JP3692299B2 - 質量分析のためのアリールスルフォンリンカー - Google Patents

質量分析のためのアリールスルフォンリンカー Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、その結合した分析物から開裂可能で検出できる、そして質量分析によって検出可能なマーカーによって分析物を標識化する方法に関する。とりわけ本発明は、その結合したタンパク質、核酸又は他の対象の分子から質量標識を分離する改善方法に関する。
【0002】
開裂可能質量標識は、標識による分析物の検出の他の方法よりも多くの利点を持つ。DNAの分析において、商業的に好まれる系はDNAの蛍光標識化に基づいている。蛍光標識化の概略は相対的に少量の分子を同時に標識化することを可能にし、そこで典型的に4つの、そしておそらく8つまでの標識を同時に使用する。しかしながら、検出器具のコスト及び得られた信号の分析での難しさが、蛍光検出概略での同時に使用可能な標識の数を制限している。使用している質量標識の利点は多くの数の標識を作製する可能性であり、これらは直接的に質量分析計中で分離可能であり、したがって同様の数の異なる分子種を同時に標識することを可能にする。 開示した開裂可能な質量標識の使用の特徴は、質量マーカーをその相当する核酸間に共有的に連結し、同時に質量マーカーの検出を可能にするために検体から分離することが容易であるリンカー群に対する必要性である。
【0003】
第PCT/GB98/00127号は共有結合した核酸プローブの配列を同定する質量分析によって検出可能な開裂可能な標識に共有的に連結した核酸プローブのアレイを記述している。これらの質量標識は、核酸を分析するための他の方法に対して多くの利点を持つ。この明細書の標識化プローブはNu−L−Mの構造を持ち、式中Nuは、質量標識Mに共有的に連結した開裂可能リンカーであるLに共有的に連結した核酸である。この明細書の好ましい開裂可能リンカーは質量分析計のイオン源内、とりわけ電子噴霧イオン源内で開裂する。好ましい質量標識は置換ポリアリールエーテルである。この明細書は種々のイオン化方法及び質量分析による質量標識の分析の特異的な方法として四極子質量分析器による分析、TOF分析器及び磁気セクター器具による分析を開示する。
【0004】
第PCT/GB94/01675号は、質量タグ分子に共有的に連結しているリガンド、及びとりわけ核酸を開示する。好ましい開裂可能リンカーは光電開裂可能である。この明細書は、質量分析による質量標識の分析の特異的な方法としてマトリックス補助レーザー吸着イオン化(MALDI)飛行時間(TOF)型質量分析を開示する。
【0005】
第PCT/US97/22639号は放出可能不揮発性質量標識分子を開示する。好ましい実施様態において、これらの標識はポリマー、典型的には反応基又はリガンド、すなわちプローブに開裂可能的に結合するバイオポリマーを含む。好ましい開裂可能リンカーは、化学的又は酵素学的に開裂可能であるように見える。この明細書では、質量分析による質量標識の分析の特異的な方法としてMALDI TOF質量分析を開示する。
【0006】
第PCT/US97/01070号、第PCT/US97/01046号、第PCT/US97/01304号は、質量タグ分子に開裂可能に連結したリガンド及び特に核酸を開示する。好ましい開裂可能リンカーは化学的又は光電開裂可能であるように見える。これらの明細書は、質量分析による質量標識を分析する特異的方法として種々のイオン化方法及び四極子質量分析器、TOF分析器及び磁気セクター器具による分析を開示する。
【0007】
多くの特徴を持っている改良されたリンカー基への必要性が未だに存在する。
よいリンカーは質量マーカーを質量分析計内での検出前に高効率でその核酸より分離させることを可能にしなければならない。
その核酸からの標識の開裂は、好ましくは質量分析計とインラインで行われ、できるかぎり、キャピラリー電気泳動のようないくつかのインライン前分別工程の後に行われるべきである。このインライン開裂工程は好ましくはこの工程を起こすのが可能なように、質量分析計との複合体境界面を必要としない。理論的なリンカーは、正常の操作パラメータの変化を越えた器具への任意の修飾なしに、存在している器具内でのいくつかのすでに決められている点で開裂すべきである。
リンカーは、結合する核酸中の開裂又は他の反応を引き起こすこと、したがって核酸断片及びイオン化からの質量スペクトルのノイズを補正することなしに、穏やかな条件下で開裂すべきである。
リンカーはすべての標識が同時かつ定量的に分析されうることを可能にする同一の条件下ですべて開裂すべきである。
リンカーは広い種類の質量標識と和合性であるべきである。
リンカーは好ましくは多数の部位で核酸へ結合可能であるべきである。
リンカーは従来の自動化オリゴヌクレオチド合成器内の条件下で安定であるべきである。
【0008】
既存の質量分析計、とりわけ電子噴霧イオン化質量分析に適用可能な、上で開示した望ましい特徴を持つリンカーを提供することが本発明の目的である。したがって、分析物、とりわけタンパク質及び核酸への、又はからの、以下に定義したリポーター基の簡単な結合と分離を可能にする化合物を提供することが本発明の目的である。
【0009】
したがって、本発明は分析物を特性評価する方法であって、下記(a)(b)及び(c)工程を有することを特徴とする。
(a) 分析物が、開裂可能なリンカーによって、分析物に結合可能なリポーター基に接着されている化合物を提供する工程。
ただし、前記化合物は、下記式で表される。
【化9】
Figure 0003692299
前記式において、Rがリポーター基を含み、R’が分析物を含む、又はRが分析物を含み、R’がリポーター基を含む、のいずれかである。また、前記式において、nは1又は2を表す。
(b) 前記分析物から、前記リポーター基が開裂する工程。
(c) 前記リポーター基を同定することにより、前記分析物の特性評価を行う工程。
【0010】
本発明で使用した開裂可能なるリンカーは、もしそれが上式で述べたようにRをR’に連結している基であれば、特に限定はしない。置換基が開裂可能であることを妨げなければ、リンカーは炭素原子上に置換基を含んでよい。リンカーはたとえばプロトンの欠失と引き続く結果としてリンカー内の共有結合の崩壊となる分子内転移によって質量分析計のイオン源内で開裂してよい。このことは本来温度工程であり、しかしたとえば電子噴霧質量分析計のイオン源内の円錐電圧を増加することによってプロトン化されうる。したがってリンカーは好ましくは温度的に開裂可能リンカーであるか又は電子衝撃によって開裂可能なリンカーである。
【0011】
分析物分子は特には限定せず、任意の対象の分子であり得る。本発明では典型的に、分析物分子は生物学的分子を含む。好ましい生物学的分子はタンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、核酸(たとえばRNA、DNA、プラスミド、又はオリゴヌクレオチド)、核酸塩基及び薬理学的製剤又は薬剤のような有機分子を含む。
【0012】
本発明の文脈において、語句アミノ酸は、アルファ−アミノ酸の20標準L−アイソマー、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、チロシン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリンを広く示すつもりである。これはまた、これらのアミノ酸のすべての天然修飾型を示すつもりである。さらに、語句アミノ酸はこれらのアミノ酸のD−アイソマーと単離又は合成又は生物合成ペプチド内に組み込まれるかどうかの類似体として使用してよい非天然アルファアミノ酸を示すつもりである。
【0013】
語句ポリペプチドはダイマーを含むアミノ酸のすべてのポリマー、合成又は天然どちらかの短オリゴ−ペプチド、長ポリペプチド、及び翻訳後修飾される可能性があるか又はない、生物学的試料からの天然タンパク質を意図するつもりである。語句ヌクレオチドは天然に存在しているヌクレオチド及び類似体の両方を示すつもりであり、とくに2’、3’ジデオキシヌクレオチド類似体を示すつもりである。語句ポリヌクレオチドは、合成又は天然のいずれかの短いオリゴヌクレオチド、長いポリヌクレオチド、及び生物学的試料からの天然核酸を示すつもりである。
【0014】
本発明において、対象の他の分析物はまたたとえば炭化水素、脂質、薬物分子、生存生物体由来の天然産物及びコード化された化学的ライブラリーからの合成化合物も含んでよい。
【0015】
本発明の文脈において、リポーター基という語は、いくつかの従来の検出方法によって検出可能な部位を示すつもりである。リポーター基は好ましくは質量マーカーであり、すなわち質量分析によって検出可能である。適切なリポーターはまた蛍光発色団、放射標識、化学ルミネセンス標識、電子捕獲標識も含む。
【0016】
本発明の以下の記述において、参考文献は分析物に連結することに使用してよい「介在リンカー」又は「リンカー」基又は本発明の化合物を形成するためのリポーターからなる。さまざまなリンカーが本技術分野で公知であり、本発明の温度的に開裂可能なリンカーとその共有的に接着している分析物又はリポーター分子間のさらなるリンカーとして導入してよい。オリゴ−又はポリ−エチレングリコール又はその誘導体はリンカーとして広く使用され(Maskos, U. & Southern,E. M. Nucleic Acids Research 20: 1679-1684,1992)、本発明でさらなるリンカーとして使用してよい。一般的に塩基不安定で、したがって多くのオリゴヌクレオチド合成器内で使用する脱タンパク質工程を仲介する塩基と不和合性であるけれども、コハク酸に基づく結合もまた広く使用される。
【0017】
プロパルギルアルコールは、オリゴヌクレオチド合成の条件下で安定であり、本発明での使用に対して好ましいさらなるリンカーである二機能性リンカーである。同様に6−アミノヘキサノールは適切な機能化分子に連結するための有用な二機能性製剤であり、また好ましくいさらなるリンカーである。
【0018】
さまざまな開裂可能リンカー基が本技術分野で公知であり、本発明の化合物とともに使用してよい。光電開裂可能リンカーは本技術分野でよく公知である。
【0019】
オルト−ニトロベンジル基、とりわけ2−ニトロベンジルエステル及び2−ニトロベンジルアミンは光電開裂可能リンカーとして本技術分野でよく公知であり、ベンジルアミン結合部分で開裂する。開裂可能なリンカーについては、さまざまな光電開裂可能及び化学的に開裂可能なリンカーをカバーするLloyd-Williams et al., Tetrahedron 49: 11065-11133, 1993を参照のこと。
【0020】
分析物がポリヌクレオチドの場合、本発明の化合物はリンカー基を介したリポーター基の、ポリヌクレオチド内の多くの部分でのオリゴヌクレオチドへの接着によって形成されうる。従来の固相合成器について、末端リボース又はデオキシリボースの5’ヒドロキシルがもっとも容易に近づきやすい。修飾のための他の望ましい部位はピリミジンヘテロ環中の5’位及びプリンヘテロ環中の7’位及び8’位である。これらはすべて本発明の化合物に接着するために適切な部位であり得る。
【0021】
リボース又はデオキシリボースヘテロ環上の2’位はまたリンカー基の接着に利用しやすい。この位置は相当な程度まで修飾されえ、質量標識へのリンカーでの誘導化が含まれる。リン酸基がまた本発明の化合物との反応で利用できる。
【0022】
本発明で使用した化合物は、従来のタンパク質又はDNA分析物で起こる条件下、及び自動ペプチド又はオリゴヌクレオチド合成器での条件下で安定である。提供された化合物はさまざまな質量分析技術及びマトリックス補助レーザー沈着イオン化(MALDI)、電子噴霧イオン化(ESI)、温度噴霧イオン化又は急速原子衝撃イオン化(FAB)のようなイオン化方法に和合性である。本発明での使用に対する好ましい質量分析技術はまた熱分解及びガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を含む。そのタンパク質又は核酸からのリポーターの開裂はいくつかの実施様態において質量分析計とインラインで、できるかぎりキャピラリー電気泳動(CE)又は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)のような前分別工程後に行いうる。インライン開裂工程は、この工程が起こりうるように質量分析計との複合体境界を必要とはしない。
【0023】
本方法をここでさらに詳細に記述する。上述したように、本発明は分析物を特性評価する方法であって、下記(a)、(b)及び(c)工程を有することを特徴とする。
(a) 分析物が、開裂可能なリンカーによって、分析物に結合可能なリポーター基に接着されている化合物を提供する工程。
ただし、前記化合物は、下記式で表される。
【化10】
Figure 0003692299
前記式において、Rがリポーター基を含み、R’が分析物を含む、又はRが分析物を含み、R’がリポーター基を含む、のいずれかである。また、前記式において、nは1又は2を表す。
(b) 前記分析物から、前記リポーター基が開裂する工程。
(c) 前記リポーター基を同定することにより、前記分析物の特性評価を行う工程。
【0024】
分析物及び/又はリポーター基は直接リンカーに接着してもよいし(たとえばR(又はR’)は分析物又はリポーター基からなる)、又はさらなる基(たとえばR(又はR’)は分析物又はリポーター基プラスさらなる基からなる)を介して接着してよい。リポーター及び/又は分析物は直接リンカー又はさらなる基に接着してよく、又は以下に記述したように、共有結合を介して接着してよい。好ましくはR及び/又はR’はリポーター基の合成の間、自動合成器内リポーター基の分析物内への、たとえばオリゴヌクレオチド内への挿入の間安定であるべきである。好ましくはR及び/又はR’はまた、リポーター基の検出の間、たとえば質量分析下で安定であるべきである。広い種類の基がこれらの特性を持っており、リンカー内へ挿入してもよかった。リンカーの可溶性を変化させる置換基を選択するとも望ましい可能性がある。
【0025】
上述のように、好ましくはR及び/又はR’は、分析物及び/又はリポーター基の開裂可能リンカーへの接着で形成された共有結合を含む。リポーター基及び/又は分析物が、リンカー及びリポーター及び/又は分析物へ接着した反応性官能基を使用した開裂可能リンカーへ容易に接着可能であるならば、共有結合は特に限定されない。典型的に、いくつかの実施様態ではRのみ又はR’のみが共有結合を含むけれども、R及びR’は共有結合からなる。
【0026】
以下の表1は、2つの部分存在物間の共有結合を生成するために一緒に反応する可能性のあるいくつかの反応性官能基を列挙している。以下に列挙した任意の官能基は、(たとえば質量分析による)検出のためにリンカーを(核酸又はタンパク質のような)分析物へ、及び適切なリポーター基へ接着させるために本発明で使用した化合物を形成するのに使用できた。望むならば、反応官能基はさらなる反応官能基を持つさらなる結合基を導入するために使用できる。
【表1】
Figure 0003692299
【0027】
いくつかの上記反応性官能基又はその得られる共有結合は、オリゴヌクレオチド合成器内への導入前に保護されなければならない可能性があることに注意すべきである。好ましくは非保護エーテル、エステル、チオエーテル及びチオエステル、アミン及びアミド結合は、これらがオリゴヌクレオチド合成器内で安定ではないので、さけるべきものである。広い種類の保護基が、望ましくない副反応から結合を保護するために本技術分野で公知である。
【0028】
広い種類のリンカーが、質量マーカーをリンカーの第三級アミン基へ連結するために使用できるように利用可能であるけれども、短いアルキル結合が質量マーカーを開裂可能リンカーに連結するために好ましい。
【0029】
したがって、本発明の好ましい実施様態において、開裂可能なリンカーをリポーター基及び/又は分析物へ接着させている共有結合は、−CO−NH−基、−NH−CO−NH−基、−NH−CS−NH基、−CH2−NH−基、−SO2−NH−基、−NH−CH2−CH2−基、又はOP(=O)(O)O−基から独立して選択する。
【0030】
もしリポーター基又は分析物を含むならば、本方法で使用した化合物のR基は特に限定しない。したがって、もし望むなら、R基はさらなる基を含んでもよい。典型的にRは、SOn基とリポーター基又は分析物の間に、置換又は無置換芳香環基、脂肪環基又はヘテロ環基を含む。好ましくは、Rはフェニル、ピリジル、ピラニル、ナフチル、アントラシル、ピレニルから選択した置換又は無置換基、又は上記のものの縮合環誘導体又はヘテロ芳香族類似体を含む。置換基は特に限定はせず、任意の有機性基又はハロゲン(たとえば塩素又は臭素)、好ましくはアルキル基又はアルケン又はアルキン官能基を含む基のような炭化水素基、N、O、P又はS原子のようなヘテロ原子を含む炭化水素、又は芳香、脂肪又はヘテロ環状基のような環状基を含んでよい。置換基は多数の官能基を含んでよく、直鎖又は分岐鎖炭化水素基を含んでよい。
【0031】
Rがフェニル基を含む場合、フェニル基は好ましくは以下の式を持つ基であり、
【化11】
Figure 0003692299
式中R2−R6の一つはリポーター基又は分析物を含み、残基のR2−R6基は、水素及び上で定義したような置換基、好ましくはD、F、メチル、メトキシ、ヒドロキシ又はアミノ基から独立して選択する。R4基がリポーター基又は分析物を含むことがとりわけ好ましい。
【0032】
リポーター基又は分析物を含むならば、本方法で使用した化合物中のR’基は特に限定はしない。したがって、望むならば、R’基はさらなる基を含む。典型的にR’は、SO基とリポーター基又は分析物の間で、−S−、−SO−、−NR1−及びO−から選択した基である。R’基が−NR1−基を含む場合、このましくはR1基は電子吸引基である。さらに好ましくは、R1は水素原子、ハロゲン原子又はカルボニル基及び/又はハロゲン原子を含む置換基を含む。したがって、 1 はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロアセチル基、トリフルオロメチルアセテート基、メシレート基又はトシレート基を含んでよい。
【0033】
本方法のとりわけ好ましい実施様態において、本方法の工程(a)で提供された化合物は以下の式を持つ。
【化12】
Figure 0003692299
式中R1は上で定義したようなものであり、Xがリポーター基を含み、X’は分析物を含むか、又はXが分析物を含み、X’がリポーター基を含み、それぞれのハンドルは同一か又は異なり、それぞれ直接X基をフェニル環に結合している一重結合及びN原子のどちらかであり、又は上で記述したような共有結合である。
【0034】
本発明のこの実施様態において、分析物は好ましくはフェニル基を介してリンカーに接着し、質量マーカーはこのましくは、N原子を介してリンカーへ接着する。しかしながら、分析物がまたN原子を介してリンカーに接着し、質量マーカーがまたフェニル基を介してリンカーに接着してもよい。
【0035】
本発明のこの特定の実施様態において、分析物は好ましくは核酸又は核酸塩基である。したがって、分析物は好ましくはDNA、RNA、オリゴヌクレオチド又はプラスミドである。本発明のこの実施様態において、核酸(又は他の分析物)は好ましくはフェニル基を介してリンカーに接着し、質量マーカーは好ましくはアミン官能基を介してリンカーに接着する。
【0036】
本発明の方法において、調査中の分析物は特に限定はせず、任意の対象分子であってよい。典型的には、分析物は生物学的分子を含んでよい。本発明の好ましい実施様態において、生物学的分子は、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、核酸(たとえばRNA、DNA、プラスミド又はオリゴヌクレオチド)、核酸塩基、薬理学的製剤又は薬剤、炭化水素、脂質、天然産物又はコード化された化学的ライブラリーからの合成化合物から選択する。分析物がヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、又は核酸を含む場合、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド又は核酸は天然物であってよく、又は塩基、糖、及び/又は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドもしくは核酸の骨格を修飾することにより合成されたものでもよい。
【0037】
天然組織標本からのポリペプチドはしばしばその中に、同一のポリペプチド内の他のシステイン残基と架橋する可能性があり、結果としてジスルフィド架橋又はシステイン結合となるシステイン残基を持つ。これらのジスルフィド架橋は、ポリペプチドの標識化の前に遊離チオールに暴露することで破壊されうる。この工程は、β−メルカプトエタノール又はジチオスレイトールのような適切な製剤での還元によって影響を受ける可能性がある。分析物がシステイン基を含むアミノ酸又はペプチドである場合、本方法の工程(a)で提供された化合物は好ましくは以下の式を持つ。
【化13】
Figure 0003692299
式中Rは上で定義したようなものであり、リポーター基を含み、mは0又は1であり、R7をリンカーに接着させているS原子はシステイン基の硫黄原子であり、R7はアミノ酸又はポリペプチドの残基である。m=1の実施様態において、システインの硫黄は酸化された。この酸化のための適切な製剤は、たとえば過酸化水素である。この処置は工程(a)で提供された化合物をさらに温度的開裂を受けやすくする。このことは、ある種の質量分析は、化合物が分析のためにリポーター基を放出するように熱せられる工程を組み込むので、都合がよい可能性がある。
【0038】
あるいは、分析物がアミノ酸か又はペプチドの場合、工程(a)で提供される化合物は以下の式を持ってよい。
【化14】
Figure 0003692299
式中Rは上で定義したようなものであり、リポーター基を持ち、N原子は分析物のイプシロンアミノ基の窒素原子であるか、N−末端アルファアミノ基の窒素原子であり、R8はH、O又はN−保護基から選択し、R9はアミノ酸又はポリペプチドの残基である。R8又はR9の一つが酸素の場合、化合物はとりわけ温度的に不安定であり、加熱によってコープ脱離が起こるであろう。酸化アミンは、たとえばアミンの過酸化水素との反応で産生してよい。
【0039】
さらに他には、分析物がセリン、スレオニン及び/又はチロシン基を含むアミノ酸又はペプチドの場合、工程(a)で提供される化合物は以下の式を持ってよい。
【化15】
Figure 0003692299
式中Rは上で定義したようなものであり、リポーター基を含み、O原子はセリン、スレオニン又はチロシン基の水酸基からの酸素原子であり、R10はアミノ酸又はポリペプチドの残基である。
【0040】
容易に検出可能であり、分析物を同定するために分析物に関連可能であるならば、本発明で使用したリポーター基はとりわけ限定はせず、任意の基であってよい。典型的にリポーター基は質量マーカーであり、すなわち質量分析によって分析可能である。他の適切なリポーターには蛍光発色団、放射標識、化学ルミネセンス標識及び電子捕獲標識が含まれる。
【0041】
本発明の好ましい実施様態において、第PCT/GB98/00127号、第PCT/GB98/03842号、独国特許第9815166.5号、独国特許9826159.7号で開示された質量マーカーが使用できる。これらの明細書の内容は参考文献として組み込まれる。第PCT/GB98/00127号及び第PCT/GB98/03842号は温度に安定で、化学的に不活性で断片化抵抗化合物であり、可溶性や電荷のような特性を変更するためにさまざまな基で置換できうるポリ−エーテル質量マーカーを開示している。これらの質量マーカーはまた本発明での使用のために望ましく、この明細書の内容は参考文献に組み込まれる。独国特許第9826159.7号は2つの化合物を含むマーカーを開示し、ポリ−エーテルであってよく、選択した反応モニタリングによって分析される。これらは本発明での使用のためにとりわけ好ましい質量マーカーである。独国特許第GB9815166.5号は金属イオンに結合する質量マーカーを開示し、また本発明での使用のための好ましいマーカーである。この明細書の内容は参考文献に組み込まれる。1つ以上の検出方法によって検出可能なリポーター基もまた好ましく、たとえばそのリンカーに放射性同位体を挿入した質量分析により検出可能蛍光マーカーなどがある。この種類のリポーターは「マルチ−モードリポーター」基として呼ぶ。好ましいマルチ−モードリポーター基は質量分析によって検出可能である。
【0042】
質量マーカーがオリゴエーテル又はポリエーテルを含む場合、オリゴエーテル又はポリエーテルは置換又は無置換オリゴ−又はポリ−アリールエーテルであってよい。オリゴエーテル又はポリエーテルは好ましくは1つ以上のフッ素原子又はメチル基置換物を含み、又は1つ以上の2H又は13C同位体置換基を含む。
【0043】
質量マーカーが金属イオン−結合部位を含むことがさらに好ましい。典型的に、金属イオン−結合部位はポルフィリン、クラウンエーテル、ヘキサヒスチジン又は多座配位リガンドを含む。好ましくは金属イオン−結合部位は多座配位リガンド又はEDTAである。金属イオン−結合部位は一価、二価又は三価金属イオンと結合してよい。金属イオンは特に限定はしない。好ましい金属イオンには、遷移金属イオン又は周期表のIA、IIAもしくはIIIA属の金属イオンが含まれる。とりわけ好ましい金属イオンはNi2+、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+又はAl3+である。質量マーカー上の金属イオンの存在は検出の感度を増加させる。
【0044】
本発明は上で開示した質量マーカーに限定しないことに注意すべきである。多くの特徴が、よい質量マーカであるべき分子で望ましい。特に、マーカーが、
DNAのような分析物から容易に分離可能である
分子生物学プロトコールに含まれる酵素的工程を干渉しない
質量分析計内で断片化抵抗性である
質量スペクトルで単一イオンピークを形成する
高感度検出が可能である
DNAのような骨格混在から容易に識別可能であり、質量ピークが混在物からではなく質量標識からであることを決定するのが可能であるべきである。
従来の自動オリゴヌクレオチド合成器に和合性がある
多くの数の標識を合成するために必要な化学工程数及び製剤数を最小化するのに従来の方法で合成するのが簡単である
器具の物理的改変の必要なしに、既存の質量分析装置適合する
ことが好ましい。
【0045】
上で言及したように、本発明のリンカーはこのましくは温度開裂可能リンカーである。したがって本方法は好ましくはさらに、リポーター基を開裂させるためにリンカーを加熱する工程を含む。加熱の方法は特に限定しない。好ましくはリンカーをリポーター基の検出用の器具内、たとえば質量分析計内で熱する。本発明で使用したリンカーは、穏やかな条件下で温度開裂可能であるので都合がよい。質量マーカーが質量分析計それ自身の中で対象の分子から開裂されうることがこの理由である。
【0046】
しかしながら、開裂は温度開裂に限定はせず、また化学的開裂も含んでよい。たとえば、本方法のそれらの実施様態において、(a)工程で提供される化合物は以下の式を持つ。
【化16】
Figure 0003692299
式中n=1又は2であり、Rは上で定義したようなものであり、以下の化学的反応工程が開裂を誘導するために行われてよい。
(i)上記化合物をアルキル化剤と反応させ、第4級アンモニウム誘導体を産出する。
(ii)得られた第四級アンモニウム誘導体を塩基と反応させ、式
【化17】
Figure 0003692299
の化合物を放出させる。式中R及びnは上で定義したものである。
(iii)この得られた化合物を質量分析で検出する。
適切なメチル化剤には硫酸ジメチル及びヨウ化メチルが含まれる。この工程はメタノールのような溶媒中で行うことができる。適切な塩基にはジイソプロピルエチルアミンが含まれ、ジクロロメタンのようなさらなる有機溶媒中に溶解してもよい。この反応はホフマン脱離であり、本技術分野でよく公知である。
【0047】
上で言及したように、温度開裂は好ましくは質量分析計内で(またこれとインラインで)行う。温度開裂はガスクロマトグラフィーへの入り口内で、又はガスクロマトグラフィー/質量分析計、熱分解質量分析計、温度噴霧質量分析計又は電子噴霧質量分析計への入り口内で行ってよい。温度開裂はまた試料をガス相内へ蒸発させる可能性がある。いくつかの実施様態において、温度開裂はレーザーによって影響を受け、検出のためにさらにリポーター基を脱着してよい。
【0048】
本発明の第二の観点は、分析物へリポーター基を接着させるための分析物の特性化でのリンカー基の使用を提供し、ここでリンカー基は開裂可能であり、以下の式を持つ。
【化18】
Figure 0003692299
式中nは1又は2である。
【0049】
リンカーはしたがって開裂可能なリンカーであり、本発明の方法に関連して上で記述した型のリンカーである。本発明のこの観点において言及された分析物は特に制限はせず、上で定義したような任意の分析物であってよい。本発明のこの観点で言及したリポーター基も特に限定はせず、上で定義したような任意のリポーター基であってよい。
【0050】
分析物及び/又はリポーター基が直接リンカーに接着してよく、又は上で記述したさらなる基のような、さらなる基を介して接着してよい。リポーター及び/又は分析物は直接リンカー又はさらなる基に接着してよく、又は上記のように共有結合を介して接着してよい。
【0051】
本発明のこの観点において、リンカーが、
電子噴霧イオン源での低円錐電位を持つ電子噴霧又は温度噴霧イオン源での条件下で温度的に開裂する、及び/又は
従来のオリゴヌクレオチド合成器に和合性である
ことが望ましい。
【0052】
またさらなる観点において、本発明は以下の式を持っている化合物を提供する。
【化19】
Figure 0003692299
式中R1は電子吸引置換基であり、Xがリポーター基を含み、X’が分析物を含み、又はXが分析物を含み、X’がリポーター基を含み、そしてそれぞれのハンドルは同一か又は異なり、X基をフェニル環及びN原子にそれぞれ直接接着している一重結合、又はX基をそれぞれフェニル基及びN原子へ接着させることが可能な反応基のどちらかである。
【0053】
本発明のこの観点の化合物は、本発明の方法の(a)工程で提供された型のとりわけ好ましい化合物である。したがって、本発明の化合物において、n=2及び上で定義した基Rはリポーター基又は分析物で置換されたフェニル基を含み、共有結合でフェニル基に接着している。好ましくはリポーター基はSO2−基へのパラ基の位置でフェニル基へ接着する。上で定義された基R’はリポーター基又は分析物へ共有結合を介して接着している−NR1−基を含む。
【0054】
本発明の化合物において、分析物は好ましくはフェニル基を通してリンカーに接着し、質量マーカーは好ましくはN原子を通してリンカーに接着する。しかしながら、分析物はまたN原子を通してリンカーに接着してよく、質量マーカーはまたフェニル基を通してリンカーに接着してよい。
【0055】
本発明のこの特定の実施様態において、分析物はとりわけ限定はせず、上に定義したようなものである。このましくは、分析物は核酸又は核酸塩基である。したがって分析物は好ましくはDNA、RNA、オリゴヌクレオチド又はプラスミドである。本発明のこの実施様態において、核酸(又は他の分析物)は好ましくはフェニル基を通してリンカーに接着し、質量マーカーは好ましくはアミン官能基を通してリンカーに接着する。
【0056】
本発明の化合物において、R1は上で定義したようなものであり、それぞれのハンドルは上で定義したようなものであり、リポーター基は上で定義したようなものである。
【0057】
本発明の好ましい化合物は本質的に質量標識化オリゴヌクレオチドであり、シークエンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)基礎アッセイ、及び遺伝子発現プロファイリングのような遺伝的分析で有用である。質量標識のアレイは標識化すべきオリゴヌクレオチドのアレイを可能にするであろう。これらはシークエンシングプライマー又はPCRのプライマーとして、又はハイブリッド形成アッセイのためのプローブとして使用してよく、そこでそれぞれの場合において、多重試料の分析物を多重化してよい。
【0058】
(工程(a)で提供された化合物の合成)
さらなる観点において、本発明は本発明の工程(a)で提供された化合物の合成の方法を提供する。
【0059】
本発明のこの観点の方法には以下の式の化合物を反応させることを含む。
【化20】
Figure 0003692299
式中R及びnは上で定義されたようなものである。1つ以上のリポーター基又は分析物を持つ。
【0060】
上述したように、分析物がシステイン基を含んでいるアミノ酸又はペプチドの場合、本方法の工程(a)で提供された化合物は好ましくは以下の式をもつ。
【化21】
Figure 0003692299
式中、Rは上で定義されたようなものであり、リポーター基を含み、mは0又は1であり、R7をリンカーに接着させているS原子はシステイン基の硫黄原子であり、R7はアミノ酸又はポリペプチドの残基である。これらの化合物は、1つ以上のアミノ酸又はポリペプチド上の遊離チオールと式(I)の化合物を反応させることによって本発明のこの観点にしたがって産出してよく、還元する必要があってもよい。
【0061】
本発明のこの観点のこの実施様態において、反応を比較的短い時間間隔で、好ましくは2、3分で行うことが好ましい。アミノ酸又はポリペプチドでの任意の遊離チオールは容易に化合物(I)と反応するであろう。いくつかのポリペプチドが上で論議したように遊離チオールを暴露するために還元する必要があってよい。
【0062】
分析物がアミノ酸又はペプチドの場合、工程(a)で提供された化合物は以下の式を持ってよい。
【化22】
Figure 0003692299
式中Rは上で定義したようなものであり、リポーター基を含み、N原子はリジン基のイプシロンアミノ基の窒素原子又はN−末端アルファアミノ酸の窒素原子であり、R8はH、O又はN−保護基から選択し、R9はアミノ酸又はポリペプチドの残基である。これらの化合物は1つ以上のアミノ酸又はポリペプチドの上の遊離アミンで式(I)の化合物を反応することによって本発明のこの観点にしたがって産出してよい。
【0063】
本発明のこの観点のこの実施様態において、アミン接着誘導体の産出は硫黄接着誘導体の同時産出(上で議論した)と同時に起こってよい。本発明のこの観点のこの実施様態において、反応を硫黄接着誘導体を形成する反応と比べて、比較的長い期間で行うことが望ましい。遊離アミンは式(I)の化合物への遊離チオールよりも反応性はよわい。アミノ酸又はポリペプチドが式(I)の化合物と反応する場合、遊離チオールはもっとも早く反応し、一方遊離アミンはよりゆっくり反応するであろう。反応時間は式(I)の化合物の本来の特性及び使用した条件上のいくつかの範囲に依存し、経験的に決定してよい。チオールよりアミンに選択的に反応するために、チオールは遮断すべき必要があってよい。このことは遊離チオールの4−ビニルピリジン又はヨード酢酸での反応によって影響を受ける可能性がある。ジスルフィドは崩壊し、過ギ酸でキャップを形成してよい。これらの技術は本技術分野でよく公知である。
【0064】
分析物がセリン、スレオニン及び/又はチロシン基を含んでいるアミノ酸又はペプチドである場合、(a)工程で提供された化合物は以下の式を持ってよい。
【化23】
Figure 0003692299
式中Rは上で定義したようなものであり、リポーター基を含み、O原子はセリン、スレオニン又はチロシン基からの酸素原子であり、R10はアミノ酸又はポリペプチドの残基である。これらの化合物は式(I)の化合物を1つ以上のアミノ酸又はポリペプチド上の遊離水酸基と反応させることによって本発明のこの観点にしたがって産出してよい。
【0065】
本発明のこの観点のこの実施様態において、酸素接着誘導体の産出が、アミン接着及び硫黄接着誘導体(上で論議した)の同時産出によって伴ってよい。本発明のこの観点のこの実施様態において、反応が硫黄接着及びアミン接着誘導体を形成する反応と比較してより長い期間で行うことが好ましい。遊離チオール及びアミンは遊離水酸基でよりも式(I)の化合物ととてもより早く反応するであろう。
【0066】
本発明のこの態様のすべての実施態様に基づいた方法は適切な溶媒中で行われる可能性がある。適切な溶媒にはアセトニトリル又はジメチルホルムアミドが挙げられる。基剤が必要な場合、適切な基剤はトリエチルアミンである。
【0067】
(発明で使用される質量マーカーの適用)
本発明で使用される質量マーカーは特に限定されない。切断可能なリンカーを切断した後に生成されるマーカーは幅広い範囲の構造を有する。既に上で述べたように、1つの特定の結果生じるマーカーの構造は以下の式のようなものである。
【化24】
Figure 0003692299
式中R及びnは上で定義したとおりである。
このような化合物はアミノ酸、ポリペプチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド及びその他の関心のある検体を分析するのに極めて有用な試薬である。
【0068】
特にこれらの化合物は、二次元(2−D)ゲル電気泳動によるアミノ酸及びポリペプチドの分析に有用である。2−Dゲル電気泳動は、タンパク質発現の概略を描く技術、言い換えれば、組織で発現しているすべてのタンパク質の同一性と量を目録にする技術である(R.A. Van Bogelen, E.R. Olson, "Application of two-dimensional protein gels in biotechnology" Biotechnol. Annu. Rev., 1: 69-103, 1995)。この技術では、タンパク質混合物は、生物試料から抽出されて、狭いゲル小片上で分離される。この最初の分離では通常、等電点に基づいてタンパク質を分離する。次いで、長方形のポリアクリルアミドゲルの1つの縁にゲル小片全体を横にしてのせる。小片中で分離されたタンパク質は、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によってサイズに基づき2番目のゲル中で電気泳動的に分離される。いったん分離が完了するとタンパク質を可視化する。これには典型的には、目で見て、又は蛍光で検出することができる試薬によってゲルを染色することが挙げられる。放射線標識とオートラジオグラフィも使用される。他の方法では、分離する前の試料中のタンパク質に蛍光色素を共有結合で結合させてもよい。色素の共有結合付加によってタンパク質の移動℃が変化する可能性があるので、これは、特に二次元ゲル画像の公共データベースと比較すべき場合、あまり好まれないことがある。ゲルでタンパク質を可視化すると、通常、ゲル上の特定のスポットでタンパク質を同定することが必要である。これは典型的にはゲルからスポットを切り出し、ゲル基質からタンパク質を抽出することによって行われる。次いで、様々な技術によって抽出したタンパク質を同定することができる。好ましい技術にはタンパク質の消化とそれに続く微量配列決定が挙げられ、又は更に好ましくは、消化したタンパク質をMALDI TPFで分析し、ペプチド質量フィンガープリントを生成する(Jungblut P, Thiede B, "Protein identification from 2-D gels by MALDI mass spectrometry" Mass Spectrom. Rev. 16: 145-162, 1997)。
【0069】
この方法は自動化するのが極めて困難であり、最も単純な具体化においても相対的に感度は良くない。今では2−D分析は相対的に遅い「バッチ」工程である。それは再現性が特に優れるわけでもなく、ゲルを分析するのは高価である。ゲルを基にした分析のコストの大部分は各ゲルの取り扱いにかかるので、数多くの試料を1枚の2−Dゲル上で同時に多重化できることが望ましい。原理的には、異なった試料のタンパク質を異なった別々に検出できるタグで標識することが可能であれば、各試料のタンパク質を同一ゲル上で同時に分析することができる。このことは、複数の時点で特定の生物における同一タンパク質の挙動を追跡することが望ましい、例えば、事前に決めたスケジュールに従って細菌が薬剤にどのように反応するのかをモニターするような研究では、特に有益である。同様に、同一疾患の複数の患者から得た生検試料を対応する対照と比較する場合、別々の試料の同じタンパク質がゲル上で同一スポットに収まることを確認するのが望ましい。同一ゲル上で試料をすべて泳動することによって、ゲルの分離の再現性について心配する必要もなく、別々の試料を比較することができる。これを達成するには、別々の試料におけるタンパク質の移動度に対する影響が同一で、従って、各試料において異なったマーカーで標識した特定のタンパク質が標識の如何にかかわらずゲルの同一場所に収まるような一連の標識が必要となる。GB9826159.7は、関連するタンパク質の移動度を同一程度に変化させる標識のアレイを開示している。この出願の内容は参考として組み入れる。
【0070】
RがGB9826159.7で開示された型の質量マーカーを含む式(I)の化合物は、2−D PAGE分析の多重化に特に効果的であることが予想される。
上述のように、本発明は、式(I)の化合物がアミノ酸又はポリペプチドと反応することによる現在の方法の(a)工程で定義されるような化合物を形成する方法を提供する。質量分析で直接検出することができるこの化合物の別のしかし関連した型によって複数の試料を標識することができる。次いで、このように標識されたアミノ酸又はポリペプチドを2−D PAGEによって分離することができる。泳動後のゲルを分析する1つの方法では、ゲルを目的物上に電気的にブロットする。次いで、質量分析で検出するために、関連したポリペプチドからリポーター基を熱によって切断及び脱着できるように目的物をレーザーでラスター走査する。この方法ではゲル全体又はゲルのある領域が完全に画像化される。
【0071】
代わりの実施態様では、式(I)の化合物も用いて、RはGB9826159.7で開示された型の質量マーカーを含む複合様式のリポーター基であってもよく、放射性同位元素がマーカーに組み込まれる。この化合物で標識された2−Dゲル上のポリペプチドは、どこにタンパク質が存在するかを示すゲルの画像を提供するオートラジオグラフィによって検出することができる。次いで、熱分解質量分析法による分析のために関心のある領域からゲル中の小さな試料をくり抜くことができる。試料の精製が減らされうる又は敬遠されうるという点で熱分解は有利である。本発明の好ましい実施態様では、放射性標識(例えば14C)を切断可能なリンカーに組み込んで、切断するとき、放射性標識が検体に残るようにする。
【0072】
(実施例)
ESIソースにおいて高い効率で切断するモデルリンカー化合物(FT28)の合成
図2に示すモデルリンカーを合成した(図4を参照)。この化合物を以下FT27として識別する。
FT27の合成
フェニルビニルスルホン(1.68g、10mmol)と6−アミノヘキサノール(1.17g、10mmol)の無水メタノール(20ml)溶液をトリエチルアミン(0.1ml)で処理し、2時間環流し、室温にて一晩撹拌した。減圧下で溶液を除いた。油性残留物を酢酸エチルに溶解し、溶媒を蒸発させて結晶残留物を得た。酢酸エチル/n−ヘキサンからの再結晶によって2.67g(94%)のFT27を得た。
FT27産物の同一性の確認
融点60〜61℃
計算した原子組成C58.92、H8.12、N4.91、;測定した組成C58.91、H8.14、N4.89
1H NMR(CDCl3)1.30〜1.55(m、10H)、2.57(t、J=7Hz、2H)、3.02(t、J=7Hz、2H)、3.29(t、J=7Hz、2H)、3.63(t、J=7Hz、2H)、7.55〜7.71(m、3H)7.90〜7.96(m、2H);
13C NMR(CDCl3)25.44,26.80,29.69,32.53,43.03,49.33,56.02,62.71,128.01,129.40,133.84,139.58
【0073】
FT28の合成
FT27の誘導体を合成し(図4参照)、FT28として同定し、図3に示した。それはFT27のアミン基がトリフルオロ酢酸基で保護されたものである。 無水ジクロロメタン(15ml)中のFT27(855mg、3mmol)溶液とトリエチルアミン(2.5ml、18mmol)を0℃にて無水トリフルオロ酢酸(0.85ml、6mmol)で処理し、この温度で10分間撹拌し、室温にて更に40分撹拌した。リン酸緩衝液pH7.0(40ml)とメタノール(80ml)の混合物の中に反応混合物を注ぎ、15分間撹拌した。減圧下で有機溶媒を除き、残った水性残留物を酢酸エチルで処理した。有機相を分離し、5%重炭酸ナトリウムと10%クエン酸と水の水溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除いた。酢酸エチル/n−ヘキサン(3:2)を溶出液としたシリカゲルにおけるフラッシュ・クロマトグラフィにより残留物を精製し、油性固体として1.07g(94%)のFT28を得た。
FT28の同一性の確認
1H NMR(CDCl3)1.30〜1.48(m、4H)、1.50〜1.68(m、4H)、3.30〜3.48(m、4H)、3.65(m、2H)、3.75(t、J=7Hz、2H)、7.56〜7.73(m、3H)、7.90〜7.94(m、2H)
【0074】
ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基に連結するためのリンカーの合成
新しく蒸留したTHFと共にFT28(0.306g、0.80mmol)を3回共蒸発し、次いでTHF(1.5ml)に溶解した。アルゴンのもとで溶液を撹拌し、ジイソプロピルエチルアミン(0.45g、0.6ml、3.5mmol)を加えた。その後、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホアミダイト(0.2g、0.2ml、0.85mmol)を一滴ずつ加え、反応を1時間撹拌し、その後薄層クロマトグラフィにより反応が完了したことを示した。混合物を希釈し(DCM)、洗浄し(KClaq)乾燥し(Na2SO4)次いで乾燥するまで蒸発させた。残留物をDCM(2ml)に溶解し、次いでドライアイス/アセトンで冷却したヘキサン中で沈殿させることにより精製した。残留物をアセトニトリル(1ml)に溶解し、ゲルマン空気ディスク(0.45mm)に溶液を通し、次いで、乾燥するまで蒸発させた。P25上の真空デシケータで乾燥させる前に残留泡をDCMと共に数回共蒸発した。これによって白色の泡としてCMM267B(0.35g、75%)が得られた。
RfCMM267B=0.79RfFT280.43,DCM/EtOAc1:1, U.V.
【0075】
核酸塩基(FT49)に連結するためのリンカーの合成
FT48として識別される中間生成物を介して図6に示すモデルリンカーを合成した。モデルリンカーは以後FT49として識別する。
【0076】
FT48の合成
フェニルビニルスルホン(1.68g、10mmol)、プロパギルアミン(605mg、11mmol)、及びトリエチルアミン(0.1ml)のメタノール(20ml)溶液を2.5時間環流した。減圧下にて溶媒を除き、2.23g(100%)のFT48を得、更に精製することなく使用した。
FT48の同一性の確認
1H NMR(CDCl3)1.74(br、s、1H)、2.20(t、J=3Hz、1H)3.09(t、J=7Hz、2H)、3.32(t、J=7Hz、2H)、3.40(d、J=3Hz、2H)、7.55〜7.71(m、3H)、7.92〜7.96(m、2H)
【0077】
FT49の合成
FT48(2.0g、9mmol)のジクロロメタン(35ml)溶液をトリエチルアミン(2.5ml)で処理し、0℃に冷却し、続いて無水トリフルオロ酢酸(2.3g、11mmol)で処理した。この温度で1時間40分間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液で反応を止めた。有機相を分離し、水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で乾燥するまで蒸発させた。n−ヘキサン/酢酸エチル(3:1)によるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィにより残留物を精製し、無色の油分として2.77g(96%)のFT49を得た。
【0078】
FT48の同一性の確認
1H NMR(CDCl3) 2.30〜2.40(m、1,H)、3.50(m、2H)、3.93(m、2H)4.28(m、2H)7.54〜7.76(m、3H)、7.85〜7.96(m、2H)
【0079】
核酸塩基(FT59)へのリンカーの連結
5’−(4,4’−ジメトキシトリチル)−5−ヨードウリジン(656mg、1mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(5ml)溶液をFT49(957mg、3mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(5ml)溶液、ヨウ化銅(38mg、0.2mmol)、トリエチルアミン(0.7ml、5mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(115mg、0.1mmol)の順で処理した。室温にて6時間反応混合物を撹拌した。減圧下にてトルエンと共に溶媒を共蒸発によって除いた。残留物をジクロロメタンに溶解し、5%Na2−EDTA、10%チオ硫酸ナトリウム及び水の水溶液にて洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下にて蒸発させた。ジクロロメタン/メタノール(95:5)続いて酢酸エチル/n−ヘキサン/エタノール/トリエチルアミン(65:30:5:1)によるフラッシュ・クロマトグラフィによって残留物を精製し、浅黄色の泡として650mg(77%)のFT59を得た。
【0080】
FT59の同一性の確認
計算した原子組成:C60.91、H4.75、N4.96;測定した組成:C60.73、H4.74、N4.93
1H NMR(CDCl3)2.31(m、1H)、2.51(m、1H)、3.31〜3.66(m、6H)、3.79(s、6H)、4.06〜4.15(m、3H)、4.52(m、1H)、6.31(m、1H)、6.84(d、J=10Hz、4H)、7.20〜7.67(m、14H)、7.87(m、2H)、8.10〜8.18(2s、1H)
MS(FAB)m/z848[M+H]+
【0081】
モデルリンカーFT27及びFT28の質量分析
電気スプレー・イオン化源を備えたプラットホームLC型4極装置(マイクロマス社、英国)で全データを獲得した。水とアセトニトリル50:50の混合物中で5ng/mlのFT28溶液を調製した。アンモニアも0.2%存在した。図8はFT28の陰イオン質量スペクトルを示す。380.1に相対的に小さなピークがあり、単一陽子を差し引いた分子に相当する。このピークを含有する375〜385の領域は図8で250倍に拡大されている。FT28のイオン化によって生じたFT28の主な切断産物に相当する2番目に大きなピークが212.1にある。図9はFT28リンカーが切断される推定メカニズムを示す。
【0082】
FT28においてアミン結合を保護しているトリフルオロ酢酸基が、オリゴヌクレオチド・シンセサイザーの最終脱保護工程で使われる強塩基に対して不安定であることに気付くべきである。これは、高い効率で切断するリンカーを作成するためのオリゴヌクレオチド合成に安定な別の基を見つけ、この基と入れ替えなければならないことを意味している。しかも反応できる機能性をフェニル環の中で置換し、リンカー基として有用であるためにこの物質に必要な第2のハンドルを提供しなければならない。
【0083】
電気スプレーイオン源において切断可能な8つのモデル質量標識の合成
市販の中間生成物から8つのエーテル化合物を合成した。電気スプレーイオン源において切断するリンカーにこれらの化合物を連結した。そのようなリンカーを2つ用いた。1つは、アミド基を保護するトリフルオロ酢酸基を含有し、1つはリンカーにおいて同じアミド基を保護的に保護するメシラートを含有する。このようなリンカーのそれぞれを4つのエーテル質量標識の同じセットに連結し、合計8種類の標識を得る。図10は行った合成の模式図を示す。このような質量標識を合成して電気スプレーイオン源における標識の切断の原理を立証した。結果は、保護基の性質は切断可能なリンカーの機能性には必須ではなく、質量マーカーの性質は切断工程を妨害しないことを示している。従って、このリンカーは、標識の大きなアレイの作成を可能にするような多種多様なエーテル及びポリエーテルの質量標識に適合すべきである。示したマーカーはモデルマーカーであり、検体分子のどれにも連結してはいない。切断可能なリンカーのコアはフェニルビニルスルホンを含んでいる。フェニル環は、例えば、マーカー基を5’−(4,4’−ジメトキシ)トリチル−5−ヨードウリジンと反応させて塩基に連結した質量マーカーを持つヌクレオチドを作成するために使用する可能性がある1,7−オクタジエン(アルドリッチ)に連結することができる、臭素基で置換することができる。同様に、当該技術で周知の常法を用いてヌクレオチド内の他の位置に質量標識を連結するために、臭化フェニルビニルスルホンをオルト保護されている可能性があるプロパギルアルコールと反応させて遊離のヒドロキシル基を提供することができる。このような標識がタンパク質、炭水化物又はその他の生体分子のようなその他の検体と反応することを可能にするために様々なその他の基を導入してもよい。
【0084】
FT116の合成
N−ベンジルオキシカルボニル6−アミノカプロン酸(2.65g、10mmol)のテトラヒドロフラン(15ml)溶液を0℃にて10Mボランジメチルスルフィド錯体のテトラヒドロフラン(2.2ml、22mmol)溶液で処理し、0℃にて1時間、室温にて2時間撹拌した。メタノール(2ml)を慎重に加えることによって反応混合物の反応を止めた。続いて減圧下にて溶媒を除き、メタノール(3x20ml)と共に共蒸発して2.416g(96%)のFT116を得た。非極性の不純物を含有する粗生成物を更に精製することなく次の工程で使用した。
酢酸エチル/n−ヘキサンからの再結晶によって分析用の純粋試料を調製した。
【0085】
T116産物の同一性の確認
融点79〜81℃
計算した原子組成:C66.90,H8.42,N5.57;測定した組成:C67.17,H8.68,N5.67
1H NMR(CDCl3):1.35〜1.64(9H、m)、3.19(2H、dt、J=6.5及び6.5Hz)、3.62(2H、t、J=6.5Hz)、4.79(1H、brs)、5.10(2H、s)、7.26〜7.37(5H、m)
13CNMR(CDCl3):25.31,26.37,29.96,32.57,40.95,62.72,66.64,128.14,128.57,136.76,156.57
化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴った質量スペクトルのピークが得られた:251(M+、<1%)、160,144,130,108,91(100%)
【0086】
FT117/2の合成
FT116(2.3g、9.2mmol)のジクロロメタン(45ml)と無水トリエチルアミン(5ml)溶液を0〜5℃にて塩化メタンスルフォニル(1.375g、12mmol)で処理した。反応混合物15分以内に室温まで暖め、この温度にて4時間撹拌し、ジクロロメタン(50ml)で希釈して、重炭酸ナトリウムと水の5%水溶液で洗浄した(2x)。有機相は硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除いた。n−ヘキサン/酢酸エチル(1:1)を溶出液として用いたシリカゲル(100g)におけるフラッシュクロマトグラフィにて残留物を精製し、2.413g(80%)のFT117/2を得た。
【0087】
FT117/2産物の同一性の確認
融点24〜27℃
計算した原子組成:C54.69,H7.04,N4.25;測定した組成C54.88,H7.07,N4.21
1H NMR(CDCl3):1.32〜1.60(6H、m)、1.76(2H、m)、2.99(3H、s)、3.18(2H、m)、4.21(2H、t、J=6.5Hz)、4.76(1H、brs)、5.10(2H、s)7.26〜7.35(5H、m)
13CNMR(CDCl3):25.09,26.08,29.03,29.82,37.42,40.89,66.66,69.84,128.16,128.58,136.75,156.51
化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた:329(M+、3%)、222,194,126,108,91(100%)
【0088】
FT120、FT121、FT122、FT123の合成−基本手順
水素化ナトリウム(120mg、3mmol)の60%油性懸濁液のN,N−ジメチルホルムアミド(3ml)懸濁液を相当するフェノール(3mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)溶液で処理した。水素発生の終了後、FT117/2(493mg、1.5mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)溶液を加えた。反応混合物を室温にて18時間撹拌し、ジエチルエーテル/n−ヘキサン(1:1、25ml)で希釈した。水(2x)、1Mの水酸化カリウム水溶液(3x10ml)、及び水(2x)で溶液を洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥するまで蒸発させた。n−ヘキサン/酢酸エチル(3:1)を溶出液として用いたシリカゲル(20g)上でのフラッシュ・クロマトグラフィによって相当するフェノールエーテルを得た。
【0089】
FT120生成物の同一性の確認
FT120:収率75%、融点79〜81℃(ジエチルエーテル/n−ヘキサン)
計算した原子組成:C74.44,H6.97,N3.34;測定した組成:C74.51,H6.98,N3.32
1H NMR(CDCl3):1.34〜1.59(6H、m)、1.80(2H、t、J=6.5Hz)、3.21(2H、dt、J=6.5及び6.5Hz)、3.93(2H、t、J=6.5Hz)、4.73(1H、brs)、5.10(2H、s)、6.81〜7.06(7H、m)、7.17〜7.37(7H、m)
13CNMR(CDCl3)25.76,26.48,29.22,29.54,41.05,66.66,68.33,115.59,117.68,120.83,122.46,128.15,128.58,129.65,136.77,150.18,155.50,156.49,158.65
化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた:419(M+、5%)、 311,186(100%)、91,77
【0090】
FT121生成物の同一性の確認
FT121:収率79%、無色の油分
計算した原子組成:C69.54,H7.00,N4.06;測定した組成:C69.34,H7.04,N3.99
1H NMR(CDCl3):1.37〜1.5(6H、m)、1.76(2H、t、J=6.5Hz)、3.20(2H、dt、J=6.5及び6.5Hz)、3.89(2H、t、J=6.5Hz)、4.73(1H、brs)、5.10(2H、s)、6.78〜6.98(4H、m)7.26〜7.37(5H、m)
13CNMR(CDCl3):25.72,26.46,29.17,29.94,41.03,66.65,68.49,115.77,115.62,115.93,128.15,128.58,129.65,136.77,155.29,156.49,158.85
化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた:345(M+、5%)、234,202,112,91(100%)
【0091】
FT122生成物の同一性の確認
FT122:収率72%;融点49〜51℃(ジエチルエーテル/n−ヘキサン)
計算した原子組成:C74.33,H8.22,N3.94;測定した組成:C74.61,H8.33,N3.88
1H NMR(CDCl3):1.25〜1.57(6H、m)、1.75(2H、t、J=6.5Hz)、2.18(3H、s)、2.22(3H、s)、3.19(2H、dt、J=6.5及び6.5Hz)、3.90(2H、t、J=6.5Hz)4.73(1H、brs)、5.10(2H、s)6.61〜6.70(2H、m)、7.01(1H、d、J=8.2Hz)、7.25〜7.36(5H、m)
13CNMR(CDCl3):18.72,19.77,25.78,26.49,29.25,29.95,41.06,66.63,67.81,111.52,116.27,128.13,128.58,130.33,136.77,137.92,156.40,157.33)
化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた:355(M-、15%)、 264,246,212,122,121,107,91(100%)
【0092】
FT123生成物の同一性の確認
FT123:収率80%;融点42〜44℃(ジエチルエーテル/n−ヘキサン)
計算した原子組成:C76.36,H7.21,N3.71;測定した組成:C76.48,H7.23,N3.69
1H NMR(CDCl3):1.30〜1.63(6H、m)、1.93(2H、t、J=6.5Hz)、3.20(2H、dt、J=6.5及び6.5Hz)、4.11(2H、t、J=6.5Hz)、4.74(1H、brs)、5.10(2H、s)、6.78(1H、d、J=7.3Hz)、7.24〜7.50(9H、m)、7.72(1H、m)、8.26(1H、m)
13CNMR(CDCl3):26.01,26.55,29.23,30.01,41.09,66.65,67.99,104.67,120.11,122.11,125.15,125.87,125.96,126.39,127.51,128.15,128.58,134.63,136.97,137.92,154.94,156.52
化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた:377(M+、15%)、269,234,165,144,127,115,91(100%)
【0093】
FT126、FT128、FT130、FT132の合成−基本手順
相当するN−ベンジルオキシカルボニル保護フェノールエーテル(1mmol)のメタノール(20ml)溶液を蟻酸アンモニウム(250mg、4mmol)と10%パラジウム・チャコール(80mg)で処理し、室温にて15〜60分撹拌した。セライトの詰め物で反応混合物を濾過した。濾過物を減圧下で乾燥するまで濃縮した。残留物を水/酢酸エチルに溶解し、1Mの水酸化カリウムを加えた。有機相を1Mの水酸化カリウム、水(2x)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除いた。相当する粗精製アミンをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0094】
FT127、FT129、FT131、FT133の合成−基本手順
相当するアミン、FT126、FT128、FT130、又はFT132(1mmol)のエタノール(10ml)溶液をフェニルビニルスルホン(168mg、 1mmol)とトリエチルアミン(0.05ml)で処理し、2時間環流した。減圧下で溶媒を除き、酢酸エチル/トリエチルアミン(100:1)を溶出液としたシリカゲル(20g)のフラッシュ・クロマトグラフィで残留物を精製し、相当する第2級アミンを得た。
【0095】
FT127生成の同一性の確認
FT127:収率82%;無色の油分
計算した原子組成:C68.84,H6.89,N3.09;測定した組成:C69.16,H7.00,N3.00
1H NMR(CDCl3):1.33〜1.49(6H、m)、1.75(2H、dt、J=16及び7Hz)、2.58(2H、t、J=7Hz)、3.02(H、t、J=7Hz)、3.29(2H、t、J=7Hz)、3.93(2H、t、J=7Hz)、6.85〜7.06(7H、m)、7.26〜7.32(2H、m)、7.55〜7.69(3H、m)、7.91〜7.94(2H、m)
化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた:453(M+、3%)、312,298,285,268,198(100%)、186,168,141,125,100,77
【0096】
FT129生成物の同一性の確認
FT129:収率78%;無色の油分
計算した原子組成:C63.30,H6.91,N3.69;測定した組成:C63.50,H6.96,N3.65
1H NMR(CDCl):1.33〜1.49(6H、m)、1.73(2H、dt、J=16及び7Hz)、2.57(2H、t、J=7Hz)、3.02(2H、t、J=7Hz)、3.29(2H、t、J=7Hz)、3.90(2H、t、J=7Hz)、6.80〜6.85(2H、m)、6.92〜7.00(2H、m)、7.55〜7.69(3H、m)、7.91〜7.94(2H、m)
13CNMR(CDCl3):25.92,26.96,29.21,29.87,43.16,49.46,56.16,68.56,115.48,115.61,115.92,128.01,129.40,133.83,139.61,155.33,158.83
化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた:380[M+1]+(1%)、378[M−1]+(1%)、287,268,198(100%),141,125,126,112
【0097】
FT131生成物の同一性の確認
FT131:収率93%;無色の油分
計算した原子組成:C67.83,H8.02,N3.60;測定した組成:C67.89,H8.06,N3.55
1H NMR(CDCl3):1.31〜1.49(6H、m)、1.75(2H、dt、J=16及び7Hz)、2.18(3H、s)、2.22(3H、s)、2.56(2H、t、J=7Hz)、3.01(2H、t、J=7Hz)、3.29(2H、t、J=7Hz)、3.91(2H、t、J=7Hz)、6.62(1H、dd、J=9及び2.5Hz)、6.70(1d、J=2.5Hz)、7.01(1H、d、J=9Hz)、7.55〜7.69(3H、m)、7.90〜7.94(2H、m)
13C NMR(CDCl3):18.72,19.97,25.97,26.98,29.29,29.89,43.17,49.48,56.17,67.87,111.52,116.27,128.02,128.48,129.41,130.32,133.83,137.61,139.61,157.35化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた:389(M+、2%)、268,198(100%)、141,126,122,107
【0098】
FT133生成物の同一性の確認
FT133:収率85%;無色の油分
計算した原子組成:C70.04,H7.10,N3.40;測定した組成:C69.80,H7.13,N3.38
1H NMR(CDCl3):1.35〜1.62(6H、m)、1.92(2H、dt、J=16及び7Hz)、2.56(2H、t、J=7Hz)、3.02(2H、t、J=7Hz)、3.28(2H、t、J=7Hz)、4.13(2H、t、J=7Hz)、6.89(1H、dd、J=8及び1.3Hz)7.33〜7.68(7H、m)、7.78(1H、m)、7.90〜7.94(2H、m)、8.27(1H、m)
13C NMR(CDCl3):26.18,27.00,29.23,29.92,43.18,49.48,56.17,68.02,104.67,120.07,122.11,125.11,125.97,126.37,127.49,128.02,129.39,133.81,134.62,139.61,154.96
化合物をイオン化する電子衝撃イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた:411(M+、5%)、268,198(100%)、144,126,125,115,100
【0099】
FT134、FT135、FT136、FT137の合成−基本手順
相当する第2級アミンFT127、FT129、FT131又はFT133(0.12mmol)の無水ジクロロメタン(2ml)溶液をトリメチルアミン(0.25ml)で処理し、最終的には0℃にて無水トリフルオロ酢酸(0.05ml、0.37mmol)で処理した。この温度で反応混合物を20分間撹拌し、メタノール(0.25ml)で処理する。減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させ、n−ヘキサン/酢酸エチル(2:1)によるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィによって精製して、相当するトリフルオロアセトアミド、FT134、FT135、FT136、及びFT137を得た。
【0100】
FT134生成物の同一性の確認
FT134:収率93%;非晶性固体
1H NMR(CDCl3):1.34〜1.84(8H、m)、3.30〜3.48(4H、m)、3.76(2H、m)、3.95(2H、m)、6.84〜7.10(7H、m)、7.27〜7.33(2H、m)7.55〜7.73(3H、m)、7.90〜7.95(2H、m)
化合物をイオン化するためにアンモニアによる化学反応イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた;567[M+NH4+(100%)、549[M]+、475,427,399,381,186
【0101】
FT135生成物の同一性の確認
FT135:収率82%;非晶性固体
1H NMR(CDCl3):1.34〜1.82(8H、m)、3.30〜3.48(4H、m)、3.76(2H、m)、3.90(2H、m)6.79〜6.85(2H、m)、6.92〜7.00(2H、m)、7.55〜7.73(3H、m)、7.90〜7.95(2H、m)
MS(Cl、NH3):493[M+NH4+(100%)、475[M]+、381,353,351,325,186
【0102】
FT136生成物の同一性の確認
FT136:収率98%;非晶性固体
1H NMR(CDCl3):1.30〜1.81(8H、m)、2.19(3H、s)、2.23(3H、s)、3.30〜3.48(4H、m)、3.77(2H、m)、3.92(2H、m)、6.64(1H、dd、J=9.5及び2.5Hz)、6.71(1H、d、J=2.5Hz)、7.02(1H、d、J=9.5Hz)、7.55〜7.73(3H、m)、7.90〜7.95(2H、m)
化合物をイオン化するためにアンモニアによる化学反応イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた;503[M+NH4+、485[M]+、383,363,335,318,241,186,122,43(100%)
【0103】
FT137生成物の同一性の確認
FT137:収率80%;非晶性固体
1H NMR(CDCl3):1.34〜1.49(2H、m)、1.55〜1.72(4H、m)、1.87〜1.99(2H、m)、3.30〜3.48(4H、m)、3.72(2H、m)、4.15(2H、m)、6.80(1H、dd、J=8.5及び1.5Hz)、7.33〜7.70(7H、m)、7.80(1H、m)、7.89〜7.94(2H、m)8.27(1H、m)
化合物をイオン化するためにアンモニアによる化学反応イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた;525[(M+NH4+100%]、[505(M+1)+]、385,383,357,340,186,160,140
【0104】
FT142、FT143、FT146、FT147の合成−基本手順
相当する第2級アミン、FT127、FT129、FT131、又はFT133(0.06mmol)の無水ジクロロメタン(2ml)溶液をトリエチルアミン(0.1ml)で処理し、最終的には0℃にて塩化メタンスルフォニル(0.1ml、0.13mmol)で処理した。反応混合物をこの温度で20分間撹拌し、メタノール(0.1ml)で処理した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥するまで蒸発させ、n−ヘキサン/酢酸エチル(2:3)によるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィによって精製して、相当するスルホンアミンFT142、FT143、FT146、及びFT147を得た。
【0105】
FT142生成物の同一性の確認
FT142:収率86%;非晶性固体
1H NMR(CDCl3):1.34〜1.83(8H、m)、2.83(3H、s)、3.20(2H、t、J=9Hz)、3.41〜3.47(2H、m)、3.57〜3.62(2H、m)、3.94(2H、t、J=7Hz)、6.84〜7.07(7H、m)、7.26〜7.33(2H、m)、7.57〜7.70(3H、m)、7.91〜7.95(2H、m)
MS(DCl、NH3):549[M+NH4+100%、531M+、409,381,223,186
【0106】
FT143生成物の同一性の確認
FT143:収率88%;非晶性固体
1H NMR(CDCl3):1.30〜1.65(6H、m)、1.71〜1.81(2H、m)、2.83(3H、s)、3.19(2H、t、J=9Hz)、3.41〜3.47(2H、m)、3.56〜3.62(2H、m)3.91(2H、t、J=7Hz)、6.79〜7.01(4H、m)、7.57〜7.72(3H、m)、7.91〜7.95(2H、m)
化合物をイオン化するためにアンモニアによる化学反応イオン化法を用いた化合物の質量分析では、以下の質量対荷電比を伴ったイオンが得られた;475[M+NH4+、458[M+H]+、363,307,238,186
【0107】
FT146生成物の同一性の確認
FT146:収率89%;非晶性固体
1H NMR(CDCl3):1.32〜1.63(6H、m)、1.70〜1.80(2H、m)、2.19(3H、s)、2.23(3H、s)、2.82(3H、s)、3.18(2H、t、J=9Hz)、3.41〜3.47(2H、m)、3.55〜3.62(2H、m)、3.92(2H、t、J=7Hz)、6.63(1H、dd、J=9.5及び3Hz)、6.71(1H、d、3Hz)、7.02(1H、d、J=9.5Hz)、7.56〜7.72(3H、m)、7.91〜7.95(2H、m)
MS(DCl、NH3):485[M+NH4+(100%)、467[M]+、 363,345,317,248,186,122
【0108】
FT147生成物の同一性の確認
FT147:収率99%;非晶性固体
1H NMR(CDCl3):1.35〜1.47(2H、m)、1.54〜1.67(4H、m)、1.88〜1.98(2H、m)、2.81(3H、s)、3.20(2H、t、J=9Hz)、3.41〜3.47(2H、m)3.55〜3.62(2H、m)、4.14(2H、t、J=7Hz)、6.80(1H、d、J=8.5Hz)、7.32〜7.51(4H、m)、7.54〜7.7(3H、m)、7.80(1H、m)、7.91〜7.95(2H、d、J=8Hz)、8.27(1H、m)
MS(DCl、NH3):507[M+NH4+、490[M]+、 365,339,322,206,186(100%)
【0109】
FT134、135、136、137及びFT142、143、146、147のESI−MS分析
電気スプレーイオン化源を備えたプラットホームLC4極装置(英国;マイクロマス社)によって8種の化合物、FT134、135、136、137及びFT142、143、146、147を分析した。水とアセトニトリルの50:50混合液で各マーカーの溶液を準備した。溶媒中には0.2%の濃度でアンモニアも存在した。図11から図18はそれぞれ、FT134、135、136、137及びFT142、143、146、147の陰イオン質量スペクトルを示している。各例では、検出可能な分子イオンはなく、陰イオン切断産物に相当するスペクトルの主要なピークを各例で同定する。このようなスペクトルではすべて多くの余分なピークがある。このようなもので最も重要なのは、それぞれ、荷電していない、切断されていない質量マーカーを伴った蟻酸及び酢酸に相当する切断されていないマーカーに45ダルトン及び59ダルトンが加わった付加物の分子質量に相当する質量で生じる。質量分析計のイオン源における以前使用したものからの混入もあった。
【0110】
フェニルビニルスルホンのビニル二重結合へのタンパク質アルブミンのアミノ基の付加
アセトニトリルと水のような有機溶媒の混合物では、アルブミンの溶解性は中性塩を添加することにより高まる。7mgのタンパク質をアセトニトリル/水(75%アセトニトリル(ACN))の溶媒混合物1mlに溶解した。濁った溶液にNaClの1モル溶液を2滴及びトリエチルアミン(TEA)を2滴加えた。塩を添加した後、溶液は透明になった。アルブミンの透明な溶液にACN1ml中の6mgのフェニルビニルスルホン(PVS)を加えた。室温にて一晩、反応混合物を撹拌した。減圧下で溶媒を蒸発させた。固体残留物を少量のメタノールと極少量の塩に溶解し、沈殿物は濾過して除いた。濾過物を蒸発により減量し、最終産物をエーテルから結晶化して6.5mgの白色固体を得た。蒸留した酢酸エチルにて数回、固体を洗浄して過剰なPVSを除いた。最後に洗浄したものを分析用とし、減圧下で固体を乾燥した。
【0111】
PVS(CH=CH2SO2Ar)の親分子イオン168m/zに由来するArSO+断片に特徴的な125m/z比ピークの検出を行うために、GC−MS装置をまず補正し、調整した。ブランクの溶媒(純粋な酢酸エチル)も前にPVSを標識したアルブミンを洗浄した酢酸エチルも125m/zのピークは示さなかった。このことは、修飾したタンパク質には極微量の遊離のPVSも混入していないことを意味している。
【0112】
修飾したタンパク質からのフェニルビニルスルホンの切断
2mlのMeOH中の5mgの付加化合物(アルブミン−フェニルビニルスルホン)を室温にて2時間、2滴の硫酸ジメチルと反応させた。2mlのジクロロメタン(DCM)に溶解した5.2mgの第4級アンモニウム塩を2滴のジイソプロピルエチルアミン(DIEA)で処理した。室温にて2時間、反応混合物を撹拌した。次いで溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチルに入れ、水で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の蒸発後、残留物を1mlの酢酸エチルに溶解してGC−MSによって分析した。フェニルビニルスルホン断片に特徴的なm/zピーク125は容易に検出された。切断された化合物の濃度をモニターし、既知量で存在する内部標準と比較した;2.5x10-6モルのPVSが観察され、それは修飾の間にタンパク質に結合したPVSの量に近いものである。
【0113】
アルブミン及びウシ血清アルブミンにおけるシステイン残基のPVSへの付加アルブミン又はウシ血清アルブミン(シグマ)をアセトニトリル/水の混合物に溶解した。トリエチルアミンを溶液に加え、窒素のもとに5分間置いた。次いでPVSを加え、室温にて15分間だけ反応混合物を撹拌した。PVSで標識したタンパク質は一部がニンヒドリンと反応すると、紫色の生成物となり、遊離のアミン基が存在することを示していた。標識反応の後、室温にて溶媒を蒸発させ、各タンパク質からの残留物はエーテルで沈殿させ、濾過によって回収した。酢酸エチルで固体を数回洗浄し、減圧下で乾燥した。
【0114】
チオ標識したアルブミン及びBSAからのPVSの末端脱離
両試料(PVSチオ標識したアルブミン及びBSA)は、溶液として(水/アセトニトリル、75%ACN)GC−MSに注入した場合、末端で脱離したスルホンに相当するm/z125で独特のピークを持っていた。ポリアクリルアミドゲル上でドデシル硫酸ナトリウム(SDS−PAGE)によって電気泳動で分離し、当該技術で周知の常法を用いて回収するPVS標識のアルブミン及びBSAを用いた実験でも、GC−MSによって分析するときPVSの特徴であるm/z125でピークを生じた。
【0115】
水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウムメタノール溶液によるチオ−スルホンの処理
PVSで標識したタンパク質はSDS−PAGEの条件下で安定である。電気的に維持したpH勾配上でタンパク質を分離する等電点電気泳動法によってタンパク質を分析できることが望ましい。タンパク質はその実効電荷に従って分離され、タンパク質の実効電荷がなくなるpHに集まってくる。特定のタンパク質は強い塩基性であり、極めて高いpHに集まり、数時間にわたって塩基性条件に曝される可能性がある。PVSチオール誘導体が塩基性条件で安定かどうかを評価するために、1MのNaOH水溶液及び1MのNaOHメタノール溶液の存在下で様々なPVSチオール標識化合物を長時間インキュベートした。
【0116】
アセトニトリル中のS−(フェニル−エチルスルフォニル)オクチルチオールを1MのNaOH水溶液で24時間処理し、その後出発物質を完全に回収した。アセトニトリル中のS−(フェニル−エチルスルフォニル)システインメチルエステルは1MのNaOH水溶液で24時間処理した場合、2時間後、薄層クロマトグラフィ(TLC)板からのUV刺激の放射によって、スルホンの軽い切断が観察された。しかし24時間後、たった9.5%のスルホンしか切断されていなかった。出発物質の残基は、1H−NMRによって示されるように回収された。無水酢酸によるS−(フェニル−エチルスルフォニル)システインメチルエステルのアセチル化によってS−(フェニル−エチルスルフォニル)アセチルシステインメチルエステルが合成された。アセトニトリル中のこの化合物も1M水溶液によって24時間処理した。TLCによってきわめて軽い切断が認められた。しかし24時間後、切断されたスルホンの比率は7%にすぎなかった。残基の出発物質は回収され、1H−NMRのスペクトルは記録された。NaOHメタノール溶液中のこれらの化合物の分析からも同様の結果が得られた。標識されたチオールに極めて近傍の遊離アミン基はPVS−チオール誘導体の切断を増すと思われる。チオール残基の大半は、タンパク質のN末端にないので、タンパク質の標識試薬としてスルホンを使用する場合、この影響は問題とはならないはずである。さらに、典型的な等電点電気泳動分画では、1MのNaOHはpH14であるのに対してほとんどの塩基性pHは約12である。
【図面の簡単な説明】
本発明はここで、付随する図面に関連して、例示のみの方法によってさらに詳述に記述する。
【図1】 本発明での使用のための一般的なリンカーを示す。
【図2】 本発明で使用したモデルリンカー、FT27を示す。
【図3】 本発明で使用したモデルリンカー、FT28を示す。
【図4】 FT27及びFT28の合成の略図を示す。
【図5】 ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの5’水酸基の接着のためのリンカーである、CMM267Bの合成の略図を示す。
【図6】 FT48及びFT49の合成の略図を示す。
【図7】 FT59を形成するためのヌクレオ塩基へのリンカー(FT49)の接着についての略図を示す
【図8】 FT28の陰イオン質量スペクトルを示す。
【図9】 それによってF28が開裂する、可能性のある機構を示す。
【図10】 電子噴霧イオン源内で開裂可能な連続する質量標識の合成の概略図を示す。
【図11】 電子噴霧イオン源中で開裂可能なリンカーに接着するエーテル質量マーカーであるFT134の電子噴霧質量スペクトルを示す。
【図12】 電子噴霧イオン源中で開裂可能なリンカーに接着するエーテル質量マーカーであるFT135の電子噴霧質量スペクトルを示す。
【図13】 電子噴霧イオン源中で開裂可能なリンカーに接着するエーテル質量マーカーであるFT136の電子噴霧質量スペクトルを示す。
【図14】 電子噴霧イオン源中で開裂可能なリンカーに接着するエーテル質量マーカーであるF137の電子噴霧質量スペクトルを示す。
【図15】 電子噴霧イオン源中で開裂可能なリンカーに接着するエーテル質量マーカーであるF142の電子噴霧質量スペクトルを示す。
【図16】 電子噴霧イオン源中で開裂可能なリンカーに接着するエーテル質量マーカーであるF143の電子噴霧質量スペクトルを示す。
【図17】 電子噴霧イオン源中で開裂可能なリンカーに接着するエーテル質量マーカーであるF146の電子噴霧質量スペクトルを示す。
【図18】 電子噴霧イオン源中で開裂可能なリンカーに接着するエーテル質量マーカーであるF147の電子噴霧質量スペクトルを示す。

Claims (38)

  1. 分析物の特性評価方法であって、下記(a),(b)及び(c)工程を有することを特徴とする分析物の特性評価方法。
    (a) 分析物が、開裂可能なリンカーによって、分析物を同定可能でありかつ分析物に結合可能なリポーター基に接着されている化合物を提供する工程であって、前記リポーター基が質量分析によって検出可能な質量マーカーを含んでいる、前記工程
    ただし、前記化合物は、下記式で表される。
    Figure 0003692299
    前記式において、Rがリポーター基を含み、R’が分析物を含む、又はRが分析物を含み、R’がリポーター基を含む、のいずれかである。また、前記式において、nは1又は2を表す。
    (b) 前記分析物から、前記リポーター基が開裂する工程。
    (c) 前記リポーター基を同定することにより、前記分析物の特性評価を行う工程。
  2. R及び/又はR’が共有結合を有し、前記分析物及び/又はリポーター基が、開裂可能なリンカーに該共有結合によって接着している請求項1に記載の分析物の特性評価方法。
  3. 前記共有結合が、−CO−NH−基、−NH−CO−NH−基、−NH−CS−NH基、−CH2−NH−基、−SO2−NH−基、−NH−CH2−CH2−基、又はOP(=O)(O)O−基から、独立して選択される請求項2に記載の分析物の特性評価方法。
  4. Rが、SOn基と、リポーター基又は分析物との間に、置換もしくは無置換芳香環基、脂肪環基、又はヘテロ環基を含む、請求項1から3のいずれかに記載の分析物の特性評価方法。
  5. Rが、SOn基とリポーター基又は分析物との間に、フェニル、ピリジル、ピラニル、ナフチル、アントラシル、ピレニルから選択された置換もしくは無置換基、前記縮合環誘導体、又はヘテロ芳香族類似体を含む、請求項4に記載の特性評価方法。
  6. 前記フェニル基が、下記式で表される請求項5に記載の分析物の特性評価方法。
    Figure 0003692299
    前記式においてR2−R6のうち1つがリポーター基又は分析物を含み、残りのR2−R6基は独立して水素、D、F、メチル、メトキシ、ヒドロキシ及びアミノ基からなる群から選択される
  7. R’基が、SOn基に対してβ位にあるC原子と、リポーター基及び/又は分析物との間に、−S−、−SO−、−NR1−、及び−O−から選択される基を含む請求項1から6のいずれかに記載の分析物の特性評価方法。
  8. 1基が、電子吸引基である、請求項7に記載の分析物の特性評価方法。
  9. 1が、水素原子、ハロゲン原子、あるいはカルボニル基及び/又はハロゲン原子を含んでいる置換基である、請求項8に記載の分析物の特性評価方法。
  10. 1が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロアセチル基又はトリフルオロメチル酢酸基である、請求項9に記載の分析物の特性評価方法。
  11. 前記化合物が下記式で表される請求項1に記載の分析物の特性評価方法。
    Figure 0003692299
    前記式において、R1は、電子吸引置換基を表す。Xがリポーター基を含み、X’が分析物を含む、又はXが分析物を含み、X’がリポーター基を含む、のいずれかである。それぞれのハンドルは、同一又は異なるものであり、X基を、それぞれフェニル環及びN原子に直接接着している一重結合、あるいはX基を、それぞれフェニル環及びN原子へ接着することが可能な反応基である。
  12. 1が水素原子、ハロゲン原子、あるいはカルボニル基及び/又はハロゲン原子を含んでいる置換基である、請求項11に記載の分析物の特性評価方法。
  13. それぞれのハンドルが、−CO−NH−基、−NH−CO−NH−基、−NH−CS−NH基、−CH2−NH−基、−SO2−NH−基、−NH−CH2−CH2−基、又はOP(=O)(O)O−基から、独立して選択される、請求項11又は請求項12に記載の分析物の特性評価方法。
  14. 前記分析物が生物学的分子を含む、請求項1から13のいずれかに記載の分析物の特性評価方法。
  15. 前記生物学的分子が、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、核酸塩基、薬理学的製剤又は薬剤、炭水化物、脂質、天然産物及びコード化された化学的ライブラリーからの合成化合物から選択される、請求項14に記載の分析物の特性評価方法。
  16. 前記生物学的分子であるヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、又は核酸が、天然であるか、あるいは塩基、糖、及び/又は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドもしくは核酸の骨格を修飾することにより合成された請求項15に記載の分析物の特性評価方法。
  17. 前記分析物がシステイン基を含んでいるアミノ酸又はペプチドであり、前記化合物が下記式で表される請求項15又は16に記載の分析物の特性評価方法。
    Figure 0003692299
    前記式において、mは、0又は1を表す。R7をリンカーに接着しているS原子は、システイン基の硫黄原子であり、R7は、アミノ酸又はポリペプチドの残基である。
  18. 前記分析物がアミノ酸又はペプチドであり、前記化合物が下記式で表される請求項15又は16に記載の分析物の特性評価方法。
    Figure 0003692299
    前記式において、N原子はリジン基のイプシロンアミノ基の窒素原子であるか、N−末端アルファアミノ基の窒素原子である。R8はH、O又はN−保護基から選択される。R9はアミノ酸又はポリペプチドの残基である。
  19. 前記分析物が、セリン、スレオニン及び/又はチロシン基を含んでいるアミノ酸又はペプチドであり、前記化合物が下記式で表される請求項15又は16に記載の分析物の特性評価方法。
    Figure 0003692299
    前記式において、O原子はセリン、スレオニン又はチロシン基の水酸基の酸素原子である。R10は、アミノ酸又はポリペプチドの残基である。
  20. 前記質量マーカーが、オリゴエーテル又はポリエーテルを含む、請求項に記載の分析物の特性評価方法。
  21. オリゴエーテル又はポリエーテルが、置換もしくは無置換オリゴ−、又はポリ−アリールエーテルである、請求項20に記載の分析物の特性評価方法。
  22. 前記オリゴエーテル又はポリエーテルが1以上のフッ素原子もしくはメチル基置換基、又は1以上の2Hもしくは13C同位体置換基を含む、請求項20又は請求項21に記載の分析物の特性評価方法。
  23. 前記質量マーカーが金属イオン−結合部位を含む、請求項1から22のいずれかに記載の分析物の特性評価方法。
  24. 前記金属イオン−結合部位が、ポルフィリン、クラウンエーテル、ヘキサヒスチジン又は多座配位リガンドである、請求項23に記載の分析物の特性評価方法。
  25. 前記金属イオン−結合部位が、二座配位リガンド又はEDTAである、請求項24に記載の分析物の特性評価方法。
  26. 前記金属イオン−結合部位が、一価、二価又は三価金属イオンへ結合する、請求項23から25のいずれかに記載の分析物の特性評価方法。
  27. 前記金属イオンが、遷移金属イオン、又は周期表のIA、IIAもしくはIIIA属の金属イオンである、請求項26に記載の分析物の特性評価方法。
  28. 前記金属イオンが、Ni2+、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+又はAl3+である、請求項27に記載の分析物の特性評価方法。
  29. 前記リポーター基を開裂させるために、リンカーを加熱する工程をさらに含む、請求項1から28のいずれかに記載の分析物の特性評価方法。
  30. リポーター基が、質量マーカーであり、質量分析計内で質量マーカーを開裂させる工程をさらに含む、請求項1から29のいずれかに記載の分析物の特性評価方法。
  31. 分析物の特性評価において、リポーター基を分析物に接着するために使用されるリンカー基であって、前記リポーター基は質量分析によって検出可能な質量マーカーを含み、前記リンカー基が開裂可能であり、前記リンカー基が下記式で表されることを特徴とするリンカー基。
    Figure 0003692299
    前記式において、nは1又は2を表す。
  32. 前記分析物が、請求項14から19のいずれかにおいて定義された分析物である請求項31に記載のリンカー基。
  33. 前記リポーター基が、請求項20から28のいずれかにおいて定義されたリポーター基である、請求項31又は請求項32に記載のリンカー基。
  34. 分析物の特性評価において使用される化合物であって、下記式で表されることを特徴とする化合物。
    Figure 0003692299
    前記式においてR1は、電子吸引基である。Xがリポーター基を含み、X’が分析物を含む、又は、Xが分析物を含み、X’がリポーター基を含む、のいずれかである。前記リポーター基は質量分析によって検出可能な質量マーカーを含む。それぞれのハンドルは、同一又は異なるものであり、X基をそれぞれフェニル環及びN原子に直接接着している一重結合、あるいはX基をそれぞれフェニル環及びN原子へ接着することが可能な反応基である。
  35. 1が水素原子、ハロゲン原子、あるいはカルボニル基及び/又はハロゲン原子を含んでいる置換基である、請求項34に記載の化合物。
  36. それぞれのハンドルが、−CO−NH−基、−NH−CO−NH−基、−NH−CS−NH基、−CH2−NH−基、−SO2−NH−基、−NH−CH2−CH2−基、又はOP(=O)(O)O−基から独立して選択される、請求項34又は請求項35に記載の化合物。
  37. 前記分析物が、請求項14から19のいずれかにおいて定義された分析物である、請求項34から36のいずれかに記載の化合物。
  38. 前記リポーター基が、請求項20から28のいずれかにおいて定義されたリポータ基である、請求項34から37のいずれかに記載の化合物。
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