JP3676779B2 - リソグラフィ装置およびデバイスの製造方法 - Google Patents

リソグラフィ装置およびデバイスの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、以下により構成されるリソグラフィ投影装置に関する。すなわち、
− 放射線の投影ビームを供給する放射線システムと、
− 所望するパターンに従い投影ビームをパターン化するパターニング手段を支持する支持構造と、
− 基板を保持する基板テーブルと、
− パターン化されたビームを基板の目標部分に投影する投影システムと、
− 平面において該基板テーブルの位置を合わせる平面磁気位置決め手段とにより構成される。
この平面磁気位置決め手段は、ハルバックアレイに従い縦横に配列された磁石、すなわち、単一面に行および列に配列された複数の磁石を有するステータを含む。
【0002】
ここに使用する「パターニング手段」なる用語は、入射する放射線ビームに、基板の目標部分に作り出されるべきパターンと一致するパターン化断面を与えるために使用し得る手段に当たるものとして広義に解釈されるべきである。また、「ライトバルブ」なる用語もこうした状況下で使用される。一般的に、上記のパターンは、集積回路や他のデバイス(以下を参照)であるような、デバイスにおいて目標部分に作り出される特別な機能層に相当する。そのようなパターニング手段には以下が含まれる。すなわち、
− マスク。マスクの概念はリソグラフィにおいてよく知られているところであり、これには、様々なハイブリッドマスクタイプのみならず、バイナリマスク、レベンソンマスク、減衰位相シフトマスクといったようなマスクタイプも含まれる。放射線ビームにこのようなマスクを配置することにより、マスクに照射する放射線の、マスクパターンに従う選択的透過(透過性マスクの場合)や選択的反射(反射性マスクの場合)を可能にする。マスクの場合、その支持構造は一般的に、入射する放射線ビームの所望する位置にマスクを保持しておくことが可能であり、かつ、必要な場合、ビームに対して運動させることの可能なマスクテーブルである。
− プログラマブルミラーアレー。このようなデバイスの一例として、粘弾性制御層および反射面を有するマトリクスアドレス可能面があげられる。こうした装置の基本的原理は、(例えば)反射面のアドレスされた領域は入射光を回折光として反射するが、アドレスされていない領域は入射光を非回折光として反射するといったことである。適切なフィルタを使用することにより、回折光のみを残して上記非回折光を反射ビームからフィルタすることが可能である。この方法において、ビームはマトリクスアドレス可能面のアドレスパターンに従ってパターン形成される。プログラマブルミラーアレーのまた別の実施形態では小さな複数のミラーのマトリクス配列を用いる。そのミラーの各々は、適した局部電界を適用することによって、もしくは圧電作動手段を用いることによって、軸を中心に個々に傾けられている。もう一度言うと、ミラーはマトリクスアドレス可能であり、それによりアドレスされたミラーはアドレスされていないミラーとは異なる方向に入射の放射線ビームを反射する。このようにして、反射されたビームはマトリクスアドレス可能ミラーのアドレスパターンに従いパターン形成される。必要とされるマトリクスアドレッシングは適切な電子手段を用いて実行される。上述の両方の状況において、パターニング手段は1つあるいはそれ以上のプログラマブルミラーアレーから構成可能である。ここに参照を行ったミラーアレーに関するより多くの情報は、参照までにここに引用を行うと、例えば、米国特許第US5,296,891号および同第US5,523,193号、並びに、PCT特許種出願第WO98/38597および同WO98/33096から得ることが出来る。プログラマブルミラーアレーの場合、上記支持構造は、例えばフレームもしくはテーブルとして具体化され、これは必要に応じて、固定式となるか、もしくは可動式となる。
− プログラマブルLCDアレー。このような構成の例が、参照までにここに引用を行うと、米国特許第US5,229,872号に開示されている。上記同様、この場合における支持構造も、例えばフレームもしくはテーブルとして具体化され、これも必要に応じて、固定式となるか、もしくは可動式となる。
【0003】
簡潔化の目的で、本文の残りを、特定の箇所において、マスクおよびマスクテーブルを必要とする例に限定して導くものとする。しかし、こうした例において論じられる一般的な原理は、既に述べたようなパターニング手段を含む広範な状況において理解されるべきである。
【0004】
リソグラフィ投影装置は例えば、集積回路(IC)の製造において使用可能である。この場合、パターニング手段はICの個々の層に対応する回路パターンを生成する。そして、放射線感光原料(レジスト)の層が塗布された基板(シリコンウェーハ)上の目標部分(例えば1つあるいはそれ以上のダイから成る)にこのパターンを像形成することが出来る。一般的に、シングルウェーハは、投影システムを介して1つずつ順次照射される近接目標部分の全体ネットワークを含んでいる。マスクテーブル上のマスクによるパターニングを用いる現在の装置は、異なる2つのタイプのマシンに区分される。リソグラフィ投影装置の一タイプでは、全体マスクパターンを目標部分に1回の作動にて露光することによって各目標部分が照射される。こうした装置は一般的にウェーハステッパと称されている。ステップアンドスキャン装置と称されている別の装置では、所定の基準方向(「スキャニング」方向)にマスクパターンを投影ビーム下で徐々にスキャニングし、これと同時に基板テーブルをこの方向と平行に、あるいは反平行にスキャニングすることにより、各目標部分が照射される。一般的に、投影装置は倍率係数M(一般的に、<1)を有することから、基板テーブルが走査される速度Vは、マスクテーブルが走査される速度の係数M倍となる。ここに記載を行ったリソグラフィデバイスに関するさらなる情報は、参考までにここに引用を行うと、例えば、米国特許第US6,046,792号から得ることが出来る。
【0005】
リソグラフィ投影装置を使用する製造工程において、パターン(例えばマスクにおける)は少なくとも部分的に放射線感光材(レジスト)の層で覆われた基板上に像形成される。この像形成ステップに先立ち、基板は、プライミング、レジスト塗布、およびソフトベークといったような各種の工程を経る。露光後、基板は、ポストベーク(PEB)、現像、ハードベーク、および結像フューチャの測定/検査といったような他の工程を通る。この工程の配列は、例えばICといったような素子の個々の層をパターン化するための基準として使用される。このようなパターン形成された層は、それから、全て個々の層を仕上げる目的である、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学機械的研磨等といった種々のプロセスを経る。数枚の層が必要とされる場合には、全体工程、もしくはその変形をそれぞれの新しい層に繰り返す必要がある。最終的に、素子のアレイが基板(ウェーハ)上に形成される。次に、これらの素子はダイシングやソーイングといったような技法で相互より分離される。それから個々の素子は、キャリアに装着されたり、ピンに接続されたりし得る。こうした工程に関するさらなる情報は、例をあげると、1997年にマグローヒル出版会社より刊行された、Peter van Zant著、「マイクロチップ製造:半導体処理に対する実用ガイド」という名称の書籍(“Microchip Fabrication:A Pratical Guide to Semiconductor Processing”)の第3版、ISBN0−07−067250−4より入手可能である。これは参考までにここに引用を行った。
【0006】
簡潔化の目的で、これより投影システムを「レンズ」と称するものとする。しかし、この用語は、例えば屈折光学システム、反射光学システム、および反射屈折光学システムを含むさまざまなタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。放射線システムはまた、放射線の投影ビームの誘導、成形、あるいは制御を行う、こうした設計タイプのいずれかに応じて稼動する構成要素も備える。そして、このような構成要素もまた以降において集約的に、あるいは単独的に「レンズ」と称する。さらに、リソグラフィ装置は2つあるいはそれ以上の基板テーブル(および/あるいは2つもしくはそれ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものである。このような「多段」デバイスにおいては、追加のテーブルが並列して使用される。もしくは、1つあるいはそれ以上の他のテーブルが露光に使用されている間に予備工程が1つあるいはそれ以上のテーブルにて実行される。例えば、参考までに記載を行うと、二段リソグラフィ装置について、米国特許第US5,969,441号および国際特許出願第WO98/40791号において記載がなされている。
【0007】
リソグラフィ投影装置において平面においてウェーハを正確に位置合わせを行うために、参考までに記載を行うと、国際特許出願第WO01/18944号に開示されているような変位装置が使用され得る。この開示された変位装置は、直交するxyz軸システムのx−y面に複数の磁石を配したステータと、基板テーブルの基部に2つのタイプの電気コイルを備えた電気コイルシステムとから成る平面磁気位置決め手段である。該2つのタイプの電気コイルとは、x方向に対して一方のタイプが+45度のオフセット角を有するものであり、もう一方のタイプは−45度のオフセットを有するものである。x−y面の磁石はハルバックアレイに従い縦横に配列されている。すなわち、各列および各行に順次並べられた磁石の帯磁方向は逆時計回りに90°回転する。基板テーブルは電気コイルシステムを流れる電流を駆動することによってその位置が合わせられる。
【0008】
一般的に平面磁気位置決め手段に関し、特に、国際特許出願第WO01/18944号に開示されているような平面磁気位置決め手段に関し問題が見られる。つまり、このようなシステムにおいては、ステータの磁石の分極の方向と基板テーブル間に一定の空間関係を必要とするが、それが満たされない場合には基板テーブルの配置の行えない位置決め手段となる。さらに、スライダーがx軸に45度回転を行う場合、基板テーブルの各コイルは平面磁気位置決め手段の磁石のN極とS極の両方に配列される。よって、これらのコイルを流れる電流は等しく、かつ反発する力を発し、動作に結びつかない。よって、このような位置決め手段の使用における欠点は、コンピュータクラッシュ、電力供給故障、ソフトウェアのバグ、あるいはプログラムエラーといったような理由によりz軸(Rz)における回転による調整が不良となった場合、自動的に基板テーブルの制御を回復することが不可能なことにある。こうした大きな回転はまた、ユーティリティ(たとえば、電力、ガス、制御信号等)を提供するために基板テーブルに連結されている導管(すなわち、パワーコード、信号キャリヤ、およびガスチューブ等)にも大きな機械的負荷がかかることから有害である。
【0009】
本発明は、自動的に自己回復が可能であり、かつ、基板テーブルに取り付けられた導管にかかる機械的負荷を最小限に抑える平面磁気位置決め手段を備えたリソグラフィ投影装置を提供することを目的とする。
【0010】
本目的および他の目的は、上記の面に直交する軸における上記基板テーブルの回転を制限する機械式リミッタをさらに備えていることを特徴とする、冒頭の段落にて特定を行ったようなリソグラフィ装置において本発明に基づき達成される。
【0011】
機械式リミッタは、基板テーブルのx方向とy方向への自由な動きは可能にするが、一定の許容限度を超えるz軸における回転は防止する。こうして、位置決め手段による基板テーブルの制御がもはや不可能であるところまで基板テーブルが回転するのを防止することが可能となる。よって、例えばコンピュータの故障や電力供給故障の後、基板テーブルのクラッシュの間、基板テーブルに取り付けられた導管にかかる大きな負荷は実質上回避され、基板テーブルの制御は自動的に回復される。
【0012】
機械式リミッタは一方の端部において該基板テーブルに取り付けられ、もう一方の端部において、平面において1自由度にて可動のアクチュエータに取り付けられる。これは、基板テーブルと機械式リミッタ間の有害な相互作用を減じることが可能となる。好都合に、これは、該アクチュエータと該基板テーブル間にて伸長している導管を通し該基板テーブルにユーティリティを提供することを可能にする。ここで使用している「導管」という言葉は、一般的に基板テーブルを、電源コード、信号キャリヤ、ガスチューブ(テーブルにおけるガスベアリングにガスを供給する)、冷却液チューブ等といったような品々を導く外側フレーム(例えば計測フレーム)に連結する「導管コード」にあたる。このように、アクチュエータはいくつかの異なる目的に使用され得る。
【0013】
本発明のさらなる態様に基づいて、デバイスの製造方法が提供される。該デバイスの製造方法は、次のステップから成る。すなわち、
− 放射線感光材料の層により少なくとも部分的に覆われた基板を提供し、
− 該基板を基板テーブル上に保持し、
− 平面磁気位置決め手段を用いて平面における該基板テーブルの位置を合わせ、
− 放射線システムを用いて放射線の投影ビームを供給し、
− パターニング手段を用いて、投影ビームのその断面にパターンを与え、
− 放射線感光材料の層の目標部分に放射線のパターン化されたビームを投影するステップから成り、さらに、
− 機械式リミッタを用いて、該平面に直交する軸における該基板テーブルの回転を制限するステップを有することを特徴とする。
【0014】
本発明による装置の使用法に関して、本文ではICの製造において詳細な参照説明を行うものであるが、こうした装置が他の多くの用途においても使用可能であることは明確に理解されるべきである。例えば、本発明による装置は、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用ガイダンスおよび検出パターン、液晶ディスプレイパネル、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用され得る。こうした代替的な用途においては、本文にて使用した「レチクル」、「ウェーハ」、「ダイ」といった用語は、それぞれ「マスク」、「基板」、「目標部分」といった、より一般的な用語に置き換えて使用され得ることは当該技術分野の専門家にとって明らかである。
【0015】
本明細書において使用した「放射線」および「ビーム」という用語は、イオンビームあるいは電子ビームといったような粒子ビームのみならず、紫外線(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、あるいは126nmの波長を有する)、およびEUV(例えば5nm−20nmの範囲の波長を有する、極紫外線)を含む、あらゆるタイプの電磁放射線を網羅するものである。
【0016】
本発明の実施の形態についての詳細説明を、添付の図面を参照に、例示の方法においてのみ行うものとする。
図面において、一致する符合はその一致した部分を示すものとする。
【0017】
実施の形態1
図1は、本発明の特別な実施形態に基づいたリソグラフィ投影装置を示したものである。この装置は、
− この特別な実施形態において放射線源LAも備えた、放射線の投影ビームPB(例えばEUV放射線)を供給する放射線システムEx、ILと、
− マスクMA(例えばレクチル)を保持するマスクホルダーw備え、かつ、品目PLに対して正確にマスクの位置合わせを行う第一位置決め手段PMに連結を行った第一オブジェクト・テーブル(マスクテーブル)MTと、
− 基板W(例えば、レジスト塗布シリコンウェーハ)を保持する基板ホルダーを備え、かつ、品目PLに対して正確に基板の位置合わせを行う第二位置決め手段PWに連結を行った第二オブジェクト・テーブル(基板テーブル)WTと、
− マスクMAの照射部分を、基板Wの目標部分C(例えば、1つあるいはそれ以上のダイから成る)に像形成する投影システム(「レンズ」)PL(例えば屈折または反射屈折システム、あるいは反射システム)により構成されている。ここで示しているように、この装置は反射タイプ(すなわち、反射マスクを有する)である。しかし、一般的には、例えば透過マスクを有する透過タイプのものも可能である。あるいは、本装置は、上記に関連するタイプであるプログラマブルミラーアレイといったような、他の種類のパターニング手段も使用し得る。
【0018】
ソースLA(例えば、放電プラズマソースあるいはレーザ生成プラズマソース)は放射線のビームを作り出す。このビームは、直接的に、あるいは、例えばビームエキスパンダーExといったようなコンディショニング手段を横断した後に、照明システム(照明装置)ILに供給される。照明装置ILは、ビームにおける強度分布の外部かつ/あるいは内部放射範囲(一般的にそれぞれ、σ−outerおよびσ−innerに相当する)を設定する調整手段AMから成る。さらに、照明装置ILは一般的に積分器INおよびコンデンサCOといったような、他のさまざまな構成要素を備える。このようにして、マスクMAに照射するビームPBは、その断面に亘り所望する均一性と強度分布とを有する。
【0019】
図1に関して、ソースLAはリソグラフィ装置のハウジング内にある(これは例えばソースが水銀ランプである場合に多い)が、しかし、リソグラフィ投影装置から離して配置することも可能であることを注記する。この場合、ソースLAが作り出す放射線ビームは(適した誘導ミラーにより)装置内に導かれる。この後者のシナリオでは、ソースLAがエキシマレーザである場合が多い。本発明および請求項はこれら両方のシナリオを網羅するものである。
【0020】
続いてビームPBはマスクテーブルMT上に保持されているマスクMAと衝突する。ビームPBはマスクMAにより選択的に反射され、基板Wの目標部分C上にビームPBの焦点を合わせるレンズPLを通過する。第二位置決め手段PW(および干渉計測手段IF)により、基板テーブルWTは、例えばビームPBの経路における異なる目標部分Cに位置を合わせるために正確に運動可能である。同様に、第一位置決め手段は、例えばマスクライブラリからマスクMAを機械的に検索した後に、あるいは走査運動の間に、ビームPBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするように使用可能である。一般的に、オブジェクト・テーブルMTおよびオブジェクト・テーブルWTの運動はロングストロークモジュール(粗調整の位置合わせ)およびショートストロークモジュール(微調整の位置合わせ)にて行われる。これについては図1に明示を行っていない。しかし、ウェーハステッパの場合(ステップアンドスキャン装置とは対照的に)、マスクテーブルMTはショートストロークアクチュエータに連結されるだけであるか、あるいは固定される。
【0021】
ここに表した装置は2つの異なるモードにて使用可能である。
1. ステップモードにおいて、マスクテーブルMTは基本的に静止状態に保たれている。そして、マスクの像全体が1回の作動(すなわち1回の「フラッシュ」)で目標部分Cに投影される。次に基板テーブルWTがx方向および/あるいはy方向にシフトされ、異なる目標部分CがビームPBにより照射され得る。
2. スキャンモードにおいて、基本的に同一シナリオが適用されるが、但し、ここでは、所定の目標部分Cは1回の「フラッシュ」では露光されない。その代わり、マスクテーブルMTが、速度vにて所定方向(いわゆる「走査方向」、例えばy方向)に運動可能であり、それによってビームPBがマスクの像を走査する。これと同時に、基板テーブルWTが速度V=Mvで、同一方向あるいは反対方向に運動する。ここで、MはレンズPLの倍率(一般的にM=1/4あるいは1/5)である。このように、解像度と妥協することなく、比較的大きな目標部分Cを露光することが可能となる。
【0022】
図2は、基板テーブル12と第二位置決め手段PWをさらに詳細に示したものである。第二位置決め手段PWは、単一面に縦横に配列された複数の磁石(図示せず)から成るステータ10を備えた平面磁気位置決め手段である。ステータ10の磁石はハルバックアレイに従い配列されている。すなわち、各列および各行における連続する磁石の帯磁方向は逆時計回りに90°回転する。基板テーブルWTはその基部に電気コイルシステムを備えている。電気コイルシステムは2つのタイプのコイルから成り、一方のタイプは、磁石のチェッカー盤形状に対して、+45°の角オフセットを有し、もう一方のタイプは−45°のオフセットを有する。基板テーブルWTは、基板テーブルWTの基部にある電気コイルシステムを流れる電流を駆動することによりステータ10に対し運動可能である。
【0023】
一般に符号100により示されている機械式リミッタは、ステータ10に直交する方向において、基板テーブルWTの回転を制限することにおいて有効である。12の方向をX軸とし、14の方向をy軸とすると、機械式リミッタ100はz軸(すなわちRz)回りの回転を制限する。
【0024】
機械式リミッタ100は、ステータ10の面において16の方向に運動を行うアクチュエータ20を備えている。図示の実施形態において、アクチュエータはガイド25に沿ってy軸に平行な方向16に運動を行う。アクチュエータ20に細長い部材110が固定式に取り付けされている。また、細長い部材110を少なくとも部分的に囲んだスリーブ120が基板テーブルWTに固定式に取り付けされている。スリーブ120は細長い部材110に沿ってスライドすることが可能である。
【0025】
使用において、x方向への基板テーブルWTの動きにより、細長い部材110に沿ってスリーブ120がスライドする。基板テーブルWTがy方向に動くと、アクチュエータ20もy方向に相当量動き、それにより基板テーブルWTは機械式リミッタ100による妨げを受けず自由に動作が可能である。これは基板テーブルWTに対してアクチュエータの位置を計測するセンサーによって可能となる。そして、このセンサーはアクチュエータを始動させ、y方向において基板テーブルWTに従わせる。
【0026】
基板テーブルWTは、機械式リミッタ100からの干渉を受けず、位置決め手段PWにより動作可能であることが望ましい。これを促すため、空気ベアリングのような無摩擦のベアリングを、スリーブ120と細長い部材110との間に使用することが可能である。
【0027】
好都合に、機械式リミッタ100は、増分形エンコーダ、あるいは線形エンコーダ125、127を備え、基板テーブルWTのアライメントと制御を助ける。1個のみのエンコーダを図2において示している。このエンコーダは、スリーブ120に取り付けされたセンサー125と、細長い部材110に取り付けられた回折格子127から成る干渉タイプのものである。回転ポテンショメータといった他のタイプのエンコーダもまた使用可能であり、y方向における位置もまた計測され得る。エンコーダが固定される位置もまた異なるであろう。
【0028】
もし基板テーブルWTがz軸における回転力を有したら、スリーブ120と細長い部材110の係合により、実質的に基板テーブルWTの回転を防止する。z軸回りの基板テーブルWTの回転により確実にスリーブ120の各終端部が細長い部材110の両側にて接触する。機械式リミッタ100によって回転が静止される前に可能な、z軸における基板テーブルWTの回転量は、細長い部材110の伸長方向におけるスリーブ120の長さを選択することにより、かつ、細長い部材110の外径とスリーブ120の内径の差を選択することにより調整可能である。あるいは、細長い部材100とスリーブ120は、アクチュエータ20もしくは基板テーブルWTに対して、いくらか制限が加えられた回転が可能であるように取り付けされることが出来る。機械式リミッタ100は実質的に回転を防止するように設計がなされるか、あるいは、3度、5度、または10度までの回転を行うように設計され得る。これには、z軸回りの回転を制限するソフトウェアを配備するが、ソフトウェアの失敗もありうるため、機械的な解決策も必要である。
【0029】
図示の実施形態において、導管30は基板テーブルWTにユーティリティを提供する。好都合に、導管30は基板テーブルWTとアクチュエータ20間に取り付け可能である。また別の実施形態においては、導管30は機械式リミッタ100によりアクチュエータ20から基板テーブルWTまで導かれる。このようにして、導管の1自由度が要求されるとき、導管30にかかる大きな機械的な負荷を実質的に回避することが可能である。アクチュエータ20はトラック25に取り付けされ、線形電気モータあるいはウォーム駆動といった適した手段により駆動される。
【0030】
第二実施形態を図3において示している。第二実施形態は以下に記載の内容を除いては第一実施形態と同様である。
【0031】
第二実施形態の機械式リミッタ200は、細長い部材110とスリーブ120が、交差して伸張したアーム210、220、230の少なくとも1つのペアに置き替えられること以外は、第一実施形態のそれと同様である。交差伸張したアームの各ペアは、真中部分211、221、231にて互いに対して旋回する。
【0032】
交差して伸張したアームの少なくとも1つのペアである第1ペア210は伸長アームの外側ペアである。外側ペアのアーム210の一方のアームの外端部212は基板テーブルWTに回転可能に取り付けされている。ペア210のもう一方の伸長アームの外端部216は、基板テーブルWTのスロット214にスライド係合する。図示の実施形態において、スロット214はy軸14に平行である。
【0033】
交差伸張したアームの少なくとも1つのペアである第二ペア220は伸長アームの外側ペアである。外側ペアのアーム220の一方のアームの外端部222はアクチュエータ20に回転可能に取り付けされている。ペア220のもう一方の伸長アームの外端部226は、アクチュエータ20のスロット224にスライド係合する。スロット224は基板テーブル上のスロット214に平行である。
【0034】
伸長アームの第3ペア230が第1ペア210と第2ペア220間に配置される。基板テーブルあるいはアクチュエータ20に取り付けされていない方の第1ペア210の伸長アームの終端部と、第2ペア220の終端部は、第3ペア230の伸長アームの終端部に取り付けられている。
【0035】
本発明は1ペアのみの伸長アームによっても作動する。この場合、各伸長アームの一方の端部はアクチュエータ20に取り付けされ、もう一方の端部は基板テーブルWTに取り付けされる。他の代替案に、2ペアだけの使用、あるいは他の部材の使用も考えられる。
【0036】
使用において、第二実施形態の機械式リミッタ200は、y方向における動作に関して第一実施形態のそれと同様である。x方向における基板テーブルWTの動作に関しては、交差して伸長したアームのペア210、220、230が、鋏の動作で互いに対して旋回を行い、伸長と収縮を行う。(互いに平行な)スロット214およびスロット224にて係合した端部216および端部226は、この自由度を伸縮させ、リミッタが確実に回転を制限出来るようにする。
【0037】
伸長したスロット214、224、および端部の係合部分216、226の厚さの寸法出しは、回転制限前の基板テーブルWTの回転の所望する度合いに応じたものとなる。
【0038】
第二実施形態(以下に記載の第三実施形態も同様)もまた、基板テーブルWTあるいは機械式リミッタ200、300(第二実施形態の場合はアクチュエータ)に取り付けされた増分形エンコーダあるいは線形エンコーダを備え、基板テーブルの位置を計測する。またここで、機械式リミッタ200、300により基板テーブルWTに導かれる導管30も備えることが出来る。
【0039】
図4aおよび図4bは、本発明に基づく第三実施形態を示したものである。第三実施形態は、以下に記載の内容を除いては第一実施形態と同様である。第三実施形態の機械式リミッタ300は1個のみの基板テーブルを備えるリソグラフィ装置に適したものである。このような装置における単一基板テーブルWTの動作範囲は、デュアル基板テーブルWTを備える装置における基板テーブルWTの要求される動作範囲に比較して小さい。よって、第三実施形態の機械式リミッタ300は単一基板テーブルWTだけを備えた装置により適している。
【0040】
第三実施形態の機械式リミッタ300における、第一実施形態および第二実施形態のそれとの違いは、機械式リミッタ300の一方の端部が、ステータ10の面方向に運動可能であるとするのではなく、位置決め手段PWにおけるステータ10に対する位置に固定されている点にある。基板テーブルWTに取り付けられた機械式リミッタ300の端部の要求される2自由度は、一般的に301および302によって示された2つの4バー機構を使用することにより達成される。これらは、第一実施形態の細長い部材110およびスライド120に取り替わる。
【0041】
第1の4バー機構301は、基板WTと連結部材340間とのに取り付けられた、等しい長さの第1ペアの伸長アーム310、315から成る。第1ペア伸長アーム310、315は、各端部に旋回可能に取り付けされており、そして、基板上および連結部材340上のその取り付け部分間の分離距離は、伸長アーム310、315が常に平行を保つように等距離になっている。
【0042】
第2の4バー機構302は等しい長さの第2ペア伸長アーム320、325から成る。第2ペア伸長アーム320、325は、一方の端部が連結部材340に取り付けされており、他方の端部が、プラットホーム330上に、ステータ10に対して固定して取り付けされている。もう一度言うと、第2ペア伸長アーム320、325の両端部は、相互から等距離に、回転可能であるように各端部において固定されている。
【0043】
図示の実施形態において、第1ペアのアームの第1アーム310と、第2ペアのアームの第1アーム320は連結部材340上の同一ポイントにて旋回を行う。これは必ずしも必要なケースではなく、これらの2つのアーム310、320は連結部材340の異なる位置にて旋回可能である。
【0044】
伸長アームの両端部のポジショニングは、また、第1ペアのアームの両方が同じ長さであり、かつ、第2ペアのアームの両方が同じ長さであるという事実は、基板テーブルが動くと、基板テーブルWTが機械式リミッタ300によりz軸におけるその回転において制限を受けることを意味する。広範囲の回転が必要である場合、基板テーブルWTのより広範囲の動作が可能であるように、プラットホーム330はアクチュエータ(すなわちアクチュエータ20)に取り付けられる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく他の方法でも具体化できることは当業者にとって明らかである。ここに行った詳細説明は、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に基づくリソグラフィ投影装置を図示したものである。
【図2】本発明の第一実施形態における基板テーブルと平面磁気位置決め手段を平面図にて示したものである。
【図3】本発明の第二実施形態における基板テーブルと平面磁気位置決め手段を平面図にて示したものである。
【図4a】第三実施形態における基板テーブルと平面磁気位置決め手段を平面図にて示したものである。
【図4b】第三実施形態における基板テーブルと平面磁気位置決め手段を平面図で示したものであり、基板テーブルが旋回位置にある。

Claims (10)

  1. − 放射線の投影ビームを供給する放射線システムと、
    − 所望するパターンに従い投影ビームをパターン化するパターニング手段を支持する支持構造と、
    − 基板を保持する基板テーブルと、
    − パターン形成されたビームを基板の目標部分に投影する投影システムと、
    − 平面において該基板テーブルの位置を合わせる平面磁気位置決め手段にして、ハルバックアレイに従い縦横に配列された磁石、すなわち、単一面に行および列に配列された複数の磁石を有するステータを含む、前記平面磁気位置決め手段とにより構成されており、かつ、該平面に直交する軸における該基板テーブルの回転を制限する機械式リミッタを備えていることを特徴とするリソグラフィ投影装置。
  2. 上記機械式リミッタは、上記方向における上記基板テーブルの回転を制限する前に、上記基板テーブルを、上記の軸回りを10°まで、望ましくは5°、より望ましくは3°、回転させることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ投影装置。
  3. 上記基板テーブルは、実質上上記機械式リミッタの干渉を受けずに、上記平面磁気位置決め手段により該平面における位置合わせが可能であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のリソグラフィ投影装置。
  4. 上記機械式リミッタは基板テーブルと少なくとも2箇所で係合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリソグラフィ投影装置。
  5. 上記機械式リミッタは、上記基板テーブルの位置に関係なく、該基板テーブルにおける、上記軸回りの実質的に同量の回転を可能にすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリソグラフィ投影装置。
  6. 上記機械式リミッタは、一方の端部が上記基板テーブルに取り付けされ、他方の端部が、上記平面磁気位置決め手段に対し上記平面において1自由度にて可動のアクチュエータに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリソグラフィ投影装置。
  7. 上記機械式リミッタは、細長い部材と、かつ、細長い部材に沿って伸長方向にスライドすることが可能であり、部分的に該細長い部材を囲んだスリーブとから成り、該細長い部材とスリーブの一方は上記アクチュエータに取り付けられており、該細長い部材とスリーブの他方は上記基板テーブルに取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載のリソグラフィ投影装置。
  8. 上記機械式リミッタは、交差して伸長したアーム各々の真中の部分において互いに対し旋回する、少なくとも1つのペアの、交差伸長したアームを備えていることを特徴とする請求項6に記載のリソグラフィ投影装置。
  9. − 放射線感光材料の層により少なくとも部分的に覆われた基板を提供し、
    − 該基板を基板テーブル上に保持し、
    ハルバックアレイに従い縦横に配列された磁石、すなわち、単一面に行および列に配列された複数の磁石を有するステータを含む平面磁気位置決め手段を用いて平面における該基板テーブルの位置を合わせ、
    − 放射線システムを用いて放射線の投影ビームを供給し、
    − パターニング手段を用いて、投影ビームのその断面にパターンを与え、
    − 放射線感光材料の層の目標部分に放射線のパターン化されたビームを投影するステップから成り、さらに、
    − 機械式リミッタを用いて、該平面に直交する軸における該基板テーブルの回転を制限するステップを有することを特徴とするデバイスの製造方法。
  10. 回転を制限する上記のステップは、上記の基板テーブルが10°を超えるまで上記の方向回りを回転した後に行われることを特徴とする請求項9に記載のリソグラフィ投影装置。
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