JP3678899B2 - スラブ搬送用ローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄スラブ連続鋳造ラインにおける薄スラブ搬送用ローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製鉄所の薄スラブ連続鋳造ラインには、鋳造設備から圧延設備までの間にトンネル式加熱炉があり、この加熱炉の内部には、鋳造されたスラブを搬送するためのローラが長手方向に多数配設されている。
このスラブ搬送用ローラ(1)は、図8に示す如く、加熱炉(2)の中に配備されたパイプ(4)の外周の複数箇所に、タイヤ(6)が装着された構成であり、回転機構(図示せず)に連結されて回転し、鋳造されたスラブ(8)をタイヤ(6)にて担持し、約1000℃以上の高温の加熱炉(2)の中を搬送して圧延設備に運ぶ。
タイヤ(6)は、高温での耐摩耗性、耐酸化性にすぐれた材料にて形成される。
パイプ(4)は、加熱によるたわみ、変形などを防ぐために、内部に冷却水が流され、また、パイプ(4)の炉内露出部分は、断熱性材料(5)にて被覆されている。
【0003】
スラブ搬送用ローラ(1)は、パイプ(4)の外面に複数のタイヤ(6)を嵌めて、溶接などにより固定した後、該パイプ(4)の外周に多数のY型スタッド(9)を多数個立設し、キャスタブルなどの断熱性材料(5)をY型スタッド(9)の外周に外径がタイヤ(6)よりも少し低くなる程度に塗り付け、断熱性材料(5)が乾燥するまで放置することにより製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成のスラブ搬送用ローラにおいて、断熱性材料は、パイプにタイヤを取り付け、Y型スタッドを立設した後でなければ、塗り付けを行なうことができず、また、断熱性材料の乾燥は、スラブ搬送用ローラを組み立てた状態で行なわなければならないから、乾燥用の広いスペースが必要となる不具合がある。
【0005】
さらに、断熱性材料は、直接加熱炉内に露出しているから、スラブやスラブスケール等と接触するとクラックが生じ、このクラックは搬送用ローラ回転時の遠心力などにより進展する結果、断熱性材料が剥離したり、脱落することがある。これにより、パイプへの断熱効果が十分に発揮されず、パイプのたわみ、変形などの原因となることがある。
【0006】
断熱性材料を保護するために、スラブ搬送用ローラを組み立てた後、断熱性材料の周りを鋼板などで包囲することも考えられる。しかしながら、断熱性材料は、タイヤよりも外径を小さくして、スラブと接触しないように形成されるから、鋼板を筒状にして後から嵌めることはできない。
【0007】
本発明の目的は、組立てが容易であり、断熱性材料を保護すると共に摩耗を低減し、さらに偏りを防止して、長期に亘って断熱効果を維持できるスラブ搬送用ローラを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のスラブ搬送用ローラ(1)は、内部を冷却水が流通するパイプ(4)の外周の複数箇所にタイヤ(6)が固定して配備されたスラブ搬送用ローラにおいて、パイプ(4)のタイヤ(6)とタイヤ(6)の間に、内部に断熱性材料(5)を収容した筒状の保護スリーブ(7)が、タイヤ ( 6 ) と係合可能に配備され、保護スリーブ ( 7 ) は、タイヤ ( 6 ) に直接固定されることなくパイプ(4)と一体回転可能であり、該保護スリーブ(7)の内部には、断熱性材料(5)を固定する動き止め部材(77)が設けられ、断熱性材料(5)が、パイプ(4)と一体に回転するようにしたものである。
【0009】
保護スリーブ(7)は、筒状のスリーブ部材(71)と、該スリーブ部材(71)の両開口部に夫々取り付けられた側板(73)(73)を具えた構成とし、動き止め部材(77)は、パイプ(4)の軸方向と略平行に配備され、端部が夫々保護スリーブ(7)の側板(73)(73)に固定される棒状又は板状の構成とすることができる。
【0010】
保護スリーブ(7)の内部に収容される断熱性材料(5)として、Al2O3繊維、SiO2繊維、ZnO2繊維などの繊維状の材料を挙げることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
パイプは、内部を冷却水が流通可能であり、端部が回転機構(図示せず)に接続可能となっている公知のものを用いることができる。
【0012】
タイヤ(6)は、高温での耐摩耗性、耐酸化性にすぐれた材料を一体鋳造成形したもの、図4に示すように、複数の鋳造部材を組み合わせて、タイヤ(6)内に断熱空間(63)を形成したものなど、種々の構造を挙げることができる。また、後述する保護スリーブ(7)と係合させるために、タイヤ(6)の片面又は両面には、係合手段(61)を形成することが望ましい。係合手段(61)として、図4では、キーを突設している。
【0013】
図2は、保護スリーブ(7)、断熱性材料(5)及び動き止め部材(77)の分解斜視図である。
保護スリーブ(7)として、筒状のスリーブ部材(71)と、該スリーブ部材(71)の両開口を閉じる側板(73)(73)からなる構造を挙げることができる。スリーブ部材(71)は、外径をタイヤ(6)よりも小さくして、スラブを搬送する際に、タイヤ(6)のみがスラブと接触し、スリーブ部材(71)はスラブと直接接触しないようにすることが望ましい。
スリーブ部材(71)の端部には、前記タイヤ(6)に係合する係合手段(75)が設けられる。係合手段(75)として、図示の実施例ではスリーブ部材(71)の両端に夫々キー溝を形成している。
側板(73)(73)は、スリーブ部材(71)の内側に嵌まる板状体であって、スリーブ部材(71)に溶接などにより固定される。側板(73)の略中央には、前記パイプ(4)を若干の余裕を持って嵌めることのできる貫通孔(74)が開設される。
【0014】
保護スリーブ(7)の内部には、断熱性材料(5)が収容される。断熱性材料(5)として、Al2O3繊維、SiO2繊維、ZnO2繊維などの繊維状の材料又はこれらを適宜混ぜ合わせた材料を挙げることができる。繊維状の材料を使用することにより、キャスタブルを使用する場合に比べて、断熱性材料(5)を大幅に軽量化することができる。
【0015】
断熱性材料(5)には、図2に示すように、保護スリーブ(7)の内部に収容可能な外径に予め加工すると共に、中央にパイプ(4)が貫通する孔(81)、該孔(81)の周囲に後述する動き止め部材(77)が貫通する孔(82)を開設しておくことが望ましい。
【0016】
保護スリーブ(7)の内部には、断熱性材料(5)と共に、断熱性材料(5)を固定する動き止め部材(77)が配備される。動き止め部材(77)は、好ましくは細長い棒状又は板状の形状であり、断熱性材料(5)の孔(82)を貫通し、両端が側板(73)(73)に固定された状態で配備する。このように動き止め部材(77)を保護スリーブ(7)の内部に配備することによって、断熱性材料(5)を保護スリーブ(7)に対して固定できるだけでなく、動き止め部材(77)によって保護スリーブ(7)の強度を高めることができる利点がある。
本発明のごとく、断熱性材料(5)を保護スリーブ(7)に対して固定しなければ、スラブ搬送用ローラ(1)の回転、停止時に、断熱性材料(5)は、慣性力の作用を受けて、パイプ(4)や保護スリーブ(7)と一体に動作せず、その接触界面において摩擦が生じて摩耗したり、断熱性材料(5)が保護スリーブ(7)内で偏ってしまい、断熱効果が低下することがある。本発明では、断熱性材料(5)は、動き止め部材(77)によって保護スリーブ(7)に対して動かないように固定しており、断熱性材料(5)は、タイヤ(6)及び保護スリーブ(7)と一体に回転、停止するから、摩耗や偏りが生じない。
【0017】
本発明のスラブ搬送用ローラ(1)の作製手順の一例を図3に示す。まず、図3(a)に示すように、タイヤ(6)を嵌めた後、該タイヤ(6)を、空転防止のためにパイプ(4)に溶接(65)によって固定する。つぎに、図3(b)に示すように、保護スリーブ(7)をパイプ(4)に嵌める。その後、図3(c)に示すように、保護スリーブ(7)を挟み込むように、次のタイヤ(6a)をパイプ(4)に嵌め、タイヤ(6)(6a)の一方又は両方を保護スリーブ(7)と係合させて、まだ固定されていないタイヤ(6a)を溶接(65)により固定する。この動作を複数回繰り返すことにより、スラブ搬送用ローラ(1)が作製される。
【0018】
本実施例では、保護スリーブ(7)は、タイヤ(6)に直接固定されておらず、係合手段(61)(75)により係合するようにしているので、使用時、自由に熱膨張することができ、応力がタイヤ(6)やパイプ(4)に加わることがなく、保護スリーブ(7)の変形を防止できる。
なお、保護スリーブ(7)は、隣接する両方のタイヤに係合することが望ましいが、何れか一方のタイヤに係合すれば、保護スリーブ(7)はパイプ(4)と一体に回転でき、性能上の問題はない。
【0019】
また、タイヤ(6)と保護スリーブ(7)は、最終的に交互に位置するように配置されれば、パイプ(4)にこれらを嵌める順序は、特に限定されず、例えば、先に保護スリーブ(7)を嵌め、次にタイヤ(6)を嵌めて固定を行なってもよい。また、タイヤ(6)をパイプ(4)に嵌めて固定し、その両側に保護スリーブ(7)を夫々嵌め、次に各保護スリーブ(7)を挟むようにタイヤ(6)を嵌めて固定することもできる。
【0020】
スラブ搬送用ローラ(1)のタイヤ(6)と保護スリーブ(7)の配列の両端には、タイヤ(6)間に位置する保護スリーブ(7)よりも外径の小さい保護スリーブ(79)(79)を配置し、スラブ(8)の両側が重みで撓んでも保護スリーブ(7)と接触しないように形成することが望ましい。
【0023】
【発明の効果】
本発明のスラブ搬送用ローラ(1)は、断熱性材料(5)を保護スリーブ(7)の内部に収容して、動き止め部材(77)で固定し、保護スリーブごとパイプ(4)へ嵌め込み、係合するだけでパイプ(4)に取り付けできる。
また、断熱性材料(5)は、動き止め部材(77)によって、パイプ(4)及び保護スリーブ(7)と一体回転可能に固定されているから、断熱性材料(5)とパイプ(4)及び保護スリーブ(7)との間に摩擦が生じることもなく、断熱性材料が偏って断熱効果が低減することもない。従って、長期に亘ってすぐれた断熱効果を維持することができる。
さらに、断熱性材料(5)として繊維状の材料を使用できるから、キャスタブル使用の場合に比べて、スラブ搬送用ローラの軽量化を達成できる。
【0024】
また、断熱性材料(5)が保護スリーブ(7)にて包囲されているから、断熱性材料(5)が、直接加熱炉内に露出しない。従って、スラブやスラブスケール等との接触によってクラックを生ずることはなく、断熱性材料(5)の剥離、脱落を防止できる。
【0025】
さらに、保護スリーブ(7)は、保護スリーブ(7)に隣接するタイヤ(6)と係合可能となるようにした場合には、保護スリーブ(7)は自由に熱膨張でき、タイヤ(6)やパイプ(4)に応力が及ばない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスラブ搬送用ローラの断面図である。
【図2】本発明の保護スリーブ、断熱性材料及び動き止め部材の分解斜視図である。
【図3】本発明のスラブ搬送用ローラの組立て工程を示す図である。
【図4】タイヤの軸方向に沿う断面図である。
【図5】保護スリーブの軸方向に沿う断面図である。
【図6】保護スリーブを軸方向に見た正面図である。
【図7】タイヤと保護スリーブの係合部分を示す側面図である。
【図8】 従来のスラブ搬送用ローラの断面図である。
【符号の説明】
(1) スラブ搬送用ローラ
(4) パイプ
(5) 断熱性材料
(6) タイヤ
(7) 保護スリーブ
(73) 側板
(77) 動き止め部材
Claims (3)
- 内部を冷却水が流通するパイプ(4)の外周の複数箇所にタイヤ(6)が固定して配備されたスラブ搬送用ローラにおいて、
パイプ(4)のタイヤ(6)とタイヤ(6)の間には、内部に断熱性材料(5)を収容した筒状の保護スリーブ(7)が、タイヤ ( 6 ) と係合可能に配備され、保護スリーブ ( 7 ) は、タイヤ ( 6 ) に直接固定されることなくパイプ(4)と一体回転可能であり、
該保護スリーブ(7)の内部には、断熱性材料(5)を固定する動き止め部材(77)が設けられ、断熱性材料(5)が、パイプ(4)と一体に回転するようにしていることを特徴とするスラブ搬送用ローラ。 - 保護スリーブ(7)は、筒状のスリーブ部材(71)と、該スリーブ部材(71)の両開口部に夫々取り付けられた側板(73)(73)を具えており、
動き止め部材(77)は、パイプ(4)の軸方向と略平行に配備され、端部が夫々保護スリーブ(7)の側板(73)(73)に固定される請求項1に記載のスラブ搬送用ローラ。 - 保護スリーブ(7)の内部に収容される断熱性材料(5)は、繊維状の材料である請求項1又は請求項2に記載のスラブ搬送用ローラ。
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JPH11217624A JPH11217624A (ja) | 1999-08-10 |
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1998
- 1998-01-29 JP JP01627598A patent/JP3678899B2/ja not_active Expired - Fee Related
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