JP3683112B2 - プレストレスト・コンクリート構造物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレストレスト・コンクリート構造物(以下、PC構造物と略記)において、PC鋼材等の緊張材に緊張力を付与する際に、緊張材およびコンクリートの伸縮によらず、常に一定の緊張力を保持する手段を有したPC構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレストレス工法は、コンクリート打設,硬化後に、コンクリート内に摺動自在に挿通した緊張材に緊張力を付与し、ネジやくさび等の係止部材により緊張材端部をコンクリートに定着させプレストレスを付与し、コンクリート構造物に予め圧縮応力を付加しておいて、耐引張り強度を向上する方法である。
【0003】
この方法で施工されたPC構造物は、緊張材の緊張力によりその引張耐力が確保されており、長年の使用により緊張力が所定値より低下すると十分な強度が得られなくなる。この要因としては緊張材のレラクセーションやコンクリートのクリープ,乾燥収縮等がある。これは、緊張材に作用する緊張力、またこの反力として前記コンクリートに作用する圧縮力を長期に亘り持続させると、緊張材については引張歪みが、またコンクリートについては圧縮歪みが経時的に増大する現象であり、この結果として、前記緊張材の引張歪みによる伸び変形と前記コンクリートの圧縮歪みによる縮変形の伸縮差だけ、緊張材の緊張力やコンクリートの圧縮力が減少してしまうことになる。
【0004】
ここで、上記問題点を改善したPC構造物の例として、図9に示すようなプレストレスト・コンクリート梁(以下PC梁と略記)がある。図示するようにこのPC梁は、梁本体であるコンクリート直方体3と、このコンクリート直方体3に両側面から圧縮力をプレストレスする一対のアンカープレート9a,9bと、このアンカープレート9a,9bと前記コンクリート直方体3を貫通する緊張材5と、この緊張材5の一方端に螺合されて前記アンカープレート9bを前記コンクリート直方体側面に締め付けるナット13bと、前記緊張材5の他端に螺合されるナット13aと、このナット13aと前記アンカープレート9aとの間に介装され、前記ナット13aの締め付けにより生じる緊張材5の緊張力をアンカープレート9aに伝達するコイルばね8とで構成されており、コイルばね8のばね定数は緊張材やコンクリートに比して極小さいものとなっている。
【0005】
したがって、当該PC梁にあっては、前記コンクリート直方体3と緊張材5とに緊張材軸方向の伸縮差が生じた場合、コイルばね8の撓み変形により前記伸縮差が吸収され、この際コイルばね8のばね定数は緊張材やコンクリートに比して極めて小さいため、前記伸縮差を吸収しても弾発力の低下は小さく、よって緊張材5の緊張力やコンクリート直方体3に作用する圧縮力の低下が抑制される。
【0006】
また、緊張力を常に一定に維持するものとして、コンクリート構造物の緊張材の両端部に油圧ジャッキを備え付け、緊張材の緊張力を油圧ジャッキの圧力検出器により計測して、その計測値を一定に保つようにして、前記油圧ジャッキの作動を制御するようにしたPC構造物の自動緊張管理システム装置(特開平9−217493号公報参照)等も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記コイルばねを介装するようにしたプレストレスト・コンクリート構造物にあっては、前記コイルばね8は、あくまで撓み変形に対して弾発力が線形に変化する線形ばねであるため、吸収した伸縮差の撓み変形分に相応して緊張力が変化してしまうことは否めず、プレストレスを一定に維持することはできない。
【0008】
また、前記自動緊張管理システムにあっては、これを設置するのに莫大な設備費を必要とすることから、コスト面で導入上の大きな課題がある。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、PC構造物において、PC鋼材等の緊張材に緊張力を付与する際に、緊張材のレラクセーションやコンクリートのクリープ,乾燥収縮等によらず、常に一定の緊張力を保持する手段を有し、かつ廉価に容易に製作,施工可能なPC構造物の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、本発明のうち、請求項1に記載の発明は、梁部材あるいは床版部材または橋梁部材であるプレストレスト・コンクリート構造物の緊張材に緊張力を付与する手段として、設定緊張力付与時の撓み変形に対する弾発力変動が小さい非線形ばねである皿ばねを、コンクリート構造物と緊張材端部との係止部に介在させることにより、設定緊張力付与後に発生する緊張材のレラクセーション、コンクリート構造物のクリープ又はコンクリート構造物の乾燥収縮による緊張材とコンクリートとの緊張材軸方向の伸縮差が吸収されて設定緊張力付与後のプレストレスを一定に維持するプレストレスト・コンクリート構造物であって、前記皿ばねの板厚tと最大撓み量である高さHの比をH/t=1.2〜1.6にしたものであることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、設定緊張力付与後に発生した、緊張材のレラクセーションやコンクリート構造物のクリープ,乾燥収縮等による緊張材とコンクリートとの緊張材軸方向の伸縮差は、前記コンクリート構造物と緊張材端部との係止部に介在させた非線形ばねである皿ばねの撓み変形で吸収され、かつこのばねは、前記設定緊張力において撓み変形に対する弾発力変動が小さくなるように設定されているため、撓み変形が生じても弾発力変動が生じず、これ故緊張材の設定緊張力は変化しない。このため、設定緊張力付与後のプレストレスを所期値に維持でき、PC構造物の安全性が著く向上する。
また、前記皿ばねの板厚tとその最大撓み量である高さHの比をH/t=1.2〜1.6(望ましくはH/t=1.4)にしているので、容易に撓み変形に対する弾発力変動が小さい領域を有する特性に設定できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記皿ばねは、皿ばね単体を同じ向きに複数枚重ねた皿ばね積層体を互いに逆向きに交互に付き合わせてなることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1あるいは請求項2記載のPC構造物が梁部材あるいは床版部材あるいは橋梁部材であることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、緊張材のレラクセーションやコンクリート構造物のクリープ,乾燥収縮等による緊張材とコンクリート構造物の緊張材軸方向伸縮差を、前記コンクリート構造物と緊張材端部との係止部に介在させた非線形ばねの弾発力変動が小さい領域の撓み変形で吸収するので、設定緊張力付与後のプレストレスを所期値に維持でき、PC梁部材、PC床版部材、PC橋梁部材の安全性が著く向上する。
【0016】
請求項4記載の発明は、前記請求項1あるいは請求項2記載のPC構造物がタンク、原子炉圧力容器あるいは原子炉格納容器または卵型消化槽等の容器構造物であることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、緊張材のレラクセーションや、コンクリート構造物のクリープ,乾燥収縮等による緊張材とコンクリート構造物の緊張材軸方向伸縮差を、前記コンクリート構造物と緊張材端部との係止部に介在させた非線形ばねの弾発力変動が小さい領域の撓み変形で吸収するので、設定緊張力付与後のプレストレスを所期値に維持でき、タンク、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、卵型消化槽等の容器構造物の安全性が著く向上する。特に原子炉圧力容器については、中性子照射と40〜50゜の微高温による緊張材のレラクセーションにかかわらず、プレストレスを一定に維持できるので非常に有用である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明をPC梁に適用した第1実施形態の概略構成を示す梁の長手方向断面図である。図示するように、PC梁1は、梁本体であるコンクリート直方体3と、このコンクリート直方体3に両側面から圧縮力をプレストレスする一対のアンカープレート9a,9bと、このアンカープレート9a,9bと前記コンクリート直方体3とを貫通して挿通される複数の緊張材5と、この緊張材5の一方端に螺合されて前記アンカープレート9bを前記コンクリート直方体側面に締め付ける係止部たるナット13bと、前記緊張材5の他端に螺合されるもう一つの係止部たるナット13aと、このナット13aと前記アンカープレート9aとの間に介装され、ナット13aの締め付けによる緊張材5の緊張力をアンカープレート9aに伝達する非線形ばねである皿ばね部7とで構成されている。
【0020】
前記緊張材5は、PC鋼材やPC鋼線であり、前記ナット9a,9bと螺合するようにその両端に雄ネジが切られ、またコンクリート直方体3内を自在に摺動可能となすためにその表面にグリース等の潤滑剤,防錆剤が塗布されている。
【0021】
この場合は、コンクリート内で摺動可能な緊張材を直接配設しているが、緊張材にチューブをかぶせ、その緊張材とチューブの隙間に防錆剤や潤滑剤を詰めたシースストランドを用いても良い。
【0022】
前記皿ばね部7は、中心に孔を有する裁頭円錐状ばね鋼の皿ばね単体7aを同じ向きに複数枚重ねた並列重ねの一組の皿ばね積層体からなる。前記皿ばね単体7aは、図2に示すように皿ばねの撓み変形に対する弾発力変動が小さい領域(以下、「弾発力変動不感帯領域」と記す。)を有するもので、ばねの板厚tとその最大撓みHの比がH/t=1.2〜1.6が望ましく、より望ましくはH/t=1.4である。
【0023】
そして、前記皿ばね部7の弾発力を前記弾発力変動不感帯に設定するにあたっては、プレストレス付与時の緊張材の緊張力設定値と一致するように、皿ばね積層体一組当たりの皿ばね単体枚数を変更することで調整する。また、図2に示す弾発力変動不感帯幅は、前記緊張材と前記コンクリート直方体との最大伸縮差を吸収可能なように、複数組の皿ばね積層体を互いに逆向きに交互に付き合わせる等して調整し得るが、本実施例では、皿ばね積層体は一組としている。
【0024】
尚、ここでは図示していないが、ナット13aと皿ばね部7の間にはワッシャーを介装しても良い。
【0025】
次に、本第1実施形態の作用について説明する。
【0026】
コンクリート直方体3への圧縮荷重のプレストレス付与は、緊張材5の両端に螺合しているナット13a,13bを締め付けることで行う。即ち、この締め付けにより緊張材5が伸張して緊張力が生じると、この緊張力と釣り合う弾発力になるまで皿ばね7が撓み、この弾発力がアンカープレート9a,9bを経由してコンクリート直方体3に圧縮力として伝達されることになる。
【0027】
前記プレストレス付与後に、緊張材5のレラクセーションやコンクリート直方体3のクリープ,乾燥収縮等により、緊張材5とコンクリート直方体3とに緊張材軸方向の伸縮差が発生すると、その伸縮差は前記皿ばねの撓み変形で吸収される。このとき、この皿ばね7は、前記緊張力の設定値と弾発力変動不感帯が一致するように設定されているため、撓み変形が生じても弾発力には変動が生じず、結果緊張材5の設定緊張力、すなわちコンクリート直方体3に伝達される圧縮力は一定に維持される。また、コンクリート直方体3と緊張材5の線膨張係数差等に起因した温度変化による温度収縮差が生じても、上記と同様に設定緊張力を一定に維持できる。
【0028】
このため、設定緊張力付与後のプレストレスを長期に亘って所期値に維持でき、PC梁に代表されるPC構造物1の強度を著く安定的に向上させ得る。
【0029】
また、その構成が、非線形ばね7をコンクリート構造物1と緊張材5端部との係止部13aに介在させるというシンプルなものであるため、設置スペースも大きくとらず廉価に容易に実施できる。
【0030】
本第1実施形態の設備診断,設備保全に関しては、皿ばね撓み量測定で緊張力を認識して容易に異常検知ができ、またその緊張力は、皿ばねの撓み量調整により容易に再設定可能である。
【0031】
更には、ラボ実験データ等により設定張力付与後のレラクセーション等による緊張材5とコンクリート構造物3の緊張材の軸方向伸縮差が予測できる場合は、その伸縮差以上の弾発力変動不感帯幅に設定することにより、以降の調整を不要とし、メンテナンスフリー化できる。
【0032】
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明はかかる第1実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0033】
例えば、本第1実施形態はコンクリート構造物3と緊張材5端部との係止構造としてナット13a,13bを使用しているが、非線形ばねを前記緊張材と前記コンクリート直方体間に介装できるとともに、前記コンクリート直方体側面に緊張材端部を係止できればこれに限らない。例えば、コンクリート構造物に固定した雌コーン内に、緊張材端部を固定した雄コーンを食い込ませ係止するくさび式等であれば、雄コーンと雌コーンの間に皿ばねを介装することが可能であるため適用可能である。
【0034】
また、本第1実施形態は非線形ばねとして皿ばねを適用した例を開示したが、ばねの撓み変形に対する弾発力変動が小さい弾発力変動不感帯を有するばねであれば使用可能であり、これに限るものではない。
【0035】
更には、本第1実施形態のPC梁は、その断面形状が矩形の場合について説明したが、これに限るものではなく、梁の幅方向中心にリブを有した断面T型形状や断面I型形状でも良い。
【0036】
また、本第1実施形態はPC梁を対象として説明しているが、プレストレスト・コンクリート床版(以下PC床版と略記)やプレストレスト・コンクリート橋梁(以下PC橋梁と略記)にも本発明は適用可能である。ここで、当該PC床版やPC橋梁については、前記PC梁のコンクリート直方体3とその長さや幅が異なるだけであり、前記PC梁と主構造は同じであるためその説明を省略する。
【0037】
図3は、第2実施形態に係る容器構造物としてのプレストレスト・コンクリートタンク(以下PCタンクと略記)の概略構成を示す水平方向断面図で、図4は、IV−IV線矢視の鉛直方向断面図である。
【0038】
図3と図4に示すように、PCタンク41は、基礎49上に固設された上面周縁部に円環状の窪みを有する円盤状の底版47と、この底版47の周縁部窪みに嵌合して立設された円筒シェルからなる側壁43と、この側壁43の上部内周面に沿って径方向内側に張り出して突出形成された係止部上に載置された球形シェル状のドーム屋根45とからなる。PCタンク内部に液体を貯蔵すると、側壁43には半径方向に外向きに液圧が作用して円周方向に引張力が作用する。このため、前記底版47とドーム屋根45は鉄筋コンクリート製であるが、側壁43はプレストレスト・コンクリート製としている。
【0039】
図3に示すように、前記側壁43の外周面には矩形状の定着柱44a,44b,44cが円周方向120゜刻みに3柱配設されており、前記側壁43内に円周方向に摺動自在に挿通配設された円周方向緊張材5は、その両端が相隣接する定着柱44a,44bにて定着部材14a,14bにより定着されている。前記円周方向緊張材5の一方端の定着部材14bは、係止部たるナット13bとアンカープレート9bとからなり、他端の定着部材14aは係止部たるナット13aと皿ばね部7とアンカープレート9aとからなる。ここで当該係止部の構成は第1実施形態と同じため、同一部材には同一の符号をつけてその詳しい説明は省略する。
【0040】
また、前記側壁43内に鉛直方向に摺動自在に挿通配設された鉛直方向緊張材105は、その一端が、側壁43と底板47の仕口部126を経由し底版47内に達し、この底版47内でナット等の定着部材114bと螺合して底版47内に埋設されることで定着される。また、緊張材105の他端は、側壁43の上端面から上方に突出し、この上端面に載置された定着部材14aにより定着される。この定着部材14aは、緊張材105が挿通されたアンカープレート9aと、他端に螺合する係止部たるナット13aと、このナット13aとアンカープレート9aの間に介装された皿ばね部7からなる。
【0041】
次に、本第2実施形態の作用について説明する。
【0042】
側壁43の円周方向のプレストレス付与は、定着柱44a,44bのナット13a,13bを締め付けることで行う。この締め付けにより円周方向緊張材5が伸張して緊張力が生じると、この緊張力と釣り合う弾発力になるまで皿ばね7が撓み、この弾発力がアンカープレート9a,9bを経由して定着柱44a,44bに圧縮力として伝達される。また鉛直方向のプレストレス付与は、側壁43の上端面のナット13aを締め付けることで行う。鉛直方向緊張材105が伸張して緊張力が生じると、この緊張力と釣り合う弾発力になるまで皿ばね7が撓み、この弾発力がアンカープレート9aを経由して側壁43に圧縮力として伝達される。
【0043】
前記プレストレス付与後に、緊張材5のレラクセーションや側壁43のクリープ,乾燥収縮等により、緊張材5と側壁43との円周方向の伸縮差および緊張材105と側壁43との鉛直方向の伸縮差が発生しても、その伸縮差は各々前記皿ばね7の撓み変形で吸収される。この撓みは前記弾発力変動不感帯幅内で変動するため、弾発力が小さくなることはなく一定に保たれ、結果緊張材5,105の緊張力すなわち側壁43の円周方向および鉛直方向に伝達する圧縮力を一定に維持できる。
【0044】
このため、プレストレス付与後の緊張材の緊張力を所期値に維持でき、PCタンク41の強度及び耐力を長期に亘って安定して確保することが可能となる。
【0045】
ここで、上記PCタンクと類似の容器構造物として、原子炉圧力容器(以下PCPVと略記)、原子炉格納容器(以下PCCVと略記)、卵型消化槽への適用も可能であるが、作用、効果は同じであり、かつ本発明に係る構成も総じて同じであるため、同一部材には同一の符号をつけてその詳しい説明は省略し、主に緊張材の配設ルートと非線形ばねおよび定着部材の設置位置についてのみ説明する。また、以下の説明用の図についても、緊張材の配設ルート、非線形ばねと定着部材の設置位置がわかる程度に線図により略記する。
【0046】
図5は、PCPVの鉛直方向断面図を示す。
【0047】
PCPV51は、円筒シェル状側壁53の上下端面開口部を、屋根である円盤状上版55と、基礎49上に固設された円盤状底版57で密閉した一体構造であり、前記側壁53,上版55,底版57ともプレストレスト・コンクリート製である。前記側壁53は前述したPCタンクと同様の構成であり、緊張材5,105が円周方向と鉛直方向とに配設されている。上版55と底版57とには、径方向に摺動自在に複数の緊張材205が放射状に挿通され、その緊張材205の両端は、前記PCPVの外側円周面にて定着部材14a,14bにより定着され、プレストレスが付与される。前記定着部材14a,14bは、第1実施形態と同様で一方がナット13bとアンカープレート9b、他方がナット13aと皿ばね部7とアンカープレート9aとからなる。
【0048】
図6は、PCCVの鉛直方向断面図を示す。
【0049】
PCCV61は、円筒シェル状側壁63の上下端面開口部を、球型シェルのドーム屋根65と、基礎49上に固設された円盤状底版67で密閉した一体構造であり、前記側壁63,ドーム屋根65,底版67ともプレストレスト・コンクリート製である。側壁67の円周方向緊張材5と、底版67の緊張材の配列は前記PCPVと同様である。
【0050】
ただし、鉛直方向緊張材305については、同一の緊張材305で、底版67と側壁63とドーム屋根65の三者をプレストレス付与している。すなわち、一方端を底版67の下面に定着部材14bにより定着された緊張材305は、PCCVの中心線を通る縦断面に沿って逆Uの字状に、底版67と側壁63とドーム屋根65とを挿通配列されて多数設けられており、底版67の下面の定着部材14aにより他方端を定着されている。
【0051】
図7は卵型消化槽の側面図、また図8はVIII−VIII線矢視の断面図である。卵型消化槽71は基礎49の上部にリング状基礎部79aを介して、消化槽本体72が支持された構成となっている。前記リング状基礎部79a上には、卵型シェルの側壁73が支持され、前記リング状基礎部79aの下方には逆円錐状の底版77が形成され、これらが一体化されて消化槽本体72を形成している。そして、その全体がプレストレスト・コンクリート製であり、前記底版77についても緊張材がヘリカル状に配設されている。ただし、この底版77には本発明を適用しないので、その配設ルートの説明は省略し図示はしない。
【0052】
底版77の上部に位置する卵型シェルの側壁73の外周面には、図8に示すように矩形状の定着柱74が円周方向に90゜刻みに4柱配設されている。そして、前記側壁73内を円周方向に摺動自在に挿通配設された円周方向緊張材5の両端部は、互いの位置関係が円周方向180゜の位置にある定着柱(例えば74aと74b)に定着部材14a,14bを介して定着される。
【0053】
前記側壁73内を鉛直方向に摺動自在に挿通配列された鉛直方向緊張材405の一端は、底版77にナット等の定着部材114bに螺合して埋設されることで定着され、他端は側壁の上端面81、および上端面とリング状基礎部との間の側壁外周に付設されたリング状張り出し部上面83にて、各々定着部材14aにより定着される。
【0054】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1記載の発明は、梁部材あるいは床版部材または橋梁部材であるPC構造物において、設定緊張力付与時の撓み変形に対する弾発力変動が小さい非線形ばねである皿ばねを、コンクリート構造物と緊張材端部との係止部に介在させ、緊張材のレラクセーションやコンクリート構造物のクリープ,乾燥収縮等による緊張材とコンクリート構造物との緊張材軸方向の伸縮差、およびコンクリート構造物と緊張材との緊張材軸方向の温度収縮差を吸収するようにしたので、設定緊張力付与後のプレストレスを所期値に一定に維持でき、PC構造物の強度及び耐力を著く向上させて安定化できる。
また、その構成が、皿ばねをコンクリート構造物と緊張材端部との係止部に介在させるというシンプルなものであるため、廉価に容易に実施可能であり、更には皿ばねの撓み量測定で緊張力が認識できるため容易に異常検知ができ、またその緊張力は、皿ばねの撓み量調整により容易に再設定可能である。
更には、ラボ実験データ等により設定張力付与後のレラクセーション等による緊張材とコンクリート構造物の緊張材の軸方向伸縮差が予測できる場合は、その伸縮差以上の弾発力変動が小さい領域の撓み変形量に設定することにより、以降の調整を不要とし、メンテナンスフリー化できる。
また、前記皿ばねの板厚tとその最大撓み量である高さHの比をH/t=1.2〜1.6、望ましくはH/t=1.4にすることにより、容易に所望の弾発力変動が小さい領域を有する特性に設定できる。
【0055】
また、その構成が、非線形ばねをコンクリート構造物と緊張材端部との係止部に介在させるというシンプルなものであるため、廉価に容易に実施可能であり、更には非線形ばねの撓み量測定で緊張力が認識できるため容易に異常検知ができ、またその緊張力は、非線形ばねの撓み量調整により容易に再設定可能である。
【0056】
更には、ラボ実験データ等により設定張力付与後のレラクセーション等による緊張材とコンクリート構造物の緊張材の軸方向伸縮差が予測できる場合は、その伸縮差以上の弾発力変動が小さい領域の撓み変形量に設定することにより、以降の調整を不要とし、メンテナンスフリー化できる。
【0057】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1記載の前記皿ばねが、皿ばね単体を同じ向きに複数枚重ねた皿ばね積層体を互いに逆向きに交互に付き合わせてなることを特徴とする。
【0058】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1あるいは請求項2記載のPC構造物が梁部材あるいは床版部材または橋梁部材であるので、プレストレスを所期値に維持でき、PC梁部材、PC床版部材、PC橋梁部材の強度及び耐力が著く向上して安定化される。
【0059】
請求項4記載の発明は、前記請求項1あるいは請求項2記載のPC構造物がPCタンク、PCPVあるいはPCCVまたは卵型消化槽等の容器構造物であるので、プレストレスを所期値に維持でき、これら容器構造物の強度及び耐力が著く向上して安定化される。特に原子炉圧力容器については、中性子照射と40〜50℃の微高温による緊張材のレラクセーションにかかわらず、プレストレスを維持できるので非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るPC構造物の第1実施形態を示すPC梁,PC床版,PC橋梁の長手方向断面図である。
【図2】本発明に使用される皿ばねのばね特性を示す概念図である。
【図3】本発明に係るPC構造物の第2実施形態を示すPCタンクの水平方向断面図である。
【図4】図3におけるPCタンクのIV−IV線矢視の断面図である。
【図5】本発明に係る第3実施形態を示す原子炉圧力容器の鉛直方向断面図である。
【図6】本発明に係る第4実施形態を示す原子炉格納容器の鉛直方向断面図である。
【図7】本発明に係る第5実施形態を示す卵型消化槽の側面図である。
【図8】図7における卵型消化槽のVIII−VIII線矢視の断面図である。
【図9】従来のプレストレスの減少対策を実施したPC梁の概略構成を示す長手方向断面図である。
【符号の説明】
1 PC梁(PC構造物)
3 コンクリート直方体(コンクリート構造物)
5,105,205,305,405 緊張材
7 皿ばね部(非線形ばね)
7a 皿ばね単体
9a,9b アンカープレート
13a,13b ナット(係止部)
14a,14b,114b 定着部材
41 PCタンク(PC構造物)
43,53,63,73 側壁(コンクリート構造物)
44a,44b,44c,74,74a,74b,74c,74d 定着柱
49 基礎
51 原子炉圧力容器(PC構造物)
55 上版(コンクリート構造物)
47,57,67,77 底版(コンクリート構造物)
61 原始炉格納容器(PC構造物)
65 ドーム屋根(コンクリート構造物)
71 卵型消化槽(PC構造物)
72 消化槽本体(コンクリート構造物)
79a リング状基礎部
81 側壁上端面
83 リング状張り出し部上面
126 仕口部

Claims (2)

  1. 梁部材あるいは床版部材または橋梁部材であるプレストレスト・コンクリート構造物の緊張材に緊張力を付与する手段として、設定緊張力付与時の撓み変形に対する弾発力変動が小さい非線形ばねである皿ばねを、コンクリート構造物と緊張材端部との係止部に介在させることにより、設定緊張力付与後に発生する緊張材のレラクセーション、コンクリート構造物のクリープ又はコンクリート構造物の乾燥収縮による緊張材とコンクリートとの緊張材軸方向の伸縮差が吸収されて設定緊張力付与後のプレストレスを一定に維持するプレストレスト・コンクリート構造物であって、
    前記皿ばねの板厚tと最大撓み量である高さHの比をH/t=1.2〜1.6にしたものであることを特徴とするプレストレスト・コンクリート構造物。
  2. 前記皿ばねは、皿ばね単体を同じ向きに複数枚重ねた皿ばね積層体を互いに逆向きに交互に付き合わせてなることを特徴とする請求項1に記載のプレストレスト・コンクリート構造物。
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