JP3679419B2 - ガイド・ワイヤ組み立て体及びそれを使用したシステム - Google Patents
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Description
発明の背景
多くの従来のピエゾ抵抗圧力センサはフル・ブリッジの原理を採用している。即ち、4つの抵抗を有する完全ホイートストーン・ブリッジが膜上に位置している。こうした解決法には長所と短所がある。長所は、こうしたセンサが高い感度、小さな温度感度及び低いオフセットを有することである。
主要な短所は、こうしたセンサが大型であって、その大きさに対して小さな制限しか課されないことである。
全ての圧力センサ、特に、超微小圧力センサに関連する他の大きな問題は、全てのバッチにおいて同じ素子を時間的に製造するよう管理することである。センサ特性がセンサ毎に異なり、したがって、こうしたセンサの個々の校正をする必要が常に存在することは事実上不可避である。典型的には、温度変化に対して出力信号を校正することが必要であり、即ち、夫々のセンサの温度応答は固有で変化する温度依存度を有する。
ヨーロッパ特許出願第5100922.5号には、PROMにセンサ特性を蓄積し、コンピュータを用いて校正信号の計算を行うことが開示されている。
ピエゾ抵抗圧力センサに用いられる他の代替手段は、信号を標準化するためにチップ上に又はチップの近傍に抵抗網を集積することである。
CAMINOからのセンサ及び他の圧力センサ装置は、センサ装置を校正するために、個々に該センサに適合されたコンポーネントを備えている。
米国特許第5551301号(カーディオメトリックス)は、コンピュータと2個の増幅器とを用いてセンサを校正する方法を開示している。
装置に設けられた別の抵抗及び/又はPROMのような他のコンポーネントを備えた超微小装置に関連する重要な問題は、センサの大きさが小さいことである。上記のコンポーネントは大きすぎるので、必要な微小化の程度が達成可能であっても、センサ要素に容易に集積することはできない。また、微小化を可能とするためにセンサと電気回路との間に多くの接続リード線が必要である。リード線の数が増えれば増えるほど、リード線は相互に近接して位置しなければならなくなり、したがって、リード線の短絡と障害のリスクが高まる。
ガイド・ワイヤを採用する他の重要な観点は、ガイド・ワイヤを外部装置から切り離すことができるようにすることが必要だということである。これは、圧力を測定し狭窄を確認した後に、例えば膨張の目的で、冠血管にバルーン・カテーテルを挿入することが必要であるからである。このカテーテルの挿入は、ガイド・ワイヤに該カテーテルを装着し、ガイド・ワイヤを用いてバルーン・カテーテルを所望の膨張位置に通すことにより行われる。したがって、ガイド・ワイヤとインターフェース・ケーブルは、このバルーン・カテーテルの挿入を許容するために互いに接続、切り離し可能でなければならない。
発明の概要
上記に鑑みて、この発明の目的は、超微小センサと各センサに特有の校正/補償回路とを備えた圧力測定装置を提供することである。この目的は請求項1に記載された装置によって達成される。
この発明によると、センサ特有の校正データのための蓄積手段のような、微小化が極めて困難な回路やこうした回路の素子又はコンポーネントの大型な部分を、センサを取り付けたガイド・ワイヤから切り離し可能なインターフェース・ケーブル上に分離して配置することにより、又は、ホイートストーン・ブリッジを2つの部分に分割して一方をセンサ・チップ上に、他方を前記インターフェース・ケーブル上に配置することにより、効果を得ることができる。
第1に、センサの微小化が更に進む。第2に、校正・補償回路の微小化がずっと簡単になる。第3に、夫々のチップを個別に扱うことができるので、製造工程での変動は重要でない。
【図面の簡単な説明】
この発明は、以下の図面を参照して詳細に記述される。
図1は、薄い可撓性の遠端部分、及び、該薄い遠端部分と校正のための手段を含む電子ユニットとの間のケーブルを含む装置の概観図である。
図2は、能動校正のために二重ホイートストーン・ブリッジの分割を含むこの発明の第1の実施の形態を示す。
図3は、一定温度での圧力校正曲線である。
図4は、一定圧力での温度オフセット曲線である。
図5は、センサの校正のための抵抗網を有する電気回路を備えた第2の実施の形態を示す。
好ましい実施の形態及び最良の動作モード
この発明の装置の基本概念及び設計の概観が図1に概略的に示されている。
つまり、この発明に係る圧力測定装置は、適切には約0.36mmの外径を有する、薄くて可撓性のあるガイド・ワイヤ2を備える。また、インターフェース・ケーブル4も設けられる。ガイド・ワイヤ及びインターフェース・ケーブルは、互いに噛み合う雄ネジ部分6aと雌ネジ部分6bとを有する適宜のコネクタ6を介して相互接続可能である。雄ネジ部分はガイド・ワイヤ2の近端に設けられ、雌ネジ部分はインターフェース・ケーブル4の遠端に設けられる。同一出願人の係属中の出願( 、 )に開示されたコネクタ手段を用いることが適切である。インターフェース・ケーブル4は、コンピュータ又は他の制御ユニットのような、信号処理用の電子回路8と接続可能である。
また、図1には、ガイド・ワイヤ2に装着されたバルーン・カテーテル5が示されている。これは、ガイド・ワイヤ2をインターフェース・ケーブル4から切り離し、バルーン・カテーテル5をガイド・ワイヤ2に沿って通すことによって簡単に達成され、バルーン・カテーテル5が適正に配置されると、ガイド・ワイヤは更なる測定のために再び接続される。また、図示しないが、ガイド・ワイヤ上には他のカテーテルが配置され、このカテーテルはガイド・ワイヤを位置決めするために初めに使用される。こうしたカテーテルは通常は幅が広いので、バルーン・カテーテルはその中に、つまりガイド・ワイヤと該カテーテルとの間に挿入される。
ガイド・ワイヤはその長さに沿って延びる丈夫な芯線を有しており、該芯線上に設けられた保護管の下に電気リード線が芯線に沿って設けられる。圧力センサはガイド・ワイヤの遠端部分において芯線上に取り付けられる。
この発明の装置は、校正及び/又は温度補償の目的の電気回路を備える(その種々の実施の形態を後に詳述する)。この電気回路手段は、前記ガイド・ワイヤに設けられた圧力依存部分と、前記コネクタの近端側に設けられた圧力非依存部分とを備える。センサ上の感圧素子は前記電気回路手段の一部を形成する。
また、前記インターフェース・ケーブル上には情報蓄積手段が設けられる。この蓄積手段は、前記センサ素子に特有の校正及び/又は温度補償データを収容する。
情報蓄積手段はEPROM20であり、前記圧力センサの校正曲線を表す情報を含み、該EPROMの内容はコンピュータのような制御ユニットへ読み出されて、補正された圧力値を計算するのに用いられる。
また、情報蓄積手段は、1つ以上の補償抵抗を有する抵抗網として前記電気回路において現することができる。これらの抵抗は製造時にトリミングされる。それによって校正情報は回路固有のものとなる。
また、情報蓄積手段を、前記インターフェース・ケーブル上のラベルに設けられたバーコード22とすることが考えられる。バーコードは例えば20桁の数字を表し、これは完全な校正曲線を規定するのに充分である。前記情報を利用するために、ユーザーはライトペンのような従来の手段を用いてバーコードを読み取ってコンピュータに入力される。そこで、コンピュータは測定から受け取った信号との間で補正を加減算し、こうして正しい圧力を計算することができる。
第1の実施の形態(能動校正)
図2を参照して、校正のための手段を有する、この発明に係る装置の第1の実施の形態を説明する。採用された校正原理は「能動」温度校正と称される。
この場合の電気回路は二重ホイートストーン・ブリッジであり、能動ピエゾ抵抗(感圧素子)Raはセンサの膜上に配置される。受動抵抗(圧力非依存素子)RpはRaの近傍に配置されるが、膜上ではなく基板上に配置されることが好ましい。Ra及びRpの第1の端部は共通接地に接続される。残りの抵抗R1〜R4は固定抵抗であり、センサの外に、好ましくは外部制御ユニット又はインターフェース・ケーブルに配置される。Raの第2の端部は適宜のリード線を介して1つの固定抵抗R1の第1の端部に接続される。R1の第2の端部は励起電圧源に接続される。Rpの第2の端部は適宜のリード線を介して別の固定抵抗R2の第1の端部に接続される。R2の第2の端部はR1と同じ励起電圧源に接続される。固定抵抗R3、R4は直列に共通接地に接続される。他端において、R3及びR4はR1及びR2と同じ励起電圧源に接続される。
ブリッジには3つの電圧U1、U2、U3(基準接地)がある。U1はR1とRaとの間の点に存在する。U2はR2とRpとの間の点に存在し、U3はR3とR4との間の点に存在する。U(P、T)out=U1−U2に対応する温度及び圧力依存信号は、温度依存信号を表す差U(T)out=U2−U3と同様に連続的に監視される。ガイド・ワイヤの組み立てが完了すると、校正が以下のように実行される。
近端が雌ネジを介してインターフェース・ケーブルに接続され、組み立て体はインターフェース・ケーブルの近端接触子を介して制御ユニットに接続される。センサは圧力室内の恒温水槽に沈められる。通常、温度は約37℃に保たれるが、重要なのは温度が一定であることである。量U(P、T)out=U1−U2を圧力を増しながら監視し、Pに対するU(P、T)outのプロットを得る。その一例が図3に示されている。このプロットの傾斜K37は37℃におけるセンサの感度を表しており、前記情報蓄積手段に記憶される。これは、感度が温度に依存しないと仮定して、未補償の圧力値がP=Uout/K37として計算されることを意味する。
感度K37は、それ自体温度依存性であり、原理的には個別に決定されて更なる補償のために使用され得る。しかしながら、今のところ、センサは37℃で校正され、20℃における小さな誤りは許容される。前記の温度依存係数が個別に決定されるならば、該係数は他の校正データと共に前記情報蓄積手段に記憶される。
次に、いわゆる温度オフセット(TO)が測定される。これは、センサを大気圧において水槽に沈め、U(P、T)outを監視しながら、温度を変えることによって行われる。同時にU(T)outも監視され、これら2つの量は図4に示すように互いに対してプロットされる。
こうして、U(T)outに対するU(P、T)outのプロットを得ることができ、その傾斜TOも前記情報蓄積手段に記憶され、所与の圧力におけるオフセットを計算するのに使用される。計算されたオフセットはU(P、T)outから差し引かれる。
実際の圧力は
P=(U(P、T)out−TO*U(T)out)/K37
として計算される。他の補償係数及びシステムパラメータ、例えば、ブリッジの固有の不平衡に関する情報は、前記蓄積手段に記憶される。
絶対圧センサを用いるとき、大気圧の変化は制御ユニットの内部に設けられた気圧計によって処理される。
第2の実施の形態(受動校正)
図5を参照して、センサを校正する他の方法、即ち、「受動」温度校正と称されるものを説明する。「受動」とは、抵抗を固定抵抗値へトリミングすることにより、それぞれの回路が製造時に設定されることを意味する。これは、上述の「能動」校正とは対照的であり、温度依存特性が決定されてPROMに記憶され、それぞれの測定信号は測定時に温度補償される。
受動校正は、センサ・チップ上の2つの抵抗の温度感度の差を釣り合わせる。したがって、測定回路からの出力信号は圧力を直接指示する信号として使用することができる。
センサ上の抵抗には上記のように参照符号が付され、Raは能動(感圧)抵抗に対して、Rpは受動抵抗に対して付される。
図5に示すように、能動抵抗Ra及び受動抵抗Rpはセンサ・チップ上に設けられ、少なくともRaは膜に取り付けられる。RpはRaの近傍に取り付けられるのが好ましいが、抵抗Rpに対する圧力の影響を除去するために、膜上ではなくシリコン基板上に取り付けられる。両方の抵抗の一端は同電位の共通の端子に、即ち接地に接続される。RaとRpの他端は電気リード線に接続される。この電気リード線はガイド・ワイヤの内部に配置され、コネクタ装置の雄部分を形成する前記ガイド・ワイヤの近端で終わる。実際の受動校正回路はインターフェース・ケーブル上に、即ち、外部電源、コンピュータのような計算手段、モニタ等とのインターフェースを行う大きなディメンションのケーブル上に設けられる。
受動校正回路は3つの抵抗R1、R2、Rcを有する。抵抗Ra、Rp、R1、R2はホイートストーン・ブリッジを形成し、Ra及びRpは前記ホイートストーン・ブリッジの2つの枝に結合され、R1はRaと、R2はRpと直列に接続され、Ra及びRpの他端は共通接地に接続される。R1及びR2は共通の励起電圧源に接続される。簡単化のために、抵抗網Rxという用語が使用される。
RaとRpの温度依存性の差を釣り合わせるために、前記の追加の抵抗Rcが、最大のTCR値を有するブリッジの枝に直列に接続される。TCR(抵抗の温度係数)は
TCR=(RT2−RT1)/(RT1*(T2−T1))
として定義される。ここで、T2は高い温度、例えば40℃を表し、T1は周囲温度、例えば20℃を表す。
2つの電圧、即ち、RaとR1との間の点に存在するU1と、R2とRcとの間の点に存在するU2が重要である。基準は接地電位である。
この補償により、出力U1−U2は圧力を直接的に表し、正しい圧力を得るための計算は不要である。
Rcの値の計算は以下に実施例として与えられる。
実施例
Raは2500オームであって470ppm/℃の温度係数(TCR)を持ち、Rpは2300オームであってTCRが500ppm/℃であると仮定する。
この場合、TCRpはTCRaの値まで減少されねばならない。下記の式(1)を用いてRaの値を見出すことができる。
TC(Rp)comp=TC(Ra)=
[(Rp、T2+Rc)−(Rp、T1+Rc)]/(Rp、T1+Rc) (1)
ここから
(TCRp−TCRa)/TCRa*Rp=Rcomp (2)
が与えられ、仮定した値を挿入すると、
Rcomp=((500−470)/470))*2300=146.8オーム (3)
となる。
ブリッジは大気圧及び20℃に対してゼロ調整される。R1及びR2の値は次の式(4)から近似的に求められる。
(Ra/R1)=(Rp+Rc)/(R2) (4)
実際には、抵抗網を平衡させるための周知の技術であるレーザー・トリミングを用いて、Rcの値を正しい値に設定する。図5に示すように、抵抗RcはRpと直列に接続される。しかし、ブリッジの不平衡によってRcをRaと直列に接続することが必要となることが起こり得る。したがって、実際のトリミング設定においては、それぞれRa、Rpに直列に可変抵抗を接続する。そこで、トリミング手順は相互作用的な手順となり、漸増的なトリミングの結果は帰還され、トリミングはブリッジの平衡まで調整される。したがって、実際には、図5に示すブリッジは実際のブリッジの等価的な表現である。
他のトリミング法も採用可能であり、適切な方法を見出すことは当業者の能力の範囲内である。例えば、Rcを並列に接続することも等しく可能である。
ガイド・ワイヤ組み立て体を2つの切り離し可能な部分の形で提供するという、この発明の基本原理は、圧力測定以外の他の測定形式、例えば、流量測定、温度測定、pH測定等にも適用可能である。重要なのは、測定ブリッジが2つの部分に分離/分割されており、その一方が被測定圧力に感度を有しており、他方の部分が圧力に感じないことである。
圧力センサが設けられたガイド・ワイヤを備えた、この発明に係る装置は、冠血管の圧力測定を実行するために、及び、バルーン・カテーテル、ガイド・ワイヤ及び圧力センサを除去することなく、バルーン・カテーテルによる冠血管でのバルーン膨張を許容するために、特に使用可能である。
このために、ガイド・カテーテルを動脈内に挿入し、第1段階としてそこに固定する。次いで、圧力センサが遠端に取り付けられ且つコネクタが近端に取り付けられたガイド・ワイヤが設けられる。ガイド・ワイヤは前記ガイド・カテーテルの内部を通されて所望の測定位置に達する。こうして、ガイド・ワイヤは冠血管の所望の位置に配置される。
次いで、ガイド・ワイヤは前記センサからの信号を処理するための適宜の外部回路と接続される。圧力測定が所望であれば実行される。ガイド・ワイヤは前記外部手段から切り離され、バルーン・カテーテルが前記ガイド・ワイヤ上を通って、膨張のため所望の位置に配置される。再びガイド・ワイヤは前記外部手段と接続される。膨張が実行され、制御のために必要であれば、圧力測定が再び実行される。
こうして、この発明を説明してきたが、この発明は多くの方法で変更され得るものであることは明らかである。こうした変更はこの発明の精神及び範囲からの逸脱とみなすべきではなく、当業者に明らかな全部の修正は請求項の範囲内に含まれるものである。
Claims (4)
- ガイド・ワイヤ組み立て体であって、
遠端部分(16)と近端とを有するガイド・ワイヤ(2)と、
前記ガイド・ワイヤ(2)の遠端部分(16)に取り付けられた圧力センサ装置(14)と、
制御ユニット(8)に接続可能な第1の端部と、噛み合う雄部分と雌部分とを有するコネクタ(6)によって前記ガイド・ワイヤの近端に接続可能な第2の端部とを有するインターフェース・ケーブル(4)であって、前記雄部分が前記ガイド・ワイヤに設けられ、前記雌部分が前記インターフェース・ケーブルに設けられているインターフェース・ケーブルと、
前記インターフェース・ケーブルに設けられた情報蓄積手段(20、2)であって、前記圧力センサ装置に特有の校正/温度補償データを収容し、前記データが、正しい測定値の計算のための前記制御ユニットへの入力として、前記圧力センサ装置からの未補償の出力と共に使用可能である情報蓄積手段と、
を具備するガイド・ワイヤ組み立て体。 - 前記情報蓄積手段がEPROM(20)である請求項1記載のガイド・ワイヤ組み立て体。
- 前記情報蓄積手段が前記インターフェース・ケーブル(4)上のラベルに設けられたバーコード(22)である請求項1又は2記載のガイド・ワイヤ組み立て体。
- 圧力測定及び冠血管膨張のためのシステムであって、
請求項1〜3のいずれかに記載のガイド・ワイヤ組み立て体と、
動脈への挿入のための、及び、前記ガイド・ワイヤを所望の位置へ導くためのガイド・カテーテルと、
前記ガイド・ワイヤ上を通され、前記冠血管の所望の位置に配置されるようになされたバルーン・カテーテルと、
を具備するシステム。
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