JP3685459B1 - 固液共存状態金属スラリの製造方法およびその製造装置 - Google Patents

固液共存状態金属スラリの製造方法およびその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】組成を変化させることなく急速に冷却できる溶融金属の冷却方法を提供する。
【解決手段】電磁気場が印加されたスラリ製造容器2内に溶融金属Mを注湯する。金属リボンRをスラリ製造容器2内の溶融金属M中に挿入して溶解させる。金属リボンRが溶融金属M中に溶融する際の溶融潜熱は溶融金属Mの比熱よりも大幅に大きい。金属リボンRがスラリ製造容器2内の溶融金属Mに溶融される際の溶融潜熱にて溶融金属Mを急速に冷却できる。溶融金属Mと等しい組成の金属リボンRとした。金属リボンRを溶融させて冷却させた後の溶融金属Mの組成が変化しにくい。
【選択図】図1

Description

本発明は、液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリとする固液共存状態金属スラリの製造方法およびその製造装置に関する。
従来、この種の固液共存状態金属スラリ製造方法としては、容器内を加熱することによって形成された液相金属に、冷たい固相金属である固形インゴットを付加して、この液相金属と金属結晶との混合物からなるスラリを形成する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、この種の固液共存状態金属スラリ製造方法としては、液相金属への冷却粉末の導入によって、この液相金属を流体力学的に安定化させているとともに、この液相金属の温度を平均化させている。すなわち、この液相金属中に冷却用の粉末を混合させることによって、この液相金属を冷却させ、この液相金属の過熱領域と過冷却領域と避け、結晶化工程を平均化し、最終的に鋳造品の均一性を改善させる構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開昭53−37105号公報(第4−10頁および第1図) 特開2000−312958号公報(第3−5頁および図1ないし図6)
しかしながら、上述した各固液共存状態金属スラリ製造方法では、液相金属中に、この液相金属とは組成の異なる固形インゴットや冷却粉末を入れて、これら固形インゴットあるいは冷却粉末を液相金属中に熔融させて、これら液相金属を冷却させている。したがって、これら液相金属を冷却させた後に、これら液相金属の組成が変化してしまうおそれがあるという問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、組成を変化させることなく急速に冷却できる固液共存状態金属スラリの製造方法およびその製造装置を提供することを目的とする。
請求項記載の固液共存状態金属スラリの製造方法は、液相金属中に固相金属を入れて、この固相金属を前記液相金属に溶かして、前記液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリとする固液共存状態金属スラリの製造方法であって、前記固相金属は、前記固液共存状態金属スラリを冷却したものである。
そして、液相金属中に、この液相金属から製造される固液金属状態金属スラリを冷却した固相金属を入れて、この固相金属を液相金属に溶かして、この液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリとする。この結果、この固相金属が溶けた液相金属の組成が変化することなく、この固相金属が液相金属に溶ける際の比熱の約400倍の溶融潜熱によって、この液相金属から熱を奪うことができるので、この液相金属を急速に冷却できる。したがって、この液相金属を冷却して製造された固液共存金属スラリの組成を変化させることなく、この固液共存状態金属スラリを効率良く製造できる。また、固相金属が入れられて溶けた後の液相金属中に固相金属が完全に溶けなくても、この液相金属の組成が変化しないので、この液相金属の急速な冷却を効率良くできる。
求項記載の固液共存状態金属スラリ製造方法は、請求項1記載の固液共存状態金属スラリ製造方法において、固相金属は、リボン状であるものである。
そして、固相金属をリボン状とすることにより、この固相金属を液相金属に入れた際に、この液相金属に固相金属が効率良く溶けるので、この液相金属の急速な冷却をより効率良くできる。
請求項記載の固液共存状態金属スラリ製造方法は、請求項1または2記載の固液共存状態金属スラリ製造方法において、固相金属は、ワイヤ状であるものである。
そして、固相金属をワイヤ状とすることにより、この固相金属を液相金属に入れた際に、この液相金属中に固相金属が効率良く溶けるので、この液相金属の急速な冷却をより効率良くできる。
請求項記載の固液共存状態金属スラリ製造方法は、請求項1ないしいずれか記載の固液共存状態金属スラリ製造方法において、液相金属中に固相金属を入れた状態で、この固相金属を振動させるものである。
そして、液相金属中に固相金属を入れた状態で振動させることにより、この液相金属と固相金属との接触熱伝達がより大きくなる。したがって、この固相金属を液相金属により速く溶かすことができるので、この液相金属をより急速に冷却できる。
請求項記載の固液共存状態金属スラリの製造方法は、請求項1ないし4いずれか記載の固液共存状態金属スラリの製造方法において、液相金属に電磁気場を印加しつつ、この液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリを製造するものである。
そして、液相金属に電磁気場を印加しつつ、この液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリを製造することにより、この液相金属から固液共存状態金属スラリをより効率良く製造できる。
請求項記載の固液共存状態金属スラリ製造装置は、液相金属が注湯される注湯部と、前記液相金属から製造された固液共存状態金属スラリを冷却した固相金属が取り付けられ、この固相金属を前記注湯部に注湯された前記液相金属中に入れて、この固相金属を前記液相金属に溶かして、前記液相金属を冷却して固液金属状態金属スラリとさせる搬送手段とを具備したものである。
そして、注湯部に注湯された液相金属に、この液相金属から製造される固液金属状態金属スラリを冷却した固相金属を搬送手段にて入れて、この固相金属を液相金属中に溶かして、この液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリとする。この結果、この固相金属が溶けた液相金属の組成が変化することなく、この固相金属が液相金属に溶ける際の比熱の約400倍の溶融潜熱によって、この液相金属から熱を奪うことができるので、この液相金属を急速に冷却できる。したがって、この液相金属を冷却して製造された固液共存金属スラリの組成を余り変化させることなく、この固液共存状態金属スラリを効率良く製造できる。また、固相金属が入れられて溶けた後の液相金属中に固相金属が完全に溶けなくても、この液相金属の組成が変化しないので、この液相金属の急速な冷却を効率良くできる。
請求項1記載の固液共存状態金属スラリ製造方法によれば、液相金属から製造される固液金属状態金属スラリを冷却した固相金属を液相金属に溶かして、この液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリとすることにより、この固相金属が溶けた液相金属の組成が変することなく、この固相金属が液相金属中に溶ける際の潜熱によって、この液相金属を急速に冷却できるから、固液共存状態金属スラリを効率良く製造できる。また、固相金属が入れられて溶けた後の液相金属中に固相金属が完全に溶けなくても、この液相金属の組成が変化しないので、この液相金属の急速な冷却を効率良くできる。
請求項記載の固液共存状態金属スラリ製造方法によれば、請求項1記載の固液共存状態金属スラリ製造方法の効果に加え、リボン状の固相金属を液相金属に入れると、この液相金属に固相金属を効率良く溶かすことができるので、この液相金属の急速な冷却をより効率良くできる。
請求項記載の固液共存状態金属スラリ製造方法によれば、請求項1または2記載の固液共存状態金属スラリ製造方法の効果に加え、ワイヤ状の固相金属を液相金属に入れると、この液相金属に固相金属を効率良く溶かすことができるので、この液相金属の急速な冷却をより効率良くできる。
請求項記載の固液共存状態金属スラリ製造方法によれば、請求項1ないしいずれか記載の固液共存状態金属スラリ製造方法の効果に加え、液相金属中に固相金属を入れた状態で振動させることにより、この液相金属と固相金属との接触熱伝達をより大きくでき、この固相金属を液相金属により速く溶かすことができるから、この液相金属をより急速に冷却できる。
請求項記載の固液共存状態金属スラリの製造方法によれば、請求項1ないし4いずれか記載の固液共存状態金属スラリの製造方法の効果に加え、液相金属に電磁気場を印加しつつ、この液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリとするので、この液相金属から固液共存状態金属スラリをより効率良く製造できる。
請求項記載の固液共存状態金属スラリ製造装置によれば、注湯部に注湯された液相金属に、この液相金属から製造される固液金属状態金属スラリを冷却した固相金属を搬送手段にて入れて、この固相金属を液相金属に溶かして、この液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリとすることにより、この固相金属が溶けた液相金属の組成を変化させることなく、この固相金属が液相金属に溶ける際の潜熱によって、この液相金属を急速に冷却できるから、固液共存状態金属スラリを効率良く製造できる。また、固相金属が入れられて溶けた後の液相金属中に固相金属が完全に溶けなくても、この液相金属の組成が変化しないので、この液相金属の急速な冷却を効率良くできる。
以下、本発明の第1の実施の形態の固液共存状態金属スラリの製造方法を図1ないし図4を参照して説明する。
まず、Sは固液共存状態金属スラリとしての半凝固金属スラリで、この半凝固金属スラリSは、注湯工程にてスラリ製造容器2に溶融金属Mを注湯する前に電磁気場で攪拌する。すなわち、注湯工程にてスラリ製造容器2に溶融金属Mを注湯する前、注湯工程にてスラリ製造容器2に溶融金属Mの注湯を開始すると同時に、印加工程での電磁気場による攪拌によって、初期樹枝状組織の生成を遮断する。
すなわち、スラリ製造容器2に溶融金属Mを注入する前から電磁気場を印加して、このスラリ製造容器2に注湯された溶融金属Mを電磁攪拌することによって、この溶融金属M中に初期凝固層および樹枝状結晶の生成を遮断する。具体的に、この印加工程での電磁気場による攪拌は、所定の空間部13に溶融金属Mが注湯されずに空いているスラリ製造容器2を配置工程として配置させ、このようにスラリ製造容器2が空いている状態で、印加工程として空間部13に電磁気場を印加して溶融金属Mを注湯する。この時、電磁気場の印加は溶融金属Mを攪拌できる程度の強度でなされる。
この後、図4に示すように、注湯工程として溶融金属Mを注湯温度Tでスラリ製造容器2に注湯する。このとき、このスラリ製造容器2には電磁気場が印加されて溶融金属Mの攪拌が実施され得る状態とされている。この際、溶融金属Mの注湯と同時に電磁気場の攪拌を開始して実施できる。すなわち、空間部13にスラリ製造容器2を配置する段階である配置工程は、空間部13に電磁気場が印加された後にもできる。
このように、スラリ製造容器2への溶融金属Mの注湯が完了する前に電磁気場を印加することによって、溶融金属Mが低温のスラリ製造容器2の内壁で初期凝固層が形成されず、これにより樹枝状組織に成長することもない。すなわち、電磁気場をスラリ製造容器2に印加させた状態で溶融金属Mを、このスラリ製造容器2内に注湯することによって、溶融金属Mが注湯されたスラリ製造容器2の壁面部と中心部、上部と下部間に温度差がほとんどない。したがって、従来の技術で発生するスラリ注湯容器壁面付近での初期凝固が起きず、スラリ製造容器2内の溶融金属Mの全体が均一に液相線温度直下に急速に冷却されて多数の結晶核を同時に発生できるからである。このため、このスラリ製造容器2内の溶融金属M全体に亘って微細な結晶核が同時に発生し、この溶融金属M全体が均一に液相線温度直下に急速に冷却させて多数の結晶核が同時に発生する。
これは、このスラリ製造容器2に溶融金属Mを注湯する前から、または注湯と同時に電磁気場を印加することによって活発な初期攪拌作用により内部の溶融金属Mと表面の溶融金属Mとがよく攪拌されて溶融金属M内での熱伝逹が速く、スラリ製造容器2の内壁での初期凝固層形成が抑制されるからである。
このとき、スラリ製造容器2に溶融金属Mを注湯する前の段階で、このスラリ製造容器2に電磁気場の印加を予め開始させて、この電磁気場の印加を継続することによって、このスラリ製造容器2内に溶融金属Mを注湯した際に、このスラリ製造容器2の内面に溶融金属Mが付着することを防止できる。
すなわち、溶融金属Mの注湯の際に予め電磁気場を発生させておくことにより、スラリ製造容器2内に注湯された溶融金属Mに対して電磁気場特有の磁気浮遊が生じる。したがって、スラリ製造容器2の内面に溶融金属Mが接触しない状態、すなわちスラリ製造容器2の内面から溶融金属Mが浮遊した状態で、この溶融金属Mが攪拌される。このため、スラリ製造容器2の内面に溶融金属Mが接触しにくい状態で、この溶融金属Mを電磁攪拌できる。
また、よく攪拌されている溶融金属Mと低温のスラリ製造容器2の内壁との対流熱伝逹が増加して溶融金属M全体の温度を急速に冷却させる。すなわち、注湯された溶融金属Mが注湯と同時に電磁気場の攪拌により分散粒子に分散され、この分散粒子が結晶核としてスラリ製造容器2内に均一に分布され、これによりスラリ製造容器2全体に亘って温度差が発生しなくなる。これに対し、上述の従来の技術によれば、注湯された溶融金属が低温のスラリ製造容器の内壁と接触して急速な対流熱伝逹により初期凝固層での樹枝状結晶に成長する。
そして、このような原理は凝固潜熱と関連して説明できる。すなわち、スラリ製造容器2の壁面で溶融金属Mの初期凝固が発生しないので、それ以上凝固潜熱が発生せず、これにより溶融金属Mの冷却は単に溶融金属Mの比熱(凝固潜熱の1/400程度に過ぎない)に該当する程度の熱量の放出だけで可能になる。
したがって、従来の技術においてスラリ製造容器の壁面部でよく発生する初期凝固層である樹枝状結晶が形成されずに、スラリ製造容器2内の溶融金属Mがスラリ製造容器2の壁面から中心部にわたって全体的に均一にかつ急速に温度が下がる様子を示す。このときの温度を下げるのに必要な時間は溶融金属Mの注湯後約1秒以上10秒以下程度の短い時間にすぎない。これにより、多数の結晶核がスラリ製造容器2内の溶融金属M全体にわたって均一に生成され、結晶核生成密度の増加によって結晶核間の距離は非常に短くなって樹枝状結晶が形成されずに独立的に成長して球状粒子を形成する。
これは溶融金属Mが注湯される最中に電磁気場が印加される場合にも同じである。すなわち、スラリ製造容器2の内壁面において初期凝固層は、注湯される過程での電磁気場攪拌により形成されなくなる。
このとき、溶融金属Mの注湯温度Tは液相線温度より高く、液相線+100℃より低いの温度(溶湯過熱度=0℃以上100℃以下)に維持されることが望ましい。上述のように、溶融金属Mが入っているスラリ製造容器2の内部全体が均一に冷却されるので、このスラリ製造容器2に溶融金属Mを注湯する前に液相線温度付近まで冷却する必要がなく、液相線温度より100℃程度の高い温度を維持してもよいからである。
一方、溶融金属をスラリ製造容器に注湯した後、溶融金属の一部が液相線以下になる時点でスラリ製造容器に電磁気場を印加する従来の方法によれば、スラリ製造容器の壁面に初期凝固層が形成されながら凝固潜熱が発生するが、凝固潜熱は比熱の約400倍であるため、スラリ製造容器全体の溶融金属の温度が下がるには長時間がかかる。したがって、このような従来の方法では、液相線程度または液相線より約50℃高い温度まで溶融金属の温度を冷却させた後、スラリ製造容器に注湯することが一般的であった。
また、電磁気場による攪拌は、図4に示すように、スラリ製造容器2内の溶融金属Mが少なくとも一部分でも、溶融金属Mの温度が液状線温度T以下に下がった時、すなわち、この溶融金属Mの固相率が約0.001で所定の結晶核でも生成された後ならいつ終了しても問題にならない。言い換えると、この電磁気場による攪拌を終了する時点は、スラリ製造容器2内の溶融金属Mの温度が液相線付近に至った時点である。さらに、この電磁気場攪拌を終了する時点は、スラリ製造容器2内の溶融金属M中に結晶核が均一に生成された時点である。
ここで、溶融金属Mから半凝固金属スラリSを製造する際の核生成密度は、溶融金属Mとして使用される合金系によらず、この溶融金属Mの固相率が0.0001(10−4)以上となった時点で、すべての合金系における結晶核生成が完了する。また、溶融金属Mの固相率を0.0001の単位まで計測するのは容易ではない。工業的に利用し得る半凝固金属スラリSを製造する目的で、この半凝固金属スラリSの原料として用いられる溶融金属Mの結晶核生成を確実に終了させるためには、この溶融金属Mの固相率を0.0001とする必要はなく、0.001以上で充分であり、生産性の観点から0.001以上とすることがより好ましい。
すなわち、溶融金属M中にいかに結晶核生成の核を増加させるかについては、この溶融金属M中に結晶核生成が生じる間だけ、この溶融金属Mに電磁気場を印加するだけで足りる。したがって、この溶融金属Mに電磁気場をより長時間印加して、この溶融金属Mの固相率を0.001以上としても半凝固金属スラリSを製造できる。ところが、この溶融金属Mの固相率が0.1以上になった状態でも電磁気場を印加し続けるのは、エネルギ効率面で望ましくなく、製造される半凝固金属スラリSの凝固組織が粗大化され、かつ工程時間が伸びるために望ましくないからである。
さらに、スラリ製造容器2に溶融金属Mを注湯してこの溶融金属Mを冷却させる段階まで電磁気場を印加して後続の加圧する段階、例えばダイカスト工程や熱間鍛造工程などの成形工程前に電磁気場攪拌を停止させてもよい。これは既にスラリ製造容器2のスラリ製造領域T全体に亘って結晶核が均一に分布しているために、この結晶核を中心として結晶粒が成長する段階での電磁気場攪拌は製造される半凝固金属スラリSの特性に影響を及ぼさないからである。
したがって、上記電磁気場攪拌は、少なくとも溶融金属Mの固相率が0.001以上0.7以下になるまで持続させる。言い換えると、この電磁気場攪拌は、溶融金属Mの固相率が0.001以上0.7以下となった時点で、この溶融金属Mが注湯されたスラリ製造容器2に対する電磁気場の印加が終了される。ただし、上記電磁気場攪拌の持続時間は、エネルギ効率面を考えれば、少なくともスラリ製造容器2内の溶融金属Mの固相率が0.001以上0.4以下になるまで持続させ、さらに望ましくは溶融金属Mの固相率が0.001以上0.1以下になるまで持続させる。
よって、電磁気場による攪拌を加えた後にはスラリ製造容器2を電磁気場が印加されている空間部13の外側へ移送させて後続工程に連係させる。すなわち、後続工程であるダイカスト工程や、熱間鍛造工程またはビレット製造工程に移して成形することである。このようなスラリ製造容器2の移送は、電磁気場の終了とは関係なく進行できる。具体的には、電磁気場の印加を終了した後でスラリ製造容器2を移送し、空間部13に電磁気場が印加されている状態でこの空間部13の外側にスラリ製造容器2を移送して離脱させる。
一方、スラリ製造容器2への溶融金属Mの注湯が完了する前に電磁気場を印加して、均一な分布の結晶核を形成した後、冷却工程としてスラリ製造容器2内の溶融金属Mを冷却して生成された結晶核の成長を加速させる。この冷却工程は、スラリ製造容器2に溶融金属Mを注湯するときからしてもよい。また、この冷却工程の間にも電磁気場を持続的に印加させてもよい。よって、この冷却工程は、スラリ製造容器2に電磁気場が印加される間にしてもよい。これにより、スラリ製造容器2で半凝固状態の半凝固金属スラリSを製造した後、これを直ちに後続工程である成形工程で使用できる。なお、このような冷却工程は、スラリ製造容器2内の溶融金属M中に、この溶融金属Mに等しい組成、例えば球状の組織構造の細長リボン状の固相金属である金属リボンRを所定量挿入して、この金属リボンRを溶融金属M中に溶かす、すなわち溶融させて冷却させるが、別途の温度調節装置にてしたり、自然的に空冷させたりしてもよい。
さらに、この冷却工程は、後続工程としての加圧工程などの成形工程前まで持続できる。すなわち、溶融金属Mが0.1以上0.7以下の固相率に到達する時点tまで冷却工程を維持させる。具体的に、半凝固金属スラリSが鋳込まれて製造される製品の肉厚が薄く形状が複雑な場合には、実験的に、溶融金属Mの固相率が0.1となるまで冷却して、この溶融金属Mをより液状にして、半凝固金属スラリSが鋳型内で凝固するまでの時間を長くし、この半凝固金属スラリSの鋳型への流れ込み速度を速くする必要があるからである。
これに対し、この半凝固金属スラリSが鋳込まれて製造される製品の肉厚が厚く形状が単純な場合には、実験的に、溶融金属Mの固相率が0.7となるまで冷却して、この溶融金属Mをより固状にし、半凝固金属スラリSが鋳型内で凝固するまでの時間を短くして、この半凝固金属スラリSの流れ込み速度を遅くしても問題がないからである。
この結果、半凝固金属スラリSの製造に用いる溶融金属Mの固相率を0.1以上0.7以下にすれば、この溶融金属Mとして用いられる合金系に関わらず、この溶融金属Mから製造された半凝固金属スラリSにより、あらゆる形状のダイキャスト製品を製造できる。また、溶融金属Mのスラリ製造容器2内への注湯時点から固相率0.1以上0.7以下の半凝固金属スラリSへと形成される時点までの所要時間が30秒以上60秒以下にすぎない。したがって、溶融金属Mから半凝固金属スラリSを60秒内、すなわち1分以内に製造するためには、この溶融金属Mの固相率が0.1以上0.7以下となるまで冷却すればよい。
このとき、この溶融金属Mの冷却速度は0.2℃/sec以上5.0℃/sec以下程度とするが、より好ましくは、結晶核の分布度および粒子の微細度によって0.2℃/sec以上2.0℃/sec以下にする。これは、溶融金属Mに電磁気場を印加して半凝固金属スラリSを製造する場合には、結晶核の分布度および粒子の微細度などの観点から、電磁気場を印加して結晶核生成が終了した溶融金属Mを、少なくとも0.2℃/sec以上の冷却速度で冷却する必要があるからである。
すなわち、この溶融金属Mの冷却速度を0.2℃/sec以下にした場合には、この溶融金属M中の結晶核が成長し過ぎて大きくなり過ぎてしまい、この溶融金属Mから半凝固金属スラリSを製造する際に必要な時間が長くなるので、この溶融金属Mから製造される半凝固金属スラリSの生産性および機械的な性質が低下してしまう。このため、この溶融金属Mの冷却速度を少なくとも0.2℃/sec以上にする必要があるとともに、この溶融金属Mの冷却速度は、基本的に速ければ速いほど半凝固金属スラリSの製造に必要な時間を短縮でき、エネルギ効率を向上できるので好ましい。
ところが、この溶融金属Mの冷却速度を5℃/sec以上にすると、この溶融金属Mを冷却する際に、この溶融金属M中に樹枝状結晶が形成されてデンドライト化して凝固してしまう。また、この溶融金属M中に形成された結晶核間の距離が大きい場合には、この溶融金属Mを0.2℃/sec程度の比較的ゆっくりとした速度で冷却することにより、この溶融金属M中の結晶核を大きく成長できる。これに対し、この溶融金属M中に形成された結晶核間の距離が小さい場合には、この溶融金属M中の結晶核を余り大きく成長させる必要がないので、この溶融金属Mを5℃/sec程度の比較的速い速度で冷却することが好ましい。
さらに、この溶融金属Mが注湯されるスラリ製造容器2の断面積が大きい場合には、この溶融金属Mを0.2℃/sec程度の比較的ゆっくりとした速度で冷却することが好ましい。これに対し、溶融金属Mが注湯されるスラリ製造容器2の断面積が小さい場合には、この溶融金属Mを5℃/sec程度の比較的速い速度で冷却しても、溶融金属M中の結晶核を十分に成長できる。
ここで、スラリ製造容器2に注湯した溶融金属M中での結晶核の生成は、このスラリ製造容器2に注湯する際の溶融金属Mの温度、すなわち注湯温度に依存する。なお、この注湯温度としては、溶融金属Mの液相線温度+100℃のように、この液相線温度からどの程度加熱したかを示す加熱度によって示すことができる。そして、この加熱度は、溶融金属Mをスラリ製造容器2に注湯してから、この溶融金属M中に結晶核が生成されるまでの段階に重要な影響を及ぼす。
これに対し、溶融金属M中に結晶核を生成させた後から、鋳込んだ半凝固金属スラリSの凝固が完了するまでの結晶成長は、この溶融金属Mから製造された半凝固金属スラリSを鋳込んで製造される製品の肉厚が重要な影響を及ぼす。したがって、電磁気場を印加して結晶核生成が終了した後に、この結晶核を成長させる際の溶融金属Mの冷却速度は、この溶融金属Mをスラリ製造容器2に注湯する前の結晶核を生成するための溶融金属Mの加熱度と、この溶融金属Mから形成された半凝固金属スラリSから製造される製品の肉厚とのそれぞれに依存する。すなわち、溶融金属Mの加熱度が一定で製品の肉厚が決まれば、鋳込んだ半凝固金属スラリSの冷却速度が自然に決まる。
ここで、溶融金属Mの加熱度が高い場合には、この溶融金属M中に生成される結晶核の数、すなわち核生成数が減少するので、この溶融金属Mの冷却速度を遅くする必要がある。また、この溶融金属Mの加熱度が低い場合には、この溶融金属M中に生成される核生成数が増加するので、この溶融金属Mの冷却速度を速くできるから、この溶融金属Mから製造される半凝固金属スラリSの粒子の細微化が可能となる。
したがって、この溶融金属Mの冷却速度を0.2℃/sec以上5℃/sec以下とし、この溶融金属Mをスラリ製造容器2に注湯する時の温度を、この溶融金属Mの液相線+100℃より低くすれば、鋳物産業において使用し得る範囲で、かつ所定の固相率を有する半凝固状態の半凝固金属スラリSを製造でき、これを直ちに加圧することによりダイキャスト工程や押圧成形、プレス成形などをして所定の成形品に成形する。
このとき、この半凝固金属スラリSを製造する時間を顕著に短縮できるが、溶融金属Mのスラリ製造容器2への注湯時点から固相率0.1以上0.7以下の金属スラリ形態の金属材料に形成される時点までかかる時間は30秒以上60秒以下にすぎない。これにより製造された半凝固金属スラリSを使用して製品を成形すれば均一でかつ緻密な球状の結晶構造を得ることができる。
次に、上記半凝固金属スラリの製造方法を用いた半凝固金属スラリ製造装置を説明する。
図1ないし図3に示す半凝固金属スラリ製造装置は、いわゆるバッチ式であり、電磁気場を印加する攪拌手段としての円筒状の攪拌部1を備えている。そして、この攪拌部1の内側には、空間部13が設けられている。さらに、この攪拌部1は、空間部13を包むように設けられた電磁気場印加用コイル装置11を備えている。また、この攪拌部1の空間部13には、少なくとも一つの有底円筒状の注湯部であるスラリ製造容器2が取出可能であるとともに収容可能に取り付けられている。また、このスラリ製造容器2は、駆動部3にて昇降可能である。このスラリ製造容器2内には、注湯部としての注入部である注湯容器4にて所定の組成を有する液状の液相金属である溶融金属Mが注湯される。そして、これら攪拌部1および駆動部3のそれぞれは、制御手段としての電磁気場印加調整部である制御部5にて制御される。
また、攪拌部1は、中空な支持フレームとしてのベースプレート14の上部に設けられている。このベースプレート14は、地面から所定の高さとなるように支持部材15により支持されて取り付けられている。また、このベースプレート14の上部には、このベースプレート14の中心に開口された開口部14aを中心として電磁気場印加用コイル装置11が取り付けられている。この電磁気場印加用コイル装置11は、内側に空間部13を有する所定のフレーム12にて支持されている。また、この電磁気場印加用コイル装置11は、制御部5と電気的に連結されており、空間部13に向けて所定時間電磁気場を印加し、空間部13に収容されるスラリ製造容器2内の溶融金属Mを電磁気攪拌する。なお、攪拌部1は、図示しない超音波攪拌装置でもよい。
次いで、スラリ製造容器2は、このスラリ製造容器2の周面を構成する円筒状の容器本体22を備えている。この容器本体22の内周面は、この容器本体22の底面側から表面側に向けて拡径したテーパ状に形成されている。また、この容器本体22の底部には、この底部を閉塞する円盤状の底板部23が一体的に取り付けられている。さらに、スラリ製造容器2は、金属材または絶縁性素材である非磁性材にて成形されており、攪拌部1の空間部13に収容可能な程度の大きさである。
そして、このスラリ製造容器2は、このスラリ製造容器2自体の融点が、内部に収容される溶融金属Mの温度よりも高いものを使用することが望ましい。さらに、このスラリ製造容器2の底板部23の外周縁には、このスラリ製造容器2が移動しないように段差部21が周方向に沿って形成されている。そして、このスラリ製造容器2には図示しない別の熱電対が内蔵されており、この熱電対は制御部5に連結されて温度情報が制御部5に送出されるように構成されている。
ここで、このスラリ製造容器2は、単に溶融金属Mを収容できるように形成してもよいが、このスラリ製造容器2内に図示しない温度調節手段としての第1の温度調節装置を取り付けてもよい。このとき、この第1の温度調節装置としては、冷却手段としての冷却装置と、加熱手段としての加熱装置とを備えている。そして、冷却装置としては、スラリ製造容器2の容器本体22内に図示しない冷却水パイプを内設させて構成させる。さらに、加熱装置としては、容器本体22の外側に図示しない電熱コイルによる電気ヒータなどのヒータ装置を取り付けて構成させる。なお、冷却装置として冷却水パイプを容器本体22の外側にウォータジャケット状に別途取り付けることもできる。これら冷却水パイプおよびヒータ装置は、単独または複合的にスラリ製造容器2に装着でき、このスラリ製造容器2内に収容された溶融金属Mを適正な速度で冷却できるように構成される。
一方、スラリ製造容器2を昇降運動させる駆動部3は、空間部13内にスラリ製造容器2を収容し、また空間部13の外側に離脱させる。さらに、この駆動部3は図示しない駆動モータおよびギア装置または油圧シリンダを備えている。より具体的に、この駆動部3は、制御部5に電気的に連結された動力装置31を備えており、この動力装置31から空間部13の内側に延び、動力装置31により直線往復運動するピストン32が取り付けられている。また、このピストン32の端部には、空間部13の内側に位置する安着台33が連結されている。この安着台33には、スラリ製造容器2が設置されて安着されて取り付けられている。
さらに、注湯容器4は、スラリ製造容器2が駆動部3により上昇されて電磁気場が印加されている空間部13に収容された時にスラリ製造容器2に液相の溶融金属Mを注湯する。また、この注湯容器4としては、制御部5に電気的に連結された通常のラドル(ladle)が使われる。
そして、駆動部3の安着台33の上方には、この安着台33に設置されたスラリ製造容器2内の溶融金属M中に、細長く薄いリボン状の固状の固相金属である金属リボンRを挿入させる搬送手段としてのロボットである搬送部6が取り付けられている。この搬送部6は、安着台33に設置されたスラリ製造容器2内の溶融金属M中に向けて金属リボンRを上下方向に沿って昇降させて、この金属リボンRの先端側の所定量をスラリ製造容器2内の溶融金属M中に入れて溶融させて、この金属リボンRが溶融金属M内で溶融する際の溶融潜熱を利用して、この溶融金属Mを急速に冷却させる。
言い換えると、この搬送部6は、金属リボンRを所定量下ろして、この金属リボンRの先端側の所定量を溶融金属M中に入れ、この金属リボンRが予め定めた長さになったところで、この金属リボンRを上方に向けて移動させる。
具体的に、この搬送部6の下端側には、金属リボンRの先端側を下方に向けて突出させて垂らした状態で、この金属リボンRの基端側が接続されている。そして、この搬送部6は、制御部5に接続されており、この制御部5によって駆動が制御されている。したがって、この制御部5による搬送部6の制御によって、この搬送部6を下方に向けて所定距離移動させて、この搬送部6に取り付けられた金属リボンRの先端側の所定量をスラリ製造容器2内の溶融金属M中に挿入させて溶融させる。
さらに、この制御部5は、搬送部6に取り付けられた金属リボンRの先端側の所定量がスラリ製造容器2内の溶融金属M中に挿入されて溶融され、この金属リボンRが所定の長さになった後に、この搬送部6を上方に向けて移動させて、金属リボンRの溶融金属M中への溶融量を調整する。
このとき、この搬送部6は、所定の長さほど突出させた金属リボンRの先端側の所定量を溶融金属M中に挿入させて溶融させてから、この搬送部6を上方に向けて移動させた後に、金属リボンRが所定の長さになるまで、この金属リボンRを自動的に送り出す構成とすることもできる。また、この搬送部6は、この搬送部6自体が昇降するのではなく、金属リボンRを送り出して、この金属リボンRの先端側の所定量を溶融金属M中に挿入させて溶融させる構成とすることもできる。
ここで、この金属リボンRとしては、リボン状だけではなく、溶融金属Mに入れた際に瞬時に溶ける形状、例えば細長いワイヤ状の金属ワイヤや、薄い板状の金属板、細長い金属棒などのいずれとしてもよい。そして、この金属リボンRは、必ずしも溶融金属Mと同じ組織あるいは組成ではなく、この溶融金属Mと似た組成の固相金属であってもよい。なお、この溶湯金属Mと似た組成とは、この溶融金属Mの主成分、例えば溶融金属がアルミニウム合金の場合にはアルミニウムを主成分として含有している場合や、この溶湯金属Mがアルミニウム合金の場合に対しては、アルミニウムを中心とした組成の合金、例えばアルミ−チタン−ボロン(Al−Ti−B)のような結晶粒微細化用の合金である微細化剤などである。
さらに、金属リボンRは、溶融金属Mと等しい組成、すなわち同素材にて構成されている。また、この金属リボンRは、樹枝状結晶であるデンドライト状の固体金属や、通常の固体金属であってもよいが、好ましくは溶融金属Mから製造される半凝固金属スラリSと同様の組織構造である固液共存状態、すなわち半凝固状態である半凝固金属スラリSを冷却して製造された球状の組成を有する固液共存状態金属材料としての半凝固金属材料であるビレットにて製造されている。
なお、この金属リボンRを、アルミニウム合金で構成した場合には、このアルミニウム合金の凝固潜熱が約95kcal/g℃で、比熱が約0.25kcal/g℃である。したがって、例えば400gのアルミニウム合金を溶融させた溶融金属M中に、1gのアルミニウム合金である金属リボンRを挿入して溶融させると、この金属リボンRの溶融潜熱によって、(1g×95kcal/g℃)/(400g×0.25kcal/g℃)=0.95℃、すなわち溶融金属Mの温度が約1℃ほど低下する。
同様に、100gのアルミニウム合金の溶融金属M中に、1gのアルミニウム合金の金属リボンRを挿入して溶融させた場合には、この金属リボンRの溶融潜熱によって、(1g×95kcal/g℃)/(100g×0.25kcal/g℃)=3.8℃、すなわち溶融金属Mの温度が約4℃ほど低下する。さらに、100gのアルミニウム合金の溶融金属M中に、2.6gのアルミニウム合金の金属リボンRを挿入して溶融させた場合には、この金属リボンRの溶融潜熱によって、(2.6g×95kcal/g℃)/(100g×0.25kcal/g℃)=9.88℃、すなわち溶融金属Mの温度が約10℃ほど低下する。具体的に、溶融金属Mを冷却して半凝固金属スラリSとするためには、この溶融金属Mを4,5℃程度低下させればよい。
次に、この金属リボンを製造する固液共存状態金属材料の製造装置の構成を図5ないし図11を参照して説明する。
図5ないし図11に示す固液共存状態金属材料の製造装置である半凝固成形装置は、いわゆるバッチ式であり、電磁気場を印加する攪拌部41と細長円筒状の筒状部としてのスリーブ42とを備えている。このスリーブ42は、圧送部としての第1の筒状部である射出用の第1のスリーブ43と、注湯部としての第2の筒状部であるEMS用の第2のスリーブ44とによって軸方向に沿った中央部が分割されて構成されている。
ここで、この第2のスリーブ44は、両端が開放されて開口された細長円筒状であり、上下方向に沿った軸方向を有する状態から、水平方向に沿った軸方向を有する状態となるように回動可能に設置されている。また、この第2のスリーブ44は、この軸方向に沿った一端である上端となる注湯口45と、この注湯口45に対向した他端である下端となるスラリ排出口46とのそれぞれが同心状に連通した状態で開口している。そして、この第2のスリーブ44は、注湯口45から溶融金属Mが注湯されて、この溶融金属Mが内部に収容されて受容できるように構成されている。
また、この第2のスリーブ44は、この第2のスリーブ44の内部に注湯した溶融金属Mから製造された半凝固金属スラリSがスラリ排出口46から排出される。さらに、この第2のスリーブ44の周面部は、この第2のスリーブ44に溶融金属Mを注湯させる側である注湯口45側からスラリ排出口46側に向けて徐々に拡開したテーパ状に形成されている。言い換えると、この第2のスリーブ44の周面部は、この第2のスリーブ44の一端側から他端側に向かう方向である、半凝固金属スラリSの排出方向に向けて内径寸法が徐々に大きくなるように拡径している。
さらに、この第2のスリーブ44の周辺部には、この第2のスリーブ44内に注湯された溶融金属Mに電磁気場を印加する攪拌手段としての円筒状の攪拌部41が設置されている。この攪拌部41は、第2のスリーブ44とともに回動できるように、この第2のスリーブ44に固定されている。
また、この第2のスリーブ44のスラリ排出口46には、開閉手段としての蓋体である円形平板状の開閉型のストッパ47が取り付けられている。このストッパ47は、図示しない駆動装置に接続されており、第2のスリーブ44と同じ材質にて形成されている。また、このストッパ47は、図5および図7に示すように、第2のスリーブ44の注湯口45を上方に向けた状態で、この第2のスリーブ44のスラリ排出口46を開閉可能に閉塞して、この第2のスリーブ44内に溶融金属Mが注湯されるスラリ製造領域Tの閉塞部としての底部48を形成し、この第2のスリーブ44を容器状にする。
さらに、このストッパ47は、第2のスリーブ44を回動させて水平にした状態で、この第2のスリーブ44のスラリ排出口46を開放させて、この第2のスリーブ44内で形成された半凝固金属スラリSを第2のスリーブ44のスラリ排出口46から外部へと離脱させて排出させる。なお、このストッパ47としては、第2のスリーブ44の下端であるスラリ排出口46を開閉できれば、一側が第2のスリーブ44のスラリ排出口46の周縁に回動可能にヒンジ固定されたドア状や、中央部が分割されて両方向に開放される構成などであってもよい。
さらに、この第2のスリーブ44の外側には、図6に示すように、温度調節手段としての第2の温度調節装置51が取り付けられている。この第2の温度調節装置51は、第2のスリーブ44内の溶融金属M、あるいはこの第2のスリーブ44内で製造された半凝固金属スラリSを冷却する。また、この第2の温度調節装置51は、冷却水パイプ52が螺旋状に内蔵された円筒状の冷却手段としての冷却装置であるウォータジャケット53を備えている。
そして、このウォータジャケット53は、第2のスリーブ44の外側を取り囲むように、この第2のスリーブ44の外側に同心状に取り付けられている。ここで、このウォータジャケット53内の冷却水パイプ52を第2のスリーブ44内に埋設させてもよい。また、このような冷却水パイプ52以外でも第2のスリーブ44内の溶融金属Mや半凝固金属スラリSを冷却できればいかなる構成の冷却装置でもよい。
さらに、第2の温度調節装置51は、加熱手段としての加熱装置である電熱コイル54を備えている。この電熱コイル54は、ウォータジャケット53の外側を取り囲むように、このウォータジャケット53の外側に螺旋状に巻回された状態で同心状に取り付けられている。ここで、この電熱コイル54としては、この電熱コイル54以外のいかなる構成の加熱機構でもよい。
したがって、第2の温度調節装置51は、第2のスリーブ44内の溶融金属Mあるいは半凝固金属スラリSの温度を調節できる構造であればよい。また、この第2の温度調節装置51は、第2のスリーブ44内の溶融金属Mを適正な速度で冷却する。さらに、この第2の温度調節装置51は、第2のスリーブ44の全体に亘って設置できるが、この第2のスリーブ44内に溶融金属Mが収容されるスラリ製造領域Tの周囲のみに集中的に設置することもできる。なお、この第2の温度調節装置51を設けずに、第2のスリーブ44内の溶融金属Mを自然冷却させて、所望する固相率の半凝固金属スラリSを製造させてもよい。
具体的に、この第2の温度調節装置51は、図1ないし図4に示す半凝固金属スラリ製造装置と同様に、第2のスリーブ44内に収容された溶融金属Mを0.1以上0.7以下の固相率に到達するまで冷却する。また、この第2の温度調節装置51は、冷却速度が調節されて、第2のスリーブ44内の溶融金属Mを0.2℃/s以上5.0℃/s以下の冷却速度、より好ましくは0.2℃/s以上2.0℃/sの冷却速度で冷却させる。
このとき、この第2の温度調節装置51は、攪拌部41による電磁気場の攪拌が終了した後にすることもあり、電磁気場の攪拌とは関係なく、すなわち電磁気場の印加が持続されている間もできるとともに、第2のスリーブ44に溶融金属Mを注湯する段階からもできる。
一方、攪拌部41は、図1ないし図4に示す半凝固金属スラリ製造装置の攪拌部1と同様に構成されており、この攪拌部41の電磁気場印加用コイル装置11の内側に第2のスリーブ44が同心状に設置されている。ここで、この電磁気場印加用コイル装置11は、第2のスリーブ44の外側に密着させて結合させてもよい。そして、この電磁気場印加用コイル装置11は、第2のスリーブ44に注入される溶融金属Mを、この第2のスリーブ44に注入する段階から徹底的に攪拌させる。よって、この電磁気場印加用コイル装置11は、図8ないし図10に示すように、第2のスリーブ44の回動に連動して回動されるように構成されている。すなわち、この第2のスリーブ44に電磁気場印加用コイル装置11が固定されている。なお、この第2のスリーブ44だけが回動するように構成してもよい。
さらに、電磁気場印加用コイル装置11には、図1ないし図4に示す半凝固金属スラリ製造装置の制御部5と同様に構成された、電磁気場印加調整部55が電気的に連結されて接続されている。この電磁気場印加調整部55としては、制御装置が用いられており、電源の印加を決定する図示しないスイッチング手段や、電圧、周波数および電磁気力などを調節して印加される電磁気波を調節する電磁気波制御手段などを有している。すなわち、この電磁気場印加調整部55は、電磁気場の強度や作動時間などを調節する。
一方、第1のスリーブ43および第2のスリーブ44は、図5に示すように、対向する端部の一側が結合され、これら一側を中心として第2のスリーブ44の他端側が所定の角度θで下方に向けて回動できるように構成されている。ここで、この第2のスリーブ44の回動角度θは、90°以内にすることが望ましい。ここで、これら第1のスリーブ43および第2のスリーブ44は、金属材、絶縁性素材あるいは非磁性材にて構成されている。すなわち、これら第1のスリーブ43および第2のスリーブ44は、これら第1のスリーブ43および第2のスリーブ44自体の融点が収容される溶融金属Mの温度より高いものを使用することが望ましい。
特に、第2のスリーブ44は、この第2のスリーブ44内に注湯される溶融金属Mを急速に冷却できるように、伝導性に優れ、かつ磁性を有さない非磁性体としての非磁性材である金属などにて形成されている。すなわち、この第2のスリーブ44は、金属材あるいは絶縁性素材としての非磁性体である非磁性金属材料あるいは非磁性セラミック材料にて構成されている。
したがって、この第2のスリーブ44を非磁性体で構成したことにより、電磁気場の印加によって第2のスリーブ44自体が誘導加熱を起さず発熱しなくなるから、この第2のスリーブ44内に注湯した溶融金属Mを冷却させるのに有利であるので、この第2のスリーブ44内に溶融金属Mを注湯しているときから、この溶融金属Mを冷却できる。また、この第2のスリーブ44を非磁性金属材で形成する場合には、この第2のスリーブ44自体の融点が、この第2のスリーブ44内に収容される溶融金属Mの温度より高いものを使用することが望ましい。
なお、この第2のスリーブ44は、この第2のスリーブ44自体の温度を溶融金属Mの温度まで上昇させると、この第2のスリーブ44自体が溶けてしまうおそれがあるから、この第2のスリーブ44の温度を溶融金属Mの温度まで上昇させることができない。したがって、この第2のスリーブ44では、この第2のスリーブ44に溶融金属Mを注湯した直後に、この溶融金属Mに電磁気場を印加した場合には、第2のスリーブ44と溶融金属Mとの温度差が大きく、この溶融金属Mの第2のスリーブ44と接する部分周辺では瞬間的に樹枝状結晶が形成されてしまう。
一方、第1のスリーブ43は、地面に対して水平な軸方向を有するように配置されている。また、第2のスリーブ44は、第1のスリーブ43と結合される部分である他端側のスラリ排出口46側を中心に所定の角度θで回動可能に構成されている。さらに、この第2のスリーブ44は、この第2のスリーブ44内に注湯されて収容された溶融金属Mへの電磁攪拌によって半凝固金属スラリSを形成するスラリ製造領域Tを形成する。また、第1のスリーブ43は、第2のスリーブ44内で形成された半凝固金属スラリSを加圧して成形するための領域となる。
したがって、これら第1のスリーブ43および第2のスリーブ44は、電磁気場攪拌によって溶融金属Mから半凝固金属スラリSを製造するスラリ製造容器の機能と、製造された半凝固金属スラリSを加圧成型する成形枠としての機能とを兼ね備えている。ここで、これら第1のスリーブ43および第2のスリーブ44は、必ずしも両端が開放された構造でなくてもよく、相互に連結されて第2のスリーブ44内で製造された半凝固金属スラリSを第1のスリーブ43へと圧送して、この第1のスリーブ43から吐出できればよい。
具体的に、この第1のスリーブ43は、両端が開放されて開口された細長円筒状であり、水平方向に沿った軸方向を有する状態に設置されて固定されている。また、この第1のスリーブ43は、第2のスリーブ44と略同径に形成されている。そして、この第1のスリーブ43の軸方向に沿った一端側には、蓋体としてのキャップ体56が取り付けられている。このキャップ体56の中央部には、所定の形状に開口されたスラリ吐出口57が形成されている。このスラリ吐出口57は、第1のスリーブ43内から半凝固金属スラリSが抜け出るように構成されている。さらに、このスラリ吐出口57は、第2のスリーブ44に結合される側の反対側の端部に設けられている。
さらに、このスラリ吐出口57の下流側には、このスラリ吐出口57から吐出された半凝固金属スラリSを所定の形状の成形品である押出材を成形する成形部としての押出部61を備えた押出装置が配設されて取り付けられている。この押出部61は、この押出部61の構成によってスラリ吐出口57から吐出された半凝固金属スラリSの形状が決定される。ここで、この押出部61は、第2のスリーブ44におけるスラリ吐出口57の外側に位置して配設されている。
さらに、この押出部61は、第1のスリーブ43のスラリ吐出口57から吐出される半凝固金属スラリSを移送して搬送する移送手段としての移送ローラ62を備えている。この移送ローラ62の移送面63の上方には、第1のスリーブ43のスラリ吐出口57から吐出された半凝固金属スラリSを冷却する冷却手段としての複数の噴霧型の冷却装置64が取り付けられている。また、第1のスリーブ43のスラリ吐出口57の外側の上方には、このスラリ吐出口57から吐出された半凝固金属スラリSを所定の長さでカットして切断するカッタ65が上下動可能に設置されている。このカッタ65は、刃先を下方に向けて設置されており、スラリ吐出口57から半凝固金属スラリSが所定の長さ吐出された際に下方へと移動して、この半凝固金属スラリSを所定の長さで切断する。
したがって、押出部61は、移送ローラ62、冷却装置64およびカッタ65によって、第1のスリーブ43のスラリ吐出口57から押し出されて吐出された半凝固金属スラリSを移送させるとともに急冷させて所定の長さでカットして所定の形状の押出材である金属リボンRを成形させる。
よって、この第1のスリーブ43のスラリ吐出口57は、このスラリ吐出口57から吐出された半凝固金属スラリSが押出部61で搬送されるので、このスラリ吐出口57から吐出される半凝固金属スラリSの形状を決定させる。よって、このスラリ吐出口57は、押出部61によって形状が調節される。さらに、このスラリ吐出口57は、このスラリ吐出口57から押出されて吐出される金属リボンRの形状に対応しており、この金属リボンRが断面円形のワイヤ状の場合には円形状であり、この金属リボンRが細長リボン状の場合には細長溝状である。
一方、第1のスリーブ43のスラリ吐出口57に対向した軸方向に沿った他端側には、スラリ挿入口58が開口形成されている。これらスラリ吐出口57とスラリ挿入口58とは、同心状に連通している。さらに、このスラリ挿入口58は、第2のスリーブ44のスラリ排出口46に同心状に連通するように、このスラリ排出口46に等しい形状に形成されている。よって、第1のスリーブ43は、第2のスリーブ44内で製造された半凝固金属スラリSがスラリ挿入口58から挿入されてスラリ吐出口57から吐出させて排出させる。
すなわち、この第1のスリーブ43の周面部は、スラリ挿入口58側からスラリ吐出口57側に向けて徐々に拡開したテーパ状に形成されている。言い換えると、この第1のスリーブ43の周面部は、この第1のスリーブ43の他端側から一端側に向かう方向である、半凝固金属スラリSの排出方向に向けて内径寸法が徐々に大きくなるように拡径している。したがって、この第1のスリーブ43は、この第1のスリーブ43の内径が第2のスリーブ44の内径より大きい、すなわち(第1のスリーブ43の内径)≧(第2のスリーブ44の内径)の関係となるように構成されている。
また、この第1のスリーブ43の外側には、図5および図7ないし図11に示すように、温度調節手段としての第3の温度調節装置59が取り付けられている。この第3の温度調節装置59は、第2の温度調節装置51と同様に構成されている。よって、この第3の温度調節装置59は、第1のスリーブ43内の所定領域の温度を調整して、この第1のスリーブ43内の半凝固金属スラリSの温度を調節する。すなわち、この第3の温度調節装置59は、第1のスリーブ43内で押圧されて加圧される半凝固金属スラリSの急冷を防止する。したがって、この第3の温度調節装置59としては、所定の保温効果を有するものが望ましい。
一方、第2のスリーブ44の注湯口45には、押圧手段としての第1のプランジャ71が進退可能に挿入される。この第1のプランジャ71は、図示しない制御部にて制御される別途のシリンダ装置に連結され、互いに連通された第1のスリーブ43および第2のスリーブ44内をピストン往復動する。ここで、この第1のプランジャ71の先端面である押圧面72は、この第1のプランジャ71の移動方向に直交する平坦な平面とされている。
さらに、この第1のプランジャ71は、第2のスリーブ44内に半凝固金属スラリSが製造された状態で、この第2のスリーブ44の注湯口45から挿入されて、この第2のスリーブ44の一端側を閉塞する。さらに、この第1のプランジャ71は、第2のスリーブ44の注湯口45に挿入された状態で、この第2のスリーブ44とともに回動して、第2のスリーブ44の注湯口45からの半凝固金属スラリSの漏れを防止する。また、この第1のプランジャ71は、第2のスリーブ44のスラリ排出口46が第1のスリーブ43のスラリ挿入口58に連通され、これらスラリ排出口46とスラリ挿入口58との間がストッパ47にて開放された状態で、第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSを、第1のスリーブ43のスラリ吐出口57側に向けて押圧して圧送して、この半凝固金属スラリSをスラリ吐出口57から押出部61の移送ローラ62の移送面63上へと吐出させる。
言い換えると、この第1のプランジャ71は、第2のスリーブ44内に電磁気場が印加され、この第2のスリーブ44が冷却される間、すなわち第2のスリーブ44で溶融金属Mから半凝固金属スラリSを製造する間において、図5に示すように、第2のスリーブ44の注湯口45から外側に抜かれている。さらに、この第1のプランッジャ71は、第2のスリーブ44内で半凝固金属スラリSが形成された後に、図7に示すように、第2のスリーブ44の注湯口45から挿入されて、この第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSを押圧すべく駆動される。そして、この第1のプランジャ71は、第2のスリーブ44の回動に連動して回動して駆動し、この第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSを第1のスリーブ43側に向けて加圧して圧送させる。
なお、これら第1のスリーブ43および第2のスリーブ44には、図示しない熱電対を内蔵させるとともに、この熱電対を図示しない制御部に電気的に接続させて、これら第1のスリーブ43および第2のスリーブ44内の溶融金属Mあるいは半凝固金属スラリSなどの温度情報を制御部に送出させてもよい。ここで、第2のスリーブ44の注湯口45から溶融金属Mを注湯する際には、図1ないし図4に示す半凝固金属スラリ製造装置の注湯容器4が用いられる。そして、この注湯容器4としては、通常の鉢以外にも金属を溶融させた炉を直接連結されるなど、第2のスリーブ44に溶融金属Mを注湯できる構成であればよい。
次に、上記第1の実施の形態の作用を説明する。
まず、金属リボンの製造方法について説明すると、図5に示すように、第2のスリーブ44の注湯口45側を第1のスリーブ43に対して上方に向けて90゜回動させて、この第2のスリーブ44の注湯口45を上方に向けて開口させるとともに、この第2のスリーブ44のスラリ排出口46をストッパ47にて閉塞させて、この第2のスリーブ44の注湯口45から溶融金属Mを注湯できる容器形状にする。
この状態で、電磁気場印加調整部55にて攪拌部41の電磁気場印加用コイル装置11を可動させて、第2のスリーブ44内に注湯される溶融金属Mに初期凝固層あるいは樹枝状結晶が形成されない程度の電磁気場を第2のスリーブ44に印加させる。このとき、電磁気場印加用コイル装置11にて望ましくは250V、60Hzおよび500Gaussの電磁気場を印加させるが、この電磁気場の印加は状況によって適当に調節する。
この状態で、別途の炉で溶融された溶融金属Mを、注湯容器4にて移送して電磁気場の影響下にある第2のスリーブ44の注湯口45から、この第2のスリーブ44内に注湯する。ここで、この第2のスリーブ44内に溶融金属Mを注湯した際に、この溶融金属Mが第2のスリーブ44のスラリ排出口46とストッパ47との間から漏れ出ないように、この第2のスリーブ44内に注湯した溶融金属Mが瞬時に半凝固金属スラリSとなるとともに、この半凝固金属スラリSが第2のスリーブ44のスラリ排出口46とストッパ47との間から漏れ出さないように、この半凝固金属スラリSの固相率を比較的高くする。
このとき、図7に示すように、搬送部6を移動させて、この搬送部6に取り付けられた金属リボンRの先端側の所定量を、第2のスリーブ44内の溶融金属M中に入れて溶融させて、この溶融金属Mを急速に冷却させて半凝固金属スラリSとしてもよい。また、炉と第2のスリーブ44とを直接連結させて溶融金属Mを直ちに第2スリーブ44内に直接注湯してもよい。また、このときの溶融金属Mは、この溶融金属Mの液相線温度+100℃程度の温度としても良い。さらに、第2のスリーブ44には、別の図示しないガス供給管を連結させて、この第2のスリーブ44内に注湯される溶融金属Mの酸化を防止するために窒素ガス(N)やアルゴンガス(Ar)などの不活性ガスを注入してもよい。
このように、完全に溶融された溶融金属Mを電磁気場攪拌がなされている第2のスリーブ44内に注湯することにより、この第2のスリーブ44全体に亘って初期凝固層の形成なしに微細な再結晶粒子が分布し、この再結晶粒子が速く成長して樹枝状構造の生成が発生しなくなる。
このとき、電磁気場印加用コイル装置11による電磁気場の印加は、第2のスリーブ44内で製造された半凝固金属スラリSを第1のプランジャ71にて押圧するまで継続させるが、この半凝固金属スラリSとなる以前の溶融金属Mの固相率が少なくとも0.001以上0.7以下となるまで持続させて終了させる。
ただし、エネルギ効率次元で半凝固金属スラリSの製造過程まで電磁気場を攪拌するため、この電磁気場印加用コイル装置11による電磁気場の印加は、少なくとも溶融金属Mの固相率が少なくとも0.001以上0.4以下となるまで、より望ましくは、この溶融金属Mの固相率が0.001以上0.1以下となるまで持続させる。なお、この電磁気場印加用コイル装置11による電磁気場の印加を継続させる時間は、実験によって予め求めることができる。
さらに、この電磁気場印加用コイル装置11による電磁気場の印加を終了した後、あるいはこの電磁気場の印加を持続している間に、第2のスリーブ44内の溶融金属Mが0.1以上0.7以下の固相率に至るまで所定の冷却速度で第2の温度調節装置51あるいは金属リボンRの溶融にて冷却させる冷却段階を経て半凝固金属スラリSを製造する。
このとき、この第2のスリーブ44内の溶融金属Mの冷却速度は、第2の温度調節装置51あるいは金属リボンRの溶融によって0.2℃/sec以上5℃/sec以下、より望ましくは0.2℃/sec以上2℃/sec以下に調整される。ここで、第2のスリーブ44内の溶融金属Mの固相率が0.1以上0.7以下に至るまでの時間tは、実験によって予め求めることができる。
なお、第2のスリーブ44内の溶融金属Mから製造された半凝固金属スラリSは、第2のスリーブ44のスラリ排出口46を第1のスリーブ43のスラリ挿入口58に結合させた状態で、これらスラリ排出口46とスラリ挿入口58との間をストッパ47にて連通させた際に、これらスラリ排出口46とスラリ挿入口58との間から半凝固金属スラリSの一部が漏れ出ない程度の固相率を有している。
次いで、第2のスリーブ44内で半凝固金属スラリSを製造した後、図8に示すように、第2のスリーブ44の注湯口45から第1のプランジャ71が挿入された状態で、この第2のスリーブ44の注湯口45側を下方に向けて90゜回動させて、この第2のスリーブ44のスラリ排出口46を第1のスリーブ43のスラリ挿入口58にストッパ47を介して同心状に連結させて結合させる。
この後、ストッパ47を下方へと移動させて、第2のスリーブ44のスラリ排出口46を開放させ、このスラリ排出口46を第1のスリーブ43のスラリ挿入口58に同心状に連通させる。
この状態で、図9に示すように、第1のプランジャ71を第1のスリーブ43のスラリ吐出口57側に向けて移動させて、第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSを第2のスリーブ44内から第1のスリーブ43に圧送するとともに圧縮して、この半凝固金属スラリSを第1のスリーブ43のスラリ吐出口57から押出部61へと吐出させて排出させる。
このとき、第1のスリーブ43内で圧縮が進行している半凝固金属スラリSの温度が第3の温度調節装置59にて所定の温度に保持される。
そして、この第1のスリーブ43のスラリ吐出口57から吐出される半凝固金属スラリSは、押出部61の移送ローラ62の移送面63上へと吐出されて、この移送ローラ62にて移送されるとともに冷却装置64にて急冷される。
この後、図10に示すように、この押出部61の移送ローラ62にて移送され冷却装置64にて急冷された半凝固金属スラリSは、所定の長さでカッタ65にて切断されて所定の形状の金属リボンRとされてから、さらに移送ローラ62にて移送される。
そして、図11に示すように、金属リボンRをカッタ65にて切断した後に第1のスリーブ43内に残った半凝固金属スラリSが硬化した固相金属であるビスケットBは、第1のプランジャ71を元の位置に復帰させてから、第2のスリーブ44の注湯口45側を上方に向けて90゜回動させて、第1のスリーブ43のスラリ挿入口58を開口させた状態で、別途の図示しない取出し棒による押し出しにて外部へと取り出される。
さらに、このビスケットBを第1のスリーブ43から取り出した後には、図11に示すように、第2のスリーブ44のスラリ排出口46をストッパ47にて閉塞して、この第2のスリーブ44に溶融金属Mを収容可能にした後、この第2のスリーブ44に再度溶融金属Mを注湯して金属リボンRの成形過程を反復させる。この結果、このような反復過程によって組織が微細でかつ全体的に均一な金属リボンRを反復および連続して得ることができる。
この後、この金属リボンRの長手方向に沿った一端である基端側を、図1ないし図4に示す半凝固金属スラリ製造装置の搬送部6に固定させて、この金属リボンRの先端側を安着台33の中央部に向けて垂らした状態とする。そして、この搬送部6を上方に向けて移動させておく。
この状態で、図1に示すように、駆動部3を動作させてスラリ製造容器2を安着台33上に設置させた後、攪拌部1の電磁気場印加用コイル装置11によって空間部13内に所定周波数および強度で電磁気場を印加する。このとき、安着台33上へのスラリ製造容器2の設置は、空間部13に電磁気場を印加させた後にしてもよい。
この後、別の電気炉で溶融された溶融金属Mを注湯容器4にて移送して電磁気場の影響下にあるスラリ製造容器2に注湯する。このとき、電磁気場の印加を溶融金属Mの注湯前にすることもあるが、溶融金属Mの注湯を開始すると同時にしてもよい。
ここで必要に応じ、図2に示すように、安着台33上に設置されたスラリ製造容器2に溶融金属Mを注湯させた状態で、搬送部6を下方へと移動させて、この搬送部6に取り付けられた金属リボンRの先端側の所定量を、スラリ製造容器2内の溶融金属M中に挿入させて溶融させ、この金属リボンRが溶融する際の溶融潜熱を利用して、スラリ製造容器2内の溶融金属Mを急速に冷却させて半凝固金属スラリSとする。
このとき、スラリ製造容器2内の溶融金属Mの冷却は、このスラリ製造容器2内の溶融金属Mが0.1以上0.7以下の固相率に至るまで所定の速度で冷却されて半凝固金属スラリSとされる。このときの冷却速度は、0.2℃/sec以上5℃/sec以下となり、より望ましくは0.2℃/sec以上2℃/sec以下となる。このようなスラリ製造容器2の冷却は、このスラリ製造容器2が交替される前、すなわち、駆動部3によりスラリ製造容器2が空間部13の外側に移送されて離脱される前にでき、冷却が終了した後でスラリ製造容器2を空間部13の外側に離脱させて新しいスラリ製造容器2にも交替できる。
この後、駆動部3にてスラリ製造容器2を上昇させて、図3に示すように、空間部13の外側にスラリ製造容器2を移送して離脱させ、図示しないロボットなどの移送装置により新しいスラリ製造容器2に取り替える。
一方、電磁気場の印加は冷却が終了するまで持続させる。すなわち、駆動部3によりスラリ製造容器2が空間部13外側に移送されて離脱されるまで電磁気場を印加し続けてもよい。電磁気場の印加は溶融金属Mの固相率が少なくとも0.001以上0.7以下になるまで持続する。ただし、エネルギ効率次元で電磁気場印加用コイル装置11は溶融金属Mの注湯後、この溶融金属Mの固相率が少なくとも0.001以上0.4以下になるまで持続し、さらに望ましくは、この溶融金属Mの固相率が0.001以上0.1以下になるまで持続する。溶融金属Mがこのような固相率になるまでの時間は、予め実験で調べることができる。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、攪拌部1の電磁気場印加用コイル装置11にて電磁気場が印加された状態で、安着台33上に設置されたスラリ製造容器2内に溶融金属Mを注湯した後、搬送部6を移動させて、この搬送部6に取り付けられた金属リボンRの先端側の所定量を、スラリ製造容器2内の溶融金属M中に挿入して溶解させる。
この結果、この溶融金属Mの比熱よりも、金属リボンRが溶融金属M中に溶融する際の溶融潜熱(=凝固潜熱)が大幅に大きい(例えば、これら溶融金属Mおよび金属リボンRのそれぞれがアルミニウム合金の場合には溶融潜熱は比熱の約400倍)。したがって、この溶融金属M中に初期凝固層が形成されないように、この溶融金属M中に金属リボンRを溶融させることにより、この金属リボンRがスラリ製造容器2内の溶融金属Mに溶融される際の溶融潜熱によって、この溶融金属Mから熱を急速に奪うことができる。よって、この溶融金属Mを急速に冷却できるから、この溶融金属Mから半凝固金属スラリSをより速く効率良く製造できる。
このとき、この溶融金属Mに金属リボンRを溶融させることによって、この溶融金属Mを急速に冷却できるので、この製造された半凝固金属スラリSの温度制御をより容易にできるから、この半凝固金属スラリSの鋳込み温度をある程度高くすることができる。さらに、スラリ製造容器2内の溶融金属Mへの金属リボンRの溶解量を、搬送部6の移動距離にて調整することにより、このスラリ製造容器2内の溶融金属Mの冷却速度や温度低下を適宜調整できる。
さらに、この金属リボンRを、溶融金属Mの主成分を有する組成としたり、この溶融金属Mと等しい組成としたりすることにより、この金属リボンRが溶融されて冷却された後の溶融金属Mの組成が変化しにくく、あるいは変化しなくなる。したがって、スラリ製造容器2内の溶融金属Mの組成を変化させることなく、この溶融金属Mを急速に冷却できる。
特に、半凝固金属スラリSを冷却して硬化させた半凝固状態の組織構造を有するビレットにて金属リボンRを製造することにより、この金属リボンRを入れて溶融させて冷却させた溶融金属Mから製造される半凝固金属スラリS中に金属リボンRが溶融しきらずにある程度残っても、この金属リボンRが半凝固状態としての球状の組成を有するので、この金属リボンRと溶融金属Mとの結晶状態が同じだから、この半凝固金属スラリS中に半凝固状態が維持されるため、この半凝固金属スラリSをより効率良く製造できる。
また、この金属リボンRの形状を、溶融金属Mに溶融しやすい形状である細長く薄いリボン状や細長いワイヤ状としたため、この金属リボンRをスラリ製造容器2内の溶融金属M中に入れた際に、この溶融金属M中に金属リボンRを効率良く溶融できる。したがって、この溶融金属Mの急速な冷却をより効率良くできるから、この溶融金属Mからより効率良く半凝固金属スラリSを製造できる。
なお、上記第1の実施の形態では、カップ型のスラリ製造容器2を用いた構成としたが、図12ないし図14に示す第2の実施の形態のように、第1のスリーブ43を垂直に設置して、この第1のスリーブ43の上端開口部であるスラリ挿入口58と第2のスリーブ44のスラリ排出口46が同心状に連通するように、この第1のスリーブ43上に第2のスリーブ44を垂直に設置して構成することもできる。この場合、第2のスリーブ44の下端に第1のスリーブ43が連結されている。そして、この第2のスリーブ44は、ベースプレート14上に設置されて固定されている。
ここで、これら第2のスリーブ44および第1のスリーブ43のそれぞれの内周面は、この第2のスリーブ44内で製造した半凝固金属スラリSを自重によって落下させて抜くことができる程度のテーパ状に形成されている。さらに、この第1スリーブ43の下端側であるスラリ吐出口57には、押出部61の代わりとして成形ダイ81を有するダイキャスティング装置が設置されている。
この成形ダイ81は、移動ダイ82および固定ダイ83と備えており、これら移動ダイ82と固定ダイ83とが合わさって、これら移動ダイ82と固定ダイ83との間に所定の形状の成形空間である成形空洞84を形成させる。さらに、固定ダイ83には、成形空洞84に半凝固金属スラリSを注入させる注入口85が形成されている。この注入口85は、第1のスリーブ43のスラリ吐出口57に連通した状態で連結されており、このスラリ吐出口57から吐出される半凝固金属スラリSを成形空洞84へと注入させる。さらに、第1のスリーブ43の一端側にはキャップ体56が取り付けられておらず、この第1のスリーブ43の一端側がスラリ吐出口57とされている。
また、移動ダイ82および固定ダイ83は、一対の支持プレート86a,86bに取り付けられている。これら支持プレート86a,86bは、図示しない全体設備に取り付けられており、移動ダイ82および固定ダイ83のそれぞれを支持している。ここで、移動ダイ82は、これら移動ダイ82と固定ダイ83との間の成形空洞84での半凝固金属スラリSの成形が完了した後に、固定ダイ83から分離されて成形空洞84で形成された所定の形状の成形品である鋳材としてのダイキャスト材Dを分離可能にする。ここで、成形部として成形ダイ81を取り付けたが、この成形ダイ81の代わりに押出部61や図示しないプレス成形部などを取り付けることもできる。
一方、第1のスリーブ43および第2のスリーブ44は回動しないように固定されて結合されている。さらに、この第1のスリーブ43と第2のスリーブ44との間にはストッパ47が取り外し可能に取り付けられている。なお、これら第1のスリーブ43と第2のスリーブ44とを一体に形成することもできる。この場合、これら一体的に形成された第1のスリーブ43と第2のスリーブ44との内側にストッパ47を取り付ければよい。
そして、図12に示すように、攪拌部1の電磁気場印加用コイル装置11にて電磁気場が印加されている状態で、第2のスリーブ43の上端の注湯口45から溶融金属Mを注入する。この状態で、図13に示すように、必要に応じて搬送部6を移動させて、第2のスリーブ44内の溶融金属M中に金属リボンRの先端側の所定量を挿入して溶融させて、この溶融金属Mを急速に冷却させて半凝固金属スラリSとする。
この後、ストッパ47を移動させて第2のスリーブ44のスラリ排出口46を開口させる。この結果、この第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSが自重による作用にて第1のスリーブ43内へと落下して移動する。このとき、第2のスリーブ44内で製造された半凝固金属スラリSは、この半凝固金属スラリSの自重による重力の作用にて、この半凝固金属スラリSが第2のスリーブ44から落下する程度の固相率を有している。
次いで、図14に示すように、第1のプランジャ71を第2のスリーブ44の注湯口45から挿入して、第1のスリーブ43内の半凝固金属スラリSを成形ダイ81側へ加圧して、第1のスリーブ43のスラリ吐出口57から半凝固金属スラリSを成形ダイ81へと吐出させる。
このとき、この成形ダイ81に注入された半凝固金属スラリSは、この成形ダイ81の注入口85を通じて成形空洞84内に注入されて成形されつつ急速に冷却されて成形空洞84の形状に対応したダイキャスト材Dに製造される。このとき、この成形ダイ81に、図示しない別の冷却装置をさらに付加して、成形空洞84内に注入された半凝固金属スラリSを急冷させてもよい。さらに、この成形ダイ81の成形空洞84でのダイキャスト材Dの製造が終了した後、移動ダイ82を後退させて固定ダイ83から分離させて、このダイキャスト材Dを成形空洞84内から引き出す。
この結果、攪拌部1の電磁気場印加用コイル装置11にて電磁気場が印加されている状態で、第2のスリーブ44の上端の注湯口45から溶融金属Mを注入してから、必要に応じて搬送部6を移動させて、第2のスリーブ44内の溶融金属M中に金属リボンRを所定量溶融させて、この溶融金属Mを急速に冷却させるので、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSをスラリの状態でダイキャスティングできるから、高品質のダイキャスト材Dを低圧の加圧力で得ることができ、電力損失を防止でき、作業時間を短縮できるとともに、成形ダイ81に注入される半凝固金属スラリSの温度を低くでき、この成形ダイ81に半凝固金属スラリSを低圧で注入できる。
また、第2のスリーブ44内で製造された半凝固金属スラリS自体の自重による重力の作用によって、この半凝固金属スラリSを第2のスリーブ44から引き抜いて第1のスリーブ43内へと落下させることができる。よって、この第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSを第1のスリーブ43へと移動させる工程を容易にできる。
次いで、図15ないし図17に示す第3の実施の形態のように、第1のスリーブ43の周面部に第2のスリーブ44の他端側を連結させて、この第1のスリーブ43から第2のスリーブ44が分岐して連結された構成にすることもできる。この場合、第1のスリーブ43は、この第1のスリーブ43の軸方向を地面に対して水平にした状態で設置されている。そして、第2のスリーブ44は、第1のスリーブ43の周面部から、この第1のスリーブ43の一端側であるとともに上方に向けて分岐されて連結されている。そして、この第1のスリーブ43のスラリ吐出口57に対向した他端側の開口部91には、加圧用の第2の押圧手段としての第2のプランジャ92が進退可能に挿入されている。この第2のプランジャ92の先端面である押圧面93は、この第2のプランジャ92の移動方向に直交する平坦な平面とされている。
さらに、第1のスリーブ43のスラリ挿入口58は、この第1のスリーブ43の周面における上側に開口されて設けられている。また、この第1のスリーブ43の一端側のスラリ吐出口57の外側には成形ダイ81が結合されている。なお、成形部として成形ダイ81を取り付けたが、この成形ダイ81の代わりに押出部61や図示しないプレス成形部などを取り付けてもよい。
また、第2のスリーブ44は、この第2のスリーブ44の一端側の注湯口45側を上方に向け、他端側のスラリ排出口46を下方に向けた状態で約45゜の角度で傾斜している。そして、この第2のスリーブ44のスラリ排出口46は、第1のスリーブ43の軸方向に沿った略中間部であるスラリ挿入口58に連結されて連通されている。さらに、この第2のスリーブ44の他端側であるスラリ排出口46の内側には、この第2のスリーブ44の他端側を開閉可能に閉塞するストッパ47が上方から取り外し可能に挿入されて取り付けられている。また、この第2のスリーブ44の外周部には、攪拌部1が取り付けられている。この攪拌部1は、ストッパ47が取り付けられている位置よりも第2のスリーブ44の一端側を覆っている。
さらに、第2のスリーブ44には、この第2のスリーブ44の周面部の一部を一端側である上方に向けて分岐させた別途の注湯口である注入口94が形成されている。この注入口94は、第2のスリーブ44内に溶融金属Mを注入させる注湯口である。そして、この第2のスリーブ44の注湯口45には第1のプランジャ71が常に挿入された構成とされている。ここで、この第2のスリーブ44の注入口94は、第2のスリーブ44における攪拌部1が取り付けられた位置よりも一端側に取り付けられており、この第2のスリーブ44の周面部から上方に向けて突出している。また、この注入口94は、第2のスリーブ44内に連通しており、この第2のスリーブ44内における攪拌部1にて電磁気場が印加されるスラリ製造領域Tに溶融金属Mを注湯させる。
そして、図15に示すように、第2のスリーブ44の他端側がストッパ47にて閉塞され、攪拌部1の電磁気場印加用コイル装置11にて電磁気場が印加されている状態で、第2のスリーブ44の注入口45から溶融金属Mを注湯してから、図16に示すように、必要に応じて搬送部6を移動させて、第2のスリーブ44内の溶融金属M中に金属リボンRを所定量溶融させて、この溶融金属Mを急速に冷却させて半凝固金属スラリSとする。
次いで、ストッパ47上方に移動させて第2のスリーブ44のスラリ排出口46を開放させた後、この第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSを第1のスリーブ43内へと移動させて吐出させる。このとき、第1のプランジャ71を第1のスリーブ43側に移動させて、この第1のプランジャ71にて第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSを押圧して、この半凝固金属スラリSの第1のスリーブ43への吐出を促進させる。
この後、この半凝固金属スラリSを第1のスリーブ43内に流入させた状態で、図17に示すように、第2のプランジャ92を第1のスリーブ43のスラリ吐出口57側に向けて移動して、この第1のスリーブ43内の半凝固金属スラリSを加圧してスラリ吐出口57から吐出させて成形ダイ81に注入させる。このとき、この成形ダイ81に注入された半凝固金属スラリSは、この成形ダイ81の注入口85を通じて成形空洞84内に注入されて成形されつつ急速に冷却されて成形空洞84の形状に対応したダイキャスト材Dに製造される。さらに、このダイキャスト材Dの製造が終了した後、移動ダイ82を後退させて固定ダイ83から分離させて、このダイキャスト材Dを成形空洞84内から引き出す。
この結果、第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSをスラリの状態でダイキャスティングできるから、高品質のダイキャスト材Dを低圧の加圧力で得ることができ、電力損失を防止でき、作業時間を短縮できるとともに、成形ダイ81に注入される半凝固金属スラリSの温度を低くでき、この成形ダイ81に半凝固金属スラリSを低圧で注入できるので、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、図18に示す第4の実施の形態のように、第1のスリーブ43の軸方向を地面に対して垂直に設置し、この第1のスリーブ43から第2のスリーブ44の注湯口45側を斜め上方に向けて分岐させて結合させ、第2のスリーブ44の注入口94を上方に向けて開口させた構成とすることもできる。この場合、第2のスリーブ44内で製造した半凝固金属スラリSを自重による重力の作用によって第1のスリーブ43内の成形ダイ81側により容易に移動できるから、この成形ダイ81にてダイキャスト材Dを成形する工程をより速くできる。
なお、上記第3および4の実施の形態では、第1のプランジャ71の押圧面72を、この第1のプランジャ71の移動方向に直交する平坦な平面としたが、図19に示す第5の実施の形態のように、第1のプランジャ71を第1のスリーブ43側に移動させた際に、この第1のプランジャ71の押圧面72が第1のスリーブ43の内周面と面一になるように、この押圧面72を第1のプランジャ71の移動方向に対して約45゜ほど傾斜させる構成とすることもできる。
この場合、この第1のプランジャ71の押圧面72は、第2のスリーブ44内の半凝固金属スラリSを第1のプランジャ71にて押圧した際に、この半凝固金属スラリS全部を第1のスリーブ43内に移動できるように、この第1のスリーブ43の内周面に等しい横断面凹弧状に形成されている。すなわち、この第1のプランジャ71の押圧面72は、第1のスリーブ43のスラリ挿入口58を、この第1のスリーブ43の内周面に沿って閉塞させる。よって、この第1のプランジャ71の押圧面72は、第1のスリーブ43に対する第2のスリーブ44の傾斜角度に等しい傾斜角度を有している。
また、図20に示す第6の実施の形態のように、軸方向を地面に対して垂直に設置した第1のスリーブ43の上端側に成形ダイ81を取り付けるとともに、この第1のスリーブ43の下端側から第2のプランジャ92を進退可能に挿入させて取り付けても、上記第5の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、図21および図22に示す本発明に関連する実施の形態のように、スラリ製造容器2内に注湯した溶融金属M中に、冷却用部材としての冷却用金属棒96を入れて、この冷却用金属棒96にて溶融金属Mを振動させて、この溶融金属Mを冷却させることもできる。この場合、この冷却用金属棒96は、複数の細長いワイヤ状の金属線97を互いに平行に配置させて構成されている。そして、これら金属線97は、スラリ製造容器2内に注湯される溶融金属Mの温度よりも融点の高い金属にて構成されている。具体的に、これら金属線97としては、これら金属線97の表面が酸化しないような金属、例えばステンレスや、タングステン、アルミ−チタン−ボロンナイトライドなどが好ましい。
また、これら金属線97は、振動器98にそれぞれが取り付けられている。この振動器98は、各金属線97のそれぞれを上下動させるとともに上下方向に振動させる移送手段としての振動手段である。また、この振動器98は、制御部5に電気的に接続されており、この制御部5によって回転および昇降が制御されている。さらに、この振動器98は、円柱状の本体部99を備えており、この本体部99の軸方向に沿った一端面である下端面に金属線97の一端部が接続されている。また、この振動器98は、図21に示すように、本体部99の下端面に取り付けられた金属線97のそれぞれをスラリ製造容器2の開口部に臨ませた状態で、昇降可能かつ回転可能に設置されている。
そして、スラリ製造容器2内に溶融金属Mを注湯した状態で、振動器98を下ろして下方へと移動させて、この振動器98の各金属線97の先端側である下端側を、スラリ製造容器2内の溶融金属M中に挿入する。この状態で、図22に示すように、振動器98の本体部99を周方向に向けて回転あるいは振動させて、スラリ製造容器2内の溶融金属Mを振動あるいは攪拌させる。この結果、このスラリ製造容器2に注湯した溶融金属M中に冷却用金属棒96の各金属線97を挿入した状態で振動させることにより、これら各金属線97と溶融金属Mとの接触熱伝達を大きくできる。
したがって、これら各金属線97によって溶融金属Mから急速に熱を奪うことができるので、この溶融金属Mを急速に冷却できるとともに、この溶融金属Mから半凝固金属スラリSを急速に製造できる。そして、スラリ製造容器2内に半凝固金属スラリSを製造した後には、振動器98を上方に向けて移動させて、この冷却用金属棒96の各金属線をスラリ製造容器2内の半凝固金属スラリSから取り出す。この後、この半凝固金属スラリSが製造されたスラリ製造容器2を上方に移動させた後、このスラリ製造容器2から半凝固金属スラリSを取り出す。
このとき、この振動器98に取り付けられた冷却用金属棒96を複数の細長いワイヤ状の金属線97にて構成したことにより、これら冷却用金属棒96と溶融金属Mとの間の接触熱伝達係数が大きくなる。このため、これら冷却用金属棒96の各金属線97と溶融金属Mとの接触熱伝達をより大きくでき、この冷却用金属棒96にて溶融金属Mからより急速に熱を奪うことができるので、この溶融金属Mをより急速に冷却できる。
ここで、図23に示す本発明に関連する他の実施の形態のように、上述した図12ないし図14に示す第2の実施の形態のプランジャタイプの半凝固金属スラリ製造装置の搬送部6および金属リボンRに代えて、複数の細長いワイヤ状の金属線97にて構成された冷却用金属棒96を有する振動器98を取り付けることもできる。
さらに、図24に示す本発明に関連するさらに他の実施の形態のように、振動器98の冷却用金属棒96を網状にすることもできる。この場合、この振動器98の冷却用金属棒96は、細長いワイヤ状の金属線97を格子状に組み合わせた網体であるスクリーンを円筒状に巻回させて構成されている。そして、この冷却用金属棒96は、円筒状に巻回されたスクリーンの軸方向に沿った一端側である上端側を本体部99の下端面に同心状に取り付けられて構成されている。
この結果、この冷却用金属棒96を網状に構成したことにより、この冷却用金属棒96と溶融金属Mとの接触熱伝達をより大きくできるから、この冷却用金属棒96にて溶融金属Mからより急速に熱を奪うことができるので、この溶融金属Mをより急速に冷却できる。
また、図25に示す本発明に関連するさらに他の実施の形態のように、上述した図12ないし図14に示す第2の実施の形態のプランジャタイプの半凝固金属スラリ製造装置の搬送部6および金属リボンRに代えて、細長いワイヤ状の金属線97を格子状に組み合わせたスクリーンを円筒状に巻回させて構成された冷却用金属棒96を有する振動器98を取り付けることもできる。
ここで、上記本発明に関連する実施の形態での振動器98の冷却用金属棒96に代えて、上記第1ないし6の実施の形態に示す金属リボンRを取り付けることもできる。この場合、この金属リボンRを溶融金属Mに挿入した状態で振動器98で振動を与えることにより、この金属リボンRと溶融金属Mとの間の接触熱伝達がより大きくなるから、この溶融金属Mへの金属リボンRの溶融をより速くできる。したがって、この金属リボンRを溶融金属Mに溶融させる際に生じる溶融潜熱による溶融金属Mの冷却効果をより大きくできる。
さらに、上記各実施の形態において、多様な金属あるいは合金、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金、銅、銅合金、鉄および鉄合金などのいずれの半凝固金属成形方法であっても汎用的に適用できる。すなわち、固液共存状態成形用、いわゆる半凝固あるいは半溶融成形用に利用できるものであればいずれも利用でき、その中でもアルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、鉄およびこれらの合金よりなる群から選択されることが望ましい。これら合金は、最終成形品で要求される物性によって色々な任意の金属を含むことができる。
すなわち、溶融金属Mとして用いられる合金系が何かという問題ではなく、凝固理論的に考察すると、スラリ製造容器2あるいは第2のスリーブ44に注湯する前の溶融金属Mの温度は、この溶融金属Mとして用いられる合金系の比熱の問題で議論できる。したがって、スラリ製造容器2あるいは第2のスリーブ44に注湯する前の溶融金属Mの温度は、この溶融金属Mとして用いられた合金系の液相線よりいくら高い温度でも可能であるかどうかは、比熱の値そのものが問題となる。
そして、アルミニウムの比熱は、約0.25kcal/g℃であり、このアルミニウム以外の他の合金系、例えばマグネシウム(約0.18kcal/g℃)、亜鉛(約0.1kcal/g℃)、銅(約0.1kcal/g℃)、鉄(約0.1kcal/g℃)それぞれの比熱は、アルミニウムよりも小さい。したがって、アルミニウム以外の他の合金系では、アルミニウムに比べ、奪わなければならない熱量が少ないという効果があるため、これらいずれの合金系の溶融金属Mを液相線+100℃とした状態で、この溶融金属Mをスラリ製造容器2あるいは第2のスリーブ44に注湯しても、これら溶融金属Mには初期凝固層が形成されず、これら溶融金属Mから潜熱が生じない。このため、これら溶融金属Mから比熱だけを奪えば、これら溶融金属M中の結晶核を成長できるので、これらいずれの合金系であっても同様の作用効果を奏することができる。
理論的に、液相から固相へと変化する温度(T)と固相から液相へと変化する温度(T)との差、すなわちT−T=ΔTが0でなければ、どのような合金系においても、溶融金属Mの温度をTとTとの間に調整することによって、溶融金属M中に結晶核を形成できる。
一方、鋳物産業において、一般的に使用される純アルミニウムには、1%程度の不純物が含有されている。なお、アルミニウム以外のマグネシウム、亜鉛、銅および鉄のそれぞれについても、鋳物産業において一般的に使用される純マグネシウム、純亜鉛、純銅および純鉄には、1%程度の不純物が含有されている。
したがって、液相から固相へと変化する温度(T)と固相から液相へと変化する温度(T)との差が0でなく、比熱がアルミニウムより小さく、かつ電磁気場の印加で溶融金属Mに磁場が形成されるマグネシウム、亜鉛、亜鉛合金、銅、銅合金、鉄および鉄合金であっても、アルミニウム合金と同様の結果を原理的に得ることができる。
さらに、スラリ製造容器2あるいは第2のスリーブ44に溶融金属Mを注湯した後に、これらスラリ製造容器2あるいは第2のスリーブ44内に注湯した溶融金属Mに対して電磁気場印加用コイル装置11にて電磁気場を印加して、この溶融金属Mから半凝固金属スラリSを製造する半凝固成形装置であっても、電磁気場印加調整部55の制御を調整することによって対応させて用いることができる。さらに、電磁気場の印加で溶融金属Mを攪拌させたが、この溶融金属Mを機械的に振動させて攪拌させてもよい。
また、アルミニウム合金などの溶融金属Mを急速に冷却する方法について説明したが、金属以外の他の液体中に、この液体を固化させた固体を入れて溶融させても、この液体を急速に冷却できるので、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、溶融金属Mを固化させる際に、この溶融金属M中に金属リボンRなどの固相金属を入れて急冷させてもよい。
さらに、溶融金属M中に結晶核を生成させてから、この結晶核を成長させて半凝固状態の半凝固金属スラリSを製造させたが、溶融金属M中により多数の結晶核を瞬時に生成させることにより、この結晶核を余り成長させずに、より特性の優れた半凝固金属スラリSを製造できる。
本発明は、半凝固金属スラリを製造し、この半凝固金属スラリを半溶融金属成形法にて成形して各種金属成形品を製造できる。
本発明の第1の実施の形態の固液共存状態金属スラリの製造装置に溶融金属を注湯する工程を示す概略断面図である。 同上固液共存状態金属スラリの製造装置に注湯した溶融金属を冷却する工程を示す概略断面図である。 同上固液共存状態金属スラリの製造装置から固液共存状態金属スラリを取り出す工程を示す概略断面図である。 同上固液共存状態金属スラリの製造装置における時間に対する溶融金属の注湯温度を示す二次グラフである。 同上固液共存状態金属スラリの製造装置に用いる固相金属の製造装置に溶融金属を注湯する工程を示す概略断面図である。 同上固相金属の製造装置の第2の温度調節手段を示す概略断面図である。 同上固相金属の製造装置に注湯した溶融金属を冷却する工程を示す概略断面図である。 同上固相金属の製造装置の第2のスリーブ内で固液共存状態金属スラリを押圧する工程を示す概略断面図である。 同上固相金属の製造装置の第1のスリーブから固液共存状態金属スラリを吐出する工程を示す概略断面図である。 同上固相金属の製造装置で固相金属を成形した工程を示す概略断面図である。 同上固相金属の製造装置で固相金属を成形した後のビスケットを排出する工程を示す概略断面図である。 本発明の固液共存状態金属スラリの製造装置の第2の実施の形態に溶融金属を注湯する工程を示す概略断面図である。 同上固液共存状態金属スラリの製造装置に注湯した溶融金属を冷却する工程を示す概略断面図である。 同上固液共存状態金属製造装置で成形品を成形した工程を示す概略断面図である。 本発明の固液共存状態金属スラリの製造装置の第3の実施の形態に溶融金属を注湯する工程を示す概略断面図である。 同上固液共存状態金属スラリの製造装置に注湯した溶融金属を冷却する工程を示す概略断面図である。 同上固液共存状態金属製造装置で成形品を成形した工程を示す概略断面図である。 本発明の固液共存状態金属スラリの製造装置の第4の実施の形態に溶融金属を注湯する工程を示す概略断面図である。 本発明の固液共存状態金属スラリの製造装置の第5の実施の形態に溶融金属を注湯する工程を示す概略断面図である。 本発明の固液共存状態金属スラリの製造装置の第6の実施の形態に溶融金属を注湯する工程を示す概略断面図である。 本発明に関連する固液共存状態金属スラリの製造装置に溶融金属を注湯した工程を示す概略断面図である。 同上固液共存状態金属スラリの製造装置に注湯した溶融金属を冷却する工程を示す概略断面図である。 本発明に関連する他の固液共存状態金属スラリの製造装置に溶融金属を注湯した工程を示す概略断面図である。 本発明に関連するさらに他の固液共存状態金属スラリの製造装置に溶融金属を注湯した工程を示す概略断面図である。 本発明に関連するさらに他の固液共存状態金属スラリの製造装置に溶融金属を注湯した工程を示す概略断面図である。
符号の説明
2 注湯部としてのスラリ製造容器
6 搬送手段としての搬送部
44 注湯部としての第2のスリー
液相金属としての溶融金属
R 固相金属としての金属リボン
S 固液共存状態金属スラリとしての半凝固金属スラリ

Claims (6)

  1. 液相金属中に固相金属を入れて、この固相金属を前記液相金属に溶かして、前記液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリとする固液共存状態金属スラリの製造方法であって、
    前記固相金属は、前記固液共存状態金属スラリを冷却したものである
    ことを特徴とした固液共存状態金属スラリの製造方法。
  2. 固相金属は、リボン状である
    ことを特徴とした請求項1記載の固液共存状態金属スラリ製造方法。
  3. 固相金属は、ワイヤ状である
    ことを特徴とした請求項1または2記載の固液共存状態金属スラリ製造方法。
  4. 液相金属中に固相金属を入れた状態で、この固相金属を振動させる
    ことを特徴とした請求項1ないしいずれか記載の固液共存状態金属スラリ製造方法。
  5. 液相金属に電磁気場を印加しつつ、この液相金属を冷却して固液共存状態金属スラリを製造する
    ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載の固液共存状態金属スラリの製造方法。
  6. 液相金属が注湯される注湯部と、
    前記液相金属から製造された固液共存状態金属スラリを冷却した固相金属が取り付けられ、この固相金属を前記注湯部に注湯された前記液相金属中に入れて、この固相金属を前記液相金属に溶かして、前記液相金属を冷却して固液金属状態金属スラリとさせる搬送手段と
    を具備したことを特徴とした固液共存状態金属スラリ製造装置。
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