス(テトラデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホ−N−(1−オキソ−3−(2−ピリジルジチオ)プロピル)エタノールアミン(DTPDMPE)、1,2−ビス(ヘキサデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホ−N−(1−オキソ−3−(2−ピリジルジチオ)プロピル)エタノールアミン(DTPDPPE)、1,2−ビス(オクタデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホ−N−(1−オキソ−3−(2−ピリジルジチオ)プロピル)エタノールアミン(DTPDSPE)、1,2−ビス(2,4−オクタデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホ−N−(1−オキソ−3−(2−ピリジルジチオ)プロピル)エタノールアミン(DTPDODPE)、1−アシル−2−(2,4−オクタデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホ−N−(1−オキソ−3−(2−ピリジルジチオ)プロピル)エタノールアミン(DTPAODPE)などが挙げられる。
以上にチオール反応性基を与えるための原料となる化合物と、その原料とホスファチジルエタノールアミンを結合させたリポソームのリン脂質二重膜に構成し易いチオール反応性化合物の具体例を挙げた。しかし、本発明で用いることができるチオール反応性化合物は特にこれらに限定されるものではない。
【0016】
また、本発明に用いることができる重合性リポソーム中のチオール反応性基化合物の含有量は、用いる用途に必要とされるチオール反応性基活性量に応じて選択することができ、特に限定されるものではない。例えば、重合性リポソームの場合、チオール反応性化合物の含有量は、重合リポソーム膜構成成分中の0.5モル%〜50モル%が好ましく挙げられる。チオール反応性化合物の含有量は、重合リポソーム膜構成成分中の0.5モル%より少ないと目的とする固定化物を化学結合できないので好ましくなく、チオール反応性化合物の含有量は、重合性リポソーム膜構成成分中50モル%より多いとリポソームあるいはリポソーム膜の安定性が低下するので好ましくない。
【0017】
重合性単量体を含有する重合性リポソームの状態としては、次に挙げる3つのタイプが知られている。すなわち、
▲1▼リポソームの膜構成成分中にのみ重合性単量体を含有する重合性リポソーム(特開平3−291216号公報)、
▲2▼リポソームの内水相にのみ水溶性の重合性単量体を含有する重合性リポソーム(特開平6−230010号公報)、
▲3▼リポソームの内水相および膜構成成分中両方に重合性単量体を含有する重合性リポソーム(公開平8−52345号公報)。
本発明のチオール反応性重合物の製造方法は、これらのいずれの重合性リポソームにも応用することができる。
リポソーム膜構成成分のうちの重合性基を含有する化合物としては、リン脂質二重膜に組み込むことが可能な物質であればいずれも用いることが可能で、例えば、重合性リン脂質、重合性脂肪酸、重合性アミン、重合性コレステロール誘導体などが挙げられる。
また、リポソーム内水相に入れる重合性基を含有する化合物としては、水溶性の重合性単量体あるいは架橋剤が挙げられる。これらの重合性基を含有する化合物の具体的な例としては、公開平8−52345号公報に記載されている化合物などが利用可能である。重合性リポソームに重合性基を含有する成分の含有量は、用いる用途に必要とされる重合後の物理化学的安定性などの性質に応じて選択することができる。例えば、0.2〜50重量%の重合性成分の含有量が好ましく挙げられる。
【0018】
本発明に用いることのできる重合性リン脂質は、次の式(6)または(7)で示される。
【化5】
(ただし、Y1は、重合性あるいは非重合性のリン酸極性基、R3およびR4は、それぞれ炭素数6〜24の重合性あるいは非重合性の脂肪酸残基あるいは炭素数6〜24の重合性あるいは非重合性の炭化水素基である。)
重合性リン脂質の具体例としては、前記の式(6)または(7)に示される化合物で、R3、R4またはY1基の何れか1つ以上に重合性基を有しておれば良い。
式(6)または(7)においてY1で示されるリン酸極性基としては、例えばホスホコリン基、ホスホエタノールアミン基、ホスホ−N−メチルエタノールアミン基、ホスホ−N,N−ジメチルエタノールアミン基、ホスホセリン基、ホスホイノシトール基、ホスホイノシトール二リン酸基、ホスホグリセロール基、ホスホ−O−アミノアシルグリセロール基、ホスホグリセロリン酸基およびリン酸基などが挙げられる。重合性基を有するリン酸極性基としては、ホスホ−N−重合性アルケニルエタノールアミン基、ホスホ−N−重合性アルケノイルエタノールアミン基、ホスホ−N−重合性アルケニルセリン基、ホスホ−N−重合性アルケノイルセリン基、ホスホ−重合性アルケノイルエステルセリン基などが挙げられる。また、特開平6−157561号公報に開示されているような化合物も利用可能である。
また、式(6)または(7)に示されるR3またはR4は、炭素数6から24の重合性あるいは非重合性の脂肪酸残基または炭素数6から24の重合性あるいは非重合性の炭化水素基である。R3およびR4に含有される重合性基としては、例えば、ビニルアルキル基、スチリルアルキル基、アクリロイルオキシアルキル基、メタクリロイルオキシアルキル基、共役ジエンアルキル基、共役ジインアルキル基が挙げられる。
さらに具体的な化合物としては、2,4−オクタデカジエン酸、2,4−ヘキサデカジエン酸、8,10,12−オクタデカトリエン酸、9−(p−ビニルベンゾイル)ノナニル酸、1,2−メタクリロイルオキシドデカン酸、10−ウンデシン酸、16−ヘプタデシン酸、22−トリコシン酸、トリコサ−10,12−ジイン酸、トリコサ−2,4−ジイン酸、ノナデカ−2,4−ジイン酸などから由来する基が挙げられる。
【0019】
更に本発明に用いることができる重合性リン脂質の具体例としては、1,2−ビス(2,4−オクタデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DODPCと略す。)、1,2−ビス(2,4−ヘキサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DHDPC)、1−(オクタデカノイル)−2−(2,4−オクタデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(OODPC)、1−(ヘキサデカノイル)−2−(2,4−オクタサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(HODPC)、1−(オクタデカノイル)−2−(2,4−ヘキサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(OHDPC)、1−(ヘキサデカノイル)−2−(2,4−ヘキサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(HHDPC)、1−(2,4−オクタデカジエノイル)−2−(オクタデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(ODOPC)、1−(2,4−ヘキサデカジエノイル)−2−(ヘキサデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(HDHPC)、1,2−ビス−(8,10,12−オクタデカトリエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ビス(12−メタクリロイルオキシドデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ビス(9−(p−ビニルベンゾイル)ノナノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリンなどの誘導体。
また、1,2−ビス(2,4−オクタデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DODPE)、1,2−ビス(2,4−ヘキサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DHDPE)、1−(オクタデカノイル)−2−(2,4−オクタデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(OODPE)、1−(ヘキサデカノイル)−2−(2,4−オクタサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(HODPE)、1−(オクタデカノイル)−2−(2,4−ヘキサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(OHDPE)、1−(ヘキサデカノイル)−2−(2,4−ヘキサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(HHDPE)、1−(2,4−オクタデカジエノイル)−2−(オクタデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ODOPE)、1−(2,4−ヘキサデカジエノイル)−2−(ヘキサデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(HDHPE)、1,2−ビス−(8,10,12−オクタデカトリエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ビス(12−メタクリロイルオキシドデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ビス(9−(p−ビニルベンゾイル)ノナノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンなどの誘導体が挙げられる。
【0020】
更に、1,2−ビス(2,4−オクタデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸(DODPA)、1,2−ビス(2,4−ヘキサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸(DHDPA)、1−(オクタデカノイル)−2−(2,4−オクタデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホン酸(OODPA)、1−(ヘキサデカノイル)−2−(2,4−オクタサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸(HODPA)、1−(オクタデカノイル)−2−(2,4−ヘキサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸(OHDPA)、1−(ヘキサデカノイル)−2−(2,4−ヘキサデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸(HHDPA)、1−(2,4−オクタデカジエノイル)−2−(オクタデカノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸(ODOPA)、1−(2,4−ヘキサデカジエノイル)−2−(ヘキサデカノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸(HDHPA)、1,2−ビス−(8,10,12−オクタデカトリエノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸、1,2−ビス(12−メタクリロイルオキシドデカノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸、1,2−ビス(9−(p−ビニルベンゾイル)ノナノイル)−sn−グリセロ−3−リン酸などの誘導体あるいはその塩などが挙げられる。
以上の重合性リン脂質が利用可能で、好ましい重合性基としてはジエン、トリエンであり、更に好ましくは共役ジエンである。
重合性リン脂質には、非重合性基が含有されても良く、炭素数2から24の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、アシル基、非重合性アルケニル基、非重合性アルケノイル基またはアルキレン基等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いる重合性脂肪酸の具体例としては、ビニルアルキル基、スチリルアルキル基、アクリロイルオキシアルキル基、メタクリロイルオキシアルキル基、共役ジエンアルキル基、共役ジインアルキル基から由来するものが挙げられる。具体的には、2,4−オクタデカジエン酸、2,4−ヘキサデカジエン酸、8,10,12−オクタデカトリエン酸、9−(p−ビニルベンゾイル)ノナニル酸、1,2−メタクリロイルオキシドデカン酸、10−ウンデシン酸、16−ヘプタデシン酸、22−トリコシン酸、トリコサ−10,12−ジイン酸、トリコサ−2,4−ジイン酸、ノナデカ−2,4−ジイン酸などが挙げられる。
【0022】
本発明に用いることのできる重合性アミンとしては、炭素数6〜24のアリル基、ビニル基、イソプロペニル基、ビニレン基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、共役ジエン基あるいは共役ジイン基などの重合性基を有するアミンが挙げられる。
【0023】
本発明に用いる重合性コレステロール誘導体の具体例としては、コレステロールと前記重合性脂肪酸とのエステルなどが利用可能である。
以上に本発明の重合性リポソーム膜構成成分に重合性基を与えることができる化合物について具体例を挙げたが、重合性リポソーム構成成分は特にこれらに限定されるものではない。
【0024】
本発明の効果に悪影響を与えない範囲において非重合性の成分を構成成分として用いることができる。例えば、非重合性の膜構成成分としては、非重合性のリン脂質およびコレステロール類、非重合性脂肪酸、非重合性脂肪族アミン、トコフェロール類、グリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質などが利用可能である。
非重合性リン脂質の具体例を挙げると、卵黄レシチン、大豆レシチン、水添卵黄レシチン、水添大豆レシチンなどの天然系リン脂質およびその誘導体、また、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアリルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアリルホスファチジエタノールアミン、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアリルホスファチジン酸、ジオレイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアリルホスファチジルグリセロール、ジオレイルホスファチジルグリセロールなどのアシル基組成を操作した合成系のリン脂質、更に、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールなどが挙げられる。
【0025】
コレステロール類は、膜安定化剤、膜表面の親水性調整剤あるいはリポソーム膜の曲率調整剤などとして、トコフェロール類は、膜安定化剤あるいは抗酸化剤などとして使用可能である。炭素数6から24の直鎖あるいは分岐鎖の非重合脂肪酸および非重合性脂肪族アミンは、リポソーム膜に電荷を与えるためなどに用いることが可能である。
また、本発明の効果に悪影響を与えない範囲において、機能性付与剤などのその他の成分を添加することも可能で、機能性付与剤としては、例えば、膜安定剤、膜表面の親水性調整剤、電荷付与剤などが挙げられる。
【0026】
重合性リポソームの内水相に含有させることのできる重合性単量体について、記載する。一分子内に1つの重合性基を有する化合物としては、アリル基、ビニル基、イソプロペニル基、ビニレン基、アクリル基あるいはメタクリル基などを有する重合性単量体が挙げられる。例えば、ベンジルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、メチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、ポリエチエレングリコールメタクリレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジエチルフマレート、ジ−t−ブチルフマレート、酢酸アリル、アリルアルコール、3−メチルアリルアルコール、アリルアミン、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリロニトリル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、2−ビニルピリジン、ビニルスルフィド、o−ヒドロキシスチレン、2−ニトロスチレン、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、テトラエチレングリコールモノメタクリレート、テトラエチレングリコールモノアクリレート、テトラエチレングリコールモノアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレートなどが挙げれる。更にまた、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、α−メチルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのアルカリ金属またはアンモニウム等の塩などが挙げられる。
【0027】
水溶性の重合性単量体で一分子内に2つの重合性基を有する化合物として、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルアミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、マレイン酸ビニル、マレイン酸ジビニル、グリセリンジメタクリレート、グリセリンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアリルエーテルなどが挙げられ、架橋剤として用いることができる。
【0028】
本発明の効果に悪影響を与えない範囲において、重合性単量体以外の他の成分を用いる事も可能である。例えば、高屈折率化合物、生理活性物質、免疫活性物質、薬理活性物質、水素結合能を有する糖類等の蛋白質安定化剤、蛍光性化合物、化学発光性化合物、常磁性化合物、放射性原子あるいは非放射性同位原子で標識された化合物、有機顔料、無機顔料、染料、磁性微粒子、金属微粒子、着色微粒子などが挙げられる。以上に、重合性リポソームを具体例として、本発明で用いることができるチオール反応性化合物を含有する重合性リポソームの構成成分について説明した。
【0029】
例えば、膜構成成分中のみに重合性単量体を含有する重合性リポソームを、物理化学的安定性向上の目的で重合させ重合リポソームを得る場合には、リポソームの膜構成成分中の重合性単量体の割合は、20モル%以上が好ましく挙げられ、40モル%以上の場合に、より安定性が向上するのでさらに好ましい。ここで用いるリポソーム膜構成成分中の重合性単量体として重合性リン脂質を用いる場合が、リポソームの安定性向上効果が最も大きい。
【0030】
本発明に用いることができるラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物は、糖類としては、式(1)に示される単糖類が挙げられる。また、式(2)で示される単糖類の残基を含む多糖類が挙げられる。
CnH2nOn ・・・(1)
(ただし、nは4〜7の数)
CnH2n-1On−(CnH2n-1On-1)m−CnH2n-1On-1・・・(2)
(ただし、nは4〜7の数、mは0〜4の数)
これらの具体例としては、エリトリトール、エリトルロース、エリトロース、トレオース、キシロース、デオキシリボース、イノシトール、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、ソルビトール、マンニトールなどの単糖、スクロース、トレハロース、マルトース、ラクトース、マルトトリオースなどの多糖などが挙げられる。好ましい糖類としては、グルコース、マンニトール、スクロース、トレハロース、マルトース、マルトトリオースが挙げられ、この中で更に好ましい糖類は多糖類で、スクロース、トレハロース、マルトース、マルトトリオースが挙げられる。以上例示した糖類において、αおよびβ異性体の相異は特に限定されるものでなく、いずれか1種あるいはそれらの混合物を用いることができる。
更に、本発明に用いることができるラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物として、アスコビン酸、iso−アスコルビン酸が挙げられる。
【0031】
また更に、アミノ酸類としては、式(3)
【化6】
(ただし、Rは、炭素数1〜7の直鎖炭化水素基あるいは環式化合物残基である。)
で示される水溶性アミノ酸が挙げられる。具体的には、グリシン、アラニン、バリン、リジン、フェニルアラニン、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、トレオニン、セリンなどが挙げられる。好ましくは、フェニルアラニン、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸、トレオニン、セリンで、更に好ましくは、フェニルアラニン、ヒスチジンである。最も好ましくは、フェニルアラニンが挙げられる。
【0032】
本発明に用いることのできるラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物は、以上に記した具体例のみに限定されるものではなく、また、各々の化合物中の炭素原子が光学活性を有する場合には、D体、L体あるいはDL体いずれも用いることが可能である。
【0033】
重合性リポソーム懸濁液に含有させるラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物の量は、チオール反応性基のラジカルによる反応活性の低下の抑制の点から0.1重量%以上が好ましく、更に好ましくは0.2重量%以上である。
また一方、重合後の重合リポソームの物理化学的安定性を満足するためには、重合性リポソーム懸濁液に含有させるラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物の量は、20重量%以下が好ましく、更に好ましくは15重量%以下である。
【0034】
以上に記した原料構成成分から本発明のチオール反応性化合物を含有する重合性リポソーム懸濁液を作製する方法は、特に限定されるものではないが、例えば「リポソーム」南光堂出版(1988年)に記載されているような、薄膜法、超音波処理法、エタノール注入法、フレンチプレス法、押し出し法、透析法、凍結融解法、逆相蒸発法あるいは高圧突出式乳化機等による方法が可能である。要求される粒径あるいは多重膜性(ラメラリティー)等の品質に応じて、上記の方法を選択してリポソームの作製を行うことが可能である。重合性基を含有する成分がリポソーム膜の構成成分である場合は、他のリポソーム膜構成成分と混合して重合性リポソームを製造する。重合性基を含有する成分が、リポソーム内水相の構成成分である場合は、リポソーム膜構成成分を水和させる際の水和水溶液に予め含有させ、該化合物を含有する外水相溶液をゲルろ過あるいは透析などの方法で、重合性単量体を含有しない水溶液に置換し、後の重合処理する方法などがある。
【0035】
チオール反応性化合物を含有する重合性リポソームに、ラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物を含有させる方法は特に限定されるものではないが、リポソーム膜構成成分を水和させる際の水和水溶液に予め含有させる方法、重合性リポソーム作成後に、該化合物を含有させた水溶液でゲルろ過あるいは透析して外水相を置換する方法等が実施可能である。また、重合後の使用用途によって該化合物が不具合をもたらす場合は、ゲルろ過あるいは透析などによって除去してもかまわない。
【0036】
ラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物を含有したチオール反応性重合性リポソーム懸濁液の、エネルギー線照射または重合開始剤などによる重合方法は特に限定されるものではないが、γ線重合、電子線重合、X線重合、紫外線重合あるいは重合開始剤による重合などが実施可能である。例えば、γ線重合としては、60Coを線源とするγ線照射で重合反応を進めることが可能で、線量率は0.5kGrey/時間から15kGrey/時間、照射時間は15分から6時間等が可能である。
【0037】
電子線照射による重合反応の例としては、電子加速器から発生する電子線を用い、500〜10,000kGrey/時間の線量率により可能である。反応温度も特に制限を受けないが0から80℃、好ましくは0から60℃で行われる。
【0038】
重合開始剤による重合では、開始剤としてアゾ系化合物、有機過酸化物、無機系過酸化物などを用いることができる。具体的には、疎水性の開始剤として、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン、親水性の開始剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPD)、グルコース、アスコルビン酸、有機系過酸化物系の開始剤として、t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイドあるいはサクシニックアシッドパーオキサイド、無機系過酸化物としては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0039】
本発明の重合方法としては、γ線、電子線あるいは重合開始剤による重合方法が好ましく、更に好ましくは、γ線あるいは電子線重合であり、最も好ましくはγ線重合である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、重合処理過程でのラジカルによるチオール反応性基の分解が防止され、チオール反応性基の残存率が高くなり高活性な重合リポソームが得られる。また、使用用途に応じた重合リポソームを再現良く効率的に得ることができる。
【0041】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
参考例1−1
脂質混合物(1)の調製
重合性リン脂質である1,2−ビス(2,4−オクタデカジエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(以下、DODPCと略す。)298.4mg(381.5μmol)、コレステロール163.9mg(423.9μmol)及びチオール反応性基(ジチオピリジル基)含有リン脂質である1,2−ビス(ヘキサデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホ−N−(1−オキソ−3−(2−ピリジルジチオ)プロピル)エタノールアミン(以下、DTPDPPEと略す。)37.7mg(42.4μmol)をナス型フラスコ中でクロロホルム30mlに溶解し、エバポレーターで25℃に維持しつつ溶剤を留去した。次にナス型フラスコを25℃の真空乾燥機内に移し、8時間減圧乾燥して脂質混合物を調製した。
【0042】
参考例1−2
脂質混合物(2)の調製
DODPC262.8mg(336.1μmol)、コレステロール162.4mg(420.1μmol)及びDTPDPPE74.7mg(84.0μmol)をナス型フラスコ中でクロロホルム30mlに溶解し、エバポレーターで25℃に維持しつつ溶剤を留去した。次にナス型フラスコを25℃の真空乾燥機内に移し、8時間減圧乾燥して脂質混合物を調製した。
【0043】
参考例1−3
脂質混合物(3)の調製
DODPC227.9mg(291.4μmol)、コレステロール161.0mg(416.3μmol)及びDTPDPPE111.1mg(124.9μmol)をナス型フラスコ中でクロロホルム30mlに溶解し、エバポレーターで25℃に維持しつつ溶剤を留去した。次にナス型フラスコを25℃の真空乾燥機内に移し、8時間減圧乾燥して脂質混合物を調製した。
【0044】
参考例1−4
脂質混合物(4)の調製
DODPC168.5mg(215.5μmol)、ジパルミトイルホスファチジコリン126.6mg(172.4μmol)、コレステロール166.61mg(430.9μmol)及びDTPDPPE38.3mg(43.1μmol)をナス型フラスコ中でクロロホルム30mlに溶解し、エバポレーターで25℃に維持しつつ溶剤を留去した。次にナス型フラスコを25℃の真空乾燥機内に移し、8時間減圧乾燥して脂質混合物を調製した。
【0045】
参考例1−5
脂質混合物(5)の調製
ジパルミトイルホスファチジコリン290.9mg(396.0μmol)、コレステロール170.2mg(440.0μmol)及びDTPDPPE39.1mg(44.0μmol)をナス型フラスコ中でクロロホルム30mlに溶解し、エバポレーターで25℃に維持しつつ溶剤を留去した。次にナス型フラスコを25℃の真空乾燥機内に移し、8時間減圧乾燥して脂質混合物を調製した。
【0046】
参考例2
緩衝溶液の調製:10mM Tris−HCl緩衝溶液
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸3.1520gを1,000mlのイオン交換水に溶解し、HClでpHを7.5に調製した後、2,000mlにメスアップして調製した。
【0047】
参考例3
重合性緩衝溶液の調製
水溶性重合性単量体であるアクリルアミド2.7g、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)0.3gを、参考例2の緩衝溶液(1)100mlに溶解して調製した。
【0048】
参考例4
ラジカル反応抑制剤溶解溶液の調製
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸3.1520gを2,000mlのイオン交換水に溶解して調製した。
【0049】
参考例5−1
ラジカル反応抑制剤溶液(1)の調製
L−フェニルアラニン1.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0050】
参考例5−2
ラジカル反応抑制剤溶液(2)の調製
L−フェニルアラニン2.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0051】
参考例5−3
ラジカル反応抑制剤溶液(3)の調製
L−フェニルアラニン10.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0052】
参考例5−4
ラジカル反応抑制剤溶液(4)の調製
L−フェニルアラニン20.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0053】
参考例5−5
ラジカル反応抑制剤溶液(5)の調製
L−フェニルアラニン30.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0054】
参考例5−6
ラジカル反応抑制剤溶液(6)の調製
L−フェニルアラニン0.4g、L−アスコルビン酸1.6gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0055】
参考例5−7
ラジカル反応抑制剤溶液(7)の調製
L−フェニルアラニン10.0g、スクロース20.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0056】
参考例5−8
ラジカル反応抑制剤溶液(8)の調製
フェニルアラニン10.0g、マルトース−1水和物21.1gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0057】
参考例5−9
ラジカル反応抑制剤溶液(9)の調製
L−フェニルアラニン20.0g、L−トレオニン4.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0058】
参考例5−10
ラジカル反応抑制剤溶液(10)の調製
L−フェニルアラニン40.0g、スクロース400gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0059】
参考例5−11
ラジカル反応抑制剤溶液(11)の調製
L−ヒスチジン20.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0060】
参考例5−12
ラジカル反応抑制剤溶液(12)の調製
L−ヒスチジン40.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0061】
参考例5−13
ラジカル反応抑制剤溶液(13)の調製
L−グルタミン40.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0062】
参考例5−14
ラジカル反応抑制剤溶液(14)の調製
L−セリン20.0gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0063】
参考例5−15
ラジカル反応抑制剤溶液(15)の調製
D−グルコース300gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0064】
参考例5−16
ラジカル反応抑制剤溶液(16)の調製
マンニトール140gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0065】
参考例5−17
ラジカル反応抑制剤溶液(17)の調製
トレハロース200gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0066】
参考例5−18
ラジカル反応抑制剤溶液(18)の調製
スクロース20gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0067】
参考例5−19
ラジカル反応抑制剤溶液(19)の調製
スクロース200gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0068】
参考例5−20
ラジカル反応抑制剤溶液(20)の調製
マルトース−1水和物105.5gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0069】
参考例5−21
ラジカル反応抑制剤溶液(21)の調製
マルトトリオース100gを参考例4のラジカル反応抑制剤溶解溶液2,000mlに溶解し、HClでpHを7.5に調製した。
【0070】
実施例1
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)のナス型フラスコに、ガラスビーズ1gと参考例2で調製した緩衝溶液20mlを加え、激しく浸透して脂質を分散させた。この分散液を25℃で、エクストルーダー(日油リポソーム(株))に組み込んだポリカーボネートメンブランフィルターを通過させてサイジングした。ポリカーボネートフィルターとしては最終的に口径0.2μmのものを通過させて重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液を分画分子量6,000〜8,000の透析膜中に移し、100倍量の参考例5−2で調製したラジカル反応抑制剤溶液(2)で24時間・5℃にて透析し外水相を置換してラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液をバイヤル瓶に移し、アルゴンガスで5分間バブリングしてガス置換したのち密閉した。
この試料を60Coを線源とする線量率5kGrey/時間のγ線を25℃で1時間照射して重合を行った。次に試料を分画分子量6,000〜8,000の透析膜中に移し、100倍量の参考例2で調製した緩衝溶液で24時間透析し外水相を置換した。この試料のリン濃度を測定し、リン濃度を10mMに参考例2で調製した緩衝溶液で希釈して重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0071】
実施例2
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−3で調製した脂質混合物(3)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−2で調製したラジカル反応抑制剤溶液(2)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0072】
実施例3
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−4で調製したラジカル反応抑制剤溶液(4)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0073】
実施例4
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−3で調製した脂質混合物(3)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−5で調製したラジカル反応抑制剤溶液(5)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0074】
実施例5
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−2で調製した脂質混合物(2)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−11で調製したラジカル反応抑制剤溶液(11)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0075】
実施例6
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−2で調製した脂質混合物(2)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−13で調製したラジカル反応抑制剤溶液(13)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0076】
実施例7
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−9で調製したラジカル反応抑制剤溶液(9)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0077】
実施例8
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−14で調製したラジカル反応抑制剤溶液(14)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0078】
実施例9
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−15で調製したラジカル反応抑制剤溶液(15)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0079】
実施例10
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−18で調製したラジカル反応抑制剤溶液(18)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0080】
実施例11
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−19で調製したラジカル反応抑制剤溶液(19)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0081】
実施例12
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−2で調製した脂質混合物(2)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−7で調製したラジカル反応抑制剤溶液(7)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0082】
実施例13
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−16で調製したラジカル反応抑制剤溶液(16)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0083】
実施例14
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−20で調製したラジカル反応抑制剤溶液(20)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0084】
実施例15
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−21で調製したラジカル反応抑制剤溶液(21)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0085】
実施例16
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−17で調製したラジカル反応抑制剤溶液(17)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0086】
実施例17
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−4で調製した脂質混合物(4)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−8で調製したラジカル反応抑制剤溶液(8)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0087】
実施例18
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−4で調製した脂質混合物(4)と参考例3で調製した重合性緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−7で調製したラジカル反応抑制剤溶液(7)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0088】
実施例19
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例3で調製した重合性緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−12で調製したラジカル反応抑制剤溶液(12)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を5mlづつに分け、各5mlを10mlガラス製試料瓶に入れ、アルゴンガスで5分間バブリングしてガス置換し密閉した。この試料瓶を横に倒し、溶液の深さが10mm以下として、5MeVの電子線照射装置を用いて5KGreyの線量を照射して重合させた。次に試料を分画分子量6,000〜8,000の透析膜中に移し、100倍量の参考例2で調製した緩衝溶液で24時間透析し外水相を置換した。この試料のリン濃度を測定し、リン濃度を10mMに参考例2で調製した緩衝溶液で希釈して重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0089】
実施例20
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例3で調製した重合性緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−6で調製したラジカル反応抑制剤溶液(6)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液に、t−ブチルハイドロパーオキサイド11μl(純度80%品使用、88μmol)を添加し、撹拌しつつ10℃で4時間重合させた。次に試料を分画分子量6,000〜8,000の透析膜中に移し、100倍量の参考例2で調製した緩衝溶液で24時間透析し外水相を置換した。この試料のリン濃度を測定し、リン濃度を10mMに参考例2で調製した緩衝溶液で希釈して重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0090】
実施例21
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−5で調製した脂質混合物(5)と参考例3で調製した重合性緩衝溶液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−3で調製したラジカル反応抑制剤溶液(3)を用い、前記実施例1と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本実施例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記実施例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0091】
比較例1
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)のナス型フラスコに、ガラスビーズ1gと参考例2で調製した緩衝溶液20mlを加え、激しく浸透して脂質を分散させた。この分散液を25℃で、エクストルーダー(日油リポソーム(株))に組み込んだポリカーボネートメンブランフィルターを通過させてサイジングした。ポリカーボネートフィルターとしては最終的に口径0.2μmのものを通過させて重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本比較例ではラジカル反応抑制剤の添加は行わなかった。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液をバイヤル瓶に移し、アルゴンガスで5分間バブリングしてガス置換したのち密閉した。
この試料を60Coを線源とする線量率5kGrey/時間のγ線を25℃で1時間照射して重合を行った。重合後のリポソーム懸濁液のリン濃度を測定したのち、リン濃度を10mMに参考例2で調製した緩衝溶液で希釈して重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0092】
比較例2
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−2で調製した脂質混合物(2)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記比較例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本比較例ではラジカル反応抑制剤の添加は行わなかった。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液を用い、前記比較例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0093】
比較例3
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記比較例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液を分画分子量6,000〜8,000の透析膜中に移し、100倍量の参考例5−1で調製したラジカル反応抑制剤溶液(2)で24時間・5℃にて透析し外水相を置換してラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液をバイヤル瓶に移し、アルゴンガスで5分間バブリングしてガス置換したのち密閉した。
この試料を60Coを線源とする線量率5kGrey/時間のγ線を25℃で1時間照射して重合を行った。次に試料を分画分子量6,000〜8,000の透析膜中に移し、100倍量の参考例2で調製した緩衝溶液で24時間透析し外水相を置換した。この試料のリン濃度を測定し、リン濃度を10mMに参考例2で調製した緩衝溶液で希釈して重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0094】
比較例4
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−1で調製した脂質混合物(1)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記比較例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−10で調製したラジカル反応抑制剤溶液(10)を用い、前記比較例3と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記比較例3と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0095】
比較例5
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−4で調製した脂質混合物(4)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記比較例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本比較例ではラジカル反応抑制剤の添加は行わなかった。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液を用い、前記比較例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0096】
比較例6
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−4で調製した脂質混合物(4)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記比較例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−1で調製したラジカル反応抑制剤溶液(1)を用い、前記比較例3と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記比較例3と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0097】
比較例7
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−4で調製した脂質混合物(4)と参考例2で調製した緩衝溶液を用い、前記比較例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液と参考例5−10で調製したラジカル反応抑制剤溶液(10)を用い、前記比較例3と同様な方法でラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔2〕で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液を用い、前記比較例3と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
【0098】
比較例8
〔1〕重合性リポソーム懸濁液の調製
参考例1−5で調製した脂質混合物(1)と参考例3で調製した緩衝溶液を用い、前記比較例1と同様な方法で重合性リポソーム懸濁液を調製した。
〔2〕ラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液の調製
本比較例ではラジカル反応抑制剤の添加は行わなかった。
〔3〕重合リポソーム懸濁液の調製
本比較例の前項〔1〕で調製した重合性リポソーム懸濁液を分画分子量6,000〜8,000の透析膜中に移し、100倍量の参考例2で調製した緩衝溶液で24時間透析し外水相の重合性緩衝液を置換した。その後、前記比較例1と同様な方法で重合リポソーム懸濁液を調製した。
実施例および比較例に用いた参考例、ラジカル反応制御剤および添加量を表1に示した。
【0099】
【表1】
【0100】
<チオール反応性基残存率の測定と評価>
本発明の全ての実施例と比較例3、比較例4、比較例6及び比較例7で調製したラジカル反応抑制剤添加重合性リポソーム懸濁液、加えて比較例1、比較例2、比較例5及び比較例8で調製した重合性リポソーム懸濁液について、下記の外水相チオール反応性基定量法(外水相ジチオピリジル基定量法)に従って試験を行い、重合前のチオール反応性基活性の評価を行った。その結果を、外水相チオール反応性基濃度:重合前として表2に示した。
本発明の全ての実施例及び比較例で調製した重合リポソーム懸濁液について、下記の外水相チオール反応性基定量法(外水相ジチオピリジル基定量法)に従って試験を行い、重合後のチオール反応性基活性の評価を行った。その結果を、外水相チオール反応性基濃度:重合後として表2に示した。
ここで得られた重合前の外水相チオール反応性基濃度に対する重合後の外水相チオール反応性基濃度の百分率を算出し、外水相チオール反応性基濃度:残存率として表2に示した。またその評価を点数から次の記号で示した。
─────────────────────
評価;記号; 評価点(残存率の%)
─────────────────────
× ; 〜25%未満の試料
△ ;25%以上〜40%未満である試料
○ ;40%以上〜50%未満である試料
◎ ;50%以上である試料
─────────────────────
【0101】
《外水相チオール反応性基定量法(外水相ジチオピリジル基定量法)》
リン濃度を測定したのちリン濃度を10mMに参考例2の緩衝溶液で希釈したリポソーム懸濁液を試料とした。
10mMのN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液(pH7.5)を調製し希釈液とした。この希釈液を用いて10mMグルタチオン溶液を調製し反応液とした。
試料0μl、希釈液2,000μl及び反応液0μlを試験管にとって混合し、 37℃で90分間インキュベートした。この溶液を分画分子量10,000の遠心分離式限外ろ過器に移し、5℃で、1,000Gで2時間遠心分離して限外ろ液を得た。
この限外ろ液を用いて、ジチオピリジル基から遊離する2−メルカプトピリジンの最大吸収波長である343nmで吸光度を測定した。{試薬ブランク値1(Ab1)とする。}
試料0μl、希釈液0μl及び反応液2,000μlを前記同様に試験して吸光度を測定した。{試薬ブランク値2(Ab2)とする。}
試料100μl、希釈液1,900μl及び反応液0μlを前記同様に試験して吸光度を測定した。{試料ブランク値1(As1)とする。}
試料100μl、希釈液0μl及び反応液1,900μlを前記同様に試験して吸光度を測定した。{試薬ブランク値2(As2)とする。}
それぞれの吸光度を次式に従って、リン濃度10mMリポソーム懸濁液を試料とした際の外水相ジチオピリジル基濃度を算出した。
【0102】
【数1】
【0103】
注)1)2−メルカプトピリジンの343nmに於ける分子吸光係数(M-1cm-1)を示す。
注)2)Vt(%)は、リポソームの占有体積率を示す。
また、Vt(%)は、次の計算式に従って計算した。
Vt(%)=(Vm/MN)×(100/Lw)、
Vm=(V1/M)、
V1=(4π/3)r3×10-27
【0104】
【数2】
【0105】
ただし、
【0106】
〔物理的安定性の評価〕
プローブ型超音波処理機で、10分間氷冷しつつ超音波処理した。処理後の前後の各リポソームの動的光散乱法粒度分布計{NICOMP モデル370HPL、日油リポソーム(株)}で処理前後の粒径を測定した。超音波処理前粒径に対する超音波処理前後の粒径差の絶対値の百分率を算出し、変化率として評価した。
────────────────
評価;記号;評価(変化率)
────────────────
○ ;20%以下、
× ;20%を越えるもの。
────────────────
〔総合判定〕
総合判定の基準を次の評価によって行った。
──────────────────────
前記残存率 ;物理化学的安定性 ;総合評価
──────────────────────
○あるいは◎ ; ◎ ; ◎
△ ; ○ ; ○
× ; × ; ×
──────────────────────
【0107】
【表2】
【0108】
以上の結果から、本発明の実施例が比較例に比べ、チオール反応性基濃度の残存率が高く、また物理化学的安定性も高いことがわかる。
Claims (5)
- チオール反応性化合物を含有する重合性リポソームを、エネルギー線照射または重合開始剤によって重合を行う際に、式(1)で示される単糖類、式(2)で示される単糖類の基を含む多糖類、アスコルビン酸および式(3)で示される水溶性アミノ酸類から選ばれる少なくとも1種以上を0.1〜20重量%含有するラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物を含む水溶液中で重合を行うことを特徴とする重合リポソームの製造方法。
C n H 2n O n ・・・(1)
(ただし、nは4〜7の数)
C n H 2n-1 O n −(C n H 2n-1 O n-1 ) m −C n H 2n-1 O n-1 ・・・(2)
(ただし、nは4〜7の数、mは0〜4の数)
- 重合性リポソームが、重合性単量体を膜構成成分中あるいは内水相中に含む重合性リポソームである請求項1記載の重合リポソームの製造方法。
- ラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物が、グルコース、スクロ−ス、マルトース、マルトトリオース、トレハロース、アスコルビン酸、ヒスチジンおよびフェニルアラニンから選ばれる少なくとも1種以上を、0.1〜20重量%含有し、γ線あるいは電子線により重合処理を行う請求項1記載の重合リポソームの製造方法。
- チオール反応性化合物が式(4)または式(5)で示される化合物ある請求項1記載の重合リポソームの製造方法。
- 請求項3記載のチオール反応性化合物の式(4)または(5)のX1がジチオピリジル基を含有するリン酸極性基であり、かつ、ラジカル反応抑制能を有する水溶性化合物がフェニルアラニンである、請求項3に記載の重合リポソームの製造方法。
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