JP3681226B2 - 研磨装置および研磨方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエハなどのウエハ(板状物)の研磨装置および研磨方法に関し、特に半導体素子の製造工程で用いられるウエハの研磨に好適な研磨装置および研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
絶縁膜の平坦化工程や金属配線の形成工程などの半導体素子の製造工程において、ウエハの表面を研磨する処理が施されるようになってきている。
【0003】
ウエハ上に配線パターンを形成し、その上に全面にわたって絶縁膜を形成した場合、配線パターン上に位置する絶縁膜は上に凸状となるため絶縁膜に凹凸(ミクロ的な凹凸)が生じる。絶縁膜の平坦化工程は、この絶縁膜表面の凹凸を平坦にするものである。この凹凸を有する絶縁膜を研磨により平坦化する場合、ウエハ表面にはたわみがあるため、マクロ的にはウエハのたわみに沿いつつ、ミクロ的には表面が平坦になるように研磨を行うことが必要である。
【0004】
例えば軟質の研磨パッドを使用すると、研磨パッドの弾性変形により絶縁膜表面のミクロな凹凸にまで研磨パッドが沿うため、凸部分のみならず凹部分まで研磨されてしまう。すなわち、ミクロ的な絶縁膜の平坦化が困難である。
【0005】
一方、硬質の研磨パッドを使用すると、ウエハのたわみなどによるマクロ的に見た凸部分と接触し、この接触部分のみを研磨する。そのため、絶縁膜がマクロ的に見て均一な厚みに研磨されない。
【0006】
マクロ的にはウエハ表面のたわみに沿いミクロ的には表面が平坦になるように研磨するという目的を達成するため、本出願人は研磨定盤と研磨パッドの間に弾性体を介在させた研磨装置を提案している(特開平5−285825号公報)。
【0007】
図7(a)はこのウエハの研磨装置を示す模式的縦断面図であり、図7(b)は試料台を示す模式的平面図である。研磨パッド11と研磨定盤13の間に、例えばゴム板などの弾性体12が設けられている。研磨パッド11は硬質であり、研磨パッドの表面は平坦である。ウエハSは次のようにして研磨される。
【0008】
研磨定盤を回転軸A−A’を中心としてこのまわりを回転(公転)させる。ウエハ載置部22を回転軸C−C’を中心として回転(自転)させつつ、ウエハ載置部22が設けられた試料台21を回転軸B−B’を中心として回転(公転)させる。スラリ供給孔17から研磨スラリを供給しながら、研磨定盤13を下降させて、研磨パッド11をウエハSに押し当てる。ウエハSは、ウエハ載置部22の回転に合わせて自転しつつ、試料台21の回転にあわせて公転しつつ、研磨パッド11と研磨スラリにより研磨される。
【0009】
この研磨装置によれば、研磨パッド11と研磨定盤13との間に弾性体12を備えているので、研磨パッド11はマクロ的にはウエハS表面の凹凸に沿い、また研磨パッド11は硬質であるので、ウエハS表面のミクロ的な凹凸を研磨して平坦化できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した研磨パッドを用いた研磨装置においても、研磨条件などによりウエハの外周部の方がウエハ中心部にくらべて研磨が速く進む傾向があった。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ウエハを均一に研磨できる研磨装置および研磨方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の研磨装置は、試料台(ウエハ載置部)に保持されたウエハに、研磨定盤との間に弾性体を挟んで被着された研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリを供給し、試料台(ウエハ載置部)および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨装置であって、前記弾性体は、平坦な円板状であり、研磨定盤と弾性体との間、および/または、弾性体と研磨パッドとの間に挟んであり、研磨の際の押圧により変形しない円形状の凸状体を備え、該凸状体は、ウエハの中央部に対応する部分の厚みがウエハの外周部に対応する部分の厚みに比べて大きくしてあることを特徴とする。
また、本発明の研磨装置は、研磨定盤との間にリング板状の弾性体を挟んで被着されたリング状の研磨パッドが対向する箇所で試料台に保持されたウエハに、該研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリを供給し、試料台および研磨パッドを回転させると共にウエハを自転的に回転させることによりウエハを研磨する研磨装置であって、前記弾性体は、平坦であり、研磨定盤と弾性体との間、および/または、弾性体と研磨パッドとの間に挟んであり、研磨の際の押圧により変形しないリング状の凸状体を備え、該凸状体は、試料台および研磨パッドの回転によるウエハの中央部の軌跡に対応する部分の厚みが最も厚く、周縁部分の厚みが最も薄くしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の研磨方法は、試料台に保持されたウエハに、研磨定盤との間に平坦な円板状の弾性体を挟んで被着された研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨方法であって、研磨定盤と弾性体との間、および/または、弾性体と研磨パッドとの間に、研磨の際の押圧により変形しない円形状であり、ウエハの中央部に対応する部分の厚みがウエハの外周部に対応する部分の厚みに比べて大きくしてある凸状体を挟み、該凸状体を挟むことで、ウエハの中央部に対応する部分をウエハの外周部に対応する部分に比べて凸状にした研磨パッドでウエハを研磨することを特徴とする。
さらに、本発明の研磨方法は、研磨定盤との間に平坦なリング板状の弾性体を挟んで被着されたリング状の研磨パッドが対向する箇所で試料台に保持されたウエハに、該研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリを供給し、試料台および研磨パッドを回転させると共にウエハを自転的に回転させることによりウエハを研磨する研磨方法であって、研磨定盤と弾性体との間、および/または、弾性体と研磨パッドとの間に、研磨の際の押圧により変形しないリング状であり、試料台および研磨パッドの回転によるウエハの中央部の軌跡に対応する部分の厚みが最も厚く、周縁部分の厚みが最も薄くしてある凸状体を挟み、該凸状体を挟むことで、ウエハの中央部の軌跡に対応する部分を周縁部分に比べて凸状にした研磨パッドでウエハを研磨することを特徴とする。
【0014】
本発明の研磨装置および研磨方法では、研磨パッドの主にウエハの中央部に押し当てられる部分が主にウエハの外周部に押し当てられる部分に比べて凸状となるように、研磨定盤と弾性体の間および/または弾性体と研磨パッドの間に凸状体が挿入されている。そのため、研磨パッドがウエハに押し当てられるとき、弾性体を介して押し当て圧力のウエハ面内での分布がウエハ中央部が強くウエハ外周部が弱くなるように調整されて、ウエハを均一に研磨することができる。
【0015】
研磨パッドの押し当て圧力のウエハ面内での分布を効果的に制御するには、凸状体は研磨の際の押圧により変形しないものを用いることが好ましい。
【0016】
研磨定盤と弾性体の間に凸状体を挿入する場合、凸状体の形状が弾性体を介して研磨パッドの表面に伝えられるので、研磨パッドの押し当て圧力のウエハ面内での分布を微妙に制御することができる。
【0017】
また、弾性体と研磨パッドの間に凸状体を挿入する場合、凸状体の形状により、研磨パッドの押し当て圧力のウエハ面内での分布を大きく変化させることができる。ただし、この場合は、研磨パッドの押し当て圧力のウエハ面内での分布は凸状体の形状により大きく変化するので、凸状体の形状を厳格に制御することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の研磨装置を示す模式的縦断面図である。図7に示す従来の研磨装置と、弾性体12と研磨定盤13との間に凸状リング31を挟んでいる点が異なっている。
【0020】
研磨パッド11は、研磨定盤13との間に凸状リング31および弾性体12を挟んで、研磨定盤13に被着されている。研磨パッドの内周部分が内周リング16およびボルト17で固定され、その外周部分が外周部に取り付けられた外周リング14およびボルト15で固定されている。
【0021】
研磨パッド11としては、例えばポリウレタンをベースにした不織布や独立発泡体タイプのバルク材などが用いられる。弾性体12としては、例えばシリコンゴムなどが用いられる。
【0022】
図7に示す従来の研磨装置と同じく、研磨定盤13は回転軸A−A’を中心として、試料台21は回転軸B−B’を中心として、試料台21上に設けられたウエハ載置部22は回転軸C−C’を中心として回転可能に構成されている。研磨スラリはスラリ供給孔18から供給される。
【0023】
図2は、凸状リング31を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。研磨定盤に押し当てられる面が平坦で、弾性体を挟んで研磨パッドに押し当てられる面、すなわちリングの幅方向の内側が凸状の曲面形状をしている。この凸状リング31は、例えばポリ塩化ビニル(PVC)やアクリル樹脂などで作製される。
【0024】
この凸状リング31の形状は、主にウエハの外周部に対応する最も薄い部分に比べて、主にウエハ中央部に対応する最も厚い部分の厚みが20〜500μm程度厚くなるようにすれば良い。
【0025】
本発明の研磨装置を用いて例えばシリコンウエハを研磨する方法について、図1に基づき説明する。
【0026】
(1) ウエハ載置部22にウエハSを載置する。
【0027】
(2) 研磨定盤13は回転軸A−A'を中心として回転(公転)、試料台21は回転軸B−B'を中心として回転(公転)、試料台21上に設けられたウエハ載置部22は回転軸C−C'を中心として研磨パッド11を回転(自転)させる。
【0028】
(3) スラリ供給孔18から研磨スラリを供給しつつ、研磨定盤13を降下させて、研磨パッド11をウエハSに所定の研磨負荷を与えつつ押し当てて、ウエハSの上面を研磨する。
【0029】
この研磨方法によれば、研磨パッドがウエハに押し当てられるとき、弾性体を介して押し当て圧力のウエハ面内での分布がウエハ中央部が強くウエハ外周部が弱くなるように調整されるため、ウエハを均一に研磨することができる。
【0030】
なお、凸状リング31は研磨定盤13と弾性体12の間のみならず、弾性体12と研磨パッド11の間あるいはその両方に挿入しても良い。
【0031】
図3は、凸状リング31の別の例を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。内外径は少しずつ異なるリング状の平板31a、31b、31c、31dを重ねて凸状リング31を構成している。
【0032】
複数枚の板から凸状リング31を構成することにより、研磨条件や研磨レートウエハ面内の分布などに合わせて、研磨パッドの表面の形状を適宜調整し、好ましい研磨レートの分布を得ることができる。
【0033】
なお、平坦なリング状の板を組み合わせて凸状リング31を構成する場合、リング状の板の1枚の厚さは100μm以下とし数枚程度と組み合わせることが好ましい。
【0034】
図4は、本発明の研磨装置の別の例を示す模式的縦断面図である。この研磨装置は枚様式の装置である。
【0035】
研磨パッド11は、研磨定盤13との間に凸状板32および弾性体12を挟み、その外周部分が取り付けられた外周リング14をボルト15で固定して、研磨定盤13に被着されている。図5は、凸状板32を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。
【0036】
図4に示す研磨装置では、研磨定盤13は回転軸A−A’を中心として、試料台21は回転軸B−B’を中心として回転させ、スラリ供給孔18から研磨スラリを供給しつつ、研磨定盤13を降下させて、研磨パッド11をウエハSに所定の研磨負荷を与えてつつ押し当てて、ウエハSの上面を研磨する。
【0037】
図1に示す研磨装置と同様、研磨パッドがウエハに押し当てられるとき、ウエハ中央部の押し当て圧力が強くウエハ外周部の押し当て圧力が弱くなるように調整されるため、ウエハを均一に研磨することができる。
【0038】
【実施例】
本発明の実施例について説明する。本実施例で用いた研磨装置は図1に示した研磨装置である。
【0039】
凸状リング31はポリ塩化ビニル(PVC)で作製し図2に示した形状とした。
【0040】
研磨パッド11は、発泡ポリウレタン製とした。弾性体12はシリコンゴムで作製し、リング状の平坦な形状とした。
【0041】
この研磨装置による研磨レートのウエハ面内の均一性を評価した。この評価は、8インチシリコンウエハ上に形成された熱酸化膜を研磨し、研磨レートをウエハ面内の各点で測定する方法によった。研磨スラリは、シリカ(SiO2)をKOH水溶液に懸濁させたものである。なお、比較例として、凸状リング31を挿入せず弾性体12のみを間に挟んで研磨パッド11を研磨定盤13に被着した研磨装置について同様の評価を行った。
【0042】
図6は、研磨レートのウエハ半径方向での分布のグラフである。(a)は本発明の研磨装置(本発明例)の結果を示すグラフであり、(b)は比較例の結果を示すグラフである。縦軸は研磨レートの平均値で規格化したものである。本発明例では、半径方向に均一な研磨レートの分布を得た。これに対して、従来例では、中心で遅く周縁部で速い研磨レートの分布であった。
【0043】
この結果より、主にウエハの中央部に押し当てられる部分が主にウエハの外周部に押し当てられる部分に比べて凸状となるように研磨パッドを被着することにより、研磨レートのウエハ面内の均一性を改善できることを確認した。
【0044】
【発明の効果】
本発明の研磨装置および研磨方法によれば、研磨条件などにあわせて研磨パッドの形状を調整し、ウエハを均一性良く研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨装置を示す模式的縦断面図である。
【図2】図1の凸状リング31の1例を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。
【図3】凸状リング31の別の例を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。
【図4】本発明の研磨装置の別の例を示す模式的縦断面図である。この研磨装置は枚様式の装置である。
【図5】図4の凸状板32の1例を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。
【図6】研磨レートのウエハ半径方向での分布のグラフである。(a)は本発明の研磨装置(本発明例)の結果を示すグラフであり、(b)は比較例の結果を示すグラフである。
【図7】(a)は、このウエハの研磨装置を示す模式的縦断面図であり、(b)は、試料台を示す模式的平面図である。
【符号の説明】
11 研磨パッド
12 弾性体
13 研磨定盤
14 外周リング
15 ボルト
16 内周リング
17 ボルト
18 スラリ供給孔
21 試料台
22 ウエハ載置部
31 凸状リング
31a、31b、31c、31d リング状の平板
32 凸状板
S ウエハ
Claims (4)
- 試料台に保持されたウエハに、研磨定盤との間に弾性体を挟んで被着された研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨装置であって、
前記弾性体は、平坦な円板状であり、
研磨定盤と弾性体との間、および/または、弾性体と研磨パッドとの間に挟んであり、研磨の際の押圧により変形しない円形状の凸状体を備え、
該凸状体は、ウエハの中央部に対応する部分の厚みがウエハの外周部に対応する部分の厚みに比べて大きくしてあることを特徴とする研磨装置。 - 研磨定盤との間にリング板状の弾性体を挟んで被着されたリング状の研磨パッドが対向する箇所で試料台に保持されたウエハに、該研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリを供給し、試料台および研磨パッドを回転させると共にウエハを自転的に回転させることによりウエハを研磨する研磨装置であって、
前記弾性体は、平坦であり、
研磨定盤と弾性体との間、および/または、弾性体と研磨パッドとの間に挟んであり、研磨の際の押圧により変形しないリング状の凸状体を備え、
該凸状体は、試料台および研磨パッドの回転によるウエハの中央部の軌跡に対応する部分の厚みが最も厚く、周縁部分の厚みが最も薄くしてあることを特徴とする研磨装置。 - 試料台に保持されたウエハに、研磨定盤との間に平坦な円板状の弾性体を挟んで被着された研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリを供給し、試料台および/または研磨パッドを回転させることによりウエハを研磨する研磨方法であって、
研磨定盤と弾性体との間、および/または、弾性体と研磨パッドとの間に、研磨の際の押圧により変形しない円形状であり、ウエハの中央部に対応する部分の厚みがウエハの外周部に対応する部分の厚みに比べて大きくしてある凸状体を挟み、
該凸状体を挟むことで、ウエハの中央部に対応する部分をウエハの外周部に対応する部分に比べて凸状にした研磨パッドでウエハを研磨することを特徴とする研磨方法。 - 研磨定盤との間に平坦なリング板状の弾性体を挟んで被着されたリング状の研磨パッドが対向する箇所で試料台に保持されたウエハに、該研磨パッドを押し当て、ウエハと研磨パッドの間に研磨スラリを供給し、試料台および研磨パッドを回転させると共にウエハを自転的に回転させることによりウエハを研磨する研磨方法であって、
研磨定盤と弾性体との間、および/または、弾性体と研磨パッドとの間に、研磨の際の押圧により変形しないリング状であり、試料台および研磨パッドの回転によるウエハの中央部の軌跡に対応する部分の厚みが最も厚く、周縁部分の厚みが最も薄くしてある凸状体を挟み、
該凸状体を挟むことで、ウエハの中央部の軌跡に対応する部分を周縁部分に比べて凸状にした研磨パッドでウエハを研磨することを特徴とする研磨方法。
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