JP3679773B2 - ズームレンズ鏡筒のカム構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、ズームレンズ鏡筒のカム構造に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
従来のズームレンズ鏡筒は、レンズ鏡筒先端部のレンズ支持筒の繰出し機構は、ヘリコイドやリードカムによる線形繰出しか、カムによる非線形繰出しであった。カムによる非線形繰出しは、例えば2群ズームレンズの場合、先ず、前群または後群のカム溝の一方を決める。そして先に決めたカム溝に合わせて、他方のカム溝を決定している。
【0003】
しかし、両方向のカム溝が非線形になる場合は、カム環を展開して最適なカム形状を設計することになるが、鏡筒の繰出し方に不自然な動きがないように、スムーズな繰出しになるようにしたり、鏡筒の回転角と焦点距離との関係を予め計算で求めるのは困難である。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、特にワイド系の高倍率ズームレンズ鏡筒において困難となるカム溝の形状決定が容易になるズームレンズ鏡筒のカム溝設定方法を提供することを目的とする。
【0005】
【発明の概要】
この目的を達成する本発明は、ズーミングに際して相対的間隔を変えながら光軸方向に移動する第1変倍レンズ群および第2変倍レンズ群を有するズーム光学系を備えたズームレンズ鏡筒であって、前記第1変倍レンズ群は、前記ズーミングに際して一体的に移動する第1サブ群および第2サブ群を有し、該第1サブ群または第2サブ群の一方のサブ群を他のサブ群に対して相対的に、撮影可能な短焦点距離領域では離反位置に移動させ、撮影可能な長焦点距離領域では接近位置に移動させる切替機構と、ズーミングに際して、前記第1変倍レンズ群と前記第2変倍レンズ群を相対的に接離移動させる、前群カム溝と後群カム溝を備えたズームカム環を備え、前記他方のサブ群の光軸方向位置をA、前記第2変倍レンズ群の光軸方向位置をB、前記サブ群の光軸方向位置Aと前記第2変倍レンズ群の光軸方向位置Bとの間の光軸方向の仮想点位置をCとし、仮想点位置Cを式 (1) で定義したときに
C=B+(A−B)×K ・・・(1)
(ただし、0<K<1)
前記ズームカム環の回転角に対して前記仮想点位置Cの軌跡が線形となるように前記前群カム溝および後群カム溝が設定されていることに特徴を有する。
前記ズーム光学系の短焦点距離域において、前記ズームカム環の回転角に対して前記仮想点位置Cの軌跡が線形となるように前記前群カム溝および後群カム溝が設定される。
係数Kは、約0.5程度が望ましい場合が多い。
前記短焦点距離領域において、前記仮想点位置Cの軌跡が前記ズームカム環の回転角に対して線形となるように、前記仮想点位置Cを通る仮想線を設定し、長焦点距離領域のテレ端における前記サブ群の位置Aに基づいて仮想点位置Cがテレ端まで延長される。
より具体的には、前記ズームカム環の回転角に対して線形となるように、前記短焦点距離領域における前記複数の仮想点位置Cを通る仮想線を設定する。そうして、前記短焦点距離領域における複数の前記位置Aと仮想点位置Cの関係を曲線補間して補間曲線を求め、この補間曲線の、短焦点距離領域の長焦点側端における接線を延長して、前記最長焦点距離位置における前記サブ群の位置Aに対応する仮想点位置Cを求める。さらに、最短焦点距離位置と前記最長焦点距離位置間における前記ズームカム環の回転角および前記仮想点位置Cの前記最短焦点距離位置と前記最長焦点距離位置間の移動量から、複数の前記仮想点位置Cを結ぶ仮想線の傾きを求め、この仮想線の傾きと焦点距離に対する仮想点位置Cの移動量から複数のステップ焦点距離とズームカム環の回転角を設定する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。この実施の形態は、本発明を、沈胴式の4段ズームレンズ鏡筒に適用した実施形態である。
【0007】
このズームレンズ鏡筒は図1から図5に示すように沈胴式の4段鏡筒であり、カメラボディに固定される固定筒12と、固定筒12に支持されて光軸に沿って相対的に進退する4段の繰出し鏡筒として、第1外観筒17、第2外観筒23、第3外観筒(カム環)30および第4外観筒(レンズ支持筒)31を備えている。
このズームレンズ鏡筒は、固定鏡筒12に対して第1外観鏡筒17が、第1外観鏡筒17に対して第2外観筒23が、第2外観筒23に対して第3外観筒30がそれぞれヘリコイド繰出し構造(機構)によって結合されていて、ヘリコイド繰出し構造によって繰出し、繰り込みされる。そして第4外観筒31は、第3外観筒に対してカム構造によって連結されている。
このズームレンズ鏡筒は、第1外観筒17および第2外観筒23を、ヘリコイドを有するヘリコイド環とは別個に形成し、さらにズームレンズ鏡筒が通常最も繰り出されるテレ端位置からさらに繰り出された位置(分解・組み立て位置)において第1外観筒17および第2外観筒23を着脱可能に形成してある。
第4外観筒31の先端部に装着されたレンズバリヤ92、93は、第4外観筒31および第3外観筒30の、収納位置と撮影可能な最短繰出し位置(本実施例ではワイド端位置)との間の相対的な光軸方向移動により開閉駆動される。
さらに本実施の形態のズームレンズ鏡筒は、第2外観筒23および第3外観筒30を移動させるヘリコイド繰出し構造に、収納位置とワイド位置間において、第2外観筒23および第3外観筒30の回転は許容するが光軸方向には移動させない空転区間を設けてある。つまり本実施例では、収納状態からワイド位置方向への繰出しにおいて第2外観筒23および第3外観筒30は同一速度で回転するが相対的な光軸方向移動はしない空転区間を有する。この空転区間において、第1外観筒17は回転および光軸方向移動し、第4外観筒31は回転しないで第3外観筒30に対して相対的に光軸方向に移動して、第4外観筒31と第3外観筒30の相対的な光軸方向移動によりバリヤ92、93を開閉駆動する。
【0008】
このズームレンズ鏡筒のより詳細な全体構造について、先ず図1乃至図7を参照して説明する。図1は、このズームレンズ鏡筒を分解して主要部を示す斜視図である。なお、本明細書において、被写体側を前方、カメラボディ(フィルム)側を後方という。
【0009】
カメラボディ11に固定される固定筒12には、その内周面に雌ヘリコイド12aが形成されている。この雌ヘリコイド12aには、第1ヘリコイド環14の外周に形成された雄ヘリコイド14aが螺合している。一方、固定筒12の外側には、ズーミング用モータ15によって回転駆動されるピニオン16が位置しており、このピニオン16に、雄ヘリコイド14aの一部を切除し、切除部分の両側の雄ヘリコイド14aに沿って第1ヘリコイド環14の外周に形成したギヤ部14bが噛み合っている。第1ヘリコイド環14の前部には第1外観筒17が結合されている。
【0010】
第1ヘリコイド環14と第1外観筒17は、第1ヘリコイド環14の前端部に形成した結合部141および第1外観筒17の後端部に形成した結合部171の係合によって一体に回動および進退動するように結合される。
第1外観筒17内には、該第1外観筒17と相対回動が可能で光軸方向には一緒に移動する(光軸方向への相対移動ができない)第1直進案内環18が支持されている。この第1直進案内環18は、直進案内突起18aが固定筒12の直進案内溝12bに係合することで、固定筒12に対して回転しないで光軸方向の直進移動(進退)のみ可能に、第1外観筒17に支持されている。
【0011】
さらに第1外観筒17は、内周面に周方向に延びる周方向溝172が、光軸方向に所定長離反して2本形成され、各周方向溝172に、第1直進案内環18の外周面に突設されたキー181が嵌合している。従って第1外観筒17は、このキー181および周方向溝172に拘束されて、第1直進案内環18に対して相対的に回転するが、光軸方向には一緒に進退するように規制されている。
【0012】
従って、ズーミング用モータ15が回転すると、減速ギヤ列15a、ピニオン16およびギヤ14bを介して第1ヘリコイド環14が回転し、該第1ヘリコイド環14、第1外観筒17および第1直進案内環18の結合体が光軸方向に進退する。その際第1ヘリコイド環14および第1外観筒17は、雌ヘリコイド12aと雄ヘリコイド14aのリードに従って回転しながら光軸方向に進退し、第1直進案内環18は回転しないで第1ヘリコイド環14および第1外観筒17と一緒に光軸方向に進退する。
上記結合部141と結合部171、およびキー181と周方向溝172は、第1ヘリコイド環14と第1外観筒17、第1外観筒17と第1直進案内環18が所定の相対回転角(組み立て・分解位置)にあるときに光軸方向移動させて係脱可能に形成されている。
また固定筒12に対する第1直進案内環18の光軸方向の移動位置が所定の間隔で段階的なズームステップとして、該第1直進案内環18と固定筒12にそれぞれ固定したブラシ19とコード板20によって検出される。本実施形態のズームレンズ鏡筒はワイド端、テレ端を含む10ステップのステップズームとし、第6ステップと第7ステップの間に切替え領域がある。なお、第1外観筒17の先端部には、飾り環174が固定される。
【0013】
第1直進案内環18の内周には雌ヘリコイド18bが形成され、この雌ヘリコイド18bには、第2ヘリコイド環21の外周に形成された雄ヘリコイド21aが螺合している。第2ヘリコイド環21は、その外周に一対の案内コマ21bを備え、各案内コマ21bは、第1直進案内環18に形成したコマ逃がし溝18cを通して、第1外観筒17の内周に形成したコマ案内溝17a(図6、8)に係合している。コマ逃がし溝18cは雌ヘリコイド18bと同傾斜の貫通長孔であり、コマ案内溝17aはズームレンズ系の光軸Oと平行な直線溝である。案内コマ21bは、コマ逃がし溝18cを貫通する部分は断面円形の円柱形状に形成されているが、コマ案内溝17aに嵌合する先端部分は、コマ案内溝17aが延びる方向に長い断面長方形の直進キー状に形成されている。
【0014】
第2ヘリコイド環21の前部には第2外観筒23が結合されている。第1ヘリコイド環14と第1外観筒17と同様に、第2ヘリコイド環21と第2外観筒23は、第2ヘリコイド環21の前端部に形成した結合部(凹部)211および第2外観筒23の後端部に形成した結合部(凸部)231の係合によって一体に回動および進退するように結合されている。結合部141、171と同様にこれらの結合部211、231も、第2ヘリコイド環21と第2外観筒23が特定の相対回転角(組み立て・分解位置)にあるときに係脱可能に形成されている。
【0015】
第2外観筒23内には、該第2外観筒23と相対回動が可能で光軸方向には一緒に移動する(光軸方向への相対移動ができない)第2直進案内環25が支持されている。この第2直進案内環25は、直進案内突起25aが第1直進案内環18の直進案内溝18dに係合することで、第1直進案内環18に対して光軸方向の相対直進移動のみ可能に支持されている。
【0016】
第2外観筒23は、内周面に周方向に延びる周方向溝232が、光軸方向に所定長離反して2本形成され、各周方向溝232に、第2直進案内環25の外周面に突設されたキー251が嵌合している。従って第2外観筒23は、このキー251および周方向溝232に拘束されて、第2直進案内環25に対して相対的に回転するが、光軸方向には一緒に進退するように規制されている。
【0017】
従って、ズーミング用モータ15が回転すると、減速ギヤ列15aおよびピニオン16を介して第1ヘリコイド環14および第1外観筒17が回転しながら進退し、第1直進案内環18が回転しないで光軸方向に進退するので、該第2ヘリコイド環21、第2外観筒23および第2直進案内環25の結合体が光軸方向に進退する。その際第2ヘリコイド環21および第2外観筒23は、案内コマ21bとコマ逃がし溝18cおよびコマ案内溝17aとの係合関係によって第1外観筒17に対して該第1外観筒17と一緒に回転しながら、かつ雄ヘリコイド21aと雌ヘリコイド18bのリードに従って第1外観筒17に対して光軸方向に相対的に進退し、第2直進案内環25は直進案内突起25aと直進案内溝18dとの係合に規制されて回転しないで第2ヘリコイド環21および第2外観筒23と一緒に進退する。
また、上記結合部211と結合部231、およびキー251と周方向溝232は、第2ヘリコイド環21と第2外観筒23、第2外観筒23と第2直進案内環25が所定の相対回転角(組み立て・分解位置)にあるときに光軸方向移動させて係脱可能に形成されている。
【0018】
第1直進案内環18と同様に、第2直進案内環25の内周面には雌ヘリコイド25bが形成され、この雌ヘリコイド25bには、第3外観筒(カム環)30の後端部外周に形成された雄ヘリコイド30aが螺合している。第3外観筒30は第3ヘリコイド環を兼ねており、その後端部の外周に一対の案内コマ30bを備え、各案内コマ30bは、第2直進案内環25に形成したコマ逃がし溝25cを貫通して、第2外観筒23の内周に形成したコマ案内溝23aに係合している(図8、図14)。案内コマ30bは、コマ逃がし溝25cを貫通する部分は断面円形の円柱形状に形成されているが、コマ案内溝23aに嵌合する部分はコマ案内溝23aが延びる方向に長い断面長方形状に形成されている。
コマ逃がし溝25cは雌ヘリコイド25bと同傾斜の貫通長孔であり、コマ案内溝23aは光軸Oと平行な直線溝である。
【0019】
第3外観筒30内には、該第3外観筒30と相対回動が可能で光軸方向には一緒に移動する(光軸方向への相対移動ができない)第3直進案内環33が支持されている。第3直進案内環33は、外周に複数の直進案内突起33aが形成され、各直進案内突起33aが第2直進案内環25内周の直進案内溝25dに係合することで、光軸方向の直進移動のみ可能となっている。
【0020】
従って、ズーミング用モータ15が回転すると、第1ヘリコイド環14および第1外観筒17が回転しながら光軸方向に進退し、第1直進案内環18が回転しないで第1ヘリコイド環14および第1外観筒17と一緒に光軸方向に進退し、第2ヘリコイド環21および第2外観筒23が第1外観筒17に対して同一回転速度で一緒に回転しながら光軸方向に相対的に進退し、第2直進案内環25が回転しないで第2ヘリコイド環21および第2外観筒23と一緒に進退するので、第3外観筒30および第3直進案内環33は、案内コマ30bとコマ逃がし溝25cおよびコマ案内溝23aの結合関係によって第2外装筒23と同一の回転速度で一緒に回転するとともに雄ヘリコイド30aと雌ヘリコイド25bのリードに従って第2外観筒23に対して光軸方向に相対的に進退し、第3直進案内環33は直進案内突起33aと直進案内溝25dの係合に規制されて回転しないで第3外観筒30と一緒に光軸方向に進退する。なお、第3外観筒30は、ヘリコイド30aが設けられた部分よりも前方部分が第2外観筒23から露出してレンズ鏡筒の外観を構成する。
【0021】
第3外観筒30内にはまた、その前方から順に、第1変倍レンズ群(第1サブ群S1、第2サブ群S2)L1を有する第4外観筒(レンズ支持筒)31と、第2変倍レンズ群L2を固定した後群レンズ枠32とが位置しており、この第4外観筒31と後群レンズ枠32が第3直進案内環33によって光軸方向に直進案内されている。具体的には、図9及び図10に示すように、第3直進案内環33を構成する3個の部分円筒状腕部33bには、その表裏(外周面と内周面)に光軸Oと平行な直進案内溝33c、33dが形成され、各直進案内溝33cには、第4外観筒31の内周に設けた直進案内突起(不図示)が摺動可能に嵌合し、各直進案内溝33dには、後群レンズ枠32の外周に設けた直進案内突起32aが摺動可能に嵌合している。
【0022】
第3外観筒30の内周面には、第4外観筒31および後群レンズ枠32用の有底の前群カム溝35および有底の後群カム溝36が形成されている。図12は、この前群、後群カム溝35、36の展開形状を示している。前群カム溝35と後群カム溝36はそれぞれ周方向に等角度間隔で3組形成されており、第4外観筒31、後群レンズ枠32には、これらの前群カム溝35と後群カム溝36に嵌まる前群フォロア突起(前群フォロア突起)31a、後群フォロア突起32bが径方向に突出形成されている。
したがってこの第4外観筒31、後群レンズ枠32は、ズーミング用モータ15が回転して第3外観筒30が第1外観筒17、第2外観筒23と一緒に回転しながら光軸方向に相対的に進退し、第3直進案内環33が回転しないで第3外観筒30と一緒に光軸方向に進退すると、直進案内突起(図示せず)と直進案内溝33cとの係合関係により回転しないで、フォロア突起31a、32bと前群、後群カム溝35、36との係合関係により第3外観筒30に対して所定軌跡で光軸方向に進退する。
以上の第4外観筒31および後群レンズ枠32を光軸方向に相対的に接離移動させる機構が、ズームカム機構を構成している。
なお、第4外観筒31は、フォロア突起31aが突出形成された後端部よりも前方の部分が第3外観筒30から突出し、外部に露出してレンズ鏡筒の外観を構成する。
【0023】
上記ズームレンズ鏡筒は、固定筒12に対して、第1直進案内環18、第2直進案内環25、第3直進案内環33および第4外観筒31が回転しないで相対的に光軸方向に直進(直線)的に進退する構成である。
【0024】
図12において、前群カム溝35と後群カム溝36はそれぞれ、テレ端位置(T端)から収納位置(収納)までが通常使用領域であり、撮影時には、該通常使用領域のうちテレ端位置(T端)とワイド端位置(W端)の間でフォロア突起31aと後群フォロア突起32bを案内する。後群カム溝35は、このテレ端位置(T端)とワイド端位置(W端)の間に中間不連続位置36aを有している。前群カム溝35によって案内される第4外観筒31内の第1変倍レンズ群L1は、テレ端位置とワイド端位置の途中で、第1サブ群S1と第2サブ群S2を接近位置(テレモード)と離隔位置(ワイドモード)に移動させる切替機能を有しており、この第1変倍レンズ群L1における切替時に、第2変倍レンズ群L2は後群カム溝35の中間不連続位置36aを通過する。この中間不連続位置36aの区間は、実際のズーミング域として撮影には用いない(第3外観筒30を停止させない)ように制御される。
この前群、後群カム溝35、36は、テレ端位置を越えた分解・組み立て位置までの領域を備えている。つまりこのズームレンズ鏡筒の組み立て、分解は、この分解・組み立て位置まで回動させた状態で行われる。
【0025】
レンズ支持筒31内には、シャッタブロック40が設けられている。シャッタブロック40は、前方ブロック環41、後方ブロック環42、ギヤ押え環43及びセクター押え環44を有しており、前方ブロック環41とギヤ押え環43を組み合わせた前方ブロック40Aと、後方ブロック環42とセクター押え環44を組み合わせた後方ブロック40Bとに大きく分割できる(図13、図18参照)。
【0026】
前方ブロック40Aについて説明する。前方ブロック環41の中心開口41a内には、前方サブ群枠45と後方サブ群枠46が嵌まっている。前方サブ群枠45には第1サブ群S1が固定され、後方サブ群枠46には第2サブ群S2が固定されている。以下に説明するように、前方サブ群枠45と後方サブ群枠46(第1サブ群S1と第2サブ群S2)は、ワイド端とテレ端の間で光軸方向の相対位置を、短焦点距離(ワイド)用接近位置と長焦点距離(テレ)用接近位置の2位置に切り替えることが可能であり、駆動リング47によって、この前方サブ群枠45と後方サブ群枠46の接離切替動作と、前方サブ群枠45と後方サブ群枠46が光軸方向に一体に移動するフォーカシング動作とを行わせることができる。この前方サブ群枠45と後方サブ群枠46を接離切替する機構がサブ群切替え機構を構成している。
【0027】
駆動リング47は、後方ブロック環42のスラスト面42sにより後端位置を規制され、前方ブロック環41と後方ブロック環42の間に回動自在に支持されている。
【0028】
前方サブ群枠45は、筒状をしていて、その直径方向の外面二カ所に、直進案内リブ45aを備えている。この直進案内リブ45aに穿設したガイド穴45bには、直進案内ロッド48が緩い嵌合で挿入(遊嵌)され、該直進案内ロッド48の後端部はギヤ押え環43の底部の固定穴43aに固定され、前端部は、固定ブラケット49及び固定ねじ50を介して、ギヤ押え環43の先端面に固定されている。直進案内ロッド48の外周には、固定ブラケット49と直進案内リブ45aの間に位置して、前方サブ群枠45を後方サブ群枠46側に向けて移動付勢する圧縮コイルばね51が嵌まっており、ギヤ押え環43には、直進案内ロッド48と圧縮コイルばね51を収納する断面U字状の収納凹部43bが形成されている。この収納凹部43bは、前方ブロック環41の中心開口41aに連通している。
【0029】
前方サブ群枠45には、その後端面に端面カムの態様で、円周方向に等角度間隔で4組の接離リード面(接離カム面)45cが形成されている。接離リード面45cの両端部には、フォロア安定凹部45d、45eが形成される(図33、図34参照)。なお、図には、接離リード面45cが一つのみ示されている。一方、後方サブ群枠46には、その外周面に、前方サブ群枠45の4組の接離リード面45cに対応させて、4組のフォロア突起46aが形成されている。このフォロア突起46aは、前方サブ群枠45の接離リード面45cに対応する傾斜面46bの最も接離リード面45c寄りに位置する先端部分に設けられている。この前方サブ群枠45に形成した接離リード面45cと後方サブ群枠46に形成したフォロア突起46aが、前方サブ群枠45と後方サブ群枠46を接離させる接離カム機構を構成する。
【0030】
後方サブ群枠46にはまた、その外周面に、4個のフォロア突起46aのうちの直径方向に対向する2個のフォロア突起46aと周方向位置を同じく、該フォロア突起46aより光軸方向の後方に位置させて、直進案内突起46cが突出形成されている。さらに、後方サブ群枠46の外周面には直進案内突起46cより光軸方向の後方に位置させて、等角度間隔で3個の被動突起46dが突出形成されている。
【0031】
前方ブロック環41には、その内周面に、後方サブ群枠46の直進案内突起46cに対応させて、回転しない前方ブロック環41に対する後方サブ群枠46の回動範囲を規定する一対の回動規制面41b、41cが形成されている(図34)。すなわち、この回動規制面41b、41cは、後方サブ群枠46が正逆に回動するとき、直進案内突起46cがそれぞれ当接して回動端を規制する。この回動規制面41bと案内面41dによりワイド側直進案内溝41eが構成され、回動規制面41cと案内面41fによりテレ側直進案内溝41gが構成される。直進案内突起46cは、各案内溝41e、41gに実質的に隙間なく摺動可能に嵌合される。
【0032】
駆動リング47は、その前端面に、後方サブ群枠46の3個の被動突起46dと対応する3組の制御凹部47aを有している(図31、図34参照)。なお、図中には、制御凹部47aは一つまたは二つのみが示されている。この制御凹部47aは、光軸と平行な方向の中心線cに関して左右対称形状をしていて、被動突起46dが当接する一対の回動付与面47b、47cと、被動突起46dの先端円弧状面が摺接するテレ側とワイド側のフォーカスリード面(フォーカスカム面)47d、47eとを有している。このテレ側フォーカスリード面47dとワイド側フォーカスリード面47eは、回動付与面47b、47cの間に、その前端面を開放した端面カムの態様で形成されており、周方向に対する傾斜が方向反対、傾斜角の絶対値同一である。この駆動リング47のフォーカスリード面47d、47eと、後方サブ群枠46に形成した被動突起46dとがフォーカスカム機構を構成する。
【0033】
前方サブ群枠45を後方に押圧付勢する前述の圧縮コイルばね51は、前方サブ群枠45の接離リード面45cと後方サブ群枠46のフォロア突起46a、後方サブ群枠46の被動突起46dと駆動リング47のテレ側またはワイド側のフォーカスリード面47d、47eを常時接触させる。駆動リング47は、前述のように、その後端面を後方ブロック環42のスラスト面42sに当接させており、圧縮コイルばね51の力によって、これら前方サブ群枠45、後方サブ群枠46、駆動リング47及び後方ブロック環42(スラスト面42s)の接触関係が維持される。これらの接触状態では、前方サブ群枠45の内周に後方サブ群枠46の先端部が入り込み、後方サブ群枠46の外周に駆動リング47が位置している。
【0034】
以上の第1サブ群S1および第2サブ群S2は、ワイド領域(W領域)では第2サブ群S2に対して第1サブ群S1が光軸方向に相対的に離反したワイド側離隔状態に切り替えられ、テレ領域(T領域)では第2サブ群S2に対して第1サブ群S1が光軸方向に相対的に接近したテレ側接近状態に切り替えられる。
【0035】
駆動リング47の回動付与面47bが被動突起46dに当接し、後方サブ群枠46の直進案内突起46cがワイド側直進案内溝41eから脱している状態がワイド側離隔状態である(図34、図35)。この状態で駆動リング47がテレ側接近切替方向に回転(図34、図35中の右方向に移動(時計方向に回転))すると、回動付与面47bが被動突起46dを押して後方サブ群枠46を同方向に回転させ、やがて直進案内突起46cが回動規制面41cに当接するテレ側接近状態に達する。この間、前方サブ群枠45(第1サブ群S1)は、接離リード面45cと後方サブ群枠46のフォロア突起46aの当接状態を維持して後退し、後方サブ群枠46(第2サブ群S2)に対して接近し、最終的にフォロア安定凹部45eがフォロア突起46aに嵌って安定状態となる。
以上でワイド側離隔状態からテレ側接近状態への切替が終了し、第1サブ群S1は第2サブ群S2に接近した状態(接近移動端、長焦点距離用接近位置)となる。前方ブロック環41は回転しないので、駆動リング47のこれ以上の同方向への回転はできない。
【0036】
このテレ側接近状態への切替が完了したTモード状態で、フォーカシング時に駆動リング47はワイド側接近切替方向に回転する。すると、被動突起46d(後方サブ群枠46)がテレ側フォーカスリード面47dに従って後方に移動するため、直進案内突起46cはテレ側直進案内溝41gに入って光軸方向の直進移動のみ可能となる。このテレ側フォーカスリード面47dによる後方サブ群枠46と前方サブ群枠45の接近移動端での一体移動で、中間焦点距離から長焦点距離端(テレ端)までのテレ側でのフォーカシングが行われる。具体的には、図35に示すように、後方サブ群枠46の被動突起46dがテレ側フォーカスリード面47dに当接した状態で駆動リング47がそのテレ側フォーカス領域ft(無限遠撮影位置∞から最短撮影位置n)内で回転すると、テレ側直進案内溝41gと直進案内突起46cの係合で回転を拘束されている後方サブ群枠46と、直進案内ロッド48とガイド穴45bの嵌合で回転を拘束されている前方サブ群枠45、すなわち第1サブ群S1と第2サブ群S2が一体に光軸方向に進退してフォーカシングが行われる。撮影が終了すると、駆動リング47は、回動付与面47bが被動突起46dに当接するまでテレ側接近切替方向に回転する。
【0037】
駆動リング47がワイド側離隔切替方向に、回動付与面47cが被動突起46dに当接するまで回転すると、後方サブ群枠46の直進案内突起46cは、テレ側直進案内溝41gから脱する。この状態で駆動リング47をさらにワイド側切替方向に回転(図34の左方向に移動(反時計方向に回転))すると、回動付与面47cが被動突起46dを押して後方サブ群枠46を同方向に回転させるので、やがて直進案内突起46cが回動規制面41bに当接する。この間、前方サブ群枠45は、接離リード面45cと後方サブ群枠46のフォロア突起46aの摺接により前進して後方サブ群枠46に対して離反し、最終的にフォロア安定凹部45dがフォロア突起46aに嵌って安定状態となる。
以上でテレ側接近状態からワイド側離隔状態への切替が終了し、第1サブ群S1は第2サブ群S2に対して離隔した状態(離隔移動端、短焦点距離用離隔位置)となる。前方ブロック環41は回転しないので、駆動リング47のこれ以上の同方向への回転はできない。
【0038】
このワイド側離隔状態への切替が完了した(Wモード)状態で、フォーカシング時に駆動リング47はテレ側接近切替方向に回転する。すると、被動突起46d(後方サブ群枠46)がワイド側フォーカスリード面47eに従って後方に移動するため、直進案内突起46cはワイド側直進案内溝41eに入って光軸方向の直進移動のみ可能となる。このワイド側フォーカスリード面47eによる後方サブ群枠46と前方サブ群枠45の離隔移動端での一体移動で、中間焦点距離から短焦点距離端までのワイド側でのフォーカシングが行われる。具体的には、図35に示すように、被動突起46dがワイド側フォーカスリード面47eに当接した状態で駆動リング47がそのワイド側フォーカス領域fw(無限遠撮影位置∞から最短撮影位置n)内で回転すると、ワイド側直進案内溝41eと直進案内突起46cの係合で回転を拘束されている後方サブ群枠46と、直進案内ロッド48とガイド穴45bの嵌合で回転を拘束されている前方サブ群枠45、すなわち第1サブ群S1と第2サブ群S2が一体に光軸方向に進退してフォーカシングが行われる。
【0039】
駆動リング47がテレ側切替方向に、回動付与面47dが被動突起46dに当接するまで回転すると、後方サブ群枠46の直進案内突起46cは、ワイド側直進案内溝41eから脱し、説明の最初の状態に戻る。
【0040】
駆動リング47の後端部外周面には、その全周にギヤ47fが形成されている。ギヤ47fは、減速ギヤ列52に噛み合い、正逆駆動モータ53によって正逆に回転駆動される。正逆駆動モータ53のピニオンは前方ブロック環41の前面側に位置しており、駆動リング47のギヤ47fは、前方ブロック環41と後方ブロック環42の間、つまり前方ブロック環41の後端側に位置している。そのため、このピニオンからギヤ47fへモータ駆動力を伝達する減速ギヤ列52は、前方ブロック環41の外面に沿って前方から後方へとギヤが配列されるように、前方ブロック環41とギヤ押え環43の間に挟着されている。また、正逆駆動モータ53のピニオンの近傍には、正逆駆動モータ53の回転量を検出するためのエンコーダを構成する回転スリット円板54が設けられており、該回転スリット円板54は、中継ギヤを介してピニオンと連動回転する。
【0041】
回転スリット円板54は、切替及びフォーカシング駆動量検出用のフォトインタラプタ56を構成していて、回転スリット円板54が回転してそのスリットが通過する毎にパルスを出力する。制御回路81は、このパルス数をカウントして回転スリット円板54の回転角(回転量)、つまり、正逆駆動モータ53の駆動量を検出することができる。
【0042】
以上のように、シャッタブロック40の前方ブロック40Aでは、駆動リング47の回動を制御することにより、短焦点距離用接近位置と長焦点距離用接近位置への第1サブ群S1と第2サブ群S2の接離動作と、第1変倍レンズ群L1全体を光軸方向に移動させるフォーカシング動作とを行わせることが可能である。テレ側とワイド側のフォーカシングは、後方サブ群枠46の直進案内突起46cが回動規制面41bまたは回動規制面41cに当接する位置(駆動リング47の回転方向が逆転する位置)を基準として、駆動リング47を駆動する駆動系のパルサー(フォトインタラプタ56)が出力するパルス数を制御して行う。例えば、第1サブ群S1と第2サブ群S2を合わせた第1変倍レンズ群L1全体をフォーカスレンズ群としてこの基準位置から最短撮影位置n、無限遠撮影位置∞及び任意の被写体距離撮影位置に移動させるための駆動パルス数は、フォーカスリード面47d、47eのリード角等を考慮して予め知ることができるから、これらのパルス数を管理することによって、被写体距離情報に応じたフォーカシングを行うことができる。
【0043】
シャッタブロック40内にはさらに、第2サブ群S2よりも後方に、シャッタセクター60を有するレンズシャッタ装置および絞りセクター62を有する絞り機構が設けられている。本ズームレンズ鏡筒では、シャッタセクター60は、任意の絞り値を決定する可変絞り機能とシャッタ機能とを兼用する羽根であり、シャッタレリーズ時に露出値に応じて該シャッタセクター60の開放量(絞り値)及び開放時間(シャッタスピード)が変化するように制御回路81を介して電気的に制御される。一方、絞りセクター62は、特にワイド側焦点距離で撮影する際に不要な光を取り込まないように撮影開口を規制するために設けられており、ズームレンズ鏡筒全体の繰出し状態に応じて機械的に開き量が変化する。つまり、ワイド撮影距離時にズームレンズ系の周辺部を撮影に用いないように開口の大きさを規制する。
【0044】
絞セクター62を開閉させる絞駆動リング63は、その外周に被動突起63bを有し、該被動突起63bは、第3直進案内環33の部分円筒状腕部33b内周に形成した絞制御カム溝71に係合している(図10)。ズーミングに際し、第3直進案内環33とシャッタブロック40(絞駆動リング63)は光軸方向に相対移動する。すると、絞制御カム溝71に従って被動突起63bが周方向に移動され、絞駆動リング63が回動し、絞セクター62の開度が変化する。
図11に示すように、絞制御カム溝71は、光軸Oと平行な直線状規制部71aと、光軸Oに対して傾斜する傾斜規制部71bと、第3直進案内環33の前端部に開口する規制解除部71cとを有しており、直線状規制部71aと傾斜規制部71bは、被動突起63bがほぼ遊びなく嵌まる幅となっている。
【0045】
シャッタブロック40の電気部品とカメラボディ内の制御回路81(図13)は、シャッタブロック用FPC(フレキシブルプリント基板)80によって接続される。シャッタブロック用FPC80は、ズームレンズ鏡筒の繰出し及び収納動作によるシャッタブロック40と制御回路81の相対位置の変化に応じて折り畳み位置を変化させ、他の鏡筒構成部材と干渉を避けるようにZ字状に折り返され、各外観筒の間に収納されている(図2参照)。
【0046】
本実施の形態のシャッタブロック用FPC80は、ヘアピン状に折り畳まれた折り畳み部分801、802が、後方から前方に向かって、第1外観筒17と第1直進案内環18の隙間、第2外観筒23と第2直進案内環25の隙間に後方から前方に向かって挿入され、第2外観筒23と第2直進案内環25から出た折り畳み部分802は、第3外観筒30を跨いで第4外観筒31内に入り、一方の端部がシャッタブロック40に接続されている。
【0047】
上記構成のズームレンズ鏡筒は、ズーミング用モータ15を介してピニオン16を回転駆動すると、
第1ヘリコイド環14および第1外観筒17が回転しながら進退し、第1直進案内環18が回転しないで第1ヘリコイド環14および第1外観筒17と一緒に光軸方向に進退し、
第2ヘリコイド環21および第2外観筒23が第1外観筒17に対して同一回転速度で回転しながら光軸方向に相対的に進退し、第2直進案内環25が回転しないで第2ヘリコイド環21および第2外観筒23と一緒に光軸方向に進退し、
第3外観筒30が第2外観筒23に対して同一回転速度で回転しながら光軸方向に相対的に進退し、第3直進案内環33が回転しないで第3外観筒30と一緒に光軸方向に進退し、
第4外観筒31が回転しないで光軸方向に相対的に進退(第3外観筒30は第4外観筒31に対して相対回転)するので、
最終的には、第3外観筒30内で光軸方向に直進案内されている第4外観筒31(第1変倍レンズ群L1)と後群レンズ枠32(第2変倍レンズ群L2)が、前群カム溝35と後群カム溝36に従う所定の軌跡で光軸方向に相対的に移動する。
【0048】
例えば、図2の鏡筒収納状態(沈胴状態)では、ズームレンズ鏡筒は略全体がカメラボディ11内に収納されており、この鏡筒収納状態からズーミング用モータ15を鏡筒繰出し方向に駆動させると、ズームレンズ鏡筒は図3のワイド端撮影位置へ繰り出される。ズームレンズ鏡筒は、さらにズーミング用モータ15を鏡筒繰出し方向に駆動させることによって、ワイド端撮影位置から図4のテレ端撮影位置まで繰出すことができる。
【0049】
そしてこのズームレンズ鏡筒は、テレ端撮影位置からさらにズーミング用モータ15を鏡筒繰出し方向に駆動させると、第1ヘリコイド環14と第1外観筒17、第2外観筒23がさらに回転して図5に示す第1外観筒17および第2外観筒23の分解・組み立て位置まで繰出すことができる。この実施例では、第1ヘリコイド環14をテレ端位置から回転角8度回転させると、この分解・組み立て位置に至る。図6は、この分解・組み立て位置において第1、第2外観筒17、23を取り外した状態を示している。
【0050】
ズーミング用モータ15を繰出し方向とは逆の収納方向に駆動すると、分解・組み立て状態、テレ端状態から、ワイド端状態、さらに収納(沈胴)状態にズームレンズ鏡筒を変化させることができる。実際のズーミングは、ワイド端からテレ端までを複数の焦点距離ステップに分け、各焦点距離ステップでズーミング用モータ15を停止させてフォーカシングや露出を行うように、ステップワイズに制御される。このとき、前述した第1サブ群S1と第2サブ群S2の接離切替に相当する領域は撮影には用いないので、ステップを区切らず、第3外観筒30(ズーミング用モータ15)を停止させない。
【0051】
図14には、収納位置における第2外観筒23、第2ヘリコイド環21、第2直進案内環25および案内コマ30bの関係を、外方から見た展開図として示してある。この収納位置では、第2直進案内環25の外周面に円周方向に形成した抜け止めキー251が、第2外観筒23の内周面に周方向に形成した内周溝232に係合して、第2外観筒23と第2ヘリコイド環21とを相対回転可能にかつ光軸方向には一緒に移動するように規制している。抜け止めキー251は、同一円周上のほぼ直径方向に離間した位置に2個、さらに光軸方向に所定長離間した位置に、同一円周上のほぼ直径方向に離間した位置に2個の計4個からなる。また、案内コマ30bは、コマ逃がし溝25cの空転領域25c1に入っている。
【0052】
コマ逃がし溝25cの空転領域25c1は、第3外観筒30を空転させるための空転区間である。つまり、案内コマ30bが空転領域25c1に入ると、第2直進案内環25に対して第3外観筒30が回転しても案内コマ30bは空転領域25c1に沿って移動するので、回転しても光軸方向には相対移動しない。この空転領域25c1は、ズームレンズ鏡筒の収納位置とワイド端位置の間の区間に設けられている。
【0053】
この収納位置状態からズーミング用モータ15を繰出し方向に回転させ、テレ端位置に達したときの第2外観筒23、第2ヘリコイド環21、第2直進案内環25および案内コマ30bの関係を、図14と同様に展開して図15に示してある。このテレ端位置における第2外観筒23と第2直進案内環25は、各抜け止めキー251の一部分が周方向溝232から出て切れ目233に入っているが、各抜け止めキー251の一部は周方向溝232に入っているので、第2外観筒23は第2直進案内環25に対して光軸方向には移動しない(抜けない)ように、つまり相対回転はするが光軸方向には一緒に進退するように係合している。
【0054】
上記テレ端状態からさらにズーミング用モータ15を繰出し方向に回転させ、分解・組み立て位置に達した第2外観筒23、第2ヘリコイド環21、第2直進案内環25および案内コマ30bの関係を図16に、図14と同様に展開して示してある。この分解・組み立て位置では、各抜け止めキー251が周方向溝232から出て切れ目233に入っている。したがってこの分解・組み立て位置では、第2外観筒23を第2直進案内環25に対して光軸方向に移動させることができる。つまり、第2外観筒23を取り外し(図17)、また取り付けることができる(図16)。
【0055】
この分解・組み立て位置において第1、第2外観筒17、23を引き抜くと案内コマ21b、30bが露出するので(図6)、さらに案内コマ21b、30bを取り外すと(図7)、第3外観筒30、第2ヘリコイド環21、第1ヘリコイド環14をさらに繰出し方向に回転させて取り外すことができるようにヘリコイドが形成されている。つまり、このズームレンズ鏡筒の分解は、この分解・組み立て位置において行うことができる。
なお、このズームレンズ鏡筒は、カメラボディに組み付けられ、撮影可能な完成状態ではテレ端位置から分解・組み立て位置方向へは繰り出されないようにズーミング用モータ15の回転が制御されているが、修理等のために特別なコマンド入力等したときに、ズーミング用モータ15がテレ端位置を越えて分解・組み立て位置まで回転するように構成されている。
【0056】
本実施形態では、第2外観筒23および第2直進案内環25と同様に、第1外観筒17および第1直進案内18も周方溝172、内周溝の切れ目173および抜け止めキー181を備え、前記の分解・組み立て位置において第1直進案内18に対して第1外観筒17の分解・組み立て可能に形成されている。
【0057】
第4外観筒31の先端部にはさらに、第1変倍レンズ群L1の前方の鏡筒開口を開閉するレンズバリヤ機構が設けられている。レンズバリヤ機構は、第4外観筒31の前部に固定される化粧板90、第4外観筒31の前壁部31bに光軸Oを中心として回動可能に支持されるバリヤ駆動環91、このバリヤ駆動環91と化粧板90の間にそれぞれ回動可能に枢支される一対の外側バリヤ92と一対の内側バリヤ93を備えている。化粧板90には、外側バリヤ92と内側バリヤ93を回動可能に支持する図示しない突起が設けられており、外側バリヤ92と内側バリヤ93は、この突起を中心として回動し、連動して化粧板90の開口を開閉する。各バリヤ92、93は、バリヤ付勢ばね94によって閉じ方向へ常時付勢されている。
【0058】
バリヤ駆動環91は、直径方向の二カ所に設けたバリヤ係合突起91aと、光軸方向の後方へ向けて延出する被動腕部91bとを有している。バリヤ係合突起91aは、外側バリヤ92または内側バリヤ93に係合して、バリヤ駆動環91の回転を該バリヤ92、93に伝達する。一方、被動腕部91bは、第4外観筒31の前部内周面の前壁部31bに形成した貫通穴(不図示)を貫通して第4外観筒31内に挿入され、該被動腕部91bには、第3直進案内環33の部分円筒状腕部33bの先端部に形成した傾斜ガイド面33eに摺接可能に形成されている。
【0059】
バリヤ駆動環91は、駆動環付勢ばね95によって、バリヤ92及び93を開放する方向に回動付勢されている。この駆動環付勢ばね95は、バリヤ付勢ばね94よりも付勢力が強く、バリヤ駆動環91が駆動環付勢ばね95の付勢力によって回動可能なフリーな状態では、駆動環付勢ばね95の付勢力がバリヤ駆動環91、バリヤ係合突起91aを介してバリヤ92及び93に伝わり、該バリヤ92及び93をバリヤ付勢ばね94の付勢力に抗して開放位置に保持する。図3のワイド端と図4のテレ端の間の撮影状態では、上記の被動腕部91bと傾斜ガイド面33eが接触しておらずバリヤ駆動環91はフリー状態であり、バリヤ92及び93は開放位置に保持されている。
【0060】
ズームレンズ鏡筒がワイド端位置から図2の収納位置に移動する過程で、第3直進案内環33の傾斜ガイド面(バリヤ駆動面)33eがバリヤ駆動環91の被動腕部91bに当接して摺接を開始し、該バリヤ駆動環91は、傾斜ガイド面33eの形状に従って駆動環付勢ばね95に抗する方向、すなわちバリヤ92、93の閉鎖方向回動を許容する方向に強制回動される。すると、バリヤ駆動環91による規制が解除された各バリヤ92、93は、バリヤ付勢ばね94の付勢力によって閉鎖位置まで回動し、閉鎖位置に保持される。
【0061】
ズームレンズ鏡筒がワイド端位置から収納位置まで移動する過程において、第3外観筒30に対して第2外観筒23、および第2外観筒23に対して第1外観筒17は、一緒に回転するが光軸方向には相対移動しない空転区間を有する。つまり、ズームレンズ鏡筒全体として収納位置に達する前、本実施例では第4外観筒31が第3外観筒30に対する収納位置に達する前に、第2外観筒23が第1外観筒17に対する光軸方向収納位置に達して空転区間に入り、第2外観筒23が第1外観筒17と一緒に回転しながら後退を開始し、その後第3外観筒30が第2外観筒23に対する光軸方向収納位置に達して空転区間に入り、第3外観筒30、第2外観筒23および第1外観筒17が一緒に回転しながら収納位置まで後退する。したがって、第3直進案内環33の傾斜ガイド面33eがバリヤ駆動環91の被動腕部91bに当接して摺接を開始するのとほぼ同時またはその後に第2外観筒23、第3外観筒30の順に空転区間に入り、第4外観筒31に対する第3直進案内環33の相対回転によって後退する第4外観筒31と第3外観筒30すなわち第3直進案内環33の光軸方向相対移動によってバリヤ駆動環91がバリヤ閉鎖方向に回動駆動される。
【0062】
ズームレンズ鏡筒が逆に収納位置からワイド端位置まで繰り出される過程では、第1、第2外観筒、第3外観筒17、23、30は一緒に回転しながら光軸方向に繰り出されるが、第2外観筒23および第3外観筒30は空転区間に位置するので第1外観筒17と一緒に回転しながら一緒にワイド端方向に繰り出され、第4外観筒31は回転しないで第3外観筒30に対して相対的にワイド端方向に繰り出される。この空転区間において、第3直進案内環33の傾斜ガイド面33eが被動腕部91bから離反する方向に移動するので、バリヤ駆動環91が駆動環付勢ばね95の付勢力によりバリヤ開方向に回動し、駆動環付勢ばね95の付勢力によってバリヤ92、93を開放位置まで回動させる。そして、ワイド端に達する前に、傾斜ガイド面33eは被動腕部91bから離反して、バリヤ92、93は完全に開放位置に移動している。
【0063】
また、このズームレンズ鏡筒の収納位置からワイド端位置までの繰出し過程において、先ず第3外観筒30の空転区間が終了するので第3外観筒30の第2外観筒23に対する相対的繰出しが始まり、その後第2外観筒23の空転区間が終了するので第2外観筒23の第1外観筒17に対する相対的繰出しも始まる。
【0064】
ヘリコイドの空転区間の構成について、図18乃至図27を参照して説明する。図18(A)は、第2直進案内環25を縦断して示す斜視図、図18(B)は第3直進案内環18を縦断して示す斜視図、図19は第2直進案内環25の展開図、図20乃至図22は第2直進案内環25と第3外観筒(カム・ヘリコイド環)30の関係を示す展開図、図23は第1直進案内環18の展開図、図24乃至図26は第1直進案内環18と第2外観筒23および第2ヘリコイド環21との関係を示す展開図である。第2直進案内環25の雌ヘリコイド25b、ヘリコイド空転区間25b1および第3外観筒30の雄ヘリコイド30aを拡大して示してある。
【0065】
第2直進案内環25の内周面の雌ヘリコイド25bは、第2直進案内環25の後端部(カメラボディ側)付近に幅広(周方向に幅広)のヘリコイド空転区間25b1とされている(図19参照)。このヘリコイド空転区間25b1の光軸方向の長さと第3外観筒30の雄ヘリコイド30aの光軸方向長さとはほぼ一致させてある。つまり、雄ヘリコイド30aがこのヘリコイド空転区間25b1に入ると、雄、雌ヘリコイド30a、25bのフランク面による拘束が解除されて、第2直進案内環25と第3外観筒30とは光軸方向移動が規制されて相対回転自在な結合状態となる。コマ逃がし溝25cにも、このヘリコイド空転区間251bにおける回転を許容するための空転区間25c1が形成されている。
なお、ヘリコイド空転区間25b1は雄ヘリコイド30aを光軸方向には移動させないリード0としたが、光軸方向に僅かに移動させるように設定してもよい。また、ヘリコイド空転区間25b1のスラスト面25b2、および該スラスト面25b2と摺接する雄ヘリコイド30aの前後端面をフランク面として、これらもリードが無い、または非常に小さいリードのヘリコイド状の構造にもできる。
【0066】
ズームレンズ鏡筒が収納位置にあるときは、雌ヘリコイド25bにヘリコイド結合する雄ヘリコイド30aは、ヘリコイド空転区間25b1内に誘導されており、コマ逃がし溝25cに嵌る案内コマ30bは空転区間25c1内に誘導されている(図20)。この収納位置からズームレンズ鏡筒がワイド端方向に繰り出されると、第2直進案内環25に対して第3外観筒30、雄ヘリコイド30a、案内コマ30bがワイド方向(図において右方向)に相対的に移動する。雄ヘリコイド30aがヘリコイド空転区間25b1に拘束されているので、第3外観筒30は第2直進案内環25に対して相対回転のみし、空転区間境界位置に至る(図21)。空転区間境界位置では、雄ヘリコイド30aのフランク面は雌ヘリコイド25bのフランク面と接触している。
【0067】
ズームレンズ鏡筒が空転境界位置からさらにワイド位置方向に繰り出されると、第2直進案内環25に対して第3外観筒30は、雄ヘリコイド30aが雌ヘリコイド25bに拘束されているので、雄ヘリコイド30aと雌ヘリコイド25bのリードに従って回転しながら相対的に前進(図において上方に移動)し、ワイド端位置に達する(図22)。
【0068】
本実施の形態では第3外観筒30を雄ヘリコイド30a、第2直進案内環25を雌ヘリコイド25bとしたが、雄雌ヘリコイドの関係は逆にしてもよい。
【0069】
第2直進案内環25および第3外観筒30と同様に、第1直進案内環18と第2外観筒23および第2ヘリコイド環21も空転区間を有する。第1直進案内環18の内周面の雌ヘリコイド18bは、第1直進案内環18の後端部(カメラボディ側)付近が幅広(周方向に幅広)のヘリコイド空転区間18b1とされている(図23)。このヘリコイド空転区間18b1の光軸方向の長さと第2ヘリコイド環21の雄ヘリコイド21aの光軸方向長さとはほぼ一致させてある。つまり、雄ヘリコイド21aがこの空転雌ヘリコイド領域18b1に進入すると、雄雌ヘリコイド21a、18bのフランク面による拘束が解除されて、第1直進案内環18とヘリコイド環21(及び第2外観筒23)とは光軸方向移動が規制された状態で相対回転自在な結合状態となる。コマ逃がし溝18cにも、このヘリコイド空転区間18b1に対応した、リードのない空転区間18c1が形成されている。
【0070】
ズームレンズ鏡筒が収納位置にあるときは、雌ヘリコイド18bにヘリコイド結合する雄ヘリコイド21aは、ヘリコイド空転区間18b1内に誘導されており、コマ逃がし溝18cに嵌る案内コマ21bは空転区間18c1内に誘導されている(図24、図27(A))。この収納位置からズームレンズ鏡筒がワイド端方向に繰り出されると、第1直進案内環18に対して雄ヘリコイド21aおよび案内コマ21bが、すなわちヘリコイド環21及び第2外観筒23がワイド方向(図において右方向)に相対的に移動する。この相対移動に際して、雄ヘリコイド21aはヘリコイド空転区間18b1内に、案内コマ21bは空転区間18c1に進入しているので、第2外観筒23および第2ヘリコイド環21は第1直進案内環18に対して相対回転のみし、空転区間境界位置に至る(図25、図27(B))。空転区間境界位置では、雄ヘリコイド21aのフランク面は雌ヘリコイド18bのフランク面に接触している。
【0071】
ズームレンズ鏡筒が空転境界位置からさらにワイド位置方向に繰り出されると、第1直進案内環18に対して第2外観筒23および第2ヘリコイド環21は、雄ヘリコイド21aが雌ヘリコイド18bに拘束されているので、雄雌ヘリコイド21a、18bおよびコマ逃がし溝18cのリードに従って回転しながら前進(図において上方に移動)し、ワイド端位置に達する(図26、図27(C))。
【0072】
この実施例では、第2外観筒23を空転させるだけではバリヤの開閉をするのに不十分であるため、第3外観筒30にも空転区間を設けてある。第3外観筒30の空転量は、繰出し量を抑えることと繰出しのバランスを調整することを目的に設定してある。
さらにこの実施形態では、第3外観筒30を空転させるヘリコイド空転区間25b1の回転角よりも、第2外観筒23およびヘリコイド環21を空転させるヘリコイド空転区間18b1の回転角の方を大きく設定してある。第3外観筒30と第2外観筒23とが同時に空転区間からヘリコイド区間に切り替わると負荷が急増するので、この負荷の急増を緩和することができる。
【0073】
すでに説明したように本実施例では、この第3外観筒30および第2外観筒23の空転運動および第4外観筒31の光軸方向相対移動により、レンズバリヤを開閉する。このようにこのズームレンズ鏡筒では、第4外観筒31が収納位置とワイド端位置の間を移動するストロークと、第3外観筒30および第2外観筒23が収納位置とワイド端位置の間の空転区間で空転する回転角の二つの作用によってバリヤ駆動環91をバリヤ閉鎖位置とバリヤ開放位置とに駆動するので、第4外観筒31のストロークを稼ぐことができる。
【0074】
図28(A)には第1直進案内環18の雌ヘリコイド18bのヘリコイド空転区間18b1付近を拡大して示してある。第1直進案内環18は、通常合成樹脂の射出成形により形成される。そのための金型を放電加工の電極により加工すると、電極を加工する際に例えばヘリコイド空転区間18b1の角部には、いわゆるカッターRと呼ばれる丸みがついてしまう(図28(B))。ヘリコイド空転区間18b1の角部にこのようなカッターRがつくと、ヘリコイド空転区間18b1のスラスト面18b2、18b2の周方向長が短くなり、雄ヘリコイド21aとの接触面積も小さくなるので、雄ヘリコイド21aに干渉し、またスラスト面18b2、18b3による雄ヘリコイド21aのスラスト方向規制力が弱く不安定になってしまう。
そこで本実施例では、ヘリコイド空転区間18b1の光軸方向に離反した前後のスラスト面18b2それぞれに沿って周方向溝18eを形成し、この周方向溝18eによりカッターRを削除した(図28(C))。周方向溝18eの幅(光軸方向幅)は、カッターRを削除できる幅、すなわち、ほぼカッターRの半径程度に設定する。
【0075】
この実施例では、第1直進案内環18の周方向溝18eと同様の周方向溝25eが、第2直進案内環25のヘリコイド空転区間25b1の前部および後部のスラスト受け面に沿って形成されている。
【0076】
また、雄ヘリコイド21aがこのヘリコイド空転区間18b1から雌ヘリコイド18bに入るときに、第2ヘリコイド環21と第1直進案内環18が軸ずれしたり傾いたりしていると、雄ヘリコイド21aの端面がスラスト面18b2に当接して雌ヘリコイド18bに進入できない場合がある。そこで本発明の実施形態では、第1直進案内環18および第2直進案内環25の後端部付近の内周面に、ブレ防止部として、内向きフランジ状の嵌合部(凸状部)18f、25fを周方向に突設形成してある(図18(A)、(B))。これらの嵌合部18f、25fには、収納位置まで後退した第2ヘリコイド環21、第3外観筒30が摺接可能な状態で隙間無く嵌る(図29)。そして、第2ヘリコイド環21、第3外観筒30は、それそれ嵌合部18f、25fと摺接しながら空転区間を回転する。したがって、空転区間における第2ヘリコイド環21、第3外観筒30のガタも防止される。
【0077】
このように嵌合部18f、25fによって雄ヘリコイド21a、30aの直径方向の位置が規制されるので、雄ヘリコイド21a、30aがヘリコイド空転区間18b1、25b1から雌ヘリコイド18b、25bに滑らかにかつ確実に進入できる。進入したらその後、ヘリコイド作用により、第2ヘリコイド環21、第3外観筒30が、ワイド端位置(図30)からテレ端位置またテレ端位置からワイド端位置まで回転しながら進退する。
【0078】
次に、このズームレンズにおいて、前群カム溝35および後群カム溝36を決定する方法について、さらに図31乃至図47を参照して説明する。
まず、第2サブ群S2のズーミング軌跡が線形になるように設定すると、前群カム溝35の形状(輪郭)も線形になる。そしてこの第2サブ群S2のズーミング軌跡に対する第2変倍レンズ群L2のズーミング軌跡を求め、前群カム溝35の形状に対して後群カム溝36の形状(輪郭)を決定すると、これらのカム溝35、36の形状は、図36、図37、図42のようになる。
この場合、前群カム溝35については特に問題を生じないが、後群カム溝36については次の問題が生じる。
短焦点距離領域におけるワイド(W)端の接線リード(カム溝の輪郭の接線とカム環の回転方向とが成すリード角θ2)が非常に大きくなるので、第2カム溝36に対して後群フォロア突起32bの光軸方向位置が不安定になる。
ワイド端と収納位置を結ぶ曲線の屈曲部分36cがきつく(半径が小さく)、後群フォロア突起32bの移動、すなわち第2変倍レンズ群L2のスムーズな動作が困難となる。
ワイド端と収納位置を結ぶ曲線の屈曲部分36cにおいて、ワイド端と屈曲部分36cの光軸方向の距離dが長くなるので、第3外観筒30の長さを増大させる。
【0079】
次に第2変倍レンズ群L2のズーミング軌跡が線形となるように設定すると、後群カム溝36の形状(輪郭)も線形になる。そして第2変倍レンズ群L2のズーミング軌跡に対する第2サブレンズ群S2のズーミング軌跡を求め、後群カム溝36の形状に対して前群カム溝35の形状を決定すると、これらのカム溝36、35の形状は、図38、図39、図43のようになる。
この場合後群カム溝36については特に問題を生じないが、前群カム溝35については次の問題が生じる。
ワイド端の接線リード(リード角θ3)が非常に大きくなり、この実施例では逆リードとなるため第3外観筒30の外部からの衝撃に弱くなる。
ワイド端と収納位置間の直線部のリード(リード角θ4)が大きく、ここの区間ではバリヤの開閉のための駆動力をとっているためワイド端から収納位置方向の抵抗が大きくなり、レンズ鏡筒繰り込み動作に支障をきたす。
そのため、ワイド領域においては、前群カム溝35と後群カム溝36の両方を非線形としてどちらのカム溝にも不具合を生じないようなカム形状を模索しなければならないが、カム環の展開図上で任意の形状を与えようとしても、鏡筒の繰出し方に不自然さがないように、つまり連続的に滑らかなズーミングを実現するのも、鏡筒の回転角と焦点距離の関係を計算で求めるのも難しい。
【0080】
本発明の実施形態は、2つのレンズ群の移動軌跡が非直線の場合のカム溝、この実施形態ではカム溝35、36の最適な形状を数学的手法を利用して決定できるカム構造を提供する。ここで、ワイド領域において、第2サブ群S2の後端位置(光軸方向位置)Aと第2変倍レンズ群L2の後端位置(光軸方向位置)Bの間に存在する仮想点位置Cを考えると、この仮想点位置Cは次の式で与えられる。
C=B+(A−B)×K ・・・(1)
A:第2サブ群S2の後端位置(光軸方向位置)
B:第2変倍レンズ群L2の後端位置(光軸方向位置、fB)
C:仮想点位置
K:係数
なお、ワイド端における後端位置Bまたはフィルム面を0(原点)とし、この位置から光軸に沿って繰り出される方向(被写体方向)を+とする。
【0081】
この式(1)を使ったカム溝35、36の輪郭の設定について説明する。
Kを任意の値に設定(通常0≦K≦1の範囲で設定)し、この仮想点位置Cの軌跡が第3外観筒30の回転角(ズームカム環の回転角)に対して線形となるように、ワイド領域において、前記仮想点位置Cを通る仮想線CLを設定する。つまり、ワイド領域において直線からなる仮想線CLを引く。本実施形態において(1)式はワイド領域について適用されるので、テレ領域における仮想線CLを求めるために、テレ端における第2サブ群S2後端位置Aに基づいて仮想点位置Cをテレ端まで延長する。仮想点位置Cをテレ端まで延長する具体的方法は、次の通りである。
ある焦点距離における第2サブ群S2後端位置Aと第2変倍レンズ群L2後端位置Bの位置関係は不変である。そこで、ワイド領域における第2サブ群S2後端位置Aと仮想点位置Cの関係を、複数の所定の焦点距離について求め、その間を曲線補間して補間曲線ILを作成する。その様子を、図45〜図47に示した。これらの図において、横軸は第2サブ群S2後端位置A、縦軸は仮想点位置Cである。
そして、ワイド領域のテレ側端における補間曲線ILの接線TLを延長して、(テレ領域の)テレ端における第2サブ群S2後端位置Aに対応する仮想点位置Cを求める。なお、図45はK=1、図46はK=0、図47はK=0.5の場合であり、この実施例ではK=1のときに補間曲線ILが直線になる(図45)。
ワイド端とテレ端間の第3外観筒30の回転角(ズームカム環の回転角)および仮想点位置Cのワイド端とテレ端間の移動量から、仮想点位置Cを結ぶ仮想のリードとなる仮想線CLの傾き(リード角)が求まる。そしてこの仮想線CLの傾きと焦点距離に対する仮想点位置Cの移動量から複数の各ステップ焦点距離と第3外観筒30の回転角(ズームカム環の回転角)の関係が求まる。
図示実施形態では、ワイド領域は6ステップに分割し、テレ領域は4ステップに分割し、計10ステップのステップズームレンズとしてある。
【0082】
この(1)式で係数をK=1、つまりC=Aとしてカム溝35、36を求めると、図36、図37、図42に示すように、第2サブ群S2のズーミング軌跡、前群カム溝35が全域線形となるが、後群カム溝36のワイド領域36Wにおけるワイド端近傍の接線リード角θ2が大きくなり過ぎる(図36、図37)。
K=0、すなわちC=Bとしてカム溝35、36を求めると、図38、図39、図43に示すように、ワイド領域における第2変倍レンズ群L2のズーミング軌跡、後群カム溝36のワイド領域カム溝36Wが線形となり、第1カム溝35に干渉してしまう(図38、図39)。
K=0.5にすると、C=(A+B)/2なので、仮想点位置Cが第2サブ群S2と第2変倍レンズ群L2の中間位置となり、図40、図41、図44に示すようにワイド領域において第2サブ群S2と第2変倍レンズ群L2の変化量が等しくなる。しかも、カム溝35とカム溝36が相互に干渉することがない。
このように式(1)の係数Kの値を調整してカム溝35、36の形状を変化させることで、最適なカム溝35、36の形状を探し出すことが容易にできる。
【0083】
図示した係数Kの例の中では、前群カム溝35のワイド端位置におけるリード角θ6が小さく、収納位置におけるリード角θ7が中程度であり、後群カム溝のワイド端におけるリード角θ8が中程度であり、屈曲度36cが中程度、距離d3が中程度となる図40、図41、図44、図47の実施例、すなわちK=0.5が最も好ましいことが分かる。
なお、この実施例では係数Kは0.5程度が望ましいが、0<K<1の範囲で任意に設定可能であり、レンズ構成によって好ましい値は変動する。
【0084】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り本発明は、第1変倍レンズ群として焦点距離領域に応じて接近または離反する第1サブ群および第2サブ群を有し、ズーミングに際して、前記第1変倍レンズ群と前記第2変倍レンズ群を相対的に接離移動させる、前群カム溝と後群カム溝を備えたズームカム環を備え、前記サブ群の光軸方向位置Aと前記第2変倍レンズ群の光軸方向位置Bとの間の光軸方向の仮想点位置をCと、仮想点位置Cを式 (1) で定義したときに
C=B+(A−B)×K ・・・(1)
(ただし、0<K<1)
前記ズームカム環の回転角に対して前記仮想点位置Cの軌跡が線形となるように前記前群カム溝および後群カム溝を設定するので、両カム溝が非線形であっても、比較的簡単にそれぞれのカム溝の形状を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したズームレンズ鏡筒の実施形態を示す、構成部材の分解斜視図である。
【図2】同ズームレンズ鏡筒の収納状態の上半断面図である。
【図3】同ズームレンズ鏡筒のワイド端撮影状態の上半断面図である。
【図4】同ズームレンズ鏡筒のテレ端撮影状態の上半断面図である。
【図5】同ズームレンズ鏡筒を繰り出した状態の斜視図である。
【図6】図5から鏡筒外観部材の一部を取り外した状態のズームレンズ鏡筒の斜視図である
【図7】図6よりもさらに分解した状態のズームレンズ鏡筒の斜視図である
【図8】第1外観筒と第2外観筒の単体斜視図である。
【図9】第3直進案内環の単体斜視図である。
【図10】第3直進案内環とシャッタブロックの関係を表す分解斜視図である。
【図11】第3直進案内環の絞制御カム溝を示す、該第3直進案内環の展開図である。
【図12】カム環のカム溝形状例を示す、該カム環の内面の展開図である。
【図13】図2ないし図4に全体構造を示すズームレンズ鏡筒の制御系を示すブロック図である。
【図14】同ズームレンズ鏡筒の収納位置における第2外観筒、第2ヘリコイド環、第2直進案内環および案内コマの関係を示す展開図である。
【図15】同ズームレンズ鏡筒のテレ端位置における第2外観筒、第2ヘリコイド環、第2直進案内環および案内コマの関係を示す展開図である。
【図16】同ズームレンズ鏡筒の分解・組み立て位置における第2外観筒、第2ヘリコイド環、第2直進案内環および案内コマの関係を示す展開図である。
【図17】同ズームレンズ鏡筒の分解・組み立て位置における第2外観筒、第2ヘリコイド環、第2直進案内環および案内コマの関係を第2外観筒を取り外した状態で示す展開図である。
【図18】 (A)は、同ズームレンズ鏡筒の第2直進案内環25を縦断して示す斜視図、(B)は同ズームレンズ鏡筒の第3直進案内環18を縦断して示す斜視図である。
【図19】同ズームレンズ鏡筒の第2直進案内環を示す展開図である。
【図20】同ズームレンズ鏡筒の収納状態における第2直進案内環25の雌ヘリコイドと第3外観筒30の雄ヘリコイドの関係を示す展開図である。
【図21】同ズームレンズ鏡筒が空転区間境界位置まで繰り出されたときの第2直進案内環25の雌ヘリコイドと第3外観筒30の雄ヘリコイドの関係を示す展開図である。
【図22】同ズームレンズ鏡筒がワイド端位置まで繰り出されたときの第2直進案内環の雌ヘリコイドと第3外観筒の雄ヘリコイドの関係を示す展開図である。
【図23】同ズームレンズ鏡筒の第1直進案内環を示す展開図である。
【図24】同ズームレンズ鏡筒が収納状態にあるときの第1直進案内環と第2外観筒23および第2ヘリコイド環との関係を示す展開図である。
【図25】同ズームレンズ鏡筒が空転区間境界位置にあるときの第1直進案内環と第2外観筒23および第2ヘリコイド環との関係を示す展開図である。
【図26】同ズームレンズ鏡筒がワイド端位置に繰り出されたときの第1直進案内環と第2外観筒23および第2ヘリコイド環との関係を示す展開図である。
【図27】同ズームレンズ鏡筒の第1直進案内環の雌ヘリコイド、ヘリコイド空転区間および第2ヘリコイド環の雄ヘリコイドの関係を展開して示す図であって、(A)は収納状態、(B)は空転区間境界位置、(C)はワイド端位置にあるときの様子を示す図である。
【図28】(A)は第1直進案内環の雌ヘリコイド、ヘリコイド空転区間の形状を模式的に示す図、(B)は金型制作の際に生じる問題を説明する図、(C)はこの問題を解決する本発明の実施の形態を示す図である。
【図29】同ズームレンズ鏡筒の第1直進案内環および第2直進案内環の後端部付近の内周面に周方向に延びる凸状部を形成した実施形態の収納状態の上半断面図である。
【図30】同ズームレンズ鏡筒の第1直進案内環および第2直進案内環の後端部付近の内周面に周方向に延びる凸状部を形成した実施形態のワイド端撮影状態の上半断面図である。
【図31】シャッタブロックを前方ユニットと後方ユニットに分割した状態を示す後方斜視図である。
【図32】同前方ユニットと後方ユニットを組み合わせた状態の後方斜視図である。
【図33】シャッタブロックにおける第1変倍レンズ群回りの分解斜視図である。
【図34】前方保持環に対する前方サブ群枠、後方サブ群枠及び駆動リングの関係を示す展開拡大図である。
【図35】駆動リングによるフォーカシングの説明図である。
【図36】本発明のズームレンズ鏡筒における第1変倍レンズ群および第2変倍レンズ群を駆動するカム環の、K=1の場合のカム溝形状例を示す、該カム環の内面の展開図である。
【図37】同K=1の場合のカム環の要部を拡大して示す内面の展開図である。
【図38】同ズームレンズ鏡筒における第1変倍レンズ群および第2変倍レンズ群を駆動するカム環の、K=0の場合のカム溝形状例を示す、該カム環の内面の展開図である。
【図39】同K=0の場合のカム環の要部を拡大して示す内面の展開図である。
【図40】同ズームレンズ鏡筒における第1変倍レンズ群および第2変倍レンズ群を駆動するカム環の、K=0.5の場合のカム溝形状例を示す、該カム環の内面の展開図である。
【図41】同K=0.5の場合のカム環の要部を拡大して示す内面の展開図である。
【図42】同ズームレンズ鏡筒において、K=1のときの光学系のズーミング軌跡を示した図である。
【図43】同ズームレンズ鏡筒において、K=0のときの光学系のズーミング軌跡を示した図である。
【図44】同ズームレンズ鏡筒において、K=0.5のときの光学系のズーミング軌跡を示した図である。
【図45】同ズームレンズ鏡筒において、K=1のときの第2サブ群S2の後端位置Aと仮想点位置Cとの関係をグラフで示す図である。
【図46】同ズームレンズ鏡筒において、K=0のときの第2サブ群S2の後端位置Aと仮想点位置Cとの関係をグラフで示す図である。
【図47】同ズームレンズ鏡筒において、K=0.5のときの第2サブ群S2の後端位置Aと仮想点位置Cとの関係をグラフで示す図である。
【符号の説明】
L1 第1変倍レンズ群
L2 第2変倍レンズ群
O 光軸
S1 第1サブ群
S2 第2サブ群
11 カメラボディ
12 固定筒
12a 雌ヘリコイド
12b 直進案内溝
14 第1ヘリコイド環
14a 雄ヘリコイド
14a1 干渉防止突部
14b ギヤ
14b1 端部の歯
14c ストッパ進入空間
141 結合部
15 ズーミング用モータ
16 ピニオン
17 第1外観筒
17a コマ案内溝
171 結合部
172 内周溝
173 内周溝の切れ目
18 第1直進案内環
18a 直進案内突起
18b 雌ヘリコイド
18b1 ヘリコイド空転区間
18b2 スラスト面
18c コマ逃がし溝
18d 直進案内溝
18e 周方向溝
181 抜け止めキー
19 ブラシ
20 コード板
21 第2ヘリコイド環
21a 雄ヘリコイド
21b 案内コマ
211 結合部
23 第2外観筒
23a コマ案内溝
231 結合部
232 内周溝
233 内周溝の切れ目
25 第2直進案内環
25a 直進案内突起
25b 雌ヘリコイド
25b1 ヘリコイド空転区間
25c コマ逃がし溝
25d 直進案内溝
25e 周方向溝
25f 嵌合部
30 第3外観筒(カム環)
30a 雄ヘリコイド
30b 案内コマ
31 第4外観筒(レンズ支持筒)
31a 前群フォロア突起
31b 前壁部
32 後群レンズ枠
32a 直進案内突起
32b フォロア突起
33 第3直進案内環
33a 直進案内突起
33b 部分円筒状腕部
33c 33d 直進案内溝
33e 傾斜ガイド面
35 前群カム溝
36 後群カム溝
36a 中間不連続位置
40 シャッタブロック
80 シャッタブロック用FPC(フレキシブルプリント基板)
81 制御回路
81A 焦点距離情報
81B 被写体距離情報
81C 被写体輝度情報
91 バリヤ駆動環
91a バリヤ係合突起
91b 被動腕部
92 外側バリヤ
93 内側バリヤ
94 バリヤ付勢ばね
95 駆動環付勢ばね

Claims (7)

  1. ズーミングに際して相対的間隔を変えながら光軸方向に移動する第1変倍レンズ群および第2変倍レンズ群を有するズーム光学系を備えたズームレンズ鏡筒であって、
    前記第1変倍レンズ群は、前記ズーミングに際して一体的に移動する第1サブ群および第2サブ群を有し、該第1サブ群または第2サブ群の一方のサブ群を他のサブ群に対して相対的に、撮影可能な短焦点距離領域では離反位置に移動させ、撮影可能な長焦点距離領域では接近位置に移動させる切替機構と、
    ズーミングに際して、前記第1変倍レンズ群と前記第2変倍レンズ群を相対的に接離移動させる、前群カム溝と後群カム溝を備えたズームカム環を備え、
    前記他方のサブ群の光軸方向位置をA、前記第2変倍レンズ群の光軸方向位置をB、前記サブ群の光軸方向位置Aと前記第2変倍レンズ群の光軸方向位置Bとの間の光軸方向の仮想点位置をCと、仮想点位置Cを式 (1) で定義したときに
    C=B+(A−B)×K ・・・(1)
    (ただし、0<K<1)
    前記ズームカム環の回転角に対して前記仮想点位置Cの軌跡が線形となるように前記前群カム溝および後群カム溝が設定されていることを特徴とするズームレンズ鏡筒のカム構造。
  2. 前記ズーム光学系の短焦点距離域において、前記ズームカム環の回転角に対して前記仮想点位置Cの軌跡が線形となるように前記前群カム溝および後群カム溝が設定される請求項1記載のズームレンズ鏡筒のカム構造。
  3. 前記係数Kは、約0.5である請求項1記載のズームレンズ鏡筒のカム構造。
  4. 前記短焦点距離領域において、前記仮想点位置Cの軌跡が前記ズームカム環の回転角に対して線形となるように、前記仮想点位置Cを通る仮想線を設定し、最長焦点距離位置における前記サブ群の位置Aに基づいて仮想点位置Cがテレ端まで延長されている請求項1記載のズームレンズ鏡筒のカム構造。
  5. 前記ズームカム環の回転角に対して線形となるように、前記短焦点距離領域における前記複数の仮想点位置Cを通る仮想線が設定されている請求項1または4記載のズームレンズ鏡筒のカム構造。
  6. 前記短焦点距離領域における複数の前記位置Aと仮想点位置Cの関係を曲線補間して補間曲線を求め、この補間曲線の、短焦点領域の長焦点側端における接線を延長して、前記最長焦点距離位置における前記位置Aに対応する仮想点位置Cが設定されている請求項5記載のズームレンズ鏡筒のカム構造。
  7. 最短焦点距離位置と前記最長焦点距離位置間における前記ズームカム環の回転角および前記仮想点位置Cの前記最短焦点距離位置と前記最長焦点距離位置間の移動量から、複数の前記仮想点位置Cを結ぶ仮想線の傾きを求め、この仮想線の傾きと焦点距離に対する仮想点位置Cの移動量から複数のステップ焦点距離とズームカム環の回転角とが設定されている請求項6記載のズームレンズ鏡筒のカム構造。
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