JP3683912B2 - 細胞組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、細胞組成物、さらに詳しくは、純化した造血幹細胞の組成物に関する。
従来の技術
細胞生物学の進歩により、種々の細胞の生理学的性質ならびにその機能が明らかにされるにつれ、細胞そのものを医療目的に使用する方法が開発されてきた。例えば、癌の治療法である化学療法や放射線照射は正常な細胞、特に、骨髄細胞に致命的な障害を与える場合があるが、その危険性を低減するために治療前に採取しておいた骨髄細胞を治療後に戻してやる自己骨髄移植という方法がある。また、近年、遺伝子治療法として、標的細胞に、目的の外来遺伝子を導入し、標的細胞の形質転換を行う技術が発展している。例えば、骨髄細胞に多剤耐性遺伝子を導入すれば、骨髄細胞が多剤耐性を獲得し、従来、重篤な骨髄細胞毒性のために使用できなかった薬剤を用いた癌治療が可能になる。
発明の目的
このように、適当な細胞を含む組成物、あるいは適当な修飾を施した細胞を含む組成物は医療分野において極めて重要である。しかしながら、これらの標的細胞組成物中に癌細胞が混在していた場合には、十分な治療効果は得られない。特に、上記のような多剤耐性遺伝子の導入が癌細胞の混在する細胞組成物に対して行われた場合には、癌細胞自体も多剤耐性を獲得する結果となり、目的の癌治療に逆効果となる。
本発明の目的は、遺伝子治療に好適な、癌細胞が実質的に除去された標的細胞組成物およびその取得方法を提供することにある。
発明の概略
本発明者らは、癌細胞に特異的にアポトーシスを誘発するアポトーシス誘発剤を使用することにより、造血幹細胞組成物中に混在する癌細胞のみが特異的に除去されること、このアポトーシス誘発剤処理後の造血幹細胞に、目的の外来遺伝子を導入することによって、安全性の確立された遺伝子治療が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、癌細胞が実質上除去された、造血幹細胞を含有する細胞組成物、ことに、癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を用いて癌細胞を実質的に除去した造血幹細胞を含有する細胞組成物であり、代表例として、当該造血幹細胞を含有する緩衝液が挙げられる。
造血幹細胞の含有量は特に限定するものではなく、組成物の使用目的によって決定される。また、緩衝液中には、他の造血細胞、ストローマ細胞等が含有されていてもよく、造血幹細胞培養基質、造血幹細胞増殖因子、幹細胞分化因子、造血幹細胞保護剤等を含有してもよい。
本発明の第2の態様は、癌細胞が実質上除去された、造血幹細胞を含有する細胞組成物を取得する方法であって、癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を使用して細胞組成物中の癌細胞を選択的に除去する工程を含んでなる方法である。
本発明の第3の態様は、癌細胞が実質上除去された、造血幹細胞を含有する細胞組成物であって、該造血幹細胞が外来遺伝子を導入されている細胞組成物、ことに、癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を用いて癌細胞を実質的に除去した、外来遺伝子を導入した造血幹細胞を含有する細胞組成物である。
アポトーシスは、壊死とは異なる細胞死の一様式で、形態学的には、核の凝縮、細胞縮小、空胞化、細胞表面の平滑化、細胞の断片化等を経て起こり、プログラム細胞死の代表的な様式である(日経バイオテク編、日経バイオ最新用語辞典、第4版、第21〜22頁)。
本発明によれば、アポトーシス誘発剤を使用して、癌細胞に遺伝子導入を行うという危険なしに、外来遺伝子を導入した目的の細胞を安全に宿主に移入することができる。
発明の詳細な説明
本発明において使用されるアポトーシス誘発剤は、癌細胞特異的アポトーシス誘発作用を有するものであれば、特に限定するものではなく、正常細胞と癌細胞を使用することによって、その選択性を特定することができる。例えば、硫酸化多糖および/またはその分解物を含有するアポトーシス誘発剤、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/またはその分解物を含有するアポトーシス誘発剤、式(1):
で表される4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オンを含有する誘発剤が挙げられる。
アポトーシス誘発剤は、公知の方法で、それ自体または公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化されていてもよい。医薬用担体は、剤形に応じて適宜選択することができ、例えば、固体製剤の場合は、乳糖、白糖、マンニット、デンプン、カルボキシメチルセルロース、無機塩糖が使用できる。上記製剤を、細胞組成物に溶解または添加することにより、アポトーシス誘発剤と細胞とを接触させることができる。
本発明に使用される硫酸化多糖としては、例えば、フコイダン、デキストラン硫酸等が例示される。
フコイダンとは、分子中にフコース硫酸を含有する多糖であり、特に限定はないが、例えば、褐藻植物、ナマコ等に含有されている(左右田徳郎監修、江上不二夫編集、共立出版株式会社、昭和30年12月15日発刊、多糖類化学、第319頁、第321頁)。なお、褐藻植物由来のフコース硫酸含有多糖はフコイダン、フコイジン、フカンと通称され、いくつかの分子種があることが知られているが、本明細書では、フコイダンは、これらを包含するものとする。また、本発明にはフコイダンの分解物も使用することができる。
本発明において使用するフコイダンとしては、フコイダン含有物より得られるフコイダン含有抽出液、該抽出液よりの精製物を使用することができる。フコイダン含有抽出液の調製方法、抽出液からの精製方法は公知の方法で行えばよく、特に限定するものではない。
また、フコイダン分解物とは、フコイダンを酵素化学的方法、化学的方法、物理学的方法で分解して得られるものであり、公知の酵素化学的方法、化学的方法、物理学的方法を使用することができる。
フコイダンを含有する褐藻植物としては、例えば、山田幸雄序、瀬川宗吉著、保育社、昭和52年発刊の原色日本海藻図鑑、第22〜52頁に記載の褐藻植物があり、例えば、ヒバマタ(Fucus evanescens)、ガゴメ昆布(Kjellmaniella crassifolia)、マ昆布(Laminaria japonica)、ワカメ(Undaria pinnatifida)等を使用し、フコイダンを調製することができる。
フコイダンを含有するナマコとしては、例えば、特開平4−91027号公報記載のナマコがあり、例えば、マナマコ(Stichopus japonicus)、ニセクロナマコ(Holothuria leucospilota)等を使用することができ、該公報記載の方法にて、フコイダンを調製することができる。
フコイダンを含有する褐藻植物、ナマコ等は乾燥後、粉砕処理を行うことにより、フコイダン含有粉体を調製することができる。
さらに、フコイダン含有粉体から熱水抽出、希酸抽出を行うことによってフコイダン含有抽出液を調製することができる。
フコイダン含有率を高めるための抽出物精製手段としては、塩化カルシウム、酢酸バリウム等を用いたフコイダンの分画方法、塩化セチルピリジニウム等の酸性多糖凝集剤を用いたフコイダンの分画方法、塩類の存在下で酸性多糖凝集剤を用いるフコイダンの分画方法、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー等があり、必要に応じこれらを組合せて、精製を行うことができる。
フコイダンの分解方法としては、フコイダン分解酵素を使用する方法、酸分解を行う方法、超音波処理を行う方法等フコイダン分解方法として公知の方法を使用することができ、分解物の精製は上記方法にて行えばよい。
フコイダンは硫酸基を分子中に有しており、該基は種々の塩基と反応し塩を形成する。フコイダン、その分解物は塩になった状態が安定であり、通常、ナトリウムおよび/またはカリウム等の塩の形態で単離される。これらの物質の塩はダウエックス50W等の陽イオン交換樹脂で処理することによって遊離の硫酸基を有するフコイダンおよびその分解物に導くことが可能である。また、これらは、さらに必要に応じ、公知慣用の塩交換を行い、所望の種々の塩に交換することができる。フコイダン、それらの分解物の塩としては、薬学的に許容される塩が用いられ、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩、ピリジニウム等の有機塩基との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
フコイダンの分子種の中にはフコースを主成分とする一群と、ウロン酸を数%含み構成糖にフコースやマンノースを多く含む一群の分子種がある。以下、本明細書においてはウロン酸を実質的に含まない方をフコイダン−Fと称し、ウロン酸を含むフコイダンをフコイダン−Uと称し、両者の混合物を単にフコイダンと記載する。
本発明においてはフコイダン−Fとフコイダン−Uをそれぞれ単独で用いても良く、また併用して用いても良い。
すなわち、本発明において使用するアポトーシス誘発剤は、例えば、実施例1に記載のように調製した下記理化学的性質のフコイダン−Uを含有する。
(1)構成糖:フコース、マンノース、ガラクトースを主体とし、ウロン酸を含有する。
(2)フラボバクテリウム(Flavobacterium)sp.SA−0082(FERM BP-5402)の生産するフコイダン分解酵素により低分子化する。
また、本発明で使用するアポトーシス誘発剤は、例えば、実施例2に記載のように調製した下記理化学的性質のフコイダン−Fを含有する。
(1)構成糖:フコースを主体とし、ウロン酸を実質的に含有しない。
(2)フラボバクテリウム(Flavobacterium)sp.SA−0082(FERM BP-5402)の生産するフコダイン分解酵素により実質上低分子化されない。
フコイダンをフコイダン分解性の微生物、例えば、上記フコイダン分解酵素生産性のフラボバクテリウムsp.SA−0082により処理することにより、フコイダンの微生物分解物を調製することができる。
また、上記フコイダン−Uをフコイダン分解酵素、例えば、フラボバクテリウムsp.SA−0082の生産するフコイダン分解酵素で処理することにより、フコイダン−Uの酵素分解物を調製することができる。また、これらの分解物より、各々の分解物の分子量分画物を調製することができる。
なお、一般にフコイダンは酸やアルカリに対して弱いため、酸性溶液やアルカリ性溶液を使用する場合、低分子化が進行し易い。加熱温度、時間、pH等を調整することにより、任意の分解物を調製することができ、例えば、ゲルろ過処理、分子量分画膜処理等により、分解物の平均分子量、分子量分布等を調整することができる。また、フコイダンの分子量および糖組成はフコイダンの原料の収穫期、該原料の乾燥方法、該原料の保存方法により異なり、また、フコイダンの抽出時の加熱条件、pH条件等により異なる。例えば、酸によりフコイダンは加水分解され、アルカリ条件下ではウロン酸のβ−脱離により、低分子化が進行する。したがって、本明細書に記載したフコイダン−U、フコイダン−Fの場合においても、その分子量、分子量分布はその1例にすぎず、フコイダンの処理条件により、その分子量、分子量分布は容易に変化させ得る。例えば、弱アルカリ性で100℃、1時間加熱し、脱塩に際し、ポアサイズ300の分子ふるい膜を使用すれば、分子量分布1000から1万程度のフコイダン、フコイダン−U、フコイダン−F等が調製できる。使用する条件によって任意の分子量、分子量分布のフコイダンを調製でき、本発明において、これらのフコイダンを含有するアポトーシス誘発剤を使用することができる。
フコイダンまたはその分解物を癌細胞の培養液に1μg/ml以上の濃度で添加すれば、添加後1日から数日で癌細胞はアポトーシスを起こし、フコイダン、その分解物が強いアポトーシス誘発作用を有することが確認される。なお、これらの物質は正常細胞にはアポトーシスを誘発せず、毒性も示さない。特に、食用褐藻植物、ナマコ由来のフコイダン、その分解物は天然由来物質であり、安全性が高く、マウスに経口投与を行っても毒性は認められない。
フコイダンをアポトーシス誘発剤として使用する場合は、フコイダンおよび/またはその分解物を公知の医薬用担体と組合せ製剤化して、所望の細胞と接触させればよい。
デキストラン硫酸は、微生物、例えば、ロイコノストック・メッセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)によって生産されるα−1,6結合したD−グルコピラノースのポリマーであるデキストランの硫酸エステルであり、本発明においては市販のデキストラン硫酸を使用することができる。
デキストラン硫酸またはその加熱処理物を癌細胞の培養液に添加すると、添加後1日から数日で癌細胞はアポトーシスを起こし、デキストラン硫酸およびその加熱処理物がアポトーシス誘発作用を有することが確認される。これをアポトーシス誘発剤として使用する場合には、公知の医薬用担体と組合せ製剤化して、所望の細胞と接触させればよい。
また、本発明で使用するウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物とは、分子中にウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する多糖、オリゴ糖、単糖より選択される糖化合物であり、アポトーシス誘発性を有すれば特に限定するものではない。
分子内にウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する多糖としては例えばペクチン、ペクチン酸、アルギン酸、ヒアルロン酸等が挙げられる。
分子内にウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有するオリゴ糖としては、上記多糖由来のオリゴ糖が例示され、公知の方法により製造することができる。また合成法により合成されるオリゴ糖も本発明に包含されるものである。
ウロン酸またはウロン酸誘導体としては、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、これらのラクトン、これらのエステル、例えば、メチルエステル、およびこれらのアミドが例示され、公知の方法により製造することができる。
本発明に使用するアポトーシス誘発性を有する、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物は、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物を原料とし製造することができる。その原料の起源、製造方法に関して特に限定するものではないが、例えば、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を構成成分とする多糖、例えば、ペクチン、ペクチン酸を原料として使用することができる。また、該糖化合物の製造においてはその方法は問わないが、例えば、原料物質よりの化学的、酵素的、物理的な単独または組合わせての製造方法が挙げられる。
本発明に使用する糖化合物の製造における化学的な処理方法としては、例えば、室温〜200℃で数秒〜数時間、好ましくは、50〜130℃で数秒〜60分処理すれば良く、ペクチンの場合、例えば、pH6.8、95℃で数分〜数十分処理することによりβ−脱離反応が生じ、235nm付近の吸光度が増大した不飽和ウロン酸および/または不飽和ウロン酸誘導体を有する糖化合物が得られる。本発明の糖化合物はウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する多糖類のβ−脱離反応により生成する非還元末端に不飽和ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物が含まれる。
本発明に使用する糖化合物の製造における酵素学的な処理方法としては、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体含有多糖加水分解酵素によるウロン酸および/またはウロン酸誘導体含有多糖の公知の分解が挙げられる。また、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体含有多糖リアーゼによるウロン酸および/またはウロン酸誘導体含有多糖の公知の分解が挙げられる。例えば、ペクチン、ペクチン酸の場合、各々、公知のペクチンリアーゼ(EC4.2.2.10)、ペクチン酸リアーゼ(EC4.2.2.2)、エキソポリガラクツロン酸リアーゼ(EC4.2.2.9)で分解することによって、非還元末端に4−デオキシ−L−スレオ−ヘキサ−4−エノピラノシル・ウロネートまたはそのメチルエステルを有する本発明に使用する糖化合物が得られる。また、ヒアルロン酸の場合はヒアルロン酸リアーゼ(EC4.2.2.1)、アルギン酸の場合はアルギン酸リアーゼ(EC4.2.2.3)が使用される。
本発明に使用する糖化合物の製造における物理的な処理方法としては、近赤外線、赤外線、マイクロ波、超音波処理等が挙げられ、例えば、ペクチンおよび/またはペクチン酸をpH中性またはアルカリ性の溶液中に入れ、温度は適宜、室温以上で、適宜還元下、例えば、アスコルビン酸存在下で、時間は1秒以上、好ましくは5秒〜1時間の超音波処理をし、振動エネルギーを与えることが挙げられる。なお、超音波以外にもマイクロ波、近赤外線、赤外線等の照射も有効で、これらを組合せ照射しても良い。照射は連続的に行っても良く、断続的に行っても良い。
本発明に使用するアポトーシス誘発性を有する、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物の分解物とは、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物を原料とし製造することができる。該分解物の製造においてはその方法は問わないが、例えば、原料物質よりの化学的、酵素的、物理的な単独または組合わせての製造方法が挙げられる。
本発明において使用する上記分解物としては、例えば、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物の加熱処理物がある。
本発明に使用する上記加熱処理物の製造における加熱処理方法としては、糖化合物を、例えば、60〜350℃で数秒〜数日、好ましくは80〜150℃で数分〜数日加熱処理すればアポトーシス誘発性を有する加熱処理物が得られる。
糖化合物として使用されるペクチンとしては特に限定されるものではなく、例えば、柑橘類の果皮およびリンゴの果実より抽出される高分子の多糖類を使用することができる。工業的なペクチン製造の原料はフルーツで、レモン、ライム等の柑橘類の搾汁粕(主として内果皮)が用いられるほか、リンゴの搾汁粕も用いられている。搾汁粕には主として不溶性のプロトペクチンが含まれており、製造の段階でこれを可溶化(抽出)し、ペクチンを調製する。可溶化は酸性の温水〜熱水で抽出することにより行うことができ、抽出時の温度、pH、時間条件を原料に合せコントロールすることにより、分子量やエステル化度の一定なペクチンを高収量で製造することができる。抽出液は遠心分離やろ過によって精製し、濃縮後アルコールを添加してペクチンを沈殿させ回収することができる。沈殿は乾燥、粉砕後、所定の乾燥ペクチンを調製することができる。
ペクチンの主構造は、部分的にメチル化されたガラクツロン酸のポリマーである。カルボキシル基はメチルエステル化されたり、フリーの酸のままか、あるいはアンモニウム塩化、カリウム塩化、またはナトリウム塩化されている。ペクチンはメチルエステル化度(DM度:全カルボキシル基に対するメトキシ基の割合)によって、DM度の高いHMペクチンおよびDM度の低いLMペクチンに分類され〔吉積智司ほか編、(株)光琳発行、新食品開発用素材便覧、第114〜119頁(1991)〕、本発明においては市販の食品添加物ペクチン〔外山章夫編、食品と科学社発行、天然物便覧、第12版、第138頁(1993)〕、市販のHMペクチン、LMペクチン等(前出の新食品開発用素材便覧)を使用することができる。
本発明にはペクチン、ペクチン酸の分解物も使用することができる。ペクチンの分解方法としては酸処理、アルカリ処理等の化学的に分解する方法、超音波処理、熱処理、加圧処理、加圧熱処理など物理的に分解する方法、あるいは酵素的に分解する方法等が挙げられる。
本発明において使用するウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/またはその分解物とはその薬学的に許容される塩を包含する。
アポトーシス誘発剤として使用するには、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/またはその分解物を公知の医薬用担体と組合せ製剤化すれば良い。
ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/またはその分解物を癌細胞の培養液に添加すれば、添加後1日から数日で癌細胞がアポトーシスを起こす。また、正常細胞に対しては毒性を示さない。
本発明のウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/またはその分解物は天然由来物質であり、マウスに経口投与、非経口投与を行っても毒性は認められない。
本発明に使用するアポトーシス誘発活性を有する式(1)で表される4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン(以下、単にシクロペンテノンと称す)は化学合成法[カーボハイドレート リサーチ(Carbohydrate Res.)、第247巻、第217〜222頁(1993)、ヘルベチカ キミカ アクタ(Helvetica Chimica Acta)、第55巻、第2838〜2844頁(1972)]で合成することができ、そのトランス体、シス体も本発明に使用することができる。
また、D−グルクロン酸の水溶液を121℃で4時間加熱処理することにより、加熱処理物中にシクロペンテノンが生成される。この加熱物中のシクロペンテノンを溶媒で抽出し、抽出物を濃縮する。ついで、この濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、溶出するシクロペンテノン画分を濃縮し、濃縮物からシクロペンテノンをクロロホルムで抽出し、抽出濃縮物の順相カラムクロマトグラフィーを行うことにより、精製シクロペンテノンを得ることができる。
シクロペンテノンの物性を下記に示す。なお、シクロペンテノンの質量分析はDX302質量分析計(日本電子社製)を用いて行った。また、重クロロホルム溶媒を用いたNMRスペクトルの測定はJNM−A500(日本電子社製)を用いた。比旋光度はDIP−370型旋光計(日本分光社製)、UV吸収スペクトルはUV−2500分光光度計(島津製作所社製)、赤外吸収スペクトル(IR)はFTIR−8000赤外分光光度計(島津製作所社製)をそれぞれ用い、測定した。
MS m/z 115[M+H]+
1H−NMR(CDCl3)
δ4.20(1H,d,J=2.4Hz,H−5)、4.83(1H,m,H−4)、6.30(1H,dd,J=1.2,6.1Hz,H−2)、7.48(1H,dd,J=2.1,6.1Hz,H−3)
ただし、1H−NMRの化学シフト値はCHCl3の化学シフト値を7.26ppmとして表した。
旋光度:[α]D 20 0°(c 1.3、水)
IR(KBr法):3400、1715、1630、1115、1060、1025cm-1に吸収を有する。
UV:λmax215nm(水)
シクロペンテノンをアポトーシス誘発剤として使用するには、シクロペンテノンを公知の医薬用担体と組合せ製剤化すれば良い。
シクロペンテノンを癌細胞の培養液に添加すれば、添加後1日から数日で癌細胞がアポトーシスを起こす。また、正常細胞に対しては毒性を示さない。
本発明に使用するシクロペンテノンはマウスに毒性を示さない。
造血幹細胞は、1個の細胞から赤血球、顆粒球、血小板、リンパ球などの成熟血液細胞を作出す能力(多分化能)を有するとともに、自己複製能を持つ細胞である。
造血幹細胞は(1)造血幹細胞を欠く宿主の造血系の再生、(2)薬物の投与または放射線照射等の治療に先立って疾病宿主より骨髄を取り出して調製した造血幹細胞を、治療後の宿主に再移植する治療、(3)種々の造血細胞の生産、(4)自系造血幹細胞への遺伝子導入による疾病の治療等に用途を有する。
造血幹細胞を得るには、骨髄または他の造血源中の細胞集団中から多能性の造血幹細胞を単離、調製する必要がある。まず、骨髄細胞は骨髄源、例えば、腸骨稜、脛骨、大腿骨、脊椎または他の骨腔(bone cavity)から得ることができる。造血幹細胞の他の入手源は胚卵黄包、胎児肝臓、胎児および成体の脾臓、成体末梢血液および臍帯血をはじめとする血液を包含する。
造血幹細胞の単離、組成物の調製方法としては公知のいずれの方法も使用することができるが、現在最も簡便で効率の良い造血幹細胞組成物の調製方法は、特開平7−313150号公報に記載の造血幹細胞の調製方法であり、該公報に記載の方法によりヒト造血幹細胞の実質上均質な組成物を調製することができる。例えば、抗体で被覆した磁性ビーズを用いる磁気分離、アフィニティークロマトグラフィー、モノクローナル抗体の使用等により、所望の細胞を含む画分を得、これを蛍光活性化セルソーターによりさらに分けて、所望の細胞を得、緩衝剤培地に懸濁する。
単離された、造血幹細胞を含有する組成物はその目的に応じ使用することができるが、該組成物中に癌細胞が混入していれば、その使用方法によっては種々の問題が生じうる。
かくして、本発明では、癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を使用することによって、造血幹細胞組成物中に混在する癌細胞のみを消滅させることに成功したものである。
本発明に使用するアポトーシス誘発剤は、癌細胞にアポトーシスを誘発させ、癌細胞のみを消滅させる濃度で使用することができる。アポトーシス誘発剤は造血幹細胞の培養液中に添加すればよく、また、造血幹細胞組成物の調製時のいずれかの工程において添加すればよいが、調製後の造血幹細胞組成物に添加するのがもっとも効率が良い。
本発明の細胞組成物は、このようにして得られた造血幹細胞を含有する組成物で、自体公知の方法によって製造でき、造血幹細胞の含有量は特に限定するものではなく、組成物の使用目的によって決定される。また、他の造血細胞、ストローマ細胞等が含有されていてもよく、造血幹細胞培養基質、造血幹細胞増殖因子、増殖幹細胞分化因子、造血幹細胞保護剤等を含有してもよい。
本発明によれば、現在癌細胞の除去された造血幹細胞組成物の調製がもっとも困難なマルチプル ミエローマ(multiple myeloma)患者の末梢血[ブラッド(Blood)、第86巻、第381〜389頁(1995)]からも、癌細胞が検出されない、すなわち、癌細胞が実質上除去された造血幹細胞組成物を調製することができる。
調製した造血幹細胞は公知の方法、例えば、上記、特開平7−313150号公報に記載の方法により増殖させることができる。例えば、ストローマ細胞との共存培養や、維持因子を含有する培地等で増殖させることができる。
造血幹細胞は遺伝子導入の標的細胞とすることができる。遺伝子の標的細胞への導入方法は公知の方法に従って行うことができるが、造血幹細胞等の標的細胞への遺伝子導入方法としては、1995年に国際公開されたWO 95/26200号公報に記載の方法が最も効率のよい方法である。
本発明において標的細胞に導入される遺伝子、すなわち、外来遺伝子は、細胞への導入が望まれる任意の遺伝子とすることができる。例えば、外来遺伝子は、疾患に関連しているアデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase;ADA)のようなタンパク質、アンチセンス核酸もしくはリボザイムまたはフォルスプライマー(例えば、1990年11月15日に公開されたWO 90/13641号参照)、細胞内抗体(例えば、1994年2月3日に公開されたWO 94/02610号参照)、増殖因子等をコードするものでよい。
このような外来遺伝子は、これらの遺伝子の発現を制御するのに適当なプロモーター、典型的には外来プロモーターの制御下に導入することができる。また、必要に応じてプロモーター以外の発現制御因子、例えば、ターミネーター配列やエンハンサー配列を付加してもよい。
造血幹細胞への遺伝子導入は、例えば、レトロウイスルベクターを使用して実施することができる。該ベクターは、遺伝子を導入された細胞の選択が容易となるように、抗生物質耐性遺伝子のようなマーカー遺伝子を含有することができる。本発明に使用することができる代表的なベクターには、例えば、N2/ZipTKNEO(TKNEO)ベクター(力価:NIH 3T3細胞で1×105G418r cfu/ml)、ZipPGK−hADAベクターおよびZipPGK−mADAベクター等が含まれ、これらは全てモリッツ(Moritz)ら[ジャーナル オブ エクスペリメンタル メディシン(J.Exp.Med.)、第178巻、第529頁(1993)]によって報告されている。
TKNEOベクターは、単純ヘルペスウイルス チミジンキナーゼ(thymidine kinase)プロモーターによって発現されるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neomycin phosphotransferase)遺伝子を保持している。このベクターを用いて遺伝子を導入された細胞は、該遺伝子によって付与されるネオマイシン耐性を利用して選択することができる。ZipPGK−hADAベクターでは、ヒトADA(「hADA」)cDNAはヒトホスホグリセレートキナーゼ(human phosphoglycerate kinase;PGK)プロモーターによって発現される。このベクターは発現可能な遺伝子としては該遺伝子しか含有しておらず、選択に利用できるマーカー遺伝子を有していない。ZipPGK−mADA(PGK−mADA)ベクターは、ヒトADA cDNAがマウスADA(「mADA」)cDNAで置き換えられていることを除いて、ZipPGK−hADAベクターと同一である。これらのウイルスベクターや他のウイルスベクターの性質およびそれらベクターの製造方法は良く知られており、それらの選択および使用は、本明細書の開示により当業者が適宜選択する範囲内にある。
このように遺伝子を導入した造血幹細胞の組成物は遺伝病の治療に使用することができる。造血細胞に関連する遺伝病は、該疾患の原因である遺伝子の欠損、あるいはその異常を補完しうる遺伝子を有する自己、または同種異系由来の造血幹細胞組成物を患者に移植することにより治療することができる。
例えば、β−サラセミア(β−thalasemia;地中海貧血)、鎌状赤血球貧血、ADA欠乏症、リコンビナーゼ(recombinase)欠乏症、リコンビナーゼ調節遺伝子欠乏症等の疾患は、原因である遺伝子が特定されており、造血幹細胞の遺伝子上に正常な野生型遺伝子を相同もしくはランダムな組換えにより導入したうえ、これを患者に移植して治療を行うことができる。
また、同種異系の造血幹細胞移植の場合には、遺伝子に異常のない、正常な造血幹細胞が治療に用いられる。
遺伝子治療の他の適応は薬物耐性遺伝子の導入によって正常造血幹細胞に薬物耐性を付与し、通常は危険と考えられる高濃度薬物を用いた治療を可能とすることである。特に、本発明により得られる、癌細胞が実質的に除去された造血幹細胞組成物に抗癌剤に対する薬物耐性遺伝子、例えば、多剤耐性遺伝子を導入することにより、高濃度の該抗癌剤を用いた治療が可能である。
造血系に関連するもの以外の疾患であっても、該疾患がホルモン、酵素、サイトカイン、増殖因子等の特定の分泌タンパク質の欠損に関するものであれば造血幹細胞を用いて治療することができる。問題のタンパク質をコードする遺伝子を適切なプロモーターの制御下において造血幹細胞に導入することにより、欠損タンパク質の誘導発現を行うことができる。このタンパク質の発現は、かかるタンパク質を正常に発現する細胞型とは異なる細胞型による発現であっても、天然における発現と同様の作用が得られるように制御することが可能である。
上記のように遺伝子の欠損や異常を補完する他、リボザイム、アンチセンス核酸等をコードする遺伝子やその他の適当な遺伝子を挿入することにより、細胞での特定の遺伝子産物の発現を制御したり、または病気、特に血液系の疾患へのかかり易さを抑制することも可能である。
例えば、HIV、HTLV−I、HTLV−II等の血液性病原体に対しては、造血幹細胞を遺伝子的に修飾し、造血幹細胞または造血幹細胞から分化させた細胞中において上記病原体の増殖を防止するアンチセンス核酸もしくはリボザイムを発現させることができる。
また、別法として、T細胞に属する細胞から細胞表面の受容体のうちの特定の分子を除去する事もできる。すなわち、相同組換えによる該受容体遺伝子の修飾、または該受容体遺伝子の発現を妨げるようなアンチセンス核酸もしくはリボザイムを用いて特定の受容体の発現を抑制しうる。
得られた遺伝子導入造血幹細胞組成物は細胞移植におけるレシピエントとなる脊椎動物に、例えば、静脈内投与によって、慣用的に導入することができる。レシピエントは好ましくはドナー自身であるが、同種異系移植であってもよく、特に臍帯血液細胞を移植に使用する場合には後者である。
本発明に開示の癌細胞選択性を有するアポトーシス誘発剤を使用することにより、遺伝子導入の標的細胞組成物中の癌細胞を選択的に除去することができる。遺伝子導入の標的細胞は、特に限定されないが、例えば、幹細胞(stem cells)、造血細胞、プライモデルアル ジャーム セル(primordial germ cell)、卵母細胞、卵原細胞、卵子、精母細胞、精子、CD34+細胞、C−kit+細胞、リンパ球、B細胞、T細胞、骨髄系細胞等から選択される細胞が挙げられる。これらの細胞を含む細胞組成物はそれぞれ公知の方法により調製することができる。
さらに、標的細胞として、胚性幹細胞、プライモデイアル ジャーム セル、卵母細胞、卵原細胞、卵子、精母細胞、精子等を使用すれば、簡便に形質転換脊椎動物を作成することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。なお、実施例における%は重量%を意味する。
実施例1
(1)ガゴメ昆布を十分乾燥後、2kgを自由粉砕機M−2型(奈良機械製作所製)により粉砕し、得られた乾燥粉末を9リットルの80%エタノールに懸濁し80℃、2時間処理した。処理後ろ紙によりろ過し残渣を得た。この残渣に対して上記エタノール洗浄、ろ過という操作を3回繰り返しエタノール洗浄残渣を得た。この残渣を36リットルの0.2M酢酸カルシウム溶液に懸濁後、95℃、2時間処理し、ろ過した。残渣を4リットルの0.2M酢酸カルシウム溶液で洗浄し、ガゴメ昆布のフコイダン抽出液36リットルを得た。
このろ液を排除分子量10万の限外ろ過膜を装着した限外ろ過器により2リットルに濃縮し、つぎに、終濃度が1.5Mとなるように塩化ナトリウムを添加し5%の塩化セチルピリジニウムをこれ以上沈殿が生じなくなるまで添加した。生じた沈殿を遠心分離により除去した。得られた上清を限外ろ過により1リットルに濃縮し、4リットルのエタノールを添加し、生じた沈殿を遠心分離により集めた。この沈殿に100mlの4M塩化ナトリウムを添加し、よく攪拌後、エタノールを80%となるように添加し、攪拌後、遠心分離により沈殿を得た。この沈殿を80%エタノール中に懸濁し遠心分離する操作を、上清中の260nmの吸光度がなくなるまで繰り返した。この沈殿を2Mの塩化ナトリウム2リットルに溶解し、不溶物を遠心分離により除去後、50mlのDEAE−セルロファインA−800(生化学工業社製)を添加し、撹拌後、加えた樹脂をろ過により除去した。ろ液を2Mの塩化ナトリウムで平衡化したDEAE−セルロファインA−800カラムにかけ非吸着分を排除分子量10万以下のホロファイバーを備えた限外ろ過装置で限外ろ過し、着色性物質および塩化ナトリウムを完全に除去後、遠心分離およびろ過により不溶性物質を除去し、凍結乾燥し、フコイダン−Uを調製した。凍結乾燥フコイダン−Uの重量は15gであった。
得られたフコイダン−Uの分子量をセファクリルS−500を用いたゲルろ過法により求めたところ、約19万を中心とした分子量分布を示した。
(2)上記のフコイダン−Uおよび下記実施例2で調製したフコイダン−Fの各塩化ナトリウム濃度における、過剰量の塩化セチルピリジニウム存在下における沈殿形成性を図1に示す。
図1の縦軸は沈殿形成率(%)を示し、横軸は塩化ナトリウム濃度(M)を示す。図中、実線および白丸は本発明のフコイダン−Uの各塩化ナトリウム濃度での沈殿形成率を示し、図中、点線および白三角はフコイダン−Fの各塩化ナトリウム濃度(M)での沈殿形成率を示す。
沈殿形成率の測定は、溶液温度37℃にて、以下のように行った。
フコイダン−Uおよびフコイダン−Fをそれぞれ2%の濃度で水および4Mの塩化ナトリウムに溶解し、これらを様々な割合で混合することにより様々な濃度の塩化ナトリウムに溶解したフコイダン−Uおよびフコイダン−F溶液を各125μlずつ調製した。つぎに、塩化セチルピリジニウムを2.5%の濃度で水および4Mの塩化ナトリウムに溶解し、それらを混合することにより様々な濃度の塩化ナトリウムに溶解した1.25%の塩化セチルピリジニウム溶液を調製した。
水に溶解している2%のフコイダン−Uおよびフコイダン−Fを1.25%の塩化セチルピリジミウムで完全に沈殿させるには容量で3.2倍必要であった。そこで、各濃度の塩化ナトリウムに溶解した2%のフコイダン−Uおよびフコイダン−Fの各125μlに対して各々の濃度の塩化ナトリウムに溶解した塩化セチルピリジニウム溶液を400μl添加後、十分攪拌し、30分放置後、遠心分離し上清中の糖含量をフェノール−硫酸法[アナリティカル ケミストリー(Analytical Chemistry)、第28巻、第350頁(1956)]により測定し、各塩化ナトリウム濃度下での各フコイダンの沈殿形成率を算出した。
(3)上記のフコイダン−Uの成分を以下に示す方法で分析した。
まず、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)、第175巻、第595頁(1948)の記載に従いフコース量を定量した。
得られたフコイダン−Uの乾燥標品を1規定の塩酸に0.5%の濃度で溶解し、110℃で2時間処理し、構成単糖に加水分解した。グライコタッグ(GlycoTAGTM)およびグライコタッグ リージェント キット(GlycoTAGTM Reagent Kit)(共に宝酒造社製)を用いて加水分解して得られた単糖の還元性末端をピリジル−(2)−アミノ化(PA化)し、HPLCにより構成糖の比率を調べた。
つぎに、アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry)、第4巻、第330頁(1962)の記載に従いウロン酸量を定量した。
また、バイオケミカル ジャーナル(Biochemical Journai)、第84巻、第106頁(1962)の記載に従い硫酸含量を定量した。
以上の結果、フコイダン−Uの構成糖はフコース、マンノース、ガラクトース、グルコース、ラムノース、キシロース、ウロン酸であった。
その他の中性糖は実質的に含有されていなかった。また、主要成分のフコース:マンノース:ガラクトース:ウロン酸:硫酸基はモル比で約10:7:4:5:20であった。
(4)フコイダン−Uの構造は以下のようにして決定した。
(4)−1 精製したフコイダン−Uに下記エンド型フコイダン分解酵素を作用させ分解物の精製を行った。
すなわち、1%のフコイダン−U溶液16mlと、50mMのリン酸緩衝液(pH8.0)12mlと4Mの塩化ナトリウム4mlと32mU/mlの下記エンド型フコイダン分解酵素溶液8mlを混合し、25℃で48時間反応させた。反応の進行と共に230nmの吸光度が増加することを確認し、本酵素によりフコイダン−Uが分解されていることが判明した。
この反応液をマイクロアシライザーG3(旭化成社製)により脱塩後、DEAE−セファロースFF(ファルマシア社製)により3つの画分(a)、(b)、および(c)に分離精製した。
なお、このエンド型フコイダン分解酵素は以下の方法により調製される。
該エンド型フコイダン分解酵素の生産に用いる菌株としては、該エンド型フコイダン分解酵素生産能を有する菌株であればいかなる菌株でもよいが、具体例としては例えば、フラボバクテリウム(Flavobacterium)sp.SA−0082株(FERM BP−5402)が挙げられる。
本菌株は青森県の海水中より新たに検索して得た菌株で、この菌株はFlavobacterium sp.SA−0082と表示され、平成7年3月29日(原寄託日)より、ブタペスト条約の下、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号の工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−5402の受託番号で寄託されている。
本菌株の培地に加える栄養源は使用する菌株が利用し、エンド型フコイダン分解酵素を生産するものであればよく、炭素源としては例えばフコイダン、海藻粉末、アルギン酸、フコース、グルコース、マンニトール、グリセロール、サッカロース、マルトース、ラクトース、デンプン等が利用でき、窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、カザミノ酸、コーンスティープリカー、肉エキス、脱脂大豆、硫安、塩化アンモニウム等が適当である。その他にナトリウム塩、リン酸塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩等の無機質、および金属塩類を加えてもよい。
本エンド型フコイダン分解酵素の生産菌を培養するにあたり、生産量は培養条件により変動するが、一般に培養温度は15℃〜30℃、培地のpHは5〜9がよく、5〜72時間の通気撹拌培養で本エンド型フコイダン分解酵素の生産量は最高に達する。培養条件は使用する菌株、培地組成等に応じ、本エンド型フコイダン分解酵素の生産量が最大になるように設定するのは当然のことである。
本エンド型フコイダン分解酵素は菌体中にも培養物上清中にも存在する。
上記のフラボバクテリウムsp.SA−0082株を適当な培地で培養し、その菌体を集め、通常用いられる細胞破壊手段、例えば、超音波処理などで菌体を破砕すると無細胞抽出液が得られる。
ついで、この抽出液から通常用いられる精製手段により精製酵素標品を得ることができる。例えば、塩析、イオン交換カラムクロマト、疎水結合カラムクロマト、ゲルろ過等により精製を行い、他のフコイダン分解酵素を含まない純化された本エンド型フコイダン分解酵素を得ることができる。
また、上記の培養液から菌体を除去した培養液上清中にも本酵素(菌体外酵素)が大量に存在するので、菌体内酵素と同様の精製手段により精製することができる。
エンド型フコイダン分解酵素の精製例を示す。
フラボバクテリウムsp.SA−0082(FERM BP−5402)をグルコース0.25%、ペプトン1.0%、酵母エキス0.05%を含む人工海水(ジャマリンラボラトリー製)pH7.5からなる培地600mlを分注して殺菌した(120℃、20分)2リットルの三角フラスコに接種し、24℃で24時間培養して種培養液とした。グルコース0.25%、ペプトン1.0%、酵母エキス0.05%、及び消泡剤(信越化学工業製KM70)0.01%を含む人工海水(ジャマリンラボラトリー製)pH7.5からなる培地20リットルを30リットル容のジャーファーメンターに入れ120℃で20分殺菌した。冷却後、上記の種培養液600mlを接種し、24℃で24時間、毎分10リットルの通気量と毎分125回転のかくはん速度の条件で培養した。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体を得た。
この菌体を、200mMの塩化ナトリウムを含む20mMの酢酸−リン酸緩衝液(pH7.5)に懸濁し、超音波破砕後、遠心分離して菌体抽出液を得た。この菌体抽出液中の本発明のエンド型フコイダン分解酵素の活性を測定したところ、培地1ml中に5mUの活性が検出された。なお、活性測定については後に記載する。
本抽出液に、終濃度が90%飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、撹拌溶解後、遠心分離し、沈殿を上記菌体抽出液と同じ緩衝液に懸濁して、50mMの塩化ナトリウムを含む20mMの酢酸−リン酸緩衝液(pH7.5)で十分透析した。透析により生じた沈殿を遠心分離により除去後、あらかじめ50mMの塩化ナトリウムを含む20mMの酢酸−リン酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したDEAE−セファロースFFのカラムに吸着させ、吸着物を同緩衝液にて十分洗浄後、50mMから600mMの塩化ナトリウムの直線濃度勾配により溶出させ、活性画分を集めた。つぎに、この活性画分に終濃度が4Mとなるように塩化ナトリウムを加え、あらかじめ4Mの塩化ナトリウムと含む20mMのリン酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したフェニルセファロースCL−4B(ファルマシア社製)のカラムに吸着させ、吸着物を同緩衝液で十分洗浄後、4Mから1Mの塩化ナトリウムの直線濃度勾配により溶出させ、活性画分を集めた。つぎに、この活性画分を限外ろ過器で濃縮後、あらかじめ50mM塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液で平衡化したセファクリル S−300(ファルマシア社製)でゲルろ過を行い活性画分を集めた。この酵素の分子量をセファクリル S−300の保持時間から求めたところ約46万であった。次にこの活性画分に25mMの塩化ナトリウムを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7)で透析した。この酵素液を、あらかじめ250mMの塩化ナトリウムを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7)で平衡化したモノ(Mono)Q HR5/5(ファルマシア社製)のカラムに吸着させ、吸着物を同緩衝液で十分洗浄後、250mMから450mMの塩化ナトリウムの直線濃度勾配により溶出させ、活性画分を集め、精製酵素を得た。以上の精製工程を表1に示す。なお、タンパク質の定量は、酵素液の280nmの吸光度を測定することにより行う。その際1mg/mlのタンパク質溶液の吸光度を1.0として計算する。
本酵素の活性測定は下記のように行う。
2.5%のガゴメ昆布由来のフコイダン溶液50μlと、10μlの本酵素と、60μlの667mM塩化ナトリウムを含む83mMリン酸緩衝液pH7.5を混合し、37℃、3時間反応させた後、反応液105μlと水2mlを混合、撹拌し、その230nmにおける吸光度(AT)を測定する。対照として、本酵素の代りに、本酵素を溶解している上記緩衝液のみを用いて同様の条件により反応させたもの、およびフコイダン溶液の代りに水のみを用いて反応を行ったものを用意し、それぞれ同様に吸光度を測定する(AB1およびAB2)。
1単位の酵素は、上記反応系において1分間に1μmolのマンノースとウロン酸の間のグリコシド結合を脱離的に切断する酵素量とする。切断された結合の定量は、脱離反応の際に生じた不飽和ウロン酸のミリモル分子吸光係数を5.5として計算し行う。なお、酵素の活性は式:
(AT−AB1−AB2)×2.105×120/5.5×105×
0.01×180=U/ml
式中、
2.105は吸光度を測定するサンプルの液量(ml)、
120は酵素反応液の液量(μl)、
5.5は不飽和ウロン酸の230nmにおけるミリモル分子吸光係数(/mM)、
105は希釈に用いる反応液の液量(μl)、
0.01は酵素液量(ml)、
180は反応時間(分)
である。
なお、基質のガゴメ昆布由来のフコイダンはつぎのように調製した。
乾燥ガゴメ昆布を自由粉砕機M−2型により粉砕し、10倍量の85%メタノール中で70℃、2時間処理後、ろ過し、残渣を10倍量のメタノール中で70℃、2時間処理し、ろ過する。残渣に20倍量の水を加え、100℃、3時間処理しろ過により抽出液を得る。抽出液の塩濃度を400mMの塩化ナトリウム溶液と同じにした後、セチルピリジニウムクロリドをこれ以上沈殿が生じなくなるまで添加し、遠心分離する。その沈殿を、エタノールで十分洗浄し、セチルピリジニウムクロリドが完全に除去できたら、限外ろ過器(ろ過膜の排除分子量10万)(アミコン社製)により脱塩及び低分子物質の除去を行い、この際生じた沈殿を遠心分離により除去する。この上清を凍結乾燥して精製ガゴメ昆布フコイダンを得る。
(4)−2 上記のエンド型フコイダン分解酵素は、複合多糖中に存在するD−マンノースとD−グルクロン酸の間のα1→4結合を脱離的に分解する酵素であり、フコイダンに作用させると、以下の式(2)、(3)および(4)の式で表される構造を有するオリゴ糖を生成する。
そこで、上記のDEAE−セファロースFFで分離精製した3つの画分(a)、(b)および(c)をそれぞれ一部だけグライコタッグおよびグライコタッグ リージェント キットを用いて還元性末端を、ピリジル−(2)−アミノ化(PA化)し、各PA化糖(PA−a)、(PA−b)および(PA−c)を得た。(PA−a)、(PA−b)および(PA−c)をHPLCにより分析し、上記の式(2)、(3)および(4)の構造式で表される3種のオリゴ糖のPA化物との相違性を調べた。
なお、HPLCの条件は下記によった。
(ア)分子量分画カラムを用いたHPLC分析
装置:L−6200型(日立製作所製)
カラム:SHODEX SB−803(4.6×250mm)(昭和電工社製)
溶離液:0.2M塩化ナトリウム:ジメチルスルホキシド=9:1
検出:蛍光検出器 F−1150(日立製作所製)にて励起波長320nm、
蛍光波長400nmで検出
流速:1ml/分
カラム温度:50℃
(イ)逆相カラムを用いたHPLC分析
装置:L−6200型(日立製作所製)
カラム:L−カラム(4.6×250mm)[(財)化学薬品検査協会]
溶離液:50mM酢酸−トリエチルアミン(pH5.5)
検出:蛍光検出器 F−1150(日立製作所製)にて励起波長320nm、
蛍光波長400nmで検出
流速:1ml/分
カラム温度:40℃
上記2種のHPLC分析の結果、フコイダン−Uを上記エンド型フコイダン分解酵素で分解して得られた3種のオリゴ糖と上記の式(2)、(3)および(4)の構造式で表される3種のオリゴ糖は同一のものであった。
したがって(a)は、還元末端残基であるD−マンノースに不飽和D−グルクロン酸と、硫酸基が結合したL−フコースが結合した構造を持ち、(b)は硫酸基が結合した還元末端残基であるD−マンノースに不飽和D−グルクロン酸と、2個の硫酸基が結合したL−フコースが結合した構造を持ち、(c)は還元末端残基であるD−マンノースにD−グルクロン酸と、硫酸基が結合したL−フコースが結合し、そのD−グルクロン酸にD−マンノースが結合し、さらにそのD−マンノースに不飽和D−グルクロン酸と、硫酸基が結合したL−フコースが結合した構造を持つ。
以上より、得られたフコイダン−Uは、D−グルクロン酸とD−マンノースが交互に結合した構造を持ち、少なくとも1つ以上のD−マンノースにL−フコースが結合している構造を有する。
また、式:
の構造式で表される部分構造を有する(ただし、式中の少なくとも1つのアルコール性水酸基は硫酸エステル化しており、またnは1以上の整数を表す)。
以上このフコイダン−Uに上記のエンド型フコイダン分解酵素を作用させると上記の化2、化3および化4の構造式で表されるオリゴ糖を生じた。
このフコイダン−Uの凍結乾燥物の比旋光度を高速・高感度旋光計SEPA−300(堀場製作所製)により測定したところ、−53.6度であった。
実施例2
(1)ガゴメ昆布を十分乾燥後、2kgを自由粉砕機M−2型により粉砕し、得られた乾燥粉末を9リットルの80%エタノールに懸濁し80℃、2時間処理した。処理後ろ紙によりろ過し残渣を得た。この残渣に対して上記エタノール洗浄、ろ過という操作を3回繰り返しエタノール洗浄残渣を得た。この残渣を36リットルの0.2M酢酸カルシウムに懸濁後、95℃、2時間処理し、ろ過した。残渣を4リットルの0.2M酢酸カルシウムで洗浄し、ガゴメ昆布のフコイダン抽出液36リットルを得た。
得られたろ液に5%の塩化セチルピリジニウムをそれ以上沈殿が生じなくなるまで添加し、遠心分離により沈殿を集めた。この沈殿を3リットルの0.4M塩化ナトリウムに懸濁後遠心分離し、洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返した後沈殿に1リットルの4M塩化ナトリウムを添加し、よく撹拌後、エタノールを80%となるように添加し、攪拌後、遠心分離により沈殿を得た。この沈殿を80%エタノール中に懸濁し遠心分離する操作を、上清中の260nmの吸光度をがなくなるまで繰り返した。この沈殿を2M塩化ナトリウム3リットルに溶解し、不溶物を遠心分離により除去後、100mlのDEAE−セルロファインA−800を添加し、攪拌後、加えた樹脂をろ過により除去した。ろ液を2M塩化ナトリウムで平衡化したDEAE−セルロファインA−800カラムにかけ、非吸着分を排除分子量10万以下のホロファイバーを備えた限外ろ過装置で限外ろ過し、着色性物質及び塩化ナトリウムを完全に除去後、遠心分離およびろ過により不溶性物質を除去し、凍結乾燥し、フコイダンを調製した。
該凍結乾燥フコイダンの重量は90gであった。
このフコイダンの凍結乾燥物を7g秤量し、0.2Mの塩化カルシウムに溶解した。次に、4000mlのDEAE−セファロースFFのカラムを0.2Mの塩化カルシウムで平衡化した。0.2Mの塩化カルシウムに溶解したフコース硫酸含有多糖混合物をDEAE−セファロースFFのカラムにかけ、0.2Mの塩化カルシウムで十分洗浄し、つぎに、0〜4Mの塩化ナトリウムの直線濃度勾配で溶出させた。溶出画分のうち、塩化ナトリウム濃度が0.05〜0.8Mの画分を集め透析により脱塩後凍結乾燥し、実質的にフコイダン−Fと分離されたフコイダン−Uを2.1g得た。
また、上記溶出画分のうち、塩化ナトリウム濃度が0.9〜1.5Mの画分を集め透析により脱塩後凍結乾燥し、実質的にフコイダン−Uと分離されたフコイダン−Fを4.7g得た。
上記のフコイダン−Fの分子量をセファクリルS−500を用いたゲルろ過法により求めたところ、約19万を中心とした分子量分布を示した。
(2)フコイダン−Fの成分を実施例1に記載の方法に準じ分析した。
このフコイダン−Fの構成糖はフコース、ガラクトースで、そのモル比は約10:1であった。ウロン酸およびその他の中性糖は実質的に含有されていなかった。また、フコースと硫酸基のモル比は約1:2であった。
1%のフコイダン−F溶液16mlと、50mMのリン酸緩衝液(pH8.0)12mlと4Mの塩化ナトリウム4mlと32mU/mlの実施例1−(3)に記載のエンド型フコイダン分離酵素溶液8mlを混合し、25℃で48時間反応させた。反応による分解物の生成は認められなかった。
このフコイダン−Fの凍結乾燥物の比旋光度を高速・高感度旋光計SEPA−300(堀場製作所製)により測定したところ、−135度であった。
実施例3
(1)56℃、30分間処理した牛胎児血清(JRHバイオサイエンス社製)を10%含むRPMI1640培地(ギブコ社製)にて37℃で培養したミエローマ細胞(P3X63Ag8:ATCC TIB−9)を牛胎児血清を10%含むRPMI1640培地にて1×104個/1.8mlとなるように懸濁した。それぞれの懸濁液1.8mlに対し、5、10、20mg/mlとなるように100mMの塩化ナトリウムを含む50mM HEPES緩衝液(pH7.2)に溶解し、120℃、20分間加熱処理をした実施例1記載のフコイダン−U、実施例2記載のフコイダン−Fを0.2ml添加し、37℃、5%CO2存在下で92時間培養した。
培養した細胞を顕微鏡で観察し、増殖の程度および細胞の形態を調べた。この結果フコイダン−Uまたはフコイダン−Fを添加したミエローマ細胞は細胞縮小及び細胞核断片化等のアポトーシスの特徴を示した。試料無添加の対照のミエローマ細胞は細胞数が約70倍に増加したが、フコイダン−Uまたはフコイダン−Fを添加したミエローマ細胞は死滅し、これら2種のフコイダンは強いアポトーシス誘発作用を示した。なお、培養開始後経時的に、生細胞数を「組織培養の技術(第2版)」朝倉出版、日本組織培養学会編(1990年)記載の方法(第26〜28頁)に従って計測した。すなわち、トリパンブルー染色された細胞を血球計算板上で計数し、生細胞数を求めた。
結果を図2、図3に示す。図2、図3は培養時間と生細胞数の関係を示す図であり、横軸は培養時間、縦軸は培養液中の生細胞数を示す。図3は図2の縦軸のスケールを拡大したものである。図2、図3中×印は試料無添加対照(C)、白丸はフコイダン−Uを0.5mg/ml添加、白三角はフコイダン−Uを1mg/ml添加、白四角はフコイダン−Uを2mg/ml添加、黒丸はフコイダン−Fを0.5mg/ml添加、黒三角はフコイダン−Fを1mg/ml添加、黒四角はフコイダン−Fを2mg/ml添加したことを示す。
(2)56℃、30分間処理した牛胎児血清(JRHバイオサイエンス社)を10%含むRPMI1640培地(ギブコ社製)にて37℃で培養したヒト前骨髄性白血病細胞HL−60(ATCC CCL−240)をASF104培地(味の素社製)にて5×104個/900μlとなるように懸濁し、FALCON社製6ウェルプレート上の各ウェルに4.5mlずつ分注した。それぞれの懸濁液に対し、実施例1記載のフコイダン−U、及び実施例2記載のフコイダン−Fを10mg/mlとなるように120mMの塩化ナトリウムを含む30mM HEPES緩衝液(pH7)に溶解し、フィルターろ過処理したものを0.5ml添加し、37℃、5%CO2存在下で培養した。なお、対照として上記緩衝液のみを同量添加し同様に培養した。培養開始16時間後と40時間後の生細胞数を上記同様の方法で計測した。
得られた結果を図4に示す。すなわち、図4はHL−60細胞の培養液にフコイダン−Uまたはフコイダン−Fを1mg/mlとなるように添加したときの培養時間と培養液中の生細胞数の関係を表す図であり、横軸は培養時間、縦軸は培養液中の生細胞数を示す。図4中の培地に添加したフコイダンの種類は白丸がフコイダン−U、黒丸がフコイダン−Fであることを示す。なお、対照(試料無添加)の培養液中の生細胞数は培養16時間後で7×104個/ml、40時間後で1.4×105個/mlであった。
この結果HL−60細胞はフコイダン−Uおよびフコイダン−Fによりアポトーシスを誘発され細胞増殖速度が抑制されることが判明した。
また、フコイダン−U、フコイダン−Fを10mg/mlとなるように120mMの塩化ナトリウムを含む30mM HEPES緩衝液(pH7)に溶解し、121℃、20分間オートクレーブ処理したもののアポトーシス誘発作用を上記方法に準じ測定し、同様の結果を得た。
(3)6〜8週齢のマウス(C3H/HeJ)に150me/kgの5−フルオロウラシル(5−FU、アムレスコ社製)を腹腔内投与し、その2日後に大腿骨および脛骨を摘出して骨髄を採取した。得られた骨髄をフィコール−ハイパク(Ficoll Hypaque密度1.0875g/ml、ファルマシア社製)を用いた密度勾配遠心分離に供し、低密度単核細胞画分を調製してこれをマウス骨髄細胞とした。
マウス骨髄細胞は実施例1記載のフコイダン−U、または実施例2記載のフコイダン−Fの存在下、または非存在下で液体培養した。すなわち、20%牛胎児血清、100単位/ml組換えヒトインターロイキン−6(rhIL−6、アムジェン社製)、100ng/ml組換えマウス幹細胞因子(rmSCF、アムジェン社製)、50単位/mlのペニシリンおよび50μg/mlのストレプトマイシンを含有するα−MEM(ギブコ社製)中に1×106個/mlの細胞密度で上記のマウス骨髄細胞を添加し、更にフコイダン−Uまたはフコイダン−Fを1mg/mlの濃度で添加した。これを5%CO2中、37℃で48時間インキュベートした。
インキュベート終了後、非接着細胞をデカンテーションによって、またプレートに接着した細胞は細胞解離緩衝液(CDB、酵素を含まない、ギブコ社製)を使用してそれぞれ採集し、これらを合わせて細胞数を計数した。採集した細胞はHPP−CFC(High Proliferative Potential-Colony Forming Cells、高増殖能コロニー形成細胞)アッセイに供した。
HPP−CFCアッセイはブラッドレー(Bradley)等の方法[Aust.J.Exp.Biol.Med.Sci.、第44巻、第287〜293頁(1966年)]に従って行った。培地には1%/0.66%重層軟寒天培地を使用し、1ウエルあたりに5×104個の感染細胞を添加し、10%CO2中、37℃で13日間インキュベートした。インキュベーション終了後、出現したコロニーを倒立顕微鏡で観察し、HPP−CFC由来の高密度コロニー(径0.5mm以上)を計数した。
その結果を図5に示す。すなわち図5はフコイダンと高密度コロニー数の関係を示す図であり、横軸に使用したフコイダンおよびフコイダン無添加の対照を、縦軸に高密度コロニー数を示す。図5に示されるように、形成される高密度コロニーの数に関して、フコイダン−Uまたはフコイダン−Fを培地中に添加した場合と対照との間に有意差は認められなかった。
実施例4
56℃、30分間処理した牛胎児血清(JRHバイオサイエンス社製)を10%含むRPMI1640培地(ギブコ社製)にて37℃で培養したミエローマ細胞(P3X63Ag8U.1:ATCC CRL−1597)を、牛胎児血清を10%含むRPMI1640培地にて2.5×105個/4.5mlとなるように懸濁した。それぞれの懸濁液4.5mlに対し、10mg/mlとなるように120mMの塩化ナトリウムを含む50mM HEPES緩衝液(pH7.0)に溶解し、フィルター滅菌したデキストラン硫酸[オンコー(Oncor)社製、分子量50万]を0.5ml添加し、37℃、5%CO2存在下で60時間培養した。
培養した細胞を顕微鏡で観察し、増殖の程度および細胞の形態を調べた。この結果デキストラン硫酸を添加したミエローマ細胞は細胞縮小および細胞核断片化等のアポトーシスの特徴を示した。試料無添加の対照のミエローマ細胞は細胞数が約20倍に増加したが、デキストラン硫酸を添加したミエローマ細胞は死滅し、デキストラン硫酸は強いアポトーシス誘発作用を示した。なお、培養開始後経時的に、生細胞数をトリパンブルー染色によって計数した。
結果を図6に示す。図6は培養時間と生細胞数の関係を示す図であり、横軸は培養時間、縦軸は培養液中の生細胞数を示す。図6中、白四角は試料無添加(対照)、白丸はデキストラン硫酸1mg/ml添加を示す。
つぎに、10mg/mlとなるように120mMの塩化ナトリウムを含む50mM HEPES緩衝液(pH7.0)に溶解し、120℃、20分間加熱処理したデキストラン硫酸[オンコー(Oncor)社製、分子量50万]を用い、上記方法に準じそのアポトーシス誘発作用を測定した。
結果を図7に示す。図7は培養時間と生細胞数の関係を示す図であり、横軸は培養時間、縦軸は培養液中の生細胞数を示す。図7中、白四角は試料無添加(対照)、黒丸は加熱処理デキストラン硫酸1mg/ml添加を示す。加熱処理デキストラン硫酸においても強いアポトーシス誘発作用が認められた。
実施例5
市販のレモン製ペクチンを120mM塩化ナトリウムを含む50mM HEPES緩衝液(pH7.0)に10mg/mlとなるように溶解するとpH5.0であった。これを121℃、30分間加熱処理したものの紫外部吸収スペクトルを測定すると、加熱処理物では235nm付近の吸光度が増大していた。
これらの試料を1N水酸化ナトリウムでpH7.0に調整し、アポトーシス誘発活性を実施例3−(2)の方法に従って測定した。
その結果を図8に示す。ペクチン加熱処理物は顕著なアポトーシス誘発活性を示した。すなわち、図8はHL−60細胞の培養液にペクチンの加熱処理物溶液を1mg/mlとなるように添加したときの培養時間と培養液中の生細胞数の関係を示す図であり、横軸は培養時間、縦軸は培養液中の生細胞数を示す。図8中において白四角は試料無添加(対照)、白菱形はペクチン加熱処理物添加をそれぞれ示す。
実施例6
(1)10gのD−グルクロン酸(シグマ社製G 5269)を1リットルの水に溶解し、121℃で4時間加熱した後約10mlになるまで減圧下濃縮した。これに酢酸ブチル:酢酸:水=3:2:2混合液の上層40mlを加えて混合後、遠心によって得た上清を減圧下約10mlまで濃縮した。
上記抽出液をカラムクロマトグラフィー用シリカゲルBW−300SP(2×28cm、富士シリシア化学社製)に供し、酢酸ブチル:酢酸:水=3:2:2の上層を溶離液としてコンプレッサーで0.2kg/cm2に加圧し、毎分5mlの流速で分離を行った。1画分当り10mlになるように分画し、各画分の一部をとって薄層クロマトグラフィーで分析したところ61番から80番までの画分に高純度のシクロペンテノンが含まれていた。これらの画分を集めて減圧下濃縮した後40mlのクロロホルムで抽出し、抽出液を減圧下濃縮することによって約100mgのシクロペンテノンを得た。
この画分をパルパックタイプS(PALPAK TypeS)カラム(宝酒造社製)を用いた順相HPLCで分離し、215nmの紫外線吸収で検出したところ、純度は98%であった。
(2)臍帯血管内皮細胞であるHUVEC細胞(初代培養、クロネティクス(Clonetics)社製、CC−2517)を1回継代後、常法に従い凍結保存したものを解凍し、リン酸緩衝食塩水(宝酒造社製)で2回洗浄後、10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地に1×105個/mlとなるように懸濁した。この細胞懸濁液を96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに90μlずつ分注し、10、20、50、100、200、500、又は1000μMシクロペンテノン水溶液、あるいは対照として水を10μl添加した。5%CO2存在下37℃で48時間培養した後、5mg/mlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT;シグマ社製)リン酸緩衝食塩水溶液10μlを加えて更に4時間培養を続けた後、顕微鏡で細胞の生育状態を観察した。また、0.04N塩酸含有2−プロパノール100μlを加えてよく撹拌し、590nmにおける吸光度を測定した。シクロペンテノン添加区分の590nmにおける吸光度の、水を加えて培養した対照区分の590nmにおける吸光度に対する比を計算し、アポトーシス誘発作用を細胞増殖抑制活性で測定した。
HL−60細胞に関しても同様の操作を行った。ただし、本細胞は10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で継代培養したものを用いた。
その結果、シクロペンテノンは正常細胞であるHUVEC細胞に対するよりも癌細胞株であるHL−60細胞に対して強い細胞増殖抑制活性をもっていた。
その結果を図9に示す。すなわち、図9はシクロペンテノン添加量(最終濃度)と細胞増殖の度合いの関係を示す図であり、図9において横軸はシクロペンテノン濃度(最終濃度、μM)を、縦軸は各濃度のシクロペンテノン添加区分の590nmにおける吸光度の、水添加区分の590nmにおける吸光度に対する比(%)を示す。また、図中、白丸はHUVECを用いた場合、黒丸はHL−60を用いた場合の結果を示す。また顕微鏡観察下の細胞の生育と590nmにおける吸光度は平行関係にあった。
(3)線維芽細胞であるNIH/3T3細胞(ATCC CRL−1658)を常法通りトリプシンで分散させた後、5×104個/mlになるように10%牛胎児血清含有ダルベッコ改変イーグル培地に懸濁し、96穴マイクロタイタープレートのウェルに90μlずつ分注した。15.6、31.3、62.5、125、250、500または1000μMシクロペンテノン水溶液、あるいは対照として水10μlを添加し、5%CO2存在下37℃で48時間培養した。5mg/ml MTTリン酸緩衝食塩水溶液10μlを加えて、さらに4時間培養を続けた後、顕微鏡で細胞の生育状態を観察し、アポトーシス誘発作用を細胞増殖抑制活性で測定した。
HL−60細胞についても同様の操作を行った。ただし、本細胞は10%牛胎児血清含有RPMI1640培地で培養した。
その結果、NIH/3T3細胞では終濃度25μMシクロペンテノン添加区分で細胞の増殖が見られず、終濃度12.5μMシクロペンテノン添加区分では対照の水添加区分と同様の細胞増殖が見られた。
これに対して、HL−60細胞では終濃度6.25μMシクロペンテノン添加区分において細胞増殖が見られず、大部分の細胞が死滅していた。よって、シクロペンテノンは非癌細胞株であるNIH/3T3よりも癌細胞株であるHL−60に対して選択的に細胞増殖抑制作用と殺細胞作用を示すことが明らかになった。
実施例7
フコイダン−UのHUVEC、HL−60に対する作用
HUVEC細胞を1回継代後、常法に従い凍結保存したものを解凍し、リン酸緩衝食塩水で2回洗浄後、10%牛胎児血清と0.1%牛脳抽出液を含むEBM培地(三光純薬社製)に1×105個/mlとなるように懸濁した。この細胞懸濁液を12穴マイクロタイタープレートの各ウェルに900μlずつ分注し、10mg/mlのフコイダン−U水溶液、あるいは対照として生理食塩水を100μl添加した。5%CO2存在下37℃で24時間又は48時間培養した後、細胞をトリプシン処理して集め、トリパンブルーで染色して生細胞数と死細胞数を測定し、生細胞率を算出することによりアポトーシス誘発作用を測定した。
HL−60細胞に関しても同様の操作を行った。但し、本細胞は10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で継代培養したものを用い、トリプシン処理は行わなかった。
その結果、HUVEC細胞に終濃度1mg/mlのフコイダン−Uを添加した区分では対照の生理食塩水添加区分と同様の生細胞率が見られたのに対して、HL−60細胞に終濃度1mg/mlのフコイダン−Uを添加した区分では対照の生理食塩水添加区分と比較して明らかな生細胞率の低下が見られた。よって、フコイダン−Uは癌細胞特異的にアポトーシスを誘発し、生細胞率を低下させることが明らかになった。
その結果を図10および図11に示す。すなわち、図10は培養時間とHUVEC細胞の生細胞率の関係を示す図であり、横軸は培養時間(時間)、縦軸は生細胞率(%)を示す。図10において黒丸はフコイダン−U添加を、白丸は生理食塩水添加(対照)を示す。なお、フコイダン−U添加時の生細胞率と生理食塩水添加時の生細胞率はほぼ同一の値を示したため図10において黒丸と白丸がほぼ重なる結果となった。また、図11は培養時間とHL−60細胞の生細胞率の関係を示す図であり、横軸は培養時間(時間)、縦軸は生細胞率(%)を示す。図11において黒丸はフコイダン−U添加を、白丸は生理食塩水添加(対照)を示す。
以上記載したごとく、本発明により、実質的に癌細胞を含有しない造血幹細胞組成物が提供される。該組成物に外来遺伝子を導入し、宿主に移入れば、癌細胞に遺伝子導入を行うという危険が無く、安全な宿主への造血肝細胞の移入を行うことができる。本発明により、遺伝子導入の標的細胞組成物中の癌細胞の除去を行うことができ、遺伝子導入の安全性が確立される。
【図面の簡単な説明】
図1は、フコイダン−UおよびFの沈殿形成性を示すグラフである。
図2は、フコイダン−UおよびF存在下の培養時間と生細胞数の関係を示すグラフである。
図3は、図2の縦軸のスケールを拡大したグラフである。
図4は、HL−60細胞の培養時間と生細胞数の関係を示すグラフである。
図5は、フコイダンと高密度コロニー数の関係を示すグラフである。
図6は、デキストラン硫酸存在下の培養時間と生細胞数の関係を示すグラフである。
図7は、加熱デキストラン硫酸存在下の培養時間と生細胞数の関係を示すグラフである。
図8は、ペクチン加熱処理物存在下の培養時間と生細胞数の関係を示すグラフである。
図9は、シクロペンテノン添加量と、細胞増殖の関係を示すグラフである。
図10は、HUVEC細胞の培養時間と生細胞率の関係を示すグラフである。
図11は、HL−60細胞の培養時間と生細胞率の関係を示すグラフである。
Claims (6)
- ウロン酸の加熱処理物が、グルクロン酸またはガラクツロン酸の加熱処理物である請求項1記載の方法。
- ウロン酸を含有する糖化合物の加熱処理物が、ペクチンまたはアルギン酸の加熱処理物である請求項1記載の方法。
- ウロン酸の加熱処理物が、グルクロン酸またはガラクツロン酸の加熱処理物である請求項4記載の方法。
- ウロン酸を含有する糖化合物の加熱処理物が、ペクチンまたはアルギン酸の加熱処理物である請求項4記載の方法。
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