JP3678147B2 - 高強度高靱性エアバッグ用鋼管とその製造方法 - Google Patents

高強度高靱性エアバッグ用鋼管とその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工性と溶接性に優れ、かつ780N/mm2以上の高強度、高靱性が要求されるエアバッグ用に適した高強度高靱性鋼管とその製造方法に関する。特に−40℃で内圧バースト試験を行っても、脆性破面を呈さないことを特徴とする高強度高靱性エアバッグ用鋼管とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車産業においては、安全性を追求した装置の導入が積極的に進められているが、その中でも衝突時に乗員がハンドルやインストルメントパネルなどに衝突する前に、それらと乗員との間にガス等でエアバッグを展開させ、乗員の運動エネルギーを吸収して傷害の軽減を図るエアバッグシステムが開発搭載されるに至っている。
【0003】
エアバッグシステムとしては、従来爆発性薬品を使用する方式が採用されてきたが、高価であり、かつ環境問題、リサイクル問題から近年アルゴンガス充填鋼管製アキュムレータを使用するシステムが開発された。そしてこのアルゴンガス等のアキュムレータに用いる鋼管は、衝突時にエアバッグ内に吹き出す不活性ガス等を高圧に保ったうえで、衝突時少量の火薬点火時のガスを付加し、一気にガスを噴出させるので、極めて短時間に大きな歪速度で応力が付加されるため、従来の圧力シリンダーやラインパイプのような単なる構造物と異なり、高強度、高靱性と共に高加工性ならびに溶接性が要求される。特に、寒冷地での使用を考えると、−40℃程度でも十分な靱性を有することが求められる。
【0004】
この目的のために、従来技術にあってもすでに以下の提案がされている。
特開平8−325641号公報には、C:0.01〜0.15%とするとともに、Mo:0.05〜0.50%、V:0.02〜0.10%、Ni:0.05〜0.50%、Cr:0.05〜1.00%、Cu:0.05〜0.50%、Ti:0.02〜0.10%、Nb:0.02〜0.10%、B:0.0005〜0.005 %のうち1種以上を含有する鋼を製管後、焼入焼戻し処理を行ったのち、冷間引抜き加工をして、焼鈍を行う加工性に優れた高強度高靱性鋼管の製造方法が提案されている。
【0005】
特開平10−140238号公報には、C:0.01〜0.20%とするとともに、Mo:0.50%以下、V:0.10%以下、Ni:0.50%以下、Cr:1.00%以下、Cu:0.50%以下、Ti:0.10%以下、Nb:0.10%以下、B:0.005 %以下のうち1種以上を含有する鋼を熱間製管後、応力除去焼鈍、焼なまし、焼きならし、焼入れのまま、あるいは焼入れ焼戻し処理を施す高強度高靱性エアバッグ用鋼管の製造方法が提案されている。
【0006】
特開平10−140249号公報には、C:0.01〜0.20%とするとともに、Mo:0.50%以下、V:0.10%以下、Ni:0.50%以下、Cr:1.00%以下、Cu:0.50%以下、Ti:0.10%以下、Nb:0.10%以下、B:0.005 %以下のうち1種以上を含有する鋼を製管後、850 〜1000℃で焼ならしたのち、所定の寸法に冷間加工を施したまま、もしくは応力除去焼鈍、焼ならしまたは焼入れ焼戻し処理を施す高強度高靱性エアバッグ用鋼管の製造方法が提案されている。
【0007】
特開平10−140250号公報には、C:0.01〜0.20%とするとともに、Mo:0.50%以下、V:0.10%以下、Ni:0.50%以下、Cr:1.00%以下、Cu:0.50%以下、Ti:0.10%以下、Nb:0.10%以下、B:0.005 %以下のうち1種以上を含有する鋼を製管後、850 〜1000℃で焼入れしたのち、所定の寸法に冷間加工を施したまま、もしくは冷間加工後焼なまし処理を施す高強度高靱性エアバッグ用鋼管の製造方法が提案されている。
【0008】
特開平10−140283号公報においては、C:0.01〜0.20%とするとともに、Mo:0.50%以下、V:0.10%以下、Ni:0.50%以下、Cr:1.00%以下、Cu:0.50%以下、Ti:0.10%以下、Nb:0.10%以下、B:0.005 %以下のうち1種以上を含有する鋼を製管後、所定の寸法に冷間加工を施したまま、もしくは冷間加工後焼なまし、焼ならしまたは焼入れ焼戻し処理することによって、高寸法精度で高強度、高靱性が要求されるエアバッグ用鋼管が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いずれの提案も、今日求められているエアバッグシステムに用いるアキュムレータ鋼管として価格面、性能面を共に満足するものはない。
【0010】
本発明の目的は、加工性と溶接性に優れ、かつ高強度、高靱性が要求されるエアバッグ用部品に適した加工性に優れた高強度高靱性鋼管とその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、従来のものは熱処理条件や粒度が規定されておらず、バースト破面特性も不明である。より良好な靱性が要求される場合には、靱性に影響を及ぼすオーステナイト結晶粒の大きさを規定する必要があることを着想した。
【0012】
この点、「低温用高強度ERW-OCTG AP15AC L80 の開発」 (鉄と鋼、Vol.72、No.5、p.S462 1986)において、高周波焼入れを施してオーステナイト粒を微細化することにより靱性を向上させる方法が提案されている。しかし、これは油井管用途でしかもここで得られている結晶粒度は10.8であり、エアバッグ用鋼管として用いるには十分な靱性が得られていない。
【0013】
ここに本発明者らは、エアバッグシステムのアキュムレータ用鋼管に適した特定成分を見出した。また、かかる化学成分の鋼を製管後、所定の寸法精度を得るために冷間加工を行い、その後、所定の熱処理を施すことによりオーステナイト結晶粒度番号11.0以上が容易に実現でき、そのとき高強度、高靱性鋼管が得られることを見出した。
【0014】
すなわち、エアバッグ用鋼管としてその改善が要求されるバースト破面特性を向上させるために必要な条件を調査した結果、図1に示すように内圧バースト試験で脆性破面を示す温度は、シャルピー衝撃試験で延性破面率100 %を確保できる下限温度(vTrs100とする) より低いことを見出した。特に、エアバッグに必要とされる性能は、−40℃における内圧バースト試験で脆性破面を示さないことであるが、vTrs100 =−40℃の材料でこの性能を満足している。
【0015】
図1は後述する実施例で使用した材料を含めてそれぞれのvTrs100 を備えた材料を用意して温度を変えながら内圧バースト試験を行った結果を示すグラフである。
【0016】
なお、本発明では靱性をvTrs100 で評価しているが、これは十分な安全率を考慮した評価である。
この内圧バースト試験に用いた材料のオーステナイト結晶粒度とvTrs100 との関係は図2のようになるので、靱性を向上させるためにはオーステナイト結晶粒度を大きくすればよいことを見出した。
【0017】
ここに、本発明は次の通りである。
(1)質量%で、
C:0.05〜0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.50〜2.00%、
P:0.020 %以下、 S:0.020 %以下、sol.Al:0.10%以下、
Mo:0.10〜0.50%、Cr:0.10〜1.00%、Cu:0.10〜0.50%、
Ti:0.005 〜0.050 %、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有し、焼入れ、焼戻し処理後のオーステナイト結晶粒度が11.0以上であることを特徴とする、− 40 ℃の内圧バースト試験を行っても脆性破面を呈さない高強度高靱性エアバッグ用鋼管。
【0018】
(2)前記鋼組成が、さらに、質量%で、
Ni:0.10〜0.50%、およびNb:0.010 〜0.050 %のうち1種以上
を含有する上記 (1)記載の高強度高靱性エアバッグ用鋼管。
【0019】
(3)質量%で、
C:0.05〜0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.50〜2.00%、
P:0.020 %以下、 S:0.020 %以下、sol.Al:0.10%以下、
Mo:0.10〜0.50%、Cr:0.10〜1.00%、Cu:0.10〜0.50%、
Ti:0.005 〜0.050 %を含有し、
さらに必要により、Ni:0.10〜0.50%およびNb:0.010 〜0.050 %のうち1種以上
残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼材から製管後、得られた管材に冷間加工を施して所定の寸法にした後に、900 〜960 ℃で炉焼入れ、焼戻し処理をしてオーステナイト結晶粒度を11.0以上とすることを特徴とする、− 40 ℃の内圧バースト試験を行っても脆性破面を呈さない高強度高靱性エアバッグ用鋼管の製造方法。
【0020】
(4)質量%で、
C:0.05〜0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.50〜2.00%、
P:0.020 %以下、 S:0.020 %以下、sol.Al:0.10%以下、
Mo:0.10〜0.50%、Cr:0.10〜1.00%、Cu:0.10〜0.50%、
Ti:0.005 〜0.050 %を含有し、
さらに必要により、Ni:0.10〜0.50%、およびNb:0.010 〜0.050 %のうち1種以上
残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼材から製管後、得られた管材に冷間加工を施して所定の寸法にした後に、900 〜1000℃で高周波焼入れ、焼戻し処理をしてオーステナイト結晶粒度を11.0以上とすることを特徴とする、− 40 ℃の内圧バースト試験を行っても脆性破面を呈さない高強度高靱性エアバッグ用鋼管の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する鋼材の化学成分、つまり鋼組成を上述のように規定した限定理由は以下の通りである。なお、本明細書において鋼組成を示す「%」はとくにことわりがない限り、「質量%」である。
【0022】
C:0.05〜0.20%
Cは鋼の必要な強度を安価に得るために添加する元素であるが、0.05%未満では十分な強度が得られず、また、高周波焼入れ時の冷却速度によって強度のばらつきが大きくなる。また、0.20%を越えると加工性ならびに溶接性が悪化すると共に、靱性が低下するため、0.05〜0.20%とした。好適上限は、0.15%、下限は0.05%である。
【0023】
Si:0.50%以下
Siは鋼の冷間加工性を阻害する元素であり、0.50%を越えると加工性が悪化するため、0.50%以下とした。好ましくは、0.30%以下である。
【0024】
Mn:0.50〜2.00%
Mnは鋼の強度と靱性を向上させるのに有効な元素であるが、0.5 %未満では十分な強度と靱性が得られず、また、2.00%を越えると溶接性が悪化するため、0.50〜2.00%とした。好適下限は0.80%、上限は1.60%である。
【0025】
P:0.020 %以下
P粒界偏析に起因する靱性低下をもたらすため、0.020 %以下とした。
S:0.020 %以下
Sは鋼中のMnと化合してMnS による介在物を形成し、加工性の悪化ならびに靱性を低下させるため、0.020 %以下とした。
【0026】
Al:0.10%以下
Alは加工性を向上させるのに有効な元素であるが、0.10%を越えるとその効果が小さくなるため、0.10%以下とした。
【0027】
鋼中の化学組成割合を上記の鋼組成のように限定することによって、エアバッグのアキュムレータ用鋼管として十分な強度、靱性と高加工性、溶接性を得ることができるが、さらにMo、Ni、Cr、Cu、Ti、Nbを1種以上添加することでより高い強度・靱性を得ることができる。これらの添加成分は、いずれも靱性を向上させる効果を有るが、その含有量の限定理由は以下のとおりである。
【0028】
Mo:0.10〜0.50%
Moは固溶強化により高強度化すると共に、焼入れ性を向上させて靱性を改善する効果があるが、0.10%未満では効果がなく、0.50%を越えると溶接部が硬化し、かえって靱性が低下するため、0.10〜0.50%とした。
【0029】
Ni:0.10〜0.50%
Niは焼入れ性を改善すると共に靱性を向上させるのに有効な元素であるが、0.10%未満では効果がなく、0.50%を越えてもその作用があるものの高価なため、0.10〜0.50%とした。
【0030】
Cr:0.10〜1.00%
Crは鋼の強度・靱性と耐食性を向上させるのに有効な元素であるが、0.10%未満では効果がなく、1.00%を越えると加工性ならびに溶接部の靱性を低下させるため、0.10〜1.00%とした。
【0031】
Cu:0.10〜0.50%
Cuは鋼の耐食性、靱性を向上させるのに有効な元素であるが、0.10%未満では効果がなく、0.50%を越えると熱間加工性を悪化させるため、0.10〜0.50%とした。
【0032】
Ti:0.005 〜0.05%
Tiは組織を微細化することにより靱性の向上に有効であるが、0.005 %未満では効果がなく、0.05%を越えると逆に靱性を悪化させるため、0.005 〜0.05%とした。
【0033】
Nb:0.01〜0.05%
NbはTiと同様に組織を微細化することにより靱性の向上に有効であるが、0.01%未満では効果がなく、0.05%を越えると逆に靱性を悪化させるため、0.01〜0.05%とした。
【0034】
その他、Vについては合計量で0.01%以下程度含有されることは許容される。残部は不可避的不純物を除いてFeである。
本発明によれば、かかる鋼組成を有する鋼管は、焼入れ・焼戻し処理後のオーステナイト結晶粒度が11.0以上となる。結晶粒度が11.0未満であると十分な強度や靱性が得られない。好ましくは12.0以上である。オーステナイト結晶粒度は焼入れ焼戻し条件を変更することで調整することができる。
【0035】
序いでながら、オーステナイト結晶粒度は鋼を変態点以上に加熱したときに、その温度と保持時間とによって定まる結晶粒度である。その種類としては炭素鋼などを熱処理によってオーステナイト結晶粒度を顕出されるものと、すでに実際の結晶粒が生成されているオーステナイトステンレス鋼の2種類がある。本発明鋼の場合は前者に相当する。本来、前者の場合のオーステナイト結晶粒は、A1 変態点以下の温度領域においてはオーステナイト組織は存在していないので、「旧オーステナイト結晶粒」と呼ぶべきであるが、JIS G 0551 では「オーステナイト結晶粒」と呼んでいるので、本発明においても「オーステナイト結晶粒」と呼ぶことにする。
【0036】
また、本発明鋼は焼入れ、焼戻し熱処理を実施しているために、微細なマルテンサイト・ベイナイト組織となっている。従ってJIS G 0551 に記載のBechet- Beaujard法により、熱処理を行わずに鋼をビクリン酸飽和水溶液で腐食させることで、オーステナイト結晶粒を顕出させた。
【0037】
本発明においては、上記のように化学成分を調整した鋼材を素材として製管する。このようにして製管された鋼管は、エアバッグのアキュムレータ用として十分な強度、靱性と高加工性と溶接性を確保することができる。
【0038】
上記のように化学成分を調整した鋼材を素材として製管された鋼管で高強度、高靱性を得るためには冷間加工後に焼入れ焼戻し処理をすることが望ましい。
一般的に、焼入れには、適宜加熱炉で加熱する炉焼入れと誘導加熱焼入れ (高周波焼入れ) の2通りがあるが、900 〜960 ℃での炉焼入れで本発明にかかる鋼組成を有する鋼の場合、オーステナイト結晶粒度を11.0以上とすることが可能で、エアバッグ用鋼管に要求される程度の靱性は得られる。
【0039】
ここで、900 ℃未満の温度からの炉焼入れでは十分に焼入れできないために必要な強度が得られず、一方、 960℃超の温度からの炉焼入れではオーステナイト結晶粒が粗大化して必要な靱性が得られない。
【0040】
また、より高い靱性を得るためには高周波焼入れの適用が効果的である。高周波焼入れを施すと、急速加熱、急速冷却の効果で炉による焼入れの場合よりもさらに微細なオーステナイト結晶粒を得ることができる。
【0041】
よって、900 〜1000℃で保持時間を10sec 以下とした高周波焼入れ、焼き戻し処理をして、オーステナイト結晶粒度を11.0以上とすることにより十分な高強度、高靱性を得ることができる。ここで、900 ℃未満の焼入れ温度では十分に焼入れできないために必要な強度が得られない。高周波焼入れの場合、短時間加熱であるため960 ℃以上の焼入れ温度でも必要な靱性が得られるが、1000℃超ではやはりオーステナイト結晶粒が粗大化して必要な靱性が得られない。
【0042】
通常の高周波焼入れにおける保持時間は10sec 以下であるが、保持時間は短い程結晶粒は微細化して良好な靱性が得られる。なお、高周波焼入れによる寸法の変化には再現性があるので、この寸法変化分を考慮してあらかじめ冷間加工の寸法を決めておくことにより、より高い寸法精度を得ることができる。
【0043】
次に、本発明の作用効果を実施例に関連させてさらに具体的に説明する。
【0044】
【実施例】
表1に示す化学成分の本発明鋼と比較鋼のビレットを用い、マンネスマン−マンドレルミル方式による穿孔、圧延を行ったのち、レデューサにより外径76.2mm、肉厚4.0mm に仕上げた継目無鋼管を、冷間引き抜き加工して外径60.33mm 、肉厚3.35mmに仕上げ、焼入れ、焼戻し処理をして、得られた鋼材について各種の特性を評価した。
【0045】
特性の評価は、強度、靱性、オーステナイト結晶粒度について実施した。
強度についてはJIS 11号試験片を用い、引張試験を行った。
靱性については、図3に示すように、鋼管1の円周方向から切り出して展開加工した板2にVノッチを入れてJIS Z 2202に準じた衝撃試験片3 (10mm×2.5mm −2Vノッチ) を用いてシャルピー衝撃試験を実施して、延性破面率が100 %を確保できる下限温度 (vTrs100)で評価した。オーステナイト結晶粒度については、鋼管の周方向断面をJIS G 0551に規定の方法によって測定した。
【0046】
結果は表2、表3にまとめて示す。
表2に示すとおり、試験記号A〜Mの鋼No.1〜13において、900 〜960 ℃で焼入れ焼戻しをすることによりオーステナイト結晶粒度が11.0以上となり良好な強度・靱性が得られる。
【0047】
一方、試験記号N〜Qに示す鋼No.1、5 、8 、11では900 ℃未満または960 ℃超の温度から焼入れしたために、十分な強度や靱性が得られない。また、試験記号R〜Zの鋼No.13 〜20では900 〜960 ℃の範囲内で焼入れたにもかかわらず、十分な強度や靱性が得られていない。
【0048】
表3に示すとおり、試験記号AA〜AMの鋼No.1〜13において900 〜1000℃、保持時間3sec で高周波焼入れすることによりオーステナイト結晶粒度が11.0以上となり良好な強度・靱性が得られる。
【0049】
一方、試験記号AN〜AQに示す鋼No.1、5 、8 、11では900 ℃以下または1000℃以上で高周波焼入れしたために、十分な強度や靱性が得られない。また、試験記号AR〜AZに示す鋼No.14 〜22では900 〜1000℃、保持時間3sec 以下で高周波焼入れしたにもかかわらず十分な強度靱性は得られていない。
【0050】
【表1】
Figure 0003678147
【0051】
【表2】
Figure 0003678147
【0052】
【表3】
Figure 0003678147
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鋼組成と焼入れ、焼き戻し後のオーステナイト結晶粒度を規定することで、所望の低温靱性が確保でき、エアバック用鋼管として有用な鋼管が提供できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内圧バースト試験の結果を示すグラフである。
【図2】オーステナイト結晶粒度と靱性値との関係を示すグラフである。
【図3】実施例における試験片の切り出しの様子を示す模式的説明図である。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.50〜2.00%、
    P:0.020 %以下、S:0.020 %以下、sol.Al:0.10%以下、
    Mo :0.10〜0.50%、Cr:0.10〜1.00%、Cu:0.10〜0.50%、
    Ti :0.005 〜0.050 %、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有し、焼入れ、焼戻し処理後のオーステナイト結晶粒度が11.0以上であることを特徴とする、− 40 ℃の内圧バースト試験を行っても脆性破面を呈さない高強度高靱性エアバッグ用鋼管。
  2. 前記鋼組成が、さらに、質量%で、
    Ni :0.10〜0.50%、およびNb:0.010 〜0.050 %のうち1種以上
    を含有する請求項1記載の高強度高靱性エアバッグ用鋼管。
  3. 質量%で、
    C:0.05〜0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.50〜2.00%、
    P:0.020 %以下、S:0.020 %以下、sol.Al:0.10%以下、
    Mo:0.10〜0.50%、Cr:0.10〜1.00%、Cu:0.10〜0.50%、
    Ti:0.005 〜0.050 %を含有し、
    部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼材から製管後、得られた管材に冷間加工を施して所定の寸法にした後に、900 〜960 ℃で炉焼入れ、焼戻し処理をしてオーステナイト結晶粒度を11.0以上とすることを特徴とする、− 40 ℃の内圧バースト試験を行っても脆性破面を呈さない高強度高靱性エアバッグ用鋼管の製造方法。
  4. 前記鋼組成がさらに、質量%で、 Ni 0.10 0.50 %および Nb 0.010 0.050 %のうち1種以上を含有する請求項3記載の高強度高靱性エアバック用鋼管の製造方法。
  5. 質量%で、
    C:0.05〜0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.50〜2.00%、
    P:0.020 %以下、S:0.020 %以下、sol.Al:0.10%以下、
    Mo:0.10〜0.50%、Cr:0.10〜1.00%、Cu:0.10〜0.50%、Ti:0.005 〜0.050 %を含有し、
    部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼材から製管後、得られた管材に冷間加工を施して所定の寸法にした後に、900 〜1000℃で高周波焼入れ、焼戻し処理をしてオーステナイト結晶粒度を11.0以上とすることを特徴とする、− 40 ℃の内圧バースト試験を行っても脆性破面を呈さない高強度高靱性エアバッグ用鋼管の製造方法。
  6. 前記鋼組成がさらに、質量%で、 Ni 0.10 0.50 %および Nb 0.010 0.050 %のうち1種以上を含有する請求項5記載の高強度高靱性エアバック用鋼管の製造方法。
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