JP3671462B2 - 透明遮音壁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として高速道路や鉄道の両脇に沿って設置される透明な遮音壁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高速道路用等に設置される透明遮音壁においては、多くの場合、図1〜図3に示すように、透光性遮音板の周辺4辺をH型支柱の溝のサイズに適合した金属製枠で固定したパネルをH型支柱間にはめこむという方法で遮音壁が形成されている。このようなパネルは通常、H型支柱の溝部にパネルの左右側辺部を挿入するようにして複数枚を上から順次挿入して組み立てられ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の遮音壁に用いられているパネルは枠構造が複雑で施工にも手間取る。
そこで、本発明は、シンプルな枠構造で安価であり、かつ破損時の交換などのメンテナンスが容易な高速道路用等の透明遮音壁を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、所定の間隔の複数のH型支柱間に、複数枚の透光性遮音板が上下方向に積み重なってなる遮音壁において、隣接するH型支柱間にH型支柱に対して垂直方向で、該遮音板が積み重なる位置に横胴縁が固定されており、該遮音板の上下方向の積み重ね部分において、上側遮音板の下辺と下側遮音板の上辺に取り付け枠があり、該遮音板の取り付け枠の少なくとも一方が横胴縁に固定されていることを特徴とする透明遮音壁である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明でいうH型支柱としては、通常H型鋼が使用される。
H型支柱は複数本、遮音板の耐風圧性能等を考慮した所定の間隔で立設される。
また、H型支柱は一般に、その胴部に形成されている溝が隣接する支柱間において相対するような向きに立設される。
【0006】
本発明で使用される透光性遮音板としては、合わせガラス、メタクリル樹脂板やポリカーボネート樹脂板およびこれらの積層板などである。
その大きさや厚さは耐風圧基準等により適宜定まるが、通常、大きさは1〜8m2 程度、厚さは5〜20mm程度のものが用いられる。
【0007】
該遮音板が上下方向に積み重なるとは、下側の遮音板の上辺に上側の遮音板の下辺を重ねていくことである。そして遮音壁の高さに応じて2枚以上を用いる。
【0008】
本発明でいう横胴縁は、隣接するH型支柱間にH型支柱に対して垂直方向で、該遮音板が積み重なる位置に固定されるものである。
その形状は、その断面がL形や溝形などである。
材質は金属製が一般的であるが、FRPのごとき樹脂製でも良い。
その固定方法としてはH型支柱に直接、またはあらかじめH型支柱にとりつけておいた金属製プレートにボルト止めする方法、溶接により固定する方法、接着剤により固定する方法がある。
【0009】
該遮音板の上側遮音板の下辺と下側遮音板の上辺には、遮音板を固定するために取り付け枠がある。
該取り付け枠の材質は、金属製が一般的であるが、FRPのごとき樹脂製が用いられる。好ましくはアルミニウム製である。
【0010】
取り付け枠の構造は、遮音板と接する側はその断面形状がU字またはコの字形である。
【0011】
遮音板の該取り付け枠への取り付けは、上記U字またはコの字形の内に該遮音板をはめ込み、その部分にゴム製のシール材、シリコン製のコーキング材、各種接着剤およびボルト等で固定することによりおこなえる。
【0012】
該遮音板の上下辺の取り付け枠の構造において、該遮音板の上下方向の積み重ね部分における取り付け枠の端辺部の構造は、上下の遮音板が接合される構造であればいかなる構造でもよい。
【0013】
その一例としては、上側遮音板の下辺の取り付け枠の端辺部と下側遮音板の上辺の取り付け枠の端辺部とのいずれか一方が凹状であり他方が凸状であって両者が嵌合する形状である。
【0014】
この場合、取り付け枠の接合部分が、凹または凸状の嵌合部を有する形状であることから、施工時の積み重ねが容易である。
【0015】
さらに、嵌合部分の取り付け枠のいずれか一方あるいは両方が横胴縁に固定されている。
【0016】
該遮音板の取り付け枠と横胴縁との固定は、ボルト止め、溶接や接着剤によるが、強度や工法から通常はボルト止めが好ましい。
この固定に際して、両者を直接固定してもよいし、両者の間に1つまたは2つ以上の金属板等の仲介具を介しても良い。
また、外観を考慮した場合には、ボルト止めをH型支柱の溝内部で行うのが望ましい。
【0017】
該遮音板の上下辺の取り付け枠の構造において、該遮音板の上下方向の積み重ね部分における取り付け枠の端辺部の構造の別の例として、下側遮音板の上辺の取り付け枠の端辺部と上側遮音板の下辺の取り付け枠の端辺部とが一体構造のものがある。
【0018】
この該遮音板の上下方向の積み重ね部分における取り付け枠の端辺部が一体構造のものも横胴縁に固定する方法は、上記のものと同一でよい。
【0019】
この場合、横胴縁に固定された取り付け枠に、下側の透光性遮音板は、下から、上側の透光性遮音板は、上から差し込んでいくことで上に積み上げていく。
【0020】
さらに、該遮音板の上下辺の取り付け枠の構造の別の例として、該遮音板の上下方向の積み重ね部分における取り付け枠の端辺部の構造が、下側遮音板の上辺の取り付け枠と上側遮音板の下辺の取り付け枠のいずれも、その端辺部が実質的にフラットであるものが挙げられる。
【0021】
この場合、上下辺の取り付け枠がそれぞれ別々に横胴縁に固定され、しかも該取り付け枠の端辺部の構造がフラットであることから、透光性遮音板一枚ごとの取り付け、取り外しが可能であり、したがって破損時の遮音板の交換等のメンテナンスが非常に容易である。
【0022】
また、本発明における該遮音壁の耐風圧性能等を考慮し、遮音板の左右辺にも遮音板を保持する機構を取り付けても良い。
つまり、H型支柱の溝内に該遮音板面と平行な面を有する押さえ具が固定されており、該遮音板の左右辺部に保持枠があり、該保持枠が該押さえ具とH型支柱の溝内側とで保持される構造である。
【0023】
H型支柱に固定される押さえ具は、該遮音板面と平行な面を有していればよく、H型支柱に固定するため平板状のみならずL字形などでよい。
材質は金属製が一般的であるが、FRPのごとき樹脂製でも良い。
また、該押さえ具は、通常、H型支柱の溝内に、H型支柱上下方向全般あるいは一箇所以上設置する。
H型支柱に固定するには、ボルト止めの他溶接や接着剤による固定でも良い。
【0024】
該遮音板の左右辺部の保持枠の構造は、遮音板と接する側はその断面形状がU字またはコの字形である。
該保持枠の遮音板と接しない側は、とにかく上記押さえ具とH型支柱の溝内とで挟み込めればよく特段の構造でなくても良い。
その材質は、金属製が一般的であるが、FRPのごとき樹脂製でも良い。
好ましくはアルミニウム製である。
【0025】
該遮音板の該保持枠への取り付けは、上記U字またはコの字形の内に該遮音板をはめ込み、その部分にゴム製のシール材、シリコン製のコーキング材、各種接着剤およびボルト等で固定することによりおこなえる。
【0026】
該保持枠の付いた遮音板を押さえ具で保持するには、該押さえ具の該遮音板に平行な面とH型支柱の溝内とで挟みつけて保持する方法が好ましいが、ボルト止めや溶接、接着剤等による固定法でも良い。
【0027】
また、本発明における該遮音壁の耐風圧性能等を考慮した遮音板の保持する機構として、該遮音板の左右辺部がH型支柱のうち該遮音板に平行な部分の外側面に固定されている構造もある。
【0028】
この場合、該遮音板の左右辺部には枠があってもなくても良く、H型支柱への固定法としては、シリコン製のコーキング材等での固定や、ボルト止め、溶接、接着剤による固定等が挙げられる。
この場合、H型支柱の外側面に固定された部分については、景観を考慮して化粧カバーで覆ってもよい。
【0029】
また、本発明における遮音壁の最上辺と最下辺にも、枠をつけておくのが通常である。この枠も、場合によっては、横胴縁と固定されていても良く、遮音板の耐風圧を考慮すると固定されているほうが好ましい。
【0030】
【発明の効果】
本発明の透明遮音壁は、従来用いられている透光性遮音パネルにくらべ、枠構造がシンプルであることから安価なコストの高速道路用等の透明遮音壁として有用であり、また、枠構造がシンプルであることから施工時や交換時の着脱等のメンテナンスが容易である。
また、H型支柱およびH型支柱に取り付けられた横胴縁に遮音板が固定されているため、車の衝突等により破壊した場合の遮音板の脱落防止に有利である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。なお、本発明はこれら実施例によってなんら制限されるものではない。
【0032】
実施例1
図4〜7において、図4は透明遮音壁の1スパンの概略正面図、図5は図4のA−A線断面図、図6は図5の要部拡大図であり、図7は図4のB−B線断面拡大図である。
各図において、1は透光性遮音板である。9は所定の間隔をおいて設置されたH型支柱である。10は金属製の横胴縁(L形)であり、あらかじめH型支柱間にH型支柱に対して垂直方向で、該遮音板が積み重なる位置および遮音壁の最上辺位置に設置する。
横胴縁10のH型支柱への固定は、H型支柱にあらかじめ取り付けられた金属製プレート17にボルト18を用いて行う。
透光性遮音板1の上辺にアルミニウム製の取付け枠11、透光性遮音板1の下辺にアルミニウム製の取付け枠12があり、いずれの枠も遮音板が接する部分はシール材14を介して固定されている。
取付け枠11の端辺部が凸状であり、取付け枠12端辺部が凹状であって両者が嵌合している。
取付け枠11と横胴縁10とがL字金属板を介してボルトで固定する。
透明遮音壁最上端の透光性遮音板上端も取付け枠13と横胴縁10とで固定する。 透明遮音壁最下端の透光性遮音板下端は、保護枠をつける。
透光性遮音板1の左右辺部には、保持枠16があり、保持枠16と
遮音板が接する部分はシール材14を介して固定されている。
H型支柱にボルト19を用いて固定された金属製の押さえ具15があり、押さえ具15とH型支柱の内面の間に保持枠16を挟むことにより該遮音板が固定する。
【0033】
実施例2
図8〜10において、図8は透明遮音壁の1スパンの概略正面図、図9は図8のA−A線断面図、図10は図9の要部拡大図である。
各図において、1は透光性遮音板である。9は所定の間隔をおいて設置されたH型支柱である。10は金属製の横胴縁(L形)であり、あらかじめH型支柱間にH型支柱に対して垂直方向で、該遮音板が積み重なる位置および遮音壁の最上辺位置に設置している。
横胴縁10のH型支柱への固定は、実施例1に同じである。
上側透光性遮音板の下端と下側透光性遮音板の上端とが、一体構造の取付け枠20にシール材21を介して固定されている。
取付け枠20の出っ張りと横胴縁10とをボルトで固定する。
透明遮音壁最上端の透光性遮音板上端および透明遮音壁最下端の透光性遮音板下端にも取付け枠13と横胴縁10とで固定する。
透光性遮音板1の左右辺部については、実施例1に同じである。
【0034】
実施例3
図11〜14において、図11は透明遮音壁の1スパンの概略正面図、図12は図11のA−A線断面図、図13は図12の要部拡大図であり、図14は図11のB−B線断面拡大図である。
各図において、1は透光性遮音板である。9は所定の間隔をおいて設置されたH型支柱である。10は金属製の横胴縁であり、あらかじめH型支柱間にH型支柱に対して垂直方向で、該遮音板が積み重なる位置および遮音壁の最上辺位置に設置する。
横胴縁10のH型支柱への固定は、直接溶接付けしている。
上側透光性遮音板の下端には、取付け枠22が、下側透光性遮音板の上端には、取付け枠23があり、いずれの取付け枠もその端部はフラットである。
そして両端部の間には、緩衝材を挟んでいる。
取付け枠22、取付け枠23は各々別々に、道路面側から、横胴縁10へボルト24で固定される。
透明遮音壁最上端の透光性遮音板上端および透明遮音壁最下端の透光性遮音板下端にも取付け枠13と横胴縁10とで固定する。
透光性遮音板の左右辺部はH型支柱の外側面(道路面)にシール材26を介して接着する。
H型支柱の外側面(道路面)に、透光性遮音板の左右辺端が見えるのが外観上好ましくないのでアルミニウム製の化粧カバー25をボルトを用いてH型支柱2に固定している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の透明遮音壁に用いる透光性遮音パネルの概略正面図である。
【図2】 〔図1〕のA−A線断面図である。
【図3】 〔図1〕のB−B線断面図である。
【図4】 本発明の実施例1の透明遮音壁の1スパンの概略正面図である。
【図5】 〔図4〕のA−A線断面図である。
【図6】 〔図5〕の要部拡大図である。
【図7】 〔図4〕のB−B線断面図である。
【図8】 本発明の実施例2の透明遮音壁の1スパンの概略正面図である。
【図9】 〔図8〕のA−A線断面図である。
【図10】〔図9〕の要部拡大図である。
【図11】 本発明の実施例3の透明遮音壁の1スパンの概略正面図である。
【図12】 〔図11〕のA−A線断面図である。
【図13】 〔図12〕の要部拡大図である。
【図14】 〔図11〕のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1: 透光性遮音板
2: 縦枠
3: 上枠
4: 下枠
5: 押縁
6: 押縁
7: 押縁
8: ジャッキボルト
9: H型支柱
10: 横胴縁
11: 取付け枠
12: 取付け枠
13: 取付け枠
14: シール材
15: 押さえ具
16: 保持枠
17: 金属製プレート
18: ボルト
19: ボルト
20: 一体構造の取付け枠
21: シール材
22: 端部フラットの取付け枠
23: 端部フラットの取付け枠
24: ボルト
25: 化粧カバー
26: シール材

Claims (6)

  1. 所定の間隔の複数のH型支柱間に、複数枚の透光性遮音板が上下方向に積み重なってなる遮音壁において、隣接するH型支柱間にH型支柱に対して垂直方向で、該遮音板が積み重なる位置に横胴縁が固定されており、該遮音板の上下方向の積み重ね部分において、上側遮音板の下辺と下側遮音板の上辺に取り付け枠があり、該遮音板の取り付け枠の少なくとも一方が横胴縁に固定されていることを特徴とする透明遮音壁。
  2. 透光性遮音板の取り付け枠の構造が、上側遮音板の下辺の取り付け枠の端辺部と下側遮音板の上辺の取り付け枠の端辺部のいずれか一方が凹状であり他方が凸状であって、両者が嵌合していることを特徴とする請求項1記載の透明遮音壁。
  3. 透光性遮音板の取り付け枠の構造が、上側遮音板の下辺の取り付け枠の端辺部と下側遮音板の上辺の取り付け枠の端辺部とが一体構造であることを特徴とする請求項1記載の透明遮音壁。
  4. 透光性遮音板の取り付け枠の構造が、上側遮音板の下辺の取り付け枠の端辺部と下側遮音板の上辺の取り付け枠の端辺部とがいずれも実質的にフラットであり、それぞれが横胴縁に固定されていることを特徴とする請求項1記載の透明遮音壁。
  5. H型支柱の溝内に該遮音板面と平行な面を有する押さえ具が固定されており、該遮音板の左右辺部に保持枠があり、該保持枠が該押さえ具とH型支柱の溝内側とで保持されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の透明遮音壁。
  6. 遮音板の左右辺部がH型支柱のうち該遮音板に平行な部分の外側面に固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の透明遮音壁。
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