JP3674029B2 - Voc環境モニタリングシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は広範囲に渡る地域の地下水に含まれるVOC(揮発性有機化合物)を測定し、その出力値から汚染源を特定し、必要に応じて対策をとるためのVOC環境モニタリングシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
VOCは優れた溶解力を有する溶剤として長年にわたり使用されてきたが、近年その発癌性等が指摘され、環境への放出が制限されている。
しかし、VOCによる環境の汚染は依然として解決されておらず、全国の地下水や土壌からトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどのVOCが検出され大きな問題となっている。
【0003】
特にこのようなVOCが地下水に混入した場合は広範囲に汚染が広がることが懸念される。地下水の流れは速いところでは一日当たり数十メートルにも及ぶことがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現状では地下水の汚染度合いを広範囲に測定することは為されておらず、地中に染込んだVOCを測定するための特定の地点の土壌の測定が行なわれている程度である。
【0005】
従って、従来のVOC測定では連続測定ができず、所定時間ごとにバッチで測定するにとどまり、また、空気や水に含まれるVOCの量は吸引する場所や時間帯により異なるので、広範囲に渡る地下水の汚染具合をリアルタイムに測定するのは難しいという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、広範囲に渡る地下水の汚染具合をリアルタイムに測定すると共に、注意報や警報を発し汚染源に対する処置を促すモニタリングシステムを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような問題点を解決するために本発明は、請求項1においては、
所定の地域の複数箇所に配置され、土壌若しくは地下水に含まれるVOC濃度を測定するネットワーク通信機能付きVOC計と、これら複数のVOC計に対して商用通信回線を介して信号の授受を行なうVOCモニタリング手段と、からなり、
前記モニタリング手段は所定時間毎に前記VOC計の出力値を受信して各地点ごとのデータを前記所定の地域の複数の測定点を画面に表示した地図上に重畳表示し、VOC計を配置した常時測定点とVOC計を配置しない定期測定点を異なる符合で表示するとともに、各VOC計の出力を基に出力の変化率を演算し、出力が上昇傾向にあるとき、規制値に対する予告警報が発せられるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2においては、請求項1記載のVOC環境モニタリングシステムにおいて、
各地域におけるVOC値のトレンドを表示することを特徴とする。
【0009】
請求項3においては、請求項1または2に記載のVOC環境モニタリングシステムにおいて、システムのヒストリカルメッセージを表示することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態の一例を示す構成図である。図において、1はVOC計であり、例えば測定すべき領域に所定の間隔で10〜30台程度設置される。このVOC計にはCPUが内蔵されており測定したデータをメモリに記憶しておき、VOCモニタリングサーバ7からの要求またはVOC計自身のスケジュールでデータを発信する機能を有している。即ち、記憶されたデータはダイアラップルーラ3,NTT等の公衆回線2及びイーサーネット4を介してVOCモニタリングサーバ7に送信される。
【0011】
VOCモニタリングサーバ7はVOC計からのデータ収集を管理しており、自身の画面に全体のモニタリング状況を表示する。表示された内容は環境対策部5や監視室6等のクライアントから監視できるようになっており、必要情報はWWWサーバを介してネットワーク上に公開する。また、必要に応じて端末VOC計のサーバ(CPU13)に侵入してリアルタイム監視が可能となっている。
【0012】
更に、VOC計1のCPU13は測定データの数値が予め定めた値を超えた場合、或いは所定の傾向を示した場合に警報、予報を発信する機能を有しており、その警報や予報の内容を予め登録されたアドレスに対してE−mailを発信する機能を有している。
【0013】
図2はVOC計の設置状態(a)と機器の構成(b)を示すもので、地下水が流れる地点まで観測井9が設けられ、地上に設けられたVOC計1からパイプ10が挿入される。VOC計にはパイプの一端から地下水を吸い上げて地中に戻すためのサンプリングポンプ11が設けられ、吸い上げた地下水は一部がセンサ部12に送られてVOCが測定され連続測定が行なわれる。
【0014】
測定された値は測定時間と共にCPU13のメモリに記憶される。14は携帯無線電話であり、図1に示す監視室6に配置されたCPUからの定期的なデータ収集指令や測定した値が予め定めた値を超えたとき等にアンテナ15を介して信号を送信する。16は商用電源、17はストレーナである。
【0015】
図3は所定の領域(例えば市町村若しくは都道府県単位)にVOC計を配置し、その位置を画面に表示した地図上に重畳表示したもので、黒点で示された箇所(A〜L)は常時観測点、白丸で示された箇所は定期観測点を示している。
【0016】
この白丸で示された部分には、定期的に常時観測点に配置されたVOC計のうち濃度が低い地点のものや変化の少ない地点のものを移動して配置する。
図4は図3に示された箇所の各VOC計が測定したVOCの値を示すもので、ここではH地点のVOC濃度がもっとも高いことを示している。
【0017】
図5は他の表示例を示すもので、ここでは各地域におけるVOC値のトレンドを示している。なお、横軸は時間を示す。このような画面は汚染がどの地域で発生しており、その程度を判断するのに有用である。
【0018】
なお、上述の説明では比較的に広範囲における地下水中のVOCの濃度を測定したが、汚染の疑いのある工場の周辺に複数個のVOC計を設置して土壌に浸透したVOCの濃度を測定することも可能である。
【0019】
本発明の以上の説明は、説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明はその本質から逸脱せずに多くの変更、変形をなし得ることは当業者に明らかである。特許請求の範囲の欄の記載により定義される本発明の範囲は、その範囲内の変更、変形を包含するものとする。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、所定の地域の複数箇所に配置され、土壌若しくは地下水に含まれるVOC濃度を測定するネットワーク通信機能付きVOC計と、これら複数のVOC計に対して商用通信回線を介して信号の授受を行なうVOCモニタリング手段と、からなり、
前記モニタリング手段は所定時間毎に前記VOC計の出力値を受信して各地点ごとのデータを前記所定の地域の複数の測定点を画面に表示した地図上に重畳表示し、VOC計を配置した常時測定点とVOC計を配置しない定期測定点を異なる符合で表示するとともに、各VOC計の出力を基に出力の変化率を演算し、出力が上昇傾向にあるとき、規制値に対する予告警報が発せられるようにしたので、広範囲におけるVOC値をリアルタイムで測定することができる。
また、各地域におけるVOC値のトレンドを表示したり、システムのヒストリカルメッセージを表示することにより、汚染の場所と程度を判断したり、VOC計のメンテナンスや稼動状況を判断することができる。
【0021】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のVOC環境モニタリングシステムの実施形態の一例を示す構成図である。
【図2】VOC計の設置状態(a)と機器の構成(b)を示す図である。
【図3】所定の領域にVOC計を配置し、その位置を画面に表示した地図上に重畳表示した図である。
【図4】図3に示す箇所の各VOC計が測定したVOCの値を示す図である。
【図5】各地域におけるVOCの値トレンドを示す図である。
【図6】システムのヒストリカルメッセージを示す図である。
【符号の説明】
1 VOC計
2 公衆回線
3 ダイアラップルーラ
4 イーサネット
5 環境対策部
6 監視室
7 VOCモニタリングサーバ
8 WWWサーバ
9 観測井
10 パイプ
11 サンプリングポンプ
12 センサ部
13 CPU
14 携帯無線電話
15 アンテナ
16 商用電源
Claims (3)
- 所定の地域の複数箇所に配置され、土壌若しくは地下水に含まれるVOC濃度を測定するネットワーク通信機能付きVOC計と、これら複数のVOC計に対して商用通信回線を介して信号の授受を行なうVOCモニタリング手段と、からなり、
前記モニタリング手段は所定時間毎に前記VOC計の出力値を受信して各地点ごとのデータを前記所定の地域の複数の測定点を画面に表示した地図上に重畳表示し、VOC計を配置した常時測定点とVOC計を配置しない定期測定点を異なる符合で表示するとともに、各VOC計の出力を基に出力の変化率を演算し、出力が上昇傾向にあるとき、規制値に対する予告警報が発せられるようにしたことを特徴とするVOC環境モニタリングシステム。 - 各地域におけるVOC値のトレンドを表示することを特徴とする請求項1に記載のVOC環境モニタリングシステム。
- システムのヒストリカルメッセージを表示することを特徴とする請求項1または2に記載のVOC環境モニタリングシステム。
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