JP3685993B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2次元配列振動子を用いた超音波診断方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の超音波診断装置は、複数の振動子からなる探触子と、前記振動子から得られた入力信号に遅延を与えて加算する遅延加算部とを備え、1次元配列振動子により送受信ビームを偏向集束させて2次元画像を表示する周知の原理を用いて、体内からの信号を受信する際には、各振動子で得た受信信号に遅延をかけ、加算することによりビームの偏向・集束を行なっていた。特に最近では、各振動子で受信した信号をディジタル信号に変換し、遅延加算をディジタル処理により行なう超音波診断装置が増えつつある。
【0003】
ここで、図9にディジタルで遅延加算を行なう超音波診断装置のブロック図の例を示す。 図9において、探触子100は、1次元配列した振動子T1〜T8から構成されて超音波の送受信を行なう。パルサレシーバ101-1〜101-8は、振動子T1〜T8のための送信パルス信号を生成し、エコー信号を受信・増幅する。ゲインコントロールアンプ102-1〜102-8は、パルサレシーバ101-1〜101-8で増幅したエコー信号をさらに適当な大きさに増幅する。A/D変換器103-1〜103-8は、ゲインコントロールアンプ102-1〜102-8の出力をディジタル信号に変換する。遅延加算部104は、A/D変換器103-1〜103-8の出力を遅延加算する。制御部105は、パルサレシーバ101-1〜101-8、ゲインコントロールアンプ102-1〜102-8および遅延加算器104の制御を行なう。信号処理部106は、遅延加算部104の出力信号の信号処理を行なう。表示部107は、信号処理部106の出力を表示する。
【0004】
次いで、図10に図9のディジタル遅延加算部104の詳細を示す。
図10は、受信信号4ch分を遅延加算するディジタル遅延加算器の一例を示すブロック図であり、このディジタル遅延加算器が遅延加算部104全体のうちのn番目であるとすると、(n-1)番目の遅延加算データを前記遅延加算器に入力し、この遅延加算器が受け持つ4ch分のエコーデータの遅延加算を行ない、(n+1)番目の遅延加算部に送り出す。
【0005】
図10において、FIFOメモリ110-1〜110-4は、A/D変換器103-1〜103-8から出力されるディジタル信号を入力する。加算器111は、FIFOメモリ110-1〜110-4で遅延された信号を加算する。制御データ演算部112は、FIFOメモリ110-1〜110-4の遅延量(ビームの偏向分と集束分)を制御する制御データを生成する。
【0006】
この制御データ演算部112でのデータ演算方法について、図11を用いて説明する。
図11において、振動子120〜123は、1次元配列探触子のうちのn番目から(n+3)番目のものである。音線ベクトル124は、取得したいフォーカス位置の軌跡を表している。また、振動子120〜123の位置は、水平方向の位置Xと垂直方向の位置Zにより表される。
【0007】
ここで、振動子120(P(n))の位置座標を(Xn、Zn)とし、音線ベクトル124のうちの点Aの座標を(Xv(t)、Zv(t))とすると、振動子120と点Aの距離は、数式1で表される。
【数1】
Figure 0003685993
図10の制御データ演算部112では、数式1を用いて振動子120と点Aの距離を計算し、求めた距離を時間に換算し、遅延時間を計算している。
【0008】
また、図9の遅延加算部104は、大規模化および高速化されたディジタル回路であり、専用のICに集積化することが多い。前述の超音波診断装置は、一般に数十から数百の振動子で同時に信号を受信し、遅延加算を行なうが、数ch程度の規模で集積化を行ない、これを連結させて数十から数百chに対応させることが一般的である。以下、この集積化された遅延加算のための回路を遅延加算器と称する。
【0009】
ところで、体内での超音波の伝搬速度は約1500m/秒と有限であり、このことにより1秒間に表示できる画像枚数は限られ、走査方法によってはリアルタイム性が失われることがある。
【0010】
この問題を解決する手法として、特公昭56-22017号公報にあるような受信ビームの並列処理が知られている。図12に並列受信の概念を示す。
【0011】
図12において、振動子130は、送受信を行なうものであり、1本の送信ビーム131を体内へ送り込み、2本の受信ビーム132、133を並列受信する。振動子130を用いて送信ビーム131を体内に送り、近接した方向の受信ビーム132と受信ビーム133を同時に生成することで、同時に多方向の情報を得ることができ、1秒あたりの画像表示枚数を向上させることができる。送信ビーム131と受信ビーム132のなす角θAと、送信ビーム131と受信ビーム133のなす角θBとは、ビーム指向性を揃えるために等しくする場合が多い。
【0012】
ここで、並列受信を行なう遅延加算器の例を図13に示す。
図13において、FIFOメモリ140-1〜140-4は、遅延を行なうためのもので1入力2出力である。また、加算器141Aおよび加算器141Bは、FIFOメモリ140-1〜140-4の出力を加算し、制御データ演算部142は、FIFOメモリ140-1〜140-4の遅延量を制御する。
【0013】
前記遅延加算器による処理方法は、同じ振動子群からの入力をもとに別の遅延加算を行なうことで、複数のビーム情報を同時に取り出すものであり、ディジタル遅延加算では、この例のように、遅延部分に1入力多出力のFIFOメモリ140-1〜140-4を用いることで、遅延部を共用することが可能になっている。
【0014】
最近では、2次元に配列された振動子を用い、ビームを2方向に偏向集束し、3次元情報を取得、表示する3次元超音波診断装置が公知となっている(特開2000−70265号公報)。しかしながら、ビームを3次元方向に走査させると、1画像あたりのビーム本数が非常に増加し、このため1画像を表示させるための時間が長くなる。3次元走査においても受信ビームの並列処理は有効であるが、一度に受信する走査線の本数が数十本と多いため、物量の増加が著しい。
【0015】
この問題を解決するための手法として、ビーム形成を2段階あるいはそれ以上に分ける方法が知られている。従来、この種の超音波診断装置(ビーム形成を2段階に分けるもの)は、いくつかのグループに分けられた複数の振動子と、それぞれのグループの振動子からの入力信号を遅延・加算する第1のビームフォーマ群と、この第1のビームフォーマ群の出力を共通の入力とする第2のビームフォーマ群とを備え、前記第1のビームフォーマ群における遅延量がビームの偏向分または/およびビームの集束分であった(特開平9−322896号公報)。以下、図14を用いてこの方法について説明する。図14は、4×4の2次元配列振動子から4本の受信ビームを同時に得るものである。
【0016】
図14において、探触子150は、4×4の振動子からなる2次元配列振動子で構成され、遅延加算器151-1〜151-8は、4入力1出力のものである。
【0017】
次に、図15を参照しながら、本方式の動作をて説明する。
図15は、本方式における送信/受信ビームの位置関係を表したもので、2次元配列振動子160の送信ビーム161を取り囲むように4本の受信ビーム162〜165が配置される。なお、送信ビーム161と各受信ビーム162〜165のなす角度は等しくなるようにビームを形成させる。なお、図14においては、遅延加算器151-1〜151-4はそれぞれ4つずつの振動子の信号を入力し、遅延加算して1つの出力を得る。
【0018】
ここで、1段目の遅延加算器151-1〜151-4の集束位置は、図15の送信ビーム161上に設定されるが、開口径が小さいために、送信ビーム161だけでなく、4本の受信ビーム162〜165をも含むような径の太いビーム形状となる。
【0019】
また、2段目の遅延加算器151-5〜151-8は、遅延加算器151-1〜151-4の出力信号をもとにビーム形成を行なう。この2段目の遅延加算では、遅延加算部151-5〜151-8は、図15の受信ビーム162〜165のおのおのに集束をかける。
【0020】
以上のように、ビーム形成を2段階もしくはそれ以上にすることで、並列受信時における構成を小さくすることができる。この方式は、並列数が多いほど構成を小さくする効果は大きく、また、同一のチャンネル数の探触子で、遅延加算の並列出力数が同じならば1段目の各遅延加算器への入力本数が多いほど、遅延加算部全体の規模を小さくできる。
【0021】
しかし、このような超音波診断装置では、1次元配列振動子に対応したビームフォーマにおいて、振動子の位置情報を2次元でしか与えることができないために、2次元配列振動子に対応できないものであった。
【0022】
以上について、図16をもとに説明する。
図16において、2次元配列振動子170により、この2次元配列振動子170を構成する各振動子の中心と各振動子の位置を示す。ビームベクトル171は、ビーム集束位置の時間的変化を示す。また、2次元配列振動子170における任意の振動子Pとビームベクトル171上の点Aとの距離は、数式2で示される。
【数2】
Figure 0003685993
この数式2で示すように、3次元座標の計算が必要で、2次元座標を用いる従来の1次元配列振動子のための遅延加算器の制御データ演算部では演算が不可能である。
【0023】
また、以上の構成の場合、多段階ビーム形成において制御部の演算量が多いことがあげられる。
【0024】
さらに、多段階ビーム形成方式において並列受信を行なう際に、1段目のビーム形成部で集束させる振動子の数を増やすとビームの指向性が強くなり、その結果として並列ビームの受信感度にばらつきが生じてしまうことである。
【0025】
ここで、図17は4個、8個、16個の1次元配列振動子による指向性を表したもので、4chより8ch、8chより16chのほうが指向性が鋭いことを表している。指向性が強くなれば、それだけ、送信ビームに近い位置の受信ビームと、遠い位置の受信ビームで感度の差が発生してしまうものである。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
以上をまとめると、従来の超音波診断装置では、1次元配列振動子に対応したビームフォーマにおいて、振動子の位置情報を2次元でしか与えることができないために、2次元配列振動子に対応できず、新たに2次元配列振動子に対応した制御部を持ったビームフォーマを形成する必要であるという問題があった。
【0027】
また、前記従来の技術で述べた多段階ビーム形成において制御部の演算量が多いことがあげられる。
【0028】
さらなる問題点としては、多段階ビーム形成方式において並列受信を行なう際に、1段目のビーム形成部で集束させる振動子の数を増やすとビームの指向性が強くなり、その結果として並列ビームの受信感度にばらつきが生じてしまうことである。
【0029】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、1次元配列振動子のためのビームフォーマで3次元走査を実現可能な超音波診断装置を提供するものである。
【0030】
【課題を解決するための手段】
【0031】
また、本発明の超音波診断装置は、2次元配列振動子からなる探触子と、1次元配列振動子の位置および音線方向の情報より超音波受信ビームを偏向および集束させるための遅延加算回路と、前記2次元配列振動子と超音波受信ビームベクトルの位置関係を2次元平面状に仮想振動子位置として投影し、この仮想振動子位置の情報を前記遅延加算回路に入力する制御手段とを設け、1次元配列振動子用の前記遅延加算回路で前記2次元配列振動子からの信号を遅延加算する構成を有している。この構成により、1次元配列振動子のための遅延加算部において、予め3次元から2次元に変換された仮想振動子位置と音線ベクトルデータを用いて遅延加算するので、2次元配列振動子のための遅延加算を実施できることとなる。
【0035】
また、本発明の超音波診断装置は、複数の振動子からなる探触子と、同時に多方向からの超音波ビームを受信可能で、前記振動子からの超音波受信ビームを偏向および集束させるための遅延加算回路を多段階に分けてビーム形成する多段階遅延加算部と、この多段階遅延加算部の1段目の遅延加算回路で、前記振動子から多方向の超音波ビームを受信して複数のビームベクトルを出力し、2段目以降の遅延加算回路で、前記複数のビームベクトルのうち、取得したい最終出力ベクトルに近いものを用いて遅延加算を行うように制御する制御手段とを設けた構成を有している。この構成により、ビーム形成部全体の規模を縮小するため、1段目の遅延加算部で集束させる入力振動子数を増加させても、前述のように取得したい最終出力ベクトルに近いビームベクトルを用いて遅延加算するので、ビームの指向性が強まることを抑制でき、並列受信時の受信ビーム間の感度差を低減することとなる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
[第1の実施形態]
図1および図2に示すように、本発明の第1の実施の形態の超音波診断方法は、2次元配列振動子1の位置Pの座標(Px,Py,Pz)と、受信ベクトル(ビームベクトル)2上の点Aの座標(Ax,Ay,Az)を設定する座標設定ステップ(座標設定部)s101と、各座標間の距離を計算する距離計算ステップ(距離計算部)s102と、計算された各座標間の距離をもとに仮想エレメント位置を計算する仮想エレメント位置計算ステップ(仮想エレメント座標計算部)s103(各演算処理s103a〜s103eを含む)と、2次元投影された点P′の座標を取得する仮想エレメント座標取得ステップs104とを設け、こうして取得した仮想エレメント座標をもとに、1次元配列振動子用の遅延加算部によって2次元配列振動子1における遅延加算を実施する際の遅延量(制御データ)を与えるものである。
【0037】
また、図4に示すように、本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置は、1次元配列振動子用の遅延加算器(図10に準じる)を備えた超音波診断装置に、図2に示すアルゴリズムで、2次元配列振動子の位置データ(図1のPの座標に相当)と、音線ベクトルデータ(受信ビームベクトル(図1の2に相当)上の点Aの座標に相当)とから、仮想振動子位置(図2の仮想エレメント座標P′に相当)を計算する仮想位置演算部(前記座標設定部、距離計算部、仮想エレメント座標計算部を含む)113を設けたものである。
【0038】
ここで、本実施形態の超音波診断方法について述べる。
図1において、ビームベクトル2は、始点O(2次元配列振動子1の中心点でもある。)と任意の点Aで示される。ここで、始点Oと、2次元配列振動子1の任意の振動子の中心Pと、ビームベクトル2の任意の点Aとで形成される三角形OAPの形を崩すことなく、OAを軸として回転させたものを三角形OAP′とする。すなわち、三角形OAPをビームベクトル2の垂線方向に回転・移動した場合の中心がP′である。この回転は、ビームベクトル2と2次元配列振動子1の任意の振動子との位置関係を3次元から2次元に投影するものであり、全ての振動子は、同様にビームベクトル2の垂線の面に投影することができる。
【0039】
図3のように、図2に示すアルゴリズムによる変換結果の例をグラフ(横軸は、原点Oからの横方向の距離、縦軸は、深さをそれぞれ表す。)に示すと、このグラフから、全ての振動子とベクトルの距離の関係は2次元平面上に投影することができることがわかる。したがって、2次元配列振動子1の振動子とビームベクトルとの位置関係をそのビームベクトルの垂線の面に投影するような変換を行なってから、前記遅延加算部にデータを送ることにより、1次元配列振動子用の遅延加算部によって2次元配列振動子1における遅延加算を実施できることとなる。
【0040】
次に、本実施形態の超音波診断装置について述べる。
この超音波診断装置には、2次元配列振動子1からなる探触子(図示せず)と、2次元配列振動子1のための送信パルス信号を生成し、エコー信号を受信・増幅するパルサレシーバ(図示せず)と、このパルサレシーバで増幅したエコー信号をさらに適当な大きさに増幅するゲインコントロールアンプ(図示せず)と、このゲインコントロールアンプの出力をディジタル信号に変換するA/D変換器(図示せず)と、このA/D変換器の出力を遅延加算する1次元配列振動子用の遅延加算器180(図4に示す)を含む遅延加算部と、図2に示すアルゴリズムを実行し、前記仮想エレメント座標を計算する仮想位置演算部113(図4に示す)と、前記遅延加算部の出力信号の信号処理を行なう信号処理部(図示せず)と、この信号処理部の出力を表示する表示部(図示せず)とを備える。また、1次元配列振動子用の遅延加算器180の構成は図4に示すとおりである。
【0041】
図4において、仮想位置演算部113は、図2に示すアルゴリズムでエレメントの位置を3次元から2次元に投影する演算を行なう。また、n番目の遅延加算器180は、前記従来の技術で述べた1次元配列振動子用の遅延加算器であって、ディジタル化されたエコー信号を遅延させるFIFOメモリ110-1〜110-4と、FIFOメモリ110-1〜110-4で遅延された信号を加算する加算器111と、FIFOメモリ110-1〜110-4の遅延量を計算する制御データ演算部112とを備える。そして、前記n番目の遅延加算器180では、仮想位置演算部113から前記音線ベクトルデータと、仮想位置演算部113で計算した仮想振動子位置(2次元配列振動子の各振動子とビームベクトルの距離の関係を2次元平面上に投影したもの)とを入力することにより、1次元配列振動子用の遅延加算器111によって2次元配列振動子における遅延加算を行うこととなる。
【0042】
以上のように、本発明の第1の実施形態の超音波診断方法は、2次元配列振動子1の各振動子の位置Pの座標と、受信ビームベクトル2上の点Aの座標を設定する座標設定ステップs101と、各座標間の距離を計算する距離計算ステップs102と、計算された各座標間の距離をもとに仮想エレメント位置を計算する仮想エレメント位置計算ステップs103と、2次元投影された点P′の座標を取得する仮想エレメント座標取得ステップs104とを設けているので、2次元配列振動子1の各振動子とビームベクトル2の距離の関係を2次元平面上に投影することができる。また、このような変換を行なってから、前記遅延加算部にデータを送ることにより、1次元配列振動子用の遅延加算部で2次元配列振動子における遅延加算を行うことが可能となる。
【0043】
また、本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置は、1次元配列振動子用の遅延加算器111からなる遅延加算部を備えた超音波診断装置に、第1の実施形態に準じたアルゴリズムで、2次元配列振動子の位置データと、音線ベクトルデータとから、仮想振動子位置を計算する仮想位置演算部113を設けたので、従来と同様の1次元配列振動子用の遅延加算器180を用い、2次元配列振動子の信号を遅延加算する遅延加算部を実現できる。
【0044】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態の超音波診断方法の原理を示す。これは、上記第1の実施形態とは、2次元振動子を複数ブロックに分割して遅延加算を行う場合、各ブロックを形成する複数の振動子における遅延加算はビームの偏向のみとし、各ブロックごとの音線ベクトルの偏向データは同一とする点が相違している。この方法により、遅延加算部のデータ量を低減することができる。
【0045】
また、図6は、本発明の第2の実施の形態の超音波診断における遅延加算部を示す。これは、上記第1の実施形態とは、2次元振動子150を複数ブロックに分割し、各ブロックごとの遅延加算部20-1〜20-4、24A〜24Dを2段階に分け、第3の実施形態の超音波診断方法に準じて、第1段の遅延加算部20-1〜20-4には偏向データを送出し、第2段の遅延加算部24A〜24Dには偏向・集束データを送出する制御部175を設けた点が相違している。この構成により、遅延加算部20-1〜20-4、24A〜24Dに対する制御データの量を低減することができる。
【0046】
ここで、本実施形態の超音波診断方法について述べる。
図5において、2次元振動子6は、4×4個の振動子からなる。また、音線ベクトルV0は、振動子全体の音線ベクトルであり、音線ベクトルV1は、2次元振動子6を形成する「2〜4」および「a〜c」の範囲の4つの振動子の音線ベクトルであり、音線ベクトルV2は、2次元振動子6を形成する「0〜2」および「a〜c」の範囲の4つの振動子の音線ベクトルであり、音線ベクトルV3は、2次元振動子6を形成する「0〜2」および「c〜e」の範囲の4つの振動子の音線ベクトルであり、音線ベクトルV4は、2次元振動子6を形成する「2〜4」および「c〜e」の範囲の4つの振動子の音線ベクトルである。
【0047】
ここで、2次元振動子6の大きさが音線の焦点距離に対して小さければ、音線ベクトルV1〜V4のベクトル方向はV0と同一とみなしてよく、音線ベクトルV1〜V4に対応する4つの振動子の面積が小さいとすると、4つの振動子でビーム集束を行なっても効果は期待できない。これらのことから、4つの振動子における遅延加算はビームの偏向のみでよく、また、音線ベクトルV1〜V4の偏向データは同一でよいということになる。
【0048】
よって、本実施形態の超音波診断方法では、2次元配列振動子からなる探触子を用い、超音波受信ビームを2次元方向に偏向および集束させる場合、遅延加算回路20-1〜20-4、24A〜24D(図6に示す)を2段階に分け、1段目ではビームの偏向のみを行い、2段目でビームの偏向および集束を行なう。なお、前記従来の技術で述べた方法では、遅延加算処理の制御信号は全ての遅延加算部に対し、偏向と集束の両方から算出されたデータ(偏向・集束データ)を用いていた。
【0049】
次に、本実施形態の超音波診断装置について述べる。
この超音波診断装置は、図6に示すように、4×4の2次元配列振動子からなる探触子150と、2次元配列振動子1のための送信パルス信号を生成し、エコー信号を受信・増幅するパルサレシーバ(図示せず)と、このパルサレシーバで増幅したエコー信号をさらに適当な大きさに増幅するゲインコントロールアンプ(図示せず)と、このゲインコントロールアンプの出力をディジタル信号に変換するA/D変換器(図示せず)と、このA/D変換器の出力(振動子4ch分の受信信号)を入力し、遅延加算して出力する1段目の遅延加算器20-1〜20-4と、遅延加算器20-1〜20-4の出力から遅延加算を行ない、4つの受信ビーム出力を得る2段目の遅延加算器24A〜24Dと、本実施形態の超音波診断方法に準じ、1段目の遅延加算部の遅延加算器20-1〜20-4に対して偏向データのみ(1段目の遅延加算部の遅延量)を入力し、2段目の遅延加算部の遅延加算器24A〜24Dに対しては、偏向・集束データ(2段目の遅延加算部の遅延量)を入力するように制御する制御部25とを備える。したがって、1段目の遅延加算部については偏向分のみから算出した制御データを用いるので、従来よりも遅延加算部で用いる制御データ量は減少する。なお、従来は全段の遅延加算部について偏向および集束の両方から算出していた制御データを用いていた。
【0050】
[第3の実施形態]
図7は、本発明の第3の実施の形態の超音波診断方法の原理を示す。これは、上記第1の実施形態とは、並列受信機能を備えた遅延加算部を複数段に分け、1段目でのビームベクトルを複数とし、2段目以降では、前記複数のビームベクトルのうち近い方のビームベクトルを用いて遅延加算を行なう点が相違している。この方法により、並列受信時の受信ビーム間の感度差を低減することができる。
【0051】
また、図8は、本発明の第3の実施の形態の超音波診断装置におけるビームフォーマを示す。これは、上記第1の実施形態とは、並列受信機能を備えた遅延加算器11-1〜11-8からなる複数段(2段)のビームフォーマを設け、本実施形態の超音波診断方法を用いて並列受信を行なう点が相違している。この構成により、並列受信時の受信ビーム間の感度差を低減することができる。
【0052】
ここで、本実施形態の超音波診断方法について述べる。
図7において、探触子7は複数の振動子からなる。また、Tは送信ビームベクトルを示し、A、Bは受信多段ビームフォーマの1段目におけるビームベクトルを示し、A1、A2、B1、B2はビームフォーマの最終出力ベクトルを示す。
【0053】
ここで、最終出力ベクトルA1、A2、B1、B2の4つの受信ベクトルを取得したい場合に、受信多段ビームフォーマの1段目での振動子数が多いとアパチャー径が大きくなり、ビームの指向性が強くなり、出力ベクトル間の感度差が大きくなることは、前記従来の技術で述べたとおりである。そこで、本実施形態では、受信多段ビームフォーマの1段目でのベクトルを、遅延加算部の並列受信機能を利用してベクトルA、Bの二つとする。さらに、2段目以降の遅延加算部では、前記二つのベクトルA、Bのうち近いベクトルを用いて遅延加算を行なうものとする。図7では、ベクトルAに近い最終出力ベクトルA1、A2は、出力Aを用いて遅延加算を行ない、ベクトルBに近い最終出力ベクトルB1、B2は、出力Bを用いて遅延加算を行なうことにより取得する。こうして、並列受信機能を備えた遅延加算部を用い、多段ビームフォーマを構成して並列受信を行なうことができる。
【0054】
次に、本実施形態の超音波診断方法を適用する超音波診断装置について述べる。
この超音波診断装置は、図8に示すように、1次元配列振動子10-1〜10-16からなる探触子と、同時に他方向からの複数ビームを受信する並列受信機能を有する遅延加算器11-1〜11-8を含む1段目の遅延加算部と、1段目の遅延加算器11-1〜11-4で出力されたデータA、Bを入力し、ベクトルA、Bのいずれかに近い最終出力ベクトルA1、A2、B1、B2のいずれかを出力する遅延加算部11-5〜11-8を含む2段目の遅延加算部とを備える。
【0055】
ここで、1次元配列振動子10-1〜10-16で受信された信号は、1段目の遅延加算部11-1〜11-4に入力する。この遅延加算部11-1〜11-4は、並列受信処理によってそれぞれ二つのビームデータA、B(図7のベクトルAに相当)を出力する。このように遅延加算部11-1〜11-4で出力されたデータのうち、データAは遅延加算部11-5、11-6に入力され、データB(図7のベクトルBに相当)は遅延加算部11-7、11-8に入力される。これらの入力により、遅延加算部11-5、11-6からはベクトルAに近いベクトルA1、A2が出力され、遅延加算部11-7、11-8からはベクトルBに近いベクトルB1、B2が出力される。これにより、ビーム間の感度差の問題は低減される。
【0056】
本実施形態では、ビームフォーマの1段目の出力ビームを2本(A、B)にしたが、並列受信の本数が多い場合も同様の処理が可能である。また、本実施形態では、説明をわかりやすくするように1次元配列振動子を用いたが、これに限らず、2次元配列振動子への展開も容易に行なうことができる。また、第1あるいは第2の実施形態を第3の実施形態に適用可能なことは言うまでもない。
【0057】
なお、仮想位置演算部113、制御部25などが前記制御手段を構成し、遅延加算器11-1〜11-8、20〜23、24A〜24Dなどが前記多段階遅延加算部を構成する。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、1次元配列振動子のためのビームフォーマで3次元走査を実現し、あるいは制御データ量を抑えながらビーム形成し、あるいは並列受信におけるビーム間の感度ばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の2次元配列振動子とビームベクトルの位置関係を示す説明図
【図2】本発明の第1の実施の形態の超音波診断方法で3次元位置を2次元に投影するための計算を示すフローチャート
【図3】本発明の第1の実施の形態の超音波診断方法で3次元位置を2次元に投影する座標変換結果を示すグラフ
【図4】本発明の第1の実施の形態の2次元配列振動子を用いた超音波診断装置のビーム形成部のブロック図
【図5】本発明の第2の実施の形態のビーム偏向・集束方法の説明図
【図6】本発明の第2の実施の形態の超音波診断装置のビーム形成部のブロック図
【図7】本発明の第3の実施の形態の並列受信機能を備えた遅延加算部からなる多段ビームフォーマで並列受信を行なう方法の説明図
【図8】本発明の第3の実施の形態の超音波診断装置のビーム形成部のブロック図
【図9】従来のディジタルフロントエンドを用いた超音波診断装置のブロック図
【図10】従来のディジタルフロントエンドを用いた超音波診断装置の遅延加算部の内部構造の説明図
【図11】従来の1次元配列振動子を用いたビーム偏向・集束に関する説明図
【図12】従来の並列受信の説明図
【図13】従来の並列受信を行なう遅延加算部のブロック図
【図14】従来の2次元配列振動子を用いた並列受信方式の説明図
【図15】従来の多段階ビーム形成で送信ビームと受信ビームの位置関係を示す説明図
【図16】従来のビーム形成で2次元配列振動子を用いて3次元走査を行なう場合の遅延量計算方法の説明図
【図17】従来の多段階ビーム形成で1段目の加算チャンネル数と1次元配列振動子による指向性を表すグラフ
【符号の説明】
1 2次元配列振動子
2 音線ベクトル
6 2次元配列振動子
7 配列振動子
10-1〜10-16 振動子
11-1〜11-8 遅延加算器
20〜23 遅延加算器
24A〜24D 遅延加算器
25 制御部
100 探触子
T1-T8 振動子
101-1〜101-8 パルサレシーバ
102-1〜102-8 ゲインコントロールアンプ
103-1〜103-8 A/D変換器
104 遅延加算部
105 制御部
106 信号処理部
107 表示部
110-1〜110-4 FIFOメモリ
111 加算器
112 制御データ演算部
113 仮想位置演算部
120〜123 振動子
124 音線ベクトル
130 振動子
131 送信ビーム
132、133 受信ビーム
140-1〜140-4 FIFOメモリ
141A、141B 加算器
142 制御データ演算部
150 2次元配列振動子
151-1〜151-8 遅延加算器
160 振動子(探触子)
161 送信ビーム
162〜165 受信ビーム
170 2次元配列振動子
171 音線ベクトル
180 遅延加算器

Claims (2)

  1. 2次元配列振動子からなる探触子と、1次元配列振動子の位置および音線方向の情報より超音波受信ビームを偏向および集束させるための遅延加算回路と、前記2次元配列振動子と超音波受信ビームベクトルの位置関係を2次元平面上に仮想振動子位置として投影し、この仮想振動子位置の情報を前記遅延加算回路に入力する制御手段とを設け、1次元配列振動子用の前記遅延加算回路で前記2次元配列振動子からの信号を遅延加算することを特徴とする超音波診断装置
  2. 複数の振動子からなる探触子と、同時に多方向からの超音波ビームを受信可能で、前記振動子からの超音波受信ビームを偏向および集束させるための遅延加算回路を多段階に分けてビーム形成する多段階遅延加算部と、この多段階遅延加算部の1段目の遅延加算回路で、前記振動子から多方向の超音波ビームを受信して複数のビームベクトルを出力し、2段目以降の遅延加算回路で、前記複数のビームベクトルのうち、取得したい最終出力ベクトルに近いものを用いて遅延加算を行うように制御する制御手段とを設けたことを特徴とする超音波診断装置。
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