JP3686833B2 - 血管吻合用リング及び血管吻合用リングを装着した人工血管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己血管、主として大血管(大動脈、大動脈分枝、及び大静脈)と人工血管との吻合用のリング及び同リングを装着した人工血管に関する。
【0002】
【従来の技術】
極小口径、変形、顕著な動脈硬化等の血管と人工血管との吻合は、現在においても将来的にも最終的には手による糸と針での縫合に頼らざるを得ないことは明らかである。これは、時間がかかるものである。そして、時間がかかればかかるほど、部位によっては手術の合併症が増加することになるので、手術時間の短縮化が重要な要素になっている。例えば、弓部大動脈人工血管置換術においては、時間が手術の成績を大きく左右し、手術の時間が長くなると、手術後に脳障害を合併する可能性がある。手術の間の脳細胞の保護に関して、種々の方法が報告されているが、いずれも十分にゆとりを持った手術時間を確保するものではないし、また、手術時間の経過とともに、脳細胞の保護が確実であることを保証できる程度も低下する。一般的に、超低体温循環停止下、又は選択的脳分離体外循環の補助の下での弓部大動脈人工血管置換術を行った場合、1時間乃至1時間30分を超えるとともに術後に脳障害を合併する可能性が問題となる。
【0003】
急性大動脈解離等の症例の場合、脆弱な大動脈壁を糸と針で吻合するのは困難であったため、図6に示すリング付きグラフト(リング付き人工血管)27を使用した吻合が行われたことがある。この吻合方法は、図7に示すように、自己血管(大動脈)11へリング付きグラフト27を挿入し、自己血管11の外側より、リングの溝部分29において、太い紐31で締め付けることにより、自己血管11にグラフト27を接合させるものである。この方法は、短時間で実施可能で、確実な吻合が行える方法であった。
【0004】
特開平5−123391号公報は、血管吻合の際に使用するコネクターを開示している。このコネクターは、以下の二つの吻合方法で使用される。第一の方法は、図8に示すように、コネクター33を、吻合する二つの血管11、11の開放端部35、35から挿入して、開放端部35、35が外側を向くように血管の先端部分を折り曲げ、その折曲げ部39、39において二つの血管の内表面同士を突き合わせ、前記折曲げ部39、39同士を縫合糸37で縫合する方法である。第二の方法は、図9に示すように、吻合する血管11の外側にコネクター33をかぶせた後、この血管11の先端部分を折り返してコネクター33にかぶせ、次いで吻合するもう一方の血管12をコネクター33にかぶせた血管11の折曲げ部39の外側にかぶせ、当該もう一方の血管12の外側から縫合糸37で結節する方法である。第一の方法では、二つの血管11、11がコネクター33の外周に沿って伸び、血管11、11同士の開放端部35、35の段差がなくなることによって吻合が容易になる。第二の方法では、コネクター33にかぶせた血管11のさらに外側にかぶせた血管12の外側を縫合糸37で結節するのみでよく、縫合しなくてよい。
【0005】
ボースト(Borst)らは、「エレファント・トランク法(Elephant Trunk Technique)」と呼ばれる人工血管吻合法を行った。この方法は、例えば図10(a)に示すように、動脈瘤が連なった形態をとっている症例で、2回に分けて手術を行う場合に用いられた。
【0006】
第一回目の手術では、図10(b)に示すように、大動脈瘤の近位部(心臓に近い側)に動脈瘤のみを処理し、人工血管で置換する。この際、末梢側は動脈瘤が連なるため、吹き流し(Elephant trunk)を挿入する。吹き流しは、通常は第二以下の動脈瘤のサイズよりは小さく、自己血管壁とは接触せず、動脈瘤内の血流中に浮いた形となっている。
【0007】
エレファント・トランク法が提唱される以前は、第二回目の手術の際に、第一回目の手術部位の下流側の吻合部位48(図10(b)及び(c)参照)で第二の人工血管4と吻合していた。しかし、吻合部およびその周囲は癒着のため、また一回目と二回目では、手術の到達方法が異なる(例えば、一回目は胸骨正中切開、二回目は左開胸でアプローチ)ため、またいずれも術野の非常に深い部分にあるため、困難を伴う手術であった。エレファント・トランク法では、吹き流しがあるため、図10(c)に示すように、第二回目の手術では前回の吻合部位48まで到達する必要はなく、大動脈を切開すると同時に吹き流しの末梢端51を確保し、ここに第二の人工血管4を吻合するので、手術は安全で容易になった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のリング付きグラフトを使用する方法では、硬いリング部に対し外側より自己血管の組織を締め付けるため、組織の局所的な壊死を生じ、図7に示すように、自己血管内膜41の亀裂、外膜42との解離を生じるという問題点があった。特に、急性大動脈解離の症例の場合は、脆弱な動脈壁組織を締め付けるため、動脈壁内膜組織に亀裂を生じ、再解離の併発が多かった。
【0009】
また、本来、自己動脈の壁は弾性を持っており、心拍動に伴い、口径の拡縮を繰り返している。接合部が硬いリングで固定された状態では、リング近傍の自己血管は、拍動による無理な拡縮を強いられ、「金属疲労」的な障害を生じる。そのような障害は、慢性期におけるリング近傍の内膜解離として現われる。特に、急性大動脈解離の症例の中、術直後は良好であったが慢性期に再解離を来たした症例では、このような作用機序が働いたものと考えられる。
【0010】
特開平5−123391号公報に開示されたコネクターは、微小血管同士の吻合には適するかもしれないが、動脈のように血管口径の拡縮の差が大きい血管の吻合には適さないと考えられる。また、当該公報に開示された方法は、自己血管同士の吻合に係るものであり、人工血管は用いていない。
【0011】
また、エレファント・トランク法により、吻合部及びその周囲において自己血管が人工血管と自然癒着を生じることがわかったものの、この手法自体は、2回の手術に二つの人工血管を用いて行う必要がある。即ち、2回目の手術の際には、1回目の手術の際に用いた人工血管に新たな人工血管をつなぐ必要がある。また、エレファント・トランク法では、リングを用いない。
【0012】
本発明は、従来の方法に比べて自己血管と人工血管との吻合にかかる時間を短縮でき、吻合後に自己血管の組織に障害を生じさせない、血管吻合用リング、及び当該血管吻合用リングを装着した人工血管の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも一種類の生体内で分解される材料で形成された血管吻合用リングを提供する。これは、人工血管に一体化して用いられる。
【0014】
リングの厚さは、通常は0.1mm乃至5mm、好ましくは0.5乃至1mmである。
【0015】
リングの内径は、一般的には4乃至40mmである。
【0016】
リングは、円筒形のものが一般的であるが、使用時に、その両端の内径が異なるテーパ(taper)状になるものであってもよい。
【0017】
生体内で分解される材料として、生分解性ポリマーが挙げられる。
【0018】
前記リングが、その内表面と外表面の一方又は両者に凹凸を有するものであると、人工血管がずれにくく、望ましい。尚、この凹凸の存在は、リングの表面積を大きくすることにも寄与するので、リングの生体内での分解を促進したいときにも有用である。
【0019】
前記リングは、その材料が弾力性を有するものであることが望ましい。
【0020】
さらに、本発明は、人工血管と、当該血管に装着された血管吻合用リングからなる、血管吻合用リングを装着した人工血管を提供する。
【0021】
前記リングは、前記人工血管の外側に装着されていることが好ましい。
【0022】
人工血管の外側に装着される前記リングの内径は、前記人工血管の外径と略同一であるのがよい。
【0023】
さらに、前記リングの内外表面の中、人工血管と接触しない方の表面を、人工血管を構成する材料と同一の材料製の帯状構造物で覆っていてもよい。
【0024】
前記リングの端部と前記人工血管の端部が面一となるように、前記リングが前記人工血管に装着されていてもよい。あるいは、前記リングは、前記人工血管の端部から0cm超かつ20cm以下離れた位置に前記リングの端部が位置するように、前記人工血管に装着されていてもよい。
【0025】
前記リングは、人工血管に二つ以上装着されていてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施例に基づき、本発明の血管吻合用リング及び当該リングを装着した人工血管について詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明のリング1の一実施例の模式図である。
【0028】
リング1の大きさは、当該リング1と共に用いる人工血管の大きさ(太さ)による。例えば、リング1が人工血管の外側に装着されて使用される場合、リングの内径は、使用する人工血管の外径と同一又はそれよりもわずかに大である。人工血管の外径は、人間の正常な血管の内径にほぼ一致して、通常は4乃至40mmである。従ってリングの内径(Y)も、一般的には4乃至40mm、好ましくは24乃至30mm、より好ましくは24、26、28、又は30mmである。また、人工血管の厚みは非常に小さいことから、リングを人工血管の内側に使用するときのリングの外径も、これとほぼ同範囲と考えてよい。
【0029】
リング1の厚さ(Z)は、通常は0.1乃至5mm、好ましくは0.5乃至1mmである。
【0030】
リング1は、円筒形であり、また、これが一般的な形状であるが、使用時にその両端の内径が異なるテーパ(taper)状になるものであってもよい。すなわち、人工血管に装着したリングを自己血管に適用した後、リングの一端の内径が広がるような構造である。
【0031】
リング1の表面は、滑面であってもよいが、人工血管上ですべらないようにするために、その人工血管との接触面が、例えば、凹凸を有していてもよいし、粗面となっていてもよい。なお、リング1の表面が凹凸を有していたり粗面となっていると、滑面の場合と比べて表面積が大きくなるので、リングの生分解性が高まる。従って、生分解性を高めたい場合には、リング1の内外両表面を、凹凸面又は粗面としてもよい。
【0032】
リング1の長さ(T)は、特に制限されない。しかし、長すぎると血管屈曲部の曲げを妨害したり、血管分枝の枝分かれ部を閉じてしまうなどの支障をきたすので、通常は5乃至100mm、好ましくは20乃至30mm、例えば約25mmとする。
【0033】
リングの材料は、生体内で分解され、人体に無害な材料である。その代表例として、生分解性ポリマー(有機高分子材料)と無機材料とが挙げられ、前者は更に天然高分子と合成高分子に分けられる。天然高分子は、コラーゲン(天然、再生)、ゼラチン(架橋体)、フィブリン、アルブミン(変性体)などを含む蛋白質、及び、セルロース(酸化物)、デンプン(架橋体)、キチン、キトサン、ヒアルロン酸(架橋体)などを含む多糖を含む。合成高分子としては、乳酸(L体、DL体)又はグリコール酸の単独重合体、それらの酸の共重合体、通常発酵合成により製造されるポリ酪酸、ポリ吉草酸及び酪酸/吉草酸共重合体などの生分解性のポリカルボン酸類、ポリリジンなどのポリアミノ酸類、グリコール酸−カーボネート共重合体、ポリジオキサノン、シアノアクリレート重合体、合成ポリペプチドなどを使用することができる。無機材料は、水酸アパタイト、リン酸三カルシウム(Ca(PO)などを含むリン酸系化合物、及び炭酸カルシウム(CaCO)を含む炭酸系化合物を含む。
【0034】
生分解性材料は、1種類を又は2種類以上を組合せて使用することができる。例えば、リングの端部又は表面のみ、より溶けやすい生分解性材料を使用することにより、より速く自己血管と人工血管の接合部分を滑らかにすることができる。
【0035】
また、上記の材料以外にも同様の特性を有する生分解性材料は、いずれも本発明で使用することができる。
【0036】
このような材料を使用するのは、リングは血管吻合時に有用であるが、組織と人工血管の癒着接合が完成した後には本来不要であるためである。そのため、吻合時にのみ硬いリングとして存在し、その後は徐々に剛性が低下し、最終的に分解、消失するような材料を使用する。このような材料を使用することにより、上述の自己血管の内膜剥離のような慢性期の障害発生を防止することができる。なお、リングの生分解性を高めたい場合には、上述のように、リング表面を粗面とする(凹凸をつける)他、リングを多孔質とすることによってリングの表面積を大きくしてもよい。
【0037】
一般に、上記リングを構成する生分解性物質の分解が徐々に生じることにより、上記リングが硬さを失い、血管を広げる剛性を有さなくなるまでの時間は、リングの材料及び表面形状に依存し、様々である。それは、例えば、数週間程度であり、3週間くらいであってもよい。大動脈系において使用されるリングの場合は、数時間、例えば、2乃至3時間位でもよいが、静脈系において使用されるリングの場合は、一般に、動脈系において使用されるリングよりも長期に剛性が保たれることが必要である。
【0038】
図2は、本発明のリング付き人工血管5の一実施例(弓部大動脈置換用人工血管)を示す模式図である。同図において、矢印は、血流方向を示す。同図に示すように、この例では、リング1は、人工血管3の外側に装着して使用されている。また、リング1の装着位置は、人工血管3の端部7から適宜離れた位置に、リング1の一端9が配置される位置となっている。この人工血管3の端部7とリング1の一端9との間の距離は、特に限定されない。しかし、人工血管3の種類(どの部位を置換するための人工血管であるか)に加え、吹き流しの長さをも考慮してリング1の装着位置は決まる。その位置は、リングの一端と前記人工血管の端部が面一となる位置(吹き流しなし)であってもよい。また、リングを、人工血管の端部から0cm超かつ20cm以下離れた位置にリングの一端が位置するように、即ち、吹き流しを有するように、人工血管に装着してもよい。
【0039】
一つの人工血管に二つ以上のリングを装着してもよい。例えば、一本の人工血管に二個のリングを、ある一定の間隔を開けて並列して装着して使用する場合、二ヶ所で人工血管と自己血管が固定され、人工血管と自己血管の接触面積が広くなり、さらには両者の癒着面積が広くなることより、リングが一個の場合よりも強固に人工血管と自己血管を吻合することができる。また、図2に示す例のように、人工血管が枝分かれしている場合、リング1は、その人工血管の下流(血液が流出する方)の端部のすべてに装着されていてもよいし、その一部にのみ装着されていてもよい。
【0040】
血管吻合用リング付き人工血管5は、図3に示すように、自己血管11に挿入され、人工血管3のリング1よりも末梢側13で糸と針により自己血管11と縫合される。人工血管3の縫合部位13よりもさらに末梢側15を、自己血管11内に吹き流しにしておく。この吹き流し部位15は、術後に自己血管11内壁に自然癒着する。そのため、人工血管と自己血管の癒着面積が広がり、人工血管と自己血管との結合が強固となる。
【0041】
手術の際には、リング装着位置付近において、自己血管11の外部に幅のあるバンド17を巻き付けることにより、自己血管11と人工血管3とを固定する。吻合部位の断面図である図4に示すように、バンド17は、リング1の長さ(T)と同程度の幅を有するが、この幅は、より広くても、より狭くてもよい。バンド17の材料は、生体内に使用できるものであればよく、例えば、フェルトなどである。また、自己血管11の端部19付近で、バンド17、自己血管11、及び人工血管3を、さらに固定糸21で固定してもよい。固定糸21の材料は、医療用のものであればいずれをも使用できる。バンド17は、吻合後、除去してもよいし、残してもよい。
【0042】
本発明で用いる人工血管は、従来より使用されているものであってよい。人工血管は、いずれも多孔質である。人工血管には、1)ポリマーを管状に伸ばして成形したものと、2)繊維を織る(ウーブン(平織り))か又は編む(ニット(メリヤス編み))ことにより形成したものがある。1)の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を原料とするもの(例えば、ゴアテックス(Gore−Tex)など)があり、2)の例には、ポリエステルを原料とするもの(例えば、ダクロン(Dacron、デュ・ポン(DuPond)社製など)、インター・ガード(InterGard、インターバスキュラー社製)、ゲルシール(GELSEAL、バスタテック社製)等がある。
【0043】
ウーブン(平織り)の人工血管の例としては、インター・ガード、ヘマシールド(Hemachield)(ミードックス社製)、及びゲルウェーブ(GELWEAVE)(バスキュテック社製)などが挙げられる。ニット(メリヤス編み)の人工血管の例としては、インター・ガード、ヘマシールド、ゲルシール及びゲルソフト(GELSOFT)(共にバスクテック社製)、及びアルブミンコート(バード社製)などが挙げられる。ウーブン又はニットの人工血管については、ポロシティーを低下させ、血液の浸出を減少させるために、その表面が、ウシコラーゲン、ゼラチン、又はヒトアルブミンなどで被覆処理されていることが好ましい。被覆処理は、人工血管製造後、又は、人工血管形成前の繊維状態にて行われる。術後2週間くらいでコラーゲン等の被覆物は溶解し、人工血管は多孔質(ポロシティーは280乃至1500程度)となる。この細孔を通って、自己細胞が人工血管内に侵入し、内側に細胞が付着する。
【0044】
人工血管の形状は、蛇腹状であっても、滑らかなものであってもよい。
【0045】
図5に示すように、本発明の血管吻合用リングを装着した人工血管5では、リング1が直接自己血管に接しないように、リング1の人工血管3と接触しない方の表面(この場合は外表面)が、人工血管を構成する材料と同一の材料(例えば、ダクロン)製又はその他適する材料(例えば、フェルト)の帯状構造物43で覆われていることが好ましい。この場合、リング1を覆う帯状構造物43の材料の織り又は編みの向きは、人工血管3の織り又は編みの向きと同じでもそれと直交するように配置してもよい。帯状構造物43でリング1を覆った後、固定糸21で、帯状構造物43の両端部(リング1の上端より上側及び下端より下側)を、人工血管3に予め縫合しておくことが望ましい。
【0046】
本発明のリング及び該リング付き人工血管は、血管の種々の病変部位の人工血管での置換術に使用することができるが、主として大血管(大動脈、大動脈分枝、大静脈など)に使用される。
【0047】
【発明の効果】
本発明の血管吻合用リング又は同リングを装着した人工血管を使用することにより、従来の方法に比べて、血管吻合にかかる時間を短縮することができる。また、本発明の血管吻合用リングは、生分解性材料製であり、吻合後適切な時期に消失するので、自己血管内膜の亀裂及び解離等の障害の発生を生じさせにくい。さらに、吻合の末梢側の血管径に合わせたサイズの人工血管を挿入し、ある距離にわたり人工血管と自己血管を面で密着させることにより、吻合を強固にし、リング(硬いものであれば特に)近傍の機械的疲労を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリングの一実施例の模式図である。
【図2】本発明のリングを装着した人工血管の一実施例であるリング四個付き弓部大動脈置換用人工血管を示す模式図である。
【図3】図2の人工血管(但し、リングは一個のみ)で弓部大動脈を置換した状態を示す模式図である。
【図4】図3の模式図中の、人工血管と自己血管の吻合部位の拡大断面図である。
【図5】本発明のリングを装着した人工血管の一実施例である、リングの内外表面の中、人工血管と接触しない方の表面(この例では外表面)が、人工血管を構成する材料と同一の材料製の帯状構造物で覆われているリング付き人工血管の一例を示す模式的断面図である。
【図6】従来のリング付きグラフトの一例を示す模式図である。
【図7】従来のリング付きグラフトを使用した吻合の一例を示す模式的断面図である。
【図8】コネクターを利用した血管吻合の一例を示す模式的断面図である。
【図9】コネクターを利用した血管吻合の他の例を示す模式的断面図である。
【図10】エレファント・トランク法を説明するための模式図である。(a)〜(c)において、矢印は、血流方向を示す。
【符号の説明】
1 リング
3 人工血管
4 第二の人工血管
5 リングを装着した人工血管
7 人工血管端部
9 リングの一端
11 自己血管
12 もう一方の自己血管
13 縫合部位
15 吹き流し
17 バンド
19 自己血管端部
21 固定糸
23 リング
25 グラフト
27 リング付きグラフト
29 溝
31 紐
33 コネクター
35 血管の開放端部
37 縫合糸
39 折曲げ部
41 内膜
42 外膜
43 帯状構造物
45 脆い自己血管
47 第一回目の上流側吻合部位
48 第一回目の下流側吻合部位
49 第二回目の上流側吻合部位
50 第二回目の下流側吻合部位
51 吹き流しの端部

Claims (11)

  1. 少なくとも1種類の生体内で分解される材料で形成された血管吻合用リングを装着した人工血管であって、
    当該リングが、
    1)人工血管の外側で、かつ、自己血管と連結された際に当該自己血管の内側に存在するように装着され、及び
    2)人工血管の端部から0cm超かつ20cm以下離れた位置に当該リングの端部が位置するように装着されてなる、
    人工血管。
  2. 前記リングの厚さが0.1mm乃至5mmである、請求項1記載の人工血管。
  3. 前記リングの厚さが0.5乃至1mmである、請求項2記載の人工血管。
  4. 前記リングが内径4乃至40mmの円筒形である、請求項1乃至3のいずれか1請求項記載の人工血管。
  5. 前記リングが、使用時に、その両端の内径が異なるテーパ(taper)状となるものである、請求項1乃至3のいずれか1請求項記載の人工血管。
  6. 生体内で分解される材料が生分解性ポリマーである、請求項1乃至5のいずれか1請求項記載の人工血管。
  7. 前記リングが、その内表面と外表面の一方又は両者に凹凸を有するものである、請求項1乃至6のいずれか1請求項記載の人工血管。
  8. 前記リングの材料が弾力性を有する、請求項1乃至7のいずれか1請求項記載の人工血管。
  9. 前記リングの内径が前記人工血管の外径と略同一である、請求項1乃至8のいずれか1請求項記載の人工血管。
  10. さらに、人工血管を構成する材料と同一の材料製の帯状構造物を含み、前記リングの内外表面の中、人工血管と接触しない方の表面が前記帯状構造物で覆われている、請求項1乃至9のいずれか1請求項記載の人工血管。
  11. 前記リングが二つ以上装着されている、請求項1乃至10のいずれか1請求項記載の人工血管。
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