JP3688014B2 - 金属二重管の製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、金属二重管の製造方法及び装置に係り、特に火力や原子力等の発電プラント、化学工場等のプラントにおける海水使用熱交換器に使用される二重管構造の伝熱管として有用な金属二重管の液圧拡管による製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、金属製の内管と外管とを嵌合し、相互に密着させて、二重管を製造する方法としては、両管の熱膨張差を利用した方法、抽伸法、圧力流体(圧力水)による拡管法等が知られている。なかでも、銅合金管と薄肉チタン管とを構成材料とした場合のように、両管の変形抵抗が大きく異なり且つ伝熱管として良好な伝熱性能を示す二重管を製造する場合にあっては、二重管の界面において良好な密着性を得るために、常温或いは高温の圧力水による液圧拡管法の採用が、好適となる。
【0003】
ところで、かかる液圧拡管法による二重管の製造に際しては、構成される内管と外管の弾塑性変形特性の違いを利用して、両管が圧着せしめられることとなるところから、内管の弾性限(=耐力/ヤング率)は、外管のそれに比較して低くする必要がある。そして、その条件を満たす外管と内管とを嵌合せしめた後、内管内側から液圧を加えて拡管せしめ、そして液圧を除去することにより、両管の弾塑性変形量の違いとその状態の維持によって、二重管の良好な密着状態が実現されることとなるのである。
【0004】
このような二重管の製造方法の概念は、図1において液圧拡管法による内張概念図として示されるところからも容易に理解し得るところである。即ち、図1において、破線は、内管(外径:Do )及び外管(内径:Di )の単独に対して所定の液圧を管内面側から加え、そして除去せしめたときの径変化を示し、また実線は、外管内に内管を挿入した状態で内管内側から液圧を付加、そして除去したときの外管内径、更には内管外径の変化を示しており、そこでは、拡管後の外管内径(=内管外径):Dは、外管の単独に対して所定の液圧を管内面側から付加せしめ、そして除去したときの外管内径:Di ′よりも大きくなり、また内管の単独に対して所定の液圧を管内面側から付加せしめ、そして除去したときの内管外径Do ′よりも小さくなるところから、外管内面に対して内管外面が圧着状態となり、以て二重管を構成する内管と外管との間の良好な密着状態が効果的に実現されることとなるのである。
【0005】
また、上記した二重管の製造工程において、外管に比較して弾性限の低い内管は、その円周方向の変形に追随して、管軸方向には縮小変形が生じることとなるが、それら両管の良好な密着状態を得るためには、そのような管軸方向の縮小変形をフリーな状態で生じさせる必要がある。また、拡管圧力が最大値として20〜40MPaと、非常に高いことから、内管の液圧シールには充分な液密性を維持させる必要がある。この内管の液圧シールが不充分であると、液圧拡管の際に外管と内管との界面に圧液が浸透し、それら両管の界面において良好な密着状態が得られず、製造された二重管は、伝熱管等として満足する性能を示さなくなるのである。
【0006】
ところで、上述の如き二重管を得るために考えられる一つの液圧拡管法にあっては、上記の密着状態を達成させるべく、図2に概略的に示されているように、内管2の外側に外挿せしめた外管4を上下のクランプ6a、6bにて挟圧固定せしめる一方、外管4の管端より突出せしめられた内管2の部位に対しては、液圧ヘッド8に設けられた二重のOリング10、10にて、液圧シールが形成されているのである。即ち、そこでは、液圧ヘッド8を通じて供給される圧液にて、拡管圧力が内管2の内側から加えられることとなるが、そのような内管2と液圧ヘッド8との間の液圧シールが、二重に配置されたOリング10、10にて実現されているのである。
【0007】
しかしながら、そのようなOリング10を用いた内管2の液圧シール構造にあっては、高い液密性を得ることが困難であって、例えば、ロット間のバラツキや溶接管のように管周の1ヵ所に溶接ビード等の僅かな突出部が存在すること等によって生じる内管外径の僅かな寸法差異により、Oリング10の液圧シールが不充分となるのであり、そのために、二重管界面に圧液が浸入して、二重管界面の密着性が不充分となる場合が多く惹起されているのである。また、二重に配置したOリング10、10間に位置する内管2部分の外径が、拡管液圧によって拡大せしめられ、その結果として、内管2の管軸方向への縮小変形が阻害されたり、或いは縮小変形の際に、Oリング10を損傷せしめ、液圧シールが不充分となることによって、二重管界面の密着性が更に不充分となる場合が惹起されるようになるのである。
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その課題とするところは、内管に対する液圧シールを高い液密状態に維持し、且つ内管の管軸方向への縮小変形をフリーな状態で生じさせて、充分な界面密着性を有する金属二重管を安定して得ることの出来る方法、及びそのための製造装置を提供することにある。
【0009】
【解決手段】
そして、本発明は、そのような課題を解決するために、弾塑性変形特性の異なる2種類の金属管を外管及び内管として用い、該外管に対する該内管の嵌合の後、内管内側からの液圧の印加による液圧拡管によって両管を圧着せしめて、金属二重管を製造するに際して、前記外管の管端よりも前記内管を所定長さ突出せしめて、該外管の管端側部位を機械的に固定する一方、該外管より突出せしめてなる前記内管の管端側部位の外周に、外部からの圧液の供給によって該内管の外周面に密着して液圧シールを可能とした管端液圧シール手段を設け、該管端液圧シール手段に対して拡管圧力よりも常に高い圧力の圧液を外部より供給して、前記内管の外周面に対する液圧シールを行ないつつ、液圧拡管にて該外管と該内管とを圧着せしめるようにしたことを特徴とする金属二重管の製造方法を、その要旨とするものである。
【0010】
なお、かかる本発明に従う金属二重管の製造方法において、管端液圧シール手段に外部から供給される圧力の拡管圧力に対する増加分は、0.3MPa〜4MPaの範囲内とされることとなる。
【0011】
また、本発明は、上記した金属二重管の製造方法に用いられる装置として、弾塑性変形特性の異なる2種類の金属管を外管及び内管として用い、該外管に対して該内管を嵌合せしめた状態下において、内管内側からの液圧の印加による液圧拡管によって、両管を圧着せしめて、金属二重管を製造するようにした装置にして、前記外管の管端側部位を機械的に固定する外管固定手段と、該外管の管端よりも所定長さ突出せしめられた前記内管の管端側部位の外周に設けられた、外部からの圧液の供給によって該内管の外周面に密着して液圧シールを可能とした管端液圧シール手段とを含み、且つ該管端液圧シール手段が、外部からの圧液の供給によって内周部が縮径変形して前記内管の外周面に線接触若しくは面接触により密着が可能な形状を有し且つ拘束された変形領域内において使用圧液にて弾性変形する材質で形成された円環形状のシール部材と、該シール部材を、該内管の管軸方向における変形を阻止しつつ、その内周部が縮径変形し得るように保持し、該シール部材に対する外部からの圧液の供給を許容する金属製ブロック体からなる固定部材とから構成されていることを特徴とする金属二重管の製造装置を、その要旨とするものである。
【0012】
そして、このような本発明に従う金属二重管の製造装置においては、前記シール部材が径方向外方に開口するU字型の横断面形状をもって前記内管の外周に位置し、該U字型形状の湾曲内側に前記外部から供給される圧液が導かれるようになっている一方、該U字型形状の湾曲底部が該内管外周面に接するようになっている。
【0013】
また、かかる本発明に従う金属二重管の製造装置にあっては、有利には、前記シール部材が、拡管液圧に基づくところの管軸方向における変形は拘束するが、前記外部から供給される圧液による圧力は伝達せしめて、その内周部の縮径変形を許容する金属製の構造体を有している。
【0014】
【作用・効果】
このように、本発明に従う構成によれば、液圧拡管により二重管を製造するに際して、外部からの圧液の供給による加圧によって内管外周に密着して液圧シールを可能とする管端液圧シール手段を、外管より突出した内管部分に設け、拡管圧力よりも増加させた高い圧力を、該管端液圧シール手段に対して外部より常に付加して、内管の液圧シールを行なうことにより、内管の管端外周液圧シールを実現せしめるものであるところから、かかる内管の外面に対する液圧シールを高い液密状態に効果的に維持せしめ得、また、内管の管軸方向への縮小変形をフリーな状態で効果的に惹起せしめ得るのであり、以て充分な界面密着性を有する金属二重管を安定して製造し得ることとなったのである。
【0015】
また、このように得られる金属二重管の界面の高い密着性が確保され得ることにより、その結果として、熱交換器用伝熱管として充分な高伝熱性能を有する二重管の製造が可能となったのである。
【0016】
ところで、拡管液圧の増加速度に対して、内管に対する管端液圧シール手段に加える液圧の増加速度に僅かな遅れが生じた場合、拡管液圧の作用によって、シール部材に拡管対象管の管軸方向に縮小変形が生じ、内管外面へのシール部材の密着が妨げられて、シール不良が生じる恐れがあるが、特に本発明にあっては、そのような現象を防止するため、管軸方向の変形は拘束するが、内周部の縮径変形は許容する金属製の構造体をシール部材に組み込むことにより、シール部材の拡管液圧による管軸方向の縮小変形を拘束するようにした構成が、有利に採用されることとなるのである。
【0017】
何れにしても、本発明に従う方法及び装置によれば、高い液密性で、内管の液圧シールが達成され、且つ内管の管軸方向への縮小変形もフリーな状態で生ぜしめることが可能となり、以て充分な界面密着性を有する二重管を安定して製造し得ることとなったのである。
【0018】
【具体的構成】
以下、本発明に従う方法及び装置について、図面に示される代表的な具体例に基づいて、更に詳細に説明することとする。
【0019】
先ず、図3において、12及び14は、それぞれ、目的とする金属二重管を構成する内管及び外管であり、弾塑性変形特性の異なる2種類の金属管が用いられている。そして、それら金属管のうち、弾性限(=耐力/ヤング率)の低いものが内管12として用いられ、また、それよりも弾性限の高いものが外管14として用いられて、図1に示される如き管径変化に従って、二重管の良好な密着状態が実現され得るようになっている。
【0020】
また、それら内管12と外管14とは、該外管14内に該内管12が挿入せしめられることによって嵌合され、更に該外管14の管端よりも該内管12が所定長さ突出せしめられているのであり、そして、そのような内管12及び外管14の管端部位に対して、図3に示される如きクランプ及びシールが行なわれることとなるのである。なお、図3では、一方の管端部位に対するクランプ及び液圧シールしか示されていないが、他方の管端部位に対しても、同様なクランプ及び液圧シールが行なわれるようになっている。
【0021】
ところで、図3においては、外管14の管端側部位が、外管固定手段たる上クランプ16aと下クランプ16bとによる挟持によって、従来と同様に、機械的に固定せしめられ得るようになっている。一方、外管14より突出せしめられた内管12の管端側部位の外周には、液圧ヘッド18の先端部に取り付けられた、管端液圧シール手段としての割型ブロック構造のシール装置20が配置されている。なお、この割型ブロック構造のシール装置20に対して、外管固定手段たる上クランプ16a及び下クランプ16bが係合、固定せしめられるようになっている。
【0022】
そして、割型ブロック構造のシール装置20は、それぞれ貫通孔を有する本体ブロック20aと蓋体ブロック20bとから構成され、該本体ブロック20aの貫通孔の周りに形成された段付き部にU字型リング形状のシール部材22を収容した状態下において、蓋体ブロック20bが固定ボルト24にて本体ブロック20aに対して固定せしめられることによって、シール装置20が構成されている。なお、シール部材22は、図4に拡大して示されているように、径方向外方に開口するU字型の横断面形状をもって、内管12の外周に位置するようなU字型リング形状乃至は船底型リング形状を呈している。そして、そのようなシール部材22が、シール装置20内に収容保持せしめられることにより、そのU字形状の内側空所23にて、リング状の圧液室26が液密状態において形成され、更にこの圧液室26に対して、圧液供給口28を通じて、外部から所定の圧液が供給されるようになっている。
【0023】
従って、かくの如き割型ブロック構造のシール装置20にセットしたシール部材22の内部に形成される圧液室26に対して、外部から所定の圧液が供給せしめられると、シール部材22は、本体ブロック20aと蓋体ブロック20bとによって、管軸方向(図において左右方向)の変形が拘束されつつ、そのU字の湾曲底部が縮径変形して、内管12の外周面に線接触若しくは面接触により密着せしめられて、所望の液圧シールを形成することとなるのである。このように、シール部材22は、外部からの圧液の供給による加圧によって変形して、内管12管端の高液密性を維持し、更に拡管対象管の液圧拡管加工前後の装脱着も容易ならしめるために、かかるシール部材22は、適用圧力範囲内において、弾性変形特性を示す材質よりなることが望ましく、特に硬質ゴム等のシール材質が好適に採用されることとなる。
【0024】
なお、かかるシール部材22を保持する本体ブロック20aと蓋体ブロック20bとは、外部からの加圧によって惹起される、該シール部材22の内管管軸方向における変形を阻止しつつ、該シール部材22の内周部が縮径変形し得るように支持するものであって、シール部材22に対して印加液圧を伝達可能な構造とされている。特に、それらブロック20a、20bには、シール部材22による良好な液密性維持のため、シール部材22自体の管軸方向の移動を阻止し得るようなシール部材保持構造が必要であって、更にはシール部材22の耐久性維持のため、その過剰な変形を防止し且つシール部材22の変形をシール対象の内管外周部に極力限定するために、シール部材22の変形を管軸方向において一定範囲に拘束し得るような構造とされているのである。
【0025】
そして、このように、内管12及び外管14の管端側部位を支持させた状態下において、液圧拡管せしめるに際しては、シール装置20への外部からの圧液の供給によってシール部材22を変形させ、内管12の外周面に線接触若しくは面接触させて圧着せしめることによって、液圧シールを実現させる一方、液圧ヘッド18を通じて、従来と同様に圧液が供給されることにより、拡管圧力が内管12の内側に作用せしめられ、以て目的とする拡管が行なわれることとなる。
【0026】
なお、かかる液圧拡管に際しては、内管液圧シールの液密性を維持するために、シール装置20に対する圧液供給による印加圧力は、拡管圧力よりも常に高い圧力とされ、それによって、拡管圧力に抗して、内管12の外周面とシール装置20におけるシール部材22との間の密着による有効な液圧シールが保持され得るようになっているのである。そして、そのような外部からの圧液供給によるシール部材22への印加圧力(シール液圧)の拡管圧力に対する増加分:dPは、適宜に選定されることとなるが、一般に、0.3MPa以上、4MPa以下の範囲内とされる。かかる増加分:dPが0.3MPa未満の場合には、シール装置20による内管12外面の液密性の維持が不充分となるのであり、また4MPaを越えるようになると、内管12の管軸方向への縮小変形の抵抗となったり、或いはシール液圧により内管12が変形して、液密性の維持が不可能となり、良好な界面密着性を有する二重管を安定して得ることが困難となる等の問題を惹起する。
【0027】
ところで、拡管加工工程における拡管液圧の増加速度に対して、シール装置20に加えられる外部からの圧液の供給による液圧の増加速度に僅かな遅れが生じても、シール部材22が、拡管液圧の作用によって、拡管対象管たる内管12の管軸方向に縮小変形せしめられるようになるのであり、そしてそれによって、内管12外面へのシール部材22の密着が妨げられて、液圧シール不良が惹起されるところから、本発明にあっては、特に有利には、拡管液圧に基づくところの管軸方向におけるシール部材22の変形は拘束するが、外部から供給される圧液による圧力はシール部材22に伝達せしめて、その内周部の縮径変形を許容する金属製の構造体が、シール部材22に組み込まれることとなる。
【0028】
そのような金属製の構造体は、シール部材22の管軸方向への縮小変形を防止するために、拡管液圧の作用によって該シール部材22に変形を生じさせない、剛性のある金属体とする必要があり、また、当然のことながら、シール部材22に径方向の縮径変形を生じさせるために、シール部材22への外部供給圧液の圧力の伝達が可能な構造とする必要がある。具体的には、そのような金属製構造体は、円環形状のシール部材22に対応して、外部から供給される液圧が作用する面に位置するように、リング形状を呈しており、その円周位置の複数箇所に圧力伝達用の貫通孔を設けた構造とされたり、或いは金属製のリングを複数個に分割して、シール部材22の圧液室26を与える凹部(23)に挿入、密着せしめ、周方向に配置せしめてなる構成が採用されたりする。
【0029】
なお、図5には、そのような金属製の構造体としてのステンレス製リング30の配設例が示されている。そこにおいて、ステンレス製リング30は、シール部材22の圧液室26の内面形状に対応した丸みのあるU字形状を呈し、かかる圧液室26の内面に密着して組み込まれている。そして、このステンレス製リング30のU字型形状の湾曲底部には、所定大きさの圧力伝達用の貫通孔32が周方向に所定の間隔を隔てて設けられており、この貫通孔32を通じて、外部から供給された圧液の圧力がシール部材22に対して作用せしめられるようになっているのである。従って、そのような圧液の作用により、シール部材22は、その内周部が縮径変形せしめられることとなるのであり、一方、内管12の管軸方向からの圧力の作用、換言すれば拡管圧力の作用に対しては、ステンレス製リング30の存在によって、シール部材22の管軸方向の変形が効果的に阻止せしめられ、以て内管12外面へのシール部材22の密着が良好に保持されることとなるのである。
【0030】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0031】
実施例 1
下記寸法並びに0.2%耐力値(σ0.2 )を有するアルミニウム黄銅管(JIS−H3300−C6871)及び溶接薄肉チタン管(JIS−H4631−TTH28W)を構成材料として、外管をアルミニウム黄銅管、内管をチタン管とした金属二重管を、90℃の温水からなる圧力水を使用した液圧拡管法により製作した。
【0032】
なお、かかる液圧拡管法の実施に際して、内管管端の液圧シール装置は、図3に示す構成のものを用いた。そこで、シール部材22には、硬度:80のU型リング形状の硬質ゴムが用いられており、このシール部材22を鋼製の割型ブロック構造のシール装置20内にセットせしめ、その圧液供給口28から所定圧力の圧液を外部より導入することにより、そのような圧液による印加液圧がU型リング形状のシール部材22に伝達可能となっている。また、U型リング形状のシール部材22とシール対象である内管(チタン管)12とのクリアランスは、2mmとした。この構成においては、外部からの印加液圧により、U型リング形状のシール部材22は、縮径変形、換言すれば円周方向の縮小変形を生じ、シール対象である内管12の外周面に密着することとなる。
【0033】
また、拡管量は、外径変化量として0.18mm、更に拡管液圧は最大33MPaとし、そしてシール圧力は、手動式圧力ポンプによって、増加する拡管液圧に対して、その増加量:dPが0.7〜1.0MPaの範囲内となるように調節して、拡管した。
【0034】
そして、その製作された二重管について、外管/内管の界面密着性を、両管の管軸方向引っ張り試験において測定される圧着面での緊縛力で評価し、また二重管の伝熱性能を、実熱交換器を模擬した蒸気付加伝熱測定装置による測定により、製作した二重管と同一寸法のアルミニウム黄銅単管に対する熱通過率比を求めて、評価した。
【0035】
その結果、製作本数20本について、圧着界面の緊縛力は、その20本の全てが35〜50N/cm2 の範囲内であり、また、熱通過率比は、91〜95%の値を示した。このことより、本実施例で得られた二重管は、緊縛力、伝熱性能とも、熱交換器用伝熱管として充分な性能を有していることを認めた。
【0036】
比較例 1
実施例1と同様の構成、寸法並びに同様の構成材料を用いて、図2に示される方法により、20本の二重管を製作した。また、液圧拡管時の拡管量及び拡管液圧は、上記の実施例1と同様である。
【0037】
かくして得られた二重管の圧着界面における緊縛力は0.3〜53N/cm2 の範囲で、大きくばらつき、また二重管と同一寸法のアルミニウム黄銅単管に対する熱通過率比は、次のように分類された。
【0038】
なお、熱交換器用伝熱管として望ましい熱通過率比は85%以上であるが、ここでは、その値に満たない本数は全体の30%に及んでいる。従って、図2に示される如き方法では、安定した二重管の製造を望むことが無理であることが認められるのである。
【0039】
実施例 2
下記寸法並びに0.2%耐力値(σ0.2 )を有するアルミニウム黄銅管(JIS−H3300−C6871)及び溶接薄肉チタン管(JIS−H4631−TTH35W)を構成材料として、外管をチタン管、内管をアルミニウム黄銅管とした金属二重管を、90℃の温水からなる圧力水を使用した液圧拡管法により製作した。
【0040】
なお、内管管端のシール装置20は、シール部材22を除き、実施例1と同様である。シール部材22のみ、内管12の外周面に接する内周面が平坦面とされた船底型リング形状の硬質ゴム(硬度80)を用いた。拡管液圧は、最大36MPaとし、シール圧力は、手動式圧力ポンプによって、増加する拡管液圧に対し、その増加量:dPが0.3〜3MPaの範囲内の所定の値となるように調節して、拡管を行なった。
【0041】
このようにして製作された各種二重管について、外管/内管の界面密着性を、両管の管軸方向引っ張り試験において測定される圧着面での緊縛力で評価し、また二重管の伝熱性能は、実熱交換器を模擬した蒸気付加伝熱測定装置による測定により、製作した二重管と同一寸法のアルミニウム黄銅単管(25.4mmφ×1.25mmt )に対する熱通過率比を求めて、評価した。その結果を、下記表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
かかる表1の結果から明らかなように、本実施例で得られた二重管は、実施例1のものと同様に、緊縛力、伝熱性能ともに、熱交換器用伝熱管として充分な性能を示すものであることが認められる。
【0044】
実施例 3
下記寸法並びに0.2%耐力値(σ0.2 )を有するアルミニウム黄銅管(JIS−H3300−C6871)及び溶接薄肉チタン管(JIS−H4631−TTH28W)を構成材料として、外管をアルミニウム黄銅管、内管をチタン管とした金属二重管を、80℃の温水からなる圧力水を使用した液圧拡管法により製作した。
【0045】
この液圧拡管法に際して、内管管端の液圧シール装置(20)は、図5に示される構成を採用した。即ち、硬度80の船底型リング形状の硬質ゴムからなるシール部材22を用い、そして該シール部材22の管軸方向への縮小変形を防止するために、該シール部材22の圧液室26を形成する凹部(23)にステンレス製リング30を密着して、組み込んだ。なお、ステンレス製リング30は、シール部材22の凹部(23)に密着して挿入が可能な寸法とされ、そのリング円周位置の6ヵ所には、5mmφの貫通孔が設けられており、そしてそれを半円形の2分割体として、シール部材22の凹部(23)内に組み込んだ。
【0046】
また、このステンレス製リング30を組み込んだシール部材22を鋼製の割型ブロック構造のシール装置20内にセットせしめ、このシール装置20(具体的には、本体ブロック20a)に設けられた圧液供給口28を通じて、外部から所定圧力の圧液を、供給せしめて、その液圧がシール部材22に伝達せしめられ得るようになっている。なお、拡管液圧は最大28MPaとし、シール圧力は、手動式圧力ポンプによって、増加する拡管液圧に対し、その増加量(dP)が0.7〜1.5MPaの範囲内となるように調節して、拡管を行なった。
【0047】
かくして製作された二重管について、外管/内管の界面密着性を、両管の管軸方向引っ張り試験において測定される圧着面での緊縛力で評価し、また二重管の伝熱性能は、実熱交換器を模擬した蒸気付加伝熱測定装置による測定により、製作した二重管と同一寸法のアルミニウム黄銅単管に対する熱通過率比を求めて、評価した。
【0048】
その結果、得られた二重管の圧着面での緊縛力は30〜50N/mm2 の範囲であり、またその熱通過率比は90〜95%を示し、かかる得られた二重管が、緊縛力、伝熱性能共に、熱交換器用伝熱管として充分な性能を有していることを認めた。
【図面の簡単な説明】
【図1】液圧拡管法による内管及び外管の径変化を示す説明図である。
【図2】 一つの有効な液圧拡管法において用いられている管端シール装置の一例を示す断面説明図である。
【図3】本発明に従う管端シール装置の一例を示す断面説明図である。
【図4】図3の装置に用いられるシール部材の一例を拡大して示す断面説明図である。
【図5】本発明に従う金属製構造体を組み込んでなるシール部材をシール装置にセットした状態を示す断面拡大部分図である。
【符号の説明】
2、12 内管 4、14 外管
6a、16a 上クランプ 6b、16b 下クランプ
8、18 液圧ヘッド
10 Oリング
20 シール装置 20a 本体ブロック 20b 蓋体ブロック
22 シール部材
24 固定ボルト
23 内側空所(凹部)
26 圧液室
28 圧液供給口
30 ステンレス製リング
32 貫通孔
Claims (4)
- 弾塑性変形特性の異なる2種類の金属管を外管及び内管として用い、該外管に対する該内管の嵌合の後、内管内側からの液圧の印加による液圧拡管によって両管を圧着せしめて、金属二重管を製造するに際して、
前記外管の管端よりも前記内管を所定長さ突出せしめて、該外管の管端側部位を機械的に固定する一方、該外管より突出せしめてなる前記内管の管端側部位の外周に、外部からの圧液の供給によって該内管の外周面に密着して液圧シールを可能とした管端液圧シール手段を設け、該管端液圧シール手段に対して拡管圧力よりも0.3MPa〜4MPaだけ高い圧力を有している圧液を外部より供給して、前記内管の外周面に対する液圧シールを行ないつつ、液圧拡管にて該外管と該内管とを圧着せしめるようにしたことを特徴とする金属二重管の製造方法。 - 前記管端液圧シール手段に外部から供給される圧液の圧力が、拡管圧力よりも8.3%だけ高い圧力以下とされている請求項1記載の金属二重管の製造方法。
- 弾塑性変形特性の異なる2種類の金属管を外管及び内管として用い、該外管に対して該内管を嵌合せしめた状態下において、内管内側からの液圧の印加による液圧拡管によって、両管を圧着せしめて、金属二重管を製造するようにした装置にして、
前記外管の管端側部位を機械的に固定する外管固定手段と、該外管の管端よりも所定長さ突出せしめられた前記内管の管端側部位の外周に設けられた、外部からの圧液の供給によって該内管の外周面に密着して液圧シールを可能とした管端液圧シール手段とを含み、
且つ該管端液圧シール手段が、外部からの圧液の供給によって内周部が縮径変形して前記内管の外周面に線接触若しくは面接触により密着が可能な形状を有し且つ拘束された変形領域内において使用圧液にて弾性変形する材質で形成された円環形状のシール部材と、該シール部材を、該内管の管軸方向における変形を阻止しつつ、その内周部が縮径変形し得るように保持し、該シール部材に対する外部からの圧液の供給を許容する金属製ブロック体からなる固定部材とから構成されていると共に、更に、該シール部材が、径方向外方に開口するU字型の横断面形状をもって前記内管の外周に位置し、該U字型形状の湾曲内側に前記外部から供給される圧液が導かれるようになっている一方、該U字型形状の湾曲底部が該内管外周面に接するようになっていることを特徴とする金属二重管の製造装置。 - 前記シール部材が、拡管液圧に基づくところの管軸方向における変形は拘束するが、前記外部から供給される圧液による圧力は伝達せしめて、その内周部の縮径変形を許容する金属製の構造体を有している請求項3記載の金属二重管の製造装置。
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