JP3671601B2 - ガラスロービングの解舒方法 - Google Patents
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- Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、繊維強化プラスチック(FRP)の成形法であるフィラメントワインディング成形(以下、FW成形という)や引き抜き成形等に用いられるガラスロービングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
FRPは、ガラス繊維等の補強繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させた後、樹脂を硬化させることによって製造されるものであり、従来からパイプや棒材等として広く用いられている。
【0003】
このようなFRPの成形法としては、FW成形法や引き抜き成形法等が知られている。FW成形法は、パイプ状や円筒状の成形体を作製するのに適しており、液状の熱硬化性樹脂を含浸したガラスロービング等の補強材に張力を加えた状態で型(マンドレル)に弛みのない状態で巻き付けてから樹脂を硬化させる方法である。
【0004】
また引き抜き成形法は、パイプ状、板状、無空棒状の成形体を作製するのに適しており、液状の熱硬化性樹脂を含浸させたガラスロービング等の補強材を所定の断面形状を有する型を通しながら引き抜き、この間に加熱して樹脂を硬化させる方法である。
【0005】
一般にこの種のガラスロービングを製造するには、まず直径が6〜15μmのガラスフィラメントに集束剤を塗布した後、50〜1600本集束し、ストランド番手が20〜735番手のストランドとしてから綾を掛けながらそろばん玉形状に巻き取ることによってケーキを形成した後で乾燥する。次いで、この乾燥したケーキを複数個準備し、各ケーキの内層からストランドを解舒し、所定本数引き揃え、合糸する方法が採られる。
【0006】
このようにして作製されたガラスロービングは、円筒状に回巻きされ、ロービングを使用解舒する際に取り出すための開口部を一端に有する熱収縮フィルム等で包装されて出荷される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなケーキを作製する場合、一般に同一の直径を有するガラスフィラメントを集束し、1本のストランドにしてから巻き取ったり、同一の直径を有するガラスフィラメントをほぼ同一本数に分割し、集束して複数本のストランドにしてからそれらを巻き取る方法が採られる。
【0008】
また通常、ガラスロービングは、ほぼ同一の番手を有するストランドの複数本を合糸することによって作製されてから円筒状に回巻きされるが、一定の円筒形状を得るためには、ガラスロービングを構成するストランド束全体のテンションを制御する必要がある。このように同種のケーキから解舒されたストランドの場合、その解舒テンションや最も簡便なテンション付与装置であるバーテンサーによってかかるテンションのトータルタンションが各ストランドでほぼ均一となるため、いずれのストランドもほとんど弛みがない状態で円筒状に巻き取られる。
【0009】
そのためこのようなガラスロービングの回巻体内層からガラスロービングを解舒し、これをFW成形や引き抜き成形で樹脂に含浸しても、ストランド束が広がりにくく、含浸不良が発生しやすくなる。
【0010】
特に引き抜き成形の場合、ガラス繊維がほとんど一方向に配向しているため、ガラス繊維と直角方向にはほとんど補強効果がなく、成形品に落下等のわずかな衝撃が加わったたけで破断することがある。
【0011】
このような成形品の破断を防止するため、ガラスストランドを渦状に堆積した後、ストランドを接着し、シート状にしたコンティニュアスストランドマットやガラスストランドを10〜100mmに切断、無配向に堆積した後、ストランドを接着し、シート状にしたチョップドストランドマットをロービングと併用し、成形することがなされているが、この場合、コンティニュアスストランドマットやチョップドストランドマットが高価であったり、成形時にこれらがちぎれやすい等の問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、解舒した際にストランド束が広がりやすいため、FW成形や引き抜き成形で含浸不良が発生しにくく、ガラス繊維と直角方向にも補強効果を持つガラスロービングの解舒方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々の実験を繰り返した結果、ガラスロービングを構成するストランド束を広がりやすくするには、番手の異なる2種類のストランドの複数本を使用すると共に、一部或いは全部のストランドのケーキ内層からの解舒方向と、ガラスロービングを使用する際の回巻体内層からの解舒方向を逆にすれば良いことを見いだした。
【0014】
つまりガラスロービングを番手の異なる2種類のストランドから構成すると、番手の小さいストランドは、番手の大きいストランドに比べて剛直性に劣るため、若干弛んだ状態で合糸され、ガラスロービングより解舒した際にストランド束は広がりやすくなる。
【0015】
また通常、ストランドは、合糸する際にケーキの内層から解舒されるため、解舒されたストランドの全てに、その解舒方向と逆方向の撚りがかかる。例えばケーキ内層からストランドが解舒される際、時計回りに解舒されると、ストランドには反時計回りの撚り(Z撚り)がかかり、逆にケーキ内層からストランドが解舒される際、反時計回りに解舒されると、ストランドには時計回りの撚り(S撚り)がかかることになる。
【0016】
そのため例えば複数個のケーキ内層から時計回りに解舒されたストランドを合糸、巻き取り、ガラスロービング回巻体を作製し、このガラスロービングの回巻体内層から再度時計回りにガラスロービングを解舒すると、ガラスロービングを構成するストランドには合糸時と解舒使用時の2回に亘って反時計回りの解舒撚りがかかることになり、ストランド束は広がりにくくなるが、本発明ではガラスロービングの解舒使用時にストランドの撚りがほぐれるようにした。
【0017】
すなわち本発明のガラスロービングの解舒方法は、第1のストランドの1本及至複数本と、第1のストランドに比べて番手の小さい第2のストランドの複数本が合糸され、円筒状に回巻きされてなるガラスロービングで、このガラスロービングを使用する際の回巻体内層からの解舒方向と、このガラスロービングを製造する際の第1のストランドの半分以上及び/又は第2のストランドの半分以上のケーキ内層からの解舒方向が逆方向であることを特徴とする。
【0018】
また本発明のガラスロービングの解舒方法は、好ましくは第1のストランドと第2のストランドの番手差が、400番手以上であることを特徴とし、また第1のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径が16μm以上であり、第2のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径が15μm以下であることを特徴とする。
【0019】
【作用】
本発明における第1のストランドは、第2のストランドに比べて、ストランド番手が大きいため、第1のストランドは、第2のストランドに比べて剛直となる。よって第1のストランドを、第2のストランドと合糸すると、その剛直さにより第1のストランドは合糸される際のテンションが第2のストランドのそれより大きくなるため、第2のストランドは第1のストランドの周囲に若干弛んだ状態で合糸されることになる。このことにより、これらを合糸したガラスロービングを構成するストランド束は広がりやすくなる。
【0020】
また本発明においては、ガラスロービングを使用する際の回巻体内層からの解舒方向と、このガラスロービングを製造する際の第1のストランドの半分以上及び/又は第2のストランドの半分以上のケーキ内層からの解舒方向を逆方向にしているため、ガラスロービングを使用する際に、一部或いは全部のストランドの撚りがほぐれ、広がりやすくなる。
【0021】
さらに本発明においては、ガラスロービングを製造する際の第1のストランドのケーキ内層からの解舒方向と、第2のストランドのケーキ内層からの解舒方向を逆方向にすると、ガラスロービングの解舒時に撚りがほぐされるストランド(ストランドA)と、さらに撚りがかかるストランド(ストランドB)が併存することになるため、より好ましい。
【0022】
すなわち時計回りに解舒されたストランドと、反時計回りに解舒されたストランドを合糸すると、それらはお互い逆方向に解舒撚りがかかることになる。こうして作製したガラスロービングを使用する際、回巻体内層からの解舒時に一方のストランド(ストランドA)は撚りがほぐされることになり、他方のストランド(ストランドB)には、さらに撚りがかかることになる。
【0023】
その結果、合糸された際には、ほぼ等長であったストランドA、Bは、ロービング回巻体から解舒されることによって、ストランドAの見かけ糸長が長くなり、ストランドBの見かけ糸長が短くなる。このことによりストランドAは、ストランドBの周囲に弛んで位置する状態となり、ストランド束が広がりやすい。
【0024】
こうして作製されたガラスロービングをFW成形や引き抜き成形に使用すると、ガラス繊維と直角方向にも補強効果を持ち、また成形品での含浸不良が少なくなり、良品率が向上する。
【0025】
このような効果は、FW成形や引き抜き成形を行う成形設備の含浸装置、マンドレル、金型にもよるが、通常、ガラスロービングの回巻体内層からの解舒方向と、このガラスロービングを製造する際の第1のストランドの半分以上もしくは、第2のストランドの半分以上のケーキ内層からの解舒方向が逆方向であれば得られ、特にガラスロービング回巻体内層からの解舒方向と、第2のストランドの半分以上のケーキ内層からの解舒方向を逆方向にすると効果が大きい。さらにガラスロービングの回巻体内層からの解舒方向と、第1のストランドの全てのケーキ内層からの解舒方向、又は第2のストランドの全てのケーキ内層からの解舒方向を逆方向にした方が効果は顕著である。因みにここで言う半分以上とは、番手を基準とするものである。
【0026】
また本発明において第1のストランドと第2のストランドの番手差を400番手以上にすると、第2のストランドの弛みがより大きくなり、さらに第1のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径を16μm以上、第2のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径を15μm以下にすると、第1のストランドを構成するガラスフィラメント自体が第2のストランドを構成するガラスフィラメントより剛直となり、第1のストランドは、第2のストランドに比べてより一層剛直となる。その結果、両者の糸長差が大きくなり、且つ、ストランドの弛みがより大きくなり、ストランド束がさらに広がりやすくなるため好ましい。
【0027】
【実施例】
以下、本発明のガラスロービングの解舒方法を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明する。
【0028】
(実施例1)
まず単繊維直径18.7μmのガラスフィラメントに集束剤を塗布した後、これらの1600本を集束し、1150番手のストランド(第1のストランド)としてから綾を掛けながらそろばん玉形状に巻き取り、乾燥することによって強熱減量0.4重量%のケーキ(第1のケーキ)を作製した。
【0029】
また単繊維直径13.3μmのガラスフィラメントに集束剤を塗布した後、これらの800本を集束し、290番手のストランド(第2のストランド)としてから綾を掛けながらそろばん玉形状に巻き取り、乾燥することによって強熱減量0.4重量%のケーキ(第2のケーキ)を作製した。
【0030】
上記集束剤としては、結束剤として酢ビエマルジョン(日本エヌエスシー株式会社製:ヨドゾールLD−1010)を7.0重量%、シランカップリング剤としてγ−メタクリロキシプロピル・トリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製:A−174)を0.2重量%、潤滑剤としてカチオン界面活性剤を0.03重量%、残部水からなるものを使用した。
【0031】
次に第1のケーキ2個の内層から第1のストランドを時計回りに解舒し、また第2のケーキ24個の内層から第2のストランドを時計回りに解舒し、各ストランドを合糸してから円筒状に巻き取ることによって、9260番手のガラスロービングの回巻体を作製した。
【0032】
そして、このガラスロービング回巻体を3個準備し、これらの内層から反時計回りにロービングを解舒し、ニップロール式含浸槽にて不飽和ポリエステル樹脂を含浸、0.5m/分の速さで引き抜き成形を実施し、直径6mmの無空棒状引き抜き成形品を作製した。尚、引き抜き成形の際にはストランド束の弛みが見られた。
【0033】
こうして得られたFRP成形品の断面を目視にて観察したところ、ストランドへの不飽和ポリエステル樹脂の含浸状態は良好であった。
【0034】
(実施例2)
実施例1の第1のケーキを2個準備し、その内層から第1のストランドを反時計回りに解舒した以外は、全て実施例1と同じ条件でガラスロービングの回巻体を作製し、このガラスロービング回巻体を3個準備し、これらの内層から反時計回りにガラスロービングを解舒し、ニップロール式含浸槽にて不飽和ポリエステル樹脂を含浸、0.5m/分の速さで引き抜き成形を実施し、直径6mmの無空棒状引き抜き成形品を作製したところ、引き抜き成形の際に、ストランド束の弛みが見られた。
【0035】
こうして得られたFRP成形品の断面を目視で観察したところ、ストランドへの不飽和ポリエステル樹脂の含浸状態は良好であった。
【0036】
(比較例)
実施例1と同様に13.3μmのガラスフィラメントに集束剤を塗布した後、これらの800本を集束し、290番手のストランドとしてから綾を掛けながらそろばん玉形状に巻き取り、乾燥することによって強熱減量0.4重量%のケーキを作製した。
【0037】
そしてこれらのケーキ32個の内層からストランドを反時計回りに解舒し、これらを合糸してから円筒状に巻き取ることによって9280番手のガラスロービングの回巻体を作製した。
【0038】
次いでこのガラスロービング回巻体を3個準備し、これらの内層から反時計回りにガラスロービングを解舒し、実施例1と同様の方法で直径6mmの無空棒状引き抜き成形品を作製したところ、引き抜き成形の際にストランド束の弛みは見られなかった。
【0039】
こうして得られたFRP成形品の断面を目視にて観察したところ、ストランドへの不飽和ポリエステル樹脂の含浸状態に一部不具合があり、未含浸状態のストランドが観察された。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明のガラスロービングの解舒方法をFW成形や引き抜き成形に使用すると、成形時にストランド束が広がりやすく、樹脂のストランドへの含浸が良好になり、成形品での含浸不良が少なくなり、良品率が向上する。またガラス繊維と直角方向にも補強効果を有する引き抜き成形品を得ることができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、繊維強化プラスチック(FRP)の成形法であるフィラメントワインディング成形(以下、FW成形という)や引き抜き成形等に用いられるガラスロービングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
FRPは、ガラス繊維等の補強繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させた後、樹脂を硬化させることによって製造されるものであり、従来からパイプや棒材等として広く用いられている。
【0003】
このようなFRPの成形法としては、FW成形法や引き抜き成形法等が知られている。FW成形法は、パイプ状や円筒状の成形体を作製するのに適しており、液状の熱硬化性樹脂を含浸したガラスロービング等の補強材に張力を加えた状態で型(マンドレル)に弛みのない状態で巻き付けてから樹脂を硬化させる方法である。
【0004】
また引き抜き成形法は、パイプ状、板状、無空棒状の成形体を作製するのに適しており、液状の熱硬化性樹脂を含浸させたガラスロービング等の補強材を所定の断面形状を有する型を通しながら引き抜き、この間に加熱して樹脂を硬化させる方法である。
【0005】
一般にこの種のガラスロービングを製造するには、まず直径が6〜15μmのガラスフィラメントに集束剤を塗布した後、50〜1600本集束し、ストランド番手が20〜735番手のストランドとしてから綾を掛けながらそろばん玉形状に巻き取ることによってケーキを形成した後で乾燥する。次いで、この乾燥したケーキを複数個準備し、各ケーキの内層からストランドを解舒し、所定本数引き揃え、合糸する方法が採られる。
【0006】
このようにして作製されたガラスロービングは、円筒状に回巻きされ、ロービングを使用解舒する際に取り出すための開口部を一端に有する熱収縮フィルム等で包装されて出荷される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなケーキを作製する場合、一般に同一の直径を有するガラスフィラメントを集束し、1本のストランドにしてから巻き取ったり、同一の直径を有するガラスフィラメントをほぼ同一本数に分割し、集束して複数本のストランドにしてからそれらを巻き取る方法が採られる。
【0008】
また通常、ガラスロービングは、ほぼ同一の番手を有するストランドの複数本を合糸することによって作製されてから円筒状に回巻きされるが、一定の円筒形状を得るためには、ガラスロービングを構成するストランド束全体のテンションを制御する必要がある。このように同種のケーキから解舒されたストランドの場合、その解舒テンションや最も簡便なテンション付与装置であるバーテンサーによってかかるテンションのトータルタンションが各ストランドでほぼ均一となるため、いずれのストランドもほとんど弛みがない状態で円筒状に巻き取られる。
【0009】
そのためこのようなガラスロービングの回巻体内層からガラスロービングを解舒し、これをFW成形や引き抜き成形で樹脂に含浸しても、ストランド束が広がりにくく、含浸不良が発生しやすくなる。
【0010】
特に引き抜き成形の場合、ガラス繊維がほとんど一方向に配向しているため、ガラス繊維と直角方向にはほとんど補強効果がなく、成形品に落下等のわずかな衝撃が加わったたけで破断することがある。
【0011】
このような成形品の破断を防止するため、ガラスストランドを渦状に堆積した後、ストランドを接着し、シート状にしたコンティニュアスストランドマットやガラスストランドを10〜100mmに切断、無配向に堆積した後、ストランドを接着し、シート状にしたチョップドストランドマットをロービングと併用し、成形することがなされているが、この場合、コンティニュアスストランドマットやチョップドストランドマットが高価であったり、成形時にこれらがちぎれやすい等の問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、解舒した際にストランド束が広がりやすいため、FW成形や引き抜き成形で含浸不良が発生しにくく、ガラス繊維と直角方向にも補強効果を持つガラスロービングの解舒方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々の実験を繰り返した結果、ガラスロービングを構成するストランド束を広がりやすくするには、番手の異なる2種類のストランドの複数本を使用すると共に、一部或いは全部のストランドのケーキ内層からの解舒方向と、ガラスロービングを使用する際の回巻体内層からの解舒方向を逆にすれば良いことを見いだした。
【0014】
つまりガラスロービングを番手の異なる2種類のストランドから構成すると、番手の小さいストランドは、番手の大きいストランドに比べて剛直性に劣るため、若干弛んだ状態で合糸され、ガラスロービングより解舒した際にストランド束は広がりやすくなる。
【0015】
また通常、ストランドは、合糸する際にケーキの内層から解舒されるため、解舒されたストランドの全てに、その解舒方向と逆方向の撚りがかかる。例えばケーキ内層からストランドが解舒される際、時計回りに解舒されると、ストランドには反時計回りの撚り(Z撚り)がかかり、逆にケーキ内層からストランドが解舒される際、反時計回りに解舒されると、ストランドには時計回りの撚り(S撚り)がかかることになる。
【0016】
そのため例えば複数個のケーキ内層から時計回りに解舒されたストランドを合糸、巻き取り、ガラスロービング回巻体を作製し、このガラスロービングの回巻体内層から再度時計回りにガラスロービングを解舒すると、ガラスロービングを構成するストランドには合糸時と解舒使用時の2回に亘って反時計回りの解舒撚りがかかることになり、ストランド束は広がりにくくなるが、本発明ではガラスロービングの解舒使用時にストランドの撚りがほぐれるようにした。
【0017】
すなわち本発明のガラスロービングの解舒方法は、第1のストランドの1本及至複数本と、第1のストランドに比べて番手の小さい第2のストランドの複数本が合糸され、円筒状に回巻きされてなるガラスロービングで、このガラスロービングを使用する際の回巻体内層からの解舒方向と、このガラスロービングを製造する際の第1のストランドの半分以上及び/又は第2のストランドの半分以上のケーキ内層からの解舒方向が逆方向であることを特徴とする。
【0018】
また本発明のガラスロービングの解舒方法は、好ましくは第1のストランドと第2のストランドの番手差が、400番手以上であることを特徴とし、また第1のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径が16μm以上であり、第2のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径が15μm以下であることを特徴とする。
【0019】
【作用】
本発明における第1のストランドは、第2のストランドに比べて、ストランド番手が大きいため、第1のストランドは、第2のストランドに比べて剛直となる。よって第1のストランドを、第2のストランドと合糸すると、その剛直さにより第1のストランドは合糸される際のテンションが第2のストランドのそれより大きくなるため、第2のストランドは第1のストランドの周囲に若干弛んだ状態で合糸されることになる。このことにより、これらを合糸したガラスロービングを構成するストランド束は広がりやすくなる。
【0020】
また本発明においては、ガラスロービングを使用する際の回巻体内層からの解舒方向と、このガラスロービングを製造する際の第1のストランドの半分以上及び/又は第2のストランドの半分以上のケーキ内層からの解舒方向を逆方向にしているため、ガラスロービングを使用する際に、一部或いは全部のストランドの撚りがほぐれ、広がりやすくなる。
【0021】
さらに本発明においては、ガラスロービングを製造する際の第1のストランドのケーキ内層からの解舒方向と、第2のストランドのケーキ内層からの解舒方向を逆方向にすると、ガラスロービングの解舒時に撚りがほぐされるストランド(ストランドA)と、さらに撚りがかかるストランド(ストランドB)が併存することになるため、より好ましい。
【0022】
すなわち時計回りに解舒されたストランドと、反時計回りに解舒されたストランドを合糸すると、それらはお互い逆方向に解舒撚りがかかることになる。こうして作製したガラスロービングを使用する際、回巻体内層からの解舒時に一方のストランド(ストランドA)は撚りがほぐされることになり、他方のストランド(ストランドB)には、さらに撚りがかかることになる。
【0023】
その結果、合糸された際には、ほぼ等長であったストランドA、Bは、ロービング回巻体から解舒されることによって、ストランドAの見かけ糸長が長くなり、ストランドBの見かけ糸長が短くなる。このことによりストランドAは、ストランドBの周囲に弛んで位置する状態となり、ストランド束が広がりやすい。
【0024】
こうして作製されたガラスロービングをFW成形や引き抜き成形に使用すると、ガラス繊維と直角方向にも補強効果を持ち、また成形品での含浸不良が少なくなり、良品率が向上する。
【0025】
このような効果は、FW成形や引き抜き成形を行う成形設備の含浸装置、マンドレル、金型にもよるが、通常、ガラスロービングの回巻体内層からの解舒方向と、このガラスロービングを製造する際の第1のストランドの半分以上もしくは、第2のストランドの半分以上のケーキ内層からの解舒方向が逆方向であれば得られ、特にガラスロービング回巻体内層からの解舒方向と、第2のストランドの半分以上のケーキ内層からの解舒方向を逆方向にすると効果が大きい。さらにガラスロービングの回巻体内層からの解舒方向と、第1のストランドの全てのケーキ内層からの解舒方向、又は第2のストランドの全てのケーキ内層からの解舒方向を逆方向にした方が効果は顕著である。因みにここで言う半分以上とは、番手を基準とするものである。
【0026】
また本発明において第1のストランドと第2のストランドの番手差を400番手以上にすると、第2のストランドの弛みがより大きくなり、さらに第1のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径を16μm以上、第2のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径を15μm以下にすると、第1のストランドを構成するガラスフィラメント自体が第2のストランドを構成するガラスフィラメントより剛直となり、第1のストランドは、第2のストランドに比べてより一層剛直となる。その結果、両者の糸長差が大きくなり、且つ、ストランドの弛みがより大きくなり、ストランド束がさらに広がりやすくなるため好ましい。
【0027】
【実施例】
以下、本発明のガラスロービングの解舒方法を実施例及び比較例に基づいて詳細に説明する。
【0028】
(実施例1)
まず単繊維直径18.7μmのガラスフィラメントに集束剤を塗布した後、これらの1600本を集束し、1150番手のストランド(第1のストランド)としてから綾を掛けながらそろばん玉形状に巻き取り、乾燥することによって強熱減量0.4重量%のケーキ(第1のケーキ)を作製した。
【0029】
また単繊維直径13.3μmのガラスフィラメントに集束剤を塗布した後、これらの800本を集束し、290番手のストランド(第2のストランド)としてから綾を掛けながらそろばん玉形状に巻き取り、乾燥することによって強熱減量0.4重量%のケーキ(第2のケーキ)を作製した。
【0030】
上記集束剤としては、結束剤として酢ビエマルジョン(日本エヌエスシー株式会社製:ヨドゾールLD−1010)を7.0重量%、シランカップリング剤としてγ−メタクリロキシプロピル・トリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製:A−174)を0.2重量%、潤滑剤としてカチオン界面活性剤を0.03重量%、残部水からなるものを使用した。
【0031】
次に第1のケーキ2個の内層から第1のストランドを時計回りに解舒し、また第2のケーキ24個の内層から第2のストランドを時計回りに解舒し、各ストランドを合糸してから円筒状に巻き取ることによって、9260番手のガラスロービングの回巻体を作製した。
【0032】
そして、このガラスロービング回巻体を3個準備し、これらの内層から反時計回りにロービングを解舒し、ニップロール式含浸槽にて不飽和ポリエステル樹脂を含浸、0.5m/分の速さで引き抜き成形を実施し、直径6mmの無空棒状引き抜き成形品を作製した。尚、引き抜き成形の際にはストランド束の弛みが見られた。
【0033】
こうして得られたFRP成形品の断面を目視にて観察したところ、ストランドへの不飽和ポリエステル樹脂の含浸状態は良好であった。
【0034】
(実施例2)
実施例1の第1のケーキを2個準備し、その内層から第1のストランドを反時計回りに解舒した以外は、全て実施例1と同じ条件でガラスロービングの回巻体を作製し、このガラスロービング回巻体を3個準備し、これらの内層から反時計回りにガラスロービングを解舒し、ニップロール式含浸槽にて不飽和ポリエステル樹脂を含浸、0.5m/分の速さで引き抜き成形を実施し、直径6mmの無空棒状引き抜き成形品を作製したところ、引き抜き成形の際に、ストランド束の弛みが見られた。
【0035】
こうして得られたFRP成形品の断面を目視で観察したところ、ストランドへの不飽和ポリエステル樹脂の含浸状態は良好であった。
【0036】
(比較例)
実施例1と同様に13.3μmのガラスフィラメントに集束剤を塗布した後、これらの800本を集束し、290番手のストランドとしてから綾を掛けながらそろばん玉形状に巻き取り、乾燥することによって強熱減量0.4重量%のケーキを作製した。
【0037】
そしてこれらのケーキ32個の内層からストランドを反時計回りに解舒し、これらを合糸してから円筒状に巻き取ることによって9280番手のガラスロービングの回巻体を作製した。
【0038】
次いでこのガラスロービング回巻体を3個準備し、これらの内層から反時計回りにガラスロービングを解舒し、実施例1と同様の方法で直径6mmの無空棒状引き抜き成形品を作製したところ、引き抜き成形の際にストランド束の弛みは見られなかった。
【0039】
こうして得られたFRP成形品の断面を目視にて観察したところ、ストランドへの不飽和ポリエステル樹脂の含浸状態に一部不具合があり、未含浸状態のストランドが観察された。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明のガラスロービングの解舒方法をFW成形や引き抜き成形に使用すると、成形時にストランド束が広がりやすく、樹脂のストランドへの含浸が良好になり、成形品での含浸不良が少なくなり、良品率が向上する。またガラス繊維と直角方向にも補強効果を有する引き抜き成形品を得ることができる。
Claims (3)
- 第1のストランドの1本乃至複数本と、第1のストランドに比べて番手の小さい第2のストランドの複数本が合糸され、円筒状に回巻きされてなるガラスロービングで、このガラスロービングを使用する際の回巻体内層からの解舒方向と、このガラスロービングを製造する際の第1のストランドの半分以上及び/又は第2のストランドの半分以上のケーキ内層からの解舒方向が逆方向であることを特徴とするガラスロービングの解舒方法。
- 第1のストランドと第2のストランドの番手差が、400番手以上であることを特徴とする請求項1記載のガラスロービングの解舒方法。
- 第1のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径が16μm以上であり、第2のストランドを構成するガラスフィラメントの単繊維直径が15μm以下であることを特徴とする請求項1、2記載のガラスロービングの解舒方法。
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