JP3690260B2 - 車間距離計測方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前方車両との車間距離が近づいた場合でも、精度良く車間距離を計測することができる車間距離計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーダから発射された送信光や送信音が物体に反射されて戻ってくる反射光や反射音を受信して、発射から受信までの遅延時間を計測して物体までの距離計測を行う場合、計測距離の分解能が距離に関係なく一定になるため、近距離の測定精度が遠距離と比較して低下するといった問題があった。
【0003】
そこで、このような問題を解決するため、特開平4−274785号公報に記載された「自動追尾装置」が報告されている。
一般に、ナンバープレートの大きさが既知であり車種に関係なく同じ大きさに統一されているので、この方法においては、前方車両に取り付けられたナンバープレートをカメラで撮像し、画像内のナンバープレートの大きさと実際の寸法から比例計算を用いて当該車両までの車間距離を求めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前方車両が自車両に対して斜めに位置すると、カメラにより撮像されるナンバープレートの大きさが小さくなるので、上述したような比例計算を行った場合、車間距離の算出誤差が大きくなるといった問題があった。
また、撮像された画像内のナンバープレートのエッジ部分を検出する場合、前方車両の色や周囲物体の影などからの影響により誤検出する可能性が高まるといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、前方車両との車間距離が近づいた場合でも、精度良く車間距離を計測することができる車間距離計測方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、車両の走行方向に送信波を所定の検知角度で走査しながら前方車両までの距離を計測するとともに、車両の前方方向をカメラにより撮像する車間距離計測方法において、前記検知角度内に存在する前方車両までの距離と方位を計測する手順と、計測した距離と方位に基づいて、前方車両に対する自車両の角度を算出する手順と、前記カメラで撮像した前方車両に取り付けられたナンバープレートの画像から当該画像内のナンバープレートの位置を検出して当該ナンバープレートの大きさを算出する手順と、算出したナンバープレートの大きさと、前方車両に対する自車両の角度に基づいて、当該前方車両のナンバープレートまでの距離を算出する手順とを有し、前記ナンバープレートの位置の検出では、前記画像からナンバープレートの文字領域を抜き出し、この画像の各縦座標毎の輝度ヒストグラムまたは輝度分散値ヒストグラムの和を求め、それぞれのヒストグラムのピーク点の位置の間隔からナンバープレートの文字間隔の特徴を示す部分を探すようにすることを要旨とする。
【0010】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、検知角度内に存在する前方車両までの距離と方位を計測し、計測した距離と方位に基づいて、前方車両に対する自車両の角度を算出しておき、カメラで撮像した前方車両に取り付けられたナンバープレートの画像から当該画像内のナンバープレートの位置を検出して当該ナンバープレートの大きさを算出し、算出したナンバープレートの大きさと、前方車両に対する自車両の角度に基づいて、当該前方車両のナンバープレートまでの距離を算出することで、前方車両との車間距離が近付いた場合でも、精度良く車間距離を計測することができる。また、ナンバープレートの位置の検出では、画像からナンバープレートの文字領域を抜き出し、この画像の各縦座標毎の輝度ヒストグラムまたは輝度分散値ヒストグラムの和を求め、それぞれのヒストグラムのピーク点の位置の間隔からナンバープレートの文字間隔の特徴を示す部分を探すようにすることで、ナンバープレートのエッジが不鮮明な場合でも、ナンバープレートの位置を確実に検出できるようになる。さらに、そのピーク点の間隔の大きさよりナンバープレートの画像上の大きさを求めることで、ナンバープレート付近に他のエッジが存在する画像の場合でも、他のエッジをナンバープレートと誤計測したことを確認することができ、画像の状態や車両の形状などに関係なく、ナンバープレートの位置とともに大きさも確実に求められるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の車間距離計測方法を適用可能な車間距離計測装置11のシステム構成を示す図である。
【0015】
スキャニングレーザレーダ13は、車両前方の走行方向に対して垂直かつ路面に平行な1次元方向を所定の検知角度でスキャニングしながらレーザレーダ(送信波)をパルス信号として照射し、出射したレーザレーダが車両前方に存在する物体により反射された反射波を受信して受信信号を出力する。
距離計測部15は、スキャニングレーザレーダ13が照射したパルス信号と受信した受信信号に基づいて、レーザレーダの出射から車両前方に存在する物体による反射波の入射までの伝搬遅延時間を検出して検知角度内に存在する全ての物体までの距離を計測し、さらに、方位を計測する。さらに、計測した距離と方位に基づいて、前方車両に対する自車両の角度を算出する。
【0016】
カメラ17は、車両の前方方向を撮像して画像データをナンバープレート検出部19に出力する。
ナンバープレート検出部19は、カメラ17で撮像された車両の前方方向の画像データに対してナンバープレートの大きさ検出処理を行う。
前方車両の距離・位置・動き計測部21は、算出したナンバープレートの大きさと、前方車両に対する自車両の角度に基づいて、当該前方車両のナンバープレートまでの距離、位置および動きを算出する。
【0017】
図2は、車両に搭載されたカメラ17とスキャニングレーザレーダ13の位置とそれぞれの基準座標系を示す図である。
図2に示すように、車両に搭載されたカメラ17の撮像方向の光軸(Z)と、スキャニングレーザレーダ13のスキャニングの中心軸(Z)は、それぞれ車両の幅方向(X)の中心位置に直進方向(Z)に平行な方向に取り付けられており、それぞれの基準座標系の原点が路面に鉛直方向(Y)に同じ位置に取り付けられている。
【0018】
以下、説明のためカメラ17のレンズの中心を原点とした基準座標系を用いて説明する。ただし、この発明は、光軸や中心軸が直進方向でない場合や、その取り付け位置が車両の中心軸からずれている場合でも、その角度、位置を幾何学計算時に考慮すれば、全て以下の説明で成り立つものである。
【0019】
(第1の原理)
まず、車間距離計測方法に関する第1の原理を説明する。
図3は、自車両に対して異なる位置姿勢で存在する前方車両までの距離をスキャニングレーザレーダ13で計測したときの結果を図示したものであり、遠距離先を自車両と同じ向きに存在する車両を検知したときの図3(a)、自車両と近い位置で自車両の正面に自車両と同じ向きで存在する車両を検知したときの図3(b)、前方車両までの距離が図3(b)と同じでその向きが自車両に対して斜めの向きで存在する車両を検知したときの図3(c)である。また、図4(a)〜図4(c)は、図3(a)〜図3(c)に示すそれぞれの状況の場面を自車両に搭載したカメラ17で撮影したときの画像である。
【0020】
スキャニングレーザレーダ13を用いて前方に存在する車両を計測する場合、図3(a)に示すように、車両が遠距離の場合は反射強度の強いリフレクタからの反射光の到達時間により距離が計測されることが多い。
近距離の場合は、図3(b),図3(c)に示すように、前方車両のリフレクタだけでなく、ナンバープレートやボディからの反射光も検知できる。このため、検知角度内に存在する前方車両の背面を計測することも可能である。
【0021】
一方、近距離の場合に、カメラ17で撮像される画像を用いて直接に距離を計測することはできない。しかしながら、ナンバープレートのように大きさAが既知の物体のときには、図5に示すように、その物体(ここではナンバープレート)の面がカメラの撮像面と平行であれば、画像上に撮像されたときのその面(ナンバープレート)の大きさ(Xa )を検出することで、その値とカメラの焦点距離fに基づいて、カメラ17の撮像面からの前方車両のナンバープレートまでの距離を式(1)により求めることができる。
【0022】
【数1】
Z=f・A/Xa …(1)
A(m):ナンバープレートの横幅(固定値)
Xa (画素):画像上のナンバープレートの横幅
Z(m):自車両から前方車両までの距離
f(画素):カメラの焦点距離
しかし、画像上のナンバープレートの大きさは、距離が同じ場合でも、前方車両に対する自車両の角度が異なると、その大きさが変化する。そのため、ナンバープレートの大きさを用いて距離計測を行うためには、前方車両の自車両に対する角度θを求める必要がある。
【0023】
図6(a)は、自車両に対する前方車両の角度を求める方法の一例を示す図である。上述したように、スキャニングレーザレーダ13では、前方車両が近距離の場合、車両のリフレクタだけでなく、ナンバープレート、ボディ面などからも反射光が返ってくる。そのため、スキャニングレーザレーダ13の分解能毎に計測した結果を用い、例えば、それらの点の最小二乗誤差直線の傾きから前方車両背面の自車両に対する角度θを求めることができる。
ここで、図6(b)を用いて、自車両に対する傾き角がθである車両に取り付けられたナンバープレートの画像上の大きさを用いて、自車両から前方車両までの距離を求める方法を説明する。
【0024】
図6(b)では、カメラ17の撮像面に対して、θ傾いているナンバープレートの見かけ上の大きさはA・cosθとなる。通常、Z>>Aであるので、カメラ17の光軸に対してθ傾いた向きで距離Zの位置に存在する横幅Aのナンバープレートの画像上の大きさは、光軸に直角で大きさA・cosθの面を撮像したときと同じ大きさとなる。つまり、自車両に対する前方車両の傾きがθとわかっている場合、画像上のナンバープレートの大きさXa より、その前方車両までの距離Zは、式(2)で求めることができる。
【0025】
【数2】
Z=f・A・cosθ/Xa …(2)
(第2の原理)
次に、車間距離計測方法に関する第2の原理を説明する。
図7は、図2のようにレンズ中心を原点とした基準座標系において、前方車両上のナンバープレートの中心点P(Xp,Yp,Zp)の、横方向の位置(x座標上の位置、つまり、光軸からの距離)を求める方法を示す図である。
【0026】
この座標系における前方車両の点PのX座標の位置Xp (m)は、画像上において検出したナンバープレートの中心の座標を(Xi 、Yi )とすると、式(3)で求めることができる。
【0027】
【数3】
Xp =Xi ・Zp /f …(3)
Zp (m):ナンバープレートまでの距離
ただし、前方車両のナンバープレートまでの距離Zp (m)は、第1の原理において説明した方法で求めることができる。
【0028】
前方車両上のナンバープレートの中心位置・点Pの動きを追従することができるため、点Pの動きを精度よく求めることで、前方車両の縦横両方向の位置および動きを精度よく求めることができる。
また、スキャニングレーザレーダ13の検知角度内に同時に複数車両が存在する場合は、複数の異なる個所での距離が検出されることから、第1の処理を検知角度内の複数箇所に施すことで、複数台の車両の距離を計測することができる。この場合、それらの距離それぞれに相当する位置で画像処理上でもナンバープレート検出を行うことで前方に複数台の車両が存在する場合にも対応でき、それら全ての車両の位置、動きを計測することができる。
【0029】
(第3の原理)
次に、車間距離計測方法に関する第3の原理を説明する。
図8は、自車両前方の近距離に自車両と平行な向きの前方車両を検知したときのスキャニングレーザレーダ13の検知結果の例を示す図であり、レーザレーダが検知した反射強度の分布図(a)、距離と方向を示す図(b)である。
図3でも示したように、前方車両が遠距離にある場合は、リフレクタからの反射光しか検知できないが、前方車両が近距離にある場合、リフレクタだけでなく反射強度の弱いナンバープレートや車両のボディからの反射光も検知でき、車両を検知した場合のその強度は、図8(a)に示すように、通常、リフレクタ、ナンバープレート、ボディ面の順となる。
【0030】
このことから、レーザレーダの反射強度の分布から、左右のリフレクタの間にあり、反射強度がその次に強い範囲を前方車両のナンバープレートの位置とする。
さらに、スキャニングレーザレーダ13でナンバープレートを検知した位置に基づいて、それと対応する物体が撮像される画像上の位置を求めることができる。図8(b)は、ナンバープレートの反射強度を持つ分布がスキャニングレーザレーダ13の中心軸から左にXpl、右にXprと検知され、そのナンバープレートまでの距離がZp である場合のスキャニングレーザレーダ13とナンバープレートの位置関係、そのナンバープレートの左右両端が撮像される画像上の位置(Xpli 、Xpli )との関係を示したものである。
【0031】
ナンバープレートまでの距離とそれが検知される中心軸に対する横位置がわかれば、図8(a)に示す関係から、幾何学計算により定義した車両上の座標系におけるナンバープレートの実際の存在位置がわかり、それが撮像される画像上の位置も幾何学的計算により求めることができる。
【0032】
このように、まず、反射強度の分布に基づいて、画像上におけるナンバープレートが撮像される大まかな位置を求め、その後に、画像処理によるエッジ検出などでより正確にナンバープレートを検出することにより、より確実にナンバープレートを検出することが可能となり、この結果、画像処理における走査範囲の限定から計算量を減らすことができる。
【0033】
(第4の原理)
次に、車間距離計測方法に関する第4の原理を説明する。
一般に、車両に取り付けられたナンバープレートは、背景が白色または文字が白色で文字数や文字の大きさが決まっている。図9は、画像上に撮像された白色のナンバープレート内の数字部分の領域における、各Y軸座標毎の輝度ヒストグラムと各Y座標毎の輝度の分散値を求めた結果である。文字の種類は様々であるが、文字と文字の間は全てのナンバープレートにおいて同色である。このため、白色のナンバープレートの場合、輝度ヒストグラムは文字間の部分では値の高いヒストグラムができ、分散値は文字間の値が低い分布となる。
【0034】
また、ナンバープレート上の文字の間隔は全てナンバープレートにおいて共通である。つまり、画像上で求めたヒストグラムのピーク点の間隔(W1〜W5)の比率は、
【数4】
W1:W2:W3:W4:W5 …(4)
となり、ナンバープレートの自車両に対する角度、ナンバープレートの種類に関係なく共通である。
【0035】
しかし、その間隔は距離やナンバープレートの角度によって変化する。このことから、ナンバープレートの反射強度の分布を示す輝度ヒストグラムまたは輝度の分散値のヒストグラムを求め、ナンバープレートの特徴を示すヒストグラム分布の現れる位置やその分布のピーク点の間隔を求めることで、ナンバープレートの画像上の大きさおよび位置を再確認することができる。
【0036】
これにより、白色の車両に取り付けられた白色のナンバープレートや、図9(b)に示すように、ナンバープレート周囲に他の縦エッジが存在する車両のように、ナンバープレート自体のエッジが検出し難い場合でも、ナンバープレートの画像上の位置、大きさを確実に求めることができる。
【0037】
(一実施の形態)
図10は、本発明の一実施の形態に係る物体位置検出方法を適用可能な車間距離計測装置51の基本構成を示す図である。
車間距離計測装置51は、図2に示すように、スキャニングレーザレーダ53の中心軸とカメラ55の光軸を、車両の中心軸と平行でかつ横方向の位置が車両の中心軸と同じ位置になるように車両に取付けられている。
【0038】
スキャニングレーザレーダ53は、車両前方の走行方向に対して垂直かつ路面に平行な1次元方向を所定の検知角度でスキャニングしながらレーザレーダ(送信波)をパルス信号として照射し、出射したレーザレーダが車両前方に存在する物体により反射された反射波を受信して受信信号を出力する。
【0039】
カメラ55は、車両の前方方向を撮像して画像データを制御部55に出力する。制御部57は、制御プログラムを記憶したROMと、制御データを記憶するRAMと、制御プログラムに従って処理を実行するCPUとを有している。
【0040】
まず、図11に示すフローチャートを参照して、この実施の形態の処理方法を説明する。なお、本フローチャートは上述したROMに制御プログラムとして記憶されていることとする。
まず、ステップS10では、スキャニングレーザレーダ53で距離計測を行う。そして、ステップS20では、計測された距離Zが近距離のしきい値Z1よりも小さいかどうかを判断する。ここで、距離Zが近距離のしきい値Z1よりも大きい場合には、ステップS10に戻り、処理を繰り返す。一方、距離Zが近距離のしきい値Z1よりも小さい場合、ステップS30に進む。
【0041】
ここで、ステップS20の判断処理に用いたしきい値Z1について詳しく説明する。
【0042】
この基準となる距離のしきい値Z1は、ナンバープレートによる距離計測の高精度化を行うため、車両に搭載したスキャニングレーザレーダ13の距離分解能と画像上のナンバープレートから求められる距離の分解能の関係から、画像からのナンバープレートの距離計測の方が高精度となる距離Z1とすれば良い。
【0043】
この距離分解能の比較は、次の方法で行える。通常、スキャニングレーザレーダ13の距離分解能は、計測距離に関係なく一定値である。この値をΔZL とする。また、画像上のナンバープレートの大きさから求める距離の分解能ΔZI は、ナンバープレートの大きさが画像上での1画素の差に相当するため、式(5)で求められる。
【0044】
【数5】
ΔZI =f・A(1/Xa −1/(Xa +1)) …(5)
つまり、この計算式より求めたΔZI が、ZL >ΔZI となる最長の距離をZ1と定義すればよい。
【0045】
次に、計測距離Zがしきい値Z1よりも小さい場合は、ステップS30では、スキャニングレーザレーダ53による計測点から、前方車両の自車両に対する角度θを求める。この角度θは、上述した図6(a)に示す方法と同様に、観測点の最小二乗誤差直線の傾きとして求めればよい。
【0046】
次に、ステップS40では、画像上に置けるナンバープレートの横の長さXa を求める。画像中のナンバープレートの位置の検出については、個々ではナンバープレートまでのおおよその距離と方位がスキャニングレーザレーダ13の検知結果より求められている。このため、そのナンバープレートが撮像される付近の位置を幾何学的に求め、その付近に存在する縦横のエッジを検出し、その中から、ナンバープレートの大きさ、比率に近い横長の長方形を成す組合わせのエッジを選択する。また、そのときに検出した2本の縦エッジ間の距離が画像上に置けるナンバープレートの横幅Xa となる。
距離Zの算出は、ステップS30,S40の処理で求めた角度θと画像上のナンバープレートの横幅Xa を(2)式に適用することで求められる。
【0047】
次に、画像を用いて検出したナンバープレートの位置から前方車両の動きを求める方法を説明する。
カメラ17の基準座標系を図2に示した位置姿勢のように設定し、計測中のナンバープレートの中心位置を点Pとする。図7に示すように、この点Pの基準座標系における位置(Xp ,Yp ,Zp )は、上述した処理で求めた自車両からの距離Zと、画像上で検出されたナンバープレートの中心位置(Xi 、Yi )より、(6)式により求めることができる。
【0048】
【数6】
Zp =Z
Xp =Xi ・Z/f
Yp =Yi ・Z/f …(6)
ここで、Zp は、上述した処理で求めた自車両から前方車両までの距離Zそのものである。また、Xp ,Yp は、図7に示すように、比例計算により求められる。
一般に、ある車両が先行する前方車両に追従走行する場合、前方車両の左右端の位置や形状全体の動きをセンサで把握することが困難である。そのため、前方車両までの距離を計測することはできても、3次元的な動きの追従を精度良く行うことは難しい。
【0049】
しかしながら、この発明では、前方車両のナンバープレートの中心点という車両上のただ1点の動きに着目することができるため、その動きから前方車両の自車両に対する3次元全ての方向の動きを計測することが可能となる。
【0050】
次に、カメラ17で撮像した画像から前方車両のナンバープレートの位置を検出するときに、基準とするレーザレーダの検知結果から縦横両方向のナンバープレートの位置を検出する方法を説明する。
【0051】
図8(a)に示したように、近距離前方を走行している前方車両を計測する場合、スキャニングレーザレーダ13の各角度毎に計測される反射強度の分布は、リフレクタ部分が最も高く、次にナンバープレート、最後にボディ面の順となることが多い。また、通常の車両の場合、リフレクタは車両の左右の両側、ナンバープレートはその間に位置する。
【0052】
このことから、スキャニングレーザレーダ13の反射強度の分布から、二つの強度の高い位置に挟まれる位置にある2番目に強度の高い分布を示す範囲がナンバープレート部分であると判断できる。例えば、図8(a)に示すような反射強度の分布の場合、ナンバープレートの位置は、スキャニングレーザレーダ13で、中心軸から左に3点目(Xpl)と右に2点目(Xpr)の間に存在すると判断できる。
【0053】
一方、画像上におけるナンバープレートの位置は、この情報をもとにその存在範囲を限定できる。例えば、スキャニングレーザレーダ13の角度分解能をβとすると、例えば、図8(b)に示すように、ナンバープレートの検出範囲が中心軸から左に3点目から右に2点目で、その車両までの距離がZの場合、基準座標系におけるナンバープレートの横位置(Xpl,Xpr)は、(7)式で求められる。
【0054】
【数7】
Xpl=Z・tan(−3×β)
Xpr=Z・tan(2×β) …(7)
検出対象物の基準座標系における位置がわかれば、画像上におけるそれら2本のエッジの画像上の横方向の位置(Xpli ,Xpri )は、図7に示す原理と同様の考え方から、(8)式で求めることができる。
【0055】
【数8】
Xpli =Xpl・f/Z
Xpri =Xpr・f/Z …(8)
また、ここでは、ナンバープレートまでのおおまかな距離とこのナンバープレートの光軸に対する角度が既知であることから、画像上のナンバープレートのおおまかな大きさがわかる。これらのことから、(8)式で求めた位置付近に存在し、検出対象の大きさをなす長方形を検出することで、ナンバープレートを検出することができる。
【0056】
最後に、エッジが不鮮明であったり、ナンバープレート近辺に他の縦エッジが多く存在するなどでナンバープレートの両端エッジを検出しにくい条件下においても、確実にナンバープレートを検出する方法を説明する。
【0057】
画像上におけるナンバープレートのおおまかな位置や大きさは上述した方法で求めることができる。これと同様の考え方により、ナンバープレートの内部の数字の存在範囲は、(8)式で求めた画像上の横方向の位置(Xpli ,Xpri )の間であると求められる。
【0058】
図9は、この考え方に基づいて、この範囲から切り取ったナンバープレート内部の画像と、その内部の各y座標毎に求めた輝度ヒストグラムを輝度の分散値である。上述したように、ナンバープレートの文字間隔は一定であり、文字と文字の間は無地であるため、例えば白ナンバーであれば輝度の加算値が高く分散値が低くなる。つまり、図9(a)に示すように、ピーク点間の比率が一定であれば輝度の加算値が高く分散値が低くなる。つまり、図9(a)に示すように、ピーク点間の比率が一定の分布となる。
【0059】
このことから、予めナンバープレートの特徴を示す輝度の加算値または輝度の分散値のピーク点間の特徴を求めておき、これと同じヒストグラム分布が現れる位置を求めることで、図9(c)に示すように、両端エッジが不鮮明な場合やエッジが複数存在する場合でもナンバープレートの位置を求めることができ、基準として予め求めたヒストグラム分布に対する、実際に求められたヒストグラム分布の大きさの比率より、画像上のナンバープレートの大きさを求めることができる。
なお、上記説明の中では、スキャニングレーザレーダがスキャンする範囲を1次元方向としていたが、2次元方向にしても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車間距離計測方法を適用可能な車間距離計測装置11のシステム構成を示す図である。
【図2】車両に搭載されたカメラ17とスキャニングレーザレーダ13の位置とそれぞれの基準座標系を示す図である。
【図3】自車両に対して異なる位置姿勢で存在する前方車両までの距離をスキャニングレーザレーダ13で計測したときの結果を示す図(a)〜(c)である。
【図4】図3(a)〜図3(c)に示すそれぞれの状況の場面を自車両に搭載したカメラ17で撮影したときの画像の様子を示す図(a)〜(c)である。
【図5】画像上の大きさと実際の大きさの関係を説明するための図である。
【図6】自車両に対する傾きがθのナンバープレートの画像上の大きさから距離を算出する方法を説明するための図(a),(b)である。
【図7】ナンバープレート中心点の画像上の位置と実際の位置の関係を説明するための図である。
【図8】自車両前方の近距離に自車両と平行な向きの前方車両を検知したときのスキャニングレーザレーダ13の検知結果の例を示す図であり、レーザレーダが検知した反射強度の分布図(a)、距離と方向を示す図(b)である。
【図9】撮像されたナンバープレートの文字領域の輝度および輝度分散値ヒストグラムを表す図(a)、縦エッジの多い車両を示す図(b)、ナンバープレートのエッジ検出の様子を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る物体位置検出方法を適用可能な車間距離計測装置51の基本構成を示す図である。
【図11】車間距離計測装置51のを動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
11,51 車間距離計測装置
13,53 スキャニングレーザレーダ
15 距離計測部
17,55 カメラ
19 ナンバープレート検出部
21 前方車両の距離・位置・動き計測部
57 制御部
Claims (1)
- 車両の走行方向に送信波を所定の検知角度で走査しながら前方車両までの距離を計測するとともに、車両の前方方向をカメラにより撮像する車間距離計測方法において、
前記検知角度内に存在する前方車両までの距離と方位を計測する手順と、
計測した距離と方位に基づいて、前方車両に対する自車両の角度を算出する手順と、
前記カメラで撮像した前方車両に取り付けられたナンバープレートの画像から当該画像内のナンバープレートの位置を検出して当該ナンバープレートの大きさを算出する手順と、
算出したナンバープレートの大きさと、前方車両に対する自車両の角度に基づいて、当該前方車両のナンバープレートまでの距離を算出する手順とを有し、
前記ナンバープレートの位置の検出では、
前記画像からナンバープレートの文字領域を抜き出し、
この画像の各縦座標毎の輝度ヒストグラムまたは輝度分散値ヒストグラムの和を求め、
それぞれのヒストグラムのピーク点の位置の間隔からナンバープレートの文字間隔の特徴を示す部分を探すようにすることを特徴とする車間距離計測方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000317821A JP3690260B2 (ja) | 2000-10-18 | 2000-10-18 | 車間距離計測方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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