JP3691484B2 - トロンビンペプチド誘導体による骨成長の刺激 - Google Patents

トロンビンペプチド誘導体による骨成長の刺激 Download PDF

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Description

【0001】
政府の支援
本発明の全部または一部は、国立衛生研究所から助成金1 R43 AR45508−01および2 R44 AR45508−02を受けてなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願
本願は2000年7月19日に出願された米国特許仮出願第60/219,300の利益を主張し、同仮出願の全教示は参照によって本明細書に組み入れられるものとする。
【0003】
発明の背景
哺乳類の骨組織は、再生し、それにより損傷および他の欠損を修復するというすぐれた能力を有する。例えば、骨成長は、一般に、ほとんどの単純骨折および毛髪様骨折からの完全な回復をもたらすには十分である。しかしながら、残念なことに、許容されうる成果を達成するには骨成長が不十分である損傷、欠損または状態が多くある。例えば、大きな空隙または空間内では通常は骨の再生は起こらない。したがって、骨折は、断片が密集するまで治癒しえない。損傷の結果、かなりの量の骨組織が失われた場合、治癒プロセスは不完全となりえ、望ましくない美容的(cosmetic)および/または機械的結果をもたらす。これは、しばしば、非癒合(non-union )骨折または広範な外傷(massive trauma)に起因する骨損傷を伴う場合である。また、一般に、例えば腫瘍または嚢腫の外科的除去により引き起こされる骨の空隙および分節間隙(segmental gap )では組織の成長は不十分である。別の場合では、骨が通常では見られない、すなわち異所性の場合に骨成長を刺激するのが望ましいことがある。2個以上の椎骨の融合(fuse)を誘導する腰痛(lower back pain) 緩和のための脊椎固定術は、望ましい異所性骨形成の一例である。現在、かかる間隙または分節欠損は、良好な修復または間隙充填のために骨移植を必要とする。効果的な骨移植片置換体の開発は、移植作業のために第2手術部位から骨を集める必要性を削減しえ、それにより、患者が経験する不快感およびドナー部位の治癒合併症(site healing complications)の危険性がかなり低減される。
【0004】
未処置で放置した場合はかかる骨成長が通常は起こらない部位で骨成長を刺激または誘導する化合物は、「骨誘導性(osteoinductive)」であるといえる。骨誘導性化合物は、上述の状態を治療するための薬物として重要でありうる。いくつかの骨誘導性タンパク質が、組換え技術を用いて同定、単離および発現されている。例としては、米国特許第5,902,705号明細書、国際公開第95/16035パンフレットに開示された骨形成因子(BMP)が挙げられる。しかしながら、組換えタンパク質を治療剤として使用することは、一般に、製造コスト、インビボ生分解および短い貯蔵寿命などのいくつかの問題点を有する。その結果、科学者は、上述の短所をもたない新しい骨誘導剤を追求し続けている。
【0005】
発明の概要
非タンパク質分解的トロンビン受容体(non-proteolytically activated thrombin receptor )を活性化する化合物が骨誘導性であることを、ここに見出した。例えば、非タンパク質分解的トロンビン受容体のアゴニストである化合物TP508は、雄ニュージーランドウサギの尺骨に生じた分節の危険な(critical)大きさの欠損における骨成長を刺激する(実施例2)。x線により示され、組織学および機械試験により確認されたように、未処置の対照と比較すると、100μgおよび200μgの投薬量でTP508により誘導される骨形成が有意に増加した。これらの結果に基づいて、被験体において骨成長を刺激する新規な方法および新規な植込み可能な医薬組成物を本明細書に開示する。
【0006】
本発明の一態様は、被験体において骨誘導の必要がある部位で骨成長を刺激する方法である。該方法は、非タンパク質分解的活性化トロンビン受容体のアゴニストの治療有効量を該部位に投与することを含む。
【0007】
本発明の別の態様は、植込み可能な生体適合性担体および非タンパク質分解的活性化トロンビン受容体のアゴニストを含有してなる医薬用組成物である。
【0008】
本発明の方法は、被験体における骨成長を刺激することに関し、自己骨移植片または骨成長因子の投与による処置をせずに、骨成長が起こりえない部位にて用いうる。該方法は、非タンパク質分解的トロンビン受容体のアゴニストの投与を含む。かかるアゴニストには、ヒトプロトロンビンのアミノ酸508〜530のセグメントに対してホモロジーを有する小ペプチドが含まれる。これらの小ペプチドは、大量調製するのに安価であり、低投薬量で骨誘導性である。また、その凍結乾燥形態は、5℃および相対湿度60%で保存した場合、少なくとも30ヶ月間安定である。
【0009】
発明の詳細な説明
「骨誘導性」とは、被験体において、未処置のまま放置した場合ではほとんどまたは全く骨成長が起こりえない部位で骨成長を刺激することをいう。骨成長の誘導により治療の恩恵を受け得る部位を「骨誘導が必要」という。例としては、非癒合骨折または他の重症もしくは広範な骨外傷があげられる。骨成長は、単純骨折または毛髪様骨折などの骨損傷部、ならびに全く逆の複雑骨折で間隙が最小限でさらなる治療と必要としないものでは普通に起こることを特記する。かかる損傷は「骨誘導が必要」とみなされない。
【0010】
単純骨折の修復は、例えば骨腫瘍または嚢腫の除去により引き起こされる非癒合骨折、分節間隙または骨空隙を完全にするのに必要とされる骨形成の誘導とは全く異なるようである。これらの場合は、通常、骨成長置換体として機能する数種類のマトリックスまたは支持体(scaffolding )を用いる骨移植または新しい骨の成長の誘導を必要とする。誘導された骨成長はまた、被験体において骨移植または骨融合が必要な部位などの骨組織が通常見られえない特定の部位(「異所性」部位という)では治療的に有益でありうる。融合は、1個以上の椎骨を隣接するものと物理的に結合することによって腰痛を治療するのによく用いられる。かかる融合により作り出された骨は、通常は骨組織がない部位に存在する。これらの異所性部位での骨誘導は、「移植置換体」として作用しうるものであり、それにより椎骨間に誘導された骨成長が移植片の代わりをし、移植作業のために骨を集める第2の手術の必要性を回避する。骨成長の誘導はまた、後天性および先天性の脳顔面頭蓋および他の骨格または歯科的異常(例えば、Glowackiら、Lancet 1:959(1981)参照のこと)の治療のため、下顎骨などの損失骨置換または骨増加が必要とされる部位での歯科的または歯周の再構築を行なうため、ならびに歯の損失を遅延または予防するために歯周病に起因する歯槽骨損失を補うために必要である(例えば、Sigurdssonら、J.Periodontol.,66:511(1995)を参照)。
【0011】
出願人らは、非タンパク質分解的活性化トロンビン受容体(以下「NPAR」という)を刺激または活性化する化合物が骨誘導性であることを見い出した。かかる化合物は、NPARアゴニストであるといえる。NPARは大半の細胞の表面に存在する高親和性トロンビン受容体である。このNPAR成分は主にトロンビン、タンパク質分解的に不活化されるトロンビン、およびトロンビン由来ペプチドの細胞への高親和性結合を担っている。NPARは、トロンビンによりそのタンパク質分解活性とは無関係に開始されるいくつかの細胞性シグナルを媒介するようである。そのようなシグナルの一例は、アネキシンVおよび差引きハイブリッド形成法によって同定された他の分子のアップレギュレーションである(Sowerら、Experimental Cell Research 247:422(1999)参照)。したがってNPARは、以下に述べるように、細胞表面でトロンビンと高親和性相互作用をすること、およびトロンビンのタンパク質分解的に不活化された誘導体およびトロンビン由来ペプチドアゴニストによって活性化されることを特徴とする。NPARの活性化は、米国特許第5,352,664号および第5,500,412号ならびにGlennら、J.Peptide Research 1:65(1988)に開示されているように、分裂促進濃度未満(submitogenic concentration)のトロンビンの存在下またはプロテインキナーゼCを活性化する分子の存在下で線維芽細胞に添加した場合に細胞増殖を刺激する分子の能力またはトロンビン受容体との高親和性結合に関して125 I−トロンビンと競合する分子の能力に基づいて測定することができる。NPARは、他のトロンビン結合タンパク質、およびトロンビンのタンパク質分解的活性化受容体のクローン化されたファミリー(PAR1、PAR2、PAR3およびPAR4を含む)とは区別されるべきである。PAR1は特異的トロンビン切断部位を持ち、その部位がトロンビン切断されることによって新しいアミノ末端ドメインが露出し、そのアミノ末端ドメインが、自分自身に折り返して自らの活性化を誘導する繋留リガンドとして作用する(Vuら、Cell.64:1057(1991)参照)。PAR2は同様の活性化機序を持つが、主にトリプシン様酵素によって活性化される(Zhongら、J.Biol.Chem.267:16975(1992)参照)。PAR3も同様の活性化機序を持ち、血小板において第2のトロンビン受容体として機能するようである(Ishiharaら、Nature.386:502(1997)参照)。PAR4はマウス巨核球中に検出されており、ヒト血小板中でも機能することが示唆されている(Kahnら、Nature 394:690(1998)参照)。これらのPAR受容体とは対照的に、NPARの活性化はタンパク質分解的切断を必要としない。
【0012】
NPARがPAR受容体とは異なることは、数系統の証拠が示している。すなわち(1)完全に機能的なPAR1受容体を発現するが、NPARシグナル伝達経路に欠損があるためトロンビンに対して非反応性である細胞集団が単離されている(Kimら、J.Cell.Physiol.160:573(1994)参照);(2)好中球は125 I−トロンビンと高い親和性で結合し、好中球の走化性はタンパク質分解的不活化トロンビンまたはNPARアゴニストによって刺激される(RamakrishnanおよびCarney,Mol.Biol.Cell 4:1993(1993)参照)にもかかわらず、好中球はPAR1を発現しない(Jenkinsら、J.Cell Sci.108:3059(1995)参照);(3)IIC9線維芽細胞はPAR1を過剰発現するが、トロンビンと高い親和性では結合しない(Kim,D.博士論文(テキサス大学医学部ガルベストン校、1995年;およびLowら「癌細胞3/成長因子およびトランスフォーメーション(Cancer Cells 3/Growth Factors and Transformation)」コールドスプリングハーバー研究所、ニューヨークを参照);(4)NPARアゴニストは遺伝子発現に対してPAR受容体アゴニストペプチドとは異なる効果を持つ(Sowerら、Experimental Cell Research 247:422(1999)参照)。
【0013】
NPARアゴニストの一例はトロンビンペプチド誘導体、すなわち、アミノ酸数が約50以下、好ましくはアミノ酸数が約30以下であって、プロトロンビンアミノ酸508〜530(配列番号:5)に相当するヒトトロンビンの断片に対して、NPARを活性化するのに十分であるようなホモロジーを持つポリペプチドである。本明細書に記載するトロンビンペプチド誘導体は、好ましくは約12〜23個のアミノ酸、さらに好ましくは14〜23個のアミノ酸、より好ましくは約19〜23個のアミノ酸を持つ。トロンビンペプチド誘導体の一例は、構造式(I):
【0014】
Figure 0003691484
【0015】
によって表される部分を含む。Rはセリンエステラーゼ保存ドメインである。例えばトリプシン、トロンビン、キモトリプシンなどのセリンエステラーゼは高度に保存された領域を持っている。「セリンエステラーゼ保存ドメイン」は、これら保存領域の一つのアミノ酸配列を持つポリペプチドを指すか、または当該トロンビンペプチド誘導体がNPAR活性化能を保つように、これら保存領域の一つに対して十分に相同である。
【0016】
一実施形態において、セリンエステラーゼ保存配列は配列番号:1のアミノ酸配列(Cys−Glu−Gly−Asp−Ser−Gly−Gly−Pro−Phe−Val)または配列番号:1のアミノ酸配列を持つポリペプチドのC末端切形型断片を有する。しかし、セリンエステラーゼ保存配列中の0、1、2または3個のアミノ酸は、配列番号:1中の対応するアミノ酸とは異なりうることが理解される。配列番号:1中の対応するアミノ酸と相違するセリンエステラーゼ保存配列中のアミノ酸は好ましくは同類(conservative)置換であり、より好ましくは高度同類(highly conservative )置換である。「C末端切形型断片」とは、C末端から1個のアミノ酸または一続きのアミノ酸を除去した後に残っている断片を指し、該断片は少なくとも6個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも9個のアミノ酸を持つ。
【0017】
より好ましくは、セリンエステラーゼ保存配列は、配列番号:2のアミノ酸配列(Cys−X1 −Gly−Asp−Ser−Gly−Gly−Pro−X2 −Val;X1 はGluまたはGln、X2 はPhe、Met、Leu、HisまたはValである)またはアミノ酸数が少なくとも6、好ましくはアミノ酸数が少なくとも9であるそのC末端切形型断片を有する。
【0018】
好ましい一実施形態では、トロンビンペプチド誘導体は、セリンエステラーゼ保存配列と、より特異的なトロンビンアミノ酸配列Arg−Gly−Asp−Ala(配列番号:3)を有するポリペプチドとを含む。このタイプのトロンビンペプチド誘導体の一例はArg−Gly−Asp−Ala−Cys−X−Gly−Asp−Ser−Gly−Gly−Pro−X−Val(配列番号:4)を含む。X およびX は上記の定義に従う。トロンビンペプチド誘導体が配列番号:4を含む場合、該誘導体は、配列番号:5のアミノ酸配列(Ala−Gly−Tyr−Lys−Pro−Asp−Glu−Gly−Lys−Arg−Gly−Asp−Ala−Cys−Glu−Gly−Asp−Ser−Gly−Gly−Pro−Phe−Val)またはそのN末端切形型断片を持つことが好ましい。ただし、当該トロンビンペプチド誘導体中の1〜9位にある0、1、2または3個のアミノ酸は、配列番号:5の対応する位置にあるアミノ酸とは異なるものとする。配列番号:5中の対応するアミノ酸と相違するトロンビンペプチド誘導体中のアミノ酸は好ましくは同類置換であり、より好ましくは高度同類置換である。「N末端切形型断片」とは、N末端から1個のアミノ酸または一続きのアミノ酸、好ましくは6個以下の一続きのアミノ酸、より好ましくは3個以下の一続きのアミノ酸を除去した後に残っている断片を指す。
【0019】
TP508はトロンビンペプチド誘導体の一例であり、配列番号:5のアミノ酸配列を持つ。
【0020】
「同類置換」とは、あるアミノ酸を同じ正味の電荷およびほぼ同じ大きさと形状を持つ別のアミノ酸で置き換えることをいう。脂肪族または置換脂肪族アミノ酸側鎖を持つアミノ酸は、側鎖中の炭素およびヘテロ原子の総数の相違が約4以下であれば、ほぼ同じ大きさを持つ。脂肪族または置換脂肪族アミノ酸側鎖を持つアミノ酸は、側鎖中の分枝数の相違が1以下であれば、ほぼ同じ形状を持つ。側鎖にフェニルまたは置換フェニル基を持つアミノ酸は、ほぼ同じ大きさと形状を持つとみなされる。以下に5つのアミノ酸群を挙げる。ポリペプチド中のアミノ酸を同じ群から選択した別のアミノ酸で置換すると同類置換になる。
【0021】
I群:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、およびC1−C4脂肪族またはC1−C4ヒドロキシル置換脂肪族側鎖(直鎖または一分岐)を持つ非天然アミノ酸。
【0022】
II群:グルタミン酸、アスパラギン酸、およびカルボン酸置換C1−C4脂肪族側鎖(非分岐または一分岐点)を持つ非天然アミノ酸。
【0023】
III群:リジン、オルニチン、アルギニン、およびアミンまたはグアニジノ置換C1−C4脂肪族側鎖(非分岐または一分岐点)を持つ非天然アミノ酸。
【0024】
IV群:グルタミン、アスパラギン、およびアミド置換C1−C4脂肪族側鎖(非分岐または一分岐点)を持つ非天然アミノ酸。
【0025】
V群:フェニルアラニン、フェニルグリシン、チロシン、およびトリプトファン。
【0026】
「高度同類置換」とは、あるアミノ酸を、側鎖中に同じ官能基を持ち、かつ、ほぼ同じ大きさと形状を持つ別のアミノ酸で置き換えることをいう。脂肪族または置換脂肪族アミノ酸側鎖を持つアミノ酸は、側鎖中の炭素およびヘテロ原子の総数の相違が2以下であれば、ほぼ同じ大きさを持つ。脂肪族または置換脂肪族アミノ酸側鎖を持つアミノ酸は、側鎖中の分枝の数が同じであれば、ほぼ同じ形状を持つ。高度に保存された置換の例としては、バリンによるロイシンの置換、スレオニンによるセリンの置換、アスパラギン酸によるグルタミン酸の置換、フェニルグリシンによるフェニルアラニンの置換が挙げられる。高度同類置換ではない置換の例としては、アラニンによるバリンの置換、アラニンによるセリンの置換、アスパラギン酸によるセリンの置換が挙げられる。
【0027】
他のNPARアゴニストには、NPARと結合して活性化する小さい有機分子が含まれる。このタイプのアゴニストは、米国特許第5,352,664号および第5,500,412号に開示されているように、ハイスループットスクリーニングによって、例えば分裂促進濃度未満のトロンビンまたはプロテインキナーゼCを活性化する分子の存在下で線維芽細胞に添加した場合に細胞増殖を刺激する分子の能力を評価するアッセイによって簡便に同定することができる。米国特許第5,352,664号および第5,500,412号の全教示は参照によって本明細書に組み入れられるものとする。
【0028】
「NPARアゴニスト」という用語は、NPARを活性化することが知られている化合物および化合物の組み合わせも包含する。その例は、米国特許第5,352,664号および第5,500,412号に開示されており、DIP−α−トロンビンとホルボールミリステートアセテートとの組み合せが挙げられる。
【0029】
本明細書に記載の医薬用組成物における使用のための植込み可能な生体適合性担体は、NPARアゴニストの好適な送達または維持システムとして機能する。生体適合性担体は、無毒性、非炎症性、非免疫原性であり、植込み部位で他の望ましくない反応を起こさないべきである。また、適切な担体は活性成分の放出を提供し、好ましくは植込み部位での長時間にわたる緩徐で持続的放出を提供する。
【0030】
好適な担体には、内部に骨前駆細胞が移動しうる多孔性マトリックスがあげられる。骨形成性細胞は、多くの場合、かかる多孔性マトリックスに付着することができ、次いでこれは骨および組織の成長のための支持体として機能しうる。ある種の用途のためには、担体は、その三次元構造を維持するため、および互いに癒合または移植している骨セグメントの固定化の支持を補助するために十分な機械的強度を有するべきである。組織成長のための支持体を提供する多孔性マトリックスは、骨成長速度を促進し、「骨伝導性(osteoconductive) 」であるといえる。骨伝導性担体は、本明細書に記載の医薬組成物における使用のために非常に好ましい。
【0031】
好適な骨伝導性担体の例には、コラーゲン(例えば、ウシ皮膚コラーゲン)、フィブリン、リン酸カルシウムセラミックス(例えば、ヒドロキシアパタイトおよびリン酸三石灰)、硫酸カルシウム、グアニジン抽出同種異系骨およびその組み合わせが含まれる。いくつかの好適な担体は、ヒドロキシアパタイト、リン酸三石灰および筋原線維性コラーゲンの混合物であるCOLLOGRAFT(Collagen Corporation,Palo Alto,CA)、ならびに海産サンゴ炭酸カルシウムを結晶性ヒドロキシアパタイトに変換して形成したヒドロキシアパタイトバイオマトリックスであるINTERPORE(Interpore International,Irvine CA)などの商品として入手可能である。
【0032】
いくつかの合成生分解性ポリマーは徐放特性を持つ骨伝導性担体として役立ちうる。これらのポリマーの記載は、Behraveshら、Clinical Orthopaedics 367:S118 (1999)およびLichunら、Polymeric Delivery Vehicles for Bone Growth Factors in ”Controlled Drug Delivery−Designing Technologies for the Future” ParkおよびMrsny編、American Chemical Society、ワシントンDC(2000)に見出し得る。これらの参考文献の全教示は参照によって本明細書に組み入れられるものとする。これらのポリマーの例には、ポリ乳酸/ポリグリコール酸のホモポリマーおよびコポリマーなどのポリα−ヒドロキシエステル、ポリホスファゼン(polyphosphazene) (PPHOS)、ポリ無水物およびポリ(プロピレンフマレート)がある。
【0033】
ポリ乳酸/ポリグリコール酸(PLGA)ホモポリマーおよびコポリマーは徐放性ビヒクルとして当技術分野ではよく知られている。当業者はポリ乳酸対ポリグリコール酸比およびポリマーの分子量を変えることによって放出速度を調節することができる(Andersonら、Adv.Drug Deliv.Rev.28:5(1997)参照、この文献の全教示は参照によって本明細書に組み入れられる)。微粒子担体を形成するための配合物としてのポリマーにポリ(エチレングリコール)を含めることにより、活性成分の放出プロフィールをさらに変更することができる(Cleekら、J.Control Release 48:259(1997)参照、この文献の全教示は参照によって本明細書に組み入れられる)。リン酸カルシウムおよびヒドロキシアパタイトなどのセラミックスもまた、機械的特性を向上させるために製剤中に含めることができる。
【0034】
PPHOSポリマーは、ポリマー骨格中に交互に窒素およびリン(phosphorous) を含むが、炭素を含まず、以下の構造式(II):
Figure 0003691484
で示される。ポリマーの性質を、ポリマー骨格に結合する側鎖基RおよびR’の適切なバリエーションによって調整することができる。例えば、PPHOSの分解および薬物放出を、加水分解に対し不安定な側鎖基の量を変えることによって制御することができる。例えば、イミダゾリルまたはエチルグリコール置換PPHOSのいずれかの組み込みが多いほど、分解速度の増加が認められ(全教示が本明細書中に参照により組み込まれるLaurencinら、J.Biomed Mater.Res.27:963(1993)を参照のこと)、それにより薬物放出の速度が増加する。
【0035】
構造式(III)に示すポリ無水物は、様々な量の疎水性または親水性モノマー(セバシン酸および1,3−ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパンなど)を含めることによって制御することができる明確な分解および放出特性を持つ(Leongら、J.Biomed.Mater.Res.19:941(1985)、この文献の全教示は参照によって本明細書に組み入れられる)。機械的強度を向上させるために、多くの場合、無水物をイミドと共重合して、ポリ無水物−コ−イミドを形成させる。整形外科用途に適したポリ無水物−コ−イミドの例は、ポリ(トリメリチルイミド−グリシン−コ−1,6−ビス(カルボキシフェノキシ)ヘキサン、およびピロメリチルイミドアラニン:1,6−ビス(p−カルボキシフェノキシ)ヘキサンコポリマーである。
Figure 0003691484
【0036】
ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)は、注射可能で、in situで重合可能で、生分解性の物質であるので非常に望ましい生体適合性の植込み可能な担体である。「注射可能」とは、ペーストおよびゲルの注射に使用される標準的なニードルを介してシリンジによって物質を注射することができることを意味する。ビニルモノマー(N−ビニルピロリジノン)および開始剤(ベンゾイルペルオキシド)と組み合わせたPPFにより、in situで重合することができる注射可能溶液が形成される。それは、広範な種々の大きさおよび形状の骨格の欠陥を充填するのに特に適している(それらの全教示が本明細書中に参照により組み込まれる、Suggsら、Macromolecules、30:4318、(1997)、Peterら、J.Biomater.Sci.Poly,.Ed.10:363、(1999)およびYaszemskiら、Tissue Eng.1:41(1995)を参照のこと)。リン酸β−トリカルシウムおよび塩化ナトリウムなどの固相成分の添加は、PPFポリマーの機械的特性を向上しうる(Peterら、J.Biomed.Mater.Res.44:314(1999)、その全教示は参照によって本明細書に組み入れられるものとする)。
【0037】
本発明の医薬組成物は、骨誘導の必要がある部位に植込むことにより投与しうる。「植込み」または「部位での投与」とは、NPARアゴニストが医薬組成物から放出されると、治療の必要がある部位で骨誘導が起こる(例えば、NPARアゴニストの存在下で骨成長が起こるが、その非存在下ではほとんどまたは全く成長が起こらない)ように治療の必要がある部位に十分近接させることを意味する。
【0038】
医薬組成物は手術を想定して望ましい形状にしておくか、手術中に医師または技工士の手で形作ることができる。組織欠損部をまたいで新組織の所望する形状をとるようにマトリックスを形作ることが好ましい。非癒合欠損部の骨修復の場合は、例えば、非癒合部をまたぐ寸法を使用することが望ましい。骨形成の過程では、上記材料は身体によってゆっくり吸収され、当該インプラントの形状または当該インプラントの形状に極めて近い形状の骨に置き換わる。あるいはまた、医薬組成物は微粒子またはマイクロスフェアの形態で該部位に投与しうる。微粒子は、外科的に該部位を露出させて微粒子を適用するか、または微粒子を該部位の近傍に塗布、ピペッティング、噴霧、注射などにより適用するかのいずれかにより、骨誘導の必要がある部位に接触または密接して配置される。微粒子はまた、内視鏡検査法または腹腔鏡検査法により該部位に送達しうる。PLGA微粒子の調製および骨成長の刺激のためのその使用を実施例1および2に示す。
【0039】
さらに別の例では、医薬組成物を、骨誘導の必要がある部位に投与する前に、メッシュ、ワイヤーマトリックス、ステンレス鋼ケージ、糸状椎体間融合ケージ(threaded interbody fusion cage)などの物理的支持構造体内に部分的に封入しうる。
【0040】
本発明の医薬組成物を適用する別の例は注射によるのものである。注射可能な組成物には、上述のポリ(プロピレンフマレート)コポリマーの溶液およびリン酸カルシウムセラミックスのペースト(Schmitzら、J.Oral Maxillofacial Surgery 57:1122(1999)参照のこと、その全教示は参照によって本明細書に組み入れられるものとする)が含まれる。注射可能な組成物は、骨誘導が必要な部位に直接注射することができ、空隙を充填するため、および侵襲性手術の必要なく骨を融合させるのに簡便に使用しうる。
【0041】
NPARアゴニストはまた、移植以外の手段、例えばNPARアゴニストを許容可能な医薬用担体内に含有する溶液を該部位に直接またはその付近に適用することにより投与しうる。溶液の投与は、例えば、外科的開口を介するシリンジまたは所望の部位への非経口的投与のいずれかにより間便に行われうる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PAに記載のものなどの標準的な医薬配合技術を用いうる。非経口投与のための適切な医薬用担体には、例えば滅菌水、生理食塩水、静菌生理食塩水(約0.9%mg/mlベンジルアルコールを含有する生理食塩水)、リン酸緩衝生理食塩水、ハンクス溶液、乳酸加リンゲル液などが含まれる。
【0042】
「治療有効量」とは、NPARアゴニストの非存在下ではほとんどまたは全く骨成長が起こりえない場合に骨成長をもたらす該アゴニストの量をいう。通例、アゴニストは、所望の治療または美容効果、すなわち十分な骨成長を達成するのに十分な期間にわたって投与される。投与量は、所望する骨成長の量、被験体の健康状態、大きさ、体重、年齢および性別、ならびに当該医薬製剤の放出特性に依存する。通例、約1μg/日〜約1mg/日のNPARアゴニスト(好ましくは約5μg/日〜約100μg/日)を、連続的放出によって、または骨成長が必要である部位への直接適用によって投与する。
【0043】
本発明のNPARアゴニストまたは植込み可能な医薬組成物は、植込み可能な補綴装具と組み合わせて用いうる。例えば、治療有効量の医薬組成物を、骨誘導が必要な部位に植込み可能に隣接する補綴インプラントの表面に配置させることができる。あるいは、補綴装具を、植込み可能な医薬組成物またはNPARアゴニストが所定の速度で継続的に放出されるように構成する。補綴装具は、金属またはセラミックを含有してなる材料から作製されうる。補綴装具の例には、股関節装具、スクリュー、ロッドおよび脊椎固定用のチタンケージが含まれる。
【0044】
したがって、本発明はまた、被験体の骨誘導が必要な部位内に補綴装具を植込むことにより骨成長を刺激する方法を提供する。補綴装具は、少なくとも部分的に上述の植込み可能な医薬組成物でコートされており、骨誘導の必要がある部位に植込まれ、骨成長の刺激を可能にするのに十分な期間、該部位で維持される。
【0045】
「被験体」は好ましくはヒトであるが、処置を必要とする動物、例えばコンパニオン動物(例:犬、猫など)、農場飼育動物(例:ウシ、ブタ、ウマなど)および実験動物(例:ラット、マウス、モルモットなど)であってもよい。
【0046】
トロンビンペプチド誘導体は固相ペプチド合成(例えばBOCまたはFMOC)法、液相合成、または他の適切な技術(前述の方法の組み合わせを含む)によって合成することができる。確立された方法であって広く使用されているBOC法とFMOC法は、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.88:2149(1963);Meienhofer,Hormonal Proteins and Peptides、C.H.Li編,Academic Press,1983、48〜267頁;ならびにBaranyおよびMerrifield,The Peptides、E.GrossおよびJ.Meienhofer編,Academic Press,ニューヨーク,1980の3〜285頁に記載されている。固相ペプチド合成の方法は、Merrifield,R.B.,Science,232:341(1986);Carpino,L.A.およびHan,G.Y.,J.Org.Chem.,37:3404(1972);ならびにGauspohl,H.ら、Synthesis,5:315(1992)に記載されている。これら6つの文献の教示は、参照により完全な形で本明細書に組み入れられるものとする。
【0047】
以下、実施例によって本発明を例証するが、以下の実施例はなんら限定を意図するものではない。
【0048】
実施例1− TP508のポリ乳酸/ポリグリコール酸コポリマー微粒子の調製 二重乳濁液技術を使用して、TP508を含むポリ乳酸/ポリグリコール酸コポリマー(PLGA)の微粒子を調製した。簡単に述べれば、基質成分を塩化メチレンに溶解し、TP508を水に溶解した。この2つをボルテックスしながら徐々に混合して、水−油(W/O)乳濁液を形成させた。ポリビニルアルコール(0.3%水溶液)を乳濁液に添加し、さらにボルテックスして第2の乳濁液(O/W)を形成させ、それにより以下の二重乳濁液が形成される:PLGA小滴からなる(O/W)乳濁液、および小滴内のTP508水溶液からなる第2の分散相。層分離の際、PLGA小滴は、TP508を保持する空洞を含む分散した微粒子を形成した。微粒子を層分離するために、2%イソプロピルアルコール溶液を添加した。粒子を遠心分離によって回収し、凍結乾燥して残りの水分を除去した。基質組成を変化させて異なる放出速度を有する微粒子を形成した(表1)。
【0049】
【表1】
Figure 0003691484
【0050】
微粒子の平均直径をCoulterカウンターで測定し、薬物包括効率を微粒子の塩化メチレン溶液の秤量試料の溶解および水への放出薬物の抽出後の276nmでの分光光度アッセイによって測定した(表2)。
【0051】
【表2】
Figure 0003691484
【0052】
異なるPLGA基質からのTP508放出を測定するために、20mgの微粒子を1.5mlのポリプロピレン微量遠心分離チューブ中に含まれる1.0mlのPBSに入れた。チューブを37℃でインキュベートし、且つ60rpmで震盪した。種々の測定点で、チューブを遠心分離し、放出TP508を含む上清を取り出し、その後の分析用に凍結した。新鮮なPBSを微粒子に添加し、インキュベーションを継続した。上清中のTP508を276nmの吸光度によって測定した。各製剤について、4連の放出判定を行った。製剤BおよびDは、37℃で28日間のインキュベーションで薬物放出は検出されなかった。残りの製剤は全て検出可能な量のTP508を放出した。ただし、全ての場合3〜4日以内で薬物放出量は検出可能限度未満であった(1μg/mg基質/日未満)。製剤AおよびCは、最も大量にTP508放出を示し、3〜4日にわたり包括薬物を60〜80%放出した。最も速い放出速度を示す製剤Cをin vivo研究でのさらなる試験に選択した。
【0053】
実施例2− TP508を含有するPLGAマイクロスフェアはウサギ尺骨の大きな(1.5cm)欠損における骨形成を誘導する
雄ニュージーランドウサギ20匹の各尺骨に1.5cmの分節欠損を形成した。これらの両側尺骨骨切り術は、振動微小ノコギリの切断刃を指向させるための金属製小ガイドを用いることにより正確に同じ大きさで作製した。各ウサギを自身が対照となるようにした。したがって、左側欠損にはTP508を含有しないマイクロスフェアを充填し、右側欠損には100または200μgのTP508を含有するマイクロスフェアを充填した(10匹/群)。マイクロスフェアを実施例1に記載のようにして調製した。両側尺骨骨切り術を受けたウサギを無作為に2群に分けた。第1群には100μgのTP508を含有するマイクロスフェア(30mg)を右脚に与え、左脚にはマイクロスフェアのみを与えた。第2群も同様に処理したが200μgのTP508を投与した。これらの投薬量の変更は、TP508含有マイクロスフェアおよびTP508無含マイクロスフェアを異なる比率で混合することにより行なった。動物に、第3週から始めて2週間隔でx線をあて、第9週に屠殺した。
【0054】
100μgのTP508は、術後第3および第5週の欠損における鉱化作用を刺激した。第7および第9週でのX線は、第5週に得られたものと類似しているようであった。動物を術後第9週に屠殺し、尺骨−橈骨を取り出し、写真撮影した。ほとんどの場合、対照の脚では尺骨に大きな欠損がなお見られたが、対照的に、TP508処理した脚では欠損の大部分が良好に塞がっていた。
【0055】
術後第9週での屠殺後、ねじり試験(MTS−858 Minibionix機)により修復強度を測定した。結果を表3および4に示す。
【0056】
【表3】
Figure 0003691484
【0057】
【表4】
Figure 0003691484
【0058】
100μgでは、TP508は、試験したすべてのパラメータにより測定した欠損治癒の機械的強度は2倍を越えていた(表3)。より強度の修復は、200μg群で認められ(表4)、ほとんどのパラメータは、低用量治療群でみられたものより約50%大きかった。
【0059】
まとめると、NPARアゴニストTP508含有マイクロスフェアで処置した尺骨骨切り術部は、骨鉱化作用および骨成長の証拠を示したが、骨伝導性マイクロスフェアを投与した対照骨切り術部のほとんどにおいて、骨成長はなく、および/または空隙領域の充填は良好でなかった。機械的強度および剛性の機械試験により、このモデルにおいてTP508の骨形成に対する有意な効果が確認された。TP508はTP508無しでは骨形成が起こらない部位において骨形成を誘導したため、この骨誘導の発見は、TP508なしで治癒しうる骨折または小間隙欠損における通常の骨折治癒の速度をTP508が加速するこれまでの研究とは異なるものである。
【0060】
本発明をその好ましい態様に関して具体的に示し記載したが、当業者は、添付の請求の範囲により包含される本発明の範囲を逸脱することなく本発明において形態および詳細の種々の変更を行いうることが理解される。

Claims (14)

  1. アミノ酸配列Ala−Gly−Tyr−Lys−Pro−Asp−Glu−Gly−Lys−Arg−Gly−Asp−Ala−Cys−Glu−Gly−Asp−Ser−Gly−Gly−Pro−Phe−ValまたはそのN末端切形型断片(ただし、トロンビンペプチド誘導体の前記アミノ酸配列において1〜9位にある0、1、2または3個のアミノ酸は該アミノ酸配列の対応する位置のアミノ酸と異なる)を有するトロンビンペプチド誘導体を含有してなり、該トロンビンペプチド誘導体が1〜23個のアミノ酸を有する、未処置のまま放置した場合には骨成長が起こらない部位で骨成長を刺激するための医薬組成物。
  2. アミノ酸配列Ala−Gly−Tyr−Lys−Pro−Asp−Glu−Gly−Lys−Arg−Gly−Asp−Ala−Cys−Glu−Gly−Asp−Ser−Gly−Gly−Pro−Phe−ValまたはそのN末端切形型断片(ただし、トロンビンペプチド誘導体の前記アミノ酸配列において1〜9位にある0、1または2個のアミノ酸は該アミノ酸配列の対応する位置のアミノ酸の同類置換である)を有するトロンビンペプチド誘導体を含有してなり、該トロンビンペプチド誘導体が1〜23個のアミノ酸を有する、未処置のまま放置した場合には骨成長が起こらない部位で骨成長を刺激するための医薬組成物。
  3. アミノ酸配列Ala−Gly−Tyr−Lys−Pro−Asp−Glu−Gly−Lys−Arg−Gly−Asp−Ala−Cys−Glu−Gly−Asp−Ser−Gly−Gly−Pro−Phe−Valを有する23個のアミノ酸からなるトロンビンペプチド誘導体を含有してなる、未処置のまま放置した場合には骨成長が起こらない部位で骨成長を刺激するための医薬組成物。
  4. 該部位が骨移植の必要な部位である請求項1〜いずれか記載の組成物。
  5. 該部位が、骨の分節間隙、骨空隙であるか、または非癒合骨折部にある請求項1〜いずれか記載の組成物。
  6. 植込み可能な生体適合性担体をさらに含んでなる請求項1〜いずれか記載の組成物。
  7. 該植込み可能な生体適合性担体が骨伝導性マトリックスである請求項記載の組成物。
  8. 該担体が、ポリ乳酸/ポリグリコール酸のホモポリマーまたはコポリマーを含む請求項記載の組成物。
  9. 該担体が、コラーゲン、フィブリン、リン酸カルシウム塩、硫酸カルシウム、グアニジン抽出同種異系骨またはその組み合せを包含する請求項記載の組成物。
  10. 該担体が注射可能である請求項6〜9いずれか記載の組成物。
  11. 該担体がポリ(プロピレンフマレート)溶液またはリン酸カルシウムセラミックペーストである請求項10記載の組成物。
  12. 微粒子として投与される請求項6〜11いずれか記載の組成物。
  13. 未処置のまま放置した場合には骨成長が起こらない部位に適用する前にあらかじめ形づくられた(pre-shaped)請求項6〜12いずれか記載の組成物。
  14. 未処置のまま放置した場合には骨成長が起こらない部位での被験体の骨成長を刺激する方法であって、被験体が、農場飼育動物、コンパニオン動物または実験動物であり、請求項1〜13いずれか記載の組成物の治療有効量を該部位に投与することを含む方法。
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