JP3676599B2 - ウエブ蛇行修正機構を備えた乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輪転印刷機に適用されるウエブ走行安定化機構を有する乾燥装置に関し、詳しくは紙、フィルム等のウエブの上下両面にノズルから熱風を吹き付けてウエブを浮揚させながらウエブ表面に塗布された塗膜を乾燥させる乾燥装置において、該ウエブの幅方向への蛇行を修正できるようにした乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上下一対のブランケット胴の間にて紙の上下両面側に、紙(ウエブの代表例としてここでは紙で説明する)の幅方向に沿った印刷ユニットを配設し、紙の両面に印刷する輪転機では、紙が印刷ユニットで印刷され、印刷ユニットと冷却ユニット間にて紙を保持しているが、乾燥装置で浮揚状態にて乾燥させるとき蛇行することがある。すなわち、紙の縦横方向の強度(紙の繊維方向における強度)、紙の含水率、オフセット印刷時の湿し水の浸透による紙の強度低下、及び紙の走行方向に関する張力が、紙の幅方向に渡って均一ではないので、それらの影響によって、紙の横ずれ(いわゆる、紙の蛇行)が発生することがある。
【0003】
従来、紙の蛇行を修正する方法として、一般的には冷却ユニットの後等に設けられたローラーを傾斜させる機械式の蛇行修正装置が用いられている。
【0004】
近年、輪転機における印刷スピードの高速化及び多色化に伴い、印刷システムの初め(給紙部)から終わり(折部)までの距離は長くなり、システムの初期工程で発生した紙の横ずれは、従来の冷却部のローラーを用いた機械式の蛇行修正方法だけでは、印刷品質を保持する範囲まで蛇行を修正することが困難な場合がある。また、システムの大型化により、新たな蛇行修正装置のための設置スペースを準備しにくい場合もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題点に対処するために開発されたものであって、ウエブの蛇行を防止するための開度調整機構を有するダクトにより、乾燥装置内の気体の流れを調整し、ウエブの走行を安定させることを目的とする。
【0006】
本発明の他の目的は、印刷速度、湿し水量、テンション等の印刷条件によるウエブの蛇行を、新たな設置スペース及び動力源を使用せずに、修正することができるウエブ蛇行修正機構を備えた乾燥装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のウエブ蛇行修正機構を備えた乾燥装置は、水平方向に走行されるウエブの上下両面に、熱風ノズルから熱風を吹き付けてウエブを浮揚させながらウエブ表面に塗布された塗膜を乾燥させる乾燥装置において、該ウエブがその幅方向へ蛇行した場合に、該ウエブの蛇行を修正する蛇行修正手段を有し、該蛇行修正手段が、ウエブの上面側においてウエブの幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第1の吸引ノズルおよび第2の吸引ノズルと、該ウエブの下面側においてウエブの幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第3の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルと、ウエブの一方側の端部にそれぞれ設けられた第1の吸引ノズルおよび第3の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第1のダクトと、ウエブの他方側の端部にそれぞれ設けられた第2の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第2のダクトと、該第1および第2のダクト内の気体を吸引する吸引装置と、を有し、該第1のダクトに設けられた開度調整機構と、該第2のダクトに配設された開度調整機構とは独立して操作可能であることを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0008】
一つの実施態様では、前記吸引装置が乾燥装置内に配設された循環ブロアである。
【0009】
一つの実施態様では、前記開度調整機構は、第1及び第2のダクト内に配設されたダンパーである。
【0010】
請求項4記載のウエブ蛇行修正機構を備えた乾燥装置は、水平方向に走行されるウエブの上下両面に向けて、熱風ノズルから熱風を吹き付けてウエブを浮揚させながらウエブ表面に塗布された塗膜を乾燥させる乾燥装置において、ウエブがその幅方向へ蛇行した場合に、該ウエブの変位した距離を測定する検出手段と、該検出手段からの変位距離の測定信号に基づいて、該ウエブの蛇行を修正するための制御量を演算する手段と、該演算手段からの演算値に応じて制御信号を送信し、ウエブの蛇行を修正する蛇行修正手段とを有し、該蛇行修正手段が、ウエブの上面側においてウエブの幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第1の吸引ノズルおよび第2の吸引ノズルと、該ウエブの下面側においてウエブの幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第3の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルと、ウエブの一方側の端部にそれぞれ設けられた第1の吸引ノズルおよび第3の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第1のダクトと、ウエブの他方側の端部にそれぞれ設けられた第2の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第2のダクトと、該第1および第2のダクト内の気体を吸引する吸引装置と、を有し、該第1のダクトに設けられた開度調整機構と、該第2のダクトに配設された開度調整機構とは独立して操作可能であり、該第1および第2のダクトの開度調整機構が、該演算手段からの制御信号で操作されるように構成されていることを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】
本発明の作用は次の通りである。
【0012】
乾燥装置の運転中で、ウエブに蛇行を生じた場合には、第1のダクトおよび第2のダクトの開度調整機構を操作することによって、ウエブの一方側の端部に設けられた第1の吸引ノズルおよび第3の吸引ノズルからウエブの他方側の端部に設けられた第2の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズル側へ、あるいはその逆方向へウエブ付近の気体が流動するために、ウエブの幅方向への気体の流動によってウエブが幅方向へ移動しようとする。
【0013】
従って、ウエブの蛇行に応じて上記第1のダクトおよび第2のダクトの開度調整機構を調整することにより、ウエブの蛇行を修正することができる。
【0014】
さらに、ウエブの上下面から上記吸引ノズルによって等しく吸引することにより、ウエブは上下に振動したり、波打つこともない。
【0015】
請求項2に記載の発明のように、前記吸引装置が乾燥装置内に配設された循環ブロアであることにより、熱風を吹き出す循環ブロアの吸引を利用してウエブの蛇行を防止でき、装置が簡略化でき、また別部材の吸引装置を設置するスペースが不要である。
【0016】
請求項3に記載の発明のように、開度調整機構が第1及び第2のダクト内に配設されたダンパーを有することにより、ダンパーの揺動によって該ダクトの通気口を通過する気体の流量を調整できるので、構造が簡略化できる。
【0017】
請求項4に記載の発明のように構成することにより、ウエブの蛇行を自動で検出しおよび蛇行を自動的に修正することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0019】
図1は本発明の乾燥装置内の概略斜視図を示すものである。この乾燥装置は、印刷ユニットと冷却ユニットとの間に設置され、印刷ユニットにて上下両面が印刷された紙、フィルム等のウエブ2が浮揚状態で乾燥装置内へ送られ、ここで乾燥されるものである。
【0020】
該乾燥装置内には、走行するウエブ2の上下側に、それぞれウエブ2に対して熱風を吹き付けるための熱風ノズル1が配設されている。該熱風ノズル1は、ウエブ2側が開口する箱状に形成され、多数の熱風ノズル1がウエブ2の走行方向に沿って配設されている。熱風ノズル1の開口部である熱風吹き出し口は、ウエブ2のほぼ全幅に渡って存在している。上下の熱風ノズル1の配置は、図2に示すように、千鳥状(互い違い)に配置されている。そして、各熱風ノズル1に、ウエブ2の一方側において乾燥装置内に配設された循環ブロア5の送気口5bが配管8により接続され、循環ブロア(または送気ファン)5からの熱風が送られるようになっている。
【0021】
ウエブ2の上面側においてウエブ2の幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ気体(主に空気)を吸引するための第1の吸引ノズル11および第2の吸引ノズル12が配設されている。また、同様にウエブ2の下面側においてウエブ2の幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ気体を吸引する第3の吸引ノズル13および第4の吸引ノズル14が配設されている。
【0022】
これらの吸引ノズル11〜14は、ウエブ2に面する側が開口する吸引口を有する箱状に形成され、かつ図1に示すように、ウエブ2の進行方向に長く形成されている。ウエブ2の上下両面側にそれぞれ配設される左右の吸引ノズル11〜14は、ウエブ2の幅方向の中央線から左右方向(幅方向)にずれた位置に配設されている。
【0023】
ウエブ2の上下にそれぞれ配設された吸引ノズル11〜14は、ダクト16,17によって接続され、ダクト16,17の通路を開閉可能(通路開口の開度を調整可能)なダンパー(開度調整機構)18,19を介して上記循環ブロア5の吸気口5aに接続されている。つまり、ウエブ2の一方側の端部に設けられた第1の吸引ノズル11および第3の吸引ノズル13がダンパー18を備えた第1のダクト16に接続され、ウエブ2の他方側の端部に設けられた第2の吸引ノズル12および第4の吸引ノズル14がダンパー19を備えた第2のダクト17に接続されている。そして、該第1および第2のダクト16,17が吸引装置としての循環ブロア5の吸気口5aに接続され、第1および第2のダクト16,17内の気体を吸引し循環するようになっている。
【0024】
ウエブ2の片側における上下の吸引ノズルが互いに一つのダクトによって接続されているので、例えば、ウエブ2の進行方向に対して右側の上下一対の吸引ノズル11,13に接続されたダクト16のダンパー18と、ウエブ2の進行方向に対して左側の上下一対の吸引ノズル12.14に接続されたダクト17のダンパー19とはそれぞれ独立して操作が可能である。
【0025】
従って、例えば、図3に示すように、右側の吸引ノズル12,14に接続されたダクト17のダンパー19の開度を、左側の吸引ノズル11、13に接続されたダクト16のダンパー18の開度に比べて大きくした場合には、右側の吸引ノズル12,14の吸引量が左側の吸引ノズル11,13の吸引量に比べて増大するために、ウエブ2の上下面において右方向への気体の流れが発生する。しかも、上下に配設されている第1と第3(または第2と第4)の吸引ノズルは相互に連結されていることにより、ウエブ2の上下面に対する吸引力は等しく、吸引ノズル11〜14の吸引によりウエブ2が上下に偏ることはない。
【0026】
上記操作は、ウエブ2の蛇行を目視又は適当な蛇行変位量の検出装置にて観察し、手動でダンパー18,19の開度を操作するようにしてもよいが、以下に示すようにウエブ2の蛇行を検出手段によって検出し、自動的にウエブ2の蛇行を修正するようにしてもよい。
【0027】
自動的にウエブ2の蛇行を修正する乾燥装置には、ウエブ2がその幅方向へ蛇行した場合に、該ウエブ2の変位した距離を測定する検出手段が配設されている。検出手段は、通常、乾燥装置内の蛇行が生じやすい箇所でウエブ2の両端部の近傍に設置される。検出手段としては、ウエブ2の端部の存在を検知し得る従来から公知の全てのセンサーが採用でき、例えば、エアー検出器、光電検出器等がある。
【0028】
図4に示すように、検出手段20からの変位距離の測定信号に基づいて、該ウエブ2の蛇行を修正するための制御量を演算する手段21が設けられている。さらに、該演算手段21からの演算値に応じて制御信号を送信し、ウエブ2の蛇行を修正する蛇行修正手段が設けられている。ここで、上記第1および第2のダクトの開度調整機構18,19が、該演算手段21からの制御信号で操作されるように構成されている。
【0029】
従って、第1および第2のダクト16,17内を流通する気体の流量が開度調整機構18,19によって自動制御され、第1および第2のダクト16,17に接続される吸引ノズルでの吸引量が変わることにより、ウエブ2の上下面において幅方向への気体の流れが発生する。それによって、上記したように、ウエブ2を気体の流れによって幅方向へ移動させる力が発生し、ウエブ2の蛇行方向とは反対方向に風の流れを発生させることにより、ウエブ2の蛇行を修正することができる。
【0030】
なお、上記開度調整機構としては、ダンパー以外に、ルーバー、仕切板等の流量を制御するための公知の手段が採用できる。また、ダンパーを循環ブロアの吸気口に接続するようにしたが、循環ブロアとは別部材の吸引装置に接続するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、ウエブ付近の気体の循環ブロア吸気口への流れを調整できる蛇行修正手段を設置したので、ダクトに設けられた開度調整機構を操作してウエブ付近の気体の流れを任意に発生させることができ、印刷速度、湿し水量、テンション等の印刷条件によるウエブの蛇行を、新たな設置スペース及び動力源を使用せずに修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウエブ蛇行修正機構を備えた乾燥装置の内部構造を示す概略斜視図である。
【図2】図1で示す乾燥装置のウエブの進行方向に対して直角の方向から見た断面の模式図である。
【図3】図2におけるA−A矢視断面の模式図である。
【図4】図1で示す乾燥装置の開度調整機構の制御機構の説明図である。
【符号の説明】
1 熱風ノズル
2 ウエブ
5 循環ブロア
11 第1の吸引ノズル
12 第2の吸引ノズル
13 第3の吸引ノズル
14 第4の吸引ノズル
16 第1のダクト
17 第2のダクト
18、19 ダンパー
20 検出手段
21 演算手段
Claims (4)
- 水平方向に走行されるウエブの上下両面に、熱風ノズルから熱風を吹き付けてウエブを浮揚させながらウエブ表面に塗布された塗膜を乾燥させる乾燥装置において、
該ウエブがその幅方向へ蛇行した場合に、該ウエブの蛇行を修正する蛇行修正手段を有し、
該蛇行修正手段が、
ウエブの上面側においてウエブの幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第1の吸引ノズルおよび第2の吸引ノズルと、該ウエブの下面側においてウエブの幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第3の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルと、
ウエブの一方側の端部にそれぞれ設けられた第1の吸引ノズルおよび第3の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第1のダクトと、
ウエブの他方側の端部にそれぞれ設けられた第2の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第2のダクトと、
該第1および第2のダクト内の気体を吸引する吸引装置と、を有し、
該第1のダクトに設けられた開度調整機構と、該第2のダクトに配設された開度調整機構とは独立して操作可能であることを特徴とするウエブ蛇行修正機構を備えた乾燥装置。 - 前記吸引装置が乾燥装置内に配設された循環ブロアであることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
- 前記開度調整機構が、第1及び第2のダクト内に配設されたダンパーであることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
- 水平方向に走行されるウエブの上下両面に向けて、熱風ノズルから熱風を吹き付けてウエブを浮揚させながらウエブ表面に塗布された塗膜を乾燥させる乾燥装置において、
ウエブがその幅方向へ蛇行した場合に、該ウエブの変位した距離を測定する検出手段と、
該検出手段からの変位距離の測定信号に基づいて、該ウエブの蛇行を修正するための制御量を演算する手段と、
該演算手段からの演算値に応じて制御信号を送信し、ウエブの蛇行を修正する蛇行修正手段とを有し、
該蛇行修正手段が、
ウエブの上面側においてウエブの幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第1の吸引ノズルおよび第2の吸引ノズルと、該ウエブの下面側においてウエブの幅方向の一方側の端部と他方側の端部にそれぞれ配設された第3の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルと、
ウエブの一方側の端部にそれぞれ設けられた第1の吸引ノズルおよび第3の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第1のダクトと、
ウエブの他方側の端部にそれぞれ設けられた第2の吸引ノズルおよび第4の吸引ノズルがそれぞれ接続される開度調整機構を備えた第2のダクトと、
該第1および第2のダクト内の気体を吸引する吸引装置と、を有し、
該第1のダクトに設けられた開度調整機構と、該第2のダクトに配設された開度調整機構とは独立して操作可能であり、
該第1および第2のダクトの開度調整機構が、該演算手段からの制御信号で操作されるように構成されていることを特徴とするウエブ蛇行修正機構を備えた乾燥装置。
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