JP3680875B2 - 受像シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受像シートに関し、更に詳しくは、電子写真用の受像シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プレゼンテーション等において高画質なカラー画像は必須であり、電子写真においても色再現性、画像密度などいかに画質を改善するかが、開発の課題となっている。これらのカラー画像の彩度、画像密度、光沢を補うために、専用紙として光沢紙等の受像シートがある。これらの受像シートは、熱によるトナーの定着時にドットのつぶれやずれを防ぐために、そして画像表面の光沢を出すために、トナーをシート上の樹脂層に埋め込ませている。そして、さらに銀塩写真のような光沢性や耐光性、耐水性が受像シートに求められていることから、定着によりトナーをより深く樹脂層へ埋め込み、かつ画像表面の平滑性を出すことが必要となっている。このようなトナー埋め込み型の受像シートは、基材に透明なシートを用いることで、プレゼンテーション等に用いられるオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用のシートとして応用できる。そして、OHPシートとして用いた場合、トナー埋め込みによる表面平滑性の差が投影画像の画質に顕著に現れる。ゆえに電子写真用の受像シートとしては、定着処理後の画像表面の平滑性が重要であり、従って樹脂層へのトナーの埋め込みがポイントとなる。
【0003】
この様な要求を満たすために、特開平4−125567号公報ではカラートナーより低軟化点の熱可塑性樹脂を含有するトナー像保持層を形成し、トナーが保持層中に埋め込まれ凹凸の少ない印字物を得ることにより上記問題の解決を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平4−125567号公報記載のような低軟化点の樹脂層を受像シート上に塗布すると、溶融時の樹脂の凝集力が弱いため、定着時にトナー層、及びトナー像保持層の定着ローラへのオフセットが発生しやすく、また保存時にもブロッキング等による受像シートの融着が問題となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の受像シートは上述した従来技術に鑑みてなされたものであり、基材シート上に酸価が100mgKOH/g以下であるポリエステル樹脂からなる受像層を持ち、有色のトナーを受像層に埋没させることにより画像を形成する受像シートにおいて、前記受像層が、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に測定される分子量分布に少なくとも2つのピーク又は肩を有する樹脂からなることを特徴とする。
【0006】
このことにより、受像層中へトナーが十分に埋め込まれ画像の表面の平滑性が高く、かつ耐オフセット性も合わせ持つ、高画質な画像を得られる受像シートとなる。
【0007】
さらに、受像層が、GPCにより測定される分子量分布で、分子量10,000未満の領域及び10,000以上の領域にそれぞれ少なくとも一つのピーク又は肩を有する樹脂からなることを特徴とする。
【0008】
さらに、受像層が、THF不溶分の含有量が40重量%以下である樹脂からなることを特徴とする。
【0010】
さらに、受像層が、GPCにより測定される分子量分布で、分子量10,000未満の領域A及び10,000以上の領域Bにそれぞれ少なくとも一つのピーク又は肩を有し、領域Aの最大ピーク又は肩の高さをHa、領域Bの最大ピーク又は肩の高さをHbとした場合、0.2≦Ha/Hb<5を満たす樹脂からなることを特徴とする。
【0011】
さらに、受像層が、GPCにより測定される分子量分布で、分子量10,000未満の領域に少なくとも一つのピーク又は肩を有する層と、分子量10,000以上の領域に少なくとも一つのピーク又は肩を有する層との積層構造を持つことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の受像シートを図面に基づいて説明する。図1は、本発明の受像シートの基本的構成であり、(a)は基材1上に受像層2を形成したものである。
【0013】
(b)は受像層2が分子量分布の異なる2種類の樹脂により構成されている。この2種類の樹脂は透明性の点から、屈折率の近い同系統の樹脂が望ましい。この構成では、上層部4に高分子量成分を用いるとオフセット、ブロッキングに優れた特性を示し、逆に低分子量成分を上層部4に用いるとトナーの埋め込みに対して有利となり、トナーの定着後に表面平滑性に優れた透明性の高い画像が得られる。ゆえに、分子量分布の関係を変えることにより受像シートの特性のコントロールが容易に可能となる。また、上層部4を塗布する際に、下層部3を溶解する溶媒であれば、上層部4と下層部3の界面が渾然一体となり、上層から下層にかけての屈折率変化が滑らかとなり光の散乱が押さえられ、透明性がさらに増す。
【0014】
本発明の受像シートで用いられる基材1としては、周知の樹脂や紙等が用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネイトフィルム、トリアセテートフィルム、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、塩化ビニルフィルム、メチルメタアクリレートをはじめとする各種のアクリルフィルムまたはセロファンフィルムなどがある。なかでもポリエステルフィルム、が機械的、熱的強度、コスト等で好ましい。この用途に供する基材シートの厚さは、記録手段、要求される強度等により適宜に決定するものではあるが、通常は50〜300μm、好ましくは80〜120μmのものが用いられる。
【0015】
基材1上に設ける受像層2を形成する樹脂は、透明な樹脂を主成分とするものであり、透明性を大きく阻害しない範囲で添加剤として、帯電防止剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、マット剤等を含んでいても良い。ベースとなる透明な樹脂としては、塗膜形成ができればよく、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体、アイオノマー、エチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネイト樹脂などがある。中でもトナーとの相溶性、ぬれ性等を考えるとトナーの樹脂と同系統の樹脂が最も好ましい。
【0016】
本発明の受像シートは上記記載の材料を用い、更に必要に応じて各種助剤を添加して適当な溶剤に溶解あるいは分散して調製した組成物を、基材上にバーコート法等の公知の方法により塗布、乾燥して形成される。
【0017】
受像層の厚さはトナー粒子径の50%を上回る厚さとすることが好ましい。これを下回るとトナーが十分に埋め込まれず、画像表面の凹凸を十分に埋めることができなくなるからである。現在、一般に使用されているトナーの平均最小粒子径は約6〜7μmである。したがって、受像層の厚さは3μm以上、より好ましくは10μm以上である。また、逆に受像層が厚すぎると定着時に画像のずれや歪みが生じ、画質に悪影響を与えるので受像層の厚さは約100μm以下、特に50μm以下とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明において記載されている諸物性値の測定は以下の手法により測定された値である。
【0019】
〔分子量〕 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置に、カラムを装着した装置を用いて温度20℃において1ml/minの流速で測定を行った。測定に用いたカラムとしては、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103,104,105の組み合せや、昭和電工社製のshodex KF-80Mや、KF-801,803,804,805の組み合わせ、KA-802,803,804,805の組み合わせ、あるいは東ソー社製のTSKgel G1000H,G2000H,G25000H,G3000H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,GMHの組合せが好ましい。また測定試料は、テトラヒドロフラン(THF)に0.2wt%の濃度で溶解し、0.45μmのフィルターで濾過したものを用いた。なお、試料の分子量分布の測定に際しては、該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択した。
【0020】
〔THF不溶分〕 樹脂0.5gをTHF溶液が約100ml入った容器中に密閉した状態で約30時間撹拌し溶解させる。その後、THF溶液より不溶分を濾取し、100℃で約90分真空乾燥し、秤量して、THF不溶樹脂の重量比を求める。
【0021】
〔酸価〕 受像層に用いる樹脂の酸価は、JISK−0070に準じた方法により測定される。
【0022】
カラー画像の彩度、画像密度、光沢を受像シートで補うためには、画像表面の平滑化が重要であり、熱溶融時に粘弾性が低い受像層を用いる必要がある。しかし、粘弾性が低い受像層は凝集力が弱く、定着ローラへのトナーや受像層自身のオフセットが問題となる。ゆえに受像層の樹脂としては、トナーの埋め込みと耐オフセット性という相反する特性を合わせ持つ必要がある。つまり、比較的低温で溶融する部分と、高温でも凝集力を維持する部分を有さなければならないということから、受像層の樹脂は分子量の低い成分と分子量の高い成分を分子量分布に持つ物が優れていると考えられる。
【0023】
このような樹脂のGPC測定による分子量分布は一般的に図2に示すような曲線が測定され、例えば図2の曲線では、ピークが1,000と100,000、肩は40,000とピークと肩を合わせて2つ以上持っている。また、図2の分子量分布のグラフおいて横軸は分子量を示し、縦軸は示唆屈折計型検出器による強度を示している。
【0024】
さらに図2に示す分子量10,000未満の領域の分子量成分(Ha部分)は主に受像層中へのトナーの埋め込みに有効な成分となり、10,000以上の成分(Hb部分)は熱溶融時にも凝集力を持ち、特に耐オフセット性に効果を奏することから、トナーの埋め込みと耐オフセット性に優れた受像シートとなる。
【0025】
また樹脂のTHF不溶分は、樹脂の中でも架橋したことにより生成したゲル成分が考えられる。この様な不溶分は受像層の凝集力がさらに強くなり、耐オフセット性,耐ブロッキング性の一層の向上が達成される。しかし、40重量%を超える場合では受像層の凝集力が強くなり過ぎ、また基材シートに塗布する場合、成膜性が低下して製造上好ましくない。より好ましくはTHF不溶分としては20重量%以下である。
【0026】
また、樹脂の酸価が100mgKOH/gより大きい酸価を有する場合には、受像層表面に水分が吸着しやすくなるため、高温高湿又は低温低湿下等の環境下において環境の影響を受けやすく、画像の劣化が生じる傾向がある。また、基材シートへ塗布した後、特に乾燥時に架橋反応が進み、前述のTHF不溶分の説明と同様の弊害を生ずる。より好ましくは50mgKOH/g以下である。
【0027】
さらに図2に示すような低分子側と高分子側双方の最大のピーク(又は肩)の高さHa、Hbを規定しているのは、基本的にトナーの埋め込みと耐オフセット性のバランスを保持させる為である。Ha/Hbが0.2未満の場合は、十分にトナーを埋め込めないため定着後の表面の平滑性が悪く、Ha/Hbが5以上の場合は耐オフセット性の低下がみられる。より好ましくは0.25〜4の範囲である。
【0028】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、文中、部とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0029】
(実施例1)
基材シートとして透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ100μm)を用い、その上に下記組成の受像層の塗布液をバーコーターにて、乾燥後の膜厚が10〜15μmとなるように受像層を形成して、受像シートを得た。また本実施例1は、本発明の請求項1に対応するものであり、その要部拡大断面図は図1の(a)に相当するものである。
【0030】
受像層用塗布液1
ポリエステル樹脂 30部
分子量分布:ピーク 100,000、肩 50,000
THF不溶分:18%
酸価:51mgKOH/g
Ha/Hb:0.32
メチルエチルケトン:トルエン=1:1 70部
(実施例2)
実施例1と同様に、下記の受像層用塗布液2を基材に塗布し、実施例2の受像シートを得た。また本実施例2は、本発明の請求項2に対応するものであり、その要部拡大断面図は図1の(a)に相当するものである。
【0031】
受像層用塗布液2
ポリエステル樹脂 30部
分子量分布:ピーク 70,000、2,000
THF不溶分:8%
酸価:35mgKOH/g
Ha/Hb:0.45
メチルエチルケトン:トルエン=1:1 70部
そして、上記のようにして得た実施例1、2の受像シート上に、公知の電子写真法によりトナー画像を形成させた。その後、トナー画像を支持するそれぞれの受像シートを、加熱ローラ型定着装置に通すことにより熱加圧処理を行った。ここで、トナーはポリエステル樹脂をバインダーとする、顔料で着色された粒子である。
【0032】
得られた画像は、画像のオフセット性、及び表面平滑性の評価を行った。画像のオフセット性については、画像部にオフセットの見られないものを○、一部オフセットしたものは△、オフセットしたものは×とした。また、表面平滑性は透明性に大きく反映されることからヘーズメーター(日本電色工業(株)NDH−1001DP)にてベタ画像の濁度(ヘーズ)を測定した。得られた画像の評価結果を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示すように、下記の比較例1と比べて実施例1、2の受像シートでは、耐オフセット性、透明性共に良好であり、特に実施例2の樹脂であれば、トナーが受像層に深く埋め込まれ、表面の平滑性が良くなり、より透明性の高い画像が得られる。
【0035】
(比較例1)
本比較例1では、実施例1、2に対して樹脂の分子量分布が肩等を持たず、ワンピークのものを受像層として実験を行なった。比較例1の受像シートとして、下記の受像層用塗布液3、4において、実施例1同様に画像のオフセット性、ヘーズについて評価し、その結果を表2に示した。
【0036】
受像層用塗布液3
ポリエステル樹脂 30部
分子量分布:ピーク 70,000
THF不溶分:22%
酸価:40mgKOH/g
メチルエチルケトン:トルエン=1:1 70部
受像層用塗布液4
ポリエステル樹脂 30部
分子量分布:ピーク 5,000
THF不溶分:15%
酸価:38mgKOH/g
メチルエチルケトン:トルエン=1:1 70部
【0037】
【表2】
【0038】
表2に示すように、樹脂の分子量分布が肩等を持たず、ワンピークのものを受像層に用いると、例えば塗布液3で作成した受像シートのように高分子量の樹脂を用いた場合は、オフセットに対しては良好であるが透明性、つまりトナーの埋め込みに対しては十分でなく、ヘーズが高い値となる。逆に、トナーを埋め込ませようと低分子量の樹脂を用いるとオフセットが生じている。またここで、比較例(塗布液4)の受像シートのヘーズは、画像がオフセットし正当な評価が行えないため×とした。
【0039】
(実施例3)
受像層の樹脂としてTHF不溶分10,20、30、40、50%を含む下記の樹脂A〜Eにより、実施例1と同様に基材に塗布し、実施例3の受像シートを作成した。得られた受像シートは、実施例1と同様に画像のオフセット性、ヘーズについて評価し、その結果を表3に示した。また本実施例3は、本発明の請求項3に対応するものであり、その要部拡大断面図は図1の(a)に相当するものである。
【0040】
ポリエステル樹脂A
分子量分布:ピーク 70,000、肩 2,000
THF不溶分:10%
酸価:48mgKOH/g
Ha/Hb:0.55
ポリエステル樹脂B
分子量分布:ピーク 80,000、ピーク 5,000
THF不溶分:20%
酸価:40mgKOH/g
Ha/Hb:0.63
ポリエステル樹脂C
分子量分布:ピーク 95,000、ピーク 5,000
THF不溶分:30%
酸価:36mgKOH/g
Ha/Hb:0.37
ポリエステル樹脂D
分子量分布:肩 110,000、ピーク 8,000
THF不溶分:40%
酸価:29mgKOH/g
Ha/Hb:1.98
ポリエステル樹脂E
分子量分布:ピーク 150,000、ピーク 8,000
THF不溶分:50%
酸価:27mgKOH/g
Ha/Hb:1.58
【0041】
【表3】
【0042】
表3に示すように、THF不溶分が40%を超える場合では受像層が定着時に粘弾性が下がらないため、トナーが十分に埋め込まれず、ヘーズが下がらない。またヘーズから見ると、THF不溶分としては20%以下がより好ましい。
【0043】
(実施例4)
受像層の樹脂として酸価が50、75、100、125mgKOH/gの下記の樹脂F〜Iにより、実施例1と同様に基材に塗布し、実施例4の受像シートを作成した。得られた受像シートは、公知の電子写真法により高温高湿下(35℃/65%Rh)でトナー画像を形成し、その画像について画質の評価を行った。画質評価については、画像部に転写時の散りや抜け等の乱れについて○、△、×の三段階の評価とした。
【0044】
ポリエステル樹脂F
分子量分布:肩 70,000、ピーク 2,000
THF不溶分:13%
酸価:50mgKOH/g
Ha/Hb:1.58
ポリエステル樹脂G
分子量分布:ピーク 70,000、肩 5,000
THF不溶分:15%
酸価:75mgKOH/g
Ha/Hb:0.83
ポリエステル樹脂H
分子量分布:ピーク 65,000、肩 5,000
THF不溶分:22%
酸価:100mgKOH/g
Ha/Hb:0.71
ポリエステル樹脂I
分子量分布:ピーク 50,000、ピーク 4,000
THF不溶分:12%
酸価:125mgKOH/g
Ha/Hb:1.41
【0045】
【表4】
【0046】
表4に示すように、酸価が100mgKOH/gを超える場合では、特に高温高湿下で受像層樹脂の吸湿により抵抗等の表面特性が変化し、それが画像の転写時に乱れとなって現れる。また、より好ましくは50mgKOH/g以下である。
【0047】
(実施例5)
GPCより測定される分子量分布で、分子量10,000未満の領域Aでの最大ピーク又は肩の高さをHa、分子量10,000以上の領域Bの最大ピーク又は肩の高さをHbとした時、受像層の樹脂として下記のHa/Hbを示す樹脂J〜Oにより、実施例1と同様に基材に塗布し、実施例5の受像シートを作成した。得られた受像シートは、実施例1と同様に画像のオフセット性、ヘーズについて評価し、その結果を表5に示した。また本実施例5は、本発明の請求項5に対応するものであり、その要部拡大断面図は図1の(a)に相当するものである。
【0048】
ポリエステル樹脂J
分子量分布:ピーク 110,000、ピーク 8,000
THF不溶分:13%
酸価:27mgKOH/g
Ha/Hb:0.1
ポリエステル樹脂K
分子量分布:ピーク 65,000、肩 8,000
THF不溶分:10%
酸価:28mgKOH/g
Ha/Hb:0.2
ポリエステル樹脂L
分子量分布:ピーク 25,000、肩 5,000
THF不溶分:16%
酸価:34mgKOH/g
Ha/Hb:0.25
ポリエステル樹脂M
分子量分布:ピーク 70,000、ピーク 7,000
THF不溶分:19%
酸価:35mgKOH/g
Ha/Hb:4
ポリエステル樹脂N
分子量分布:ピーク 81,000、ピーク 7,000
THF不溶分:11%
酸価:24mgKOH/g
Ha/Hb:5
ポリエステル樹脂O
分子量分布:肩 81,000、ピーク 7,000
THF不溶分:19%
酸価:44mgKOH/g
Ha/Hb:10
【0049】
【表5】
【0050】
表5に示すように、Ha/Hbが0.2〜5の範囲では耐オフセット性、ヘーズ共に良好となり、特に0.25〜4の場合では耐オフセット性、表面平滑性のバランスのとれた受像シートとなる。
【0051】
(実施例6)
受像層として分子量分布の異なる下記の2種類の樹脂P、Qを塗布液として、下層を塗布し乾燥した後に上層を塗布し、2層の受像層となる実施例6の受像シートを作成した。得られた受像シートは、実施例1と同様に画像のオフセット性、ヘーズについて評価し、その結果を表6に示した。また本実施例6は、本発明の請求項6に対応するものであり、その要部拡大断面図は図1の(b)に相当するものである。
【0052】
ポリエステル樹脂P
分子量分布:ピーク 3,000
THF不溶分:2%
酸価:11mgKOH/g
ポリエステル樹脂Q
分子量分布:ピーク 70,000
THF不溶分:13%
酸価:27mgKOH/g
【0053】
【表6】
【0054】
表6に示すように、上層部に高分子量の樹脂Qを用いると耐オフセット性に優れた特性を示し、逆に低分子量の樹脂Pを上層部に用いるとトナーの埋め込みに有利となり、表面平滑性の高い画像が得られる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、基材シート上に樹脂からなる受像層を持ち、有色のトナーを受像層に埋没させることにより画像を形成する受像シートにおいて、受像層の樹脂はテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に測定される分子量分布に少なくとも2つのピーク又は肩を有することにより、トナーの受像層への埋め込みによる表面平滑性、及び耐オフセット性を両立することができる。
【0056】
さらに、受像層の樹脂が、GPCにより測定される分子量分布で、分子量10,000未満の領域及び10,000以上の領域にそれぞれ少なくとも一つのピーク又は肩を有することで、より表面平滑性が高く耐オフセット性に優れた受像シートとなる。
【0057】
さらに、受像層の樹脂はTHF不溶分の含有量が40重量%以下であることにより、受像層へのトナーの埋め込みに対し妨げとならず、耐オフセット性に優れた受像シートとなる。
【0058】
さらに、受像層の樹脂の酸価が100mgKOH/g以下であることにより、環境差による転写時の画像の劣化を押さえることができる。
【0059】
さらに、受像層の樹脂が、GPCより測定される分子量分布で、分子量10,000未満の領域A及び10,000以上の領域Bにそれぞれ少なくとも一つのピーク又は肩を有し、領域Aの最大ピーク又は肩の高さをHa,領域Bの最大ピーク又は肩の高さをHbとした場合、0.2≦Ha/Hb<5を満たすことで、トナーの埋め込みによる表面平滑性と耐オフセット性のバランスを良好に設定できる。
【0060】
さらに、受像層の樹脂が、シートの厚み方向に分子量分布を持たせ、分子量分布の上下関係を変えることにより、トナーの埋め込みによる表面平滑性と耐オフセット性に関して受像シートの特性のコントロールが容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した受像シートの要部拡大断面図。
【図2】本発明を適用する樹脂のGPCによる分子量分布図。
【符号の説明】
1 ・・・基材
2 ・・・受像層
3 ・・・受像層の下層部
4 ・・・受像層の上層部
Claims (5)
- 基材シート上に酸価が100mgKOH/g以下であるポリエステル樹脂からなる受像層を持ち、有色のトナーを受像層に埋没させることにより画像を形成する受像シートにおいて、前記受像層が、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に測定される分子量分布に少なくとも2つのピーク又は肩を有する樹脂からなることを特徴とする受像シート。
- 前記受像層が、GPCにより測定される分子量分布で、分子量10,000未満の領域及び10,000以上の領域にそれぞれ少なくとも一つのピーク又は肩を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の受像シート。
- 前記受像層が、THF不溶分の含有量が40重量%以下である樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の受像シート。
- 前記受像層が、GPCにより測定される分子量分布で、分子量10,000未満の領域A及び10,000以上の領域Bにそれぞれ少なくとも一つのピーク又は肩を有し、領域Aの最大ピーク又は肩の高さをHa、領域Bの最大ピーク又は肩の高さをHbとした場合、0.2≦Ha/Hb<5を満たす樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の受像シート。
- 前記受像層が、GPCにより測定される分子量分布で、分子量10,000未満の領域に少なくとも一つのピーク又は肩を有する層と、分子量10,000以上の領域に少なくとも一つのピーク又は肩を有する層との積層構造を持つことを特徴とする請求項1記載の受像シート。
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