JP3685841B2 - 壁面外装材 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、直射日光またはその反射光を受ける壁面の構造に取り付けられて、壁面の表面を形成する壁面外装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
直射日光やその照り返しを受ける壁面を白く塗装することで、狭い街路の路面や、小さな窓の室内空間が明るくなる。酸化チタン顔料や石灰で白く塗装された外壁は、可視光〜赤外光の反射率が高く、直射日光から散乱光を形成して下方空間の隅々に行き渡らせる。また、外壁の熱吸収量を減らして、強い直射日光下でも室内空間の温度上昇を抑制し、炎天下でも冷涼でしのぎ易い室内空間が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
白く塗装された壁面によって斜め上方から入射した直射日光を下方空間に導光する場合、上空や水平方向に射出される散乱光が無駄となる。直射日光を受けた面から放射される散乱光のうち、下方空間に向かう割合は、立体角から見て半分以下である。上空から見ても白く輝く壁面は、発生する散乱光の少なくない部分を上空の空間に捨てている。従って、白く塗装された壁面を介して間接的に日光を受ける路面や床面は、直射日光を受けた面に比較すれば照度が低く、芝生等の植物の成長や湿気の追放や殺菌防カビの効果を期待できない。また、1〜2階建ての建物に挟まれた街路ならば1回の折り返しで底に反射光が到達するから十分な照明効果を期待できるが、階数が増して建物の高さが増すと、2回、3回と反射を繰り返さないと底まで到達できず、反射のたびに散乱光として上空側に半分以上が逃げ出すことによって、路面を十分な明るさに照明できない。
【0004】
ここで、直射日光を受ける壁面を鏡面とすれば、斜め上空から入射した直射日光を素直に下方空間に導光することが可能である。例えば、透明なガラスで覆われたアトリウムを2棟の高層ビルの間に配置し、高層ビルの外壁面に形成した平坦で大面積の反射面を用いてアトリウム内に太陽光の反射光を多重的に導き、多様な植物をアトリウム内で生育させた例が知られている。しかし、平坦な鏡面で反射された直射日光は、まぶし過ぎて正視できず、反射光を受ける建物の利用者や街路の通行人にとって迷惑である。また、反射光の到達する範囲が狭く、時刻によって刻々と移動するから、照明範囲が限られて全く光の届かない場所が多数形成されるし、濃厚な影が形成されてコントラストが高く目が疲れ易い等、照明の質も劣悪である。
【0005】
本発明は、白色に塗装された壁面よりも高い効率で下方空間に太陽光を導くことが可能で、平坦な鏡面に比較して質が高い照明効果が得られる壁面外装材を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の壁面外装材は、水平方向に反射光を拡散しつつ垂直方向に正反射する壁面外装材であって、金属の薄板を波形に成型し、外部空間に接する側に鏡面が形成された鏡面部材と、鏡面部材の波形の底を裏側から一体に連結して鏡面部材の波形を保持させる支持部材とを有し、鏡面部材は、水平方向断面が外部空間側に向かう凸な曲線であって垂直方向断面が壁面と平行な直線である柱状の鏡面が水平方向に配列した外観の波形に形成され、支持部材は、鏡面部材の波形の底にそれぞれスポット溶接された平坦な金属の薄板である。
本発明の壁面外装方法は、直射日光を受ける壁面の壁面外装方法において、鏡面を設けた壁面外装材を壁面または建物構造に取り付けて下方空間に反射光を導くとともに、鏡面を、垂直方向へ拡散することなく正反射しつつ水平方向へ拡散する光学的機能を実現した波形または凹凸形状の鏡面とした方法である。
【0007】
本発明の壁面外装材は、直射日光またはその反射光を受ける壁面の構造に取り付けられて、壁面の表面を形成する建築材料である。斜め上方から入射した直射日光を反射して斜め下方に射出させ、正反射による垂直方向の導光性能を維持しながらも、個々の鏡面がその水平方向の断面形状によって水平方向へ反射光を拡散させ、さらに、柱状の鏡面を配列させた構成が個々の柱状部分の反射光を重ね合わせて、正視してもまぶしくない反射光を実現する。このような波形鏡面は、二次曲線の同一断片が水平方向に複数配列し、二次曲線の断面がそれぞれ垂直方向に連続した列柱状の外観とすることができる。
鏡面の波形を支持するための裏打ち構造に壁面への取り付け孔を設けて施工を容易にしてもよい。例えば、波形に成型されて外部空間に接する面に鏡面が形成された薄板の鏡面部材と、外部空間側から見た波形の底を裏面側で連絡させて鏡面部材と一体に固定した薄板の支持部材とを有する壁面外装材の支持部材に壁面への取り付け孔を形成する。
また、建物構造に組み付けされて外壁を構成するコンクリートパネルの表面に波形鏡面の金属板を一体化してもよい。
また、一対のガラス板を前方空間に向かって凸な曲面の波形に成型して、成型したガラス板の一方の片側の面に金属薄膜を形成して反対側から見た反射面とし、金属薄膜を含む反射層に他方のガラス板を重ねて一体に接着することによって鏡面を具体化するなどしてもよい。
【0008】
【作用】
請求項1の壁面外装材では、垂直方向断面が壁面と平行な直線である柱状の鏡面が垂直方向に一方向の導光を確保しつつ、水平方向断面が外部空間側に向かう凸な曲線の個々の柱状の鏡面が水平方向に入射光の反射光を拡散させる。垂直方向では平坦な鏡面と同様に、散乱光を形成しないで下方空間に無駄なく案内するが、水平方向では、前方空間に向かって凸な鏡面が反射光の出射方向を拡散させて、平坦な鏡面では反射光が届かない角度の方向にも反射光を到達させる。
壁面外装材における前方空間に向かって凸な鏡面は、水平方向断面を円弧、楕円、放物線等の2次曲線としても実現できる。この水平方向断面を垂直方向に一様に連続させて、柱上の反射面を水平方向に配列した波板状の外観とすることができる。
【0009】
金属薄膜の反射層が一対のガラス板で挟み込まれて外気と遮断される形式の壁面外装材では、特願平6−27227号の明細書と図面に示されるように、反射層を挟み込んだ波形の構造自体を型枠に取り付けてコンクリートを流し込むことにより壁と一体化させてもよく、完成した壁面に接着剤やモルタル等で固定してもよく、裏面にコンクリート等の支持層を形成して外壁パネルとしてもよい。
軽量気泡コンクリートや重量コンクリートの外壁パネルの外表面に鏡面部材を配置した場合、外壁パネルを鉄骨の骨組みに組み付けたり、外壁パネルを相互に固定して壁構造を構成するだけで、鏡面を外側に向けた外壁が完成する。
【0010】
支持部材による裏打ち構造は、鏡面部材の変形や反りを防止して壁面への取り付けを容易にする。支持部材に取り付け孔を設け、取り付け孔にボルトを通す等して、壁面外装材を壁面の構造、すなわち、建物の骨組みや下地面に固定することができる。
支持部材は、鏡面部材と壁面の間に配置されて両者間の直接の接触や熱伝導を妨げる。また、金属や樹脂の薄板で形成された波板状の鏡面部材と平坦な支持部材の間には、垂直方向に貫通して水平方向に分断されたかまぼこ型の空間が形成される。この空間は、鏡面部材と支持部材を非接触に保って壁面への熱伝導を妨げる。さらに、この空間の上下を解放していれば、鏡面部材の放熱を熱対流が上方へ運び去るから、鏡面部材と壁面の熱伝導はさらに妨げられる。
【0011】
【実施例】
図1は第1実施例の屋内壁面処理の説明図、図2は壁面外装材の構造の説明図である。図2中、(a)は正面図、(b)は水平断面図である。図1において、屋根11に設けた天窓12を通じて室内空間に直射日光が導かれる。隣接する建物10との間が狭いため、外壁14に窓を形成しても直射日光は得られない。外壁14は、断熱性を優先した窓の無い構造であって、内側の面14Aを白く塗装している。
【0012】
内壁13は、屋内空間を仕切って、外壁14との間に一階床面(土間面)にまで達する吹き抜け空間19を形成する。吹き抜け空間19は、階段室や玄関ホールとして使用され、内壁13を挟む反対側に粱16や床15を配置して、1階と2階の居室を形成している。内壁13には、外壁14の白く塗装された面14Aで発生した散乱光を取り込むために、図示しない開口や窓や障子戸が形成されている。天窓12を通して直射日光を受け得る内壁13の表面に壁面外装材17、18が施工される。図2の(a)に示すように壁面外装材17、18を水平方向に並べて取り付け、内壁13の表面における日の出から日没までの天窓12の投射像が通過する範囲を占めさせる。壁面外装材17、18の縦の長さは、冬季と夏季の太陽の高さの差に対応した距離である。
【0013】
図2の(b)に示すように、壁面外装材17、18は、多数の円柱側面を並べた外観にプレス成型したステンレスの薄板21、28を鏡面部材とし、平らなステンレスの薄板22、25を支持部材としている。薄板21、28の波形の底23、29を平らなステンレスの薄板22、25にスポット溶接することによって、全体の構造に平坦な形状を保持する性質と強度を付与している。薄板21、28の表面は、プレス成型前に研磨されて鏡面に加工される。鏡面を形成した直後に、スポット溶接箇所に孔を形成した薄い樹脂フィルムを鏡面に貼り付けて、後の加工工程や取り付け作業において鏡面を損傷しないようにしている。
【0014】
壁面外装材17の両端の波形の山筋では、鏡面を形成した薄板21に開口24が縦一列に並べて形成され、裏打ちの薄板22における開口24と重なり合う位置に取り付け孔27が形成されている。これに対して、壁面外装材18の両端の部分には、鏡面を形成した薄板28が存在せず、裏打ちの薄板25の開口24と重なり合う位置に取り付け孔27が形成されている。壁面外装材17、18は、両端の部分を重ねて裏打ちの薄板22、25の取り付け孔27を位置合わせして、開口24を通じてねじ26を取り付け孔27に挿入し、内壁13の下地面にねじ26を食い込ませて固定される。
【0015】
図1の天窓12を通じて屋内空間に入射した直射日光は、壁面外装材17、18の鏡面で反射されて、外壁14の白く塗装された面14Aを照射する。このとき、壁面外装材17、18の鏡面が波形で、鏡面の水平方向の断面が吹き抜け空間19側に向かって凸な曲線であるため、反射光は、面14Aの広い範囲に拡散されて到達する。従って、平坦な鏡面を配置した場合のような明白な天窓の投射像が面14Aに形成されず、面14Aの広い範囲から散乱光が発生して、吹き抜け空間19全体が均一で影の薄い明るい照明状態となる。
【0016】
また、図2の(b)に示すように、薄板21、28と薄板22、25との間にはかまぼこ型の空間が形成されており、この空間が内壁13に対する直接の熱伝導を妨げている。また、この空間の上下の端を解放しているから、薄板21、28が直射日光で加熱されても、この空間内を熱対流によって上昇する空気によって熱が天井側に速やかに運び去られて内壁13の温度上昇が抑制される。なお、第1実施例では、壁面外装材17、18を屋内用に使用するから、耐候性や耐水性等の要求が緩く済む。従って、同様な壁面外装材を透明塩化ビニル等の薄い樹脂板で形成し、アルミニウムやクロムのメッキ処理やスパッタ蒸着で鏡面を形成することとしてもよい。
【0017】
図3は第2実施例の壁面外装材の構造の説明図である。図3中、(a)は壁面外装材の構造、(b)は断面の接合構造である。ここでは、壁面上に取り付けられる第1実施例とは異なり、壁面外装材自体が単独で外壁としての機能を備えている。図3の(a)に示すように、第2実施例の壁面外装材は、ステンレスの薄板から形成された箱型の鏡面部材31の内側に発泡コンクリートの裏打ち層32を形成している。鏡面部材31は、表面を研磨して鏡面を形成した後にプレス加工して波形の外観とした反射板33を有する。鏡面部材31の箱型の構造は、鏡面を裏打ち層32の反対側にして、両側を直角に立ち上げた反射板33の縁に、波形の上下の底となる一対の薄板を後から溶接して形成される。
【0018】
裏打ち層32は、底に鏡面部材31を取り付けた専用の型枠内に発泡コンクリートを流し込んで固体化させることにより形成される。形成された裏打ち層32の鏡面部材31からはみ出した四方の側面部分や反射板31と反対側の面には、図示しない溝構造や突起構造や開口を形成して、建物構造側の対応する取り付け構造に対する位置決めと固定を可能にしている。裏打ち層32の型枠には、この溝構造や突起構造を転写する凹凸を側面に配置している。裏打ち層32の内部には、外壁パネルとしての強度を確保するため、図示しない補強用の鉄筋構造や金網が埋め込まれている。
【0019】
図3の(b)に示すように、鐘面部材31の裏面には、ステンレスの薄板で開脚形に形成した補助部材32をスポット溶接して、鏡面部材31と硬化後の裏打ち層32の連結を確実にしている。第2実施例の壁面外装材は、通常のプレハプ構造と同様にして外壁パネル同志を相互に連結固定したり、重量鉄骨構造等における外壁用コンクリートパネルと同様にして、建物の鉄骨に位置決め固定されて建物の外壁を構成する。発泡コンクリートで裏打ち層32を形成しているため、軽量で鉄骨構造等に対する負担が軽く運搬や施工も容易で断熱性にも富む。
【0020】
図4は鏡面の外観の変形例の説明図である。図4中、(a)、(b)、(c)は鏡面の水平方向の断面の例、(d)、(e)、(f)、(g)は鏡面の平面パターンの例である。第1実施例と第2実施例では、鏡面の水平方向の断面を同一の円弧の配列とし、鏡面の平面パターンを円筒側面を規則的に配置した外観としたが、鏡面の水平方向の断面と外観は、図4に示すような種々の変形が可能である。
【0021】
図4の(a)に示す水平方向の断面は、2つの曲線41、42が交差する峰の部分を垂直方向に線状に形成して、壁面外装材と垂直な平面内で壁面外装材に直射光が入射する際の正面方向への反射量を削減している。図4の(b)に示す水平方向の断面は、二次曲線43の裾に直線44を配置して、壁面外装材の水平断面内で直射光が浅い角度で入射する際に、入射方向の下部空間、すなわち、太陽に背を向けた観察者の方向に多くの反射光を案内することができる。図4の(c)に示す水平方向の断面は、曲線を2段にして各部分の曲率を高めることにより、反射光を水平方向に拡散する能力を高めている。
【0022】
図4の(d)に示す外観は、上側の円錐面の垂直方向の傾斜角度(開き角度)を下側の円錐面の垂直方向の傾斜角度(開き角度)よりも大きくして、下方への導光性能を改善している。図4の(e)に示す外観は、円筒側面の不規則な配列によって、反射光の拡散方向に濃淡の変化を持たせた。図4の(f)に示す外観は、波形の反射面の山筋を波状にうねらせて、薄板の反射面それ自体に平坦になろうとする性質を持たせている。
従って、第1実施例の裏打ちの薄板や第2実施例の裏打ち層が無くても、(d)、(e)、(f)に示す外観に比較して反りにくい。図4の(g)に示す外観は、紡錘状の突出を配列して上下方向にも反射光の若干の拡散性能を持たせている。
【0023】
図5、図6を参照して第3実施例の壁面外装材を説明する。図5は壁面外装材の各種構造の説明図、図6は壁面外装材の施工例の説明図である。ここでは、ガラスで波形の反射面を形成するいくつかの手法が説明される。図5の(a)には、相互に噛み合う凹凸の波形面をそれぞれ形成した一対の厚いガラス板を接合して壁面外装材を形成している。表面側の反射部材51と裏面側の裏打ち部材52は、それぞれの波形を反転した凹凸を持たせた型に加熱して軟化させたガラス材料を押し付けて形成される。
【0024】
反射部材51には、透明度の高いガラス材料が使用されており、型から外した波形の面は、火炎を吹き付けて平滑に仕上げてある。なお、反射部材51の表面を平坦にした理由は、外壁面に装着した際の表面の洗浄や汚れの拭き取りの便宜を確保するためである。外形や波形の面を成形して冷却させた後に、波形の面にクロムや銀をスパッタ蒸着して表面側から見た鏡面を形成する。反射層53は、この金属薄膜上に樹脂塗料の塗装を施して形成される。塗装が耐水性と耐酸化性を増して、金属薄膜(鏡面)の寿命を確保させる。裏打ち部材52には、反射部材51と熱膨張率がほぼ等しい安価なガラス材料を使用している。裏打ち部材52と反射部材51は、樹脂接着剤を用いて一体に接合される。
【0025】
ここで、裏打ち部材52に海綿状組織の発泡ガラスを使用してもよい。反射層53の樹脂塗料の塗装をスパッタ形成したガラス薄膜に置き換え、裏打ち部材と反射部材51の間に低融点のガラス粉を挟み込んで全体を加熱することにより一体化させ、全体を無機材料だけで形成することも可能である。裏打ち部材の裏面を平坦としないで、壁面への接合を容易にするための凹凸を形成してもよい。裏打ち部材の裏面からステンレス等の針金を突出させたり、壁面側に設けた鉤構造を引っ掛ける孔や凹所を形成してもよい。
【0026】
図5の(b)には、ガラスの反射部材54とセラミックの裏打ち部材55を組み合わせた壁面外装材が示される。反射部材54の波形の面と反射層57は、図5の(a)の壁面外装材と同様な加工手順で形成される。裏打ち部材55には、セメントモルタルとなじみが良く、反射部材54のガラス材料と熱膨張率があまり違わないセラミックが採用される。セラミック材料を型取りして焼結し、裏面に凹凸56を有するが表面に波形の無い単純な形状に形成している。反射部材54の反射層57の気密を保持するため、樹脂フィルム60の四方の縁を反射部材54の反射層57を囲む部分に熱溶着している。反射部材54と裏打ち部材55の間に空間58が形成されるため、空気孔59を設けて、温度上昇しても空間58の圧力が高まらないようにしている。反射部材54と裏打ち部材55は、柔軟なシリコンゴムのシール材を用いて一体に接合されている。
【0027】
図5の(c)には、薄いガラス板を波形に成形する方法が示される。平成6年1月14日に出願された特願平6−27227号の明細書および図面に示されるように、壁面外装材は、波板状に成形された一対の薄いガラス板で反射層を両側から挟み込んで密封した構造でもよい。表面が波形であるから、平坦な場合のように表面反射が眩しくなったり、鏡面を形成する波形の面の加工や仕上げが複雑になるという問題が解決される。
また、湾曲させた一対の薄いガラス板で壁面外装材が構成されるから、ガラス材料が節約される。
【0028】
図5の(c)に示すように、2枚の透明な薄いガラス板61、62を重ねて軟化点以上の温度に加熱し、同程度に加熱された型63に乗せて、型63の谷部分に相当する位置を紙面と垂直な方向に延びるブレード64で静かに押して、ガラス板61、62に型63の山筋の曲面を写し取る。ガラス板61、62が融着しない温度と加工速度を選択する。ガラス板61、62を型63ごと軟化点以下に冷却し、型63から外してさらに徐冷する。この手法によれば、平滑さが要求される2つの面、すなわち、ガラス板61の表面と裏面を成形中に型63に接触させないから、形成された波形の面の仕上げを行う必要が無い。冷却完了後にガラス板61、62を分離して、ガラス板61の裏面の波形の面に銀やアルミニウムの金属薄膜をスパッタ形成して、表面から見た鏡面とし、金属薄膜上にガラス材料の保護膜をスパッタ形成する。ガラス板61、62は、再度凹凸を重ね合わせて、シリコンゴムのシール材で一体に接着される。
【0029】
なお、2種類の型でガラス板61、62を個別に波形に成形してもよく、ブレード64で押す代わりに型63側から真空引きして型63の表面にガラス板62を吸着させてもよく、型63上に重ねたガラス板61、62の上から全面に空気圧力をかけていわゆるブロー成形をしてもよい。高い温度をかけて成形を容易にした際に重ねたガラス板61、62の分離を良くするために、成形前のガラス板62のガラス板61との対向面に高融点金属の薄膜、例えばクロムのスパッタ蒸着膜を形成しておいてもよい。
【0030】
このようにして製作された各種の壁面外装材は、図6に示すように、狭い街路を挟んで建てられた2つの建物の対向面に施工される。なお、第1実施例や第2実施例の壁面外装材を施工してもよい。対向面の方角や四季を通じた太陽の高度の変化や一日を通じた太陽の軌跡が考慮される。直射日光の照射を受ける面とその対向面のできるだけ広い範囲を覆って反射面73、74を配置すれば、街路全体が明るく一様に照射される。
【0031】
建物71の外壁に壁面外装材による反射面73、建物72の外壁に壁面外装材による反射面74が形成される。上空から斜めに入射した直射日光は、反射面73、74で複数回折り返されたのちに底の街路面に到達する。この複数回の折り返しによって、反射光は方向性を失ってさらに均一に分散されるから、下層階の反射面73、74は、全体的にほぼ均一な弱い輝き状態に観察されて、さらに眩しさが低減される。路面の影もさらに薄くなって照度の平均化もさらに進む。これにより、街路の隅々で、コントラストが少なくて影が薄く、終日の各部の照度変化も平均化された質の高い照明状態が得られる。
反射面73、74は、建物71、72のそれぞれ幅一杯を占めて2階以上の高さ範囲に形成される。1階の壁面に反射面73、74を設けない理由は、反射光を発生する波形の面が、通行人や通行車両の運転者に目障りだからである。建物71の最上階の壁面に反射面73を設けない理由は、対向する反射面74の高さから見て、反射光が単に建物72の屋上を照射するだけで、街路に導光されないからである。
【0032】
図7では、波形の反射面と平坦な反射面における反射状態が比較される。図7中、(a)は波形の反射面、(b)は平坦な反射面である。図7の(a)の水平断面が外側に向かって凸な波形に形成された反射面77では、平行に入射した太陽光の光束が広い角度範囲に拡散される。従って、広い角度範囲のすべての方向(それぞれの矢印の方向)に反射光が到達して照明の恩恵を受ける。逆に、広い角度範囲のすべての方向(それぞれの矢印の方向)から見ると、反射面77のすべての山筋が線状に一部分だけ輝いているように観察される。換言すれば、広い角度範囲のあらゆる方向に位置する場所で、反射面77を形成するすべての山筋の一部分づつがが輝いていると観察される。反射面77の1つの峰から供給される反射光は拡散されて弱く、眩しさも小さいが、反射面77全体の多数の山筋からの反射光が積算されて、影の薄い明るい照射状態が得られる。一日の朝から夕暮れまで、反射面77に対する太陽光の入射角度は刻々と変化するが、反射面77のこの拡散作用によって、太陽に背を向けるような角度の方向(と時間帯)にも反射光が長時間供給され続ける。
【0033】
一方、図7の(b)の平坦な反射面では、入射角と等しい反射角の方向でのみ眩しく輝く反射光が観察される。それ以外の方向、特に太陽に背を向けるような角度の方向には反射光が全く到達しない。反射光が到達した部分は極端に明るいが反射光が到達しない角度方向は影となる。明るい部分では、影が濃くてコントラストの強い照明状態となり目が疲れる。日陰の部分に対する眩しい反射光の直射は迷惑である。
【0034】
以上説明した実施例の壁面外装材は、図1、図6に示した以外の用途にも応用可能である。例えば、特願平6−27227号の明細書および図面に示される各種の用途に採用できる。また、図1、図6に示した以外の施工形態で、使用することも可能である。例えば、平坦な鏡面で折り返した太陽光を受ける壁面に施工したり、太陽光の入射方向が限られている場合には、入射方向に波形の山の方向を一致させて(つまり、山筋を斜めにして)施工し、建物内のより奥深い位置まで太陽光を導くこととしてもよい。また、壁面外装材の表面側に配置されて鏡面を形成する部材は、金属板、金属薄膜、ガラス、樹脂板等の一定の光学的性質を備えた材料で置換可能であり、鏡面を裏打ちする部材は、光学的性質を問わず、さらに自由に材料や成形方法を選択可能である。
【0035】
【発明の効果】
本発明の壁面外装材によれば、上空へ散乱光を逃がすことなく下方空間に反射光を導くから、白色に塗装した壁面に比較して太陽光のエネルギーが有効に利用される。建物に挟まれた空間や街路の表面等、施工された壁面の下部空間の隅々が明るく照明され、直射日光の届かない場所や日照時間の限られた場所でも太陽光による乾燥、殺菌、防臭、防カビ等の効果を享受できる。日光浴や植物栽培等も可能となる。また、波形に成形された鏡面が水平方向(斜め下の広い範囲)に反射光を拡散させるから、平坦な鏡面に比較して照射範囲や照射角度が広くなる。従って、鏡面を直視した際の直接の反射光の眩しさが低減されるとともに、平坦な鏡面では影となる部分にも反射光が導かれる。また、同じ場所に複数の曲面(波形の山)から反射光が到達するから、影のコントラストが低くて目の疲れない質の良い照明効果が得られる。
【0036】
裏打ち部材を設けた構造によって鏡面部材が弱くても壁面外装材の強度が確保される結果、保管性、運搬性、施工性が増す。工場で規格生産された壁面外装材を現場に運び込んで行うことで、建物構造への取り付けが容易となり、施工日数が削減される。
【0037】
壁面外装材の水平方向の断面を垂直方向に連続させて全体を波形とした場合、成型用の型を含めて製作が容易となる。これに対して、曲面の山の峰部分や谷部分を少し斜めに形成して2方向から交差させた場合、垂直方向に導光しながら水平方向に拡散する基本的な性質を維持したまま、拡散方向や拡散の濃淡に若干の変化を与えることが可能である。波形に成形された一対のガラス板材の間に反射層を挟み込んで壁面外装材を構成した場合、薄いガラス板の加熱変形によって必要な波形を形成できるから、ブロックのガラス材から切削や研磨で波形を形成する場合に比較して、ガラス材料が少なくて済み、加工コストも低減される。2枚を重ねて波形に成形することとすれば、鏡面を形成する面を型に接触させないから平滑が保たれ、平滑度を確保するための火炎磨き等の仕上げが不要である。
【0038】
壁面外装材を一対の薄板(鏡面部材と支持部材)で構成して、両者の間に垂直方向に貫通して水平方向に分断された空間を形成した場合、壁面外装材が軽くなり、取り付けられる壁面の構造に負担が少なく、取り付けのための構造も簡単で済む。また、空間による断熱効果が壁面の温度上昇を抑制する。壁面外装材をコンクリートの外壁パネルの表面に波形の金属板を一体化した構造とした場合、外壁パネルの表面に後から壁面外装材を取り付けなくても、必要な導光性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の屋内壁面処理の説明図である。
【図2】壁面外装材の構造の説明図である。
【図3】第2実施例の壁面外装材の構造の説明図である。
【図4】鏡面の変形例の説明図である。
【図5】第3実施例の壁面外装材の構造の説明図である。
【図6】壁面外装材の施工例の説明図である。
【図7】波形の反射面と平坦な反射面の比較図である。
【符号の説明】
10 隣接する建物
11 屋根
12 天窓
13 内壁
14 外壁
15 床
16 梁
17、18 壁面外装材
19 吹き抜け空間
21、22、25、28 薄板
24 開口
26 ねじ
27 取り付け孔
23、29 波形の底
31 鏡面部材
32 裏打ち層
33 反射板
34 開脚部材
41、42、43、45、46 曲線
44 直線
51、54 反射部材
52、55 裏打ち部材
53、57 反射層
61、62 ガラス板
63 型
64 ブレード
71、72 建物
73、74、77、78 反射面

Claims (8)

  1. 水平方向に反射光を拡散しつつ垂直方向に正反射する壁面外装材であって、
    金属の薄板を波形に成型し、外部空間に接する側に鏡面が形成された鏡面部材と、
    鏡面部材の波形の底を裏側から一体に連結して鏡面部材の波形を保持させる支持部材とを有し、
    鏡面部材は、水平方向断面が外部空間側に向かう凸な曲線であって垂直方向断面が壁面と平行な直線である柱状の鏡面が水平方向に配列した外観の波形に形成され、
    支持部材は、鏡面部材の波形の底にそれぞれスポット溶接された平坦な金属の薄板であることを特徴とする壁面外装材。
  2. 請求項1の壁面外装材において、
    支持部材に壁面への取り付け孔を設け、
    鏡面部材における支持部材の取り付け孔と重なり合う位置に、取り付け作業用の開口を設け、
    支持部材を壁面へ直接に取り付け可能にしたことを特徴とする壁面外装材。
  3. 水平方向に反射光を拡散しつつ垂直方向に正反射する壁面外装材であって、
    水平方向断面が外部空間側に向かう凸な曲線であって垂直方向断面が壁面と平行な直線である柱状の鏡面が水平方向に配列した外観の波形に形成された鏡面部材と、
    鏡面部材の波形の底を裏側から一体に連結して鏡面部材の波形を保持させる支持部材とを有し、
    支持部材に壁面への取り付け孔を設け、
    鏡面部材における支持部材の取り付け孔と重なり合う位置に、取り付け作業用の開口を設け、
    取り付け孔を設けた鏡面部材に覆われない重ね合わせ部分を支持部材の縁に設けたことを特徴とする壁面外装材。
  4. 請求項1〜3の壁面外装材において、
    鏡面部材は、多数の円柱側面を並べた外観に成型したステンレスの薄板であって、
    支持部材は、鏡面部材の波形の底をスポット溶接した平坦なステンレスの薄板であることを特徴とする壁面外装材。
  5. 直射日光を受ける壁面の壁面外装方法において、
    鏡面を設けた壁面外装材を壁面または建物構造に取り付けて下方空間に反射光を導くとともに、
    鏡面は、水平方向断面が外部空間側に向かう凸な曲線であって垂直方向断面が壁面と平行な直線である柱状の鏡面が水平方向に配列した外観の波形鏡面、であることを特徴とする壁面外装方法。
  6. 請求項5の壁面外装方法において、
    配列した個々の曲面の裏側に、垂直方向に貫通して水平方向に分断され、上下の端を解放した対流空間が形成されていることを特徴とする壁面外装方法。
  7. 請求項5の壁面外装方法を施した壁面に対向する壁面の壁面外装方法において、
    鏡面を設けた壁面外装材を壁面または建物構造に取り付けて下方空間に反射光を導くとともに、
    鏡面は、水平方向断面が外部空間側に向かう凸な曲線であって垂直方向断面が壁面と平行な直線である柱状の鏡面が水平方向に配列した外観の波形鏡面、であることを特徴とする壁面外装方法。
  8. 直射日光を受ける壁面の壁面外装方法において、
    鏡面を設けた壁面外装材を壁面または建物構造に取り付けて下方空間に反射光を導くとともに、
    鏡面は、垂直方向へ拡散することなく正反射しつつ水平方向へ拡散する光学的機能を実現した波形または凹凸形状の鏡面、であることを特徴とする壁面外装方法。
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