JP3671691B2 - 類似画像検索装置、類似画像検索方法及び記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の検索対象の画像の中から特定の画像(以下「キー画像」という)と類似する画像を検索する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報処理分野の発展はめざましく、特にパーソナルコンピュータ等の性能の向上により、ビジネス分野や特定用途に限らず、一般のユーザーやコンシューマーにおいても、画像データベースや電子ファイリングの技術が普及している。例えば、画像や文書を入力機器で取り込んで、キーワード等の付加情報と共に蓄積・管理を行い、必要に応じて出力装置によって印刷することが行われている。
【0003】
しかし、大量の画像データベース内において、画像を検索しようとする場合、画像に適切なキーワード等の付加情報が付加されていないと迅速性に劣り、実用上不便である。
【0004】
かかる画像の検索において、複数の画像からキー画像に類似する画像を検索する技術として、画像の特徴量を比較する方法を採用するものがある。例えば色やテクスチャの特徴量として、それぞれ彩度、エッジの強さを求め、その値がキー画像と近い画像を複数の画像から検索される。かかる技術については、例えばExculibur社の検索ソフトウエアであるVisual RetrievalWareや、Virage社の検索ソフトウエアであるVIR Image Engineが公知である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの公知の類似画像検索技術においては、互いに比較されるべき画像の解像度は考慮されていない。同じ画像であってもその解像度を変化させれば抽出される特徴量はそれに伴って変化するのは自明である。例えば解像度の低い画像よりも高い画像の方が細かいエッジが明確になり、テクスチャの特徴量は大きくなる。また、解像度の高い画像では種々の色が独立して存在していても、解像度の低い画像ではこれらの色は混合され、それぞれの色の特徴量は異なってくる。
【0006】
キー画像と、検索対象の画像とを画像に表示して視認しつつ画像検索を行う際、画面の大きさに制限されてこれらの画像が縮小して表示され、解像度が低くなることがある。かかる場合であっても、原画像の解像度で類似検索を行いたい場合がある。その一方、ブラウザで表示された画像から受ける印象と合致した類似検索を行いたい場合もある。
【0007】
本願は上記の事情に鑑み、比較される画像の特徴量を解像度に応じて求め、ユーザーの検索時の操作性を高める技術を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明のうち請求項1にかかるものは、複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度を異ならせて変換画像を求める解像度変換手段と、ユーザーによる解像度の指定を受け付ける解像度指定手段と、前記解像度指定手段を介して指定された前記解像度に対する前記基準画像の前記特徴量を抽出する第1の抽出手段と、前記解像度指定手段を介して指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出する第2の抽出手段と、前記基準画像について抽出された前記特徴量と前記複数の検索対象画像のそれぞれについて抽出された前記特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を算出する手段と、算出された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する検索手段とを備える類似画像検索装置である。
【0009】
この発明のうち請求項2にかかるものは、請求項1記載の類似画像検索装置であって、前記第1の抽出手段及び前記第2の抽出手段はいずれも、予め複数の前記解像度に対する前記特徴量が記憶された記憶手段から、前記解像度指定手段を介して指定された前記解像度に対する前記特徴量を読み出す。
【0010】
この発明のうち請求項3にかかるものは、複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度の異なる変換画像を複数生成する解像度変換手段と、基準画像を所定の解像度で表示する表示手段と、前記変換画像の解像度のうち、前記表示手段により表示された基準画像の解像度に最も近い解像度を指定する解像度指定手段と、前記基準画像の特徴量である第1の特徴量と、前記解像度指定手段により指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての特徴量である第2の特徴量とを演算する特徴量演算手段と、前記第1の特徴量と、前記第2の特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を演算する類似度演算手段と、前記類似度演算手段により演算された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する検索手段と、を備える類似画像検索装置である。
【0011】
この発明のうち請求項4にかかるものは、類似画像検索方法であって、(a)複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度を異ならせて変換画像を求める工程と、(b)前記解像度毎に前記複数の検索対象画像及び前記基準画像の特徴量を求める工程と、(c)ユーザーによる解像度の指定を受け付ける工程と、(d)前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記基準画像の前記特徴量を抽出する工程と、(e)前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出する工程と、(f)前記工程(d)で抽出された基準画像についての前記特徴量と、前記工程(e)で抽出された前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を算出する工程と、(g)前記工程(f)で算出された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する工程とを備える。
【0012】
この発明のうち請求項5にかかるものは、請求項4記載の類似画像検索方法であって、前記工程(d)(e)のいずれにおいても、予め複数の前記解像度に対する前記特徴量が記憶された記憶手段から、前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記特徴量が読み出される。
【0013】
この発明のうち請求項6にかかるものは、類似画像検索方法であって、(a)複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度の異なる変換画像を複数生成する工程と、(b)基準画像を所定の解像度で表示する工程と、(c)前記変換画像の解像度のうち、前記工程(b)により表示された基準画像の解像度に最も近い解像度を指定する工程と、(d)前記基準画像の特徴量である第1の特徴量と、前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての特徴量である第2の特徴量とを演算する工程と、(e)前記第1の特徴量と、前記第2の特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を演算する工程と、(f)前記工程(e)で演算された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する工程とを備える。
【0014】
この発明のうち請求項7にかかるものは、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは(a)複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度を異ならせて変換画像を求める工程と、(b)前記解像度毎に前記複数の検索対象画像及び前記基準画像の特徴量を求める工程と、(c)ユーザーによる解像度の指定を受け付ける工程と、(d)前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記基準画像の前記特徴量を抽出する工程と、(e)前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出する工程と、(f)前記工程(d)で抽出された基準画像についての前記特徴量と、前記工程(e)で抽出された前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を算出する工程と、(g)前記工程(f)で算出された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する工程とをコンピュータに実現させる。
【0015】
この発明のうち請求項8にかかるものは、請求項7記載の記録媒体であって、前記工程(d)(e)のいずれにおいても、予め複数の前記解像度に対する前記特徴量が記憶された記憶手段から、前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記特徴量が読み出される。
【0016】
この発明のうち請求項9にかかるものは、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは(a)複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度の異なる変換画像を複数生成する工程と、(b)基準画像を所定の解像度で表示する工程と、(c)前記変換画像の解像度のうち、前記工程(b)により表示された基準画像の解像度に最も近い解像度を指定する工程と、(d)前記基準画像の特徴量である第1の特徴量と、前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての特徴量である第2の特徴量とを演算する工程と、(e)前記第1の特徴量と、前記第2の特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を演算する工程と、(f)前記工程(e)で演算された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する工程とをコンピュータに実現させる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明のある実施の形態である、類似画像検出システムを実現することができる構成を示す概念図である。
【0024】
当該システムは、CPUを中心として構成されてシステム全体を制御するコンピュータ1と、文字等を含めた画像を表示するディスプレイ2と、指示や操作を入力するキーボード3及びマウス4と、データが保存される媒体であるフレキシブルディスクをドライブするフレキシブルディスクドライバ5と、ハードディスクドライバ6と、画像データあるいは画像を編成して得られた図面などを出力するプリンタ7と、画像データを取り込むスキャナー8及びデータが保存される媒体であるCD−ROMをドライブするCD−ROMドライバ9と、音声を含めた音響を出力するスピーカー10と、音響を入力するマイクロフォン11とを備えている。これらはコンピュータ1を中心として相互に接続されており、データの授受が行われる。
【0025】
図2はコンピュータ1の構成と、その周辺機器2〜11との接続の概略を示すブロック図である。コンピュータ1は例えばインテル社製の品番i80486DX等のCPU201、CPU201及び後述する種々の制御回路のクロック信号を供給するクロック発生回路202と、データバス220とを備えている。更にいずれもデータバス220に接続され、本システムを制御するプログラム等が格納されるROM203、データやプログラムを記憶するRAM204、ディスプレイ2の動作を制御する表示制御回路205、キーボード3からの入力の転送を制御するキーボード制御回路206、マウス4からの入力の転送を制御するマウス制御回路207、フレキシブルディスクドライバ5の動作を制御するフレキシブルディスクドライバ制御回路208、ハードディスクドライバ6の動作を制御するハードディスクドライバ制御回路209、プリンタ7への出力を制御するプリンタ制御回路210、スキャナー8の動作を制御するスキャナー制御回路211、CD−ROMドライバ9の動作を制御するCD−ROMドライバ制御回路212、スピーカー10への出力を制御するスピーカー制御回路213、マイクロフォン11からの入力を制御するマイクロフォン制御回路214も備えられている。更に、拡張ボードを接続するための拡張スロット215もデータバス220に接続されて設けられている。拡張スロット215にSCSIIボードを接続し、これを介してフレキシブルディスクドライバ5、ハードディスクドライバ6、スキャナー8、CD−ROMドライバ9を接続することもできる。
【0026】
検索対象となる複数の画像や、キー画像はフレキシブルディスクや、ハードディスクに格納されている。あるいは更にMO媒体等の情報記憶装置を採用し、これに画像を格納してもよい。勿論、新たにスキャナー8や、CD−ROMから画像を取り込んで、これらの媒体に格納することもできるし、図示されないデジタルカメラ等を採用して画像を取り込むことができる。
【0027】
図3は、図1及び図2で示されたシステムにおける情報処理プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。本プログラムは、この実施の形態において説明される類似画像検索に関係の無いステップを含んでいても良い。
【0028】
ステップS1において初期設定が行われる。具体的には例えば情報処理に必要なフラグの初期化、画面表示の初期化(例えば情報処理の種類を示すメニューを表示する)等が挙げられる。その後ステップS2へ進み、どのような情報処理を行うかのメニューを選択する入力を待つ。選択が行われなければステップS2は繰り返し実行される。
【0029】
入力された選択に応じて、ここでは3つの経路が例示されている。経路#1は画像の特徴量を算出する処理に進み、経路#2は類似画像を検索する処理に進み、経路#3はその他の情報処理に進む。画像の特徴量の算出という情報処理が選択された場合には、経路#1を経由してステップS3に進み、特徴量の算出が行われる。類似画像の検索という情報処理が選択された場合には、経路#2を経由してステップS4に進み、類似画像の検索が行われる。その他の情報処理が選択された場合には、経路#3を経由してステップS5に進み、当該情報処理が行われる。そして、いずれの経路#1〜#3を経由する場合もステップS6でその他の情報処理が行われる。上述のように、ステップS5,S6はこの実施の形態において説明される類似画像検索に関係の無い処理であっても良い。
【0030】
図4は、コンピュータ1が実現する機能の概念を示すブロック図である。コンピュータ1を用いることなく、この図でブロックとして示される機能を発揮する装置を用いても本実施の形態を実現することができるのはいうまでもない。
【0031】
データ格納部V0は原画像データを格納する画像データ格納部V1と、画像の特徴量を格納する特徴量格納部V2とを備えており、画像と当該画像から得られる特徴量とは、互いに対応つけて格納される。データ格納部V0は例えばフレキシブルディスクドライバ5及びハードディスクドライバ6により実現できる。
【0032】
特徴量算出部V3は、画像データ格納部V1から原画像データを得て原画像の縮小処理を行い、縮小画像データを生成して画像データ格納部V1に追加して格納させる。また特徴量を原画像、縮小画像の何れについても求め、特徴量格納部V2に格納する。画像データ格納部V1は、原画像とこれを縮小して得られた縮小画像とを共に纏めて画像群として格納しておくことができる。
【0033】
類似画像検索部V4は、画像群及び解像度を指定し、この画像群の中のある画像についての画像データ(これは原画像、縮小画像の何れであるかを問わない)及びその特徴量をデータ格納部V0から得てステップS4の処理を実行する。特徴量算出部V3、類似画像検索部V4は、いずれもコンピュータ1の機能により実現することができる。
【0034】
図5はステップS3の詳細を示すフローチャートである。まずステップS301において原画像データをロードする。次にステップS302においてループ制御値iに値“0”を代入する。
【0035】
ステップS303へ進み、ロードされた原画像データについてサイズの正規化を行う。「正規化」とは、ある規定の大きさに縮小させる画像処理であり、画像処理時間の短縮とノイズの削減を図っている。例えば480×480ピクセルの大きさに画像が収まるように縦横比を維持したまま縮小させる。但し、原画像のサイズが上記規定の大きさに満たない場合には正規化処理は行わない。
【0036】
その後、ステップS3の中心となる特徴量の計算をステップS304で行う。ステップS304において計算される特徴量としては、例えば彩度の平均値等の色の特徴量、スペクトラム画像のピーク値や、エッジの強さ等のテクスチャの特徴が公知である。
【0037】
ステップS305においてループ制御値iの値が1だけ増加し、ステップS306で上限値Nと比較される。ステップS306においてループ制御値iはステップS304が実行された回数を示している。この回数が上限値Nよりも小さいと、ステップS307に進んで画像縮小処理が行われた後、ステップS304に戻り、縮小画像についての特徴量が改めて求められる。画像縮小処理は所定の比率(例えば1/2や1/3)に基づいて行われ、ステップS307が繰り返し実行されることで解像度は低下する。
【0038】
解像度は上記規定の大きさ(原画像が上記規定の大きさに満たない場合には原画像の大きさ)、所定の比率及びループ制御値iの値から求めることができる。つまり、画像縮小処理部V34は画像の解像度の変換を行っていることになる。所定の比率はループ制御値iの関数であってもよい。
【0039】
ステップS305により初めてi≧Nとなった場合にステップS306からステップS308へと進む。ステップS308では縮小画像データ及び解像度を保存する。このようにして、ある原画像データについて縮小画像データが求められ、それぞれに応じた特徴量も求められてデータベース化される。なお、正規化処理が行われた画像も縮小画像として扱われる。
【0040】
図6は機能の概念を示すブロックである特徴量算出部V3の詳細を示すブロック図である。原画像データロード部V31、画像サイズ正規化部V32、特徴量計算部V33、画像縮小処理部V34は、それぞれステップS301,S303,S304,S307を実行する。ステップS308は図4に示されたデータ格納部V0によって実行される。
【0041】
図7はステップS4の詳細を示すフローチャートであり、図8は類似画像検索部V4の詳細と、その周辺のブロックとの接続とを示すブロック図である。類似画像検索部V4は、キー画像指定部V41と、解像度指定部V42と、類似度算出部V43と、総合類似度算出部V44と、比較部V45とを備えている。キー画像指定部V41は、例えばディスプレイ2で実現できる表示部V5、キーボード3及びマウス4で実現できる入力部V6、並びにデータ格納部V0と接続されている。また比較部V45には総合類似度算出部から出力される総合類似度Ra(後に詳述する)についての比較基準となるしきい値THが入力される。しきい値THは例えばデータ格納部V0に記憶させておくことができる。
【0042】
まずステップS401においてキー画像を指定する。これは入力部V6に対してユーザーが操作することにより、キー画像指定部V41にキー画像指定命令A1をデータ格納部V0に与えさせることで実現できる。キー画像の選択に際し、表示部V5に複数の画像を表示させ、ユーザーがこれらの画像の中から指定する手順をとってもよい。その場合にはキー画像指定命令A1がデータ格納部V0に与えられる前に、予めデータ格納部V0から複数の画像の、例えば縮小画像等のカタログ表示を表示部V5に行わせることも望ましい態様の一つである。
【0043】
次にステップS402において比較時の解像度を指定し、更に後述する総合類似度Raを計算する為に用いられる類似度係数をも入力する。図8に即して言えば、このステップは、入力部V6が解像度指定部V42に対してデータ格納部V0へと解像度情報A2を与えさせ、また総合類似度算出部V44に対して色についての類似度係数Wcと、テクスチャについての類似度係数Wtとを入力することで実現できる。
【0044】
この際、ユーザーが解像度を指定し易いように、表示部V5において比較可能な解像度を複数表示し、その中から選択させるようにしてもよい。図9はそのような選択に供せられる表示画面の一例を示す図である。表示画面に表示されたブラウザにおいて、解像度選択ダイアログQ1が複数の解像度の選択項目を列挙している。図中の数字はピクセル数を示している。これら項目の内、いずれかを選択し、更に選択された解像度で画像同士の比較を実行させるための指定ボタン(図中「OK」と表示されている)を入力部V6でクリックすれば選択された解像度での画像の検索が行われる。これらの項目において提示される解像度は、ステップS307が繰り返して実行されて得られる解像度に対応している。
【0045】
この際「原画像」を指定すれば、表示画面に表示されたキー画像、あるいは更に検索結果として表示された類似画像の解像度によらず、原画像同士の特徴量での比較が行われるので、キー画像と、検索対象の画像とを画像に表示して視認しつつ画像検索を行う際、画面の大きさに制限されてこれらの画像が縮小して表示され、解像度が低くなっても、原画像の解像度で類否判断を行うことができる。これは原画像が大きくてブラウザで表示しにくい場合に有効な指定である。
【0046】
また、「ブラウザの解像度」を指定すれば、縮小画像の内、表示画面に表示されたキー画像に最も近い解像度のものについて、特徴量の比較が行われる。従って、解像度を指定する煩わしさが無い上、キー画像と、検索対象の画像とを画像に表示して画像検索を行う際、視認される画像から受ける印象と合致した類否検索を行うことができ、プレゼンテーションの効果も高い。
【0047】
図7に戻り、ステップS403において、指定されたキー画像についての指定された解像度の特徴量がロードされる。指定された解像度が原画像のそれよりも低ければ、キー画像の属する画像群から対応する縮小画像が決定され、その特徴量がロードされる。この処理は図8において、データ格納部V0にキー画像指定命令A1及び解像度情報A2とからキー画像の属する画像群の原画像もしくは縮小画像の特徴量A3を出力させることで実現できる。
【0048】
次にステップS404に進み、検索対象となる画像を格納している記憶領域のレコードポインタを先頭に移動させる。これ以降、検索対象の画像について逐次に類似度を求め、キー画像との類否を調べるのである。これは図8で言えば、データ格納部V0におけるレコードポインタの初期化に相当する。
【0049】
次にステップS405において検索対象の画像の特徴量をロードする。これは更に正確にいえば、検索対象の画像である原画像が属する画像群のうち、原画像自身、あるいはステップS402で入力された解像度に対応する縮小原画の特徴量をロードすることである。この処理は、データ格納部V0に検索対象の画像(原画像であるか縮小画像であるかを問わない)の特徴量A3を出力させることで実現できる。
【0050】
そしてステップS406において、互いに共通した解像度を有するキー画像と検索対象の画像との類似度を算出する。この処理は図8においてキー画像の特徴量A3と、検索対象の画像の特徴量A4とを用いて類似度算出部V44が類似度Rcとテクスチャの類似度Rtとを計算することで実現できる。
【0051】
ここで「共通した解像度」とは必ずしも同一の解像度の場合に限らず、原画像の解像度が所定の解像度よりも低い場合にも、それら2つの解像度を同一として取り扱うことを含む意味である。多くの画像はステップS303で画像サイズの正規化が行われた上でステップS307で解像度の変換が行われるので、解像度の等しい縮小画像が得られているが、原画像同士の比較対象を行う場合には解像度は一致しない。一方の原画像の解像度を所定の解像度とし、他方の原画像の解像度がこの所定の解像度よりも低いと考えることができるが、同一の解像度である場合と同様にして取り扱う。
【0052】
また原画像のサイズが規定の大きさ、例えば480×480ピクセルという所定の解像度よりも低い場合、ステップS303で正規化処理が行われない。この場合、ステップS307において得られた縮小画像の解像度は、画像群毎に異なっている。しかし、指定された解像度に最も近い解像度に対応した特徴量が類否判断に採用される。例えば原画像が480×480ピクセル未満である場合に、図9に示された解像度選択ダイアログQ1において「480×480ピクセル」の解像度を選択した場合には、本実施の形態ではステップS405において、原画像の特徴量をロードすることとする。
【0053】
ステップS407に進み、総合類似度算出が行われる。総合類似度とは、色の類似度、テクスチャの類似度など、複数の類似度に基づいて得られる単一の指標であり、その際にはステップS402で入力した類似度係数が考慮される。即ち、類似度係数の高い類似度ほど総合類似度に対する寄与率は高い。例えば総合類似度は、Ra=ΣWk・Rkとして定義される。ここでkは類似度の種類を表し、Wkはキー画像についての第kの特徴量についてのウェイトを、Rkはキー画像と検索対象の画像との第kの特徴量についての類似度を表し、Σはパラメタkについての総和を表している。この処理は総合類似度算出部V44において色のウェイトWc及びテクスチャのウェイトWt、並びに色の類似度Rcとテクスチャの類似度Rtから、総合類似度RaをWcRc+WtRtとして求めることで実現できる。
【0054】
ステップS408においては総合類似度が所定のしきい値よりも大きいか否かの判断を行い、大きい場合にはキー画像と検索対象の画像とが類似していると判断してステップS409において検索対象の画像を表示する。これはしきい値THと総合類似度Raとを比較部V45が比較し、Ra>THの場合に表示命令D1を表示部V5に与えて実現することができる。
【0055】
図10は解像度120×120ピクセルの解像度で検索している状態のブラウザB1の表示を、図11は解像度240×240ピクセルの解像度で検索している状態のブラウザB2の表示を、それぞれ例示する図である。縮小画像L10,L20はキー画像であり、縮小画像L11〜L17,L21は検索対象となる画像である。但し、図8では繁雑を避けるため、画像データがデータ格納部V0から表示部V5へと伝達される経路は省略している。
【0056】
ステップS408において総合類似度が所定のしきい値以下であれば、あるいはステップS409が実行されれば、ステップS410へ進み次に検索対象となる画像が有るか否かが判断され、有ればステップS411においてレコードポインタをインクリメントする。これはしきい値THと総合類似度Raとを比較部V45が比較し、Ra≦THの場合、あるいは表示命令D1を表示部V5に与えた場合に、検索命令D2をデータ格納部V0に与え、データ格納部V0から新たな画像データについての特徴量A4を類似度算出部V43に入力させることで実現できる。
【0057】
ステップS410でもはや全ての検索対象の画像についての検索が終了していればステップS4の処理は終了する。
【0058】
以上のようにして本発明では、キー画像及び検索対象の画像の特徴量に基いて類否の検索を行う際に、比較対象となる画像の解像度に応じた特徴量を採用して行う。従って、原画像が大きくてブラウザで表示しにくい場合に画面の大きさに制限されてこれらの画像が縮小して表示され、解像度が低くなっても、原画像の解像度で類否判断を行うことができる。あるいは逆に、ブラウザで表示された画像の解像度で類否判断を行うことにより、視認される画像から受ける印象と検索結果とを合致させることができる。
【0059】
上記説明において、ステップS405以下に進む前にしきい値をユーザーが設定できるステップを追加してもよい。
【0060】
上述の実施の形態では、縮小した画像を画像データ格納部V1に格納する構成を採用したが、縮小画像から得られた特徴量のみを格納する構成を採用しても良い。縮小されてるとはいえ、画像はデータ量が多いので、このように変形することにより記憶容量が大幅に削減できる。かかる変形においては、縮小画像の表示に際してはその都度、縮小画像を作成することになる。
【0061】
また、上述の実施の形態では各縮小画像に対する特徴量を算出して格納するステップS3を設けているが、複数の解像度に対する特徴量が予め格納されている画像データベースが別途に用意されるなら、検索するステップS4のみが設けられていれば足りる。
【0062】
また、上述の実施の形態では複数の解像度について予め特徴量を算出して特徴量格納部V2に格納する構成を採用したが、検索の都度、特徴量を算出するようにしてもよい。この場合、複数の解像度について特徴量を算出する必要はなく、指定された解像度についてのみ特徴量を算出すれば良い。
【0063】
また、上述の実施の形態では、類似画像を検索する際に、ステップS402において解像度そのものを指定しているが、必ずしも解像度を直接に指定する必要はない。解像度に関するパラメータ、例えば画像サイズや画素数等で間接的に解像度を指定するようにしてもよい。
【0064】
なお、上記説明において示されたフローチャートは、ROM203に記憶されているプログラムに基づいてコンピュータ1が各機能を果たすことによって実現されるが、フレキシブルディスクなどの記録媒体に記録されたプログラムがフレキシブルディスクドライバ5を介してコンピュータ1に読み込まれ、コンピュータ1が各機能を果たすことによって実現されてもよい。更に、記録媒体に記録されたプログラムは、上記フローチャートの全てをコンピュータに実現させるものではなく、その一部を実現させるプログラムであってもよい。既にコンピュータ1に読み込まれたプログラムと連携して動作しても上記フローチャートは実現できるからである。
【0065】
【発明の効果】
この発明にかかる類似画像検索装置、及び類似画像検索方法によれば、基準画像及び検索対象画像の特徴量に基いて類否の検索を行う際に、比較対象となる画像の解像度に応じた特徴量を採用して行う。従って、基準画像や検索対象画像が大きくて表示しにくい場合に、画面の大きさに制限されてこれらの画像が縮小して表示され、解像度が低くなっても、縮小前の画像の解像度で類否判断を行うことができる。あるいは逆に、表示された画像の解像度で類否判断を行うことにより、視認される画像から受ける印象と検索結果とを合致させることができる。
【0066】
この発明にかかる記録媒体によれば、解像度毎に画像の類否を効率的に決定する処理に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明にかかる類似画像検出システムの構成を示す概念図である。
【図2】 この発明にかかる実施の形態の構成を説明するブロック図である。
【図3】 この発明にかかる実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】 この発明にかかる実施の形態の構成を説明するブロック図である。
【図5】 この発明にかかる実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】 この発明にかかる実施の形態の構成を説明するブロック図である。
【図7】 この発明にかかる実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図8】 この発明にかかる実施の形態の構成を説明するブロック図である。
【図9】 この発明にかかる実施の形態での表示動作を説明する図である。
【図10】 この発明にかかる実施の形態での表示動作を説明する図である。
【図11】 この発明にかかる実施の形態での表示動作を説明する図である。
【符号の説明】
V0 データ格納部、V3 特徴量算出部、V33 特徴量計算部、V34 画像縮小処理部、V4 類似画像検索部、V42 解像度指定部、V43 類似度算出部、V44 総合類似度算出部、V45 比較部、V5 表示部
Claims (9)
- 複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度を異ならせて変換画像を求める解像度変換手段と、
前記解像度毎に前記複数の検索対象画像及び前記基準画像の特徴量を求める特徴量計算手段と、
ユーザーによる解像度の指定を受け付ける解像度指定手段と、
前記解像度指定手段を介して指定された前記解像度に対する前記基準画像の前記特徴量を抽出する第1の抽出手段と、
前記解像度指定手段を介して指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出する第2の抽出手段と、
前記基準画像について抽出された前記特徴量と前記複数の検索対象画像のそれぞれについて抽出された前記特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を算出する手段と、
算出された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する検索手段と
を備える類似画像検索装置。 - 前記第1の抽出手段及び前記第2の抽出手段はいずれも、予め複数の前記解像度に対する前記特徴量が記憶された記憶手段から、前記解像度指定手段を介して指定された前記解像度に対する前記特徴量を読み出す、請求項1記載の類似画像検索装置。
- 複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度の異なる変換画像を複数生成する解像度変換手段と、
基準画像を所定の解像度で表示する表示手段と、
前記変換画像の解像度のうち、前記表示手段により表示された基準画像の解像度に最も近い解像度を指定する解像度指定手段と、
前記基準画像の特徴量である第1の特徴量と、前記解像度指定手段により指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての特徴量である第2の特徴量とを演算する特徴量演算手段と、
前記第1の特徴量と、前記第2の特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を演算する類似度演算手段と、
前記類似度演算手段により演算された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する検索手段と、
を備える類似画像検索装置。 - (a)複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度を異ならせて変換画像を求める工程と、
(b)前記解像度毎に前記複数の検索対象画像及び前記基準画像の特徴量を求める工程と、
(c)ユーザーによる解像度の指定を受け付ける工程と、
(d)前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記基準画像の前記特徴量を抽出する工程と、
(e)前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出する工程と、
(f)前記工程(d)で抽出された基準画像についての前記特徴量と、前記工程(e)で抽出された前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を算出する工程と、
(g)前記工程(f)で算出された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する工程と
を備える、類似画像検索方法。 - 前記工程(d)(e)のいずれにおいても、予め複数の前記解像度に対する前記特徴量が記憶された記憶手段から、前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記特徴量が読み出される、請求項4記載の類似画像検索方法。
- (a)複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度の異なる変換画像を複数生成する工程と、
(b)基準画像を所定の解像度で表示する工程と、
(c)前記変換画像の解像度のうち、前記工程(b)により表示された基準画像の解像度に最も近い解像度を指定する工程と、
(d)前記基準画像の特徴量である第1の特徴量と、前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての特徴量である第2の特徴量とを演算する工程と、
(e)前記第1の特徴量と、前記第2の特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を演算する工程と、
(f)前記工程(e)で演算された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する工程と
を備える類似画像検索方法。 - (a)複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度を異ならせて変換画像を求める工程と、
(b)前記解像度毎に前記複数の検索対象画像及び前記基準画像の特徴量を求める工程と、
(c)ユーザーによる解像度の指定を受け付ける工程と、
(d)前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記基準画像の前記特徴量を抽出する工程と、
(e)前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量を抽出する工程と、
(f)前記工程(d)で抽出された基準画像についての前記特徴量と、前記工程(e)で抽出された前記複数の検索対象画像のそれぞれについての前記特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を算出する工程と、
(g)前記工程(f)で算出された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する工程と
をコンピュータに実現させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 前記工程(d)(e)のいずれにおいても、予め複数の前記解像度に対する前記特徴量が記憶された記憶手段から、前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記特徴量が読み出される、請求項7記載の記録媒体。
- (a)複数の検索対象画像及び基準画像のそれぞれに対し、解像度の異なる変換画像を複数生成する工程と、
(b)基準画像を所定の解像度で表示する工程と、
(c)前記変換画像の解像度のうち、前記工程(b)により表示された基準画像の解像度に最も近い解像度を指定する工程と、
(d)前記基準画像の特徴量である第1の特徴量と、前記工程(c)で指定された前記解像度に対する前記複数の検索対象画像のそれぞれについての特徴量である第2の特徴量とを演算する工程と、
(e)前記第1の特徴量と、前記第2の特徴量とを用いて、前記基準画像と前記複数の検索対象画像のそれぞれについての類似度を演算する工程と、
(f)前記工程(e)で演算された前記類似度に基づいて、前記複数の検索対象画像から前記基準画像に類似する画像を検索する工程と
をコンピュータに実現させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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