JP3680357B2 - ガラス母材の火炎加工装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、大型のガラス母材を所定の位置、温度に正しく維持して火炎加工することのできる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高純度石英ガラス母材(以下、ガラス母材と略称する)を作成する方法としてVAD(Vapor Phase Axial Deposition: 気相軸付け)法、OVD(Outside Vapor Deposit ion:外付け)法等が知られている。この方法は、図2に示すように回転する石英ロッドからなる支持棒6の先端又は出発棒12の外周にSiCl4 を原料として酸水素火炎との加水分解反応とにより生成した石英(SiO2 )ガラス微粒子を堆積させ、軸方向に多孔質母材10、12を形成した後、該多孔質母材を透明ガラス化させ、光ファイバプリフオームとするものである。得られた透明ガラス体はガラス母材表面に数μm程度の凹凸が存在するため、酸水素バーナにてガラス母材表面を火炎研磨し、平滑な表面を得た後、線引き、紡糸していた。火炎研磨の際、ガラス母材は支持棒6を介して旋盤に固定される。
支持する支持棒はコスト低減のため細径のガラス棒であり、かつ、再使用することが望ましいが次第に劣化・破損してしまう。場合によっては使用中に劣化が進み交換が必要になることもある。支持棒の取り付け、あるいは火炎処理の際の旋盤は従来横型であったが、近年、母材を太径あるいは長尺にするための大型が進み、母材重量が重くなるにつれて支持棒に加わる加重負担の関係上、ガラス母材を鉛直に支持する方法が主流となっている。また、透明ガラス体にはガラス母材先端及び支持棒に未焼結のガラス微粒子が残っていた。この未焼結部は線引き工程で炉内で浮遊しガラス母材に付着して、紡糸されたファイバの強度低下を起こすため酸水素バーナで加熱処理していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
支持棒をガラス母材に取り付け場合、その近傍で融着状態を見ながら操作することになるが、酸水素炎はかなりの火力となる。また、加熱状態の判断には熟練を要し、輻射熱及び光が作業環境を悪化していた。融着が不十分だと支持棒から母材が落下し、時間をかけて融着するのは生産性が悪い。また、大型母材の火炎研磨においてはその位置の確認により酸水素流量及び研磨速度を調整していた。特に、母材先端及び支持棒部分は外径が大きく変化しているため加熱不足の場合、透明ガラス化ができず、また、加熱し過ぎると支持棒が引きのびて母材が落下する。それで、携帯型放射温度計で母材の表面温度を測定していた。
そこで本発明は、大型のガラス母材について温度むらの生じるのを抑制することができ、作業環境の良い状態でガラス母材を火炎加工することのできる装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わるガラス母材の火炎加工装置は、ガラス母材をその中心軸の周りに回転するとともに中心軸方向を鉛直方向として鉛直方向に移動する手段と、ガラス母材を加熱するための複数の酸水素バーナと、ガラス母材の表面温度を測定する非接触式温度センサと、加熱しているガラス母材近傍の外観を観測する手段を備えた装置であって、前記酸水素バーナ、温度センサ及び観測手段は、同一平面内に、かつ、前記母材の中心軸と直角な平面上に前記母材の中心軸に向けて配置されたことを特徴とし、観測手段にはその焦点並びに視野範囲を遠隔操作する制御手段を備えることが好ましい。また、観測手段からの情報に基づき、前記酸水素バーナに供給する酸水素の供給量を調整するコントローラを有することが好ましい。
【0005】
【作用】
上記の構成によれば、本発明の装置はガラス母材の中心軸に直角な平面上でガラス母材の中心軸に向けて酸水素炎をあて、また同一平面上でガラス母材の中心軸に向けて外観の観察ができる手段と非接触式温度センサを設けているので、例えば支持棒とガラス母材のように外径の異なる対象物についても、常に外観の観察ができる手段と非接触式温度センサは火炎のあたる位置に向いているので正確で、再現性のある位置での外観及び温度情報を得ることが出来る。
さらに、本発明の装置はガラス母材の表面温度を温度センサにより、また加熱している外観は観察手段をとおして遠隔操作により監視できるので、作業者は輻射熱や光の影響を受ける事無く適切な操作をすることが出来る。
【0006】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は本発明に係わるガラス母材の火炎加工装置の概略図であり、表面に凹凸を有するガラス母材1と、ガラス母材をその中心軸の周りに回転する(矢印13)とともに鉛直方向(矢印14)に移動する手段(図示せず)と、ガラス母材を加熱するための複数の酸水素バーナ2と、ガラス母材の表面温度を測定する温度センサ3と、加熱しているガラス母材近傍を観測する手段4を備えた装置であって、前記酸水素バーナ2、温度センサ3及び観測手段4は、同一平面内に、かつ、前記母材の中心軸5と直角な平面8内に配置することによって正確に母材の表面を加熱し、測定することができる。
【0007】
ガラス母材1はガラス製の支持棒6を介してチャック7によって鉛直に保持される。母材1の中心軸5と直角な平面8上には12本の加熱用酸水素バーナ2が配置され、さらに母材を矢印13の方向に回転することによって同一円周上で温度むらが少なくなるようにしている。
【0008】
加熱温度を正しく維持するために、放射温度計からなる非接触型の温度センサ3によってガラス母材1の表面温度を測定する。ここでバーナ2と温度センサ3は同一平面上で、中心軸5と直角面内であることが必要である。同一面上にない場合は加熱している位置と測定位置に差が生じ、正確な温度を検知することができず、また、再現性に欠ける。特に、外径変化の大きい母材先端及び支持棒部分は外径が大きく変化しているため酸水素バーナの火炎のあたる位置と温度センサの測定位置が大きくすれ測定値が大幅に変わってしまう。また、測定点のスポット径は15φ以下を使用した。
【0009】
加熱しているガラス母材近傍の外観を観察する手段4は先端部に焦点距離、視野範囲を調整できるレンズを備えたCCDカメラあるいはイメージファイバが使用される。バーナ2による母材1あるいは支持棒6の加熱状態を観察するとともに高温雰囲気を監視するためである。実施例ではCCDカメラの耐熱温度以内で使用できたが、場合によっては水冷などの遮熱手段で保護することも有効である。この観測手段4は手元のコントローラ16によって焦点距離及び視野範囲が遠隔操作でき、かつ、モニタ15で映像をみることが出来るので、この装置による作業は高温雰囲気から開放される。
【0010】
本実施例では、チャックに支持棒6を把持した後、母材1の軸方向の情報をカメラを通してコンピュータ15に入力しておき、その情報によってコントローラ19でバ−ナ2に供給する酸水素の供給装置17の流量を調整し、自動的に火炎研磨を行なった。この間、研磨された表面状態と表面温度はカメラ4と温度センサ3によって監視され、温度が異常の場合は警報を発するようにした。
その結果、火炎研磨をしている間は作業者による手を加えることなく、ガラス母材表面の凹凸を除去することができた。
【0011】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の装置はガラス母材の中心軸に直角な平面上でガラス母材の中心軸に向けて酸水素炎をあて、また同一平面上でガラス母材の中心軸にカメラと温度センサを設けているので、例えば支持棒とガラス母材のように外径の異なる対象物についても、常にカメラと温度センサは火炎のあたる位置に向いているので正確で、再現性よく温度を検知することができる。
さらに、本発明の装置はガラス母材の表面温度を温度センサにより、また加熱している火炎状況はカメラをとおして遠隔操作により監視できるので、作業者は輻射熱及び光の影響をうけることなく操作することができる。
従って、本発明の装置は大型の光ファイバ母材の製造に適用すると効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるガラス母材の火炎加工装置の概略図である。
【図2】従来のガラス母材の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1:ガラス母材
2:加熱用酸水素バーナ
3:温度センサ
4:観測手段
5:中心軸
6:支持棒
7:チャック
8:中心軸と直角な平面
10:スート母材
11:スート合成用バーナ
12:出発棒
13、14:矢印
15:モニタ
16:手元コントローラ
17:酸水素供給装置
18:コンピュータ
19:コントローラ
Claims (4)
- ガラス母材をその中心軸の周りに回転するとともに中心軸方向を鉛直方向として鉛直方向に移動する手段と、
ガラス母材を加熱するための複数の酸水素バーナと、
ガラス母材の表面温度を測定する非接触式温度センサと、
加熱しているガラス母材近傍の外観を観測する手段を備えた装置であって、
前記酸水素バーナ、前記温度センサ及び前記観測手段は、同一平面内に、かつ、前記母材の中心軸と直角な平面上に前記母材の中心軸に向けて配置された
ことを特徴とするガラス母材の火炎加工装置。 - 前記観測手段はその焦点並びに視野範囲を遠隔操作する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のガラス母材の火炎加工装置。
- 前記観測手段からの情報に基づき、前記酸水素バーナに供給する酸水素の供給量を調整するコントローラを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のガラス母材の火炎加工装置。 - ガラス母材をその中心軸の周りに回転するとともに中心軸方向を鉛直方向として鉛直方向に移動し、
前記母材を加熱するための複数の酸水素バーナが、同一平面内に、かつ、前記母材の中心軸と直角な平面上に前記母材の中心軸に向けて配置された状態で、前記母材を加熱・研磨し、
前記母材の加熱・研磨されている部分近傍の表面温度を非接触式温度センサにより測定・監視するとともに、
前記母材の加熱・研磨されている部分近傍の外観を観測手段により測定し、前記観測手段からの情報に基づき、前記酸水素バーナに供給する酸水素の供給量を調整する
ことを特徴とするガラス母材の火炎加工方法。
Priority Applications (1)
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JP15568795A JP3680357B2 (ja) | 1995-06-22 | 1995-06-22 | ガラス母材の火炎加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP15568795A JP3680357B2 (ja) | 1995-06-22 | 1995-06-22 | ガラス母材の火炎加工装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH092829A JPH092829A (ja) | 1997-01-07 |
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Family
ID=15611365
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15568795A Expired - Lifetime JP3680357B2 (ja) | 1995-06-22 | 1995-06-22 | ガラス母材の火炎加工装置 |
Country Status (1)
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1995
- 1995-06-22 JP JP15568795A patent/JP3680357B2/ja not_active Expired - Lifetime
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