JP3684326B2 - 糸付縫合針 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、手術用の糸付縫合針に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
手術用の糸付縫合針として、半円弧状に形成された胴部の先端に鋭利な針先部を備えると共に、該胴部の基端部から先端部側に向かって該胴部の長さ方向に沿って穿設された取付穴部に縫合糸が挿入されてかしめ止めされ、該縫合針を生体に刺通する際に該縫合糸が該縫合針から抜け落ちないようにされているものが知られている。
【0003】
前記取付穴部はレーザ加工またはドリル加工により穿設されるが、ドリル加工によるときには非常に細径のドリルを用いなければならないため、該ドリルが折損しやすいとの問題がある。そこで、一般には、容易に前記取付穴部を穿設することができるレーザ加工が用いられている。
【0004】
前記レーザ加工により、縫合糸を挿入してかしめ止めするために十分な深さの取付穴部を形成しようとすると、図2(a)に示すように、胴部3の基端部4に開口部9を備えると共に、内部に開口部9より大径の部分10を備え、奥部が先細になった取付穴部5が形成される。
【0005】
前記形状に形成された取付穴部5に縫合糸6の末端を挿入してかしめ止めする場合、従来は、図3(a)示のように断面が胴部3の長さ方向に平行になるように、基端部4の全周に亘って均一に縮径するかしめ部21によりかしめ止めすることが行われている。或いは、図3(b)示のように、胴部3側から基端部4方向に向けて次第に縮径する円錐状のかしめ部22によりかしめ止めすることが行われている。尚、取付穴部5は、図3(a)示のようにドリル加工等により奥部の形状が整えられていてもよく、図3(b)示のように前記レーザ加工が施されたままの形状であってもよい。
【0006】
しかしながら、前記かしめ部21,22では、いずれも、取付穴部5の内部に比較して小径または平行になっている開口部9が縫合糸6に食い込むこととなり、この部分で縫合糸6に大きな剪断力が働くため、かしめ加工時に縫合糸6が取付穴部5の開口部9で切断されやすいとの不都合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記不都合を解消するために、かしめ加工時の縫合糸の切断を防止でき、しかも刺通の際の縫合糸の抜け落ちを防止することができる製造容易な糸付縫合針を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の糸付縫合針は、先端に鋭利な針先部を備える胴部と、該胴部の基端部から先端部側に向かって該胴部の長さ方向に沿って穿設された取付穴部と、該取付穴部に挿入されてかしめ止めされた縫合糸とからなる糸付縫合針において、前記取付穴部は、該胴部の基端部から先端部方向に向けて次第に縮径する円錐状の内面形状を備え、前記取付穴部の内面形状は、前記基端部の外面に対して2〜10°の傾きを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の糸付縫合針によれば、前記取付穴部が該胴部の基端部から先端部方向に向けて次第に縮径する円錐状の内面形状を備えているので、基端部をその上下から円筒状の加圧面を備えるかしめ型により加圧変形せしめてかしめ加工することにより、該取付穴部は前記内面形状を保持したまま縮径される。この結果、前記取付穴部に挿入されている前記縫合糸が、前記取付穴部の最も小径になった部分で、全周に亘ってかしめ止めされ、該縫合針を生体に刺通する際に、前記縫合糸の抜け落ちを防止することができる。
【0010】
また、前記取付穴部は、前記基端部から先端部方向に向けて次第に縮径する円錐状になっているので、その開口部が最も大径になっており、該開口部の前記縫合糸に対する食い込みが低減される。従って、前記開口部で該縫合糸に剪断力が作用しにくくなり、前記かしめ加工による縫合糸の切断を防止することができる。また、前記取付穴部は、前記開口部で最も大径になっているので、縫合糸を容易に挿入することができる。
【0011】
しかも、前記かしめ加工に用いるかしめ型は、前述のようにその加圧面が単に円筒形状であればよいので、従来と同一のかしめ型により容易に製造することができる。
【0012】
また、本発明の糸付縫合針において、前記取付穴部の内面形状は、前記作用効果を得るために、前記基端部の外面に対して2〜10°の傾きを備えている。前記傾きが2°未満のときには前記取付穴部の最も小径になった部分で、前記縫合糸の抜け落ちを十分に防止できないことがある。また、前記傾きが10°を超えると、十分な深さを備える取付穴部が得られないことがある。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態の縫合針を示す斜視図であり、図2は図1示の縫合針の基端部の説明的縦断面図である。
【0014】
図1示のように、本実施形態の縫合針1は、先端に鋭利な針先部2を備える半円弧状に形成された胴部3と、胴部3の基端部4から先端部側に向かって胴部3の長さ方向に沿って穿設された取付穴部5と、取付穴部5に挿入された縫合糸6とからなる。そして、縫合糸6は、基端部4の外面と平行で、基端部4より縮径された外面を備えるかしめ部7によりかしめ止めされている。
【0015】
本実施形態では、取付穴部5を次のようにして形成する。まず、図2(a)示のように、基端部4にレーザ加工等により下穴8を穿設する。前記下穴8は、基端部4に開口部9を備えると共に内部に開口部9より大径の部分10を備え、先細に形成されている。
【0016】
そこで、次に下穴8をテーパリーマ11により中ぐり加工することにより、図2(b)示のように、開口部9側から先端部方向に向けて次第に縮径する円錐状の内面形状12を備える取付穴部5が形成される。前記内面形状12は、基端部4の外面に対して2〜10°の傾き(図2(b)にθで示す)を備えている。尚、テーパリーマ11は、両側面に、長さ方向に対する傾きが、前記内面形状12の基端部4の外面に対する傾きθと同一である刃13を備える。
【0017】
本実施形態の縫合針1は、取付穴部5に縫合糸6が挿入された状態で、円筒形状の加圧部を備える従来と同一のかしめ型(図示せず)により基端部4をその上下から加圧変形せしめてかしめ加工することによりかしめ部7を形成する。この結果、かしめ部7の内部において、取付穴部5は、図2(c)に示すように、基端部4から先端部方向に向けて次第に縮径する円錐状の内面形状12を保持したままかしめられ、その中間部に最も径の小さい小径部14を備えると共に、開口部9の内径Aが小径部14の内径Bよりも大(A>B)になるように形成されている。また、縫合糸6の先端部6aは小径部14よりも奥まで挿入されている。
【0018】
この結果、縫合糸6はかしめ部7の小径部14により、取付穴部5の中間部で全周に亘ってかしめ止めされ、刺通の際の抜け落ちが防止される。また、取付穴部5は、開口部9で最も大径となっているので、開口部9では縫合糸6に対する剪断力が低減され、縫合糸6がかしめ時に切断されることを防止することができる。
【0019】
尚、本実施形態の縫合針1は、取付穴部5が開口部9で最も大径となっているので、このような開口部8に対する縫合糸6の挿入が容易になるとの効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の糸付縫合針の一構成例を示す斜視図。
【図2】図1示の糸付縫合針の基端部の説明的縦断面図。
【図3】従来の糸付縫合針の基端部の説明的縦断面図。
【符号の説明】
1…糸付縫合針、 2…針先部、 3…胴部、 4…基端部、 5…取付穴部、 6…縫合糸、 7…かしめ部、 9…開口部、 12…内面形状。
Claims (2)
- 先端に鋭利な針先部を備える胴部と、該胴部の基端部から先端部側に向かって該胴部の長さ方向に沿って穿設された取付穴部と、該取付穴部に挿入されてかしめ止めされた縫合糸とからなる糸付縫合針において、
前記取付穴部は、該胴部の基端部から先端部方向に向けて次第に縮径する円錐状の内面形状を備え、
前記取付穴部の内面形状は、前記基端部の外面に対して2〜10°の傾きを備えていることを特徴とする糸付縫合針。 - 前記取付穴部の内面形状は、前記基端部の外面に対して2〜10°の傾きを備えていることを特徴とする糸付縫合針。
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