JP3673112B2 - 送信帯域分割型分波器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等の小型移動体通信機器に用いられる無線周波数〔Radio Frequency(RF)〕フィルタに使用される弾性表面波共振器型SAWフィルタを用いた分波器の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型で軽量な携帯電話等の移動体通信機器端末の開発が急速に進められている。これに伴い、用いられる部品の小型、高性能化が求められており、SAW素子の開発が進められている。
【0003】
また、携帯電話等の移動体通信機器の多様化、多チャンネル化に伴い、送信帯域と受信帯域の間隔の近接化、各通過帯域の広帯域化方式の採用が進んでおり、これに対応するSAW分波器の開発がなされている。
【0004】
図8は従来の分波器の構成図である。
【0005】
SAW分波器はRF部の形状及び性能が携帯電話等の小型化、高性能化に大きく貢献できるデバイスであるため、その実用化が強く要望されている。
【0006】
図8に示すように、このSAW分波器10は、アンテナ端1、送信(Tx)端2、受信(Rx)端3、弾性表面波共振器を用いた送信用フィルタ4、受信用フィルタ7を有し、その送信用フィルタ4は整合用線路(整合用回路)5と送信用フィルタ回路6を備え、受信用フィルタ7は整合用線路(整合用回路)8と受信用フィルタ回路9で構成され、小型で、通過帯域の挿入損失が小さい事、減衰帯域の減衰が大きい事等の特性が要求されている。
【0007】
従来、通過帯域の広い、しかも送信帯域と受信帯域の狭い分波器は誘電体共振器を用いて構成されている。この誘電体共振器を用いた分波器の場合、形状の小型化に限界がある事が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
周波数が配置されたCDMA方式においては、例えば送信用フィルタの通過帯域が887〜925MHz、受信用フィルタの通過帯域が832〜870MHzで、送信帯域と受信帯域の間隔が17MHzである。このCDMA用分波器のSAWフィルタでの実現は、通過帯域幅が38MHz、かつ、送信帯域と受信帯域の間隔が17MHzと狭いため、図8に示した従来の分波器の構成では、送信用フィルタの通過帯域が広く、且つ受信用フィルタの通過帯域との間隔が狭いため、送信用フィルタの特性が急峻なものが必要となる。この場合、低挿入損失の実現が困難となる。つまり、CDMA方式の場合は送信用フィルタの通過帯域が887〜925MHz、受信用フィルタの通過帯域が832〜870MHzのため、送信用フィルタと受信用フィルタの間隔が17MHzしかない。従って、送信用フィルタの傾斜を急峻にすると、用いるSAW共振器の特性のため、送信用フィルタの通過帯域内の端部の損失が増加する。
【0009】
本発明は、上記状況に鑑みて、送信用フィルタを帯域分割し、分割した二つの送信用フィルタ回路と、分割しない受信用フィルタで構成され、小型化、高性能化された送信帯域分割型分波器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕送信帯域分割型分波器において、通過帯域の異なる第1の送信用フィルタ回路と第2の送信用フィルタ回路を有する送信用フィルタと、受信用フィルタと、周波数特性改善用素子と、整合用回路により構成されるSAW分波器であって、前記第1あるいは第2の送信用フィルタ回路のいずれか一方に(λ/2)長線路の整合用回路を接続するようにしたものである。
【0011】
〔2〕上記〔1〕記載の送信帯域分割型分波器において、前記(λ/2)長線路の整合用回路は、前記2つの送信用フィルタ回路のうち通過帯域の周波数が低い方に接続されるようにしたものである。
【0012】
〔3〕上記〔1〕記載の送信帯域分割型分波器において、前記(λ/2)長線路の整合用回路が接続されない方の送信用フィルタ回路には(λ/4)長線路の整合用回路が接続されるようにしたものである。
【0013】
〔4〕上記〔1〕記載の送信帯域分割型分波器において、前記(λ/2)長線路の整合用回路が接続されない方の送信用フィルタ回路にはアンテナが接続されるようにしたものである。
【0014】
〔5〕送信用フィルタの通過帯域を分割し、二つの送信用フィルタ回路と受信用フィルタと、周波数特性改善用素子及び整合用回路により構成されるSAW分波器であって、前記二つの送信用フィルタ回路に接続される各整合用回路としてキャパシタ及び前記周波数特性改善用素子としてインダクタを用いるようにしたものである。
【0015】
〔6〕送信用フィルタの通過帯域を分割し、二つの送信用フィルタ回路と、受信用フィルタと、周波数特性改善用素子及び整合用回路により構成されるSAW分波器であって、前記二つの送信用フィルタ回路に接続される整合用回路の一つにキャパシタ及び周波数特性改善用素子としてインダクタを用いるようにしたものである。
【0016】
〔7〕上記〔5〕又は〔6〕記載の送信帯域分割型分波器において、前記整合用回路のキャパシタとして直列腕SAW共振器の容量を用いるようにしたものである。
【0017】
〔8〕上記〔5〕又は〔6〕記載の送信帯域分割型分波器において、前記周波数特性改善用素子としてインダクタに直列または並列にキャパシタを用いるようにしたものである。
【0018】
〔9〕送信用フィルタの通過帯域を分割し、二つの送信用フィルタ回路と受信用フィルタと、周波数特性改善用素子及び整合用回路により構成されるSAW分波器であって、それぞれ異なった通過帯域を有する二つの送信用フィルタ回路のそれぞれに整合回路を設け、一方の整合回路は他方の整合回路の線路長より短い ものとするようにしたものである。
【0019】
〔10〕上記〔9〕記載の送信帯域分割型分波器において、前記他方の整合回路は(λ/4)長線路を有するようにしたものである。
【0020】
〔11〕上記〔9〕記載の送信帯域分割型分波器において、前記一方の整合回路はアンテナ端子に接続され、前記他方の整合回路は受信用フィルタ回路に対して設けられた整合回路に接続されるようにしたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の第1実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【0023】
この図において、101はANT端、102は第1のTx端、103は第2のTx端、104はRx端、105は送信用フィルタ、106は第1の送信用フィルタ回路107に直列に接続される第1の整合用回路(整合用線路)、108は第2の送信用フィルタ回路109に直列に接続される第2の整合用回路(整合用線路)、110は受信用フィルタであり、この受信用フィルタ110は、第3の整合用回路(整合用線路)111、受信用フィルタ回路112からなる。また、周波数特性改善用素子としては、ANT端101に直列に接続されるインピーダンスZA 113、ANT端101に直列に接続されるインピーダンスZANT 114である。
【0024】
この実施例では、送信用フィルタ105においては、帯域幅をそのまま実現せず、CDMA方式における実際の第1の送信帯域915〜925MHzと、第2の送信帯域887〜901MHzとを通過帯域とする二個の送信用フィルタ回路、つまり、第1の送信用フィルタ回路107(915〜925MHz)と、第2の送信用フィルタ回路109(887〜901MHz)で構成する。
【0025】
この実施例によれば、上記したように、送信帯域を分割することにより、高性能分波器が得られる。また、各フィルタの帯域幅が狭くなるため、構成段数が少なくなる。具体的に示すと、CDMA方式の場合は、送信用フィルタの通過帯域は887〜925MHzであるが、実際に必要な帯域は887〜901MHz及び915〜925MHzである。したがって、送信用フィルタを設計する場合887〜925MHzという一つのフィルタにするか、あるいは887〜901MHzと915〜925MHzの二つのフィルタにするかのどちらかである。ここで、887〜925MHzという一つのフィルタにする場合は、6段または7段構成が必要となるが、887〜901MHzと915〜925MHzの二つのフィルタにする場合は4段または5段構成で済むことになる。
【0026】
したがって、挿入損失を減少させることができる。
【0027】
一方、分波器が三個のフィルタによる構成となるため、整合用回路が複雑になり、挿入損失が増加するが、分波器としては、高性能化特性が得られる。
【0028】
この分波器の原理を図2を参照しながら説明する。
【0029】
まず、ANT端101において、分波器として次の条件が成立する必要がある。
【0030】
1/ZANT=1/Zin〔Tx(1)〕+1/Zin〔Tx(2)〕+1/Zin〔Rx〕 ・・・(1)
ZANT≒50.0 ・・・(2)
なお、入出力インピーダンスを50Ωに設計しているのは、無線機器が50Ωで作られていることによる。
ここで、
Zin〔Tx(1)〕=915〜925MHzを通過帯域とする送信用フィルタの入力インピーダンス、
Zin〔Tx(2)〕=887〜901MHzを通過帯域とする送信用フィルタの入力インピーダンス、
Zin(Rx)=受信用フィルタの入力インピーダンス
である。
【0031】
一般に、梯子型SAWフィルタは通過帯域の低域側減衰域においては入力インピーダンスが純虚数に近い値になり、0に近い値になる場合もある。
【0032】
したがって、CDMA方式の場合、送信用フィルタのインピーダンスによる受信用フィルタの通過帯域の特性が最も影響を受ける。即ち、
Zin〔Tx(1)〕≒jZin〔Tx(1)〕、
Zin〔Tx(2)〕≒jZin〔Tx(2)〕 ・・・(3)
となるが、図1に示した第1の整合用回路106、第2の整合用回路108、第3の整合用回路111として、第1の送信用フィルタ回路107に直列に接続する第1の整合用回路106に(λ/4)長線路、第2の送信用フィルタ回路109に直列に接続する第2の整合用回路108に(λ/2)長線路を採用する事により Zin〔Tx(1)〕≒∞、Zin〔Tx(2)〕≒∞・・・・(4)
となり、上記式(4)の条件が満足され、高性能分波器が得られる。
【0033】
第2の整合用回路108に(λ/2)長線路を採用したのは、第1の送信用フィルタ回路107の通過帯域の特性を維持するためである。
【0034】
また、周波数特性改善用素子ZA 113、ZANT 114は主にVSWR(Voltage Sanding Wave Ratio)の調整に必要な素子である。同じ、VSWRの調整のため、第1のTx端102、第2のTx端103、Rx端104にも必要な場合があるがここでは示していない。しかし、図1に示す整合用回路として、第1の送信用フィルタ回路107に直列に接続する第1の整合用回路106に(λ/4)長線路を採用するとともに、第2の整合用回路108に(λ/2)長線路を採用することにより、上記式(4)の条件を満足することは可能であるが、(λ/4)長線路及び(λ/2)長線路による形状の増大は避けられない。
【0035】
このように第1実施例によれば、第1の整合用回路に(λ/4)長線路、第2の整合用回路に(λ/2)長線路を用いることにより、前記欠点を可能な限り除去することができ、キャパシタおよびインダクタを用いてキャパシタおよびインダクタのQが(λ/4)長線路のQより高くなるため、高性能送信帯域分割型分波器を得ることができる。
【0036】
また、図1の本発明の分波器の構成において、第1の送信用フィルタ回路107、第2の送信用フィルタ回路109および受信用フィルタ回路112は、各フィルタのANT端側に、直列腕共振器回路を構成する。
【0037】
なお、受信用フィルタに関して帯域分割する必要がないのは、以下の理由による。CDMA方式の場合、送信用フィルタの挿入損失の規格は3.0dB以下で、受信用フィルタの挿入損失の規格は4.2dB以下である。つまり、受信用フィルタの挿入損失の規格が大きいために帯域分割しなくてもフィルタ特性を実現することができる。これに対して、送信用フィルタは必要な挿入損失が小さいため、帯域を分割する必要がある。
【0038】
次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0039】
図3は本発明の第2実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【0040】
この実施例は、第1の送信用フィルタ回路107と第2の送信用フィルタ回路109の受信用フィルタ回路112への影響を除去するため、第1の送信用フィルタ回路107と第2の送信用フィルタ回路109に接続する二つの整合用回路、つまり、第1の整合用回路106、第2の整合用回路108に(λ/4)長線路を用いて、送信帯域分割型分波器の形状の増加および特性の劣化を少なくしたものである。
【0041】
図3に示すように、第1の整合用回路106および第2の整合用回路108として第1のキャパシタCT1301、第2のキャパシタCT2302を用い、また、周波数特性改善用インピーダンスZANT 114としてインダクタLANT 303を用いて構成した。
【0042】
図3において、f=847(MHz)において、上記式(1)の関係式が下記式(5)のようになる。
【0043】
1/ZANT =1/〔(1/SCT1)−j1.73〕+1/〔(1/SCT2)−j0.921)+1/(2.27−j1.28)+1/(jωLANT )…(5)
ここで、S=j*ω=j*2*πfである。今、CT1=CT2=7(pf)として、受信用フィルタのf=847(MHz)において、インピーダンスの虚数部を0になるようにLANT の値を決める。即ち、
1/ZANT =1.0(Ω)とするとLANT はLANT =6.73(nH)となる。
【0044】
この場合、整合用回路として、(λ/4)長線路が必要ないため、形状の小型化とインダクタのQによる特性改善になる。このCT1=CT2=7(pF)の実現手法として、チップ容量、パッケージ内で構成する場合と共にSAW共振器の容量により構成することも可能である。
【0045】
また、インダクタLANT =6.73(nH)はチップインダクタ、パッケージ内のストリップライン等で構成可能である。
【0046】
次に、本発明の第3実施例について説明する。
【0047】
図4は本発明の第3実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【0048】
図4において、401はANT端、402は第1のTx端、403は第2のTx端、404はRx端、405は送信用フィルタ、406は第1の送信用フィルタ回路407に直列に接続される整合用回路(整合用線路)としてのキャパシタCT1、408は第2の送信用フィルタ回路、409は受信用フィルタであり、受信用フィルタ回路410からなる。また、周波数特性改善用素子は、ANT端401に接続されるキャパシタCANT 411とインダクタLANT 412である。
【0049】
このように、送信帯域分割型分波器の整合用回路として、キャパシタCT1406、キャパシタCANT 411及びインダクタLANT 412を用いる。
【0050】
図4において、f=847(MHz)において、上記式(1)の関係式が次式(6)のようになる。
【0051】
1/ZANT =1/〔(1/SCT1)−j1.73〕+1/(−j0.921)+1/(2.27−j1.28)+1/〔1/(SCANT )+jωLANT 〕…(6)
ここで、CT1=7(pF)、CANT =20(pF)として、受信用フィルタのf=847(MHz)において、インピーダンスの虚数部を0になるように、LANT の値を決める。即ち、
1/ZANT =1.0(Ω)とすると、L ANT =7.7(nH)となる。
【0052】
第3実施例のキャパシタCT1、CANT およびインダクタLANT も実現手法は第1実施例の場合と同様に可能である。
【0053】
次に、本発明の第4実施例について説明する。
【0054】
図5は本発明の第4実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【0055】
図5において、501はANT端、502は第1のTx端、503は第2のTx端、504はRx端、505は送信用フィルタ、506は第1の送信用フィルタ回路、507は第2の送信用フィルタ回路508に直列に接続される整合用回路(λ/2長線路)、509は受信用フィルタ、510は受信用フィルタ回路である。
【0056】
このように、第4実施例によれば、第2の送信用フィルタ回路508に直列に接続される整合用回路507として、(λ/2)長線路を用いて、送信帯域分割型分波器を構成した。また、この第4実施例では、第1の送信用フィルタ回路506に直列に接続される整合用回路は用いていないが、第1の送信用フィルタ回路506の入力直列腕共振器の等価容量が、第2実施例と第3実施例に示したCT1になっている。また、第2の送信用フィルタ回路508と接続する整合用回路507としては(λ/2)長線路を用い、第2の送信用フィルタ回路508の下部減衰域を通過域とする受信用フィルタ回路510および第2の送信用フィルタ回路508の上部減衰域を通過域とする第1の送信用フィルタ回路506の通過域特性改善するようにしたものである。
【0057】
次に、本発明の第5実施例について説明する。
【0058】
図6は本発明の第5実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【0059】
図6において、601はANT端、602は第1のTx端、603は第2のTx端、604はRx端、605は送信用フィルタ、606は第1の送信用フィルタ回路607に直列に接続される整合用回路としての微小長線路、608は第2の送信用フィルタ回路609に直列に接続される整合用回路としての(λ/4)長線路、610は受信用フィルタ、611は受信用フィルタ回路612に直列に接続される整合用回路としての(λ/4)長線路であり、この(λ/4)長線路611は(λ/4)長線路608にも直列に接続されている。
【0060】
このように、この実施例では、微少長線路606、(λ/4)長線路608、及び(λ/4)長線路611を用いて、送信帯域分割型分波器を構成している。
【0061】
つまり、この第5実施例は、キャパシタおよびインダクタ等の集中定数素子を用いないことを特徴としている。整合用回路として、線路はパッケージの層間において容易に構成可能である利点がある。この場合、樹脂基板(比誘電率≒4.8)を用いた各線路長は、次のようになっている。
【0062】
例えば、微少長線路606≒10(mm)、(λ/4)長線路608≒45(mm)、(λ/4)長線路611≒40(mm)である。
【0063】
この第5実施例の特性の特徴は、インダクタを用いないため、受信用フィルタが減衰域において高減衰が得られることである。
【0064】
この第5実施例の送信帯域分割型分波器の特性を表1に、第2乃至第4実施例の特性と比較して示すように、各実施例と略同等の規格を満足する特性が得られる。また、表2に第2乃至第4実施例における各整合用回路及びZANT の値を示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
図7は上記した第1乃至第5実施例における各フィルタ回路の共振器の構成を示す図であり、図7(a)は第1の送信用フィルタ回路の共振器の構成図、図7(b)は第2の送信用フィルタ回路の共振器の構成図、図7(c)は受信用フィルタ回路の共振器の構成図である。
【0068】
つまり、図7(a)に示すように、第1の送信用フィルタ回路の共振器としては、第1の直列共振腕ST11、第1の並列共振腕PT11、第2の直列共振腕ST12、第2の並列共振腕PT12、第3の直列共振腕ST13、第3の並列共振腕PT13を備えている。
【0069】
図7(b)に示すように、第2の送信用フィルタ回路の共振器としては、第1の直列共振腕ST21、第1の並列共振腕PT21、第2の直列共振腕ST22、第2の並列共振腕PT22、第3の直列共振腕ST23、第3の並列共振腕PT23を備え、また、図7(c)に示すように、受信用フィルタ回路の共振器としては、第1の直列共振腕SR11、第1の並列共振腕PR11、第2の直列共振腕SR12、第2の並列共振腕PR12、第3の直列共振腕SR13、第3の並列共振腕PR13、第4の直列共振腕SR14、第4の並列共振腕PR14を備えている。
【0070】
表3に上記した第1の送信用フィルタ回路の共振器の構成を、表4に上記した第2の送信用フィルタ回路の共振器の構成を、表5に上記した受信用フィルタ回路の共振器の構成をそれぞれ示す。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
表6に第2実施例の各共振器の構成を示す。
【0075】
【表6】
【0076】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0077】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0078】
送信用フィルタの通過帯域を分割し、二つの送信用フィルタ回路及び受信用フィルタにより分波器を構成し、構成の簡単な送信用フィルタを用いることにより、小型化された高性能化SAW分波器を得ることができる。
【0079】
詳細に述べると、CDMA方式の場合は、例えば送信用フィルタの通過帯域は887〜925MHzであるが、実際に必要な帯域は887〜901MHz及び915〜925MHzである。したがって、送信用フィルタを設計する場合、887〜925MHzという一つのフィルタにするか、あるいは887〜901MHzと915〜925MHzの二つのフィルタにするかのどちらかになる。ここで、887〜925MHzという一つのフィルタにする場合は、6段または7段構成が必要となるが、887〜901MHzと915〜925MHzの二つのフィルタにする場合は4段または5段構成で済むという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す送信帯域分割型分波器の原理図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【図4】本発明の第3実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【図5】本発明の第4実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【図6】本発明の第5実施例を示す送信帯域分割型分波器の構成図である。
【図7】第1乃至第5実施例における各フィルタ回路の共振器の構成を示す図である。
【図8】従来の分波器の構成図である。
【符号の説明】
101,401,501,601 ANT端
102,402,502,602 第1のTx端
103,403,503,603 第2のTx端
104,404,504,604 Rx端
105,405,505,605 送信用フィルタ
106 第1の整合用回路(整合用線路)
107,407,506,607 第1の送信用フィルタ回路
108 第2の整合用回路(整合用線路)
109,408,508,609 第2の送信用フィルタ回路
110,409,509,610 受信用フィルタ
111 第3の整合用回路(整合用線路)
112,410,510,612 受信用フィルタ回路
113 インピーダンスZA
114 インピーダンスZANT
301 第1のキャパシタCT1
302 第2のキャパシタCT2
303 インダクタLANT
406 キャパシタCT1〔整合用回路(整合用線路)〕
411 キャパシタCANT
412 インダクタLANT
507 整合用回路(λ/2長線路)
606 整合用回路(微小長線路)
608,611 整合用回路(λ/4長線路)
Claims (2)
- それぞれが共通接続部に接続され、通過帯域の異なる第1の送信用フィルタ回路と第2の送信用フィルタ回路を有する送信用フィルタと、
アンテナ端子に接続される前記共通接続部に接続された受信用フィルタと、
整合用回路により構成されるSAW分波器であって、
前記第1あるいは第2の送信用フィルタ回路のうち通過帯域の周波数が低い方は、前記共通接続部との間に設けられた前記整合用回路としての(λ/2)長線路の整合用回路を介して前記共通接続部に接続され、前記(λ/2)長線路の整合用回路が接続されない方の送信用フィルタ回路は(λ/4)長線路の整合用回路を介して前記共通接続部に接続され、前記アンテナ端子と前記共通接続部との間には周波数特性改善素子が接続されていることを特徴とする送信帯域分割型分波器。 - それぞれが共通接続部に接続され、通過帯域の異なる第1の送信用フィルタ回路と第2の送信用フィルタ回路を有する送信用フィルタと、
アンテナ端子に接続される前記共通接続部に接続された受信用フィルタと、
整合用回路により構成されるSAW分波器であって、
前記第1あるいは第2の送信用フィルタ回路のうち通過帯域の周波数が低い方は、前記共通接続部との間に設けられた前記整合用回路としての(λ/2)長線路の整合用回路を介して前記共通接続部に接続され、前記(λ/2)長線路の整合用回路が接続されない方の送信用フィルタ回路は入力直列腕共振器を有するものであり、前記共通接続部に直接接続されていることを特徴とする送信帯域分割型分波器。
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