JP3672179B2 - 音楽的アミューズメントシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子楽器の教習用として、またはゲーム機として使用することができる音楽的アミューズメントシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、楽譜をディスプレイに表示し、演奏者はその楽譜を見ながら電子楽器を演奏するようにしたシステムは知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシステムでは、演奏者が楽譜を読めることを前提にしているために、楽譜を読めない初心者は電子楽器を演奏することができなかった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、楽譜を読めない初心者でも簡単に且つ楽しんで電子楽器を演奏することができる音楽的アミューズメントシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の音楽的アミューズメントシステムは、演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、該記憶された演奏データに応じて楽譜情報を表示する表示手段であって、該楽譜情報の音符をキャラクタで表示するものと、該表示されたキャラクタを、所定の方向にスクロールするスクロール手段と、演奏者が演奏情報を入力するための演奏情報入力手段と、前記表示されたキャラクタ毎に、演奏情報入力手段を操作するタイミングに余裕をもたせるための範囲を付与する範囲付与手段と、前記スクロールされたキャラクタが、当該キャラクタに対応する演奏情報を入力すべきタイミングに差し掛かるとき、該キャラクタに付与された範囲内で前記演奏情報入力手段から該対応する演奏情報が入力されたことを検出する検出手段と、該検出手段により前記対応する演奏情報が前記範囲内で入力されたことが検出された場合に、前記表示されたキャラクタの表示態様を変化させる制御処理手段とを有することを特徴とする。(請求項1)
【0006】
好ましくは、前記表示手段は、前記範囲付与手段で付与される範囲を表わす情報に基づく範囲をも表示することを特徴とする。(請求項2)
【0007】
好ましくは、さらに、音源手段を有し、前記範囲付与手段で付与される範囲は、発音および消音の許可すべき所定の範囲であり、前記検出手段は、該付与された発音許可範囲および消音許可範囲内で、それぞれ前記演奏情報入力手段から当該キャラクタに対応する演奏情報が入力されたことおよび該入力が停止されたことを検出し、該検出手段により当該キャラクタに対応する演奏情報が前記発音許可範囲内で入力された場合には、前記音源手段で、入力された演奏情報に基づく発音処理を行うとともに、前記検出手段により該入力が前記消音許可範囲内で停止された場合には、前記音源手段で、停止された演奏情報に基づく消音処理を行うことを特徴とする。(請求項3)
【0008】
好ましくは、前記表示手段は、前記音符の音長に応じた色のキャラクタを表示することを特徴とする。(請求項4)
【0009】
好ましくは、前記表示手段は、曲の進行に従って、前記キャラクタを遠近感を持たせて表示することを特徴とする。(請求項5)
【0012】
〔発明の作用〕
本発明の構成に依れば、演奏データ記憶手段に記憶された演奏データに応じて楽譜情報の音符がキャラクタで表示され、このキャラクタが演奏データに応じたテンポで所定の方向にスクロールされる。
【0013】
また、演奏情報が、スクロールされたキャラクタに付与された範囲内で入力されると、キャラクタの表示態様を変化させたり、制御処理手段により所定の制御処理が行われる。
【0014】
【発明の実施の形態】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例に係る音楽的アミューズメントシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0016】
同図において、本実施例の音楽的アミューズメントシステムは、音高情報を入力するための鍵盤1と、各種情報を入力するためのパネル操作子2と、システム全体の制御を司るCPU3と、該CPU3が実行する制御プログラムや画像情報等を格納するROM4と、演奏中の演奏データやCPU3が実行する演算結果等を一時的に記憶するRAM5と、複数の演奏データを記憶する、例えばメモリカードやROMカートリッジ等の外部記憶装置6と、演奏情報や各種情報を表示するディスプレイ7と、外部からのMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号を入力したり、MIDI信号として外部に出力したりするためのMIDIインターフェース(I/F)8と、鍵盤1から入力された音高情報等の各種楽音を楽音信号に変換する音源9と、該音源9からの楽音信号を音響に変換する、例えばスピーカ等のサウンドシステム10とにより構成されている。そして、上記構成要素2〜9は、アドレス・データバス11を介して相互に接続され、音源9にはサウンドシステム10が接続されている。
【0017】
図2は、本実施例の音楽的アミューズメントシステムが行う動作の概要を説明するための図である。図中、(a)は、通常の楽譜を示し、(b)は、(a)の楽譜を時計方向に90°回転した楽譜を示し、(c)は、(b)の楽譜を直線L1を中心にして折り返した楽譜を示している。そして、本実施例の音楽的アミューズメントシステムは、(c)の楽譜に基づいて動作する。すなわち、曲の進行(テンポ)に従って(c)の楽譜(すなわち各音符)が図のスクロール方向にスクロールされ、演奏者は、楽譜の各音符が所定の位置に到達した時点で、当該音符に対応する鍵盤1を押鍵して、曲を演奏する。
【0018】
なお、(b)の楽譜に基づいて本実施例の音楽的アミューズメントシステムを動作させることもできるが、スクロール方向が垂直上方向であるために、演奏者が鍵盤1を押鍵するタイミングを取り難いことから、本実施例では(c)の楽譜に基づいて動作させるようにしている。
【0019】
図3は、本実施例の音楽的アミューズメントシステムのディスプレイ7に実際に表示される表示画面の一例を示す図である。
【0020】
同図に示すように、ディスプレイ7には、図2(c)の各音符がリンゴの形状で表示されるとともに、演奏者がどの鍵を弾けばよいのか分かるように鍵盤も表示されている。すなわち、図2(c)の各音符がキャラクタ化されて、横方向に拡げられ、演奏者が弾くべき鍵の垂直上方の位置に各音符が配置される。
【0021】
そして、リンゴ化された音符は、画面上、上から下にアニメーションスクロールされて移動してくる。演奏者は、直線L2で示す「現在の演奏位置」の直線にリンゴが差し掛かるタイミングを見計らって、弾くべき鍵盤1を押鍵すると、矢が発射されてリンゴに刺さり、矢の刺さったリンゴは画面上から消滅する。リンゴが消滅すると得点が加算される一方、演奏者が弾くべきタイミングをはずすと、矢はリンゴに刺さらずにリンゴは消滅せず、表示画面の最後までスクロールされて行く。同様にして、タイミングを見計らって押鍵している鍵を離鍵すると、得点が加算される。
【0022】
この処理は、後述するようにCPU3によってなされるので、曲本来のタイミングで鍵盤1を弾いたときのみ、すなわちCPU3が処理できる最小時間で正確に弾いたときのみ、リンゴに矢が刺さるようにすると、上級者でもリンゴに矢が刺さらないことなる。このため、押鍵タイミングの範囲を発音許可範囲a1とし、離鍵タイミングの範囲を消音許可範囲a2として、鍵盤1を弾くタイミングにある程度余裕を持たせている。したがって、この範囲a1,a2が直線L2に差し掛かっているときに、演奏者は対応する鍵盤1を押鍵すればよい。
【0023】
なお、リンゴに矢が刺さったときに、その音符の音を鳴らすようにしてもよいし、鳴らさないようにしてもよい。また、演奏者のレベルに応じて音を鳴らすか否かを切り換えてもよい。音を鳴らさないようにした場合には、演奏する曲と無関係な曲をBGMとして流すようにしてもよい。例えば、クラシックのピアノ曲の譜面に基づいてアニメーションスクロールが行われている場合に、BGMはロックミュージックでもよい。ただし、テンポは、アニメーションスクロールを行っている曲と一致させた方がよい。テンポによってスクロール速度が変わり、シューティングゲームとしての演奏の難しさが変わるため、BGMもテンポによって変更する方が望ましいからである。
【0024】
さらに、本実施例では、音符をリンゴに変形したことにより音符の音長が不明になっているので、演奏者が音長を分かるように音長に応じて、例えばリンゴの色が異なるようにすればよい。
【0025】
また、本実施例では、キャラクタをリンゴにしたが、これに限る必要はなく、例えば飛行機や鳥等であってもよく、この場合には機銃やライフル銃で撃ち落とすようにすればよい。
【0026】
以上のように構成された音楽的アミューズメントシステムが実行する制御処理を、以下、図4〜6を参照して説明する。
【0027】
図4は、本実施例の音楽的アミューズメントシステムのCPU3が実行するメインルーチンの手順を示すフローチャートである。
【0028】
同図において、まず、RAM5のクリアや各種ポートのクリア等の初期設定を行う(ステップS1)。
【0029】
次に、前記RAM5に確保された演奏データ記憶領域から画面表示分の音符情報を読み出し、その読み出した音符情報に音符が含まれている場合には各音符毎に発音許可範囲、消音許可範囲を決定し、RAM5の所定領域に記憶し(ステップS2)、音符を前記リンゴの形状でディスプレイ7に表示する(ステップS3)。ここで、演奏データ記憶領域に記憶される音符情報は、例えば音高および該音符の種類等を示すイベントデータと、該イベントデータ間の時間間隔を示すデュレーションデータとにより構成され、音符情報の最後には演奏データの最後を示すエンドデータが記憶されている。
【0030】
図6は、ディスプレイ7に表示された画面の一例を示す図であり、(a)は、曲の演奏をスタートする前の画面を示し、(b)は、曲を演奏しているときの画面を示している。図中、数字は、演奏データ記憶領域におけるデータの位置を示し、各図において、上の数字(“1000”,“1395”)は、画面表示分の音符情報の上限位置を示し、下の数字(“0”,“395”)は、その下限位置を示している。また、直線L2は、前記図3で説明した「現在の演奏位置」である。以下、この図6を参照して、各ステップS2,S3の処理を具体的に説明する。
【0031】
前記余裕範囲として範囲“30”を採ると(この範囲は音符の種類に応じて変更した方が望ましい)、ステップS2で読み出されたイベントデータおよびデュレーションデータから、例えば、発音許可範囲a1は、390〜420の範囲と決定され、消音許可範囲a2は、590〜620の範囲と決定され、音高は“C6”と決定され、これらの各情報は、RAM5に確保された所定領域に記憶される。そして、これらの情報に基づいて、(a)の画面がディスプレイ7に表示される。
【0032】
図4に戻り、曲の演奏をスタートする指示がなされたか否かを判別する(ステップS4)。ここで、曲の演奏をスタートさせる指示は、例えばパネル操作子2の図示しないスタートスイッチを押下することによって行うようにすればよい。
【0033】
ステップS4の判別で、スタートの指示がなされたときにはステップS5に進み、一方、スタートの指示がなされないときにはスタートの指示があるまで待機する。
【0034】
ステップS5では、後述する図5のタイマ割り込み処理が実行されるようにタイマ割り込みを許可し、ステップS6では、演奏者が鍵盤1を押鍵することによって発生する押鍵イベントがあったか否かを判別する。
【0035】
ステップS6の判別で、押鍵イベントがあったときには、その押鍵イベントの発生タイミングが前記ステップS2で決定した発音許可範囲内に入り、且つ音高が一致しているか否かを判別する(ステップS7)。この判別は、前記ステップS2でRAM5に記憶した発音許可範囲および音高に基づいて行うようにする。
【0036】
ステップS7の判別で、その答えが“YES”のときには、当該押鍵イベントの発音処理を行い(ステップS8)、前述したように矢を対応するリンゴに刺すとともに、矢が刺さったリンゴの得点を計算し、それまでの得点に加算して表示する(ステップS9)。
【0037】
一方、ステップS6の判別で押鍵イベントがないときには、ステップS7〜S9をスキップしてステップS10に進み、ステップS7の判別でその答えが“NO”のときには、ステップS8〜S9をスキップしてステップS10に進む。
【0038】
ステップS10では、演奏者が鍵盤1を離鍵することによって発生する離鍵イベントがあったか否かを判別し、離鍵イベントがあったときには、前記ステップS7と同様にして、その離鍵イベントの発生タイミングが前記ステップS2で決定し、記憶した消音許可範囲内に入り、且つ音高が一致しているか否かを判別する(ステップS11)。
【0039】
ステップS11の判別で、その答えが“YES”のときには、当該離鍵イベントの消音処理を行い(ステップS12)、前記ステップS9と同様にして、得点を計算し、それまでの得点に加算して表示する(ステップS13)。
【0040】
一方、ステップS10の判別で離鍵イベントがないときには、ステップS11〜S13をスキップしてステップS14に進み、ステップS11の判別でその答えが“NO”のときには、ステップS12,S13をスキップしてステップS14に進む。
【0041】
ステップS14では、消音範囲を過ぎて発音中の音を消音し、ステップS15では、曲の演奏をストップさせる指示がなされたか否かを判別する。ここで、ストップの指示は、演奏者がパネル設定操作子2の図示しないストップスイッチを押下することによって行うようにすればよい。
【0042】
ステップS15の判別で、ストップの指示がなされないときには前記ステップS6に戻って上述の処理を繰り返し、一方、ストップの指示がなされたときには終了処理を行った(ステップS16)後に、前記ステップS2に戻って上述の処理を繰り返す。
【0043】
図5は、タイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートであり、本割り込み処理は、例えば所定の音符の長さに応じた時間毎に1回の割合でなされている。すなわち、テンポに応じて割り込みタイミングを変更するようにしている。なお、割り込みは、これに限らず、所定時間(例えば、10msec)毎のタイミングで発生するようにしてもよい。
【0044】
同図において、まず、現在位置をインクリメントする(ステップS21)。ここで、現在位置とは、前記図6の直線L2で示す位置をいい、ステップS21では、この位置を“1”だけインクリメントする。
【0045】
次に、読み出し位置をインクリメントする(ステップS22)。ここで、読み出し位置とは、前記図6で説明した画面表示分の音符情報の上限位置をいい、ステップS22では、この位置を“1”だけインクリメントする。
【0046】
ステップS21,S22でインクリメントした位置に基づいて、ディスプレイ7の画面表示を書き換えて、前述したアニメーションスクロールを行うスクロール処理を行い(ステップS23)、前記RAM5の所定領域に確保され、前記読み出したデュレーションデータを格納するソフトカウンタTIME(以下、デュレーションタイムTIME」という)を“1”だけ減算する(ステップS24)。
【0047】
次に、このデュレーションタイムTIMEが“0”であるか否かを判別し(ステップS25)、デュレーションタイムTIME≠0のときには本割り込み処理を終了し、一方、デュレーションタイムTIME=0のときには音符情報を読み出す(ステップS26)。
【0048】
そして、この読み出された音符情報が、「音符(すなわち、前述したイベントデータ)」であるか否かを判別し(ステップS27)、「音符」であるときにはディスプレイ7にリンゴ化して表示し(ステップS28)、前記図4のステップS2と同様に、読み出し位置と音符種類を基に、発音許可範囲と消音許可範囲を決定し、RAM5の所定領域に記憶し(ステップS29)、読み出しアドレスを“1”だけ進めた(ステップS30)後に、前記ステップS26に戻って音符情報の読み出しを繰り返す。
【0049】
一方、ステップS27の判別で、読み出した音符情報が「音符」でないときには、その情報が「デュレーションデータ」であるか否かを判別し(ステップS31)、デュレーションデータであるときには、その値を前記デュレーションタイムTIMEに記憶した(ステップS32)後に、本タイマ割り込み処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS31の判別で、読み出した音符情報がデュレーションデータでないときには、そのデータが「エンドデータ」であるか否かを判別する(ステップS33)。
【0051】
ステップS33の判別で、読み出したデータがエンドデータでないときには、直ちに本割り込み処理を終了し、一方、読み出したデータが演奏データであるときには、終了処理を行った(ステップS34)後に、本割り込み処理を終了する。
【0052】
以上説明したように本実施例では、音符情報を読み出して、アニメーションスクロールし、音符に対応するキャラクタが発音許可範囲内に来たときに鍵盤1を押鍵するとそのキャラクタが撃ち落とされて得点が加算されるとともに当該楽音が発音され、消音許可範囲内に来たときに押鍵されている鍵を離鍵すると、得点が加算されるとともに当該楽音が消音されるように構成したので、楽譜を読むことのできない初心者でも、簡単に且つ楽しんで電子楽器を演奏することができる。また、ディスプレイ7に鍵盤を表示するとともに、押鍵すべき鍵の位置でキャラクタがスクロールするようにしたので、演奏者は感覚的にどの鍵盤を弾けばよいかが分かる。さらに、演奏する曲が難曲である場合には、シューティングゲームとして難しくなるために、電子楽器に興味のあるユーザのみならず、ゲームマニアにもユーザの幅を拡大することができる。
【0053】
なお、本実施例では、電子楽器として電子鍵盤楽器を用いて説明したが、これに限る必要はない。
【0054】
また、本実施例では、音楽的アミューズメントシステムとして、図1のように、本発明を実施する構成要素を全て含んだ一体型に構成したが、これに限らず、構成要素を別体で構成してもよい。例えば、図7に示すように、演奏曲に従ってMIDI信号を出力する電子楽器21と、該出力されたMIDI信号を入力し、前記図4および5で説明した処理に応じて、図6のようにディスプレイに表示したり、発音/消音を指示するMIDI信号を出力したりするパーソナルコンピュータ22と、該出力されたMIDI信号を入力し、実際に楽音の発音/消音を行う音源23およびサウンドシステム24とにより音楽的アミューズメントシステムを構成するようにしてもよい。
【0055】
さらに、本実施例では、前記図2(c)に示すように、画面上を上から下へスクロールするようにしたが、これに限らず、図8に示すように、遠近感を持たせて、音符(キャラクタ)がだんだん近づいて来るようにしてもよい。
【0056】
なお、本実施例では、図5を用いて前述したように、テンポに応じた割込周期で割り込み処理を行っているため、演奏する曲が演奏者にとって難し過ぎる場合には、テンポを遅く設定するようにするとよい。テンポを遅くすると、ゲームとしては当然、簡単になるので、得点を加算するときのウェートをテンポに応じて変更する必要がある。このようにすることで、演奏者は、どんな難曲もテンポを遅くすることにより弾くことができる。しかしながら、正規のテンポよりはるかに遅い演奏では、たとえ最後まで弾けたとしても、「弾けた気分」を味わうことができないので、このようなときには、前述したように演奏曲に無関係なBGMを流すとよい。そして、だんだん弾けるようになるに従って、テンポを上げていき、正規のテンポになったときに、発音・消音処理を行うようにすると、そのレベルでは、ある程度弾けるようになっているはずであるので、「弾けている」という実感を得ることができる。また、演奏曲が他の楽器の演奏をもつ、例えばピアノ協奏曲等の場合には、発音・消音処理とともに、オーケストラの演奏を付加するとさらに臨場感がよくなる。
【0057】
また、発音許可範囲および消音許可範囲にそれぞれレベルを設け、イベントが正規のタイミングにより近いときには、得点をより多く加算するようにしてもよい。
【0058】
図9は、上述のテンポに応じて得点等を変更するようにした機能を付加した場合に、本実施例の音楽的アミューズメントシステムが実行する制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0059】
同図において、まず、操作者の指示によりまたは自動的に、難易度またはテンポを選択する(ステップS41)。ここで、「難易度またはテンポ」としたのは、難易度とテンポとは通常同様の関係、すなわち、難易度が上がればテンポが速くなり、難易度が下がればテンポが遅くなるという関係を有するので、難易度を指定することにより曲のテンポを変更するようにしてもよいし、直接曲のテンポを変更するようにしてもよいことを示すためである。また、「難易度」とは、ゲームなどの「面」や「ステージ」に対応するものであり、この難易度によってテンポや前記発音許可範囲および消音許可範囲が変化する。
【0060】
次に、演奏曲の演奏を開始し(ステップS42)、難易度(テンポ)に応じて発音制御、BGM再生または伴奏再生のうちいずれかを選択して行い(ステップS43)、難易度(テンポ)に応じた得点の加算を行った(ステップS44)後に、演奏曲の演奏を終了する(ステップS45)。ここで、ステップS42〜S45の処理は、具体的には、前記図4の処理と同様の処理により実現される。なお、ステップS43の選択は、演奏者がマニュアル操作により選択するようにしてもよい。
【0061】
次に、獲得した得点とその難易度での合格ラインおよび不合格ラインとを比較する得点判断を行い(ステップS46)、この判断結果に応じて次のステージでの難易度(テンポ)を変更し(ステップS47)、所定の得点以上か否かを判別する(ステップS48)。
【0062】
ステップS48の判別で、獲得した得点が所定得点以上のとき、すなわち曲が演奏できたときには本制御処理を終了する一方、獲得した得点が所定得点より少ないときには前記ステップS42に戻って前述の処理を繰り返す。したがって、本制御処理を終了できたときには、テンポは正規のテンポになっているはずである。逆にいうと、正規のテンポで演奏できないうちは、所定得点以上にならないように獲得すべき点数を決めておけばよい。
【0063】
このように本機能を付加することで、難易度に応じて最適な曲の練習(またはゲーム)を行うことができ、継続して練習をする場合に、演奏者を飽きさせないようにすることができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に依れば、演奏データ記憶手段に記憶された演奏データに応じて楽譜情報の音符がキャラクタで表示され、このキャラクタが演奏データに応じたテンポで所定の方向にスクロールされるので、楽譜を読めない初心者でも簡単に且つ楽しんで電子楽器を演奏することが可能となる効果を奏する。
【0065】
また、スクロールされたキャラクタが、演奏情報を入力すべきタイミングに差し掛かるとき、該キャラクタに付与された範囲内で該入力すべき演奏情報が入力されると、キャラクタの表示態様の変化や所定の制御処理が行われるので、演奏者は、感覚的にどのように演奏情報を入力すればよいかが分かるとともに、ゲームとして楽しむこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る音楽的アミューズメントシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の音楽的アミューズメントシステムが行う動作の概要を説明するための図である。
【図3】図1のディスプレイに実際に表示される表示画面の一例を示す図である。
【図4】図1の音楽的アミューズメントシステムのCPUが実行するメインルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の音楽的アミューズメントシステムのCPUが実行するタイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1のディスプレイに表示された画面の一例を示す図である。
【図7】他の別の音楽的アミューズメントシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図8】他のアニメーションスクロールの方法を説明するための図である。
【図9】本実施例の音楽的アミューズメントシステムにテンポに応じて得点等を変更するようにした機能を付加した場合に、図1のCPUが実行する制御処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 鍵盤(演奏情報入力手段)
2 パネル操作子(難易度設定手段)
5 RAM(演奏データ記憶手段)
7 ディスプレイ(表示手段)
3 CPU(表示手段、スクロール手段、難易度設定手段、許可範囲付与手段、検出手段、制御処理手段)
9 音源(制御処理手段)
Claims (5)
- 演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、
該記憶された演奏データに応じて楽譜情報を表示する表示手段であって、該楽譜情報の音符をキャラクタで表示するものと、
該表示されたキャラクタを、所定の方向にスクロールするスクロール手段と、
演奏者が演奏情報を入力するための演奏情報入力手段と、
前記表示されたキャラクタ毎に、演奏情報入力手段を操作するタイミングに余裕をもたせるための範囲を付与する範囲付与手段と、
前記スクロールされたキャラクタが、当該キャラクタに対応する演奏情報を入力すべきタイミングに差し掛かるとき、該キャラクタに付与された範囲内で前記演奏情報入力手段から該対応する演奏情報が入力されたことを検出する検出手段と、
該検出手段により前記対応する演奏情報が前記範囲内で入力されたことが検出された場合に、前記表示されたキャラクタの表示態様を変化させる制御処理手段と
を有することを特徴とする音楽的アミューズメントシステム。 - 前記表示手段は、前記範囲付与手段で付与される範囲を表わす情報に基づく範囲をも表示することを特徴とする請求項1に記載の音楽的アミューズメントシステム。
- さらに、音源手段を有し、
前記範囲付与手段で付与される範囲は、発音および消音の許可すべき所定の範囲であり、
前記検出手段は、該付与された発音許可範囲および消音許可範囲内で、それぞれ前記演奏情報入力手段から当該キャラクタに対応する演奏情報が入力されたことおよび該入力が停止されたことを検出し、
該検出手段により当該キャラクタに対応する演奏情報が前記発音許可範囲内で入力された場合には、前記音源手段で、入力された演奏情報に基づく発音処理を行うとともに、前記検出手段により該入力が前記消音許可範囲内で停止された場合には、前記音源手段で、停止された演奏情報に基づく消音処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の音楽的アミューズメントシステム。 - 前記表示手段は、前記音符の音長に応じた色のキャラクタを表示することを特徴とする請求項1に記載の音楽的アミューズメントシステム。
- 前記表示手段は、曲の進行に従って、前記キャラクタを遠近感を持たせて表示することを特徴とする請求項1に記載の音楽的アミューズメントシステム。
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