JP3677156B2 - 医薬 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、速やかに有効血中濃度を得られ、かつ長時間にわたり薬効を持続させ得る医薬、とりわけ速放性組成物と放出制御組成物とを組み合わせてなる製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
オピオイド鎮痛薬は、近年末期癌の患者における激しい疼痛の対症療法において注目されている。経口モルヒネ水などの従来の速効性オピオイド製剤は、血中濃度を有効濃度に保つためには頻回投与が必要であり、投与後の血中薬物濃度の急激な立ち上がりによる副作用や習慣性の問題があるため、投与量を慎重に設定する必要があった。
薬効成分の血中濃度を長時間一定に保ち、薬効を持続させることにより投与回数を減少させる目的で、種々の医薬について徐放性製剤が広く検討されている。例えば、薬物を含む核が放出制御膜によって被覆されたカプセルタイプ製剤をはじめ多くの放出制御システムがこれまで検討されていた〔特開平7−145056号公報、特開平7−165609号公報、特開平7−206679号公報、カナダ特許出願第2,068,366号公報、特開平3−2114号公報、特開平7−138189号公報、EP0631781号公報、特表平8−501319号公報、特表平9−5056052号公報、特公平7−72130号公報〕。このようなカプセルタイプ製剤において、放出制御膜は通常親水性ないし水溶性成分を含む疎水性被覆剤からなり、その組成により薬物の放出あるいは放出速度を制御するように設計されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、疾病に伴う激しい疼痛の緩和ないし解消、および疼痛発現の抑制において、投与後速やかに有効血中濃度に達し、かつ長時間にわたり薬効を持続させ得る医薬、とりわけオピオイド鎮痛薬を含有する速放性組成物と、同薬を含有する放出制御組成物を組み合わせた医薬、特に、1日1回投与により、患者の疼痛の制御(予防・治療)可能な経口投与モルヒネ製剤を提供する。
【0004】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、前記の医薬を開発する目的で鋭意研究を行った結果、薬物を含有し、最高血中薬物濃度到達時間が約60分以内である速放性組成物と、薬物を含んでなる核を水不溶性物質およびpH依存性の膨潤性ポリマーを含む被膜剤で被覆した放出制御組成物とを組み合わせてなる製剤が、所望の薬物放出を示すことを見いだした。さらに検討を重ね、本発明を完成した。
すなわち、本発明は
(1)薬物を含有し、最高血中薬物濃度到達時間が約60分以内である速放性組成物と薬物を含んでなる核を水不溶性物質およびpH依存性の膨潤性ポリマーを含む被膜剤で被覆してなる放出制御組成物とを組み合わせてなる医薬、
(2)薬物がオピオイド鎮痛薬である上記(1)記載の医薬、
(3)オピオイド鎮痛薬がモルヒネまたはその薬理学的に許容し得る塩である上記(2)記載の医薬、
(4)速放性組成物と放出制御組成物とを含有してなる経口投与製剤である上記(1)記載の医薬、
(5)被膜剤が、さらに親水性物質を含有する上記(1)記載の医薬、
(6)被膜剤が、さらに酸を含有する上記(1)記載の医薬、
(7)親水性物質がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはポリエチレングリコールである上記(5)記載の医薬、
(8)水不溶性物質がエチルセルロースである上記(1)記載の医薬、
(9)膨潤性ポリマーが架橋型アクリル酸重合体である上記(1)記載の医薬、
(10)放出制御組成物が、水不溶性物質、膨潤性ポリマーおよび親水性物質をそれぞれ約30〜90%(w/w)、約5〜30%(w/w)および約5〜40%(w/w)含有する被膜剤を、核に対して約5〜35%(w/w)被覆したものである上記(5)記載の医薬、
(11)速放性組成物及び放出制御組成物におけるオピオイド鎮痛薬の含量の重量比が3:97〜40:60である上記(1)記載の医薬、
(12)カプセル剤である上記(1)記載の医薬、および
(13)オピオイド鎮痛薬を含有し、最高血中薬物濃度到達時間が約60分以内である速放性組成物に関する。
【0005】
本発明で用いられる薬物は特に限定されないが、例えば、
モルヒネ、ヒドロモルホン、オキシコドン、メタドン、メペリジン、ジヒドロコデイン、コデイン、ジヒドロモルヒネ、ブプレノルフィン、フェンタニルのオピオイド化合物およびその薬理学的に許容しうる塩などのオピオイド鎮痛薬、
ナプロキセンナトリウム、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナックナトリウムなどの抗炎症薬、
塩酸エフェドリン、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリン、塩酸フェニールプロパノールアミンなどの交感神経作用薬、
フェニラミン、テルフェナジンなどの抗アレルギー薬、
マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、フマル酸クレマスチンなどの抗ヒスタミン薬、
塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール、硫酸キニジンなどの強心薬、
メトプロロール、カプトプリル、塩酸ヒドララジン、ジルチアゼムなどの抗高血圧薬、
アモキシシリン、セファレキシン、クラリスロマイシン、ペニシリンVカリウム、クロキサシリンナトリウム、塩酸メトロニダゾールなどの抗生物質、
テオフィリン、サルブタモールなどの気管支拡張薬、
フルタミド、フルオロウラシルなどの抗腫瘍薬、
プロカインアミド、キニジンなどの抗不正脈薬、
フェニトインナトリウム、エトスクシミド、バプロエートナトリウムなどの抗けいれん薬、
ジアゼパム、ペルフェナジン、塩酸クロルプロマジンなどの中枢作用物質、
ファモチジン、ラニチジン、ラメチジン、オメプラゾール、ランソプラゾールなどの胃腸薬、
トルブタミド、アカルボース、ボグリボースなどの抗糖尿病薬、
塩酸ベタネコール、臭化ネオスチグミン、カルバコールなどのコリン作動薬、
ビタミン類、アミノ酸、ペプチド等が用いられる。
これらのうち、好ましくはオピオイド鎮痛薬、さらに好ましくはモルヒネまたはその薬理学的に許容しうる塩が用いられる。このような塩としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩および酒石酸、重酒石酸などの有機酸塩が挙げられる。モルヒネの塩としては、塩酸および硫酸との塩が好ましく用いられる。
速放性組成物中の薬物と、放出制御組成物中の薬物は薬物の血中濃度を投与直後から長時間一定レベル以上に保てる点で、同一薬物であるのが好ましい。同じ薬効を示すのであれば薬物は異っていてもよい。
【0006】
本発明において、放出制御組成物の被膜剤に用いられる水不溶性物質としては、例えばエチルセルロース、ブチルセルロースなどのセルロースエーテル類、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートなどのセルロースエステル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレートなどのポリビニルエステル類、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート/シンナモエチルメタクリレート/アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリメタクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、グリシジルメタクリレート共重合体、とりわけオイドラギットRS−100,RL−100,RS−30D,RL−30D,RL−PO,RS−PO(アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチル・アンモニウムエチル共重合体)、オイドラギットNE−30D(メタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体)などのオイドラギット類(ローム・ファーマ社)などのアクリル酸系ポリマー、硬化ヒマシ油(例、ラブリーワックス(フロイント産業)など)などの硬化油、カルナバワックス、脂肪酸グリセリンエステル、パラフィンなどのワックス類、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が用いられ、好ましくはセルロースエーテル、さらに好ましくはエチルセルロースが用いられる。
水不溶性物質としてセルロースエーテル類を用いる場合、その粘度は5%溶液(トルエン:エタノール=8:2(25℃))で約5ないし約120cps、好ましくは約5ないし約50cpsである。
【0007】
本発明で用いられるpH依存性の膨潤性ポリマーとしては、酸性の解離基を有し、 pH依存性の膨潤を示すポリマーであればよく、胃内のような酸性領域では膨潤が少なく、小腸や大腸などの中性領域で膨潤が大きくなる酸性の解離基を有するポリマーが好ましい。
このような酸性の解離基を有し pH依存性の膨潤を示すポリマーとしては、例えばカーボマー(Carbomer)934P、940、941、974P、980、1342等、ポリカーボフィル(polycarbophil)、カルシウムポリカボーフィル(carcium polycarbophil)(前記はいずれもBFグツドリッチ社製)、ハイビスワコー103、104、105、304(いずれも和光純薬(株)製)などの架橋型ポリアクリル酸重合体が用いられる。
pH依存性の膨潤を示すポリマーの水における粘度は、0.2%中和液中で約1,500〜約60,000cps、好ましくは約3,000〜約50,000cps、さらに好ましくは約10,000〜約30,000cpsである。分子量としては約1,000,000〜約10,000,000、好ましくは約1,000,000〜約5,000,000、さらに好ましくは約1,000,000〜約3,500,000である。
【0008】
本発明の医薬における放出制御組成物(徐放性製剤)に用いられる被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよい。
その場合親水性物質としては、例えばプルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩などの硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのヒドロキシアルキル基またはカルボキシアルキル基を有する多糖類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが用いられる。
これらのうち親水性物質としては、好ましくはヒドロキシアルキル基またはカルボキシアルキル基を有する多糖類やポリエチレングリコール、さらに好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースやポリエチレングリコールが用いられる。特に、ヒドロキシプロピルセルロースやポリエチレングリコールが好ましい。
上記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしてはメトキシル基約15〜33%(好ましくは約28〜30%)、ヒドロキシプロポキシル基が約4.0〜12.0%(好ましくは約7.0〜12.0%)であり、分子量が約10,000〜約1,200,000のものが好ましい。
上記ヒドロキシプロピルセルロースとしては分子量約10,000〜約1,250,000、好ましくは約10,000〜約100,000のものが用いられる。また、2%水溶液(20℃)の粘度が10.0cps以下のものが好ましい。
上記ポリエチレングリコールとしては分子量約800〜約10,000、好ましくは7,000〜9,500のものが好ましく用いられる。特にポリエチレングリコール6000が好ましい。
放出制御組成物の被膜剤における水不溶性物質の含有率は約30ないし約90%(w/w)、好ましくは約35ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約40ないし75%(w/w)、膨潤性ポリマーの含有率は約3ないし約30%(w/w)、好ましくは約3ないし約15%(w/w)である。被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよく、その場合被膜剤における親水性物質の含有率は約50%(w/w)以下、好ましくは約5〜約40%(w/w)、さらに好ましくは約5〜約35%(w/w)である。ここで上記%(w/w)は被膜剤液から溶媒(例、水、メタノール、エタノール等の低級アルコール等)を除いた被膜剤組成物に対する重量%を示す。
【0009】
本発明の医薬における放出制御組成物は、以下に例示するように薬物を含む核を調製し、次いで得られた核を、水不溶性物質及び pH依存性の膨潤性ポリマーを加熱溶解あるいは溶媒に溶解または分散させた被膜剤液で被覆することにより製造される。
I.薬剤を含む核の調製。
被膜剤で被覆される薬物を含む核(以下、単に核と称することがある)の形態は特に制限されないが、好ましくは顆粒あるいは細粒などの粒子状に形成される。
核が顆粒または細粒の場合、その平均粒子径は、好ましくは約150ないし2,000μm、さらに好ましくは約500ないし約1,400μmである。このうち、本明細書においては、細粒は粒子径約75〜500μmの粒子を示す。
核の調製は通常の製造方法で実施することができる。例えば、薬物に適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等を混合し、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより調製する。
核の薬物含量は、約0.5ないし約95%(w/w)、好ましくは約5.0ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約30ないし約70%(w/w)である。
核に含まれる賦形剤としては、例えば白糖、乳糖、マンニトール、グルコースなどの糖類、澱粉、結晶セルロース、リン酸カルシウム、コーンスターチなどが用いられる。中でも、結晶セルロース、コーンスターチが好ましい。
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プルロニックF68、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉などが用いられる。崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG505)、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)などが用いられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。滑沢剤、凝集防止剤としては例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよびその無機塩、また潤滑剤としてポリエチレングリコールなどが用いられる。安定化剤としては酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸が用いられる。
【0010】
核は上記製造法以外にも、例えば核の中心となる不活性担体粒子上に水、低級アルコール(例、メタノール、エタノールなど)等の適当な溶媒に溶解した結合剤をスプレーしながら、薬物あるいはこれと賦形剤、滑沢剤などとの混合物を少量づつ添加して行なう転動造粒法、パンコーティング法、流動層コーティング法や溶融造粒法によっても調製することができる。不活性担体粒子としては、例えば白糖、乳糖、澱粉、結晶セルロース、ワックス類で製造されたものが使用でき、その平均粒子径は約100μmないし約1,500μmであるものが好ましい。
核に含まれる成分は上記の物質に特に限定されるものではなく、製剤的に許容されるものであればこの限りではない。
核に含まれる薬物と被膜剤とを分離するために、防護剤で核の表面を被覆してもよい。防護剤としては、例えば前記親水性物質や、水不溶性物質等が用いられる。防護剤は、好ましくはポリエチレングリコールやヒドロキシアルキル基またはカルボキシアルキル基を有する多糖類、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。該防護剤には安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸や、タルクなどの滑沢剤を含んでいてもよい。防護剤を用いる場合、その被覆量は核に対して約1ないし約15%(w/w)、好ましくは約1ないし約10%(w/w)、さらに好ましくは約2ないし約8%(w/w)である。
防護剤は通常のコーティング法により被覆することができ、具体的には、防護剤を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで被覆することができる。
【0011】
II.核の被膜剤による被覆
前記Iで得られた核を、前記水不溶性物質及び pH依存性の膨潤性ポリマー、および親水性物質を加熱溶解あるいは溶媒に溶解または分散させた被膜剤液により被覆することにより放出制御組成物が製造される。
核の被膜剤液による被覆方法として、例えば噴霧コーティングする方法などが挙げられる。
被膜剤液中の水不溶性物質、膨潤性ポリマーまたは親水性物質の組成比は、被膜中の各成分の含有率がそれぞれ前記含有率となるように適宜選ばれる。
被膜剤の被覆量は、核(防護剤の被覆量を含まない)に対して約1ないし約90%(w/w)、好ましくは約5ないし約50%(w/w)、さらに好ましくは約5ないし35%(w/w)である。
【0012】
被膜剤液の溶媒としては水または有機溶媒を単独であるいは両者の混液を用いることができる。混液を用いる際の水と有機溶媒との混合比(水/有機溶媒:重量比)は、1ないし100%の範囲で変化させることができ、好ましくは1ないし約30%である。該有機溶媒としては、水不溶性物質を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等の低級アルコール、アセトンなどの低級アルカノン、アセトニトリル、クロロホルム、メチレンクロライドなどが用いられる。このうち低級アルコールが好ましく、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。水及び水と有機溶媒との混液が被膜剤の溶媒として好ましく用いられる。この時、必要であれば被膜剤液中に被膜剤液安定化のために酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸を加えてもよい。
噴霧コーティングにより被覆する場合の操作は通常のコーティング法により実施することができ、具体的には、被膜剤液を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで実施することができる。この時必要であれば、タルク、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などを滑沢剤として、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、クエン酸トリエチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどを可塑剤として添加してもよい。
被膜剤による被膜後、必要に応じてタルクなどの帯電防止剤を混合してもよい。
【0013】
本発明の医薬における速放性組成物は、含有する薬物の血中薬物濃度を速やかに上昇させ、最高血中薬物濃度(Cmax)に到達する時間(Tmax)が約60分以内に調節された医薬組成物であれば、その形状は特に限定されず、液状(溶液、懸濁液、乳化物など)であっても固形状(粒子状、丸剤、錠剤など)であってもよい。経口投与剤、注射剤など非経口投与剤が用いられるが、経口投与剤が好ましい。
速放性組成物は、通常、活性成分である薬物に加えて、製剤分野で慣用される担体、添加剤や賦形剤(以下、賦形剤と略称することがある)を含んでいてもよい。用いられる製剤賦形剤は、製剤賦形剤として常用される賦形剤であれば特に限定されない。例えば経口固形製剤用の賦形剤としては、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH101など)、粉糖、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−システインなどが挙げられ、好ましくはコーンスターチおよびマンニトールなどが挙げられる。これらの賦形剤は一種または二種以上を組み合わせて使用できる。賦形剤の含有量は速放性組成物全量に対して、例えば約4.5〜約99.4w/w%、好ましくは約20〜約98.5w/w%、さらに好ましくは約30〜約97w/w%である。
速放性組成物における薬物の含量は、速放性組成物全量に対して、約0.5〜約95%、好ましくは約1〜約60%の範囲から適宜選択することができる。
速放性組成物が経口固型製剤の場合、通常上記成分に加えて、崩壊剤を含有する。このような崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品製、ECG−505)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アクジゾル)、クロスポビドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学(株))(該低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとしてはヒドロキシプロポキシル基を約7.0〜16.0%、好ましくは約10〜12.9%有するもので、平均粒子径が30μm以下のものが好ましい。)、カルボキシメチルスターチ(松谷化学(株)、カルボキシメチルスターチナトリウム(木村産業製、エキスプロタブ)、部分α化デンプン(旭化成(株)製、PCS)などが用いられ、例えば水と接触して吸水、膨潤、あるいは核を構成している有効成分と賦形剤との間にチャネルを作るなどにより顆粒を崩壊させるものを用いることができる。これらの崩壊剤は、一種または二種以上を組み合わせて使用できる。崩壊剤の配合量は、用いる薬物の種類や配合量、放出性の製剤設計などにより適宜選択されるが、速放性組成物全量に対して、例えば約0.05〜約30w/w%、好ましくは約0.5〜約15w/w%である。
速放性組成物が経口固型製剤である場合、経口固型製剤の場合には上記の組成に加えて、所望により固型製剤において慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば結合剤(例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなど)、滑沢剤(例えば、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸(例えば、アエロジル(日本アエロジル))、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤など)、着色剤(例えば、タール系色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類)、必要ならば、橋味剤(例えば、甘味剤、香料など)、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤などが用いられる。また、安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸を加えてもよい。
上記結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース(分子量が約10,000〜1,250,000程度のものが好ましい。)、ポリエチレングリコール(例、PEG4000, PEG6000)およびポリビニルピロリドン(分子量が約25,000〜3,000,000のものが用いられるが、好ましくは約25,000〜1,200,程度である。)などが好ましく用いられる。
速放性組成物は、通常の製剤の製造技術に基づき、前記各成分を混合し、必要により、さらに練合し、成型することにより調製することができる。上記混合は、一般に用いられる方法、例えば、混合、練合などにより行われる。具体的には、例えば速放性組成物を粒子状に形成する場合、前記徐放性組成物の核の調製法と同様の手法により、バーチカルグラニュレーター、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)等を用いて混合しその後、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより造粒することにより調製することができる。
【0014】
本発明において、このようにして得られた速放性組成物と放出制御組成物とは、そのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に常法により別々に製剤化後、同時あるいは任意の投与間隔を挟んで組み合わせて投与してもよく、また両者をそのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に一つの経口投与製剤(例、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル等)に製剤化して投与してもよい。両組成物を顆粒あるいは細粒に製して、同一のカプセル等に充填して経口投与製剤としてもよい。
本発明の医薬における、速放性組成物および放出制御組成物の投与割合は、投与プロトコールにより適宜選択され、薬物がオピオイド鎮痛薬である場合、通常それぞれの組成物中に存在するオピオイド鎮痛薬量が、重量比で3:97〜40:60、好ましくは5:95〜40:60となる範囲で両組成物を投与するのがよい。
【0015】
本発明の医薬は、低毒性であり哺乳動物(例えば、ヒト,牛,豚,犬,ネコ,マウス,ラット,ウサギ等)に対して経口的に投与可能であり、各種疾患の予防・治療あるいは疾病や負傷などに伴う疼痛の予防・治療に安全に用いることができる。
本発明の医薬の投与量は、薬物の種類と含量、剤形、薬物放出の持続時間、対象疾病、対象動物などによって種々異なるが、薬物の有効量であればよい。薬物の1回あたりの投与量としては、例えば1日1回製剤において薬物が塩酸モルヒネであり、癌患者等の疼痛の予防・治療の場合、患者1人当たり薬物である塩酸モルヒネとして約4mgないし約1000mg/日、好ましくは約20mgないし約600mg/日、さらに好ましくは約50mgないし約500mg/日の範囲から適宜選ぶことができる。しかしながら、安全性が確保できる限り、必要に応じて前記範囲を越えて、投与することもできる。
本発明の医薬の投与量は、例えば薬物が塩酸モルヒネである1日1回経口投与製剤の場合、疼痛治療の目的で患者1人当たり約10mgないし約2,000mg/日、好ましくは約10mgないし約1,500mgの範囲から適宜選ぶことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
実施例1 速放性顆粒の調製
塩酸モルヒネ 13 g
コーンスターチ 86 g
結晶セルロース(アビセル) 83 g
カルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG−505) 6 g
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L) 6 g
を混合し、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プルロニックF68)水溶液(6w/w%)、100mlを加えて練合した。得られた練合物をドームグラン(DG−L1 不二パウダル)にて押し出し、マルメライザー(OJ−230 不二パウダル)にて粒化した。得られた粒状物を減圧乾燥(40℃、16時間)した後、篩過、分級した後、粒子径500―1250μmの顆粒を得た。
【0017】
実施例2 速放性顆粒の調製
塩酸モルヒネ 88 g
マンニトール 502 g
コーンスターチ 300 g
結晶セルロース(アビセル) 150 g
カルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG−505) 30 g
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L) 30 g
を混合し、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プルロニックF68)水溶液(7w/w%)を適量加えてバーチカルグラニュレーター(FM−VG型 パウレック)で練合した。得られた練合物をドームグラン(DG−L1 不二パウダル)にて押し出し、マルメライザー(OJ−230 不二パウダル)にて粒化した。得られた粒状物を減圧乾燥(40℃、16時間)した後、篩過、分級し、粒子径500―1250μmの顆粒を得た。
【0018】
実施例3 速放性製剤の調製
塩酸モルヒネ 100 g
コーンスターチ 42 g
結晶セルロース(アビセル) 40 g
カルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG−505) 6 g
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L) 6 g
を混合し、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プルロニックF68)水溶液(6w/w%)、100mlを加えて練合した。得られた練合物をドームグラン(DG−L1 不二パウダル)にて押し出し、マルメライザー(OJ−230 不二パウダル)にて粒化した。得られた粒状物を減圧乾燥(40℃、16時間)した後、篩過、分級した後、500―1250μm の顆粒を得た。得られた顆粒をスパイラフロー型コーティング装置(SFC−Laboフロイント産業)に入れ、エタノールと水の混液(容積比、4:1)に溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を噴霧して被覆し被覆顆粒を得た。被覆したHPMCの量は、核顆粒に対し3%(w/w)となるように調整した。
【0019】
実施例4 徐放性(放出制御)顆粒の調製
実施例3で得られた顆粒200gをスパイラフロー型コーティング装置(SFC−Labo フロイント産業)に入れ、エタノールと水の混液(容積比、4:1)に溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を噴霧して被覆し被覆顆粒を得た。被覆したHPMCの量は、核顆粒に対し3%(w/w)となるように調整した。次いで得られた被覆顆粒にエチルセルロース、HPMCおよび架橋型ポリアクリル酸重合体(ハイビスワコー104、和光純薬)(70:10:20、重量比)からなる被覆液を噴霧、被覆し、目的の組成物を得た。被覆操作はスパイラフロー型コーティング装置(SFC−Labo フロイント産業)にて行い、被覆量はHPMCを含まない核顆粒に対して10w/w%である。また被覆液はエタノールと水の混液(容積比、7:1)にエチルセルロース、HPMC、架橋型ポリアクリル酸重合体(ハイビスワコー104)を上記の比率で加え、可塑剤を適量加えて被覆し、篩過、分級し、粒子径500―1250μm の徐放性顆粒を得た。
【0020】
実施例5
実施例3で得た顆粒18.5mgと実施例4で得た顆粒115mgを3号カプセルに充填し、速放性組成物と放出制御形組成物とを含有するカプセル剤を得た。
実施例6
実施例3で得た顆粒6mgと実施例4で得た顆粒129mgを3号カプセルに充填し、速放性組成物と放出制御形組成物とを含有するカプセル剤を得た。
実施例7
実施例2で得た顆粒37.5mgと実施例4で得た顆粒129mgを3号カプセルに充填し、速放性組成物と放出制御形組成物とを含有するカプセル剤を得た。
【0021】
実施例8 速放性顆粒の調製
速放性顆粒の処方例を以下に示す。
Figure 0003677156
【0022】
Figure 0003677156
を混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース 3gおよび酒石酸 4gを含む水溶液30gを加え、乳鉢で練合した。得られた練合物を減圧乾燥(40℃,16時間)後、16メッシュの篩で整粒した。 この整粒末89.5gに、ステアリン酸マグネシウム0.54gを加え、速放性顆粒1とした。
【0023】
Figure 0003677156
を混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース 1.5gおよび酒石酸 2gを含む水溶液15gを加え、乳鉢で練合した。得られた練合物を減圧乾燥(40℃,16時間)後、16メッシュ篩を用い整粒した。この整粒末71.5gに、ステアリン酸マグネシウム0.45gを加え、速放性顆粒2とした。
【0024】
Figure 0003677156
を混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース 2g,ポリビニルピロリドン 6gおよび酒石酸 2gを含む水溶液25gを加え、乳鉢で練合した。得られた練合物を減圧乾燥(40℃,16時間)後、16メッシュ篩を用い整粒した。 この整粒末89.5gに、ステアリン酸マグネシウム0.54gを加え、速放性顆粒3とした。
【0025】
Figure 0003677156
を混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース 1g,ポリビニルピロリドン 3gおよび酒石酸 1gを含む水溶液14gを加え、乳鉢で練合した。得られた練合物を減圧乾燥(40℃,16時間)後、16メッシュ篩を用い整粒した。 この整粒末71.5gに、ステアリン酸マグネシウム0.45gを加え、速放性顆粒4とした。
【0026】
実施例9 徐放性(放出制御)顆粒の調製
Figure 0003677156
を混合した後、ポリエチレングリコール 6000 12gおよび酒石酸 24gを含む水溶液290gを加え、バーチカルグラニュレーター(FM-VG-10型,パウレック)で練合した。得られた練合物をドームグラン(DGーL 1型,不二パウダル)にて押し出し、マルメライザー(QJ-230)にて粒化した。得られた粒状物を減圧乾燥(40°C,16時間)後、篩過,分級し、粒子径500〜1250μmの素(核)顆粒約1050gを得た。
【0027】
(2)下掛け顆粒の製造
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 22.5g 酒石酸0.45gを含水エタノール 340ml(80%エタノール(W/W))に溶解させた後、タルク4.05gを分散させた下掛け液を調製した。 (1)で得られた素(核)顆粒450gをワースター型の流動造粒機(FDー3型,パウレック)に入れ、下掛け液を噴霧し、下掛け被覆顆粒約470gを得た。
【0028】
(3)放出制御膜液(被膜剤液)の処方例
Figure 0003677156
【0029】
(i)徐放性顆粒の製造例1
(2)で得られた下掛け顆粒200gをワースター型の流動造粒機(FDー3型,パウレック)に入れ、放出制御膜液処方1を噴霧し、徐放性顆粒を得た。なお、被覆量は下掛け顆粒に対し、固形物として25重量%とした。 篩過、分級後、粒子径 600〜1600μmの徐放性顆粒約250gを得た。この顆粒250gにタルク0.25gを混合し、徐放性顆粒1を得た
【0030】
(ii)徐放性顆粒の製造例2
(2)で得られた下掛け顆粒200gをワースター型の流動造粒機(FDー3型,パウレック)に入れ、放出制御膜液処方2を用い、(i)と同様の方法で製造し、徐放性顆粒2を約250g得た。
【0031】
実施例10 カプセル剤の実施例
実施例8(1)で得た速放性顆粒1 50mgと実施例9(3)(ii)で得た徐放性顆粒2 184mgを2号の大きさのカプセルに充填し、塩酸モルヒネ120mgを含むカプセル剤を得た。
【0032】
実施例11 カプセル剤の実施例
実施例8(4)で得た速放性顆粒4 40mgと実施例9(3)(i)で得た徐放性顆粒1 69mgを3号の大きさのカプセルに充填し、塩酸モルヒネ60mgを含むカプセル剤を得た。
【0033】
実施例12 カプセル剤の実施例
実施例8(4)で得た速放性顆粒4 20mgと実施例9(3)(ii)で得た徐放性顆粒2 35mgを4号の大きさのカプセルに充填し、塩酸モルヒネ30mgを含むカプセル剤を得た。
【0034】
実施例13
速放性製剤の処方例を以下に示す。
Figure 0003677156
【0035】
Figure 0003677156
を混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース 15gおよび酒石酸 20gを含む水溶液150gを加え、バーチカルグラニュレーター(FM-VG-10型,パウレック)で練合した。得られた練合物を減圧乾燥(40℃,16時間)後、パワーミル(Pー3型,昭和科学機械工作所)を用い、1.0mmのパンチングスクリーンで篩過し、整粒末とした。 この整粒末447gに、ステアリン酸マグネシウム2.7gを加え、充填用顆粒とした。
カプセル充填機(6F型,ザナシー)により、充填用顆粒50mgを5号の大きさのカプセルに充填し、塩酸モルヒネを5mg含むカプセルを約3,000個得た。
【0036】
Figure 0003677156
を混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース 15gおよび酒石酸 20gを含む水溶液150gを加え、バーチカルグラニュレーター(FM-VG-10型,パウレック)で練合した。得られた練合物を減圧乾燥(40℃,16時間)後、パワーミル(Pー3型,昭和科学機械工作所)を用い、1.0mmのパンチングスクリーンで篩過し、整粒末とした。 この整粒末536gに、ステアリン酸マグネシウム3.2gを加え、充填用顆粒とした。
カプセル充填機(6F型,ザナシー)により、充填用顆粒60mgを5号の大きさのカプセルに充填し、塩酸モルヒネ10mgを含むカプセルを約1,500個得た。
また、充填顆粒30mgを同様に5号の大きさのカプセルに充填し、塩酸モルヒネを5mg含むカプセルを約2,000個得た。
【0037】
【発明の効果】
本発明の医薬において、放出制御組成物は被膜剤中の pH依存性の膨潤性ポリマーの作用により胃での薬効成分の放出は僅かであるが、その後小腸上部、小腸下部、大腸と投与後時間の経過に伴って膨潤性ポリマーの膨潤増大により放出速度が増大する。従って、水分枯渇による組成物からの薬物の放出減少を補い、生体内において6時間以上、具体的には12ないし24時間の長時間にわたり薬物の放出を持続させる。一方、速放性組成物により投与後速やかに有効血中薬物濃度に到達させうるので、投与直後から長時間血漿中濃度を維持しうる有効な利点を有している。従って、例えば、薬物としてオピオイド鎮痛薬を用いた場合、本発明により、疼痛の予防・治療用に1日1回投与で、速効性でかつ1日もの長時間に亘って高いバイオアベイラビリティーを示す、オピオイド鎮痛薬の医薬が提供される。

Claims (24)

  1. (A)薬物を含有し、最高血中薬物濃度到達時間が約60分以内である速放性組成物と、(B)薬物を含んでなる核を、(1) 水不溶性物質、(2) 硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシアルキル基またはカルボキシアルキル基を有する多糖類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールから選ばれる親水性物質および(3) 酸性の解離基を有しpH依存性の膨潤を示す架橋型アクリル酸重合体を含む被膜剤で被覆してなる放出制御組成物とを組み合わせてなる医薬。
  2. 薬物がオピオイド鎮痛薬である請求項1記載の医薬。
  3. オピオイド鎮痛薬がモルヒネまたはその薬理学的に許容し得る塩である請求項2記載の医薬。
  4. 速放性組成物と放出制御組成物とを含有してなる経口投与製剤である請求項1記載の医薬。
  5. 被膜剤が、さらに酸を含有する請求項1記載の医薬。
  6. 親水性物質がヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項1記載の医薬。
  7. 親水性物質がヒドロキシプロピルセルロースである請求項1記載の医薬。
  8. 親水性物質がポリエチレングリコールである請求項1記載の医薬。
  9. 架橋型アクリル酸重合体の分子量が約1,000,000ないし約10,000,000である請求項1記載の医薬。
  10. 水不溶性物質がエチルセルロースである請求項1記載の医薬。
  11. 放出制御組成物が、水不溶性物質、酸性の解離基を有しpH依存性の膨潤を示す架橋型アクリル酸重合体および親水性物質をそれぞれ約30〜90%(w/w)、約3〜30%(w/w)および約5〜40%(w/w)含有する被膜剤を、核に対して約5〜35%(w/w)被覆したものである請求項1記載の医薬。
  12. 速放性組成物及び放出制御組成物におけるオピオイド鎮痛薬の含量の重量比が3:97〜40:60である請求項2記載の医薬。
  13. カプセル剤である請求項1記載の医薬。
  14. 速放性組成物が、薬物としてオピオイド鎮痛薬を含有し、最高血中薬物濃度到達時間が約60分以内の速放性固形組成物である請求項1記載の医薬。
  15. 速放性固形組成物が、さらに乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、粉糖、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムおよびL−システインから選ばれる一種または二種以上の賦形剤を含有する請求項14記載の医薬。
  16. 速放性固形組成物が、さらに崩壊剤を含有する請求項14または15記載の医薬。
  17. 崩壊剤がカルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウムおよび部分α化デンプンから選ばれる一種または二種以上である請求項16記載の医薬。
  18. 崩壊剤が低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである請求項16記載の医薬。
  19. 低置換度ヒドロキシプロピルセルロースがヒドロキシプロポキシル基を約7.0〜約16.0%含有する請求項18記載の医薬。
  20. 低置換度ヒドロキシプロピルセルロースがヒドロキシプロポキシル基を約10.0〜12.9%含有し、平均粒子径が30μm以下である請求項18記載の医薬。
  21. 速放性固形組成物が、さらに結合剤、滑沢剤、界面活性剤および着色剤から選ばれる添加剤を含有する請求項14乃至16のいずれかに記載の医薬。
  22. 速放性固形組成物が、さらに結合剤を含有する請求項14乃至16のいずれかに記載の医薬。
  23. 結合剤がヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンから選ばれる請求項22記載の医薬。
  24. 速放性固形組成物が顆粒剤または細粒剤である請求項14記載の医薬。
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