JP3679167B2 - 揮発性有機化合物の処理装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は揮発性有機化合物の処理装置に関し、詳しくは光触媒活性による酸化分解作用を応用した処理効率の良好な揮発性有機化合物の処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
揮発性有機化合物は洗浄液や溶剤として広い業種で多量に使用されており、大気中及び土壌中に廃棄されることによる環境汚染が大きな問題となっている。
【0003】
揮発性有機化合物の高濃度汚染源としては、有機溶剤や有機洗浄液を多量に使用する工場、クリーニング店等が挙げられ、十分な処理が行われない場合には排水や排気によって、その周辺の土壌・地下水・大気中に広く汚染が広がっている懸念がある。これら揮発性有機化合物の中には発ガン性を有すると示唆されるものもあり、健康被害を含めた重大な影響を及ぼす危険性があり、これらの有効な処理方法が検討されている。
【0004】
揮発性有機化合物からなる汚染物質を浄化するための処理方法として、現在、以下の方法が知られている。
【0005】
例えば、曝気による大気放散法がある。これは低濃度の有機化合物を含む気体を直接大気中に放散し、大気中での希釈を期待する方法であり、本質的な除去方法とはいえない。
【0006】
また、有機化合物を含む気体を活性炭で処理する活性炭吸着法があり、この方法によれば目的とする有機化合物をほぼ検出限界以下にまで気体中から除去できるが、吸着限界を超えると活性炭の交換が必要となる。また、有機化合物を吸着した活性炭そのものを処理する必要があり、活性炭を再生するにあたり排出される高濃度の有機化合物を含んだ廃液の処理が必要となる。
【0007】
さらに、有機化合物そのものを分解処理する方法として、触媒熱分解方法がある。この方法によれば2次汚染の懸念はないが、例えば、トリクロロエチレン(以下、TCEと称する)を処理する場合、200〜400℃の高温で触媒酸化するものであり、大規模な設備が必要で、且つ、消費されるエネルギー量も莫大である。
【0008】
また、有機化合物を分解する別の方法として、微生物の働きを利用する方法もあるが、微生物の処理能力には限界がある。このため、低濃度・広範囲の汚染に対しては有効であるが、高濃度の有機化合物の処理には適さない。
【0009】
近年、揮発性有機化合物のうち、特に溶剤として汎用のTCE等の揮発性有機塩素化合物が汚染物質として問題となっている。TCEを含む土壌・地下水の浄化方法としては、現在一般的に、曝気による大気放散法、及び、活性炭吸着法が用いられている。これらの方法はいずれも、前記と同様の問題がある。
【0010】
一方、酸化チタン等の光触媒活性を有する物質(以下、適宜光触媒と称する)に紫外線を照射すると強力な酸化能を有するラジカルが生成され、このラジカルにより液体及び気体中の被酸化物質が酸化されることが知られている。
【0011】
この光触媒活性を応用して前記有機化合物の処理を行うことが提案されており、例えば、特公平4−54511号には、流体の浄化方法として、酸化チタンを透光性の物質により多孔性の塊状体とし、流体中に分散させ、紫外線照射により光分解する方法が記載されている。この方法によればバインダーにより酸化チタンを塊状にするため、光触媒反応に係る表面積が減少し、反応効率が悪いという問題がある。
【0012】
また、酸化チタン微粒子を水中に懸濁させて、水中の汚染物質を浄化する方法も提案されているが、固体−液体反応で反応速度が遅く、さらに、処理後に粉末と被処理液とを分離する煩雑な固液分離工程を要し、連続処理には向かない等の問題点がある。
【0013】
この固液分離工程を不要とするため、焼結やバインダー等により光触媒の固定化膜を生成し、これに水溶液中の揮発性有機化合物を接触させ、紫外線照射により光分解する方法も提案されている。
【0014】
しかしながら、バインダー等を用いる固定化膜生成法では、反応に有効な光触媒の表面積が減少し、懸濁法によるよりもさらに反応速度が低下し、有機化合物の分解除去に時間がかかる。また、連続処理を行うと、固定化膜表面に排水中に含まれる不純物に由来する炭酸カルシウムなどの不溶成分が付着して表面が閉塞され、光触媒活性が低下する現象がみられる。このため、定期的な薬液洗浄等による固定化膜の再生処理や固定化膜の交換が必要となる等の問題がある。
【0015】
前記水溶液中での反応速度の遅さを改良するため、曝気により水中の揮発性有機化合物を気化させた後、前記の光触媒固定化膜に接触させ、紫外線照射により光分解する方法も提案されている。この方法によれば、反応速度は改善されるものの、前記固定化膜の有する問題点、即ち、反応表面積の減少、固定化膜の再生/交換工程が必要となる等の問題はなお存在することになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決し、反応速度が早く、光触媒反応の効率が良好で、しかも、光触媒活性を有する物質の再生/交換工程が容易な、揮発性有機化合物の処理装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、揮発性有機化合物を光触媒による固体−気体反応により連続的に光酸化分解することにより、前記課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成した。
【0018】
本発明の請求項1に係る揮発性有機化合物の処理装置は、被処理ガスを供給するガス吸入口と処理したガスを排出するガス排出口とを有する反応塔と、反応塔に接続され、且つ、光触媒粉末を循環させて反応塔内に散布する粉末移送ポンプと、上下に振動可能に反応塔に支持されると共に、振動して光触媒粉末を反応塔内に分散浮遊させる振動分散板と、反応塔内の光触媒粉末に光を照射する光源と、を備えてなり、該振動分散板が、金網で構成されることを特徴とする。
【0019】
この装置によれば、気相中で紫外線を照射しながら、TCE等の揮発性有機化合物を酸化チタン等の光触媒粉末と接触、反応させるため、反応速度が速く高効率的に光酸化分解を行うことができ、さらに、光触媒を粉末で循環させることにより、連続処理できる構造としたため、固定化による光触媒活性の低下や固定化膜の劣化に対する処理工程が不要となり、持続的に高効率的の処理を行うことができる。
【0020】
本発明の請求項2に係る揮発性有機化合物の処理装置は、被処理ガスを供給するガス吸入口と処理したガスを排出するガス排出口とを有する反応塔と、反応塔に接続され、且つ、光触媒粉末を循環させて反応塔内に散布する粉末移送ポンプと、散布した光触媒粉末を担持するグラスファイバー網状体と、反応塔内の光触媒粉末に光を照射する光源と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この装置によれば、前記請求項1記載の処理方法の特徴に加えて、光照射条件下で光触媒粉末がグラスファイバー表面に付着し、通気、水洗では落ちない付着強度を示すという機能を活用し、事前に固定化処理を行うことなく、装置内で光触媒粉末を散布することにより、装置内のグラスファイバー表面上に光触媒被膜を形成させることができるため、適宜、新たな触媒に更新することにより触媒の持つ最大限の光触媒酸化機能を維持することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は実施例1の揮発性有機化合物の処理装置10を示す概略断面図である。
【0023】
図1の揮発性有機化合物の処理装置10の主要部を、例えば、内径が50cm、高さが2mである反応塔12が構成している。この反応塔12は、被処理ガスを反応塔12に導入するガス吸入口14と、処理したガスを排出するガス排出口16とを有している。被処理ガスは、図1に示すように反応塔12の下部にあるガス吸入口14から反応塔12内に導入され、反応塔12に滞留され、処理された後は、反応塔12上部にあるガス排出口16から反応塔12外へ排出される。
【0024】
反応塔12上部に一端が接続されるパイプ18の他端は、この反応塔12の下端に接続されており、パイプ18と反応塔12とで光触媒粉末の循環系を構成している。このパイプ18には光触媒粉末である酸化チタン粉末20を循環、散布する粉末移送ポンプ22が接続されている。粉末移送ポンプ22は、図示されないモータ等の駆動手段及びその制御手段と接続されている。
【0025】
反応塔12内には、上下に振動可能に反応塔12に支持されると共に、振動して光触媒粉末20を反応塔12内に分散浮遊させる振動分散板24が配置されている。振動分散板24は、図示されないモーター及びクランクなど公知の駆動手段によって、適宜、上下方向に振動される。振動分散板24は前記駆動手段からの振動を伝達する振動棒26に金網28が固着されて構成される。
【0026】
振動分散板24の振動数は100〜1000rpm(回/min)の範囲で運転することが好ましい。通常は150〜300rpm(回/min)程度で十分分散が行われるが、酸化チタン粒子に凝集が生じて金網28に目詰まりが生ずる場合には、振動回数を増やすこともできる。
【0027】
図2は、金網28を示す正面図である。振動分散板24に固着された金網28は、反応塔12の内径よりも小さい直径を有しており、中心は振動棒26に固着され、周辺近傍には紫外線ランプ30及びその保持部が貫通可能なサイズの開口部32が設けられている。
【0028】
金網28のメッシュのサイズは酸化チタン粉末20の粒径及び分散効率の観点から適宜選択することができる。また、金網28の配置数は反応塔12の大きさ及び分散効率の観点から、適宜選択することができる。
【0029】
反応塔12内の外周に沿って、光触媒反応に必要な光を照射する光源である紫外線ランプ(ブラックライト)30が配置されている。
【0030】
反応塔12下部には、落下した酸化チタン粉末20を回収、備蓄するホッパー34を有する粉末回収室36が配置されている。ここで回収された酸化チタン粉末20は反応塔12に接続された粉末移送ポンプ22によって、パイプ18を経て反応塔12頂部へ循環され、散布される。
【0031】
処理装置10で処理される揮発性有機化合物は、予め、真空抽出、曝気(エアレーション)、吸引等の方法により気化されて被処理ガスとされる。
【0032】
また、処理装置10で処理されたガスは、ガス排出口16に配置されたフィルター(図示せず)によって酸化チタン粉末20と分離されて、反応塔12外へ排出される。
【0033】
TCEを例に挙げれば、酸素、水の存在下で紫外線を照射された酸化チタン表面で下記式1に示すように二酸化炭素と塩化水素に分解される。
【0034】
CHCl3 +1/2O2 +H2 O→CO2 +3HCl(酸化チタン+紫外線照射の条件下)…(式1)
上記反応進行の条件として、酸素は常温常圧の大気中に存在する量で、水は常温で飽和水蒸気圧程度で十分であることが確認されており、揮発性有機化合物を大気で曝気気化させる場合には特別な操作は不要である。ただし、真空抽出法等で気化させる場合等、導入ガス中の酸素濃度が著しく低い場合には、大気を混合し被処理ガス中の酸素濃度が10%以上となるように調整を行うことが、反応効率上好ましい。
【0035】
TCEは前記式1に示す如く、処理されたガス中に塩化水素が存在するため、処理されたガスをそのまま大気中へ放出することは環境上好ましくない。従って、ガス排出口16に接続する脱塩化水素装置38を設け、塩化水素を除去する必要がある。
【0036】
脱塩化水素装置38は、水を満たした反応槽38Aと、処理されるガスを反応槽底部から水中へ放出するための細孔を有するパイプ38Bとからなる。反応塔12から排出された塩化水素を含む処理後のガスは、ガス排出口16に接続する脱塩化水素装置38の反応槽38A底部に設けられたパイプ38Bへ導入され、パイプ38Bの細孔から水中へ放出される。ここで水溶性の高い塩化水素(HCl)は水中に溶解し、二酸化炭素(CO2 )は気体の状態でのこる。
【0037】
このCO2 を主成分とする排気は大気へそのまま放出することができる。また、HClを含む排水は、pH調整槽(図示せず)でpH調整し、中性域とした後、放流することができる。
【0038】
この処理装置10においては、光触媒として酸化チタン粉末20を使用しているが、光触媒はこれに制限されるものなく、例えば、特公平2−9850号の記載の如き光触媒活性を有する物質として公知の物質を任意に使用することができる。光触媒のなかでも、酸化チタン、酸化鉄、酸化タングステン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム等が代表的なものとして広く知られており、これらのうち、光触媒活性効果、安全性及びコストの観点からは、本実施例1に使用される酸化チタンが好ましい。
【0039】
また、これら光触媒の光触媒活性を向上させるために、これらと共存して、光触媒反応において還元反応サイトになりうる金属、例えば、白金、金、パラジウム、銀、銅、ニッケル、コバルトからなる群から選択される金属を併用することもできる。これらのうち、効果の点からは白金、金、パラジウム、銀が好ましく、加工の容易さ、コストの観点からパラジウムが特に好ましい。
【0040】
酸化チタン粉末20の粒径は、特に制限はないが、分散性及び反応性の観点から0.1〜10μm程度であることが好ましい。
【0041】
また、光触媒反応に必要な光を照射する光源である紫外線ランプ(ブラックライト)30の光量は、光触媒表面で0.1mW/cm2 以上(波長380nmの場合)であることが好ましい。
【0042】
本実施例においては、振動分散板24は、駆動手段からの振動を伝達する振動棒26に金網28が固着されて構成されており、各々の振動分散板24の振動周期は一致している。この態様によれば反応塔12内に存在する駆動部分及び伝達部分が少ないという利点があるが、反応性の点からは各振動分散板24の振動周期は必ずしも一致しなくてもよく、複数の振動棒26に固着されるような態様であっても、他の機械的、又は電磁気的な方法により各振動分散板24が独立に振動されるものであってもよい。
【0043】
酸化チタン粉末20の振動分散の方法として、本発明は振動分散板24の振動による方法と採用しているが、他の分散方法を排除するものではなく、例えば、気体ガスの流量を上げてガス流体により分散する方法、超音波により分散する方法等も適用することができる。分散効率からは、前記振動分散板24によるものが好ましいが、その他の手段も反応条件によって単独で、又は、併用により適用することができる。
【0044】
処理装置10の主要部を構成する反応塔12の大きさは、導入ガス中のTCE濃度および目標除去率、紫外線ランプの強度等により適宜選択することができる。例えば、処理される揮発性有機化合物の濃度が高い場合には、反応塔12の容積を小さくする、又は、酸化チタン粉末20の使用量を増加する、紫外線ランプ30の強度、配置数を増加する、反応塔12内への被処理ガスの滞留時間を長くするなどにより、目的とする反応効率を得ることができる。
【0045】
本実施例1の処理装置10の場合、流入TCE濃度が100ppmであり、被処理ガスの反応塔12内滞留時間15分で、処理能力は1時間当たり1.5m3 であった。
(実施例2)
図3は実施例2の揮発性有機塩素化合物の処理装置40を示す概略断面図である。この実施例2では、反応塔12内に設置したグラスファイバー網状体42のグラスファイバー44上に光触媒被膜を付着形成させる方式をとっている。
【0046】
揮発性有機化合物の被処理ガスを導入するガス吸入口14など、処理装置40の主要部を構成する反応塔12、光触媒反応を生起させる光源である紫外線ランプ30、酸化チタン粉末20の循環系を構成する粉末移送ポンプ22とパイプ18などは、前記実施例1の処理装置10と同様であり、処理対象ガスをTCEとした場合の被処理ガスの条件や処理されたガスの後処理方法(脱塩化水素処理)も、実施例1と同様である。
【0047】
実施例2の処理装置40においては、例えば、内径を40cm、高さを2mとした反応塔12内部に、グラスファイバー44を網状に枠に固定したグラスファイバー網状体42を複数段備えている。
【0048】
グラスファイバー網状体42は、図4にて正面図を示すように、細径のグラスファイバー44を等間隔で格子状に枠46に固定して構成される。枠46の周囲には、紫外線ランプ30及びその保持部が貫通可能なサイズの開口部48が設けられている。
【0049】
このグラスファイバー44上に光触媒粉末20を担持させて用いるものであり、このため、反応効率の観点からは、グラスファイバー網状体42の構成は、有効比表面積が50〜100m2 /m3 となるように適当なグラスファイバー44の径及び配置間隔を設定することが好ましい。ここで有効比表面積とは、塔容積当たりの光触媒が固定化しうるグラスファイバー44の表面積を示す。
【0050】
有効比表面積を100m2 /m3 とした実施例2の処理装置40の場合は、直径2mmのグラスファイバー44を5mmピッチの格子状として枠46に固定したグラスファイバー網状体42が、垂直方向に12.5mm間隔で配置されており、塔内実容積は総容積の90%となる。
【0051】
酸化チタン粉末20がグラスファイバー44上に付着担持される原理は、光照射により酸化チタン粉末20が分極を起こし、グラスファイバー44表面に静電気が発生することによる。
【0052】
グラスファイバー44上に静電的に付着することにより形成された酸化チタンの薄い被膜は、水洗や通気によっては剥離せず、しかも、十分な光触媒活性を有することが確認されている。
【0053】
また、酸化チタン粉末20の使用密度は、処理される物質の濃度などの条件により異なるが、通常は、100mg/m2 以上であることが好ましく、本実施例2においては、比表面積を100m2 /m3 としているため、光触媒密度は10g/m3 以上となる。
【0054】
グラスファイバー44表面に酸化チタン被膜を形成させる方法としては、被処理ガスを塔内に充填し、紫外線照射条件下で反応塔12頂部より乾燥した酸化チタン粉末20を散布する方法が挙げられる。散布後、10分程度紫外線を照射することにより、グラスファイバー44表面に酸化チタン被膜が形成される。
【0055】
グラスファイバー44表面で酸化チタン粉末20が凝集をおこして十分に分散せず、グラスファイバー44表面に酸化チタンの均一な被膜が形成されない場合は、グラスファイバー網状構造体42を振動させながら粉末20を供給することが好ましい。この場合は、実施例1の処理装置10で振動分散板24を駆動させたのと同様の駆動手段をグラスファイバー網状構造体42にも適用することができる。
【0056】
また、酸化チタン被膜を形成させる別の方法としては、被処理ガスを反応塔12内に充填し、紫外線照射条件下で酸化チタンスラリー(酸化チタン粉末20を10〜20g/リットルの濃度で水に分散させたもの)を反応塔12頂部から連続的に噴霧する方法が挙げられる。5分程度連続噴霧した後、スラリーの供給を止め、20〜30分程度紫外線ランプ30を照射し、酸化チタン粉末20に付着している水分を蒸発させ、グラスファイバー44表面に酸化チタン被膜を形成する。
【0057】
グラスファイバー44表面に形成された酸化チタン被膜は、汚れの付着等により経時的に光触媒活性が低下するため、導入ガスの汚れ成分の濃度に応じて適宜、上記の被膜形成方法を繰り返して行い、酸化チタン粉末20を再固定することが好ましい。再固定を行う際に、付着していた酸化チタン被膜は、一部が再固定処理時にかかる応力によって剥離するが、大部分はグラスファイバー44上に残存し、その上に酸化チタン粉末20がさらに付着して新しい被膜を形成する。このため、グラスファイバー44等の担持体上には一定の膜厚で酸化チタンが維持されることになる。
【0058】
通常の運転では、酸化チタン粉末20の散布は、1回/100時間程度の頻度で十分である。この方法によれば、焼結等によって形成された固定化膜に比較してメンテナンスを簡単に行うことができるため、煩雑な工程を必要とせず高い光触媒活性効果を維持させることができる。
【0059】
実施例2での処理装置40においては、流入TCE濃度が100ppmであり、被処理ガスの反応塔12内滞留時間15分で処理能力は1時間当たり1m3 であった。
【0060】
本実施例2の処理装置40では、グラスファイバー構造体42を充填しているため、紫外線ランプ30からの光の減衰が大きくなることから、実施例1の処理装置10に比べて、反応塔12内径を小さく設定しているが、反応塔12の中心部でも紫外線強度があがるように、紫外線ランプ30の本数や配置方法、グラスファイバー44の材質、サイズ、配置間隔を変更すれば、反応塔12内径をより大きくすることが可能である。
【0061】
また、グラスファイバー44の代わりに、光透過性であり、光触媒反応によって劣化せず、且つ、耐酸化性であって加工しやすい他の物質を酸化チタン粉末20の担持体として使用することもできる。耐久性及びファイバー状に加工して表面積を大きくとりうる観点からは、本実施例のグラスファイバーが最適であるが、一定期間をおいて担持体そのものを交換するタイプの処理装置や処理対象物の物性等の条件に適合する場合、例えば、金属、樹脂、カーボン等をファイバー状に加工したものも用いることができる。
(実験例1)
前記実施例2の処理装置40を用いて、TCEを処理し、TCE濃度をFID(水素炎イオン化検出器)にて経時的に測定した結果を図5のグラフに示す。TCE初期濃度を100mg/リットルとした。この時の被処理ガス中の酸素濃度は20%、水分含有量は0.03mg/mlであり、酸化チタン粉末20は平均粒径1μmの乾燥粉末を用いた。照射光は晴天時の太陽光を想定し、360nmの波長で5mW/cm2 を照射し、光源としては15Wの紫外線ランプ30を6本を用いた。光触媒比表面積は1m2 /m3 とした。
【0062】
グラフに明らかなように、TCE分解処理は迅速に行われ、最初の5分間で80%以上が処理されており、15分後に残留したTCEは0.2mg/リットルであり、99%以上が分解されたことが明らかとなった。
【0063】
前記各実施例の特徴について述べれば、実施例1では酸化チタンを粉末20で用いるため、処理運転中に移送ポンプ22による酸化チタン粉末20の連続供給と振動分散板24による拡散が必要であるが、紫外線の到達距離が長く、処理前操作が不要である。
【0064】
実施例2ではグラスファイバー44上に酸化チタン粉末20を固定化し用いるため、固定化の操作(分散、紫外線照射)が必要であり、また、反応塔12内にグラスファイバー網状体42が存在するため、紫外線到達距離が実施例1の処理装置10より短くなるが、処理運転中の操作が少なく、粉末移送ポンプ22の使用頻度が少なくてすむ。
【0065】
処理装置の適用される揮発性有機化合物の種類、濃度、要求される処理速度、用いる環境によって好適な態様を選択することができる。また、前記各実施例においては、いずれも、高濃度のTCEの処理を目的とするため、グラスファイバー44の密度や酸化チタン粉末20の使用量が高くなっているが、被処理有機化合物のガス濃度が低濃度であれば、酸化チタン粉末20の濃度(使用量)や紫外線ランプ30の強度、本数及び反応塔12内の被処理ガスの滞留時間などを、さらに小さくすることができる。
【0066】
高濃度のTCEを処理する場合には、前記したように反応塔12中に高濃度の塩化水素ガスが発生するため、副生成物として他の塩素化合物を生成したり、処理装置10、40内の腐食を促進させる原因となる。従って、TCE等の塩素を含む有機化合物を処理する場合には、処理装置10、40の材料を耐酸性とすることが必要である。
【0067】
さらに、反応塔12内に発生した塩化水素ガスの吸収するため、反応塔12内に間欠的に水を噴霧する装置を追加することも有効である。水を散布する際、酸化チタン粉末20表面に水の被膜ができると反応速度が低下するため、例えば、反応塔12内を断面方向に複数のゾーンに分けて、反応塔12頂部より、各ゾーン毎に間欠的に水を散布することが好ましい。
【0068】
水散布したゾーンにおける酸化チタン粉末20は、一時的に反応速度が低下するが、経時的に紫外線の照射により乾燥される。その時点でも他のゾーンの酸化チタン粉末20は水の影響がなく、高い反応効率で処理が連続的に行われ、全体としては水散布による影響を低レベルに抑えることができる。各ゾーンへの水散布時間、散布の間隔は塩化水素濃度に応じて設定する。また、水散布により副生成物の生成等を抑えることもできる。
【0069】
ここで用いられた塩化水素を溶解した処理水は、酸化チタン粉末20を混合したまま循環利用し、pHが2以下程度に高くなった場合、粉体を分離して上澄み液をpH調整して再利用してもよく、また、前記脱塩化水素装置38からの排水を処理するpH調整層に移送して同時に処理してもよい。
【0070】
本発明の処理装置は、光触媒粉末を気相反応で利用することにより、光触媒の有する能力を最大限に生かすことができる。これらの装置によれば、前記各実施例にも明らかなように、例えば、TCEを対象とした場合、導入ガス濃度100ppmの高濃度でも、15分の接触時間で99%以上を炭酸ガスと塩化水素に分解することができ、非常に高効率な処理を行いうるものである。他の揮発性有機化合物についても、酸化により分解するものであれば何れの化合物にも、同様に効率的な処理装置として使用することが可能である。
【0071】
本発明の処理装置は、揮発性有機化合物の発生及び/又は存在する全ての分野で利用することができる。本発明の処理装置は、前記の如く構造が簡単であり、廃棄物の問題もないことから、小規模から大規模処理まで自由に装置設計をすることができ、応用の範囲は広い。
【0072】
具体的な適用分野としては、例えば、土壌浄化、水質浄化、大気浄化などを目的とする環境浄化装置や工場並びにクリーニング店の如き小規模事業所における排水、排気の処理装置等を挙げることができる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の揮発性有機化合物の処理装置は、光触媒活性を有する物質の再生/交換が不要で、光触媒反応の効率が良好であり、揮発性有機化合物を分解する処理速度が早いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の揮発性有機化合物処理装置を示す概略断面図である。
【図2】 実施例1の揮発性有機化合物処理装置に用いられる振動分散板に固着された金網を示す正面図である。
【図3】 実施例2の揮発性有機化合物の処理装置を示す概略断面図である。
【図4】 実施例2の揮発性有機化合物処理装置に用いられるグラスファイバー網状体を示す正面図である。
【図5】 実施例2の揮発性有機化合物処理装置でTCEを処理した場合のTCEガス濃度の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 揮発性有機化合物の処理装置
12 反応塔
22 粉末移送ポンプ
24 振動分散板
40 揮発性有機化合物の処理装置
42 グラスファイバー網状体
44 グラスファイバー

Claims (2)

  1. 被処理ガスを供給するガス吸入口と処理したガスを排出するガス排出口とを有する反応塔と、
    反応塔に接続され、且つ、光触媒粉末を循環させて反応塔内に散布する粉末移送ポンプと、
    上下に振動可能に反応塔に支持されると共に、振動して光触媒粉末を塔内に分散浮遊させる振動分散板と、
    反応塔内の光触媒粉末に光を照射する光源と、を備えてなり、
    該振動分散板が、金網で構成されることを特徴とする揮発性有機化合物の処理装置。
  2. 被処理ガスを供給するガス吸入口と処理したガスを排出するガス排出口とを有する反応塔と、
    反応塔に接続され、且つ、光触媒粉末を循環させて反応塔内に散布する粉末移送ポンプと、
    散布した光触媒粉末を担持するグラスファイバー網状体と、
    反応塔内の光触媒粉末に光を照射する光源と、
    を備えたことを特徴とする揮発性有機化合物の処理装置。
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