JP3687085B2 - 鉛蓄電池用端子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鉛蓄電池用端子部の液密保持構造の改良に関し、特に樹脂巻端子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より鉛蓄電池の端子部の液密性を保持するために、種種の工夫がなされている。その一例をあげると、図6に示すような樹脂巻端子1を鉛蓄電池の蓋下面に熱溶着したものがある。図6の樹脂巻端子1は、上部に穴3aが形成された直方体の端子部3と、該端子部の下端に連結され、周面に鍔2aが形成された円柱形の極柱部2と、該極柱部2の下端に連結された板状の台座5と、前記極柱部2の上部周面に前記鍔2aを包み込み、且つ端子部3の下端周面を包み込むように形成された樹脂部4とからなる。このような端子1は、樹脂部4上面が鉛蓄電池の蓋下面に形成された突起(図示せず)と共に熱板で溶融され、溶融状態のままで前記突起下面に押し付けられ、該突起と熱溶着されていた。
【0003】
このように、端子1を蓋下面に押し付けて熱溶着するため、前記樹脂部4上面と前記突起との熱溶着部分が周囲に膨出する。このはみ出し部分を取り込むために、通常図6のように樹脂部4上面の端子部3との境に溝6が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で述べた樹脂巻端子1を作製するには、先ず、端子部3と極端部2と台座5とが一体となった金属部分を鋳型により形成する。次に、これを上型と下型とからなる樹脂成形金型内に配置し、樹脂を該金型内の空間部に注入して極柱部2と端子部3の一部周面に樹脂部4を形成する。この方法により前記溝6を形成するには、上型を、端子部3と樹脂部4を形成する空間との間にはめ込んで配置することになる。この時、上型と端子部3との間に隙間が生じると、樹脂がその隙間に入り込み、樹脂巻端子1を作製したときに、端子部3の周面にばりが付着することになる。
【0005】
なお、樹脂巻端子1は、溝6の有無に関わらず、樹脂部4が端子部3の側面に接して形成されているものであれば、ばりが発生する。
【0006】
上記ばりを防止するため、上型と端子部3との嵌合時の隙間をなくす必要があり、端子部3の寸法精度を高める等の対策を講じなければならなかった。
【0007】
しかし、端子部3を成形するときの鋳型に吹き付ける滑材の厚さにばらつきがあり、端子部3の寸法精度を高めるには限界があった。
【0008】
したがって、従来は、端子部3の寸法が大きく上型と嵌合しない樹脂巻端子1は不良品として処分しなければならず、端子部3の寸法が小さくばりが発生した鉛蓄電池は、手直しでばりを除去しなければならないという問題点を有していた。
【0009】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的とするところは、端子部の周面にばりの発生しない鉛蓄電池用樹脂巻端子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、端子部の下端に、周面に鍔が形成された極柱部を連結し、該極柱部の上部周面に鍔を包み込むように樹脂部が形成さ記極柱部の最上部に、前記端子部の下端周囲より水平方向に外に突出したばり切り用鍔を設け、該鍔周面から水平方向に樹脂部が延びている鉛蓄電池用端子の製造方法であって、前記端子部と極柱部を有する金属部分を前記樹脂部成形用の金型内に配置し、該金型で前記ばり切り用鍔の上面を押さえ付けた状態で樹脂成形空間内に樹脂を注入することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1は本発明の一実施形態を示す断面図、図2は図1の平面図である。図において、11は直方体からなる端子部、12は円柱形の極柱部、13は板状の台座、14はポリプロピレンやポリエチレンなどからなる樹脂部であり、端子部11は下端が極柱部12の上端と一体に連結され、極柱部12は下端が台座13の上端と一体に連結されている。前記端子部11は、図1の手前側面から奥の側面に向かって貫通するナット挿入孔11aが穿たれており、該孔11aに向かって天面と左側面からボルト挿入孔11b,11cが穿たれている。前記極柱部12は、周面の最上部に円形のばり切り用鍔12aが形成され、この下に間隔をおいて前記ばり切り用鍔12aの半径より小さい3条の鍔12b,12c,12dが形成されている。前記ばり切り用鍔12aは、周面が前記端子部11の下端周囲より水平方向に突出するようになっている。前記樹脂部14は、前記ばり切り用鍔12aと前記鍔12b,12c,12dとを包み込むように極柱部12の周囲に形成され、鍔12aの上端から外側に少し延び、上方に立ち上がって、前記端子部11の下部周面を溝15を介して覆っている。
【0013】
(実施形態2)
図3は本発明の他の実施形態を示す断面図であり、実施形態1と同一符号は同一名称である。
【0014】
本実施形態の端子部11は、極柱部12の上部を立ち上げて形成されており、、極柱部12と同一の直径を有する円柱からなっている。極柱部12の下端には、実施形態1と同様に板状の台座13が一体に連結されている。端子部11と極柱部12との境は、ばり切り用鍔12aの上面にあり、該鍔12aの下方には、該鍔12aより直径の大きい2条の鍔12b,12cが形成されている。これら鍔12a,12b,12cを含む極柱部12上部の周面と、溝15を介した端子部11の周囲を包むように樹脂部14が形成されている。
【0015】
次に、上記実施形態1の製造方法について説明する。
【0016】
先ず、鋳型(図示せず)に鉛合金を注入して図1の端子部11と極柱部12と台座13とが一体となった金属部分を作製する。次に、この金属部分を図4のような上型16と、2分割された下型17a,17bとからなる金型内に配置し、金型内に樹脂成形空間18を形成する。この時、端子部11は、上型16の凹部16a内に挿入され、ばり切り用鍔12aの上面は、上型16の凸部16b下面により押さえ付けられている。すなわち、前記金属部分を金型内に配置する前は、図5の(a)のような状態にあるが、前記金属部分を金型内に配置して上型16と下型17a,17bとの間の隙間がなくなるように設置すると、図5の(b)の状態になり、ばり切り用鍔12aの上面が図5の(a)の状態よりA寸法だけ下に移動する。なお、このA寸法は0.1〜0.5mm程度になるように前記金属部分を作製する際に設定しておけばよい。
【0017】
次に、図4の状態で金型内の樹脂成形空間18にポリプロピレンなどの樹脂を注入し、樹脂が硬化した後、上型16と下型17a,17bとを取り除いて本発明の樹脂巻端子を完成する。
【0018】
以上のように、ばり切り用鍔12a上面と上型16の突起16b下面とが密接した状態で樹脂部14が形成されるので、端子部11の側面と上型16の凹部16a側面との間に隙間19があっても、この隙間19に樹脂が入り込むことがなく、端子部11側面にばりが発生するのを防止できる。
【0019】
【発明の効果】
上述したように、本発明の端子構造によれば、端子部の側面にばりが発生しないので、外部端子との嵌合不良または外観不良が生じることがない。また、図3において、端子部を溶接して外部端子と接続する場合、ばりによる支障が生じることがない。さらに、従来のように樹脂金型と密接するような寸法精度に優れた端子部を形成しなくてもよいので、鋳型における生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の樹脂部を形成する方法を示す説明図である。
【図5】本発明の金属部分を樹脂金型に設置する前後の状態を示す要部拡大断面図であり、(a)は設置する前の状態を示し、(b)は設置した後の状態を示す。
【図6】従来の樹脂巻端子を示す断面図である。
【符号の説明】
11 端子部
12 極柱部
12a ばり切り用鍔
12b,12b,12c 鍔
14 樹脂部

Claims (1)

  1. 端子部の下端に、周面に鍔が形成された極柱部を連結し、該極柱部の上部周面に鍔を包み込むように樹脂部が形成さ記極柱部の最上部に、前記端子部の下端周囲より水平方向に外に突出したばり切り用鍔を設け、該鍔周面から水平方向に樹脂部が延びている鉛蓄電池用端子の製造方法であって、前記端子部と極柱部を有する金属部分を前記樹脂部成形用の金型内に配置し、該金型で前記ばり切り用鍔の上面を押さえ付けた状態で樹脂成形空間内に樹脂を注入することを特徴とする鉛蓄電池用端子の製造方法。
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