JP3683902B2 - 遺伝子型と表現型の対応付け分子及びその利用 - Google Patents
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Ellington, A. D. & Szostak, J. W., 1990, Nature, 346, p.818-822 伏見譲, 1991年, 科学, 第61巻, p.333-340 伏見譲, 「講座進化(第6巻)」, 東大出版会, 1992年 柳川弘志, 「RNAのニューエイジ」, 羊土社, 1993年, p.57-77 Smith, G. P., 1985, Science, 228, p.1315-1317 Scott, J. K. & Smith, G. P., 1990, Science, 249, p.386-390 Mattheakis, L. C. et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, p.9022-9026 Brenner, S. & Lerner, R. A., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, p.5381-5383 Husimi, Y. et al., 1982, Rev. Sci. Instrum. 53, p.517-522
系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物を連結することを特徴とする遺伝子型と表現型の対応付け分子の構築方法、及び(a)終止コドンをもたない遺伝子をふくむDNAを作成し、(b)作成したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にDNAとRNAのキメラのスペーサーを連結し、(d)さらに得られた連結体の3'末端側に、アミノ酸あるいはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドあるいはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有する物質を連結し、(e)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物を連結することを特徴とする遺伝子型と表現型の対応付け分子の構築方法が提供される。
転写手段で得られたRNAの3'末端に、アミノ酸あるいはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドあるいはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有する物質を連結する第二連結手段、及び、第二連結手段で得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物を連結する第三連結手段を含む対応付け分子の構築手段、または、遺伝子を含むDNAをRNAに転写する転写手段、転写手段で得られたRNAの3'末端側にDNAとRNAのキメラもしくはDNAとポリエチレングリコールのキメラもしくはDNAとDNAからなる二本鎖もしくはRNAと短鎖のペプチド核酸(PNA)もしくはDNAからなる二本鎖のスペーサーを連結する第一連結手段、第一連結手段で得られたRNA-スペーサー連結体の3'末端に、アミノ酸あるいはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドあるいはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有する物質を連結する第二連結手段、及び、第二連結手段で得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物を連結する第三連結手段を含む対応付け分子の構築手段と、構築された対応付け分子を淘汰する手段と、選択された対応付け分子の遺伝子部分に変異を導入する手段と、変異導入された遺伝子部分を増幅する手段とを備えることを特徴とする、上記の進化実験方法を行う装置も提供される。
(1) (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程とを含むことを特徴とする所望のタンパク質の選択方法。
(2) (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程と、淘汰工程により選択された対応付け分子の遺伝子部分を増幅する増幅工程とを含み、増幅工程で得られたDNAを構築工程に供することにより、構築工程、淘汰工程及び増幅工程を繰り返し行うことを特徴とする所望のタンパク質の選択方法。
(3) (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程と、淘汰工程により選択された対応付け分子の遺伝子部分を増幅する増幅工程とを含むことを特徴とする所望のタンパク質をコードするDNAの取得方法。
(4) 増幅工程で得られたDNAを構築工程に供することにより、構築工程、淘汰工程及び増幅工程を繰り返し行うことを特徴とする3記載のDNAの取得方法。
(5) (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程とを含むことを特徴とする所望のタンパク質をコードするRNAの選択方法。
(6) (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺
伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程と、淘汰工程により選択された対応付け分子の遺伝子部分を増幅する増幅工程とを含み、増幅工程で得られたDNAを構築工程に供することにより、構築工程、淘汰工程及び増幅工程を繰り返し行うことを特徴とする所望のタンパク質をコードするRNAの選択方法。
(7) 遺伝子を含むDNAが、さらに転写・翻訳開始配列、及び開始コドンを含む1〜6のいずれかに記載の方法。
(8) スペーサーが高分子物質からなる1〜7のいずれかに記載の方法。
(9) スペーサーの長さが、100〜1000Åの範囲である1〜8のいずれかに記載の方法。
(10) スペーサーが核酸を含む1〜9のいずれかに記載の方法。
(11) 核酸が、RNAもしくはDNAの一本鎖、RNAもしくはDNAとDNAとの二本鎖、RNAと短鎖のPNAもしくはDNAとの二本鎖、RNAとDNAとからなる一本鎖、または、RNAとDNAとからなる一本鎖と短鎖のDNAとの二本鎖である10に記載の方法。
(12) スペーサーがポリエチレングリコールを含む1〜11のいずれかに記載の方法。
(13) ポリエチレングリコールの分子量が3000〜30000である12に記載の方法。
(14) スペーサーが、ポリエチレングリコールとDNAとからなる9または13記載の方法。
(15) ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質が、ピューロマイシン、3'-N-アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシドまたは3'-N-アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドである1〜14のいずれかに記載の方法。
(16) 遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物との連結が、共有結合によってなる1〜15のいずれかに記載の方法。
(17) 共有結合がアミド結合である16に記載の方法。
(18) 淘汰工程において選択される対応付け分子が、物質との相互作用を指標として選択されるものである1〜17のいずれかに記載の方法。
(19) 淘汰工程が、固相に結合した物質と構築工程で得られた対応付け分子との相互作用による複合体を分離する工程を含む18に記載の方法。
(20) 遺伝子が、抗体またはその部分の遺伝子である1〜19のいずれかに記載の方法。
(21) 遺伝子が、酵素またはその部分の遺伝子である1〜19のいずれかに記載の方法。
(22) 遺伝子を含むDNAが、ランダム塩基配列からなる1〜19のいずれかに記載の方法。
(23) 遺伝子を含むDNAが、異なる遺伝子を有する複数のDNAからなるライブラリーである1〜22のいずれかに記載の方法。
チドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を結合させ、得られた結合体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行うことにより遺伝子を有する核酸部と前記遺伝子の翻訳産物が連結した連結体が得られ得るものである前記分子。
(25) 24に記載の分子の3'末端側に、アミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質が結合した分子。
(26) ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質が、ピューロマイシン、3'-N-アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシドまたは3'-N-アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドである25に記載の分子。
(27) RNAが、さらに転写・翻訳開始配列、及び開始コドンを含む24〜26のいずれかに記載の分子。
(28) スペーサーの長さが、100〜1000Åの範囲である24〜27のいずれかに記載の分子。
(29) スペーサーが、核酸を含む24〜28のいずれかに記載の分子。
(30) 核酸が、RNAもしくはDNAの一本鎖、RNAもしくはDNAとDNAとの二本鎖、RNAと短鎖のPNAもしくはDNAとの二本鎖、RNAとDNAとからなる一本鎖、または、RNAとDNAとからなる一本鎖と短鎖のDNAとの二本鎖である29に記載の分子。
(31) スペーサーが、ポリエチレングリコールを含む24〜30のいずれかに記載の分子。
(32) スペーサーが、ポリエチレングリコールとDNAとからなる31に記載の分子。
(33) ポリエチレングリコールの分子量が、3000〜30000である31または32に記載の方法。
(34) 遺伝子が、抗体またはその部分の遺伝子である24〜33のいずれかに記載の分子。
(35) 遺伝子が、酵素またはその部分の遺伝子である24〜33のいずれかに記載の分子。
(36) 遺伝子が、ランダム塩基配列からなる24〜33のいずれかに記載の分子。
(37) 24〜36のいずれかに記載の分子であって、異なる遺伝子を有する複数の分子からなるライブラリー。
り込まれ翻訳されることがわかっている(Shimizu, M. et al. (1992) J. Mol. Evol. 35, 436-443)。また、sup tRNAを作成するために、tRNAのアイデンティティーが利用されている。
4570-4574)。BMVのRNAがリボソームに1%でも取り込まれるならば、3'末端にインタクト(intact)なtRNAをもったRNAならば、もう少し効率良く入る可能性がある。仮に、インタクトなtRNAの10%以下の効率で取り込まれるとしても、濃度効果で十分にリリースファクター(Release factor)との競争に勝てる可能性がある。
の3'末端にタンパク質を結合させる実験の前に、mRNAと切り離したsup tRNAでもリボソームのAサイトに入り、タンパク質と結合するかどうかを調べてみた。実際に、sup tRNAの3'末端にピューロマイシンを結合させたsup tRNAを調製し、これを無細胞タンパク質合成系に投入し、sup tRNA部分がリボゾームのAサイトの終止コドンに対応して入り、タンパク質と結合するかどうか調べた。mRNAはタウ・タンパク質の4リピート領域(127残基)を用いた(Goedert, M. (1989) EMBO J. 8, 392-399)。その結果、無細胞タンパク合成系で翻訳させところ、3'末端にピューロマイシンをもつsup tRNAはリボゾームのAサイトの終止コドンに対応して入り、タンパク質と結合することが確認できた(第2図)。
アンモニアで脱保護することにより、2'-デオキシシチジリルピューロマイシン(dCpPur)が得られる。dCpPurの5'水酸基をポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化することにより、pdCpPurを得ることができる。
により、無細胞のタンパク質合成系の遺伝子として使うことのできるRNA連結体、5'-T7プロモーター領域−SD領域−4リピート領域−スペーサー領域−sup tRNA領域−ピューロマイシン-3'を得ることができる。
al. (1989) Molecular Cloning, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載の方法またはそれに準じた方法により行うことができる。
W., et al., (1989) J. Methods Cell Mol. Biol., 1, 11-15)やSexual PCR(Stemmer,
W. P. C. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 10747-10751)を用いて容易に行うことができる。
定工程は、一般には、(3)(2)の工程で構築されたin vitroウイルスの中から特定の機能をもつタンパク質のみを選択する工程、及び、(4)選択したin vitroウイルスを逆転写、増幅し、配列を決定する工程を含む。
vitroウイルスゲノムを構築し、(2)それを用いてin vitroウイルスを構築し、(3)in vitroウイルスの中から標的のタンパク質あるいは核酸あるいは他の物質、たとえば糖質や脂質などと結合するもののみを選択し、(4)選択した in vitroウイルスを逆転写、増幅、クローニング、配列決定することにより、機能未知の遺伝子に対応する遺伝子産物(タンパク質)の機能を同定することが可能になる。
<1>核酸部の3'末端部の調製
(a)リン酸化ピューロマイシン(pPur)の合成
材料:ピューロマイシン(3'-[α-Amino-p-methoxyhydrocinnamamido]-3'-deoxy-N,N'-dimethyl-adenosine)はシグマから購入した。オキシ塩化リン(Phosphorous oxychloride)、 リン酸トリメチル(Trimethyl phosphate)は和光純薬から購入した。
材料:トリフルオロ酢酸(TFA)はナカライテスクから購入した。トリフルオロ酢酸無水物 (TFAA) は和光純薬から購入した。
材料:BZ-DMTデオキシシチジン(N4-Benzoyl-5'-O-(4,4'-dimethoxytrityl)-2'-deoxycytidine)はシグマから、DCC(Dicyclohexyl carbodiimide)は渡辺化学から購入した。ピリジンはナカライテスクから購入した。
In vitroウイルスゲノムとして2種類作成した。すなわち、(1)核酸部とタンパク質部を部位指定的につなげるためのものと、(2)核酸部とタンパク質部を部位非指定的につなげるためのものである。
A. 変異4リピート部分のDNA作成
1)ヒトタウタンパク質(Goedert, M. (1989) EMBO J. 8, 392-399)の微小管領域(4
リピート)を組み込んだプラスミド(pAR3040)構築し、それを制限酵素BglIIとBamHIによって切断し直鎖状にした。
1)上記Aの4リピート部分の3'末端側にあるBamH1部位をBamH1を使って切断処理した。その後、BamH1部位の3'側断片の除去のためにQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN製)を使って、5'側の4リピート部分のみを抽出、精製した。
上記Bで得られたA,B,C領域はT7ポリメラーゼを用い37℃、2時間反応させることでRNAに
転写した。さらに、上記<1>核酸部の3'末端の調製で得られたdCpPurをATP存在下T4ポリヌクレオチドキナーゼを用い15℃、24時間反応させリン酸化したのち、上記転写RNAゲノムとT4 RNAリガーゼを用い4℃、50時間反応させた。この操作により、3'末端にピューロマイシンを付けたsup tRNAをもつRNAゲノムが構築できた。
A. 変異4リピート部分のDNA及びRNAの作成
変異4リピート部分のDNAは、基本的に上記(1)のAと同一の方法で作成した。ただし、2つの終止コドンすなわちアンバーをグルタミン、オーカーをリジンに替えて終止コドンをなくし、また、3'末端をプリンリッチ(rich)にするために、新しいプライマーNew/Right-(配列番号10)を合成し、Left+とともに変性92℃/30秒、アニーリング65℃/30秒、伸長反応73℃/1分で30回の条件でPCRによって増幅した。このDNAを鋳型として、T7ポリメラーゼを使い37℃、2時間反応させることによりRNAゲノムを得た。
上記Aで得たRNAに、21塩基からなるDNA、Spacer1(配列番号11)、40塩基からなるDNA、Spacer2(配列番号12)、60塩基からなるDNA、Spacer3(配列番号13)、80塩基からなるDNA、Spacer4(配列番号14)をT4ポリヌクレオチドキナーゼで36℃、1時間反応させた後、T4 RNAリガーゼで10℃、48時間反応させた。
3'末端にdCpPurを結合させ、リボゾームへの取り込みの効率を上げる目的でDNA 21塩基とRNA 4塩基、計25塩基よりなるキメラ核酸、ペプチドアクセプター(P-Acceptor)(配列番号15)を合成した。P-Acceptorの5'末端をリン酸化するためにT4ポリヌクレオチドキナーゼで36℃、1時間反応させた後、これに相補な配列をもつBack3'(配列番号16)によって裏打ちさせ、上記Bで作成した各スペーサーの3'末端にT4 DNAリガーゼを用いて16℃、2時間反応を行い連結させた。また、このP-Acceptorを直接、上記Aで得たRNAの3'末端にT4 RNAリガーゼを用いて10℃、48時間反応させて連結させたものを作成し、これを、Non-Spacerゲノムと称する。
上記Cで作成した各ゲノムの3'末端に、上記<1>核酸部の3’末端の調製で得られたdCpPurをT4ポリヌクレチドキナーゼを用い15℃、24時間反応させ、リン酸化したのちT4 RNAリガーゼを用い4℃、50時間反応させた。これにより、3'末端にピューロマイシンを付けたキメラRNAゲノムが構築できた。
A.部位指定的方法
上記<2>の(1)で作成したa、b、c画分の長さに分類されたそれぞれのRNAゲノムをビオチン化リジンtRNA(Promega)と一緒に大腸菌無細胞翻訳系50μl[E. coli S30 Extract Systems for Linear Templates(Promega)]で翻訳した後、それぞれのチューブにストレプトアビジン付き磁性体粒子ダイナビーズ(ダイナル)を5 mg加え、室温で1時間インキュベートする。次に、ダイナビーズを磁石によって集め、上清を吸い取る。残ったダイナビーズを1000μlのB&W Bufferで2回洗った。さらに、500μlのRT-PCR Bufferで2回洗った後、500μlのRT-PCR Bufferで再度、サスペンド(suspend)する。それを50μl採取し500μlのエッペンチューブに移し、磁石でダイナビーズを固定し、上清を吸い取った。残ったダイナビーズにRT-PCR Buffer及び逆転写酵素とTaq ポリメラーゼ[Access RT-PCR System(Promega)]を加え48℃、1時間で逆転写、PCRは94℃/30秒、65℃/40秒、68℃/1分40秒、40回、プライマーはRight+(配列番号4)と3'Pur-(配列番号10)で行った。a、b、c画分それぞれを電気泳動で調べたものが第5図である。
すでに、部位指定的方法で短いスペーサのものが選ばれてきたため、スペーサなしの「Non-spacer」RNAゲノムの3'末端に、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用い[γ-32P]ATP存在下、5'側をリン酸化したdCpPurをT4 RNAリガーゼを用い4℃、50時間反応させ連結させた。次にこれを通常の4リピートをコードしているmRNAとともに大腸菌無細胞翻訳系に加え、37℃、1時間30分反応させた。この反応10μlをリボヌクレアーゼT2で分解したものと、等量の反応液を18%SDS-PAGEで泳動し、イメージアナライザーBAS2000(富士フィルム)で解析した(第7図)。
<1>核酸部の3'末端部の調製
(a)rCpPur (ribocytidyl(3'→ 5')puromycinの合成
材料:ピューロマイシン(puromycin)はシグマから、rC-ベータアミダイト(N4-benzoyl-5'-O-(4,4'-dimethoxytrityl)-2'-O-tert-butyldimethylsilyl)-cytidine-3'-O-[O-(2-cyanoethyl)-N,N'-diisopropyl-phosphoramidite])は日本パーセプティブから、テトラゾールは日本ミリポアから、フッ化テトラブチルアンモニウムはアルドリッチから、QAE-セファデックスはファーマシアから、クロマト用シリカゲルはメルクからそれぞれ購入した。
クロロフォルムで抽出した。抽出液は無水硫酸マグネシウム存在下で乾燥させた後、減圧下で溶媒を追い出した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロフォルム/メタノール=90:10で溶出させた。保護基のついたリボシチジルピューロマイシン(CpPur)はシリカゲルTLC(展開溶媒:クロロフォルム:メタノール=9:1)でRf 0.32のところに溶出される。次に保護基の脱保護を行った。保護基のついたリボシチジルピューロマイシンを最初80%酢酸水溶液0.5 mlで室温で1時間処理し、酢酸を減圧下で追い出した後、濃アンモニア水/エタノール=2:1の混合溶液0.5 mlを加えた。室温で15時間放置した後、溶媒を減圧下で追い出し、残部に1 Mのフッ化テトラブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン溶液0.5 mlを加え、β-シアノエチル基を除去した。30分後溶媒を減圧下で追い出し、残部をQAE-セファデックスのカラムクロマトグラフィーにかけ、0-0.5 Mのトリエチルアミン炭酸塩の直線グラージエントで溶出させた。溶出液を集め、凍結乾燥させた。リボシチジルピューロマイシンが10 mg得られた。合成品がリボシチジルピューロマイシンであることは、ヌクレアーゼP1消化でシチジンとピューロマイシン-5'-リン酸が等量得られることと、MALDI/TOFマススペクトロメトリーで[M+H]+の分子イオンがm/z 777に現われることから同定された。
材料:ウサギ網状赤血球抽出液(Nuclease treated Rabbit reticulocyte lysate)の無細胞タンパク質合成系はプロメガから購入。 T7 RNAポリメラーゼ、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ 、T4 ポリヌクレオチドキナーゼ、ヒト胎盤由来リボヌクレアーゼ阻害剤、EcoRI、BamHI、デオキシリボヌクレオチドは宝酒造から購入した。制限酵素BstNI、BglIIはニューイングランドラブから購入した。[35S]メチオニン、[32P]-γATPはアマシャム、TaqDNAポリメラーゼはクラボウとグライナーのものを使用した。他のすべての生化学試薬はシグマ及び和光純薬のものを使用した。ヒトタウタンパク質のN末端半分領域(アミノ酸残基番号1-165)を組み込んだプラスミド(pAR3040)は、λZAPIIにクローン化されたヒト脳のcDNAライブラリーからヒトタウタンパク質の全長遺伝子をPCR法で釣り上げて、プラスミドに組み込んだものからN末端半分領域のみをPCRで増幅してプラスミドに組み込んだものである。PCR(Polymerase chain reaction)装置はASTECPC800型(アステック)を使用した。
A.N末端半分領域のDNAの作製
3'末端にスペーサー、ペプチドアクセプター、rCpPurの連結したストップコドンをもつものともたないヒトタウタンパク質N末端半分領域(アミノ酸残基1-165)をコードするmRNAは以下の通り構築された(第8図)。
。すなわち、上記2種のDNAの混合物は最初はプライマー非存在下で増幅され、次いでLeft2(配列番号22)とRight1(配列番号19)あるいはRight2(配列番号20)のプライマー存在下で増幅された。以上の操作により、ヒトタウタンパク質のN末端半分領域のORFの上流にT7 RNAポリメラーゼのプロモーターとコザック配列をもつDNAが作成された。このDNAを鋳型として、T7 RNAポリメラーゼを用い37℃、2時間反応させることによりRNAを得た。
Spacer5(配列番号23)とDNA 21塩基とRNA 4塩基、計25塩基よりなるキメラ核酸,ペプチドアクセプター(P-Acceptor)(配列番号15)を化学的に合成した。ペプチドアクセプターの5'末端をリン酸化するためT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、36℃、1時間反応させた後、これに相補な配列をもつスプリントDNA(配列番号24)によって裏打ちし、Spacer5の3'末端にT4 DNAリガーゼを用いて、16℃、2時間反応を行い連結させた。
上記Bで得たSpacer5-ペプチドアクセプターの連結体の5'末端をリン酸化するため、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、36℃、1時間反応させた後、上記Aで得たRNAとT4 RNAリガーゼを用いて、4℃、48時間反応させることにより、連結させた。
上記Cで作成したゲノムの3'末端に<1>核酸部の3'末端の調製で得られたrCpPurをT4 ポリヌクレオチドキナーゼを用い15℃、24時間反応させリン酸化した後、T4 RNAリガーゼを用い37℃、30分反応させた。これにより、3'末端にピューロマイシンの付いたキメラRNAゲノムが構築できた。
タンパク質のC末端とそれをコードするRNAを有効に連結させるためには、ピューロマイシンとストップコドンの間の距離やストップコドンの有無が重要な因子になると考えられる。そこでこの分子間結合に対するこれらの因子の影響を調べるために、次のような3つのゲノムを作製した。すなわち、ヒトタウタンパク質のN末端半分(1-165)をコードするmRNAの3'末端に、(1)ストップコドンをもつがDNAスペーサーはもたないもの、(2)ストップコドンとDNAスペーサーの両者をもたないもの、(3)ストップコドンはもたないがDNAスペーサーをもつもの、である。これら3つのゲノムから、32Pで標識したrCpPur存在下でウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞翻訳系でタンパク質合成を行わせた(第9図)。3'末端にDNAスペーサーがついていない場合、ストップコドンの有無に拘わらずタンパク質のC末端にrCpPurが同程度の効率で連結することがわかった。すなわち、rCpPurが連結したタンパク質のバンド(第9図の左から1番目と2番目のレーン)はSDS-PAGE(SDS-ポリアクリルアミド電気泳動)で[35S]メチオニンで標識したタンパク質のモノマー(第9図の一番右のレーン)と同じ位置に現われる。一方、ストップコドンがなくてもDNAスペーサーがついていると、rCpPurはタンパク質のC末端に前2者の3倍程度の効率で連結することがわかった(第9図の左から3番目のレーン)。この結果は、リボソームの翻訳休止がDNAの配列上で起こり、その結果rCpPurとタンパク質が効率よく連結するものと考えられる。さらに、この結果はストップコドンがなく、DNAスペーサーと3'末端にrCpPurをもつゲノムが無細胞翻訳系でmRNAとして使われた場合、mRNAの3'末端のピューロマイシンが対応する翻訳されたタンパク質のC末端に効率よく結合できることを示唆している。
前記<2>核酸部(in vitroウイルスのゲノムの調製)の項で構築したヒトタウタンパク質のN末端半分(1-165)をコードするmRNA-DNAスペーサー(105 mer)−ペプチドアクセプター−rCpPurからなるゲノムをウサギ網状赤血球抽出液を用い翻訳させた。まずヒト
タウタンパク質のN末端半分(1-165)をコードするRNAをmRNAとして用い、[35S]メチオニンのタンパク質への取り込みで調べてみると、N末端半分(1-165)のモノマー(〜28KDa)とダイマー(〜55KDa)の位置にバンドが現われた。この場合、モノマーが主で、ダイマーはごくわずかである(第10図の(A)の左端のレーン)。この結果はヒトタウタンパク質のN末端半分(1-165)をコードするRNAはmRNAとして機能していることを示している。ヒトタウタンパク質のN末端半分(1-165)をコードするmRNA-DNAスペーサー(105 mer)−ペプチドアクセプター−rCpPurからなるゲノムを同様な[35S]メチオニンを含む無細胞翻訳系で翻訳させ、時間を追って(5分、10分、20分、40分)調べてみると、モノマーとダイマーの位置の他に、新しい幅広いバンドがゲノムの位置(第10図の(A)の右端のレーン)の少し上の位置に現われた。このバンドの強度は反応時間の経過(第10図の(A)の左から2番目〜5番目のレーン)やゲノム量の増加(第10図の(B)のレーン3と4)と共に増加した。この結果はゲノムがピューロマイシンを介してタンパク質のC末端に共有結合で連結したことを示している。また、このことは遺伝子型(genotype)が共有結合で表現型(phenotype)に結びつけられたことを意味している。すなわち、遺伝子型と表現型の対応付け分子が出来たのである。本発明者等は、この対応付け分子をin vitroウイルス(in vitro virus)と名付けた。In vitroウイルスの形成に対するDNAスペーサーの長さの影響について調べたところ、80 mer程度の長さでは効率よく形成せず、少なくとも100 mer以上の長さが必要であることがわかった。
In vitroウイルスを用いてのタンパク質の進化実験方法は、第12図に示すように、(1)in vitroウイルスゲノムの構築、(2)in vitroウイルスの完成、(3)淘汰プロセス、(4)変異導入、(5)増幅、の工程からなり、機能性タンパク質の改変及び創製を可能とする。特に、この工程を繰り返し行うことにより効率的な機能性タンパク質の改変及び創製が可能となる。この内、(1)及び(2)の工程については上記実施例1及び2で具体的に述べた。ここでは(3)、(4)及び(5)の工程について述べる。
従い、プロテインAのZZ領域とヒトタウタンパク質のN末端領域(1-105)をコードするin vitroウイルスゲノムを作製した。プロテインAのZZ領域を含むin vitroウイルスゲノムとヒトタウタンパク質のN末端領域(1-105)を含むin vitroウイルスゲノムの比率を1:1、1:10、1:100、1:1000のように変え、ウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞翻訳系で30℃、10分間翻訳させた。その後、翻訳産物を希釈し、遠心分離を行って不溶性画分を除去し、その上清をマウスIgGを吸着させたマイクロプレート(牛血清アルブミンでブロッキング処理済)に加え、4℃で2時間静置した。その後、マイクロプレートから翻訳産物を除き、洗浄用緩衝液(50 mM Tris酢酸、pH 7.5/150 mM 食塩/10 mM EDTA/0.1% Tween 20)で計6回洗浄し、溶出用緩衝液(1M酢酸、pH 2.8)で2回溶出した。溶出液をエタノール沈殿させ、20μlの滅菌水で溶解して、逆転写PCRのテンプレートとした。逆転写PCRは逆転写酵素(Avian Mieloblastosis Virus Reverse Transcriptase、プロメガ製)とDNAポリメラーゼ(Tfl DNA Polymerase、プロメガ製)とプライマーとしてRT+(配列番号25)及びRT-(配列番号26)とを用い、48℃で40分反応させた後、94℃で5分間処理で逆転写酵素を失活させ、次いで、94 ℃で30秒、66℃で40秒、72℃で40秒のサイクルを30回繰り返した。得られたPCR産物は、8M尿素を含む4%ポリアクリルアミドゲルを用い、55℃で電気泳動し、銀染色して確認した。その結果、プロテインAのZZ領域を含むin vitroウイルスゲノムはコントロールゲノムであるヒトタウタンパク質のN末端領域(1-105)を含むin vitro ウイルスゲノムの100分の1量でも増幅できることがわかった。この結果は、プロテインAのZZ領域を含むin vitroウイルスゲノムが翻訳されたプロテインAのZZ領域を介してマウスIgGに特異的に結合したことを示している。それ故、in vitroウイルスが淘汰できることが明らかになった。変異導入及び増幅はすでに確立しているError-prone PCR(Leung, D. W., et al., (1989) J. Methods Cell Mol. Biol., 1,
11-15 )やSexual PCR(Stemmer, W. P. C. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 10747-10751)を用いれば可能である。したがって、第12図に示したin vitroウイルスを用いたタンパク質の進化実験方法は実行可能であることが証明された。
Claims (37)
- (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程とを含むことを特徴とする所望のタンパク質の選択方法。
- (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程と、淘汰工程により選択された対応付け分子の遺伝子部分を増幅する増幅工程とを含み、増幅工程で得られたDNAを構築工程に供することにより、構築工程、淘汰工程及び増幅工程を繰り返し行うことを特徴とする所望のタンパク質の選択方法。
- (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程と、淘汰工程により選択された対応付け分子の遺伝子部分を増幅する増幅工程とを含むことを特徴とする所望のタンパク質をコードするDNAの取得方法。
- 増幅工程で得られたDNAを構築工程に供することにより、構築工程、淘汰
工程及び増幅工程を繰り返し行うことを特徴とする請求項3記載のDNAの取得方法。 - (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程とを含むことを特徴とする所望のタンパク質をコードするRNAの選択方法。
- (a)遺伝子を含むDNAを作製し、(b)作製したDNAを転写してRNAにし、(c)得られたRNAの3'末端側にスペーサーを介してアミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を連結し、(d)得られた連結体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行い、遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物とを連結することを特徴とする対応付け分子の構築工程と、構築工程で得られた対応付け分子を淘汰する淘汰工程と、淘汰工程により選択された対応付け分子の遺伝子部分を増幅する増幅工程とを含み、増幅工程で得られたDNAを構築工程に供することにより、構築工程、淘汰工程及び増幅工程を繰り返し行うことを特徴とする所望のタンパク質をコードするRNAの選択方法。
- 遺伝子を含むDNAが、さらに転写・翻訳開始配列、及び開始コドンを含む請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- スペーサーが高分子物質からなる請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- スペーサーの長さが、100〜1000Åの範囲である請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- スペーサーが核酸を含む請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 核酸が、RNAもしくはDNAの一本鎖、RNAもしくはDNAとDNAとの二本鎖、RNAと短鎖のPNAもしくはDNAとの二本鎖、RNAとDNAとからなる一本鎖、または、RNAとDNAとからなる一本鎖と短鎖のDNAとの二本鎖である請求項10に記載の方法。
- スペーサーがポリエチレングリコールを含む請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- ポリエチレングリコールの分子量が3000〜30000である請求項12に記載の方法。
- スペーサーが、ポリエチレングリコールとDNAとからなる請求項12または13記載の方法。
- ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質が、ピューロマイシン、3'-N-アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシドまたは3'-N-アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドである請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 遺伝子を含む核酸部と前記遺伝子の翻訳産物との連結が、共有結合によってなる請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
- 共有結合がアミド結合である請求項16に記載の方法。
- 淘汰工程において選択される対応付け分子が、物質との相互作用を指標として選択されるものである請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
- 淘汰工程が、固相に結合した物質と構築工程で得られた対応付け分子との相互作用による複合体を分離する工程を含む請求項18に記載の方法。
- 遺伝子が、抗体またはその部分の遺伝子である請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
- 遺伝子が、酵素またはその部分の遺伝子である請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
- 遺伝子を含むDNAが、ランダム塩基配列からなる請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
- 遺伝子を含むDNAが、異なる遺伝子を有する複数のDNAからなるライブラリーである請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
- 遺伝子を有するRNAの3'末端に高分子物質からなるスペーサーが結合した分子であって、該分子の3'末端側に、アミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質を結合させ、得られた結合体をmRNAとして無細胞タンパク質合成系でタンパク質合成を行うことにより遺伝子を有する核酸部と前記遺伝子の翻訳産物が連結した連結体が得られ得るものである前記分子。
- 請求項24に記載の分子の3'末端側に、アミノ酸またはアミノ酸に類似した化学構造骨格を有する物質と共有結合し得る、ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質が結合した分子。
- ヌクレオシドまたはヌクレオシドに類似した化学構造骨格を有し、かつ、リボソームのPサイトに結合しているペプチジルtRNAと反応して伸長ペプチドとの複合体を形成してリボソームから遊離する機能を有する物質が、ピューロマイシン、3'-N-アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシドまたは3'-N-アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドである請求項25に記載の分子。
- RNAが、さらに転写・翻訳開始配列、及び開始コドンを含む請求項24〜26のいずれかに記載の分子。
- スペーサーの長さが、100〜1000Åの範囲である請求項24〜27のいずれかに記載の分子。
- スペーサーが、核酸を含む請求項24〜28のいずれかに記載の分子。
- 核酸が、RNAもしくはDNAの一本鎖、RNAもしくはDNAとDNAとの二本鎖、RNAと短鎖のPNAもしくはDNAとの二本鎖、RNAとDNAとからなる一本鎖、または、RNAとDNAとからなる一本鎖と短鎖のDNAとの二本鎖である請求項29に記載の分子。
- スペーサーが、ポリエチレングリコールを含む請求項24〜30のいずれかに記載の分子。
- スペーサーが、ポリエチレングリコールとDNAとからなる請求項31に記載の分子。
- ポリエチレングリコールの分子量が、3000〜30000である請求項31または32に記載の方法。
- 遺伝子が、抗体またはその部分の遺伝子である請求項24〜33のいずれかに記載の分子。
- 遺伝子が、酵素またはその部分の遺伝子である請求項24〜33のいずれかに記載の分子。
- 遺伝子が、ランダム塩基配列からなる請求項24〜33のいずれかに記載の分子。
- 請求項24〜36のいずれかに記載の分子であって、異なる遺伝子を有する複数の分子からなるライブラリー。
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