JP3682800B2 - 車載用衛星放送受信方法および装置 - Google Patents

車載用衛星放送受信方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの移動体に搭載される車載用衛星放送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
衛星放送システムは、予め定める経度の赤道上空約36,000kmにある静止軌道に打上げられた放送衛星(Broadcasting Satellite)から、予め定める放送圏内にくまなく電波を送信するテレビジョン放送システムである。たとえば日本国内全域を放送圏として実施されている衛星放送(以後、「BS」と略称することがある)では、放送衛星は東経110度の赤道上空の静止軌道に打上げられている。
【0003】
放送衛星からの電波である衛星放送波は、地上テレビジョン放送(以後、「地上TV放送」と略称する)の放送局からの電波である地上TV放送波と比較して、地上の受信アンテナに対して高迎角で到達する。この迎角は、たとえば和歌山で約29度、沖縄で54度である。ゆえに放送衛星からの衛星放送波は、建造物、送電線および地形などの影響をほとんど受けない。これによって、衛星放送の画像にゴーストなどの受信障害による影響が発生することを防止することができる。さらに、地上TV放送と比較して、高品質の音声を送信することができる。
【0004】
放送衛星は、赤道上空の静止軌道に打上げられているので、放送衛星と地上の受信局までの距離が遠い。たとえば日本列島に受信アンテナが設置されているとき、放送衛星から日本の受信アンテナまでの距離は約38,000kmである。これによって、放送衛星から到達する衛星放送波は微弱になる。ゆえに衛星放送波は、たとえばパラボラアンテナなどの利得の大きいアンテナなどで受信する必要がある。
【0005】
近年自動車などの移動体にも、衛星放送を受信することができるテレビジョン受信装置が搭載されるようになっている。このようなテレビジョン受信装置では、受信アンテナは移動体の車外に設置されることが多い。これは、移動体の車室内にアンテナを設置したとき、車体に衛星放送波が遮られることによって微弱な電波がさらに微弱になり、電波の受信が困難になるためである。
【0006】
実開平6−48207号公開公報には、弱電帯領域において携帯電話を使用するとき、および携帯電話本体を移動させて使用するときなどにおいて、受信電界強度の変化によって生じる雑音を含む不安定通話の改善を行うための技術が開示されている。本考案では、携帯無線機に簡易外部アンテナ装置を電磁結合させる。簡易外部アンテナ装置は、携帯無線電話機の内蔵アンテナと電磁結合されるピックアップアンテナと、たとえば車両の車体の窓内側または車体の外側などに固定される外部アンテナとを、給電ケーブルで接続したものである。
【0007】
携帯無線電話機では、外部アンテナで受信された電波を給電テーブルを介してピックアップアンテナに与え、ピックアップアンテナから内部アンテナに向けて再び送信する。内部アンテナは、ピックアップアンテナから送信された電波を受信する。このような簡易外部アンテナ装置では、車体による電波の阻害を防止するために外部アンテナを車両の外に設置すると、車両内部のピックアップアンテナとの間を接続する給電ケーブルを車両外部から車室内に引込まなければならなくなる。
【0008】
特開平6−252781号公開公報には、鉄道車両などの移動体内でテレビ放送を携帯用受信機で受信することができる移動体テレビ放送受信システムに関する技術が開示されている。本発明のテレビ放送受信システムでは、鉄道車両の屋根にテレビ放送受信用アンテナが設置されている。このアンテナからの出力信号は、受信位置における既存のテレビジョン放送局に割当てられていない空きチャネルの高周波信号に変換され、放射アンテナから車室内に放射される。車内においては、携帯用受信機において本来空きチャネルであるはずのチャネルを選択することによって、放射された信号を選択し受信する。このような受信システムにおいて、車室内の放射アンテナに鉄道車両外部からのアンテナの出力信号を伝達するためには、たとえば同軸ケーブルなどの導線が必要とされる。
【0009】
たとえば前述した衛星放送波を自動車などの移動体において受信しようとするとき、移動体の車室内にアンテナを設けたると、移動体の車体そのものが障害物と成って衛星放送波の送信を妨害することがある。ゆえに、従来技術の車載用BS受信装置では、アンテナおよびBSコンバータなど衛星放送波の受信に必要な構成は、たとえば移動体の屋根上など移動体外部に設置される。車室内には、衛星放送波から映像および音声を再生するBSチューナ、表示装置およびスピーカなどが設置される。
【0010】
移動体外部のアンテナで受信された衛星放送波は、BSコンバータで円偏波が直線偏波に変換され、さらに中間周波数に周波数変換されて、BF−IF信号に変換される。BF−IF信号は、同軸ケーブルなどの導線を介して車内のBSチューナに伝達される。BSチューナでは、BF−IF信号を復調して、衛星放送の映像および音声を再生する。このような移動体外部の構成と車室内の構成とを接続するときには、同軸ケーブルのような直径の大きい導線が用いられる。さらに、移動体外部に設置されるアンテナには、移動体が移動するのに伴って、アンテナに常に放送衛星を追尾させるためのモータなどが備えられる。このモータを駆動するための電力は、BSチューナから前述した同軸ケーブルを介して供給される。さらにアンテナの追尾動作などを制御するための信号をも、車室内のBSチューナから与えられる。ゆえにこの信号を供給する導線などがさらに必要とされる。
【0011】
このように車載用のBS受信装置は、車室内の構成と車室外の構成とを接続する導線の数が多く、かつ使用される導線の直径が大きい。たとえば、BSチューナから出力されるBS−IF信号を伝達するための同軸ケーブルは、現行規格では直径が少なくとも6mm以上あるものが用いられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述した移動体外部の構成と内部の構成とを接続する複数本の導線は、移動体外部から車室内部に引込まれなくてはならない。BS受信装置は、移動体とは別個に購入されて、移動体の使用者が自分で受信装置を設置しようとすることが多い。このとき、これらの導線は、たとえばドアと車体との間がゴムを介在して密封されている部分から、ゴムを変形させるようにして車室内に挿入される。引込まれる導線は、直径の大きい同軸ケーブルであるので、導線を引込んだ部分の周囲のゴムが大きく変形されて隙間が生じ、車室の機密性が損なわれる。ゆえに、この部分から車室内に導線を伝って雨水などが浸入することがある。またこのような受信装置の取付けおよび配線は、手間がかかる。
【0013】
さらにまたこれらの導線は、移動体の各部の挙動、たとえばドアの開閉を妨げないように移動体の外形状に沿って屈曲して設置される。BS−IF信号を伝達する導線が屈曲された状態でBS受信装置を使用すると、導線の屈曲部で電波の反射が生じることがある。これによってBS放送の受信レベルが低下する。さらにまた、ドアと車体との間などの部分から導線を車室内に引込んでいるとき、ドアを頻繁に開閉すると、導線のドアと車体間に挟まれている部分を誤ってドアの構造材で傷付け、損傷させることがある。
【0014】
本発明の目的は、自動車などの移動体において衛星放送波を受信することができる車載用衛星放送受信装置であって、かつ移動体外部から車室内に引込まれる導線の数を減少させることができる車載用衛星放送受信装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、放送衛星から送信される衛星放送波を衛星放送受信アンテナで受信し、
受信した衛星放送波を復調して、映像信号と音声信号を得て、
得られた映像信号および音声信号によって、地上テレビジョン放送の搬送波と同一周波数を有する衛星放送受信用搬送波を変調して、衛星放送受信用送信信号を生成し、
衛星放送受信用送信信号を送信アンテナから輻射して送信し、
送信された衛星放送受信用送信信号を、地上放送受信アンテナで受信し、
受信した衛星放送受信用送信信号を復調して、映像信号と音声信号とを得て、
こうして受信して得られた映像信号を目視表示し、受信して得られた音声信号を音響表示することを特徴とする車載用衛星放送受信方法である。
本発明に従えば、車載用衛星放送受信方法では、衛星放送受信アンテナで衛星放送波を受信すると、その放送波を衛星放送波の信号伝送方式に基づいて復調する。これによって、衛星放送の映像信号および音声信号を得る。
この映像信号と音声信号とによって、衛星放送受信用搬送波を地上テレビジョン放送(以後、地上TV放送と略称する)と同一の変調方式によって変調する。この衛星放送受信搬送波は、地上TV放送の搬送波と同一周波数であり、たとえば衛星放送受信アンテナの現在位置である受信場所において、地上TV放送に使用されていないチャネルの搬送波である。これによって、映像信号および音声信号とが地上TV放送と同一の伝送方式で送信される衛星放送受信用送信信号が生成される。
衛星放送受信用送信信号は、送信アンテナから輻射されて、地上放送受信アンテナに向かって送信される。地上放送受信アンテナで受信された前記送信信号は、地上TV放送と同一復調方式で復調される。これによって、前述した衛星放送の映像信号と音声信号とが再び得られる。これらの信号は、それぞれ目視表示および音響表示される。
このように、本発明の受信方法では、衛星放送受信アンテナで受信された衛星放送波の復調結果である映像信号と音声信号とを目視表示および音響表示する構成に伝送する伝送経路の一部が、送信アンテナと地上波受信アンテナとの間の無線伝送で行われている。これによって、衛星放送波を受信復調する構成と、映像信号および音声信号を表示する構成とが、異なる場所であって導線で接続することが難しい場所に設置されているとき、この両構成を接続する有線伝送経路を無線伝送経路に置換えることができる。
【0016】
また本発明は、(a)放送衛星から送信される衛星放送波を受信する衛星放送受信アンテナと、
(b)衛星放送受信機であって、
衛星放送受信アンテナからの出力が与えられ、衛星放送波を復調して映像信号と音声信号とを得る復調手段と、
復調手段の出力が与えられ、得られた映像信号および音声信号によって、予め定める衛星放送受信用搬送波を変調して、衛星放送受信用送信信号を生成する変調手段と、
変調手段の出力が与えられ、衛星放送受信用送信信号を輻射する送信アンテナとを有する衛星放送受信機と、
(c)放送局から送信される地上TV放送波、および衛星放送受信機から送信される衛星放送受信用送信信号を受信する地上受信アンテナと、
(d)受信した地上TV放送波、および衛星放送受信用送信信号のいずれか一方を復調して音声信号と映像信号とを得て、受信して得られた映像信号を目視表示し、受信して得られた音声信号を音響表示する地上TV放送受信機とを含み、衛星放送受信用搬送波の周波数は、地上TV放送の搬送波と同一の周波数であることを特徴とする車載用衛星放送受信装置である。
本発明に従えば、車載用衛星放送受信装置は、自動車などの移動体に搭載される。当該装置では、衛星放送から送信される衛星放送波は衛星放送受信アンテナで受信される。このアンテナには、たとえば平面アンテナおよびパラボナアンテナなど、微弱電波を受信することができる利得の大きなアンテナが選ばれる。またこのアンテナは、衛星放送受信装置自体が移動体に搭載されているので、移動体の現在位置であって、アンテナの現在位置である受信場所が移動体の移動に伴って移動する。ゆえに衛星放送受信アンテナは、受信場所が移動しても常に放送衛星を追尾するように、アンテナの向きが逐次調整されている。さらにまた、衛星放送受信アンテナには、衛星放送波に特有の円偏波の電波を地上TV放送と同一の直線偏波の電波に変換する円偏波−直線偏波変換回路および、アンテナ出力を増幅する高周波増幅回路などが備えられることがある。
衛星放送受信アンテナの出力は、衛星放送受信機に与えられる。衛星放送受信アンテナと衛星放送受信機との間にはたとえば導線などの有線伝送経路が設けられ、この経路によってアンテナの出力が伝送される。アンテナ出力である衛星放送波は、まず復調手段に与えられる。復調手段では、後述する衛星放送波の信号伝送形式に基づいて放送波を復調し、映像信号と音声信号とを得る。
得られた映像信号と音声信号とは、変調手段に与えられる。変調手段では、映像信号と音声信号とを無線伝送するための衛星放送受信用送信信号を生成する。衛星放送受信用送信信号は、地上TV放送のチャネルの搬送波と同一周波数を有する衛星放送受信用搬送波を、得られた映像信号および音声信号によって変調して生成される。衛星放送受信用送信信号は、送信アンテナから地上受信アンテナに向かって送信される。
地上受信アンテナは、地上TV放送のチャネルが設定される周波数帯域の電波を受信する。衛星放送受信用送信信号の搬送波は、地上TV放送のチャネルの搬送波と同一周波数であるので、この地上受信アンテナによって受信されることができる。地上受信アンテナの出力は、地上TV放送受信機に与えられる。
地上TV放送受信機は、地上受信アンテナの出力のうち、使用者が所望とするチャネルの電波、すなわち地上TV放送波および衛星放送受信用送信信号のいずれか一方の信号を送信するチャネルを選局して復調して、映像信号および音声信号を得る。これによって、衛星放送受信用送信信号を送信するチャネルを選局したときには、衛星放送の映像信号(以後、「BS映像信号」と略称する)および衛星放送の音声信号(以後、「BS音声信号」と略称する)が復調される。地上TV放送を送信するチャネルを選局したときには、地上TV放送の映像信号(以後、「地上映像信号」と略称する)および地上テレビジョンの音声信号(以後、「地上音声信号」と略称する)が復調される。
BS映像信号およびBS音声信号とは、地上映像信号および地上音声信号と同一の信号方式の信号である。たとえば映像信号は走査線数525本のNTSC方式の信号である。音声信号は、時間的に連続するアナログ信号である。ゆえに、受信して得られた映像信号および音声信号は、同一手法で目視表示および音響表示される。たとえば映像信号は、陰極線管の電子銃および電極に与えられて、電子銃から放射される電子線の強度および偏向方向などを制御する。これによって、陰極線管の蛍光面の多数の蛍光体を電子線で順次走査し発光させて、映像を目視表示する。また音声信号はスピーカなどを駆動させることができるレベルまで増幅された後にスピーカに与えられて音響化される。
このように、本発明の車載用衛星放送受信装置では、衛星放送を使用者に提示する構成は、地上TV放送の陰極線管およびスピーカなどの構成と兼用される。また、衛星放送受信機は、これらの構成に対して、映像信号および音声信号を地上受信アンテナを用いて地上TV放送と同様の無線伝送路を用いて送信する。さらに衛星放送波と地上TV放送波とは信号伝送方式が異なるので、衛星放送波の放送内容を地上TV受信機に送信するときは、一旦衛星放送波を復調して映像信号と音声信号とを得て、得られた信号を用いて伝送を行う。
ゆえに、少なくとも衛星放送受信機と地上TV放送受信機の信号を表示する構成との間では、衛星放送波を復調して得た映像信号および音声信号を伝送するための導線を必要としない。したがって、移動体外部から移動体内部に引込まれる導線の数を減少させることができる。
【0017】
また本発明は、前記衛星放送受信アンテナおよび衛星放送受信機は、移動体の車体外部に固定され、
地上TV放送受信機は、移動体の車室内に設置されることを特徴とする。
本発明に従えば、前記衛星放送受信アンテナと前記衛星放送受信機とは、車載用衛星放送受信装置が搭載される移動体の車体外部に設置される。すなわち、衛星放送波を受信復調して衛星放送受信用送信信号を生成し送信する構成であって、たとえば有線伝送路で接続される構成が、全て移動体の車体外部に設置される。衛星放送受信アンテナを移動体の車体内部に設置して衛星放送波を受信するとき、衛星放送波は微弱な電波であるので、移動体の車体自体によって電波が遮られて受信が困難になることがある。このような受信障害を防止するために、衛星放送受信アンテナは移動体の車体外部に設置されることが好ましい。
また、地上TV放送受信機は、移動体の車室内部に設置される。ゆえに、地上映像信号および地上音声信号、ならびにBS映像信号およびBS音声信号を使用者に対して目視表示および音響表示する構成は、車室内に設置される。したがって、移動体の車室内において、地上TV放送および衛星放送の映像と音声とを、目視および聴取することができる。
衛星放送受信機と地上TV放送受信機との間では、衛星放送の映像信号および音声信号は送信アンテナと地上受信アンテナとの間の無線伝送によって伝送される。ゆえに、衛星放送受信機と地上TV放送受信機とを接続して衛星放送の信号を伝送するための導線を省略することができる。たとえば地上受信アンテナが移動体内部に設置されているときには、移動体外部から移動体内部に引込む導線は、衛星放送受信アンテナおよび衛星放送受信機を駆動する電力を供給するための導線などだけとすることができる。さらに予め衛星放送受信機などが電力源を備えているときは、移動体外部から移動体内部に引込む導線を無くすことができる。これによって、移動体外部から移動体内部へ導線を伝わって雨水などが侵入することがなくなる。また、移動体のドアと車体の隙間などから導線を無理に移動体内部に引き込む必要がなくなるので、ドアの開閉などによって、導線が損傷することがなくなる。
特に、従来技術のBS受信装置においては衛星放送受信アンテナだけを移動体外部に設置し、衛星放送受信機および信号を表示する構成は移動体内部に設置されていたので、衛星放送受信アンテナの出力伝送する導線を移動体内部に引込む必要があった。引込まれる導線を介して伝送されるアンテナ出力は、たとえば1GHz程度の高周波であり、導線に屈曲部があるとき、屈曲部において伝送電力の反射が生じて受信レベルの低下の原因となっていた。本発明の衛星放送受信装置では、このような導線を必要としないので、伝送電力の反射などによる受信レベルの低下が起こらない。さらにまた、衛星放送受信アンテナを設置するときに、導線に屈曲部を生じさせないように配置する必要がなくなり、衛星放送受信アンテナの設置および配線が容易となる。
【0018】
また本発明は、前記復調手段は、
衛星放送受信アンテナからの出力が与えられ、衛星放送波を復調して予め処理が施された映像信号と予め処理が施された音声信号とを得る復調回路と、
復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された映像信号に予め定める第1の処理を施して、衛星放送の映像信号を得る衛星放送映像処理回路と、
復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された音声信号に予め定める第2の処理を施して、衛星放送の音声信号を得る衛星放送音声処理回路とをさらに含み、
前記予め定める衛星放送受信用搬送波は、得られた映像信号によって変調される第1搬送波と、得られた音声信号によって変調される第2搬送波とを含み、
前記変調手段は、
衛星放送映像処理回路の出力が与えられ、得られた衛星放送の映像信号によって予め定める第1搬送波を変調する映像変調回路と、
衛星放送音声処理回路の出力が与えられ、得られた衛星放送の音声信号によって予め定める第2搬送波を変調する音声変調回路と、
映像変調回路および音声変調回路の出力が与えられ、変調された第1および第2搬送波から、衛星放送受信用送信信号を生成する生成回路とをさらに含むことを特徴とする。
本発明に従えば、前記衛星放送受信機の復調手段では、衛星放送波から、BS映像信号およびBS音声信号を得る。衛星放送波は、衛星放送の主搬送波を、映像信号および音声信号を含むベースバンド信号によって周波数変調したものである。ベースバンド信号の映像信号(以後、「ベース映像信号」と略称する)およびベースバンド信号の音声信号(以後、「ベース音声信号」と略称する)は、BS映像信号およびBS音声信号にそれぞれ異なる予め定める信号処理が施されて生成される。
これらの信号処理は、衛星放送にだけ行われる処理であって、地上TV放送の地上映像信号および地上音声信号では行われない。ゆえに、地上テレビジョン受信機が地上TV放送にだけ対応した構成を有しているとき、ベース映像信号およびベース音声信号を与えても、衛星放送の映像および音声を出力することができない。したがって、衛星放送受信機の復調手段では、衛星放送波を復調するだけでなく、これらの衛星放送にだけ施される信号処理を解除する処理を行う。
衛星放送受信アンテナから与えられる衛星放送波は、復調回路において衛星放送の主搬送波を変調した変調方式に基づいて復調される。すなわち、衛星放送波を周波数弁別する。衛星放送では、映像信号の変調方式と音声信号の変調方式は等しいので、復調回路からは衛星放送のベース映像信号およびベース音声信号が出力される。復調されたベース映像信号およびベース音声信号は、それぞれ衛星放送映像処理回路および衛星放送音声処理回路に与えられる。
衛星放送映像処理回路では、ベース映像信号に予め定める第1の処理を施してBS映像信号を得る。たとえばBS映像信号をそのまま用いて搬送波を周波数変調することによって、雑音の増加および電波のエネルギの集中などの不都合が生じることがある。ゆえにベース映像信号は、変調した搬送波に前述した不都合が生じないように、予めBS信号に信号処理を施して生成される。このような信号処理は、たとえばディエンファシスおよびエネルギ拡散信号の重畳などである。予め定める第1の処理は、これらの信号処理を解除するための処理である。また復調回路から得られる映像信号は、放送衛星から送信される前のベースバンド信号の映像信号と比較して、信号の直流成分が失われていることがある。衛星放送映像処理手段では、失われた直流成分の再生も行われる。これによって、衛星放送映像処理回路からは、BS映像信号が出力される。
衛星放送音声処理回路では、ベース音声信号に予め定める第2の処理を施してBS音声信号を得る。衛星放送のBS音声信号はデジタル伝送が行われる。たとえばベース音声信号は、BS音声信号を符号化した音声デジタル信号によってデジタル変調された音声副搬送波である。デジタル変調とは、デジタル信号に対応して搬送波の振幅、周波数、位相などを変化させる変調方式である。たとえば振幅を変化させるときは、デジタル信号が「0」のときは搬送波の振幅を最小値に切換え、「1」のときは振幅を最大値に切換える。
予め定める第2の処理は、たとえばデジタル変調された音声副搬送波をデジタル復調して音声デジタル信号を得て、その音声デジタル信号を復号し、アナログ/デジタル変換する処理である。これによって、衛星放送音声処理回路からは、BS音声信号が出力される。
このようにして得られたBS映像信号およびBS音声信号は、前記変調手段に与えられる。変調手段では、これらの信号を用いて、地上TV放送と同一の変調方式で変調された衛星放送受信用送信信号を生成する。
前記衛星放送受信用搬送波は、映像信号および音声信号を送信するために、それぞれの信号によって変調される第1および第2搬送波が含まれる。映像変調回路では、地上TV放送における映像信号の変調方式と同一の変調方式で、第1搬送波を得られたBS映像信号によって変調する。音声変調回路では、地上TV放送における音声信号の変調方式と同一の変調方式で、第2搬送波を得られたBS音声信号によって変調する。すなわち、たとえば映像変調回路では、得られたBS映像信号によって第1搬送波を振幅変調する。また音声変調回路では、得られたBS音声信号によって第2搬送波を周波数変調する。
映像および音声変調回路からの出力は、生成回路に与えられる。生成回路では、地上映像信号および地上音声信号によって変調された地上TV放送の映像および音声搬送波から地上TV放送波を生成する動作と同一の動作によって、衛星放送受信用送信信号を生成する。これによって、衛星放送受信用送信信号は、地上TV放送波と同一の伝送形式の信号となる。ゆえにこの衛星放送受信用送信信号は、地上TV放送を受信する構成だけを有する地上テレビジョン受信装置によって受信され復調されることができる。
【0019】
また本発明は、前記第1搬送波の周波数は、地上TV放送のチャネルのうち、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルの映像搬送波と同一の周波数であり、
前記第2搬送波の周波数は、第1搬送波と同一の地上TV放送のチャネルの音声搬送波と同一の周波数であることを特徴とする。
本発明に従えば、BS映像信号およびBS音声信号を送信する前記第1および第2搬送波は、地上TV放送のチャネルの映像搬送波および音声搬送波と同一の周波数を有する。すなわち、第1および第2搬送波の周波数の関係は、地上TV放送波と等しい。また、チャネル内の第1および第2搬送波の周波数の位置も地上TV放送波と等しい。
前記地上TV放送受信機における衛星放送受信用送信信号の復調表示動作では、たとえば当該受信機がスーパヘテロダイン方式であるとき、選局動作および周波数変換動作などが当該チャネルを用いて送信される地上TV放送波を復調表示する動作と等しい。ゆえに、衛星放送受信用送信信号を、地上TV放送波と全く同じように復調して信号を表示することができる。
また、第1および第2搬送波と同一周波数の搬送波を有するチャネルは、移動体の現在位置である受信場所において受信可能な地上TV放送波の送信に使用されていないチャネルが選択される。ゆえに、地上TV放送のチャネルを用いて衛星放送受信用送信信号を送信しても、地上TV放送波の受信に影響を与えない。
【0020】
また本発明は、前記復調手段は、
衛星放送受信アンテナからの出力が与えられ、衛星放送波を復調して、予め定める処理が施された映像信号と予め定める処理が施された音声信号とを得る復調回路と、
復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された映像信号に予め定める第1の処理を施して、衛星放送の映像信号を得る衛星放送映像処理回路とをさらに含み、
前記予め定める衛星放送受信用の搬送波は、得られた映像信号によって変調される第1搬送波と、復調された音声信号によって変調される第2搬送波とを含み、
前記変調手段は、
衛星放送映像処理回路の出力が与えられ、得られた衛星放送の映像信号によって予め定める第1搬送波を変調する映像変調回路と、
復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された音声信号によって予め定める第2搬送波を変調する音声変調回路と、
映像変調回路および音声変調回路の出力が与えられ、変調された第1および第2搬送波から衛星放送受信用送信信号を生成する生成回路とをさらに含み、
前記地上TV放送受信機は、
前記地上受信アンテナの出力が与えられ、アンテナからの出力から映像信号を復調する映像復調手段と、
映像復調手段の出力が与えられ、映像信号を目視表示する目視表示手段と、
地上受信アンテナの出力が与えられ、アンテナからの出力から地上TV放送の音声信号を復調する地上放送音声復調手段と、
地上受信アンテナの出力が与えられ、アンテナの出力から衛星放送の前記予め定める処理が施された音声信号を復調し、復調された予め定める処理が施された音声信号に予め定める第2の処理を施して、衛星放送の音声信号を得る衛星放送音声復調処理手段と、
音声復調手段および衛星放送音声復調処理手段の出力が与えられ、地上TV放送の音声信号および衛星放送の音声信号を音響表示する音響表示手段と、
地上TV放送波を受信したときには地上放送音声復調手段からの出力を音響表示手段に与え、衛星放送受信用送信信号を受信したときには衛星放送音声復調処理手段からの出力を音響表示手段に与えるように切換る切換え手段とを含むことを特徴とする。
本発明に従えば、前記衛星放送受信機では、衛星放送のBS音声信号をベース音声信号のまま地上TV放送受信機に与え、地上TV放送受信機においてベース音声信号に第2の処理を施して、BS音声信号を得る。
衛星放送受信機の復調手段では、まず復調回路で衛星放送の変調形式に基づいて衛星放送波を復調して、ベース映像信号およびベース音声信号を得る。さらに衛星放送映像処理回路において、ベース映像信号に予め定める第1の処理を施して、BS映像信号を得る。復調手段から変調手段へは、BS映像信号とベース音声信号とが与えられる。
変調手段では、映像変調回路において、地上TV放送の映像信号と同一の変調方式で、第1搬送波をBS映像信号によって変調する。同時に音声変調回路において、第2搬送波をベース音声信号によって地上TV放送の音声信号と同一の変調方式で変調する。変調された第1および第2搬送波は生成手段に与えられ、地上TV放送波と同一の伝送方式で衛星放送受信用送信信号が生成される。
前記地上TV放送受信機には、地上TV放送を復調表示する構成の他に、ベース音声信号からBS音声信号を得るための構成が備えられる。BS映像信号および地上映像信号は、映像復調手段において、地上受信アンテナの出力を地上TV放送の映像信号の変調方式に基づいて復調することによって得られる。BSおよび地上映像信号は、たとえば陰極線管である目視表示手段によって目視表示される。
地上音声信号は、音声復調手段において、地上受信アンテナの出力を地上TV放送の音声信号の変調方式に基づいて復調することによって得られる。BS音声信号は、衛星放送音声復調処理手段において、まず地上受信アンテナの出力を地上TV放送の音声信号の変調方式に基づいて復調して、衛星放送のベース音声信号を得る。このベース音声信号に、前述した予め定める第2の処理を施すことによって、BS音声信号が得られる。BS音声信号および地上音声信号は、切換え手段を介してたとえばスピーカである音響表示手段に与えられて音響表示される。
切換え手段は、BSおよび地上音声信号のうち、いずれか一方だけを音響表示手段に与える。たとえば地上TV放送が復調表示されるときは、地上音声信号を音響表示手段に与えるように切換えられる。衛星放送が復調表示されるときは、BS音声信号を音響表示手段に与えるように切換えられる。切換え手段は、たとえば使用者の操作によって切換えられてもよく、衛星放送音声復調処理回路で音声デジタル信号が復調されたときに出力されるロック信号などが検出されたときに自動的に切換えられてもよい。
このように本発明の衛星放送受信機からは衛星放送の音声信号がベース音声信号のまま送信され、地上TV放送受信機で初めてBS音声信号を得る。ベース音声信号は、前述したように音声デジタル信号でデジタル変調された音声副搬送波である。衛星放送では、衛星放送の1チャネルに音声信号送信のための音声チャネルが複数設定されている。音声デジタル信号は、各音声チャネルで送信される音声信号をたとえば時分割多重した信号である。BS音声信号は、この複数のチャネルを使用して送信されるので、音声多重放送、ステレオ放送などが可能である。また複数のチャネルのうちBS音声信号に使用されないチャネルは、音声信号だけの独立放送にも使用される。
音声多重放送の主音声の信号と副音声の信号、ステレオ放送の信号とモノラル放送の信号、およびBS音声信号と独立放送の音声信号とは、それぞれ異なる音声チャネルを用いて送信される。衛星放送受信復調回路では,音声デジタル信号から使用者が予め選択した音声の音声信号だけを出力することができる。ゆえに、本発明のように、地上テレビジョン受信機にベース音声信号からBS音声信号を得る構成を付加し、衛星放送受信機から音声信号をベース音声信号のまま与えると、複数種類の音声を選択して出力する動作を地上テレビジョン受信機において行うことができる。ゆえに、音声の切換えの度に移動体外部に設置される衛星放送受信機を操作する必要がなくなる。ゆえに音声の切換えが容易となる。
また、デジタル信号はアナログ信号と比較して、伝送路で重畳される雑音の影響を受けにくい。ゆえに、アナログ信号であるBS音声信号を衛星放送受信機から送信するときと比較して、音響出力されるBS音声信号の信号/雑音比が高くなる。
【0021】
また本発明は、前記地上TV放送受信機の衛星放送音声復調処理手段は、前記衛星放送の復調された予め定める処理が施された音声信号が得られると、予め定める信号を出力し、
衛星放送音声処理手段の出力に応答し、予め定める信号が出力されると、受信している電波が衛星放送受信用送信信号であることを示す受信画像の画像信号を前記映像信号に重畳する受信画像重畳手段を含むことを特徴とする。
本発明に従えば、前記地上TV放送受信機では、衛星放送受信用送信信号を復調表示するときには、それを示す受信画像を目視表示手段に目視表示する。衛星放送音声復調処理手段では、ベース音声信号が復調されて予め定める信号処理が施されるとき、予め定める信号が出力される。この信号は、たとえば音声デジタル信号に付加されている各種の制御信号を検出したことを示す信号である。この予め定める信号が出力されたとき、受信画像重畳手段は、受信画像の画像信号を、映像復調手段から出力された映像信号に重畳する。画像信号が重畳された映像信号は、目視表示手段に与えられて目視表示される。
これによって、衛星放送の映像が目視表示されるとき、その映像には受信画像が重ねて表示される。これによって使用者は、現在目視している画像が衛星放送のものであるか地上TV放送のものであるかを容易に判別することができる。
【0022】
また本発明は、前記第1搬送波の周波数は、地上TV放送のチャネルのうち、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルの映像搬送波と同一の周波数であり、
前記第2搬送波の周波数は、第1搬送波と異なる地上TV放送のチャネルであって、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルの音声搬送波と同一の周波数であることを特徴とする。
本発明に従えば、BS映像信号とベース音声信号とは、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルであって、かつ互いに異なるチャネルの搬送波と同一周波数の搬送波を用いて送信される。ベース音声信号はデジタル変調された音声副搬送波であるので、ベース音声信号で変調された第2搬送波は、BS音声信号および地上音声信号で変調された第2搬送波と比較して、占有周波数帯域が広い。ゆえに、地上TV放送と同様に、第1搬送波と同一のチャネルの音声搬送波と同一周波数の搬送波を用いて送信するとき、変調された第2搬送波が変調された第1搬送波を妨害する可能性がある。ゆえに、第1搬送波と第2搬送波とは別のチャネルに設定して、両搬送波の間の周波数の間隔を大きく取ることが好ましい。
【0023】
また本発明は、前記第1搬送波の周波数と同一の周波数の映像搬送波を有するチャネルと、前記第2搬送波の周波数と同一の周波数の音声搬送波を有するチャネルとの間には、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルが少なくとも1チャネル介在されることを特徴とする。
本発明に従えば、第1搬送波と第2搬送波とは、それぞれ地上TV放送の別のチャネルであって、両チャネルの間に地上TV放送に使用されないチャネルが介在されたチャネルの搬送波の周波数と等しく設定される。前述したように、ベース音声信号で変調された第2搬送波の占有周波数帯域は広いので、最低で1チャネル分だけ第1搬送波の周波数と第2搬送波の周波数との間隔が空いていることが好ましい。
【0024】
また本発明は、前記第1および第2搬送波の周波数は、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルの搬送波であって、受信場所において地上TV放送に使用されるチャネルとの間に、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルが少なくとも1チャネル介在されるチャネルの搬送波と同一の周波数であることを特徴とする。
本発明に従えば、前記第1および第2搬送波は、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルの搬送波と同一周波数であるように選ばれる。かつこのチャネルは、受信場所において地上TV放送に使用されるチャネルに隣接するチャネルであって、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネル以外のチャネルとする。
衛星放送受信用送信信号を送信するためのチャネルを地上TV放送に使用されるチャネルに隣接するチャネルとすると、隣接したチャネルの地上TV放送波によって、送信信号が妨害されることが考えられる。ゆえに第1および第2搬送波は、地上TV放送に使用されるチャネルおよびそのチャネルに隣接するチャネル以外のチャネルから選択することが好ましい。
【0025】
また本発明は、前記映像変調手段および音声変調手段は、第1および第2搬送波の周波数を変更設定する周波数設定手段を有することを特徴とする。
本発明に従えば、前記映像変調手段および音声変調手段は周波数設定手段を備える。この周波数設定手段は、第1および第2搬送波の周波数を変更設定することができる。これによって、衛星放送受信用送信信号の送信に使用するチャネルが地上TV放送に使用されるようになるなど、送信信号の送信に不都合が生じたとき、たとえば使用者の操作によって前記チャネルを容易に変更することができる。
【0026】
また本発明は、前記周波数設定手段は、
地上TV放送波を受信する地上受信アンテナと、
地上受信アンテナの出力が与えられ、地上TV放送の各チャネルが使用されているか否かを判定するチャネル状態判定手段をさらに有し、
チャネル状態判定手段の出力に応答し、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルを選択して、第1および第2搬送波の周波数をそのチャネルの搬送波の周波数と同一とすることを特徴とする。
本発明に従えば、前記周波数設定手段はチャネル状態判定手段を有し、地上受信アンテナによって受信した地上TV放送波に基づいて、地上TV放送の各チャネルが使用されているか否かを判定する。周波数設定手段は、この判定結果から受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルを選択し、第1および第2搬送波の周波数を選択されたチャネルの搬送波の周波数に変更して設定する。
たとえば使用者が受信可能な全ての地上TV放送のチャネル、または地上TV放送に使用されていないチャネルに関する情報を持たない受信場所において第1および第2搬送波の周波数を変更する必要が生じたときに、周波数設定手段は、地上TV放送のチャネルの使用状況を予め定める順序で順次判定する。判定が終了すると、使用されていないチャネルと判定されたチャネルに、第1および第2搬送波の周波数を設定する。これによって、周波数設定手段自身が自動的に地上TV放送に使用されていないチャネルを検索して選択するので、チャネル変更の必要性が生じたときに、地上TV放送に使用されていないチャネルを使用者が調べる必要などがなくなる。
【0027】
また本発明は、前記周波数設定手段は、
少なくとも第1および第2搬送波のいずれか一方と同一周波数の電波を受信する電波受信アンテナと、
電波受信アンテナの出力が与えられ、電波受信アンテナの受信内容が衛星放送の放送内容と一致するか否かを判断する確認手段をさらに有し、
確認手段の出力に応答し、電波受信アンテナの受信内容が衛星放送の放送内容と一致しないときには、前記第1および第2搬送波の周波数を変更することを特徴とする。
本発明に従えば、前記周波数設定手段は、電波受信アンテナで少なくとも第1および第2搬送波のいずれか一方の同一周波数の電波を受信して、その受信内容が衛星放送の放送内容と一致するか否かを確認手段において常時確認している。前記車載用衛星放送受信装置は移動体に搭載されて使用されるので、受信場所が第1および第2搬送波の周波数を定めた放送圏から、地上TV放送のチャネルの使用状況の異なる別の放送圏に移動することがある。このとき、最初の放送圏では地上TV放送に使用されていないチャネルが、別の放送圏では使用されていることがありうる。
このようなときは、地上TV放送波によって衛星放送受信用送信信号が妨害される可能性が大きくなるので、第1および第2搬送波の周波数を変更する必要がある。周波数変更手段は、確認手段によって電波受信アンテナの受信内容が衛星放送の放送内容と一致しないと判断されると、前記チャネル状態確認手段によって各チャネルの使用状態を判定し、使用されていないチャネルの周波数に前記第1および第2搬送波の周波数を自動的に変更する。
これによって、移動体が放送圏を越えて移動するときでも、使用者は地上TV放送受信機の受信するチャネルを変更するだけで、引続き衛星放送を復調表示させることができる。
【0028】
また本発明は、前記確認手段は、電波受信アンテナの受信内容のうち、映像および音声の少なくともいずれか一方の受信内容が、衛星放送の放送内容と一致するか否かを確認することを特徴とする。
本発明に従えば、前記確認手段は、電波受信アンテナの受信内容のうち、映像および音声の少なくともいずれか一方の受信内容が、衛星放送の放送内容と一致するか否かを確認する。たとえばBS映像信号とBS音声信号とを送信しているときは、第1および第2搬送波は同一チャネルの周波数の信号であるので、一方だけを確認すれば、当該チャネルの使用状態を把握することができる。またBS映像信号とベース音声信号とを送信するときは、第1および第2搬送波は別のチャネルの周波数の信号であるので、映像と音声とを両方とも確認する必要がある。映像および音声のいずれかのチャネルが地上TV放送に使用されるようになったときは、少なくとも使用されるようになったチャネルに設定された搬送波は変更する必要がある。
【0029】
また本発明は、前記周波数設定手段は、第1および第2搬送波の周波数を変更するときには、周波数を変更する時刻よりも予め定める時間前に、周波数を変更することを示す変更予告画像の画像信号を衛星放送の映像信号に重畳する予告画像重畳手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明に従えば、衛星放送受信用送信信号を送信するためのチャネルを変更するときは、変更前にその旨を示す変更予告画像を目視表示させる。周波数変更手段は、第1および第2搬送波の周波数を変更するときには、予告画像重畳手段によって、変更の前に変更予告画像の画像信号を復調手段から出力される衛星放送の映像信号に重畳する。
これによって、使用者は、目視表示手段を目視しているときであれば、周波数変更手段によって送信信号を送信するためのチャネルが自動的に変更されるときでも、変更前にその旨を知ることができる。ゆえに予告画像にしたがって地上TV受信機の出力するチャネルを変更して、周波数変更後も続いて衛星放送を利用することができる。
【0030】
また本発明は、前記周波数設定手段は、第1および第2搬送波の周波数を変更するときには、周波数を変更する時刻よりも予め定める時間前に、周波数を変更することを示す変更予告音響の音響信号を衛星放送の音声信号に付加する予告音響付加手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明に従えば、衛星放送受信用送信信号を送信するためのチャネルを変更するときは、変更前にその旨を示す変更予告音響を音響表示させる。周波数変更手段は、第1および第2搬送波の周波数を変更するときには、予告音響付加手段によって、変更の前に変更予告音響の音響信号を復調手段から出力される衛星放送の音響信号に付加する。
これによって、使用者は、周波数変更手段によって送信信号を送信するためのチャネルが自動的に変更されるときでも、変更前にその旨を知ることができる。ゆえに予告音響にしたがって地上TV受信機の出力するチャネルを変更して、周波数変更後も続いて衛星放送を利用することができる。かつ、音響表示で変更を知らせるので、たとえば使用者が目視表示手段をたまたま目視していないときでも、注意を喚起することができる。ゆえに、より確実に使用者にチャネルの変更を知らせることができる。
【0031】
また本発明は、(a)放送衛星から送信される衛星放送波を受信する衛星放送受信アンテナと、
(b)衛星放送受信機であって、
衛星放送受信アンテナからの出力が与えられ、衛星放送波を復調して予め定める処理が施された映像信号と予め定める処理が施された音声信号とを得る復調回路と、
復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された映像信号に予め定める第1の処理を施して、衛星放送の映像信号を得る衛星放送映像処理回路と、
復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された音声信号に予め定める第2の処理を施して、衛星放送の音声信号を得る衛星放送音声処理回路と、
衛星放送映像処理手段の出力が与えられ、地上TV放送の変調方式と同一の変調方式に基づいて、得られた衛星放送の映像信号によって予め定める第1搬送波を変調する映像変調回路と、
衛星放送音声処理手段の出力が与えられ、地上TV放送の変調方式と同一の変調方式に基づいて、得られた衛星放送の音声信号によって予め定める第2搬送波を変調する音声変調回路と、
映像変調手段および音声変調手段の出力が与えられ、変調された第1および第2搬送波から、衛星放送受信用送信信号を生成する生成回路と、
生成回路の出力が与えられ、衛星放送受信用送信信号を輻射する送信アンテナとを有する衛星放送受信機とを含み、
第1搬送波の周波数は、地上TV放送のチャネルのうち、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルの映像搬送波と同一の周波数であり、
第2搬送波の周波数は、第1搬送波と同一の地上TV放送のチャネルの音声搬送波と同一の周波数であることを特徴とする車載用衛星放送受信装置である。
本発明に従えば、車載用衛星放送受信装置は、衛星放送波を受信する衛星放送受信アンテナと、衛星放送波からBS映像信号およびBS音声信号を得て、これら信号で地上TV受信機と同一伝送方式の衛星放送受信用送信信号を出力する衛星放送受信機とを有する。この衛星放送受信機から出力される送信信号は、既存の地上TV受信機で地上TV放送波と同一動作で受信し、復調して表示することができる。ゆえに当該装置の使用者であって、既に地上TV受信機を移動体に搭載している使用者は、この装置だけを購入し移動体の外部に設置するだけで、地上TV放送と衛星放送とをともに利用することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態である衛星放送(以後、「BS」と略称する)受信装置のBS受信機1の電気的な構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1実施形態であるBS受信装置の地上テレビジョン放送(以後、「地上TV放送」と略称する)受信機2の電気的な構成を示すブロック図である。
【0033】
本実施形態のBS受信装置は、放送衛星から送信される衛星放送波をBS受信機1で受信し、衛星放送波から衛星放送の映像信号および音声信号を得る。この得られた映像信号および音声信号を用いて、予め定める映像搬送波および音声搬送波を変調し多重して、BS送信信号を生成する。このBS送信信号が、地上TV放送受信機2に向かって送信される。地上TV放送受信機2は、BS送信信号を受信し、BS送信信号から衛星放送の映像信号および音声信号を得て、それぞれ表示する。
【0034】
放送衛星から送信される衛星放送波は、予め定められる主搬送波を、映像信号と音声信号とを含むベースバンド信号によって周波数変調して生成される。衛星放送の映像信号(以後、「BS映像信号」と略称する)は、映像信号に同期信号および輝線消去信号などの制御信号が付加された信号である。BS映像信号の方式は、走査線数525本のNTSG方式であり、地上TV放送の映像の映像信号(以後、「地上映像信号」と略称する)と同一方式である。
【0035】
ベースバンド信号の映像信号(以後、「ベース映像信号」と略称する)は、地上映像信号と異なり、ベース映像信号によって周波数変調された主搬送波によって送信される。これによって1チャネル当たりの所望帯域幅は地上TV放送に比べて広くなるけれども、地上TV放送と等しい振幅変調方式を用いて搬送波を変調したときと同程度の信号対雑音比を得るための送信電力を小さくすることができる。ベース映像信号の最高周波数は4.5MHzである。
【0036】
周波数変調方式で変調された信号では、雑音レベルが周波数に比例して大きくなる傾向にある。BS映像信号には、予め信号の高周波成分の振幅を増加させるプリエンファシスが施されている。さらに、エネルギー拡散などの処理が施されていることもある。これらの処理が施されたBS映像信号が、ベース映像信号である。
【0037】
たとえばベース映像信号は、BS映像信号にたとえばプリエンファシスおよびエネルギー拡散信号の重畳などの処理が施された信号である。プリエンファシスとは、周波数変調での三角雑音の影響を除去するために、BS映像信号の高周波成分の振幅を増幅する処理である。エネルギー拡散信号は衛星放送の搬送波よりも低周波数の信号であり、BS映像信号にこのエネルギー拡散信号を重畳して、衛星放送波の一部に電波のエネルギーが集中することを防止する。BS映像信号によって搬送波を周波数変調するとき、搬送波のBS映像信号の同期信号などによって変調された部分に電波のエネルギーが集中することがある。この電波のエネルギーの集中は、他の無線通信などの妨害の原因となることがある。エネルギー拡散信号の重畳は、これを防止するために行われる。
【0038】
ベースバンド信号の音声信号(以後、「ベース音声信号」と略称する)は、PCM(Pulse Code Modulation)方式を用いたデジタル信号であり、映像信号の主搬送波の中心周波数から約5.73MHz高い音声副搬送波をQPSK(Quadratire Phase Shift Keying)方式によって変調した信号である。
【0039】
ベース音声信号は、基本となるアナログ信号である衛星放送の音声信号(以降、「BS音声信号」と略称する)をPCM変調したデジタル信号に、伝送路の途中で発生する信号誤りを訂正するための誤り訂正符号、および音声放送の制御信号が付加されて構成される。制御信号には、フレーム同期信号、AモードとBモードとの切換えを制御する信号、テレビ音声がステレオ放送であるかモノラル放送であるかを示す信号、および独立音声放送に関する信号などが含まれる。
【0040】
BS音声信号の伝送モードにはAモードとBモードがある。Aモードでは、音声の帯域幅が15kHzのチャネルが4チャネル設定される。このチャネルのうち2つが衛星放送の音声を送信するために使用される。残りの2つのチャネルは、独立した音声放送に利用することができる。Bモードでは、音声の帯域幅は20kHzであるチャネルが2つ設定される。このチャネルは衛星放送の音声を送信するために使用される。
【0041】
図3は、本実施形態のBS受信装置の設置状態を示す図である。本実施形態のBS受信装置は、たとえば車両である移動体5において用いられる。BS受信機1は、たとえば衛星放送波を受信するアンテナ7が、移動体5外部の屋根上に設置されて固定される。BS受信機1からのBS送信信号を送信する送信アンテナ8は、地上TV放送受信機2の受信アンテナ9に近接して設置される。ゆえに、送信アンテナ8から送信されるBS送信信号は、地上TV放送波と比較して、極めて微弱なレベルの電波とすることができる。地上TV放送受信機2の受信手段10は、移動体5の車室内に設置される。
【0042】
再び図1を参照する。BS受信機1を用いて、衛星放送波を受信しBS送信信号として送信するBS受信動作を以下に説明する。BS受信機1は、いわゆるスーパヘテロダイン方式の受信機である。
【0043】
放送衛星から送信される衛星放送波は、アンテナ7で受信される。アンテナ7は、たとえばパラボラアンテナおよび平面アンテナなど、微弱な電波を受信することが可能なアンテナである。このアンテナ7は、たとえばモータなどの駆動装置によって、常にアンテナ7の電波を受信する面が放送衛星に対向することができるように、放送衛星を追尾するように駆動されている。モータを駆動する駆動電力、およびアンテナ7の向きを定める制御信号は、たとえば後述するBSチューナ部19から与えられる。
【0044】
アンテナ7の出力は、BSコンバータ12に与えられる。BSコンバータ12では、まず円偏波している衛星放送波を直線偏波した放送波に偏波変換する。さらに、直線偏波された衛星放送波を高周波増幅する。高周波増幅された衛星放送波は、予め定める周波数の局部発振信号と混合される。予め定める周波数とは、たとえば10.678GHzである。これによって、BSコンバータ12からは、予め定める中間周波数の中間周波数信号であるBS−IF(Intermediate Frequency;中間周波数)信号が出力される。予め定める中間周波数とは、たとえば約1GHzである。アンテナ7およびBSコンバータ12は、BSアンテナ部14に含まれる。
【0045】
BSアンテナ部14から出力されるBS−IF信号は、BS選局復調回路16に与えられる。BS選局復調回路16では、BSアンテナ部14で受信される衛星放送波が複数存在するとき、複数の衛星放送波のうち使用者が所望とする放送波を選択し、その衛星放送波の搬送波が後述するフィルタの中心周波数と一致するように周波数変換する。たとえば、BS選局復調回路16内に備えられる局部発振器から、選択された衛星放送波に応じた周波数の局部発振信号が出力される。BS−IF信号はこの局部発振信号と混合されて、BS−IF信号と局部発振信号との差の周波数の信号である第2中間周波数の信号に周波数変換される。
【0046】
さらに、BS選局復調回路16では、周波数変換されたBS−IF信号を周波数弁別して復調する。これによって、衛星放送波のベース映像信号とベース音声信号とが復調される。このベース映像信号およびベース音声信号は、前述したように、BS映像信号およびBS音声信号に予め定める数々の処理が施されたものである。たとえばベース映像信号には、プリエンファシスなど、伝送路における雑音重畳および信号減衰などを防ぐための処理が施されている。さらにまたベース映像信号は、BSアンテナ部14およびBS選局復調回路16などの回路内のコンデンサ結合部分において信号の直流成分が失われていることがある。ベース音声信号は、BS音声信号を符号化した音声デジタル信号によって、音声副搬送波をQPSK変調した信号である。
【0047】
BS選局復調回路16の出力は、映像信号処理回路17に与えられる。映像信号処理回路17では、まず復調されたBS−IF信号にディエンファシスが施されて、プリエンファシスによって増幅されていたBS映像信号の高周波成分の振幅が元のレベルに戻される。さらに、クランプ回路によって、失われていたベース映像信号の振幅の直流成分が再生される。これらの処理が施されたBS−IF信号は、予め定める帯域幅のフィルタで濾波される。予め定める帯域幅のフィルタとは、たとえば4.5MHzの帯域幅を有するローパスフィルタである。これによって、映像信号処理回路17からは、BS映像信号が出力される。
【0048】
BS選局復調回路16の出力は、音声信号処理回路18にも与えられる。音声信号処理回路18では、ベース音声信号から、アナログ信号であるBS音声信号を得る。
【0049】
復調されたBS−IF信号は、QPSK復調回路21に与えられてQPSK復調される。これによって、復調されたBS−IF信号に含まれるベース音声信号から、BS音声信号を符号化したデジタル信号である音声デジタル信号が復調される。この音声デジタル信号は、前述した複数の音声チャネルによって伝送される複数の音声のデジタル信号が、たとえば時分割多重された信号である。かつ、音声デジタル信号には、音声の条件を示す制御信号が重畳される。音声の条件とは、たとえば音声の伝送モードがAモードとBモードとのどちらか、音声多重放送とステレオ放送とモノラル放送とのいずれであるか、音声独立放送が行われているかなどの条件である。
【0050】
QPSK復調回路21からの出力は、PCM復号回路22に与えられる。PCM復号回路22では、音声デジタル信号に施されているインタリーブなどの処理を解除する処理を行う。デジタル信号を送信するときには、フェージングおよびマルチパス妨害などによって、送信信号の一部の周波数成分だけが減衰し、その周波数を用いて送信された信号が受信できなくなることがある。このような受信障害によって、デジタル信号の一部が欠落することがある。インタリーブは、デジタル信号の欠落する部分が所定周期で繰返され、全てのデジタル信号が復号できなくなることを防止するために、デジタル信号の送信の順序を入換える処理である。
【0051】
またPCM復調回路22では、複数の音声チャネルによって伝送される複数の音声のデジタル信号を分離する。たとえば複数の音声のデジタル信号が時分割多重されているとき、PCM復調回路22では、信号が時分割されるタイミングと同期したタイミングで、QPSK復調回路21からの出力を取出して、使用者が所望とするチャネルの音声のデジタル信号だけを得る。たとえば音声多重放送の主音声だけを再生するように設定されるときには、主音声を伝送するチャネルの音声のデジタル信号だけを取出す。ステレオ放送を再生するように設定されるときは、右の音声と左の音声とを伝送する複数のチャネルの音声のデジタル信号を共に取出す。
【0052】
PCM復号回路22からの出力は、デジタル/アナログ変換回路23においてアナログ信号に変換された後、予め定める周波数帯域幅を有するフィルタ24で濾波される。フィルタ24の帯域幅はたとえば0〜15kHz、または0〜20kHzである。衛星放送のAモードの音声を再生すべきときには、フィルタ24の帯域幅は15kHzに設定される。衛星放送のBモードの音声を再生すべきときには、フィルタ24の帯域幅は20kHzに設定される。Aモードの音声とBモードの音声とは、音声信号処理回路18自身が、PCM復号回路22において復調された音声デジタル信号に時分割多重されている制御信号を検出し、フィルタ24の帯域幅がその制御信号が示すモードに対応する帯域幅となるように、自動的に設定する。これによって、フィルタ24からは、アナログ信号であるBS音声信号が出力される。
【0053】
映像信号処理回路17から出力されるBS映像信号、および音声信号処理回路18から出力されるBS音声信号は、送信部26に与えられる。送信部26では、BS映像信号およびBS音声信号を用いて予め定める搬送波を変調し加算して、BS送信信号を生成し送信する。
【0054】
映像信号処理回路17から出力されるBS映像信号は、AM変調回路28に与えられる。音声信号処理回路18から出力されるBS音声信号は、FM変調回路29に与えられる。AM変調回路28には、BS映像信号の他に搬送波発振装置31から、予め定める周波数の映像搬送波が与えられる。FM変調回路29には、BS音声信号の他に搬送波発振装置32から予め定める周波数の音声搬送波が与えられている。
【0055】
映像搬送波および音声搬送波は、たとえばVHF帯域およびUHF帯域に設定されている地上TV放送のチャネルのうち、移動体5の現在位置である受信場所において既存の地上TV放送に使用されていない空きチャネルの搬送波と等しい周波数を有する。映像搬送波および音声搬送波は、たとえば地上TV放送と同じ周波数間隔を保つ。すなわち音声搬送波は、映像搬送波の周波数よりも4.5MHz高い周波数の搬送波である。これらの映像搬送波および音声搬送波の周波数は、たとえば制御回路33において決定される。
【0056】
図4は、搬送波発振装置の具体的な電気的構成を示すブロック図である。搬送波発振装置は、たとえば電圧制御発振器34、分周器35、基準信号源36、位相比較器37、およびフィルタ38を含むPLL(Phase Locked Loop)で実現される。また搬送波発振装置32は、搬送波発振装置31と同様の構成を有する。
【0057】
電圧制御発振器34は、後述する同調電圧に応じた周波数の搬送波を出力する。この搬送波はAM変調回路28および分周器35に与えられる。分周器35は、制御回路33から与えられる制御出力の周波数に対応して搬送波を分周して、位相比較器37に導出する。基準信号源36は、予め定める基準周波数の基準信号を位相比較器37に導出する。位相比較器では、基準信号の位相と分周された搬送波の位相とを比較して、位相差に応じた誤差出力が出力される。出力された誤差出力は、フィルタ37によって直流電圧に平滑化されて、同調電圧として電圧制御発振器34に出力される。この誤差出力は、基準信号と分周された搬送波との位相差を0とするように、搬送波の周波数を変更するように決定される。
【0058】
搬送波の周波数を変更するときは、制御回路33は、分周器35の分周比の値を変化させるように制御出力を変更する。これによって、この分周比で分周された搬送波の位相と基準信号の位相との間で位相差が生じ、位相比較器37はこの位相差が0となるように誤差出力を変更する。したがって同調電圧が変更されて、搬送波の周波数が変更される。
【0059】
図5は、地上TV放送のチャネル構成を説明するためのスペクトル図である。地上TV放送では、VHF帯およびUHF帯など、地上TV放送に用いられる周波数帯域に、複数のチャネルC(N−3)〜C(N+3)が設定されている。これらのチャネルC(N−3)〜C(N+3)は、予め定められる放送圏内において、各チャネル毎に既存の地上TV放送局に割当てられ、地上TV放送に使用される。以後、移動体5の現在位置である受信場所を含む放送圏内において地上TV放送に使用されるチャネルを「既存チャネル」と称する。
【0060】
BS送信信号の搬送波の周波数は、この地上TV放送のチャネルの1つであって、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルの搬送波と同一の周波数に設定される。以後、受信場所を含む放送圏内において地上TV放送に使用されていないチャネルを「空きチャネル」と称する。すなわち、BS受信機1では、BS送信信号を地上TV放送の空きチャネルを用いて送信することに等しい。以後、BS送信信号の搬送波と同一の周波数を含み、BS送信信号を送信するために使用されるチャネルを「送信チャネル」と称する。
【0061】
送信アンテナ8から送信されるBS送信信号は、近接して設置される受信アンテナ9で受信することが可能な微弱レベルに保たれる。ゆえに、送信チャネルに隣接して既存チャネルが存在しているとき、既存チャネルを用いて送信される地上TV放送波は信号レベルが大きいので、その搬送波によって、搬送波発振装置31,32の発振器が妨害を受けることがある。移動体5が地上TV放送波を送信する送信局および中継局などの送信のためのアンテナ直下を通過するときには、地上TV放送波の信号レベルがとくに大きくなるので、妨害を受けやすくなる。このとき既存チャネルと送信チャネルとが離れていると、この妨害の影響を減らすことができる。
【0062】
ゆえに送信チャネルは、既存チャネルとの間に少なくとも1つの空きチャネルが介在されるように選ばれる。すなわち、チャネルC(N−3),C(N+3)がそれぞれ既存チャネルであるとき、BS送信信号を送信する送信チャネルは、チャネルC(N−1)〜C(N+1)の中から選択される。好ましくは、既存チャネルC(N−3),C(N+3)から最も遠くなる空きチャネルCNが選ばれる。
【0063】
移動体5は送信チャネルを設定した放送圏とは別の放送圏に移動することが考えられる。このときには、既存チャネルが元の放送圏とは異なるチャネルに変更されていることが多い。特に隣接する放送圏では、一方の放送圏では偶数番号のチャネルを既存チャネルとし、他方の放送圏では奇数番号のチャネルを既存チャネルとしていることがある。送信チャネルを既存チャネルから2以上離れたチャネルとしておくと、例えば既存チャネルがC(N−3)からC(N−2)に移動したときにも、送信チャネルCNの両側のチャネルC(N−1),C(N+1)が空きチャネルであることが分かっているので、空きチャネルを探す事なく送信チャネルを移動させることができる。ゆえに、送信チャネルの変更が容易となる。
【0064】
また、地上TV放送は、VHF帯域およびUHF帯域の電波を用いて行われ、両帯域にチャネルが設定されている。本実施形態のBS送信信号を送信するための送信チャネルは、UHF帯域に設定されるチャネルから選択することが好ましい。UHF帯域のチャネルをBS送信信号の送信に用いるのは、VHF帯域と比較してUHF帯域のチャネルの数が多く、かつ既存の地上TV放送に使用されている既存チャネルが少ないからである。ゆえに、BS送信信号の送信に用いることができる空きチャネルの数が多く、好ましいチャネルを送信チャネルとして選択することができる。
【0065】
再び図1を参照する。AM変調回路28では、地上TV放送の空きチャネルである送信チャネルの映像搬送波と同一周波数の映像搬送波をBS映像信号によって振幅変調する。FM変調回路29では、送信チャネルの音声搬送波と同一周波数の音声搬送波をBS音声信号によって周波数変調する。AM変調回路28およびFM変調回路29からの出力は、加算回路39に与えられて加算される。変調回路28,29からの出力を加算する構成は、たとえばダイプレクサによって実現される。この構成では、映像信号によって変調された搬送波と音声信号によって変調された送信波が相互に干渉しないように送信する動作が行われる。これによって、地上TV放送の放送波(以後、「地上TV放送波」と略称する)と等しい形式のBS送信信号が生成される。BS送信信号は、増幅回路40で増幅された後に、送信アンテナ8から受信アンテナ9に向かって送信される。
【0066】
再び図2を参照する。以下に、地上TV放送受信機2における受信動作を説明する。地上TV放送受信機2は、たとえばスーパヘテロダイン方式の受信機である。
【0067】
受信アンテナ9は、地上TV放送のチャネルが設定される周波数帯域、たとえばVHF帯およびUHF帯の電波を受信する。ゆえに、地上TV放送波およびBS送信信号を受信する。受信アンテナ9からの出力は、地上選局復調回路42に与えられる。地上選局復調回路42では、受信アンテナ9からの出力を増幅し、複数の地上TV放送のチャネルのうちで選択された地上TV放送のチャネルの電波の搬送波の周波数が、予め定める中間周波数の信号となるように周波数変換がなされる。地上選局復調回路42からの中間周波数の信号は、映像復調回路43および音声復調回路44に与えられる。
【0068】
映像復調回路43では、中間周波数の信号を振幅復調して、BS映像信号、または地上映像信号を得る。次いでこれらの映像信号から垂直同期信号および水平同期信号を分離する。さらに地上TV放送および衛星放送がカラーテレビジョン放送であれば、映像信号に含まれる色度信号および色副搬送波などから3原色信号を復調する。これらの信号および映像信号は、たとえば陰極線管である表示装置46の電子銃および電極などに与えられる。電子銃は、陰極線管の蛍光面に向かって、映像信号および3原色信号などに対応した電子線を放射する。この電子線は、電極に与えられる水平同期信号および垂直同期信号に応じて偏向されて、陰極線管の蛍光面を走査する。これによって、電子線が照射された点の蛍光塗料が発光し、衛星放送および地上TV放送の映像が目視表示される。
【0069】
音声復調回路44では、中間周波数の信号を周波数弁別して音声信号を復調する。復調された音声信号は、ディエンファシスなどの信号処理が施された後に増幅されて、スピーカから音響出力される。
【0070】
このように、本実施形態のBS受信装置では、移動体5外部に設置されているBS受信機1と移動体5車内に設置されている地上TV放送受信機2との間においてBS受信機1で受信された衛星放送波に関する信号を伝送する経路として、送信アンテナ8と受信アンテナ9との間の無線伝送路が用いられる。これによって、BS受信機1から衛星放送波の復調結果を地上TV放送受信機2に与えるための導線を必要としない。ゆえに、移動体5外部から移動体5内部に引込まれる導線の本数を、減少させることができる。
【0071】
図6は、本発明の第2実施形態であるBS受信装置のBS受信機51の電気的構成を示すブロック図である。図7は、本発明の第2実施形態であるBS受信装置の地上TV放送受信機52の電気的構成を示すブロック図である。図6および図7の受信機51,52は、第1実施形態である図1および図2の受信機1,2と類似の構成を有し、同一の動作を行う構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施形態のBS受信装置では、衛星送信波のベース音声信号を、そのまま地上TV放送受信機52に送信する。
【0072】
衛星送信波は、BS受信機51のBSアンテナ部14において受信され、BS−IF信号に変換される。BS−IF信号は、BS選局復調回路16において選択された衛星放送波に応じて周波数変換された後に、周波数弁別される。復調されたBS−IF信号は映像信号処理回路17に与えられ、ベース映像信号からBS映像信号が再生される。またBS選局復調回路16からの出力は、フィルタ54で濾波された後にFM変調回路29に与えられる。フィルタ54は、たとえば復調されたBS−IF信号からベース音声信号だけを濾波するような帯域を有する。すなわち、衛星送信波の搬送波の周波数からたとえば4.5MHz分だけ高い周波数を中心周波数とした帯域を有する。これによって、フィルタ54からはベース音声信号が出力される。
【0073】
AM変調回路28では、搬送波発振装置31から出力される映像搬送波をBS映像信号によって振幅変調する。FM変調回路29では、搬送波発振装置32から出力される音声搬送波を、ベース音声信号によって周波数変調する。
【0074】
映像搬送波および音声搬送波は、地上TV放送のチャネルのうちそれぞれ異なるチャネルの搬送波である。BS映像信号およびベース音声信号をそれぞれ送信する映像送信チャネルおよび音声送信チャネルは、地上TV放送のチャネルのうち、空きチャネルの中から選ばれる。かつ、映像送信チャネルと音声送信チャネルとは、両方送信チャネルの間に少なくとも1つの空きチャネルが介在されるように選ばれる。
【0075】
ベース音声信号は、アナログ信号であるBS音声信号を符号化した音声デジタル信号であって、衛星放送の音声副搬送波をデジタル変調であるQPSK変調した信号である。このようにデジタル変調されたベース音声信号は、地上音声信号で変調された音声搬送波などと比較して、信号の占有周波数帯域が広い。本実施形態において、BS送信信号の音声搬送波を、地上TV放送と同様に映像搬送波と同一チャネルに設定したとき、変調された音声搬送波が変調された映像搬送波を妨害する可能性がある。ゆえに、映像搬送波と音声搬送波とは別のチャネルから選択し、かつそのチャネルは、チャネル間に少なくとも1つの空きチャネルが介在されたチャネルとする。これによって、変調された音声搬送波が変調された映像搬送波に妨害を及ぼすことを防止することができる。
【0076】
変調回路28,29から出力される変調された映像搬送波および音声搬送波は、それぞれ増幅回路55,56で増幅された後、加算回路39で加算される。これによって、BS送信信号が生成される。BS送信信号は、送信アンテナ8から地上TV放送受信機52の受信アンテナ9に対して送信される。
【0077】
地上TV放送受信機52の受信アンテナ9は、地上TV放送波およびBS受信機51からのBS送信信号を受信する。受信アンテナ9の出力は、分配回路58に与えられて、地上TV放送の各チャネル毎の信号に分配される。すなわち、BS送信信号において、多重されていた変調された映像搬送波と音声搬送波とが分配される。所望とする既存チャネルの地上TV放送波は、地上選択復調回路42に与えられる。BS送信信号の変調された映像搬送波もまた、地上選択復調回路42に与えられる。またBS送信信号の変調された音声搬送波は、地上選局復調回路59に与えられる。
【0078】
地上TV放送波およびBS送信信号の変調された映像搬送波は、地上選局復調回路42で選局され周波数変換される。次いで周波数変換された地上TV放送波の変調された映像搬送波、および周波数変換されたBS送信信号の変調された映像搬送波は、映像復調回路43に与えられて復調再生される。また、周波数変換された地上TV放送の変調された音声搬送波は、音声復調回路44に与えられて復調再生される。これによって得られた地上映像信号およびBS映像信号は、表示装置46で目視表示される。地上音声信号は、切換えスイッチ60を介してスピーカ47に与えられ、音響表示される。
【0079】
BS送信信号の変調された音声搬送波は、地上選局復調回路59で選局され周波数変換された後に復調され、音声信号処理回路18aに与えられる。これによって、地上選局復調回路59からは、ベース音声信号が出力される。音声信号処理回路18aでは、ベース音声信号をQPSK復調回路21においてQPSK復調した後、PCM復号回路22において復号する。PCM復号回路22からの出力は、デジタル/アナログ変換回路23でアナログ信号に変換された後、フィルタ24で濾波される。これによって、BS音声信号が再生される。BS音声信号は、切換えスイッチ60を介してスピーカ47に与えられ、音響表示される。
【0080】
地上TV放送受信機52では、地上TV放送波を受信復調するとき、切換えスイッチ60は実線で示す一方接点60α側に切換えられる。衛星放送のBS送信信号を受信復調するとき、切換えスイッチ60は、2点鎖線で示す他方接点60β側に切換られる。切換えスイッチ60の接点の切換えは、たとえば使用者が操作装置61を操作して決定する。また、PCM復号回路22から出力されるロック信号を制御回路62が検出し、ロック信号が検出される間だけ切換えスイッチ60を他方接点端子β側に切換えるようにしてもよい。ロック信号とは、PCM複合回路22においてPCM復号を行うときに、音声デジタル信号内に含まれるフレーム同期信号を検出したことを示す信号である。ロック信号が検出されたとき、地上選局復調回路59に与えられているチャネルの出力は、BS受信機51から送信されているBS送信信号の変調された音声搬送波であると判断される。
【0081】
これによって、スピーカ47から出力される音響を、映像信号と同一チャネルの搬送波で送信された音声とするか、映像信号を送信したチャネルとは別のチャネルを用いて送信された音声とするかを切換えることができる。
【0082】
このように本実施形態の地上TV放送受信機52には、衛星放送の音声信号がベース音声信号のまま与えられる。前述したように、衛星放送では1つの衛星放送波を送信するためのチャネルに音声信号を送信するための音声チャネルが複数設定されている。またこれらの音声チャネルを用いて送信される音声信号には、たとえばステレオ放送とアナログ放送、および2カ国語放送の主音声と副音声などがある。
【0083】
使用者は、操作装置61を操作して、これらの種類の音声のうち、ステレオ放送およびアナログ放送のいずれか一方、または2カ国語放送の主音声と副音声のいずれか一方を選択する。使用者が操作装置61を操作して入力した選択結果は、操作装置61から音声信号処理回路18aに与えられる。音声信号処理回路18aでは、PCM復号回路22において、使用者は所望とする種類の音声信号だけを取出して復号してデジタル/アナログ変換回路23に与える。これによって、使用者が選択した種類の音声信号だけが再生される。
【0084】
前述した第1の実施形態のBS受信装置では、これらの音声の選択を行う条件に基づいての処理は、車両移動体5外部に設置されているBS受信機1内で行われている。ゆえに、使用者は選択された音声を変更しようとするとき、たとえば移動体5外部の装置に設置されている操作装置を操作して行う。またはBS受信機1から導線を介して接続され移動体5内部に設置されている操作装置を操作して行う。ゆえに、音声選択のための操作が不便である。本実施形態のBS受信装置では、ベース音声信号のPCM復号などの動作は、移動体5内に設置される地上TV放送受信機52にて行われる。ゆえに、音声の選択を変更するための操作装置61は、地上TV放送受信機52内に設置することができる。したがって、BS受信機51から移動体内部に引込む導線の数を減少させることができる。
【0085】
図8は、本発明の第3実施形態であるBS受信装置の地上TV放送受信機65の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態のBS受信装置のBS受信機は、図6の第2実施形態のBS受信機51と同一の構成を有する。図8の地上TV放送受信機65は、図7の地上TV放送受信機52と類似の構成を有し、同一の動作を行う構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0086】
本実施形態の地上TV放送受信機65では、BS受信機からのBS送信信号を受信し、その映像信号および音声信号を目視表示および音響表示しているときには、それを示す表示である受信画像を表示装置46に衛星放送の映像とともに表示する。
【0087】
受信アンテナ9からの出力は、分配回路58で各チャネル毎に分配され、地上選局復調回路42,59にそれぞれ与えられる。BS受信機からのBS送信信号を復調し表示するとき、BS送信信号の変調された映像搬送波は、地上選局復調回路42で選局され周波数変換された後に映像復調回路43で復調され信号処理される。またBS送信信号の変調された音声搬送波は、地上選局復調回路59で選局され周波数変換されて復調されてから音声信号処理回路18に与えられて復調され信号処理された後、切換えスイッチ60を介してスピーカ47から出力される。
【0088】
BS送信信号の変調された音声搬送波を処理したとき、PCM復号回路22は、ロック信号を出力する。このロック信号は制御回路62へ与えられる。制御回路62はロック信号が検出されると、切換えスイッチ60を他方接点β側に切換える。かつ、スーパインポーズ回路66に制御信号を与える。スーパインポーズ回路66には、映像復調回路43からの出力が与えられている。スーパインポーズ回路66では、地上TV放送受信機65がBS送信信号を受信再生し、その映像および音声を出力表示していることを示す受信画像に関する信号を生成して、与えられた映像信号および各種の制御信号に重畳する。
【0089】
表示装置46には、映像復調回路43からの出力にスーパインポーズ回路66の表示画像の信号が重畳された信号が入力される。これによって表示装置46の目視表示領域には、衛星放送の映像に重ねて受信画像が目視表示される。受信画像は、たとえば「BS」の文字の画像である。使用者は、表示装置46の目視表示領域を目視し、受信画像の有無を判断することによって、現在目視表示および音響表示されている放送が、地上TV放送であるか衛星放送であるかを判断することができる。
【0090】
図9は、本発明の第4実施形態であるBS受信装置のBS受信機71の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態のBS受信装置の地上TV放送受信機は、図2の第1実施形態の地上TV放送受信機2と同一の構成を有する。また、BS受信機71は、図1のBS受信機1と類似の構成を有し、同一の動作を行う構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態のBS受信機71では、BS送信信号の送信に用いる送信チャネルを、UHF帯の各チャネルの状態を判定した後に、使用されていない空きチャネルを選択し設定する。
【0091】
衛星送信波は、BSアンテナ部14で受信され、BS−IF信号に変換された後にBSチューナ部19に与えられる。BSチューナ部19ではBS−IF信号を復調し処理して、BS映像信号およびBS音声信号が出力される。得られたBS映像信号およびBS音声信号は、AM変調回路28およびFM変調回路29に与えられる。変調回路28,29では、搬送波発振装置31,32から出力される映像搬送波および音声搬送波をBS映像信号およびBS音声信号でそれぞれ変調して、加算回路39に与える。加算回路39では変調された映像搬送波および音声搬送波が加算されてBS送信信号が生成される。BS送信信号は増幅回路40で増幅された後、送信アンテナ8から地上TV放送受信機2の受信アンテナに向かって送信される。
【0092】
BS受信機71には、地上受信アンテナ73とチャネル状態検出部74とが備えられる。チャネル状態検出部74は、地上放送波チューナ76、IFレベル検出回路77、比較回路78を含んで構成される。制御回路33は、チャネル状態検出部74に対して、たとえばUHF帯に設定されている地上TV放送のチャネルのうち、チャネル番号の若いものから順にチャネルの状態を検出させる。チャネルは、そのチャネルが既存の地上TV放送に使用される既存チャネル、放送に使用されていない空きチャネルのいずれか一方の状態を取る。
【0093】
地上受信アンテナ73は、BS送信信号を送信する周波数帯域の電波、たとえばUHF帯域の電波を受信する。地上受信アンテナ73からの出力は、地上放送波チューナ76に与えられる。地上放送波チューナ76には、制御回路33から状態を確認すべきチャネルを示す選局データが与えられる。地上放送波チューナ76では、選局データに応じて地上受信アンテナ73からの出力を、確認すべきチャネルの搬送波の周波数が予め定める中間周波数となるように周波数変換して、予め定める中間周波数のIF信号を生成する。地上放送波チューナ76の操作は、地上TV放送受信機の地上選局復調回路における動作と等しい。
【0094】
地上放送波チューナ76から出力されるIF信号は、IFレベル検出回路77に与えられる。IFレベル検出回路77では、地上放送波チューナ76から出力されたIF信号の信号レベルを検出する。すなわち、所望とするチャネルの電波の電界強度を検出する。IFレベル検出回路77での検出結果は、比較回路78に与えられる。比較回路78には、基準電圧源79から予め定める基準電圧が与えられている。比較回路78では、IF信号の電界強度のレベルと基準電圧源の基準電圧レベルとを比較する。
【0095】
基準電圧源79の基準電圧レベルは、伝送路である空間から混入する雑音の雑音レベル以上であって、地上TV放送波のレベル未満のレベルに設定されている。所望とするチャネルが既存の地上TV放送に使用されているとき、受信されたUHF帯の電波は既存の地上TV放送局から送信される地上TV放送波である。ゆえにこの地上TV放送波は、あらかじめ定めるレベルであって、基準電圧レベル以上の電界強度レベルを有する。所望とするチャネルが空きチャネルのとき、そのチャネルの周波数帯域に含まれる搬送波を用いた電波は、既存のどの地上TV放送局からも送信されていない。ゆえに、IFレベル検出回路77からの出力は、伝送路である空間から混入する雑音の雑音レベルだけとなる。
【0096】
比較回路78の比較結果は、制御回路33に与えられる。制御回路33では、比較回路78からの出力結果に応じて、所望とするチャネルが既存チャネルであるか空きチャネルであるかを判定する。すなわち、IFレベル検出回路77からの出力が基準電圧レベル以上であるときには、所望とするチャネルは既存チャネルであると判断する。IFレベル検出回路77からの出力が基準電圧レベル未満であるときには、所望とするチャネルは空きチャネルであると判断する。
【0097】
制御回路33は、UHF帯域の複数のチャネルの状態を順次チャネル状態検出部74において検査させ、現在の受信場所を含む放送圏での空きチャネルを検索する。次いで、前述したように既存チャネルとの間に1つ以上空きチャネルが介在する空きチャネルを選択して、その空きチャネルの映像搬送波および音声搬送波をBS送信信号の映像搬送波および音声搬送波として設定する。この設定結果は、制御出力として搬送波発振装置31,32に与えられる。搬送波発振装置31,32は、制御回路33から与えられる制御出力の電圧に応じて、電圧制御発振器から発振される搬送波の周波数および位相を調整する。これによって、使用者が既存チャネルがどのチャネルであるかを知らない状態であっても、BS送信信号を送信するための送信チャネルを、空きチャネルに設定することができる。
【0098】
図10は、本発明の第5実施形態であるBS受信装置のBS受信機81の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態のBS受信装置の地上TV放送受信機は、図7の地上TV放送受信機52と同一の構成を有する。図10のBS受信機81は、図6のBS受信機51および図9のBS受信機71と類似の構成を有し、同一の動作を行う構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態のBS受信機81は、BS映像信号を再送信するための映像送信チャネル、およびベース音声信号を送信するための音声送信チャネルを、それぞれUHF帯域の複数のチャネルの各チャネルの状態を検出して決定する。
【0099】
衛星送信波は、BSアンテナ部14で受信され、BS−IF信号に変換される。BS−IF信号は、BS選局復調回路16において周波数変換された後に周波数弁別される。復調されたBS−IF信号は、映像信号処理回路17において処理されて、BS映像信号が得られる。さらに復調されたBS−IF信号は、フィルタ54で濾波され、ベース音声信号が得られる。このBS映像信号およびベース音声信号によって、搬送波発振装置31,32から出力される映像搬送波および音声搬送波がそれぞれ振幅変調および周波数変調される。映像搬送波および音声搬送波は、チャネル状態検出部74によって空きチャネルであると判定されているチャネルの映像搬送波および音声搬送波が使用される。変調された映像搬送波および音声搬送波は、加算回路39で加算されて、BS送信信号が生成される。BS送信信号は増幅回路40で増幅された後に、送信アンテナ8から対応する地上TV放送受信機の受信アンテナに向かって送信される。
【0100】
制御回路33は、地上受信アンテナ73で受信されたUHF帯の電波のうちで、チャネル状態を検出すべき所望するチャネルの電波を地上放送波チューナ76において選局し周波数変換させ、IF信号を生成させる。このIF信号のレベルをIFレベル検出回路で検出し、その検出結果を比較回路78において基準電圧レベルと比較する。比較結果は制御回路33に与えられる。
【0101】
制御回路33では、チャネル状態検出部74に与えた選局データおよびチャネル状態検出部74からの出力に基づいて、UHF帯のチャネルであって、既存チャネルとの間に少なくとも1チャネルの空きチャネルが介在される空きチャネルを選択し、BS映像信号またはベース音声信号のいずれか一方を送信するためのチャネルとして設定する。さらにこの設定されたチャネルから少なくとも1チャネルの空きチャネルが介在され、かつ既存チャネルと少なくとも1チャネルの空きチャネルが介在される空きチャネルを選択して、BS映像信号およびベース音声信号のいずれか他方を送信するためのチャネルとして設定する。
【0102】
このように、UHF帯のチャネルの状態を検出するチャネル状態検出部74を備えることによって、使用者が既存チャネルがどのチャネルであるかを知らない状態であっても、BS送信信号を送信するための送信チャネルを、空きチャネルに設定することができる。
【0103】
図11は、本発明の第6実施形態であるBS受信装置のBS受信機83の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態のBS受信装置の地上TV放送受信機は、図2の第1実施形態の地上TV放送受信機2と同一の構成を有する。本実施形態のBS受信機83は、図1のBS受信機1および図9のBS受信機71と類似の構成を有し、同一の動作を行う構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施形態のBS受信機81では、BS送信信号が送信されている送信チャネルの出力を常時確認し、そのチャネルが既存の地上TV放送に使われた判断とすると、送信チャネルを変更する。
【0104】
衛星送信波はBSアンテナ部14で受信され、BS−IF信号に変換された後、BSチューナ部19でBS映像信号とBS音声信号とが得られる。BS映像信号は、後述するスーパインポーズ回路84で予告表示画像のための画像信号が重畳された後にAM変調回路28に与えられる。BS音声信号はそのままFM変調回路29に与えられる。AM変調回路28およびFM変調回路29では、搬送波発振装置31,32から発振される映像搬送波および音声搬送波が、前述したBS映像信号およびBS音声信号によってそれぞれ変調される。変調された映像搬送波および音声搬送波は、加算回路39で加算されてBS送信信号が生成される。BS送信信号は増幅回路40で増幅された後に、送信アンテナ8から対応する地上TV放送受信機の受信アンテナに向かって送信される。
【0105】
また、送信されるBS送信信号は、地上受信アンテナ73でも受信されている。かつこの地上受信アンテナ73は、たとえばUHF帯の地上波TV放送波を受信している。制御回路33は、地上放送波チューナ76に現在BS送信信号を送信している送信チャネルを選局するための選局データを与えている。これによって地上放送波チューナ76では、送信チャネルを用いて送信される電波を中間周波数に周波数変換して、IF信号を生成する。このIF信号は、チャネル確認部86の映像復調回路87に与えられてBS映像信号が復調される。このBS映像信号は、加算回路88に与えられる。
【0106】
また、BSチューナ部19から出力されるBS映像信号もまた、チャネル確認部86に与えられている。BSチューナ部19からのBS映像信号は、位相反転器90で信号の位相が180度反転された後に遅延回路91で予め定める遅延時間だけ遅延されてから、加算回路88に与えられる。予め定める遅延時間は、BSチューナ部19から遅延回路91に与えられたBS映像信号と同じBS映像信号が、振幅変調されBS送信信号として送信された後に地上受信アンテナ73で受信され、映像復調回路87によって復調されるまでの時間である。すなわち、スーパインポーズ回路84、AM変調回路28、加算回路39、増幅回路40、地上放送波チューナ76および映像復調回路87の各回路での処理時間、ならびに送信アンテナ8から送信されたBS送信信号が地上受信アンテナ73に受信されるまでの時間の合計時間である。
【0107】
遅延回路91からの出力および映像復調回路87からの出力は、それぞれ加算回路88で加算される。加算回路88からの出力は、絶対値回路92で正極性とされた後に比較回路93に与えられる。比較回路93では、絶対値回路92からの出力と基準電圧源94からの第2基準電圧とを比較する。
【0108】
たとえば現在の送信チャネルが既存の地上TV放送に用いられていない空きチャネルであるとき、地上受信アンテナ73は、当該チャネルにおいてBS送信信号だけを受信する。したがって、映像復調回路87において復調される映像信号は、BSチューナ部19から出力されるBS映像信号と同一の映像信号となる。遅延回路91からの出力は位相が反転されているので、映像復調回路87の出力と、遅延回路91からの出力とを加算すると、加算回路88からの出力は雑音などの影響を除けば0となる。これによって絶対値回路92の出力も0となり、比較回路93では、絶対値回路92の出力は第2基準電圧よりも低いと判断される。このとき比較回路93は、たとえばローレベルの出力を制御回路33に与える。制御回路33では、ローレベルの出力が与えられたとき、送信チャネルが既存の地上TV放送に使用されていないと判断する。このときには送信チャネルを変更しないままBS送信信号の送信を続ける。ゆえに、映像搬送波および音声搬送波の周波数は変更されない。
【0109】
また送信チャネルが地上TV放送に用いられる既存チャネルと一致したとき、地上受信アンテナ73では、当該チャネルに関してBS送信信号の他に既存のテレビジョン放送の地上TV放送波を受信する。このとき地上TV放送波は、BS送信信号と比較して電圧レベルが大きい。BS送信信号と地上TV放送波の電界強度レベル差がキャプチャレベル以上となったとき、キャプチャ効果によって電界強度レベルの高い信号、すなわち地上TV放送波が受信されることとなる。キャプチャ効果とは、同一周波数で電界強度レベルの異なる複数の信号が送信されているとき、電界強度レベルの高い方の信号だけが受信される現象である。
【0110】
これによって映像復調回路87からの出力と遅延回路91からの出力とは異なる放送波の映像信号となり、その間が相関性が低くなる。ゆえに、加算回路88で映像復調回路87の出力と遅延回路91の出力は打消されず、相関性が高い同一放送波の映像信号が入力されたときよりも大きなレベルの出力が絶対値回路92に与えられる。絶対値回路92では加算回路88からの出力を正極性に変換して比較回路93に与え、回路93で変換出力と第2基準電圧のレベルとを比較させる。このとき比較回路93では、絶対値回路92の出力は、第2基準電圧のレベルよりも大きくなる。このとき比較回路93は、たとえばハイレベルの出力を制御回路33に与える。
【0111】
制御回路33は、比較回路93からハイレベルの出力が与えられたとき、現在の送信チャネルが既存チャネルであると判定する。このときには、送信チャネルの変更を行う。制御回路33は、チャネル状態検出部74の地上放送波チューナ76に複数のチャネルを順次選局するための選局データを与えて、UHF帯のチャネルの状態を順次的に検出する。この検出結果に基づいて、これらの複数のチャネルのうち、空きチャネルであって、既存チャネルと1つ以上の空きチャネルが介在されているチャネルを選択して、そのチャネルを新たな送信チャネルとして設定する。この設定結果は、制御出力として搬送波発振装置31,32に与えられる。搬送波発振装置31,32は、制御回路33から与えられる制御出力の電圧に応じて、電圧制御発振器から発振される搬送波の周波数および位相を調整する。これによって、映像搬送波および音声搬送波の周波数が変更され、BS送信信号を送信する送信チャネルが変更される。
【0112】
制御回路33は、送信チャネルを変更する前に、スーパインポーズ回路84を用いて映像信号に予告表示画像に関する信号を付加する。この予告表示画像は、たとえばNチャネルを用いてBS送信信号を送信していた状態から新たに空チャネルであると判定されたMチャネルを用いてBS送信信号を送信するように変更したときには、「BS映像をMチャネルに変更します」であるようなメッセージ文の画像である。この予告表示画像は、地上TV放送受信機の表示装置の目視表示領域にに目視表示される。これによって、使用者は地上TV放送受信機で選局されるチャネルをNチャネルからMチャネルに変更することによって、衛星放送の映像および音声を続けて目視および聴取することができる。この予告表示画像のメッセージ文の画像は、たとえばチャネル変更前に予め定める時間だけ表示される。
【0113】
このように、送信チャネルが空チャネルであった地域から送信チャネルを既存の地上TV放送が使用している地域に移動体が移動したとき、キャプチャ効果によって、BS受信機83からのBS送信信号が地上TV放送受信機2で受信することができなくなることがある。本実施形態のBS受信装置は、常にBS送信信号の送信チャネルの状態を確認することによって、送信チャネルが既存チャネルである地域に移動すると、BS受信機83は自動的に送信チャネルを切換える。これによって、車両などの移動体に本実施形態のBS受信装置を搭載した場合でテレビ放送のチャネルの構成が異なる他の放送圏に移動体が移動したときでも、使用者は予告表示画像に基づいて地上TV放送受信機の選局するチャネルを切換えるだけで、衛星放送を目視および聴取し続けることができる。
【0114】
図12は、本発明の第7実施形態であるBS受信装置のBS受信機96の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態のBS受信装置の地上TV受信機は、図2の第1実施形態の地上TV放送受信機2と同一の構成を有する。本実施形態のBS受信機96は、図1のBS受信機1、図4のBS受信機71および図6のBS受信機83と類似の構成を有し、同一の動作を行う構成要素では、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施形態のBS受信機96では、音声信号を基準として、送信チャネルが既存チャネルであるか空チャネルであるかを判定する。
【0115】
衛星送信波は、BSアンテナ部14で受信されてBS−IF信号に変換され、BSチューナ部19においてBS映像信号とBS音声信号とが得られる。BS映像信号は、スーパインポーズ回路84で予告表示画像の信号が重畳された後に、AM変調回路28に与えられる。BS音声信号はFM変調回路29に与えられる。変調回路28,29では、搬送波発振装置31,32から出力される映像搬送波および音声搬送波をBS映像信号およびBS音声信号によって変調する。変調された映像搬送波および音声搬送波は、加算器39によって加算されてBS送信信号が生成される。BS送信信号は、増幅回路40で増幅された後に送信アンテナ8から、地上TV放送受信機の受信アンテナおよびBS受信機96の地上受信アンテナ73に送信される。
【0116】
地上受信アンテナ73からの出力は、地上放送波チューナ76で送信チャネルが選局されそのチャネルの信号が周波数変換されて、IF信号が生成される。IF信号は音声復調回路97に与えられてBS音声信号が復調される。復調されたBS音声信号は加算回路88に与えられる。また、BSチューナ部19で得られたBS音声信号は、位相反転回路98で位相が180度反転された後に、遅延回路99で予め定める時間だけ遅延され、加算回路88に与えられる。加算回路88では、音声復調回路97からの出力と、遅延回路99からの出力を加算する。
【0117】
加算回路88の出力は、絶対値回路92で正極性に変換された後に比較回路93で第2基準電圧レベルとレベルが比較される。送信チャネルが空きチャネルであるとき、比較回路93からはローレベルの出力を制御回路33に導出する。また送信チャネルが既存チャネルであるとき、比較回路93は、ハイレベルの出力を制御回路33に導出する。制御回路33は、ハイレベルの出力が与えられたときだけ、送信チャネルを切換える。
【0118】
送信チャネルを切換えるとき、制御回路33はチャネル状態検出部74を用いてUHF帯に設定されているチャネルの状態を順次検出する。検索されたチャネルのうち、既存チャネルとの間に少なくとも1つ以上の空きチャネルが介在された空きチャネルが、送信チャネルとして設定される。送信チャネルが設定されると、制御回路33は切換えを行う前にスーパインポーズ回路84を用いて映像信号に予告表示画像の信号を付加する。予告表示画像が予め定める時間だけ表示された後に、制御回路33は搬送波発振装置31,32からの映像および音声搬送波の周波数を、新たに設定された送信チャネルの映像搬送波および音声搬送波と一致するように変更する。
【0119】
このように、映像信号ではなく音声信号を用いても、チャネルの状態の確認を行うことができる。したがって、BS受信装置96の受信位置が変更されて送信チャネルが既存の地上TV放送に使用されるようになったとき、自動的に送信チャネルを別の空チャネルに変更させることができる。
【0120】
第6および第7実施形態のBS受信装置のように、映像信号および音声信号を同一チャネルの搬送波を用いて再送信するBS受信装置では、音声信号および映像信号の少なくともいずれか一方の信号を用いてチャネルの状態を確認する。また、前述した第2、第3および第5実施形態に示すBS受信装置のように、映像信号と音声信号とを異なるチャネルの搬送波を用いて送信する受信装置では、映像信号および音声信号の両方の信号を用いて、両方の信号を送信するために使用している送信チャネルの状態を確認する。
【0121】
図13は、本発明の第8実施形態であるBS受信装置のBS受信装置101の電気的構成を示すブロック図である。本実施形態のBS受信装置の地上TV放送受信機は、図2の第1実施形態の地上TV放送受信機2と同一の構成を有する。本実施形態のBS受信機101は、図1のBS受信機1、図9のBS受信機71、図11のBS受信機83と類似の構成を有し、同一の動作を行う構成要素には、同一の符号を付し説明を省略する。
【0122】
本実施形態のBS受信装置では、移動体の移動などによって送信チャネルが空きチャネルから既存チャネルに変更されると、送信チャネルを別の空きチャネルに変更する。またそのときに、変更される空きチャネルのチャネルを、表示装置に目視表示させるとともに、音響でも表示する。
【0123】
衛星送信波は、BSアンテナ部14で受信されBS−IF信号に変換されて、BSチューナ部19において復調され処理されて、BS映像信号とBS音声信号とが得られる。BS映像信号には、スーパインポーズ回路84において予告表示画像に関する信号が付加される。またBS音声信号は、切換えスイッチ102を介してFM変調回路29に与えられる。搬送波発振装置31,32から出力される映像搬送波および音声搬送波は、変調回路28,29においてBS映像信号およびBS音声信号によって変調される。変調された映像搬送波および音声搬送波は、加算器39で加算されて、BS送信信号が生成される。BS送信信号は、増幅回路40で増幅された後に送信アンテナ8から地上TV放送受信機の受信アンテナおよび地上受信アンテナ73に向かって送信される。
【0124】
地上受信アンテナ73からの出力は、現在の送信チャネルが選局されるように設定されている地上放送波チューナで選局され、周波数変換された後にチャネル確認部86の映像復調回路87でBS映像信号が復調される。またチャネル確認部86では、BSチューナ部19からのBS映像信号が位相が180°反転され、かつ予め定める時間だけ遅延された後に、映像復調回路87からの出力と加算される。この加算結果の絶対値と予め定める第2基準電圧とが比較回路93で比較され、その比較結果が制御回路74に与えられる。比較結果がローレベルであり、送信チャネルが空チャネルであると判定されたときには、送信チャネルの変更は行われない。
【0125】
比較回路78の比較結果がハイレベルであり、送信チャネルが既存チャネルであると判定されたときには、送信チャネルの変更を行う。制御回路33は、まず送信チャネルを変更する前に、スーパインポーズ回路84によって、予告表示画像の信号をBS映像信号に重畳させる。また、制御回路33は、制御信号を音声付加部103に与える。音声付加部103では、制御信号が与えられるとメモリ104に予めストアされている予告表示音響の音声データを出力し、デジタル/アナログ変換回路105でアナログ信号に変換する。
【0126】
切換えスイッチ102は、予告表示音響を出力しないときは、一方接点102αに切換えられている。制御回路33から制御信号が与えられたときだけ、切換えスイッチ102は、他方接点102β側に予め定める時間だけ切換えられる。デジタル/アナログ変換回路105から出力されるアナログ信号は、フィルタ106で濾波された後に切換えスイッチ102を介してFM変調回路29に与えられる。予め定める時間が経過すると、切換えスイッチ102は、再び端子102α側に切換えられる。これによって、BS音声信号に、音声付加部103からのアナログ信号を割込ませて付加することができる。
【0127】
メモリ104にストアされている音声データは、たとえば「BS映像をMチャネルに変更します」というメッセージ文の音響のデータである。チャネル切換えの予告表示を音響表示とすることによって、たとえば表示装置の表示画面を目視していない使用者に対しても、送信チャネルが切換えられることを提示することができる。使用者は、音声表示に基づいて地上TV放送受信機のチャネルを変更する。これによって、送信チャネルが変更された後もBS放送を衛星放送を目視および聴取し続けることができる。
【0128】
このような音声付加部103は、図13に示すBS受信機101の構成に限らず、たとえば図12のBS受信機96など、他の構成のBS受信機に付加されてもよい。また、予告表示を行う構成として音声付加部103だけを備え、スーパインポーズ回路84は削除した構成としてもよい。
【0129】
第1実施形態のBS受信装置、第4実施形態のBS受信装置および第6〜第8実施形態のBS受信装置は、全て図2の地上TV放送受信機2を使用する。この地上TV放送受信機2は、地上TV放送だけを受信する地上TV放送受信機として市販されているものを使用することができる。ゆえに本実施形態のBS受信装置は、BS受信機1だけを車両に新たに搭載するだけで実施することができる。ゆえに実施が容易である。
【0130】
さらにまた、第6〜第8実施形態のチャネル確認部86およびスーパインポーズ回路84および音声付加部103などは、第2、第3および第5実施形態のBS受信装置に用いてもよい。
【0131】
【発明の効果】
本発明によれば、車載用衛星放送受信方法では、衛星放送波の放送内容を一旦復調して得た後に、地上TV放送波と同一の信号伝送方式の信号に変換して、無線伝送する。伝送された信号を受信すると、信号を地上TV放送波と同一の復調手法によって復調し、放送内容の映像を目視表示し音声を音響表示する。このように、本発明の受信方法では、衛星放送波の映像信号と音声信号とを目視表示および音響表示する構成に伝送する伝送経路の一部を無線伝送経路とすることができる。
【0132】
また本発明によれば、移動体に搭載される車載用衛星放送受信装置は、衛星放送受信アンテナで受信した衛星放送波を一旦復調したのちに、その復調された映像信号および音声信号を地上波TV放送波と同一の信号伝送方式で伝送する。これら信号は、地上TV放送波を受信する地上受信アンテナで受信され、当該放送波と同一の手法で復調され表示される。これによって、少なくとも衛星放送受信機と地上TV放送受信機の信号を表示する構成との間では、衛星放送波を復調して得た映像信号および音声信号を伝送するための導線を必要としない。したがって、移動体外部から移動体内部に引込まれる導線を減少させることができる。
【0133】
さらにまた本発明によれば、前記衛星放送受信アンテナと前記衛星放送受信機とは、移動体の車体外部に設置され、地上TV放送受信機は、移動体の車室内部に設置される。ゆえに、衛星放送受信機と地上TV放送受信機とを接続する信号伝送用の導線を省略することができる。ゆえに、同軸ケーブルなどの直径の大きい導線を省略することができるので、このような導線を引込むために生じていた車体の隙間などが生じなくなる。また、衛星放送受信装置におけるアンテナと衛星放送受信機との間の導線での伝送電力の反射、および導線の損傷などの不都合の原因がなくなるので、表示される衛星放送の受信状態が向上する。さらにまた、衛星放送受信アンテナを設置するときに、導線に屈曲部を生じさせないように配置する必要がなくなり、アンテナの設置および配線が容易となる。
【0134】
また本発明によれば、前記衛星放送受信機は、衛星放送波から衛星放送の映像信号および音声信号を得て、この信号を地上TV受信機に送信する。これらの信号は、地上TV放送波の映像信号および音声信号と信号方式が等しい。ゆえに、地上TV放送波にだけ対応した地上TV放送受信機によって、衛星放送の映像および音声を表示させることができる。
【0135】
また本発明によれば、衛星放送の映像信号および音声信号は、地上TV放送の空きチャネルを用いて、地上TV放送と同様に送信される。ゆえに、地上TV放送受信機において前記空きチャネルを受信するように選局するだけで、衛星放送の放送内容を地上TV放送波と全く同じように復調して表示することができる。
【0136】
また本発明によれば、前記衛星放送受信機では、衛星放送の音声信号をデジタル信号のまま地上TV放送受信機に与える。地上TV放送受信機では、このデジタル信号から衛星放送の音声信号を得る。これによって、デジタル信号に含まれる複数の音声チャネルによって伝送されるの音声の選択を、地上TV放送受信機で行うことができる。ゆえに、音声の切換えのために、移動体外部の装置を操作する必要がなく、操作が容易となる。また、音声信号をデジタル信号で伝送するので、雑音に強い。ゆえに音声信号をアナログ信号で伝送するときと比較して、音声信号の信号/雑音比が大きくなる。ゆえに、衛星放送の音声の音質を良好な状態に保つことができる。
【0137】
さらにまた本発明によれば、前記地上TV放送受信機では、衛星放送の放送内容を復調表示するときには、それを示す受信画像を目視表示手段に目視表示する。これによって使用者は、現在目視している画像が衛星放送のものであるか地上TV放送のものであるかを容易に判別することができる。
【0138】
さらにまた本発明によれば、衛星放送の音声信号をデジタル信号のまま送信するときは、映像信号と音声信号とは、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルであって、かつ互いに異なるチャネルを用いて送信されることが好ましい。さらに本発明によれば、映像信号と音声信号とを送信するチャネルは、それぞれ地上TV放送の別のチャネルであって、両チャネルの間に地上TV放送に使用されないチャネルが介在されたチャネルであることが好ましい。
【0139】
デジタル信号である音声信号によって変調される搬送波は、地上TV放送波の変調された音声搬送波よりも占有周波数帯域が広い、ゆえに、映像および音声信号を送信するチャネルをこのような条件を満たすチャネルに設定して、両搬送波の間の周波数の間隔を大きく取ることによって、変調された第2搬送波が、変調された第1搬送波を妨害することを防止することができる。
【0140】
さらにまた本発明によれば、衛星放送の映像信号および音声信号は、受信場所において地上TV放送に使用されていないチャネルであって、地上TV放送に使用されるチャネルに隣接するチャネル以外のチャネルを用いて送信される。これによって、隣接したチャネルの地上TV放送波によって、送信する映像信号および音声信号が妨害されることを防止することができる。
【0141】
さらにまた本発明によれば、映像信号および音声信号を無線伝送するための搬送波の周波数は、変更設定することができる。これによって、衛星放送受信用送信信号の送信に使用していたるチャネルが地上TV放送に使用されるようになったとき、たとえば使用者の操作によって信号を送信するチャネルを容易に変更することができる。
【0142】
本発明に従えば、衛星放送受信機は、受信場所での地上TV放送の空きチャネルを検索する構成を有する。これによって、使用者が当該場所での空きチャネルについての情報を得ていないときでも、衛星放送の映像信号および音声信号を送信するためのチャネルを空きチャネルに設定することができる。これによって、送信するためのチャネルの設定が容易となる。
【0143】
さらにまた本発明によれば、衛星放送受信機では、衛星放送の映像信号および音声信号を送信しているチャネルの送信内容を常時確認している。送信しているチャネルが地上TV放送に使用されるようになると、衛星放送受信機は自動的に衛星放送の信号を送信するためのチャネルを別の空きチャネルに変更する。これによって、たとえば移動体が放送圏を越えて移動して、地上TV放送のチャネルの使用状態が変更されたときでも、使用者は地上TV放送受信機の受信するチャネルを変更するだけで、引続き衛星放送を復調表示させることができる。
【0144】
さらにまた本発明によれば、衛星放送の信号の送信に使用されるチャネルの送信内容の確認は映像および音声の少なくともいずれか一方で行われる。たとえば映像信号と音声信号とが同一チャネルで送信されるときには、一方だけを確認する。別のチャネルで送信されるときには、両方を確認する。これによって、チャネルの使用状態の確認を適確に行うことができる。
【0145】
さらにまた本発明によれば、衛星放送の映像信号および音声信号を送信するためのチャネルを変更するときは、変更前に使用者にその旨を示す変更予告画像を提示する。これによって、使用者は、目視表示手段を目視しているときであれば、自動的に変更されたチャネルを、変更前にその旨を知ることができる。ゆえに予告画像にしたがって地上TV受信機の出力するチャネルを変更して、周波数変更後も続いて衛星放送を利用することができる。
【0146】
さらにまた本発明によれば、衛星放送の映像信号および音声信号を送信するためのチャネルを変更するときは、変更前に使用者にその旨を音響で予告する。これによって、使用者は、自動的に変更されるチャネルを変更前に知ることができる。かつ、音響表示で変更を知らせるので、たとえば目視表示手段をたまたま目視していないときでも、注意を喚起することができる。ゆえに、より確実に使用者にチャネルの変更を知らせることができる。
【0147】
さらにまた本発明によれば、車載用衛星放送受信装置は、衛星放送波を受信する衛星放送受信アンテナと、衛星放送波から映像信号および音声信号を得て、これら信号を地上TV放送と同一伝送方式で送信する衛星放送受信機とを有する。ゆえに既に地上TV受信機を移動体に搭載している使用者は、この装置だけを購入し移動体の外部に設置するだけで、地上TV放送と衛星放送とをともに利用することができる。したがって、装置の設置が更に容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるBS受信装置のBS受信機1の電気的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態であるBS受信装置の地上TV放送受信機2の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態のBS受信装置の設置状態を示す図である。
【図4】BS受信機1の搬送波発振装置31の具体的構成を示すブロック図である。
【図5】地上TV放送のチャネル構成を説明するためのスペクトル図である。
【図6】本発明の第2実施形態であるBS受信装置のBS受信機51の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態であるBS受信装置の地上TV放送受信機52の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3実施形態であるBS受信装置の地上TV放送受信機65の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4実施形態であるBS受信装置のBS受信機71の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第5実施形態であるBS受信装置のBS受信機81の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第6実施形態であるBS受信装置のBS受信機83の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第7実施形態であるBS受信装置のBS受信機96の電気的構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第8実施形態であるBS受信装置のBS受信装置101の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,51,71,81,83,96,101 BS受信機
2,52,65 地上TV放送受信機
5 移動体
7 アンテナ
8 送信アンテナ
9 受信アンテナ
10 受信復調部
14 BSアンテナ部
16 BS選局復調回路
17 映像信号処理回路
18 音声信号処理回路
28 AM変調回路
29 FM変調回路
31,32 搬送波発振装置
33,62 制御回路
39 加算器
42,59 地上選局復調回路
43 映像復調回路
44 音声復調回路
46 表示装置
47 スピーカ
54 フィルタ
60,102 切換えスイッチ
66,84 スーパインポーズ回路
73 地上受信アンテナ
74 チャネル状態検出部
86 チャネル確認部
103 音声付加部

Claims (17)

  1. 放送衛星から送信される衛星放送波を衛星放送受信アンテナで受信し、
    受信した衛星放送波を復調して、映像信号と音声信号を得て、
    得られた映像信号および音声信号によって、地上テレビジョン放送の搬送波と同一周波数を有する衛星放送受信用搬送波を変調して、衛星放送受信用送信信号を生成し、
    衛星放送受信用送信信号を送信アンテナから輻射して送信し、
    送信された衛星放送受信用送信信号を、地上放送受信アンテナで受信し、
    受信した衛星放送受信用送信信号を復調して、映像信号と音声信号とを得て、
    こうして受信して得られた映像信号を目視表示し、受信して得られた音声信号を音響表示することを特徴とする車載用衛星放送受信方法。
  2. (a)放送衛星から送信される衛星放送波を受信する衛星放送受信アンテナと、
    (b)衛星放送受信機であって、
    衛星放送受信アンテナからの出力が与えられ、衛星放送波を復調して映像信号と音声信号とを得る復調手段と、
    復調手段の出力が与えられ、得られた映像信号および音声信号によって、予め定める衛星放送受信用搬送波を変調して、衛星放送受信用送信信号を生成する変調手段と、
    変調手段の出力が与えられ、衛星放送受信用送信信号を輻射する送信アンテナとを有する衛星放送受信機と、
    (c)放送局から送信される地上テレビジョン放送波、および衛星放送受信機から送信される衛星放送受信用送信信号を受信する地上受信アンテナと、
    (d)受信した地上テレビジョン放送波、および衛星放送受信用送信信号のいずれか一方を復調して音声信号と映像信号とを得て、受信して得られた映像信号を目視表示し、受信して得られた音声信号を音響表示する地上テレビジョン放送受信機とを含み、
    衛星放送受信用搬送波の周波数は、地上テレビジョン放送の搬送波と同一の周波数であることを特徴とする車載用衛星放送受信装置。
  3. 前記衛星放送受信アンテナおよび衛星放送受信機は、移動体の車体外部に固定され、
    地上テレビジョン放送受信機は、移動体の車室内に設置されることを特徴とする請求項2記載の車載用衛星放送受信装置。
  4. 前記復調手段は、
    衛星放送受信アンテナからの出力が与えられ、衛星放送波を復調して予め処理が施された映像信号と予め処理が施された音声信号とを得る復調回路と、
    復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された映像信号に予め定める第1の処理を施して、衛星放送の映像信号を得る衛星放送映像処理回路と、
    復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された音声信号に予め定める第2の処理を施して、衛星放送の音声信号を得る衛星放送音声処理回路とをさらに含み、
    前記予め定める衛星放送受信用搬送波は、得られた映像信号によって変調される第1搬送波と、得られた音声信号によって変調される第2搬送波とを含み、
    前記変調手段は、
    衛星放送映像処理回路の出力が与えられ、得られた衛星放送の映像信号によって予め定める第1搬送波を変調する映像変調回路と、
    衛星放送音声処理回路の出力が与えられ、得られた衛星放送の音声信号によって予め定める第2搬送波を変調する音声変調回路と、
    映像変調回路および音声変調回路の出力が与えられ、変調された第1および第2搬送波から、衛星放送受信用送信信号を生成する生成回路とをさらに含むことを特徴とする請求項2記載の車載用衛星放送受信装置。
  5. 前記第1搬送波の周波数は、地上テレビジョン放送のチャネルのうち、受信場所において地上テレビジョン放送に使用されていないチャネルの映像搬送波と同一の周波数であり、
    前記第2搬送波の周波数は、第1搬送波と同一の地上テレビジョン放送のチャネルの音声搬送波と同一の周波数であることを特徴とする請求項4記載の車載用衛星放送受信装置。
  6. 前記復調手段は、
    衛星放送受信アンテナからの出力が与えられ、衛星放送波を復調して、予め定める処理が施された映像信号と予め定める処理が施された音声信号とを得る復調回路と、
    復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された映像信号に予め定める第1の処理を施して、衛星放送の映像信号を得る衛星放送映像処理回路とをさらに含み、
    前記予め定める衛星放送受信用の搬送波は、得られた映像信号によって変調される第1搬送波と、復調された音声信号によって変調される第2搬送波とを含み、
    前記変調手段は、
    衛星放送映像処理回路の出力が与えられ、得られた衛星放送の映像信号によって予め定める第1搬送波を変調する映像変調回路と、
    復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された音声信号によって予め定める第2搬送波を変調する音声変調回路と、
    映像変調回路および音声変調回路の出力が与えられ、変調された第1および第2搬送波から衛星放送受信用送信信号を生成する生成回路とをさらに含み、
    前記地上テレビジョン放送受信機は、
    前記地上受信アンテナの出力が与えられ、アンテナからの出力から映像信号を復調する映像復調手段と、
    映像復調手段の出力が与えられ、映像信号を目視表示する目視表示手段と、
    地上受信アンテナの出力が与えられ、アンテナからの出力から地上テレビジョン放送の音声信号を復調する地上放送音声復調手段と、
    地上受信アンテナの出力が与えられ、アンテナの出力から衛星放送の前記予め定める処理が施された音声信号を復調し、復調された予め定める処理が施された音声信号に予め定める第2の処理を施して、衛星放送の音声信号を得る衛星放送音声復調処理手段と、
    音声復調手段および衛星放送音声復調処理手段の出力が与えられ、地上テレビジョン放送の音声信号および衛星放送の音声信号を音響表示する音響表示手段と、
    地上テレビジョン放送波を受信したときには地上放送音声復調手段からの出力を音響表示手段に与え、衛星放送受信用送信信号を受信したときには衛星放送音声復調処理手段からの出力を音響表示手段に与えるように切換る切換え手段とを含むことを特徴とする請求項2記載の車載用衛星放送受信装置。
  7. 前記地上テレビジョン放送受信機の衛星放送音声復調処理手段は、前記衛星放送の復調された予め定める処理が施された音声信号が得られると、予め定める信号を出力し、
    衛星放送音声処理手段の出力に応答し、予め定める信号が出力されると、受信している電波が衛星放送受信用送信信号であることを示す受信画像の画像信号を前記映像信号に重畳する受信画像重畳手段を含むことを特徴とする請求項6記載の車載用衛星放送受信装置。
  8. 前記第1搬送波の周波数は、地上テレビジョン放送のチャネルのうち、受信場所において地上テレビジョン放送に使用されていないチャネルの映像搬送波と同一の周波数であり、
    前記第2搬送波の周波数は、第1搬送波と異なる地上テレビジョン放送のチャネルであって、受信場所において地上テレビジョン放送に使用されていないチャネルの音声搬送波と同一の周波数であることを特徴とする請求項6記載の車載用衛星放送受信装置。
  9. 前記第1搬送波の周波数と同一の周波数の映像搬送波を有するチャネルと、前記第2搬送波の周波数と同一の周波数の音声搬送波を有するチャネルとの間には、受信場所において地上テレビジョン放送に使用されていないチャネルが少なくとも1チャネル介在されることを特徴とする請求項6記載の車載用衛星放送受信装置。
  10. 前記第1および第2搬送波の周波数は、受信場所において地上テレビジョン放送に使用されていないチャネルの搬送波であって、受信場所において地上テレビジョン放送に使用されるチャネルとの間に、受信場所において地上テレビジョン放送に使用されていないチャネルが少なくとも1チャネル介在されるチャネルの搬送波と同一の周波数であることを特徴とする請求項4または6記載の車載用衛星放送受信装置。
  11. 前記映像変調手段および音声変調手段は、第1および第2搬送波の周波数を変更設定する周波数設定手段を有することを特徴とする請求項4または6記載の車載用衛星放送受信装置。
  12. 前記周波数設定手段は、
    地上テレビジョン放送波を受信する地上受信アンテナと、
    地上受信アンテナの出力が与えられ、地上テレビジョン放送の各チャネルが使用されているか否かを判定するチャネル状態判定手段をさらに有し、
    チャネル状態判定手段の出力に応答し、受信場所において地上テレビジョン放送に使用されていないチャネルを選択して、第1および第2搬送波の周波数をそのチャネルの搬送波の周波数と同一とすることを特徴とする請求項11記載の車載用衛星放送受信装置。
  13. 前記周波数設定手段は、
    少なくとも第1および第2搬送波のいずれか一方と同一周波数の電波を受信する電波受信アンテナと、
    電波受信アンテナの出力が与えられ、電波受信アンテナの受信内容が衛星放送の放送内容と一致するか否かを判断する確認手段をさらに有し、
    確認手段の出力に応答し、電波受信アンテナの受信内容が衛星放送の放送内容と一致しないときには、前記第1および第2搬送波の周波数を変更することを特徴とする請求項12記載の車載用衛星放送受信装置。
  14. 前記確認手段は、電波受信アンテナの受信内容のうち、映像および音声の少なくともいずれか一方の受信内容が、衛星放送の放送内容と一致するか否かを確認することを特徴とする請求項13記載の車載用衛星放送受信装置。
  15. 前記周波数設定手段は、第1および第2搬送波の周波数を変更するときには、周波数を変更する時刻よりも予め定める時間前に、周波数を変更することを示す変更予告画像の画像信号を衛星放送の映像信号に重畳する予告画像重畳手段をさらに備えることを特徴とする請求項13記載の車載用衛星放送受信装置。
  16. 前記周波数設定手段は、第1および第2搬送波の周波数を変更するときには、周波数を変更する時刻よりも予め定める時間前に、周波数を変更することを示す変更予告音響の音響信号を衛星放送の音声信号に付加する予告音響付加手段をさらに備えることを特徴とする請求項13記載の車載用衛星放送受信装置。
  17. (a)放送衛星から送信される衛星放送波を受信する衛星放送受信アンテナと、
    (b)衛星放送受信機であって、
    衛星放送受信アンテナからの出力が与えられ、衛星放送波を復調して予め定める処理が施された映像信号と予め定める処理が施された音声信号とを得る復調回路と、
    復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された映像信号に予め定める第1の処理を施して、衛星放送の映像信号を得る衛星放送映像処理回路と、
    復調回路の出力が与えられ、復調された予め定める処理が施された音声信号に予め定める第2の処理を施して、衛星放送の音声信号を得る衛星放送音声処理回路と、
    衛星放送映像処理手段の出力が与えられ、地上テレビジョン放送の変調方式と同一の変調方式に基づいて、得られた衛星放送の映像信号によって予め定める第1搬送波を変調する映像変調回路と、
    衛星放送音声処理手段の出力が与えられ、地上テレビジョン放送の変調方式と同一の変調方式に基づいて、得られた衛星放送の音声信号によって予め定める第2搬送波を変調する音声変調回路と、
    映像変調手段および音声変調手段の出力が与えられ、変調された第1および第2搬送波から、衛星放送受信用送信信号を生成する生成回路と、
    生成回路の出力が与えられ、衛星放送受信用送信信号を輻射する送信アンテナとを有する衛星放送受信機とを含み、
    第1搬送波の周波数は、地上テレビジョン放送のチャネルのうち、受信場所において地上テレビジョン放送に使用されていないチャネルの映像搬送波と同一の周波数であり、
    第2搬送波の周波数は、第1搬送波と同一の地上テレビジョン放送のチャネルの音声搬送波と同一の周波数であることを特徴とする車載用衛星放送受信装置。
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