JP3689991B2 - クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物 - Google Patents

クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工時の粘度安定性の改良された低温特性に優れたクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平1−210443号公報,特開平3−56548号公報等に例示されているように、クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体は、高密度ポリエチレンを原料とするクロロスルホン化ポリエチレンと比較して動的特性及び低温性に優れることから自動車用ベルト、自動車用ジョイントブーツ等動的用途への応用が検討されている。また、最近これら自動車用ベルト、自動車用ジョイントブーツの長寿命化及び使用環境の劣悪化により更なる低温性、耐熱老化性の向上が求められている。そこで、超低密度ポリエチレンすなわち高α−オレフィン量タイプのエチレン−α−オレフィン共重合体を原料としたクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体の開発及び自動車用ベルト、自動車用ジョイントブーツへの適応が検討されている。ところが、高α−オレフィン量タイプのエチレン−α−オレフィン共重合体を原料としたクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体は、ポリマーの主鎖上の三級炭素の量が大幅に増えるため、ポリマー自身の熱安定性が低下し、混練中のコンパウンドムーニー粘度の上昇、コンパウンドの貯蔵安定性の不良等により、スコーチを起こし可塑性の減少のため製品の加工性が悪くなる等の問題点を有しており、ベルト、ブーツ等への応用が困難であった。
【0003】
またこれまで、耐熱老化性向上の方法として、老化防止剤を添加する方法があるが、クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体の場合、一般的な汎用樹脂には有効に作用する老化防止剤を添加しても、有効に作用しなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、加工時の粘度安定性の改良された低温特性に優れたクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体に特定の添加剤を配合することによって上記問題点が解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、密度が0.94g/cm3未満のエチレン−α−オレフィン共重合体を塩素化、クロロスルホン化して得られた塩素量5〜45重量%、硫黄量0.3〜5重量%のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体に、ヒンダードフェノールと脂肪酸塩類、無機酸塩類、金属の酸化物の内少なくとも1種類を配合してなることを特徴とするクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物である。
【0007】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明に用いるエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、0.94g/cm3未満である。密度が0.94g/cm3を超える場合は、好ましいゴム弾性を得るために、塩素量が多く必要であり、そのため動的特性及び低温特性が劣る。ゴム弾性を損なうことなく導入する塩素量の低減、動的特性及び低温特性を向上するためには、好ましくは0.86〜0.92g/cm3である。
【0009】
本発明に用いるエチレン−α−オレフィン共重合体中の塩素量は、5〜45重量%である。この範囲において、ゴム弾性を効率的に発現できる。塩素量が5重量%未満の場合は、ポリエチレンからくる樹脂的性格が強くなり、一方塩素量が45重量%を越える場合は、ガラス転移点が上昇してゴム弾性を保持し得る最低温度が高くなってしまうため所望する低温特性を得ることができない。ゴム弾性と低温特性のバランスを向上させる為には10〜31重量%が好ましい。
【0010】
また、クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体中の硫黄量は、クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体の架橋点となるクロロスルホン基の量の尺度であり、実用上適度な加硫物を得ることができる硫黄量は、0.3〜5重量%である。0.3重量%未満の場合は、加硫が十分に行われない。一方、5重量%を越える場合は、加硫速度が速くスコーチや焼けを起こす恐れがある。
【0011】
本発明に用いられるクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンが、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンの少なくとも1種類からなるものが好ましく、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体の使用がさらに好ましい。
【0012】
本発明で用いられるヒンダードフェノールとしては、特に限定する物ではなく、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス・オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等が例示される。これら老化防止剤の使用量は、特に限定するものでなく、用いられる老化防止剤の種類によって最適量が異なるが、加工性、経済性等から0.01〜20重量部が好ましい。また、これら老化防止剤は、単独あるいは2種類以上の混合物として使用することも可能である。
【0013】
本発明で用いられる脂肪酸塩類は、特に限定する物ではなく、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、マレイン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、マレイン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸鉛、12−ヒドロキシステアリン酸鉛、マレイン酸鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カドミウム、リシノール酸バリウム等が挙げられる。これら脂肪酸塩類の使用量は、特に限定するものでなく、用いられる脂肪酸塩類の種類によって最適量が異なるが、加工性、経済性等から0.01〜20重量部が好ましい。また、これら脂肪酸塩類は、単独あるいは2種類以上の混合物として使用することも可能である。
【0014】
本発明で用いられる無機酸塩類は、特に限定する物ではなく、三塩基性硫酸鉛、三塩基性亜硫酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、一塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸亜リン酸鉛、及び一般式MxAly(OH)2x+3y-2z(A)z・aH2O又はM2xAl2y2x+3y(MはMg、Ca又はZn、AはCO3又はHPO4、x、y、zは正数、aは零又は正数)で示されるハイドロタルサイト類が例示される。これら無機酸塩類の使用量は、特に限定するものでなく、用いられる無機酸塩類の種類によって最適量が異なるが、加工性、経済性等から0.01〜20重量部が好ましい。またこれら無機酸塩類は、単独あるいは2種類以上の混合物として使用することも可能である。
【0015】
本発明で用いられる金属の酸化物は、特に限定するものでなく、例えば、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム等が好ましい。これら金属の酸化物の使用量は、特に限定するものでなく、用いられる金属の酸化物の種類によって最適量が異なるが、加工性、経済性等から0.01〜20重量部が好ましい。またこれら金属の酸化物は、単独あるいは2種類以上の混合物として使用することも可能である。
【0016】
また、これら脂肪酸塩類、無機酸塩類、金属の酸化物は、単独あるいは2種類以上の混合物として使用することも可能である。
【0017】
【実施例】
以下、実施例にもとづき本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例は本発明の理解を助けるための例であって、本発明はこれらにより何等制限を受けるものではない。
【0018】
密度、塩素量、硫黄量、ムーニー粘度、低温ねじり試験等の測定は、以下の方法で行った。
【0019】
<密度の測定>
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K−7112(1980)に準拠し測定した。
【0020】
<塩素、硫黄量の測定>
クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体の塩素及び硫黄量は、燃焼フラスコ法にて測定した。塩素量の測定は、クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体約30mmgを1.7重量%硫酸ヒドラジニウム水溶液15mlを吸収液として用い、酸素フラスコ燃焼法に従い燃焼させた。次に30秒程度振った後約30分静置した。この操作後の吸収液を、純水約100mlで洗い出した後、濃度0.05Nの硝酸銀水溶液で電位差滴定法により塩素イオンを定量し、塩素量を測定した。
【0021】
硫黄量の測定は、1.7重量%硫酸ヒドラジニウム水溶液15mlの代わりに、3重量%の過酸化水素水10mlを吸収液として用い、純水約40mlで洗い出した後、酢酸約1ml、2−プロパノール約100ml、アルセナゾIII約0.47mlを加えた。これを濃度0.01Nの酢酸バリウム溶液で光度滴定法により硫酸イオンを定量し、硫黄量を測定した。
【0022】
<ムーニー粘度の測定>
クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体のギヤオーブン中120℃×4日間前後のムーニー粘度変化を測定し熱安定性の評価とした。具体的には、JIS−K−6300(1994)に準拠し、L形ローターで、予熱1分、ローター回転時間4分、100℃で測定した。
【0023】
<低温ねじり試験>
所定の配合に従いオープンロールで混練りした後、低温ねじり試験を行い、低温特性の評価とした。具体的には、150mm×150mm×2mmの金型を用い160℃×30分プレスし加硫した。この試料から試験片を作成し、JIS−K−6300(1994)に準拠し測定した。
【0024】
実施例1
表1に示す通り、密度0.88g/cm3のエチレン−1−ブテン共重合体を原料として合成された塩素量26重量%、硫黄量0.7重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃);39のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体に対し、ヒンダードフェノールとしてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)を1重量部、無機酸塩類として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A−2:協和化学工業株式会社製)を1重量部をオープンロールにより添加し混練後試料を作成し、低温ねじり試験とギヤオーブン中で120℃×4日間保存後のムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
Figure 0003689991
【0026】
実施例2
表1に示す通り、IRGANOX1076、DHT−4A−2の添加量をそれぞれ5重量%に代えた以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0027】
実施例3
表1に示す通り、ヒンダードフェノールとしてペンタエルスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010:日本チバガイギー社製)を1重量部、無機酸塩類として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A−2:協和化学工業株式会社製)を1重量部をオープンロールにより添加した以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0028】
実施例4
表1に示す通り、ヒンダードフェノールとしてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)を1重量部、無機酸塩類とし合成ハイドロタルサイト(KW−2100:協和化学工業株式会社製)を1重量部をオープンロールにより添加した以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0029】
実施例5
表1に示す通り、ヒンダードフェノールとしてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)を1重量部、脂肪酸塩類としてステアリン酸カルシウムを1重量部をオープンロールにより添加し、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0030】
実施例6
表1に示す通り、IRGANOX1076、ステアリン酸カルシウムの添加量をそれぞれ5重量部に代えた以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0031】
実施例7
表1に示す通り、密度0.86g/cm3のエチレン−プロピレン共重合体を原料として合成された塩素量26重量%、硫黄量0.7重量%、ムーニー粘度ML(1+4)100℃:39のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体に対し、ヒンダードフェノールとしてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)を1重量部、脂肪酸塩類としてステアリン酸カルシウムを1重量部をオープンロールにより添加し混練後試料を作成し、低温ねじり試験とギヤオーブン中で120℃×4日間保存後のムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0032】
実施例8
表1に示す通り、ヒンダードフェノールとしてペンタエルスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010:日本チバガイギー社製)を1重量部、脂肪酸塩類としてステアリン酸カルシウムを1重量部をオープンロールにより添加した以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0033】
実施例9
表1に示す通り、ヒンダードフェノールとしてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)を1重量部、金属の酸化物として酸化マグネシウムを1重量部をオープンロールにより添加した以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0034】
実施例10
表1に示す通り、IRG1076、酸化マグネシウムの添加量をそれぞれ5重量部に代えた以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表1に示した。
【0035】
実施例11
表2に示す通り、ヒンダードフェノールとしてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)を1重量部、無機酸塩類として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A−2:協和化学工業株式会社製)を1重量部、脂肪酸塩類としてステアリン酸カルシウムを1重量部をオープンロールにより添加した以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0036】
【表2】
Figure 0003689991
【0037】
実施例12
表2に示す通り、ヒンダードフェノールとしてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)を1重量部、無機酸塩類として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A−2:協和化学工業株式会社製)を1重量部、金属の酸化物として酸化マグネシウムを1重量部をオープンロールにより添加した以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0038】
実施例13
表2に示す通り、ヒンダードフェノールとしてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)を1重量部、無機酸塩類として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A−2:協和化学工業株式会社製)を1重量部、脂肪酸塩類としてステアリン酸カルシウムを1重量部、金属の酸化物として酸化マグネシウムを1重量部をオープンロールにより添加した以外は、実施例1と同様な条件で低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0039】
比較例1
表2に示す通り、添加剤を何も加えずに、実施例1と同様な条件で、低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0040】
比較例2
表2に示す通り、添加剤としてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)のみ1重量部添加し、実施例1と同様な条件で、低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0041】
比較例3
表2に示す通り、添加剤として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A−2:協和化学工業株式会社製)のみ1重量部添加し、実施例1と同様な条件で、低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0042】
比較例4
表2に示す通り、添加剤としてステアリン酸カルシウム(脂肪酸塩類)のみ1重量部添加し、実施例1と同様な条件で、低温ねじり試験とムーニー粘度ML (1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0043】
比較例5
表2に示す通り、添加剤として酸化マグネシウムのみ1重量部添加した以外は、実施例1と同様な条件で、低温ねじり試験とムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0044】
比較例6
表2に示す通り、密度0.96g/cm3のポリエチレンを原料として合成された塩素量35重量%、硫黄量0.7重量%、ムーニー粘度ML(1+4)100℃:56のクロロスルホン化ポリエチレンに、添加剤を何も加えず、低温ねじり試験とギヤオーブン中で120℃×4日間保存後のムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0045】
比較例7
表2に示す通り、密度0.96g/cm3のポリエチレンを原料として合成された塩素量35重量%、硫黄量0.7重量%、ムーニー粘度ML(1+4)100℃:56のクロロスルホン化ポリエチレンに対し、ヒンダードフェノールとしてオクタデシル3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(IRGANOX1076:日本チバガイギー社製)を1重量部、無機酸塩類として合成ハイドロタルサイト(DHT−4A−2:協和化学工業株式会社製)を1重量部をオープンロールにより添加し混練後試料を作成し、低温ねじり試験とギヤオーブン中で120℃×4日間保存後のムーニー粘度ML(1+4)100℃を測定し、その結果を表2に示した。
【0046】
【発明の効果】
以上の結果から、密度が0.94g/cm3未満のエチレン−α−オレフィン共重合体を原料として合成されたクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体にヒンダードフェノールと、脂肪酸塩類、無機酸塩類、金属の酸化物の内少なくとも1種類を配合することにより、低温特性を維持し、高温での粘度安定性が大幅に改善されることが分かる。このように本発明のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物は、低温性に優れ加工時の粘度安定性の改良された材料である。
【0047】

Claims (9)

  1. 密度が0.94g/cm3未満のエチレン−α−オレフィン共重合体を塩素化、クロロスルホン化して得られた塩素量5〜45重量%、硫黄量0.3〜5重量%のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体に、ヒンダードフェノールと脂肪酸塩類、無機酸塩類、金属の酸化物の内少なくとも1種類を配合してなることを特徴とするクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  2. エチレン−α−オレフィン共重合体のα−オレフィンが、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンの少なくとも1種類からなることを特徴とする請求項1記載のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  3. 脂肪酸塩類がステアリン酸塩であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  4. 無機酸塩類が一般式MxAly(OH)2x+3y-2z(A)z・aH2O又はM2xAl2y2x+3y(MはMg、Ca又はZn、AはCO3又はHPO4、x、y、zは正数、aは零又は正数)で示されるハイドロタルサイト類であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれか記載のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  5. 金属の酸化物が酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれか記載のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  6. クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、脂肪酸塩類の使用量が0.01〜20重量部であることを特徴とする請求項1〜請求項5いずれか記載のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  7. クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、無機酸塩類の使用量が0.01〜20重量部であることを特徴とする請求項1〜請求項6いずれか記載のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  8. クロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、金属の酸化物の使用量が0.01〜20重量部であることを特徴とする請求項1〜請求項7いずれか記載のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  9. 密度が0.94g/cm3未満のエチレン−α−オレフィン共重合体を塩素化、クロロスルホン化して得られた塩素量5〜45重量%、硫黄量0.3〜5重量%のクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体に、ヒンダードフェノール、脂肪酸塩を配合してなることを特徴とするクロロスルホン化エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
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