JP3679049B2 - ネジ無し電線管用カップリング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高速道路やビルディングの屋上、化学プラントなどのケーブル配線上、その屋外での露出状態として使われるネジ無し電線管用カップリングの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
外径寸法が約70mm〜125mmの比較的太いネジ無し厚鋼電線管(ケーブル保護用鋼管)を工事現場で切断し、その相互を接続配管するために使用されている従来のカップリングでは、図19〜22に示すように、電線管(P)の外周面へ防水ゴムパッキング(1)(1)を圧着させる前後一対の袋ナット(2)(2)が、そのほぼ円筒型カップリング本体(3)の開口両端部へ外嵌状態に螺合締結されている。
【0003】
(3a)(3a)は上記カップリング本体(3)の開口両端部に刻設された前後一対の雄ネジ、(2a)(2a)は同じく袋ナット(2)(2)に対応形成された雌ネジ、(2b)(2b)はその袋ナット(2)(2)の外周面に扁平化された回動操作工具用係止面であり、カップリング本体(3)の前後方向から見て全体的な正六角形を呈している。
【0004】
その場合、防水ゴムパッキング(1)(1)は先細り傾斜外周面(1a)(1a)を備えた断面楔型として、上記袋ナット(2)(2)の締付け力を受けることにより弾力的に収縮変形し、電線管(P)の外周面へ圧着するようになっている。
【0005】
又、上記カップリング本体(3)の胴部には、電線管(P)の外周面を押圧する前後一対づつ合計4本の押えボルト(4)(4)(4)(4)のみならず、その電線管(P)の切断端面を受け止める1本のセンター仕切りボルト(5)も植え込み螺入されており、その仕切りボルト(5)を図21の鎖線に示す如く螺退操作して、カップリング本体(3)との相対的な電線管(P)の送り配管を行なうことにより、その配管工事の最終時点における電線管(P)同志の正確な突き合わせ接続状態を得られるようになっている。(6)(6)(6)(6)は上記押えボルト(4)(4)(4)(4)に介挿されたスプリングワッシャ、(7)はセンター仕切りボルト(5)に同じく介挿されたスプリングワッシャである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなネジ無し電線管用カップリングの構成では、未だ次の諸問題がある。
【0007】
即ち、第1に電線管(P)を受け止め又はその送り配管を行なうに当り、上記センター仕切りボルト(5)を一々人為的に進退させなければならないので、その操作上甚だ煩らわしく、又その仕切りボルト(5)が工事現場への運搬中や工事現場での取扱い中において、不慮にカップリング本体(3)から抜け落ちるおそれがあるほか、そのカップリングの使用中に仕切りボルト(5)や上記押えボルト(4)(4)(4)(4)のネジ締結部分から雨水が浸入するおそれもあり、防水効果に劣る。
【0008】
第2に、電線管(P)が大きな円周面積を有し、防水ゴムパッキング(1)(1)の収縮変形量は僅少である関係上、そのゴムパッキング(1)(1)と袋ナット(2)(2)とを工事現場において、一旦カップリング本体(3)から取りはずし、電線管(P)へ予じめ通し込んでおく必要がある。しかも、その袋ナット(2)(2)は大型品として、これと適合するパイプレンチなどの大型回動操作工具により、大きな締付けトルクを加えなければならないので、電線管(P)の接続配管作業を軽労力での能率良く遂行することが困難であるばかりでなく、上記袋ナット(2)(2)と直かに接触している防水ゴムパッキング(1)(1)が、その袋ナット(2)(2)の締付け捻り力を受けて、摺り切れ損傷してしまいやすい問題もある。
【0009】
第3に、上記押えボルト(4)(4)(4)(4)はありふれた単純な六角ボルトとして、その先端部のフラット面(4a)(4a)(4a)(4a)が電線管(P)の外周面を押圧するに過ぎず、電線管(P)への強固な喰い付き力を発揮しないため、万一袋ナット(2)(2)に付与する締付けトルクの不足やバラツキにより、防水ゴムパッキング(1)(1)が電線管(P)の外周面へ完全に圧着していないと、振動や衝撃などの外力を受けた場合、容易に電線管(P)のガタツキや抜けを生じてしまい、その電線管(P)の引き抜け対抗強度と安定性に富む接続状態を維持することができない。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような諸問題の解決を企図しており、そのためにネジ無し電線管用カップリングとしての構成上、ネジ無し電線管との対応的なほぼ円筒型に造形されたカップリング本体と、
【0011】
点在分布する防水用平パッキングをスプリングワッシャとして、上記カップリング本体へ外周方向から各々進退操作自在に植え込み螺入された偶数個の電線管用押えボルトと、
【0012】
上記カップリング本体の中間部に位置しつつ、その内周面から一定深さだけ切り欠かれたセンター仕切りパッキング受け入れ凹溝へ、嵌め付けられたリング状の防水用センター仕切りパッキングと、
【0013】
同じくカップリング本体の開口両端部へ前後対称な断面ほぼL字型として、その内周面から一定深さだけ切り欠かれた一対のリングパッキング受け入れ溝へ、各々嵌め付けられた防水用リングパッキングと、
【0014】
その各リングパッキングを締付け圧縮するために、上記カップリング本体の開口両端部へ前後方向から内嵌状態に螺合締結された一対のリングナットと、
【0015】
上記リングパッキングの摺り切れ防止用として、そのリングパッキングと上記リングナットとの隣り合う前後相互間へ、各々介挿された硬質な合成樹脂製の滑動リングと、
【0016】
上記カップリング本体の外周面へ目視可能に付与された電線管の挿入方向を示す案内矢印とを備え、
【0017】
上記リングパッキングを何れもカップリング本体の口径よりも若干大きな口径の断面ほぼU字型に造形することにより、そのリングパッキングが各々カップリング本体に対する上記リングナットの締付け圧縮力を受けた時だけ、内向きに膨張変形して電線管の外周面へ圧着するように定めると共に、
【0018】
上記センター仕切りパッキングの内周面からカップリング本体の筒芯線と鋭角に交叉する断面楔型の電線管受け止めリップを、一定量だけ斜め内向きに張り出して、
【0019】
上記案内矢印が示すリップの傾斜姿勢状態に順応する挿入方向からカップリング本体へ電線管を挿入した時には、上記リップが伏倒作用することにより、そのカップリング本体に対する電線管の相対的な送り配管を許す一方、
【0020】
上記案内矢印と逆な方向からカップリング本体へ電線管を挿入した時には、そのリップが電線管の切断端面と衝当して起立作用することにより、その電線管を貫通不能に受け止 めるように定めたことを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1〜7はそのネジ無し電線管用カップリングの組立状態を、図8、9は同じく分解状態を各々示しており、(C)は亜鉛合金ダイカスト製品のカップリング本体であって、一定な長さ(L)(例えば約116 mm 〜180 mm )と口径(D1)(例えば約76.3 mm 〜141.2 mm )のほぼ円筒型に造形されている。
【0022】
(10)(10)(10)(10)は前後対称並びに左右対称な点在分布配置として、上記カップリング本体(C)の胴部から一定高さ(H)(例えば約6 mm 〜8 mm )だけ外向き連続的に隆起する偶数個(図では合計4個)の凸座であり、その左右一対づつがカップリング本体(C)の前後方向から見て、互いに一定の交叉角度(α)(例えば約60度)を保っている。
【0023】
凸座(10)(10)(10)(10)の各個は平面視の円形を呈しており、その中央部が平パッキング受け入れ凹溝(11)(11)(11)(11)として陥没されている。(12)(12)(12)(12)はその各平パッキング受け入れ凹溝(11)(11)(11)(11)のフラットな溝底面から求心方向に沿って、上記カップリング本体(C)の胴部に貫通形成されたネジ孔、(B)(B)(B)(B)はその各ネジ孔(12)(12)(12)(12)へカップリング本体(C)の外周方向から、進退操作自在に植え込み螺入された電線管用押えボルトであって、ステンレス鋼(SUS304)などの発錆しない金属材から成る。
【0024】
押えボルト(B)(B)(B)(B)の各個は図10に抽出する如く、上記平パッキング受け入れ凹溝(11)(11)(11)(11)の開口径とほぼ等しい寸法の径大な円錐頭部(13)(13)(13)(13)と、上記ネジ孔(12)(12)(12)(12)に螺合締結されるネジ軸部(14)(14)(14)(14)とを備え、その円錐頭部(13)(13)(13)(13)の中心には平面視の正六角形な回動操作工具用係止凹溝(15)(15)(15)(15)が陥没されている一方、同じくネジ軸部(14)(14)(14)(14)の先端面は断面ほぼ倒立V字型をなす割溝(16)(16)(16)(16)の付与により、その割溝(16)(16)(16)(16)が陥没することとの相対的に隆起するリング状の喰い付き爪(17)(17)(17)(17)として尖鋭化されている。
【0025】
つまり、各押えボルト(B)(B)(B)(B)は細い六角棒レンチを回動操作工具(T1)として進退操作され、最終的に締め上げられた時点において、その先端面の鋭利な喰い付き爪(17)(17)(17)(17)が図15のように電線管(P)の外周面へ強く喰い付き、その電線管(P)の外周面にリング状の喰い付き痕跡を残すようになっている。それ程強固に喰い付く意味である。
【0026】
(18)(18)(18)(18)は各凸座(10)(10)(10)(10)の上記平パッキング受け入れ凹溝(11)(11)(11)(11)内へ嵌め込みセットされた防水用平パッキングであって、ニトリルゴム(NBR)やその他の弾性材から成り、その弾力性によって上記押えボルト(B)(B)(B)(B)を緩み止め状態に保つスプリングワッシャとしても機能する。
【0027】
その場合、各押えボルト(B)(B)(B)(B)の円錐頭部(13)(13)(13)(13)が上記平パッキング(18)(18)(18)(18)を圧縮し乍ら、同じくネジ軸部(14)(14)(14)(14)の喰い付き爪(17)(17)(17)(1 7)が電線管(P)の外周面へ強固に喰い付くまで、その押えボルト(B)(B)(B)(B)を締め上げた最終時点においても、上記円錐頭部(13)(13)(13)(13)は平パッキング受け入れ凹溝(11)(11)(11)(11)内へ沈没せず、依然としてカップリング本体(C)の上記凸座(10)(10)(10)(10)から露出状態を保つことにより、押えボルト(B)(B)(B)(B)がミスなく締め上げられているか否かを、外部から一目瞭然に目視検査できるようになっている。
【0028】
(19)(19)は上記カップリング本体(C)の開口両端部において、その胴部の内周面から一定深さ(G)(例えば約3 mm 〜4 mm )だけ陥没する状態に刻設された前後一対の雌ネジ、(20)(20)はその雌ネジ(19)(19)と隣接する奥部に位置しつつ、やはりカップリング本体(C)の内周面からほぼ等しい一定深さ(G)だけ陥没する前後対称な断面ほぼL字型に切り欠かれた一対のリングパッキング受け入れ溝であり、上記カップリング本体(C)の口径(D1)よりも大きな口径を有することは、言うまでもない。
【0029】
又、(21)(21)はその各リングパッキング受け入れ溝(20)(20)内へ嵌め付けセットされた前後一対の防水用リングパッキングであって、耐候性や反撥弾性などに富むエチレンプロピレンゴム(EPM)やその他の弾性材から、上記カップリング本体(C)の口径(D1)よりも若干大きな口径(D2)に形成されており、しかもその内周面がフラット面(21a)(21a)をなしている。
【0030】
つまり、各リングパッキング(21)(21)はその受け入れ溝(20)(20)の上記切り欠き深さ(G)よりも言わば浅い薄肉状態に造形されているわけであり、上記カップリング本体(C)の内周面から陥没する一定深さ(G)のリングパッキング受け入れ溝(20)(20)内へ、リングパッキング(21)(21)が嵌め付けセットされたカップリングの組立当初、そのリングパッキング(21)(21)のフラット面(21a)(21a)は図4、6から明白な如く、上記カップリング本体(C)の内周面から退避した沈没状態にあるものとして、そのカップリング本体(C)の内部へ電線管(P)を相対的に無理なく挿入できるようになっている。
【0031】
他方、各リングパッキング(21)(21)における外周面の中央部には、弾性変形を助勢するための凹周溝(21b)(21b)が付与されることにより、そのリングパッキング(21)(21)自身の断面形状として、ほぼU字型を呈している。そのリングパッキング(21)(21)がカップリング本体(C)に対するリングナット(N)(N)の締付け圧縮力を受けた時だけ、自づと内向きに膨張して、電線管(P)の外周面へ圧着し得るようになっているのである。
【0032】
上記リングナット(N)(N)はやはり亜鉛合金ダイカスト製品として、その前後一対の対称に造形されており、カップリング本体(C)の上記口径(D1)とほぼ等しい口径(D1)を備えている。(22)(22)は上記カップリング本体(C)とほぼ等しい外径寸法(例えば約91.3 mm 〜159.3 mm )を備えることにより、その開口端面に係合するナット本体であって、これからカップリング本体(C)に向かって張り出す差込みフランジ(23)(23)の外周面には、そのカップリング本体(C)の上記雌ネジ(19)(19)と螺合締結し得る雄ネジ(24)(24)が対応形成されている。
【0033】
そして、図4、6、11、12のような上記リングナット(N)(N)が弛緩している当初の組立状態から、そのカップリング本体(C)へ内嵌状態に螺合締結されたリングナット(N)(N)が締め付けられると、その締付け力を受けて徐々に圧縮される上記リングパッキング(21)(21)は、その外周面に陥没している凹周溝(21b)(21b)の助勢力とも相俟って、図13のような内向き凸曲状態に自づと膨張変形し、電線管( P)の外周面へ強く圧着することになる。
【0034】
(25)(25)は上記ナット本体(22)(22)から差込みフランジ(23)(23)との逆向きに張り出された複数(図では合計4個)の回動操作工具用係止角片であって、カップリング本体(C)の前後方向から見て放射対称型に点在分布しており、その各個へ360度の自由な方向からモンキーレンチなどの小型回動操作工具(T2)を、便利良く係止させることができるようになっている。
【0035】
(26)(26)は耐摩耗性や自己潤滑性などを有する硬質な合成樹脂材(好ましくは商品名:ジュラコン)から、上記リングパッキング(21)(21)の口径(D2)とほぼ等しい口径(D2)に造形された滑動リングの前後一対であって、これが上記リングナット(N)(N)の差込みフランジ(23)(23)と、リングパッキング(21)(21)との隣り合う前後相互間へ介挿セットされることにより、上記リングパッキング(21)(21)がリングナット(N)(N)の締付け捻り力を直かに受けて、摺り切れてしまうおそれを予防するスペーサーとして働く。
【0036】
更に、(27)は上記カップリング本体(C)における胴部の中間に位置しつつ、その内周面から一定深さ(G)だけ陥没する状態に切り欠かれた一条のセンター仕切りパッキング受け入れ凹溝であり、その切り欠き深さ(G)が上記リングパッキング受け入れ溝(20)(20)のそれらとほぼ等しく寸法化されている。
【0037】
(28)はその仕切りパッキング受け入れ凹溝(27)内へ嵌め付けセットさた防水用センター仕切りパッキングであり、引裂抵抗を有するクロロプレンゴム(CR)(好ましくは商品名:ネオプレン)やその他の弾性材からリング状に造形されているが、そのほぼ中央部からは先細りの断面楔型をなす電線管受け止めリップ(29)が、上記カップリング本体(C)の内周面から一定量(Z)だけ内向きに、且つそのカップリング本体(C)の筒芯線(O−O)と鋭角(β)に交叉する傾斜姿勢状態として張り出されてもいる。
【0038】
そのカップリング本体(C)の内周面から内向きに張り出す一定量(Z)は、電線管(P)の肉厚とほぼ等しい寸法として、又そのカップリング本体(C)の筒芯線(O−O)と交叉する鋭角(β)は、約25度〜45度として各々設定することが望ましい。
【0039】
しかも、このような電線管受け止めリップ(29)を境界として、そのリップ(29)の背側となるセンター仕切りパッキング(28)の一半部(28f)では、仕切りパッキング(28)の口径(D1)がカップリング本体(C)の上記口径(D1)とほぼ等しく寸法化されているに反して、同じく電線管受け止めリップ(29)の腹側となるセンター仕切りパッキング(28)の他半部(28r)では、その仕切りパッキング(28)の口径(D3)がカップリング本体(C)の口径(D1)よりも若干大きく寸法化されており、その口径(D1)(D3)の大小差だけ陥没した溝内へ、上記電線管受け止めリップ(29)が図11のように倒れ込み没入し得るようになっている。
【0040】
つまり、センター仕切りパッキング(28)の肉厚がその電線管受け止めリップ(29)の背側となる一半部(28f)では、上記センター仕切りパッキング受け入れ凹溝(27)の切り欠き深さ(G)と対応する厚肉状態として、同じくリップ(29)の腹側となる他半部(28r)では、そのセンター仕切りパッキング受け入れ凹溝(27)の切り欠き深さ(G)よりも言わば浅い薄肉状態として、互いに相違変化されているのである。
【0041】
そして、このようなセンター仕切りパッキング(28)のほぼ中央部から、断面楔型の電線管受け止めリップ(29)が予じめ前後何れか一方への傾斜姿勢状態として、カップリング本体(C)の内周面から一定量(Z)だけ内向きに張り出しているため、図11の ようにその傾斜姿勢状態に順応する方向(F)から、電線管(P)をカップリング本体(C)へ挿入した時には、そのリップ(29)が円滑に伏倒作用して、カップリング本体(C)に対する電線管(P)の相対的な送り配管が可能となる。
【0042】
又、図12のように上記リップ(29)の傾斜姿勢状態と逆らう方向(R)から、電線管(P)をカップリング本体(C)へ挿入した時には、その電線管(P)の切断端面がリップ(29)に自づと衝当して、そのリップ(29)がカップリング本体(C)の内周面からほぼ直角な姿勢状態に起立するため、その楔作用により電線管(P)がカップリング本体(C)の貫通不能として、確実に受け止められることとなる。
【0043】
従って、前後の両方向(F)(R)から電線管(P)をカップリング本体(C)へ挿入すれば、図13、14のようにその切断端面同志がカップリング本体(C)内の中間部に介在する上記リップ(29)によって、自づと正確な突き合わせ接続状態に保たれることとなり、その何れの電線管(P)もカップリング本体(C)から螺進操作された上記押えボルト(B)(B)(B)(B)と、リングナット(N)(N)の締付け圧縮力を受けて内向きに膨張変形したリングパッキング(21)(21)とによって、完全な抜け止め状態に固定維持されるのであり、併せて防水効果も達成される。
【0044】
(30)は上記電線管受け止めリップ(29)の順応方向(F)を外部から目視できるようにするための案内矢印であり、カップリング本体(C)における胴部の外周面に付与されている。その結果、その案内矢印(30)に応じて電線管(P)をカップリング本体(C)へ挿入すれば、その相対的な送り配管をすばやく正確に行なえることとなり、現場作業性の向上に役立つ。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明のネジ無し電線管用カップリングでは、そのネジ無し電線管(P)との対応的なほぼ円筒型に造形されたカップリング本体(C)と、
【0046】
点在分布する防水用平パッキング(18)(18)(18)(18)をスプリングワッシャとして、上記カップリング本体(C)へ外周方向から各々進退操作自在に植え込み螺入された偶数個の電線管用押えボルト(B)(B)(B)(B)と、
【0047】
上記カップリング本体(C)の中間部に位置しつつ、その内周面から一定深さ(G)だけ切り欠かれたセンター仕切りパッキング受け入れ凹溝(27)へ、嵌め付けられたリング状の防水用センター仕切りパッキング(28)と、
【0048】
同じくカップリング本体(C)の開口両端部へ前後対称な断面ほぼL字型として、その内周面から一定深さ(G)だけ切り欠かれた一対のリングパッキング受け入れ溝(20)(20)へ、各々嵌め付けられた防水用リングパッキング(21)(21)と、
【0049】
その各リングパッキング(21)(21)を締付け圧縮するために、上記カップリング本体(C)の開口両端部へ前後方向から内嵌状態に螺合締結された一対のリングナット(N)(N)と、
【0050】
上記リングパッキング(21)(21)の摺り切れ防止用として、そのリングパッキング(21)(21)と上記リングナット(N)(N)との隣り合う前後相互間へ、各々介挿された硬質な合成樹脂製の滑動リング(26)(26)と、
【0051】
上記カップリング本体(C)の外周面へ目視可能に付与された電線管(P)の挿入方向(F)を示す案内矢印(30)とを備え、
【0052】
上記リングパッキング(21)(21)を何れもカップリング本体(C)の口径(D1)よりも若干大きな口径(D2)の断面ほぼU字型に造形することにより、そのリングパッキング(21)(21)が各々カップリング本体(C)に対する上記リングナット(N)(N)の締付け圧縮力を受けた時だけ、内向きに膨張変形して電線管(P)の外周面へ圧着するように定めると共に、
【0053】
上記センター仕切りパッキング(28)の内周面からカップリング本体(C)の筒芯線(O−O)と鋭角(β)に交叉する断面楔型の電線管受け止めリップ(29)を、一定量(Z)だけ斜め内向きに張り出して、
【0054】
上記案内矢印(30)が示すリップ(29)の傾斜姿勢状態に順応する矢印方向(F)からカップリング本体(C)へ電線管(P)を挿入した時には、上記リップ(29)が伏倒作用することにより、そのカップリング本体(C)に対する電線管(P)の相対的な送り配管を許す一方、
【0055】
上記案内矢印(30)と逆な方向(R)からカップリング本体(C)へ電線管(P)を挿入した時には、そのリップ(29)が電線管(P)の切断端面と衝当して起立作用することにより、その電線管(P)を貫通不能に受け止めるように定めてあるため、冒頭に述べた従来技術の諸問題を完全に改良できる効果がある。
【0056】
即ち、本発明の上記構成によれば、カップリング本体(C)の開口両端部へ前後対称な断面ほぼL字型として切り欠かれた一定深さ(G)のリングパッキング受け入れ溝(20)(20)には、そのカップリング本体(C)の口径(D1)よりも若干大きな口径(D2)を備えた断面ほぼU字型の防水用リングパッキング(21)(21)が各々嵌め付けられており、そのリングパッキング(21)(21)はリングナット(N)(N)の弛緩しているカップリングの組立状態において、未だ図4、6のようなカップリング本体(C)の内周面から退避した沈没状態にあるため、そのカップリング本体(C)の内部へ前後方向から電線管(P)を一切の抵抗なく、そのまま円滑に挿入作業することができ、上記リングパッキング(21)(21)を一旦カップリング本体(C)から取りはずして、予じめ電線管(P)へ通し込んでおく必要がない。
【0057】
そして、上記弛緩状態にあるリングナット(N)(N)を、そのままカップリング本体(C)に対して締め上げれば、その締付け圧縮力を受けた上記リングパッキング(21)(21)が、カップリング本体(C)の内周面から図13のような内向きに自づと膨張変形して、電線管(P)の外周面へ強く圧着するようになっているため、その電線管(P)の安定・強固な抜け止め効果と防水効果を達成することができ、電線管(P)の接続配管作業性と引き抜け対抗強度に優れる。
【0058】
その場合、上記リングパッキング(21)(21)とリングナット(N)(N)との隣り合う前後相互間には、そのリングパッキング(21)(21)の摺り切れ防止用となる硬質な合成樹脂製の滑動リング(26)(26)が各々介挿されているため、上記リングナット(N)(N)から防水用リングパッキング(21)(21)に波及する直接的な締付け圧縮力を、滑動リング(26)(26)のスペーサー機能によって緩和でき、その滑動リング(26)(26)が所謂空滑りして、上記リングパッキング(21)(21)の摺り切れ損傷するおそれを防止し得る効果がある。
【0059】
しかも、上記カップリング本体(C)の中間部に切り欠かれた一定深さ(G)のセンター仕切りパッキング受け入れ凹溝(27)へ、嵌め付けられたリング状の防水用センター仕切りパッキング(28)からは、カップリング本体(C)の筒芯線(O−O)と鋭角( β)に交叉する断面楔型の電線管受け止めリップ(29)が、そのカップリング本体(C)の内周面から一定量(Z)だけ斜め内向きに張り出されており、そのリップ(29)の傾斜姿勢状態に順応する方向(F)からカップリング本体(C)へ電線管(P)を挿入した時には、上記リップ(29)が伏倒作用することにより、そのカップリング本体(C)に対する電線管(P)の相対的な送り配管を許す一方、上記リップ(29)の傾斜姿勢状態に逆らう方向(R)からカップリング本体(C)へ電線管(P)を挿入した時には、そのリップ(29)が電線管(P)の切断端面と衝当して起立作用することにより、その電線管(P)を貫通不能に受け止めるようになっている。
【0060】
この点、上記断面楔型の電線管受け止めリップ(29)はカップリング本体(C)の内周面に存在するため、その斜め内向きの姿勢状態を目視することは不可能であるところ、これに順応する電線管(P)の挿入方向(F)を示す案内矢印(30)が、カップリング本体(C)の外周面へ目視可能に付与されているので、これに従って電線管(P)をカップリング本体(C)へ正確に便利良く挿入作業することができる。
【0061】
本発明では上記のように構成されているため、図16、17に示唆する如く、ケーブル配線用中継ボックス(31)から順次派出してきた両電線管(P1)(P2)の切断端面同志を、その配管工事の最終時点において突き合わせ接続作業するような場合に、そのカップリング本体(C)に対する各電線管(P1)(P2)を一方向(F)へ送り配管する如く、これとの相対的にカップリング自身を図16のように隣り合う一方の電線管(P1)へ、又はその前後の方向を変えた図17のように他方の電線管(P2)へ各々套嵌させて、上記最終時点での突き合わせ個所(X)から一旦退避させることにより、その両電線管(P1)(P2)の切断端面同志を正確に突き合わせることができる。そのカップリング自身を套嵌させた図16、17の状態では、何れにしてもセンター仕切りパッキング(28)の電線管受け止めリップ(29)が、図11からも明白な通り、電線管(P1)(P2)によって一旦強制的に押し倒されることとなる。
【0062】
その結果、図16、17のように両電線管(P1)(P2)の切断端面同志を突き合わせた後にも、その電線管(P1)(P2)に沿ってカップリング自身を図18のように、上記突き合わせ個所(X)へ言わば跨がる接続状態に戻し操作することができ、そうすれば上記センター仕切りパッキング(28)の電線管受け止めリップ(29)が、図13からも明白なようにほぼ直角な起立状態に復元して、電線管の切断端面と衝当することになり、茲に両電線管(P1)(P2)の最終的な突き合わせ個所(X)が、本発明のカップリングによって正確な接続配管状態に固定維持されるのである。
【0063】
従って、従来技術のようなセンター仕切りボルト(5)の面倒な進退操作を一々加える必要がなく、又その仕切りボルト(5)の不慮に抜け落ちる心配もなく、電線管(P)をその配管上終始一貫して、軽快に能率良く接続作業できるのであり、上記突き合わせ個所(X)の防水効果はセンター仕切りパッキング(28)によって達成されるため、電線管用押えボルト(B)(B)(B)(B)に介挿された防水用平パッキング(18)(18)(18)(18)とも相俟って、優れた防水効果のカップリングを得られることになる。
【0064】
特に、請求項2の構成を採用するならば、その防水用リングパッキング(21)(21)の内周面を予じめカップリング本体(C)の内周面から,一層安定な退避状態に保つことができ、他方リングナット(N)(N)の締付け圧縮力を受けた時には、そのリングパッキング(21)(21)を外周面の凹周溝(21b)(21b)により内向き凸曲形態へ、ますます円滑に膨張変形させ得る効果がある。
【0065】
請求項3の構成を採用するならば、センター仕切りパッキング(28)の電線管受け止 めリップ(29)をその他半部(28r)の口径(D3)と、カップリング本体(C)の口径(D1)との大小差だけ陥没した溝内へ、確実に倒れ込み没入させることができ、電線管(P)の送り配管を円滑に行なえる効果がある。
【0066】
更に、請求項4の構成を採用するならば、リングナット(N)(N)のナット本体(22)(22)から張り出す係止角片(25)(25)(25)(25)へ、モンキーレンチなどの小型回動操作工具(T2)を360度の自由な方向から係止させて、そのリングナット(N)(N)を小さな締付けトルクのもとに便利良く回動操作できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るネジ無し電線管用カップリングの組立状態を示す斜面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図3の4−4線に沿う断面図である。
【図5】図3の5−5線に沿う断面図である。
【図6】図4の防水用リングパッキングを抽出して示す部分拡大断面図である。
【図7】図4の防水用センター仕切りパッキングを抽出して示す部分拡大断面図である。
【図8】本発明に係るネジ無し電線管用カップリングの分解状態を示す半欠截断面図である。
【図9】図8の9−9線に沿う断面図である。
【図10】押えボルトを抽出して示す斜面図である。
【図11】カップリング本体に対する電線管の送り配管状態を示す断面図である。
【図12】同じく電線管の受け止め状態を示す断面図である。
【図13】電線管の突き合わせ接続状態を示す断面図である。
【図14】図13の14−14線に沿う断面図である。
【図15】図14の15−15線に沿う部分拡大断面図である。
【図16】電線管の突き合わせ接続作業過程を示す断面模式図である。
【図17】同じく逆方向からの突き合わせ接続作業過程を示す断面模式図である。
【図18】電線管の接続完了状態を示す断面模式図である。
【図19】従来のネジ無し電線管用カップリングを分解した状態の半欠截断面図である。
【図20】図19の組立状態を示す平面図である。
【図21】図20の21−21線に沿う断面図である。
【図22】図21の22−22線に沿う部分拡大断面図である。
【符号の説明】
(10)・凸座
(11)・平パッキング受け入れ凹溝
(12)・ネジ孔
(13)・円錐頭部
(14)・ネジ軸部
(17)・喰い付き爪
(18)・防水用平パッキング
(19)・雌ネジ
(20)・リングパッキング受け入れ溝
(21)・防水用リングパッキング
(22)・ナット本体
(23)・差込みフランジ
(24)・雄ネジ
(25)・係止角片
(26)・滑動リング
(27)・センター仕切りパッキング受け入れ凹溝
(28)・防水用センター仕切りパッキング
(29)・電線管受け止めリップ
(30)・案内矢印
(B)・押えボルト
(C)・カップリング本体
(P)・電線管
(G)・切り欠き深さ
(N)・リングナット
(T1)(T2)・回動操作工具
(D1)(D2)(D3)・口径
(O−O)・カップリング本体の筒芯線
(α)・交叉角度
(β)・鋭角
(F)・順方向
(R)・逆方向
(Z)・内向き張り出し量

Claims (4)

  1. ネジ無し電線管(P)との対応的なほぼ円筒型に造形されたカップリング本体(C)と、
    点在分布する防水用平パッキング(18)(18)(18)(18)をスプリングワッシャとして、上記カップリング本体(C)へ外周方向から各々進退操作自在に植え込み螺入された偶数個の電線管用押えボルト(B)(B)(B)(B)と、
    上記カップリング本体(C)の中間部に位置しつつ、その内周面から一定深さ(G)だけ切り欠かれたセンター仕切りパッキング受け入れ凹溝(27)へ、嵌め付けられたリング状の防水用センター仕切りパッキング(28)と、
    同じくカップリング本体(C)の開口両端部へ前後対称な断面ほぼL字型として、その内周面から一定深さ(G)だけ切り欠かれた一対のリングパッキング受け入れ溝(20)(20)へ、各々嵌め付けられた防水用リングパッキング(21)(21)と、
    その各リングパッキング(21)(21)を締付け圧縮するために、上記カップリング本体(C)の開口両端部へ前後方向から内嵌状態に螺合締結された一対のリングナット(N)(N)と、
    上記リングパッキング(21)(21)の摺り切れ防止用として、そのリングパッキング(21)(21)と上記リングナット(N)(N)との隣り合う前後相互間へ、各々介挿された硬質な合成樹脂製の滑動リング(26)(26)と、
    上記カップリング本体(C)の外周面へ目視可能に付与された電線管(P)の挿入方向(F)を示す案内矢印(30)とを備え、
    上記リングパッキング(21)(21)を何れもカップリング本体(C)の口径(D1)よりも若干大きな口径(D2)の断面ほぼU字型に造形することにより、そのリングパッキング(21)(21)が各々カップリング本体(C)に対する上記リングナット(N)(N)の締付け圧縮力を受けた時だけ、内向きに膨張変形して電線管(P)の外周面へ圧着するように定めると共に、
    上記センター仕切りパッキング(28)の内周面からカップリング本体(C)の筒芯線(O−O)と鋭角(β)に交叉する断面楔型の電線管受け止めリップ(29)を、一定量(Z)だけ斜め内向きに張り出して、
    上記案内矢印(30)が示すリップ(29)の傾斜姿勢状態に順応する挿入方向(F)からカップリング本体(C)へ電線管(P)を挿入した時には、上記リップ(29)が伏倒作用することにより、そのカップリング本体(C)に対する電線管(P)の相対的な送り配管を許す一方、
    上記案内矢印(30)と逆な方向(R)からカップリング本体(C)へ電線管(P)を挿入した時には、そのリップ(29)が電線管(P)の切断端面と衝当して起立作用することにより、その電線管(P)を貫通不能に受け止めるように定めたことを特徴とするネジ無し電線管用カップリング。
  2. 各リングパッキング(21)(21)の内周面をフラット面(21a)(21a)とし、同じく外周面の中央部に弾性変形の助勢用となる凹周溝(21b)(21b)を付与したことを特徴とする請求項1記載のネジ無し電線管用カップリング。
  3. 電線管受け止めリップ(29)をセンター仕切りパッキング(28)のほぼ中央部から、電線管(P)の肉厚とほぼ等しい一定量(Z)だけ斜め内向く先細り状に張り出すと共に、
    上記リップ(29)を境界とするセンター仕切りパッキング(28)の一半部(28a)では、その仕切りパッキング(28)の口径(D1)をカップリング本体(C)の口径(D1)とほぼ等しく寸法化する一方、
    残る他半部(28r)における仕切りパッキング(28)の口径(D3)を、上記カップリング本体(C)の口径(D1)よりも若干大きく寸法化して、その口径(D1)(D3)の大小差だけ陥没した溝内へ、上記リップ(29)を倒れ込み没入させるように定めたことを特徴とする請求項1記載のネジ無し電線管用カップリング。
  4. 各リングナット(N)(N)におけるカップリング本体(C)とほぼ等しい外径寸法を備えたナット本体(22)(22)から、そのカップリング本体(C)に向かって差込みフランジ(23)(23)を張り出す一方、
    同じくナット本体(22)(22)から上記差込みフランジ(23)(23)と逆方向へ、複数の回動操作工具用係止角片(25)(25)(25)(25)を全体的な放射対称分布型に張り出したことを特徴とする請求項1記載のネジ無し電線管用カップリング。
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