JP3689661B2 - 油水分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、給油式圧縮機において圧縮空気等のドレンの油水分離装置に係り、特に、真空状態でドレンを加熱し低温沸騰させ、油と水の沸点の差を利用してドレン中の水分を気化蒸発させる真空チャンバー方式の油水分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
給油式圧縮機は圧縮空気をユーティリティとして使用する産業分野で広く使用されている一般的な圧縮機である。この種の圧縮機はスクリュ式およびレシプロ式が主流である。スクリュ式の場合、空気を圧縮する2本のスクリュロータ間の隙間をシールする目的と、圧縮プロセスで発生する圧縮熱を冷却する目的と、ロータ同士の接触部の潤滑を目的として、所要量の潤滑油を圧縮機内部に給油するようになっている。また、レシプロ圧縮機の場合、空気を圧縮するシリンダ、ピストンの接触部の潤滑を目的としてシリンダ内部に潤滑油を給油するようになっている。
【0003】
この種の圧縮機で製造された圧縮空気は前述の潤滑油を含んでいる。そして、この圧縮空気は通常常温近傍まで冷却され空気機械に供給される。このため、冷却の過程で圧縮空気中の水分が凝縮し、油分を含んだドレンが発生する。このドレンは環境保全のため油分を除去し、法律で決められた油分濃度基準値以下に減量した上で排水が可能となる。ドレンの油水分離技術として一般的にフィルタによる油分除去、電気分解、浮選、真空蒸留方式などがとられている。
【0004】
特に、特開平11−343976号公報では、一定量のドレンが油水分離真空チャンバに溜まると油水送入弁が閉じ、加熱器による加熱と、真空ポンプの運転が開始し、油水真空チャンバ内は過熱真空状態になる。この結果ドレン中の水分は低温沸騰し、真空ポンプを通って大気に還元され、油水真空チャンバ内には油分濃度の高い凝縮されたドレンが残る。この段階で真空ポンプは停止し、加熱器が切れ、均圧弁、排油弁が開いて、油分濃度の減量されたドレンが排出される。その後、排油弁、均圧弁が閉となり、油水送油弁が開き、前述の動作を繰返すことにより、油水分離が継続的に実施される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、一連の運転制御を自動的に行うために、真空チャンバ内の液面高さの検出が必要である。一般的な液面高さの検出方法として真空チャンバ内にフロート式のレベルスイッチを設けるか、または真空チャンバの重量を重量センサで測定し、重量変化を液面高さに変換する方法が考えられる。これらの方法の場合下記の問題がある。
1.真空状態で加熱し沸騰したドレンは、蒸発現象の気泡が液中で発生し、成長した後液面で破裂を繰返し、液面変動が著しいためフロート式のレベルスイッチで液面を正確に検出することができない。
2.上述のように、液面変動に伴い真空チャンバが振動するため、重量センサで真空チャンバの重量を正確に検出することができない。
【0006】
以上のことから、従来技術における一般的な検出方法を適用して真空チャンバ内の液面高さを検出することは困難であり、真空蒸留方式による油水分離装置の運転を自動化する上で課題である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、真空チャンバ内の液面高さを正確に計測し、油水分離の自動運転を可能にした油水分離装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、液面高さが真空チャンバ内の液面高さと同じ液面高さになるようなサブタンクを設け、真空蒸留作業中に、真空チャンバとサブタンクとを切り離し、サブタンク内に所定量の空気を導入した時の圧力変化を計測し、それを用いて、サブタンク内の液面高さを求めて、真空チャンバ内の液面高さとしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の油水分離装置の一実施形態の概略構成を示す。
【0010】
本システムは次のように構成されている。図示していない圧縮機等で発生した油成分を含むドレンは、ドレンタンク8に溜められる。このドレンタンク8に溜められたドレンは、配管21bと、電磁弁E14と、配管21aを介して真空チャンバ1に送られる。また、同時に真空チャンバ1内に送られてきたドレンは、配管16aと、電磁弁A10と、配管16bとを介してサブタンク2にも送られる。
【0011】
真空タンク1の上部には配管19が接続されており、この配管19により、真空タンク1内を真空状態(減圧状態)にしたり、大気圧に戻すことをしている。更に、真空タンク1の上部とサブタンク2の上部は配管17aと、電磁弁B11と、配管17bとを介して接続されており、電磁弁B11を開放することにより、サブタンク2と真空タンク1内の圧力が同じ圧力となるようにしてある。更に真空タンク1の下部の外側には、ヒータ7が設けてある。
【0012】
また、サブタンク2の上部側には、圧力センサ9が設けられていると共に、定量空気タンク3と接続するための配管18aと、電磁弁C12と、配管18bとが設けてある。更に、定量空気タンク3の上部側には、電磁弁D13が設けてある。
【0013】
真空タンク1の上部側に設けた配管19の真空タンク1側の端部には電磁弁F15が設けて有り、この電磁弁15を開放することで真空タンク1やサブタンク2内を大気圧に戻すことができる。更に、配管19の他の端部側には凝縮機4が設けられ、凝縮機4には配管20を介して真空ポンプ6が接続されている。なお、凝縮機4には冷却ファン5が設けてある。
【0014】
次に、真空蒸留のプロセスについて説明する。
【0015】
図示していない主電源スイッチの投入で、冷却ファン5と、真空ポンプ6が駆動され、電磁弁C12、電磁弁F15が閉となる。尚、他の電磁弁A10、電磁弁B11、電磁弁E14は開放状態としてある。このため、真空チャンバ1やサブタンク2内の空気は、配管19と、凝縮器4と、配管20及び真空ポンプ6を通って大気に放出される。そのため、真空チャンバ1とサブタンク2は徐々に真空度が上昇する。
【0016】
真空度上昇に伴ってドレンタンク8に溜められたドレン(イ)が真空チャンバ1、およびサブタンク2に吸引される。その後、図示していない制御盤からの指令(信号)によって、主電源投入後予め設定された時間で電磁弁E14が閉じられ、ヒータ7に通電される。
【0017】
この状態では、真空チャンバ1にはドレン(ロ)が、サブタンク2にはドレン(ハ)が溜められている。また、真空チャンバ1とサブタンク2は、配管16aと、電磁弁A10と配管16b、及び配管17aと、電磁弁B11と配管17bにより連通しており、ドレン(ロ)とドレン(ハ)の液面高さは等しい。
【0018】
ヒータ7を通電後、ドレン(ロ)の温度は上昇し、真空チャンバ1の真空度に応じて決まる水の沸点に達すると、ドレン(ロ)の水分の蒸発が開始する。真空タンク1内で発生した蒸気は、配管19を通って凝縮器4に入り冷却ファン5で冷却され、蒸気から水分に還元された後、配管20を介して真空ポンプ6を通って排出される。なお、シンクタンク1内のドレン(ロ)が減少すると、サブタンク2からドレン(ハ)が真空タンク1側に流れ込む。このため、ドレン(ロ)、ドレン(ハ)は蒸発によって水分が減量し、低温沸騰で蒸発しない油分が残留する。液面が所定量低下した段階で、図示していない制御盤からの指示で電磁弁E14を開き,再度ドレンタンク8のドレン(イ)を真空チャンバ1とサブタンク2に吸引し、前述の蒸発工程を繰返す。
【0019】
次に、液面制御について説明する。液面を求める方式としては次の2種類が考えられる。1つの方法は、外部から定量の空気を一定時間供給し、その間の圧力変化から求める方法である。もう1つの方法は、定量容器との連通による圧力変化から求める方法である。
【0020】
まず1番目の方法では、空間容積をV、初期圧力をP1、最終圧力を;P2、供給空気圧力をP3、供給空気量をQ、ガス定数をR、ガスの温度をT、ガスの重量をGとする。また、初期と最終のガス定数、温度の変化は小さく無視できるものとする。
気体の状態方程式PV=GRTから、
初期重量はG1=(P1×V)/(R×T)
最終重量はG2=(P2×V)/(R×T)
この差が外部から供給された空気量に等しいため、
として求められる。
【0021】
次に2番の方法では、空間容積をV1、空間容積の初期圧力をP1、定量容器の容積をV2、定量容器の初期圧力をP2、空間容積と定量容器を連通後の到達圧力をP3、とし、気体の状態方程式における各記号は1項と同一とする。
空間容積中の初期重量 G1=(P1×V1)/(R×T)
定量容器中の初期重量 G2=(P2×V2)/(R×T)
連通後の流体重量 G3=P3×(V1+V2)/(R×T)
G3=G1+G2 より V1を求めると
∴ V1=(P2−P3)×V2/(P3−P1) …式(2)
として求められる。
【0022】
以上の説明のとおり、定期的に容器に計量可能な空気を導入し、容器内の状態変化として圧力を測定することにより計算により求める。空間容積は液面変動有無に関わらず計測時点の状態で一定である。また振動に影響されないため、計測中の状態を安定的に捉えることが出来る。
【0023】
なおここでは、2番の方式で液面を求めて制御する方法を説明する。
【0024】
通常運転中は電磁弁A10、電磁弁B11が開いているため、配管16a、16b、および配管17a、17bの連通により真空チャンバ1のドレン(ロ)とサブタンク2のドレン(ハ)の液面レベルは等しく保たれている。また、サブタンク2の内圧は真空チャンバ1内圧と等しく、真空圧P1となっている。この状態で、図示していない制御盤から、予め設定した時間間隔で信号を出し、電磁弁A10、電磁弁B11、電磁弁D13を閉じ、電磁弁C12を開ける。
【0025】
定量空気タンク3には大気圧P2状態の空気が容積V2充填されており、この空気が18bと、電磁弁C12と、配管18aとを通って圧力の低いサブタンク2側へ瞬時に流れる。これによって、サブタンク2と定量空気タンクの内圧はP3の状態となる。
【0026】
この初期状態の圧力P1と最終状態の圧力P3は圧力センサ9で検知し、図示していない制御盤に入力される。また、大気圧P2は定数として演算式に織込まれている。以上のデータから、図示していない制御盤に組み込まれた前述の式(2)を用いて、サブタンク2の空間容積V1を求める。そして、サブタンク2の全容積V3からV1を除くことによりサブタンク2内の液量が求められる。更に、サブタンク2の底面積は定数であり、液量を底面積で割って液面高さの解を得る。一連の演算が終了し、予め設定された液面高さの下限値より計算結果が大きい場合は、電磁弁A10、電磁弁B11、電磁弁D13を開け、電磁弁C12を閉じて蒸発工程を繰返す。また、下限値よりも計算結果が小さい場合は、電磁弁E14を開いてドレンタンク8のドレン(イ)を真空チャンバ1、サブタンク2に吸引する。
【0027】
以上のように、本実施形態ではサブタンクに加えて、定量空気タンクを設けた構成としたが、真空チャンバと切り離した時にサブタンクに導入する空気量を計測できできれば、定量空気タンクを設けずに、(1)式を用いて、液面高さを求めることができる。
【0028】
本発明は、低圧沸騰している真空チャンバとは別に設けたサブタンクにて液面を計測する構成としていているために、液面の乱れがなく高精度に液面高さを計測でき、更に、フロートスイッチ等の稼動部がないためメンテナンスが不要となり長期間に渡って計測精度を保つことができる等の効果がある。
【0029】
なお、上記実施形態では真空チャンバとは別にサブタンクを設ける構成としたが、真空チャンバを2つの部屋(室)に仕切る仕切り板と、その仕切り板の上下に弁を設ける構成としてもよい。この場合、一方側の部屋の下部にヒータを設けて加熱し、他方の部屋へは熱が伝わらないようにして、液面高さを測定する時は上下に設けた弁を閉じ他方の部屋に設けた大気供給弁を開放して、所定量の大気を所定時間導入することで、先に説明した式(1)、又は式(2)を用いて液面高を求めるようにしても良い。この構成では、先の実施形態で設けたサブタンクが不要となり、装置の小型が図れる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、
(1)低温沸騰現象に伴う液面変動の激しい場合においても、容積を測定することにより精度良く液面高さを検出できる。
(2)フロートスイッチのような可動部がなく、構造的信頼性が高い。
(3)制御する液面高さはスイッチを交換する必要がなく、制御盤の演算プログラムの設定値を変更するだけで容易に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のフローと機器構成図
【符号の説明】
1…真空チャンバ
2…サブタンク
3…定量空気タンク
4…凝縮器
5…冷却ファン
6…真空ポンプ
7…ヒータ
8…ドレンタンク
9…圧力センサ
10〜15…電磁弁
16〜21…配管
Claims (2)
- 圧縮空気系統から排出される油分と水分が懸濁したドレンを溜めるタンクと、真空状態で油と水の沸点の差を利用して水分を気化蒸発させる真空チャンバとを備えた油水分離装置において、
前記真空チャンバの液面と同一高さを維持するサブタンクを設け、定期的に前記真空チャンバと前記サブタンクとの連通を切り離し、サブタンク内の空間に満たされた空気の量と圧力変化から液面高さを計測する構成としたことを特徴とする油水分離装置。 - 請求項1記載の油水分離装置において、液面高さを計測する時にサブタンク内に流入する空気量を一定にするため、前記サブタンクに連通する定量空気タンクを設けたことを特徴とする油水分離装置。
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