JP3691738B2 - 電線クランプ具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばワイヤーハーネス用の電線を処理する際に使用する電線クランプ具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車用のワイヤーハーネスに使用される電線の端末に、図6に示すような防水コネクタ用端子金具を取り付ける際、例えば、図5に示すような工程順序で電線の加工処理を行なっている。即ち、
▲1▼被覆された電線Wを所定長さに計尺切断する(図5(a)参照)。
▲2▼切断された電線の端部Waにゴム栓1を挿入具Gにより嵌着する(図5(b)、(c)参照)。ゴム栓1は図6に示すように、外周面に複数の環状突起を有する大径筒部2と小径筒部3からなり、中心に電線Wを通す中心孔(図示せず)が形成されている。
▲3▼電線Wの端部Waの被覆を皮剥ぎ刃Cによって剥ぎ取って芯線(導体)Wbを露出させる(図5(d)(e)参照)。
▲4▼固定下型LDと移動上型UDとによって、端子金具Tの被覆挟持片Taをゴム栓1の小径筒部3に抱き付けるように圧着すると共に、芯線挟持片Tbを芯線Wbに抱き付けるように圧着して、皮剥ぎされた電線Wの端部Waにゴム栓1と共に端子金具Tを圧着する(図5(f)(g))。
【0003】
このような電線端末の加工処理を円滑、確実に行うために、電線Wを各加工処理装置の所定位置に速やかに位置決めしてクランプする必要がある。このために、従来、図7に示すような電線クランプ具4が使用されている。
この電線クランプ具4は、電線Wを挟んでクランプする第1クランプ部材5と第2クランプ部材6を対向して配置し、第1クランプ部材5と第2クランプ部材6の電線挟持側の内面にそれぞれ半円形状の切欠溝5a、6aを形成してなるものである。
【0004】
そして、電線Wをクランプするときには、第1クランプ部材5と第2クランプ部材6とを離反させ、電線Wをマニピュレータや作業ロボット等の電線ハンドリング装置(図示せず)で把持し、該ハンドリング装置で電線Wを、第1クランプ部材5の切欠溝5aと、第2クランプ部材6の切欠溝6aが対向する位置まで移動させてセンター位置決めを行う。次に、第1クランプ部材5と第2クランプ部材6を接近させて突き合わせる。これにより、前記切欠溝5a、6aに電線Wを係合させると共に、第1、第2クランプ部材5、6で電線Wを押圧し、挟んで締め付ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電線クランプ具4は、第1クランプ部材5と第2クランプ部材6で電線Wをクランプする際、電線Wを電線ハンドリング装置で把持し、この電線Wを第1、第2クランプ部材5、6の切欠溝5a、6aが対向する位置まで移動させ、センター位置決めを行う必要がある。このため、電線Wを第1、第2クランプ部材5、6の所定位置まで移動させて位置決めする作業が煩雑で能率が悪い。
また、この位置決め作業を簡単、容易に行うためには、作業ロボット等の高価な電線ハンドリング装置を使用する必要があり、設備費用が高くなる。
更に、第1、第2クランプ部材5、6に電線Wを位置決めしてクランプしても、電線のクランプ力が弱く、電線加工処理中に該電線Wが位置ずれを起こし、電線の加工処理不良の恐れがある。
【0006】
本発明は上記の問題を解決し、電線クランプ具で電線をクランプする場合に、複雑で高価な電線ハンドリング装置を必要とせず、簡単、容易に電線をクランプ部材に位置決めすることができ、また、電線加工処理中に電線が位置ずれを起こすことがなく、構造簡単で安価な電線クランプ具を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、本発明の請求項1に記載された電線クランプ具は、相対的に移動自在に組み合わされ、電線を挟んでクランプする、複数個のクランプ部材を備え、各クランプ部材はクランプ部材本体とこれより電線側に突出して前記電線を挟むように支持するクランプ片とからなり、これらクランプ部材の少なくとも一つは複数個のクランプ片を有し、電線の長手方向に間隙を隔てて並列配置され、これらクランプ部材の少なくとも一つのクランプ片には、クランプされる電線をこれとの間に遊隙間が生じるように緩挿させる電線貫通孔が形成され、他のクランプ部材のクランプ片には、電線をクランプする先端面に電線挟み溝が形成され、これらクランプ部材のクランプ片同士は交互に行き違うように重なり合って嵌合してなることを特徴とするものである。
【0008】
上記構成によると、電線を本電線クランプ具でクランプする場合には、クランプ部材を開き、クランプ片に電線貫通孔が形成されたクランプ部材の電線貫通孔にクランプされる電線を所定長挿入する。
この際、電線貫通孔は電線との間に遊隙間が生じるように大きく形成されているので、この電線貫通孔に電線を手動、又は手軽な簡易治具を用いて容易に挿入することができる。また、電線を挿入後、クランプ片に電線挟み溝が形成されたクランプ部材を相対的に移動させて、電線貫通孔の内面と電線挟み溝との間に電線を挟み、押圧して締め付ける。
そうすると、該電線は前記クランプ片に形成された電線挟み溝に係合して、該電線をセンター位置に正しく位置決めすることが可能になり、クランプされる電線を簡単、容易に電線クランプ具に挿入して所定位置に正しく位置決めすることができる。
【0009】
また、電線貫通孔を有する前記クランプ部材が電線を電線クランプ具に案内して位置決めする部材の役目をするので、複雑で高価な電線ハンドリング装置を必要とせず、設備費用を低減することができる。
また、前記電線貫通孔は電線との間に遊隙間が生じるように大きく形成されているので、電線サイズが変わっても、この電線サイズに合わせたものに取り換える手間が減少し、電線クランプのための段取り替えに要する時間を短縮でき、電線をクランプする作業の能率を向上させることができる。
更に、電線を少なくとも3個のクランプ片で挟み、締め付けてクランプするので、クランプ力が大きくなり、電線加工処理装置への電線の取付けの際、又は電線加工処理中に、電線が位置ずれを起こすことがなく、電線を良好に加工処理することができる。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載された電線クランプ具は、請求項1に記載されたものにおいて、複数個のクランプ片を有するクランプ部材の各クランプ片に形成された電線貫通孔のうち、電線取出し側の端部側に配置された1又は複数の電線貫通孔の大きさが、それ以外の電線貫通孔のものより大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
上記構成によると、電線がクランプ片の締付(クランプ)作用により蛇行状に屈曲した場合でも、電線の屈曲状態が電線取出し側の端部近傍で緩和されるので、本電線クランプ具より出て来た電線が真直ぐに矯正される。従って、本電線クランプ具でクランプされた電線を種々の電線加工処理装置に円滑に供給することができ、電線を能率よく加工処理することができる利点がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示す電線クランプ具10は、1個の第1クランプ部材11と、これに対し移動自在に組み合わされて、電線Wを挟んでクランプする1個の第2クランプ部材12とを備え、これら部材11、12は、鋼、アルミニウム等の金属材料又はプラスチック材料で出来ている。
【0013】
第1クランプ部材11は、図1(イ)(ロ)に示すように、クランプ部材本体13とこれより電線W側に突出して前記電線Wを挟むように支持する2個の板状のクランプ片14とからなる。そして、2個のクランプ片14、14は、電線Wの長手方向に間隔を隔てて並列配置されている。更に、これらクランプ片14、14にはクランプされる電線Wをこれとの間に遊隙間15が生じるように緩挿させる、例えば、円形状の電線貫通孔16が同軸状に形成されている。
【0014】
第2クランプ部材12は、図1(イ)(ハ)に示すように、クランプ部材本体17とこれより電線W側に突出して前記電線Wを挟むように支持する1個の板状のクランプ片18とからなる。そして、1個のクランプ片18には、電線Wをクランプする先端面に、例えば、V形状の電線挟み溝19が形成されている。
そして、前記第1クランプ部材11のクランプ片14、14と、第2クランプ部材12のクランプ片18は、第1クランプ部材11のクランプ片14、14間に、第2クランプ部材12のクランプ片18が差し込まれるようにして、交互に行き違うように重なり合って嵌合するように組み合わされ、図示しないハウジングに支持されている。
【0015】
前記電線クランプ具10を用いて電線Wをクランプする場合には、第1、第2クランプ部材11、12を開き、第1クランプ部材11のクランプ片14に形成された電線貫通孔16にクランプされる電線Wを所定長挿入する。次に、第2クランプ部材12を第1クランプ部材11側に移動させて、電線貫通孔16の内面と電線挟み溝19との間に電線Wを挟み、押圧して締め付ける。
【0016】
この場合、電線貫通孔16は電線Wとの間に遊隙間15が生じるように大きく形成されているので、この電線貫通孔16に電線Wを手動、又は手軽な簡易治具を用いて容易に挿入することができる。また、電線Wを挿入後、電線貫通孔16の内面と電線挟み溝19との間に電線Wを挟み、押圧して締め付ける際、該電線Wは電線挟み溝19に係合するので、該電線Wをセンター位置に正しく位置決めすることが可能になり、クランプされる電線Wを簡単、容易に電線クランプ具10に挿入して所定位置に正しく位置決めすることができる。
【0017】
また、前記第1、第2クランプ部材11、12が電線Wを電線クランプ具10に案内して位置決めする部材の役目をするので、複雑で高価な電線ハンドリング装置を必要とせず、設備費用を低減することができる。
また、前記電線貫通孔16は電線Wとの間に遊隙間15が生じるように大きく形成されているので、電線サイズが変わっても、この電線サイズに合わせたものに取り換える手間が減少し、電線クランプのための段取り替えに要する時間を短縮でき、電線Wをクランプする作業の能率を向上させることができる。
更に、電線を3個のクランプ片14、18で挟み、締め付けてクランプするので、クランプ力が大きくなり、電線切断、ゴム栓嵌着、電線被覆剥取り等、電線加工処理装置への電線の取付けの際、又は電線加工処理中に、電線が位置ずれを起こすことがなく、電線を良好に加工処理することができる。
なお、前記説明では、電線Wをクランプする場合、前記第2クランプ部材12の方を移動させたが、前記第1クランプ部材11の方を移動させるか、或いは、第1、第2クランプ部材11、12の双方を移動させて、両クランプ部材11、12を閉じ、電線Wをクランプするようにしてもよい。
【0018】
図2に示す電線クランプ具20は、前記電線クランプ具10の変形例を示す。この電線クランプ具20は、1個の第1クランプ部材21と、これに対し移動自在に組み合わされて、電線Wを挟んでクランプする1個の第2クランプ部材22とを備え、これら部材21、22は、鋼、アルミニウム等の金属材料又はプラスチック材料で出来ている。
【0019】
第1クランプ部材21は、図2(イ)(ロ)に示すように、クランプ部材本体23とこれより電線W側に突出して前記電線Wを挟むように支持する1個の板状のクランプ片24とからなる。そして、このクランプ片24には、クランプされる電線Wをこれとの間に遊隙間25が生じるように緩挿させる、例えば、円形状の電線貫通孔26が形成されている。
【0020】
第2クランプ部材22は、図2(イ)(ハ)に示すように、クランプ部材本体27とこれより電線W側に突出して前記電線Wを挟むように支持する2個の板状のクランプ片28とからなる。そして、これら2個のクランプ片28には、電線Wの長手方向に間隔を隔てて並列配置されている。更に、これらクランプ片28、28には、それぞれ電線Wをクランプする先端面に、例えば、V形状の電線挟み溝29が形成されている。
そして、前記第1クランプ部材21のクランプ片24と、第2クランプ部材22のクランプ片28、28は、第2クランプ部材22のクランプ片28、28が第1クランプ部材21のクランプ片24に跨るようにして、交互に行き違うように重なり合って嵌合するように組み合わされ、図示しないハウジングに支持されている。
【0021】
前記電線クランプ具20を用いて電線Wをクランプする場合には、第1、第2クランプ部材21、22を開き、第1クランプ部材21のクランプ片24に形成された電線貫通孔26にクランプされる電線Wを所定長挿入する。次に、第2クランプ部材22を第1クランプ部材21側に移動させて、電線貫通孔26の内面と電線挟み溝29との間に電線Wを挟み、押圧して締め付ける。
【0022】
この実施形態の電線貫通孔26も電線Wとの間に遊隙間25が生じるように大きく形成されているので、この電線貫通孔26に電線Wを容易に挿入することができる。また、電線Wを挿入後、電線貫通孔26の内面と電線挟み溝29との間に電線Wを挟み、押圧して締め付ける際、該電線Wは電線挟み溝29に係合するので、該電線Wをセンター位置に正しく位置決めすることが可能になり、クランプされる電線Wを簡単、容易に電線クランプ具20に挿入して所定位置に正しく位置決めすることができる。更に、前記したような電線クランプ具10と同じ効果が得られる。
なお、前記説明では、電線Wをクランプする場合、前記第2クランプ部材22の方を移動させたが、前記第1クランプ部材21の方を移動させるか、或いは、第1、第2クランプ部材21、22の双方を移動させて、両クランプ部材21、22を閉じ、電線Wをクランプするようにしてもよい。
【0023】
図3に示す電線クランプ具30は、前記電線クランプ具10、20の更に変形例を示す。この電線クランプ具30は、1個の第1クランプ部材31と、これに対し移動自在に組み合わされて、電線Wを挟んでクランプする1個の第2クランプ部材32とを備え、これら部材31、32は、鋼、アルミニウム等の金属材料又はプラスチック材料で出来ている。
【0024】
第1クランプ部材31は、図3及び図4(イ)(ロ)に示すように、クランプ部材本体33とこれより電線W側に突出して前記電線Wを挟むように支持する5個の板状のクランプ片34A及び2個の板状のクランプ片34Bとからなる。そして、5個のクランプ片34Aは電線挿入側に、2個のクランプ片34Bは電線取出し側の端部側に位置するようにして、電線Wの長手方向に間隔を隔ててくし歯形状に並列配置されている。更に、5個のクランプ片34Aには、図3、図4(イ)に示すように、クランプされる電線Wをこれとの間に遊隙間35Aが生じるように緩挿させる、例えば、円形状の電線貫通孔36Aが同軸状に形成される。また、電線取出し側の端部側の2個のクランプ片34Bには、図3及び図4(ロ)に示すように、該電線Wをこれとの間に遊隙間35Bが生じるように電線貫通孔36Bが同軸状に、しかも、その大きさが、電線貫通孔36Aのものより大きくなるように、即ち、内径が大きくなるように形成されている。
【0025】
第2クランプ部材32は、図3及び図4(ハ)に示すように、クランプ部材本体37とこれより電線W側に突出して前記電線Wを挟むように支持する7個の板状のクランプ片38とからなる。そして、これらクランプ片38は電線Wの長手方向に間隔を隔ててくし歯形状に並列配置されている。更に、これらクランプ片38の電線Wをクランプする先端面に、例えば、V形状の電線挟み溝39が形成されている。
そして、前記第1クランプ部材31のクランプ片34A、34Bと、第2クランプ部材32のクランプ片38は、両部材のクランプ片同士が相互に差し込まれるようにして、交互に行き違うように重なり合って嵌合するように組み合わされ、図示しないハウジングに支持されている。
【0026】
前記電線クランプ具30を用いて電線Wをクランプする場合には、第1、第2クランプ部材31、32を開き、第1クランプ部材31のクランプ片34A、34Bに形成された電線貫通孔36A、36Bにクランプされる電線Wを所定長挿入する。次に、第2クランプ部材32を第1クランプ部材31側に移動させて、電線貫通孔36A、36Bの内面と電線挟み溝39との間に電線Wを挟み、押圧して締め付ける。
【0027】
この実施形態の電線貫通孔36A、36Bも電線Wとの間に遊隙間35A、35Bが生じるように大きく形成されているので、この電線貫通孔36A、36Bに電線Wを容易に挿入することができる。また、電線Wを挿入後、電線貫通孔36A、36Bの内面と電線挟み溝39との間に電線Wを挟み、押圧して締め付ける際、該電線Wは電線挟み溝39に係合するので、該電線Wをセンター位置に正しく位置決めすることが可能になり、クランプされる電線Wを簡単、容易に電線クランプ具30に挿入して所定位置に正しく位置決めすることができる。そのほか、前記したような電線クランプ具10、20と同じ効果が得られる。
【0028】
更に、この実施形態のものでは、第1クランプ部材31のクランプ片34A、34B及び第2クランプ部材32のクランプ片38がくし歯形状に多段に並列配置されているので、電線Wをクランプするクランプ力がより一層大きくなり、電線Wを加工処理する際の位置ずれが生じにくく、電線の加工処理不良をより確実に防止することができ好ましい。
【0029】
また、電線取出し側の端部側の電線貫通孔36Bの大きさ(内径)が、それ以外(電線挿入側及び中間部)の電線貫通孔36Aのものより大きく形成される。このように構成されていると、電線Wがクランプ片の締付(クランプ)作用により蛇行状に屈曲した場合に、電線Wの屈曲状態が電線取出し側の端部近傍で緩和されるので、本電線クランプ具30より出て来た電線が真直ぐに矯正される。従って、本電線クランプ具30でクランプされた電線Wを種々の電線加工処理装置に円滑に供給することができ、電線Wを能率よく加工処理することができる利点がある。なお、前記説明では、電線Wをクランプする場合、前記第2クランプ部材32の方を移動させたが、前記第1クランプ部材31の方を移動させるか、或いは、第1、第2クランプ部材31、32の双方を移動させて、両クランプ部材31、32を閉じ、電線Wをクランプするようにしてもよい。
【0030】
本発明の前記実施形態に示す電線クランプ具10、20、30の電線貫通孔16、26、36A、36Bは円形状に形成したが、楕円形状や、三角形、四角形、菱形等の多角形状に形成してもよい。また、電線挟み溝19、29、39はV形状に形成したが、U形状(半長円形状)、半円形状、半楕円形状、コ字形状に形成してもよい。電線挟み溝をV形状に形成すると、電線の支持が安定するほか、電線サイズの変更にも容易に適応できるので好ましい。
また、前記実施形態のものは、2個のクランプ部材で電線Wをクランプするタイプのものであるが、3個以上のクランプ部材を、これらのクランプ片同士が交互に行き違うように重なり合って嵌合するように組み合わせるタイプにしてもよい。3個のクランプ部材を用いる場合には、これらを周方向に120度の間隔でY型に配置し、また、4個のクランプ部材を用いる場合には、これらを90度間隔で十字型に配置するのが好ましい。
更に、本発明に係る電線クランプ具の取扱い対象である電線は、ワイヤーハーネスその他の導電、超伝導材料を用いた電力、通信用伝送線ばかりでなく、光ファイバ、光ケーブル、ライトガイド、イメージガイド等の光伝送線を含むものである。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載された電線クランプ具は、相対的に移動自在に組み合わされ、電線を挟んでクランプする、複数個のクランプ部材を備え、各クランプ部材はクランプ部材本体とこれより電線側に突出して前記電線を挟むように支持するクランプ片とからなり、これらクランプ部材の少なくとも一つは複数個のクランプ片を有し、電線の長手方向に間隙を隔てて並列配置され、これらクランプ部材の少なくとも一つのクランプ片には、クランプされる電線をこれとの間に遊隙間が生じるように緩挿させる電線貫通孔が形成され、他のクランプ部材のクランプ片には、電線をクランプする先端面に電線挟み溝が形成され、これらクランプ部材のクランプ片同士は交互に行き違うように重なり合って嵌合してなるので、電線を簡単、容易に電線クランプ具に挿入して所定位置に正しく位置決めすることができる。
また、前記クランプ部材が電線を電線クランプ具に案内して位置決めする部材の役目をするので、複雑で高価な電線ハンドリング装置を必要とせず、設備費用を低減することができる。
また、前記電線貫通孔は電線との間に遊隙間が生じるように大きく形成されているので、電線サイズが変わっても、この電線サイズに合わせたものに取り換える手間が減少し、電線クランプのための段取り替えに要する時間を短縮でき、電線をクランプする作業の能率を向上させることができる。
更に、電線を少なくとも3個のクランプ片で挟み、締め付けてクランプするので、クランプ力が大きくなり、電線加工処理装置への電線の取付けの際、又は電線加工処理中に、電線が位置ずれを起こすことがなく、電線を良好に加工処理することができる。
【0032】
また、本発明の請求項2に記載された電線クランプ具は、請求項1に記載されたものにおいて、複数個のクランプ片を有するクランプ部材の各クランプ片に形成された電線貫通孔のうち、電線取出し側の端部側に配置された1又は複数の電線貫通孔の大きさが、それ以外の電線貫通孔のものより大きく形成されている。このような構成になっていると、電線がクランプ片の締付(クランプ)作用により蛇行状に屈曲した場合でも、本電線クランプ具より出て来た電線を真直ぐに矯正することができる。従って、本電線クランプ具でクランプされた電線を種々の電線加工処理装置に円滑に供給することができ、電線を能率よく加工処理することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電線クランプ具の1実施形態を示すもので、(イ)は一部断面正面図、(ロ)は(イ)のX−X線矢視図、(ハ)は(イ)のY−Y線矢視図である。
【図2】本発明に係る電線クランプ具の他の実施形態を示すもので、(イ)は一部断面正面図、(ロ)は(イ)のX−X線矢視図、(ハ)は(イ)のY−Y線矢視図である。
【図3】本発明に係る電線クランプ具の更に他の実施形態を示す一部断面正面図である。
【図4】図3の各部断面を示すもので、(イ)はX−X線矢視図、(ロ)はY−Y線矢視図、(ハ)はZ−Z線矢視図である。
【図5】電線の端末に防水コネクタ用端子金具を取り付ける工程を順序示す説明図である。
【図6】図5に示す工程で製作された防水コネクタ用端子金具の側面図である。
【図7】従来の電線クランプ具を示す概略図である。
【符号の説明】
10、20、30 電線クランプ具
11、21、31 第1クランプ部材
12,22、32 第2クランプ部材
13、17、23、27、37 クランプ部材本体
14、18、24、28、34A、34B クランプ片
15、25 遊隙間
16、26、36A、36B 電線貫通孔
19、29、39 電線挟み溝
35A、35B 遊隙間

Claims (2)

  1. 相対的に移動自在に組み合わされ、電線を挟んでクランプする、複数個のクランプ部材を備え、各クランプ部材はクランプ部材本体とこれより電線側に突出して前記電線を挟むように支持するクランプ片とからなり、これらクランプ部材の少なくとも一つは複数個のクランプ片を有し、電線の長手方向に間隙を隔てて並列配置され、これらクランプ部材の少なくとも一つのクランプ片には、クランプされる電線をこれとの間に遊隙間が生じるように緩挿させる電線貫通孔が形成され、他のクランプ部材のクランプ片には、電線をクランプする先端面に電線挟み溝が形成され、これらクランプ部材のクランプ片同士は交互に行き違うように重なり合って嵌合してなることを特徴とする電線クランプ具。
  2. 複数個のクランプ片を有するクランプ部材の各クランプ片に形成された電線貫通孔のうち、電線取出し側の端部側に配置された1又は複数の電線貫通孔の大きさが、それ以外の電線貫通孔のものより大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の電線クランプ具。
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