JP3687505B2 - 鋳造鍛造用アルミニウム合金及び鋳造鍛造材の製造方法 - Google Patents

鋳造鍛造用アルミニウム合金及び鋳造鍛造材の製造方法 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特に高靱性を要求されるサスペンションアーム等の自動車用部品として好適な鋳造鍛造用のアルミニウム合金及び鋳造鍛造材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鍛造用アルミニウム合金素材には、水冷された鋳型中で溶湯を連続凝固させた連鋳棒や連鋳棒から押出加工された丸棒等が一般的に使用されている。しかし、これらの素材を利用して複雑形状の製品を成形する場合、歩留まりが低く、コスト高になる。また、結晶粒の粗大化に起因した強度低下も生じやすい。そこで、最近では重力鋳造やダイカスト法等で製造した予成形体を鍛造成形する鋳造鍛造法が普及してきた。鋳造鍛造法では、鋳造時に極力最終製品に近い予成形体に鋳造し、押出工程を経ることなく予成形体を熱間鍛造している。予成形体を鍛造で成形するためには、鍛造の前工程で健全な予成形体が得られることが重要であり、鋳造性及び鍛造性の両方が良好な合金の開発が要求されている。
【0003】
現在鍛造に使用されているアルミニウム合金としては、JIS A6061,A6151等のAl−Mg−Si系合金やJIS A2017,A7075等の高強度の展伸材がある。これらの材料は、丸棒等の単純形状に鋳造するには問題ないが、製品形状に近い複雑な形状に鋳造しようとすると鋳造時の割れ、流動性不良等に起因して鋳造欠陥が発生しやすく、目的とする予成形体が得られない。また、材料内部に欠陥が発生しやすいため、鋳造鍛造用素材として不向きである。そこで、本願出願人等は、鋳造性及び鍛造性に優れたA1−Si系アルミニウム合金を特開平10−110231号公報で紹介した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一層の軽量化が要求される自動車用途では、強度,靭性及び耐食性に優れた鋳造鍛造材が求められるようになってきた。特に重要保安部品である自動車部品用としては、衝撃に強く、衝突事故の際に破壊せずに変形することにより衝突エネルギーを十分に吸収したり、事故後も作動することが要求されるようになってきた。このような観点からも、より高靭性のアルミニウム合金が望まれている。
本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、Al−Mg系をベースとしMg,Siの添加量を最適化して鋳造性及び鍛造性を両立させ、より高靭性の鋳造鍛造用アルミニウム合金を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の鋳造鍛造用アルミニウム合金は、Mg:1.3〜4.0質量%、Si:0.2〜1.0質量%、Fe:0.1〜0.3質量%と、更にMn:0.1〜0.5質量%、Cr:0.05〜0.5質量%及びZr:0.05〜0.3質量%の何れか1種又は2種以上を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成をもつことを特徴とする。この鋳造鍛造用アルミニウム合金は、更にTi:0.01〜0.2質量%、B:0.001〜0.01質量%の1種又は2種を含むことができる。
また、本発明の鋳造鍛造用アルミニウム合金は、Mg:2.1〜4.0質量%、Si:0.2〜1.0質量%、Fe:0.1〜0.3質量%と、更にMn:0.1〜0.5質量%、Cr:0.05〜0.5質量%及びZr:0.05〜0.3質量%の何れか1種又は2種以上と、Cu:0.3〜0.7質量%、Ti:0.01〜0.2質量%、B:0.001〜0.01質量%の何れか1種又は2種以上を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成をもつことを特徴とする。
【0006】
本発明の合金で製造された鋳造鍛造材は、粗大再結晶がなく平均結晶粒径200μm以下の微細均一な再結晶組織をもつ。そのため、組織に異方性がなく、強度のバラツキが少ない。また、水素含有量を0.30cc/100g以下に規制することにより靭性が向上する。
【0007】
このアルミニウム合金鋳造鍛造材は、所定組成に調製されたアルミニウム合金の溶湯を720〜760℃で製品形状に近い形状に鋳込み、冷却速度0.3℃/秒以上で冷却し、得られた鋳物を400〜500℃に加熱した後、100〜450℃に加熱された金型を用い、圧縮率30〜70%で、鍛造加工を施すことにより製造される。鍛造後530〜590℃で溶体化処理した後、冷却速度100℃/分以上で200℃まで冷却し、200〜250℃で1〜8時間保持処理することにより、高い強度が付与される。
【0008】
【作用】
鋳造鍛造材として知られているA1−Si系アルミニウムでは、Siが多量に含まれているため靭性の向上には限界があった。そこで、本発明者等は、鋳造鍛造材としては知られていないA1−Mg系アルミニウム合金をべ一スとし、該A1−Mg系アルミニウム合金の鋳造性及び鍛造性を向上させることを検討した。A1−Mg系アルミニウム合金は、Mg含有量が増加すると鋳造性は向上するものの、鍛造時の変形抵抗値が増加し鍛造性が悪くなるので、Mg含有量の上限を4.0質量%と低く設定した。しかし、Mg含有量を低く抑えると鋳造性が問題となってくる(図1a)。
【0009】
鋳造性に及ぼす各合金元素の影響を調査検討したところ、本発明が対象とするAl−Mg系ではSi添加量0.2〜1.0質量%の範囲で鋳造性が向上することが判った(図1b)。この点、従来のアルミニウム合金ではSi含有量が低くなるにつれて鋳造性が悪くなると考えられていたが、0.2〜1.0質量%の範囲でSiが鋳造性の向上に有効に作用することは本発明をもって始めてとする知見である。鋳造性は、Fe,Ti,Bの添加により更に改善される。0.2〜1.0質量%の範囲でSiを添加したAl−Mg系合金を鋳造鍛造した後で時効処理すると、Mg2Siの析出により機械的強度も向上する。
【0010】
本発明に従ったアルミニウム合金鋳造鍛造材は、平均結晶粒径が200μm以下の均一微細な再結晶組織をもっている。この再結晶組織のために、材質に異方性がなく、安定した特性を呈する鋳造鍛造製品として使用される。因みに、再結晶組織が粗大化していると、機械的強度が低下するばかりでなく、異方性ががあるため靭性も低下する。
【0011】
平均結晶粒径200μm以下の微細再結晶組織は、Siの添加量を1.0質量%とし、Mn,Cr,Zrの添加と共に鋳造時の冷却速度を0.3℃/秒以上とし、粗大再結晶組織の核となる晶出物の粗大化を防止することにより実現される。再結晶粒の粗大化は、鍛造時の圧縮率を30%以上として転位等の再結晶核の生成サイトを鍛造材内部に多数発生させることでも防止される。なお、本発明で言う「圧縮率」とは、鍛造方向における鋳物の高さと鍛造材の高さの差を鋳物の高さで割った値である。また、強度を出すため、鍛造後に溶体化処理及び時効処理が施される。
【0012】
以下、本発明のアルミニウム合金鋳造鍛造材に含まれる合金成分,含有量,製造条件等を説明する。
Mg:1.3〜4.0質量%
鋳造性を向上させるとともに、時効処理時にSiと共にMg2Siを形成し、引張強度及び耐力の向上に有効な合金成分である。この効果は、1.3質量%以上のMg含有量で顕著となる。1.3%未満のMg含有量では、鋳造性が悪く、複雑な予成形体を形成できない。より複雑な形状の予成形体を形成する場合は、Mg含有量を1.5質量%以上にするのが好ましい。しかし、4.0質量%より過剰なMgが含まれると、鍛造時の変形抵抗値が大きくなり、鍛造性が劣化する。過剰なMg含有は、時効処理による強度向上に有効でなく、却って強度を低下させる原因となるので、Mg含有量は2.5質量%以下にするのがさらに好ましい。
【0013】
Si:0.2〜1.0質量%
鋳造性を向上させ、時効処理時にMg2Siとして析出し、機械的強度を向上させる有効成分である。このような作用は、0.2%以上のSi含有量で顕著になる。しかし、1.0質量%を超える過剰量のSi含有は、却って鋳造性を劣化させ、更に靭性低下や再結晶組織の核となるMg2Siの粗大化に起因した再結晶組織の粗大化も生じる。より複雑な予成形体を形成する場合には、Si含有量を0.4〜0.9質量%とするのが好ましい。
Fe:0.1〜0.3質量%
耐力の向上に有効な合金成分であり、溶湯の鋳型への焼き付きを防ぐ作用も呈する。Feの添加効果は、0.1質量%以上で顕著となる。しかし、0.3質量%を超える過剰量のFeが含まれると、粗大な化合物が形成され、耐食性及び靭性が悪化する。
【0014】
Mn:0.1〜0.5質量%
強度、伸び、耐食性の向上に有効な合金成分であり、Al−Fe−Si系化合物を針状から粒状に変えて靭性を向上させる作用も呈する。また、再結晶粒の粗大化防止にも有効な成分である。このようなMnの添加効果は、0.1%以上(好ましくは0.15質量%以上)で顕著になる。しかし、0.5%を超える過剰量のMnが含まれると、靭性に有害な粗大な化合物が生成しやすくなる。
Cr:0.05〜0.5質量%、Zr:0.05〜0.3質量%
共に、強度、伸び、耐食性を向上させ、再結晶粒の粗大化を防ぐ作用を呈する合金成分である。また、Mnとの併用添加により一層大きな効果が得られる。このような効果は、Cr:0.05%以上,Zr:0.05%以上で顕著となるが、Cr:0.5%、Zr:0.3%を超えると粗大な化合物を形成し、靭性が低下する。
【0015】
Ti:0.01〜0.2質量%、B:0.001〜0.01質量%
必要に応じて添加される合金成分であり、鋳造時に結晶粒の微細化剤と作用し、鋳造性を向上させる。また、予成形体の鋳造組織を微細化するため鍛造性も向上させ、再結晶粒の粗大化を防ぐ効果もある。このような効果は、Ti:0.01%以上,B:0.001%以上で顕著になるが、Ti:0.2%、B:0.01%で飽和する。
Cu:0.3〜0.7質量%
必要に応じて添加される合金成分であり、強度を向上させる作用を呈する。Cuの添加効果は0.3%以上で顕著になるが、0.7%を超えると耐食性が劣化する。不純物としてZnを0.5質量%以下におさえるのが好ましい。
【0016】
再結晶組織:平均結晶粒径200μm以下の微細均一な再結晶組織
アルミニウム合金鋳造鍛造材の機械的強度は、再結晶組織の結晶粒径に応じて変わるが、平均結晶粒径を200μm以下にすることにより要求特性を満足する機械的強度が得られる。また、均一微細な再結晶組織とすることにより、異方性がなく品質信頼性の高い鋳造鍛造製品となる。これに対し、再結晶粒の平均粒径が200μmを超えると機械的強度が低下し、異方性も大きくなるため鍛造材の強度が部分的に強度の低い部分ができる。強度の低い部分は、衝撃が加わった際に応力集中個所となり、靭性を低下させる原因となる。
【0017】
水素含有量:0.30cc/100g以下
鋳造鍛造材に含まれる水素の含有量を0.30cc/100g以下に規制することにより、鍛造時及び熱処理時にフクレの発生が抑制される。また、水素含有量の規制により鋳造鍛造材内部に導入される欠陥が少なくなるため、機械的強度及び靭性も向上する。水素含有量は、溶湯中に不活性ガスや塩素ガスを注入することにより低減できる。
【0018】
鋳造温度:720〜760℃
本発明のアルミニウム合金は、ガス成分の吸蔵を防止するため760℃以下の温度で鋳造される。しかし、720℃より低い鋳造温度では、鋳造性が悪く、必要形状の予成形体に成形できない。鋳造方法としては、鋳造時の空気の巻き込みによるガス含有量の増加を考慮すると重力鋳造法,溶湯鍛造法が好ましいが、本願出願人等が開発した真空酸素ダイカスト法(特願平11−154566号公報,特願2000−3208号公報)も採用できる。真空酸素ダイカスト法では、鋳型内を真空吸引した後で酸素等の活性ガスを注入し、次いで溶湯を鋳型内に注入するため、鋳造時にガスが鋳物に巻き込まれることが少なく、フクレの発生しない高強度、高靭性の鋳造鍛造材が得られる。
【0019】
冷却速度0.3℃/秒以上
アルミニウム合金は、鋳造後の冷却過程で強度向上に寄与しないMg2Siの晶出を抑制するため0.3℃/秒以上の冷却速度で冷却される。0.3℃/秒より遅い冷却速度では、冷却過程でMg2Si等の金属間化合物が粗大化し、鍛造性を悪化させる。粗大化した晶出物は、鍛造時の予熱や溶体化処理時にも完全には固溶せず、溶体化処理時に粗大再結晶組織の核となり、強度を低下させる。
【0020】
鍛造温度:400〜500℃、金型温度:100〜450℃
予成形体は、熱間鍛造に先だって合金元素を極力固溶させるため、400〜500℃に加熱される。鍛造に際しては、鍛造金型を材料の大きさ及び加工率との兼ね合いで100〜450℃に予熱しておき、圧縮率30〜70%で熱間鍛造する。このとき、鍛造上りの材料表面温度が400〜500℃となるように加熱条件を選定する。このように熱間鍛造を高温条件に設定することにより、鍛造時の変形抵抗が低下して、鍛造性が良くなり、またCr,Mn系の化合物を微細均一に分布させることができる。その結果、溶体化処理時の再結晶粒の粗大化が防止される。
【0021】
圧縮率:30〜70%
熱間鍛造では、予成形体の鋳造欠陥を十分に圧潰するため、加工率を30%以上に設定することが好ましい。30%未満の加工率では、鋳造欠陥の圧潰が不充分となり、また再結晶核の生成サイトの形成が不十分で結晶粒粗大化が生じるために十分な機械的性質が得られない。しかし、70%を超える加工率では鍛造圧力が増加するため、過大なプレス能力が必要となり、金型寿命も低下する。
【0022】
溶体化処理:530〜590℃×2〜7時間保持,冷却速度100℃/秒以上
時効処理で強度を付与する用途では、鋳造時に晶出した強度向上に寄与しないMg2Siを固溶させるため、530〜590℃で溶体化処理する。晶出しているMg2Siは、530℃以上,2時間以上の保持処理で十分に固溶する。しかし、590℃を超える高温に加熱するとバーニングが発生し、強度が低下する。また、長時間加熱による生産性の低下を防止するため、保持時間を7時間以内に設定する。溶体化処理されたアルミニウム合金は、Mg,Siの固溶状態を維持するために100℃/秒以上の速度で冷却される。100℃/秒に達しない冷却速度では、再固溶したMg,Siが再び強度向上に寄与しないMg2Siとして冷却過程で再析出してしまう。
【0023】
時効処理:160〜250℃×1〜8時間
Mg,Siを固溶させたアルミニウム合金に160〜250℃×1〜8時間の時効処理を施すと、Mg2Siの析出により強度が付与される。160〜250℃×1〜8時間の条件を外れると、強度向上に有効なMg2Siの析出量が確保されず、強度及び耐食性が劣ることにもなる。
【0024】
【実施例1】
表1に示す組成の合金溶湯中にArガスを注入し、溶湯中の水素含有量を0.30cc/100g以下にした後、図2(a)の形状をもつ予成形体に鋳込んだ。得られた鋳物を450℃に加熱した後、200℃に加熱された金型を用い平均圧縮率40%で図2(b)に示す形状の鋳造鍛造品に成形した。そして、570℃で2時間の溶体化処理した後、水焼入れし、220℃×4時間の時効処理を施した。
【0025】
Figure 0003687505
【0026】
鋳造鍛造品の引張強度,耐力,伸び,腐食減量(塩水噴霧:2000時間)及びシャルピー値を測定すると共に、予成形体からサンプルを採取し変形抵抗値(試験法:圧縮法、試験温度:450℃)を測定した。測定結果を表2に示す。また、合金No.4,9,10それぞれのマクロ組織写真を図3に示す。
表2から、合金No.1〜7(本発明例)の鋳造鍛造材は、合金No.8〜16(比較例)に比較して強度,伸び,耐食性に優れ、なかでもシャルピー値が特に優れていることが判る。また、合金No.4(本発明例)の鋳造鍛造材は、粗大再結晶組織のない微細均一な再結晶組織になっていることが図3から判る。
【0027】
他方、Cu含有量の多い合金No.8合金(比較例)の鍛造鋳造材では、耐食性が表2にみられるように劣っている。Si含有量の高い合金No.9(比較例)の鍛造鋳造材では、再結晶組織が粗大化しており、低いシャルピー衝撃値を示した。Mn,Cr無添加の合金No.10(比較例)の鋳造鍛造材も、粗大化した再結晶組織になっており、機械的強度が低下していた。Al−Si系合金である合金No.11(比較例)は、合金No.1〜7(本発明例)と比較するとシャルピー衝撃値及び耐食性が著しく低下していた。シャルピー衝撃値及び耐食性の低下は、Fe含有量の高い合金No.12(比較例)でもみられた。Mn,Cr,Zr含有量の高い合金No.13〜15(比較例)は、機械的強度及びシャルピー値が低い値を示した。Mg含有量の高い合金No.16(比較例)は、変形抵抗値が非常に大きくなっており、鍛造性及び耐食性に劣っていた。
【0028】
Figure 0003687505
【0029】
【実施例2】
表3に示す合金とJIS A6061相当及びA5052相当合金の溶湯を重力金型鋳造法でリング(内径60mm,外径80mm)形状に鋳造し、鋳物に発生した割れの長さを測定した。表4の測定結果にみられるように、Si含有量の増加に従って割れ長さが短くなり、鋳造性が良くなっている。しかし、0.6%を超えるSi含有量では逆に割れ長さが長くなる傾向がみられ、1.0質量%を超えると急激に割れ長さが長くなり、鋳造性が悪化していることが判る。また、本発明合金は、JIS A6061相当及びA5052相当合金に比較して鋳造性の良いことが表4から判る。
【0030】
Figure 0003687505
【0031】
Figure 0003687505
【0032】
実施例3
Arガス注入による脱ガス処理を施した合金No.4の溶湯及び脱ガス処理を施していない合金No.4の溶湯を用意し、それぞれ鋳込み温度740℃で重力鋳造方法,溶湯鍛造,ダイカスト法,真空酸素ダイカスト法で図2(a)の形状に鋳込んだ。得られた予成形体を実験例1と同じ条件で図2(b)の形状に成形した後、熱処理を行った。
熱処理後の鋳造鍛造品について、ガス含有量,引張強度,耐力,伸び,シャルピー値を測定した。表5の測定結果にみられるように、脱ガス処理を施さなかった鋳造鍛造材は、脱ガス処理した鋳造鍛造材と比較してガス含有量が高く、機械的強度,伸び,シャルピー値が低くなっていた。また、通常のダイカスト法で製造した鋳造鍛造材は、他の鋳造法で製造した鋳造鍛造材よりもガス含有量が高く、機械的強度,伸び,シャルピー値が低くなっていた。
【0033】
Figure 0003687505
【0034】
実施例4
合金No.4の合金を、重力鋳造(冷却速度0.5℃/秒)で、直径100mm,高さ100mmの円筒状に鋳込んだ。得られた鋳物を450℃に加熱した後、圧縮率85,75,55,35,25%で圧縮鍛造した。得られた鍛造材を実施例1と同じ熱処理を施し、機械的強度,伸び,シャルピー値を測定した。また鋳物から直径14mm,厚み21mmのサンプルを採取し荷重−変位曲線を求めた(試験法:圧縮法、試験温度:450℃)。その結果を表6及び図4に示す。表6から、圧縮率25%では鋳造欠陥が十分に潰されておらず、結晶粒粗大化等に起因して機械的強度、伸び及びシャルピー値が低くなっていることが判る。また、図4から70%を超える圧縮率では試験荷重が著しく高くなっていることが判る。
【0035】
Figure 0003687505
【0036】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のアルミニウム合金鋳造鍛造材は、Al−Mg系をベースとし、Mg,Siの添加量を最適化することにより、鋳造性及び鍛造性を向上させると共に、再結晶組織を微細化することによって機械的強度及び靭性を改善している。このようにして得られた鋳造鍛造品は、機械的強度や靭性が要求される自動車部品を始めとして各種分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Al−Mg系合金の鋳造割れ性に及ぼすMg添加量(a)及びSi添加量(b)の影響を表したグラフ
【図2】 実施例1で製造した予成形体(a)及び鋳造鍛造品(b)の形状
【図3】 合金No.4,9,10の金属組織を示す顕微鏡写真
【図4】 鍛造時の圧縮率と荷重との関係を示すグラフ

Claims (6)

  1. Mg:1.3〜4.0質量%、Si:0.2〜1.0質量%、Fe:0.1〜0.3質量%と、更にMn:0.1〜0.5質量%、Cr:0.05〜0.5質量%及びZr:0.05〜0.3質量%の何れか1種又は2種以上含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成をもつことを特徴とする鋳造鍛造用アルミニウム合金。
  2. 更に、Ti:0.01〜0.2質量%、B:0.001〜0.01質量%の何れか1種又は2種を含む請求項1記載の鋳造鍛造用アルミニウム合金。
  3. Mg:2.1〜4.0質量%、Si:0.2〜1.0質量%、Fe:0.1〜0.3質量%と、更にMn:0.1〜0.5質量%、Cr:0.05〜0.5質量%及びZr:0.05〜0.3質量%の何れか1種又は2種以上と、Cu:0.3〜0.7質量%、Ti:0.01〜0.2質量%、B:0.001〜0.01質量%の何れか1種又は2種以上を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成をもつことを特徴とする鋳造鍛造用アルミニウム合金。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の合金組成をもち、平均粒径が200μm以下の微細均一な再結晶組織からなり、水素ガス含有量が0.30cc/100g以下であるアルミニウム合金鋳造鍛造材。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成をもつアルミニウム合金の溶湯を720〜760℃で製品形状に近い形状に鋳込み、冷却速度0.3℃/秒以上で冷却し、得られた鋳物を400〜500℃に加熱した後、100〜450℃に加熱された金型を用い、圧縮率30〜70%で、鍛造加工を施すことを特徴とするアルミニウム合金鋳造鍛造材の製造方法。
  6. 鍛造後530〜590℃で2〜7時間保持し、溶体化処理した後、冷却速度100℃/分以上で200℃まで冷却し、160〜250℃で1〜8時間保持処理する請求項記載の製造方法。
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