JP3671122B2 - ブラジャー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着用感に優れたブラジャーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブラジャーは、通常、図4に示すように、左右の乳房を被覆する2個のカップ1,2と、これらのカップ1,2を横一列につなぐ連結部3と、上記カップ1,2の左右の縁部からそれぞれ横方向に帯状に延びる左右一対のサイド部4,5と、上記各カップ1,2の上縁部の一個所と上記各サイド部4,5の上縁部の一個所とをそれぞれつなぐ左右一対の肩ひも6,7とで構成されている。そして、上記左右のサイド部4,5の先端部に、互いに係合するホック(図では見えない)が取り付けられており、これを背中側で係合させることにより、胸に左右のカップ1,2を押し付けた状態でブラジャーを装着することができるようになっている(バックホックタイプ)。また、上記サイド部4,5を一続きの帯状体で形成し、胸の連結部3の中央を、ホックで着脱自在に係合できるようにしたもの(フロントホックタイプ)もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらのブラジャーにおいて、最近、カップ1,2によって乳房の形を矯正するタイプのものが多く出回っている。すなわち、サイド部4,5による締め付け力と、肩ひも6,7による引き上げ力を強くして、カップ1,2で乳房を中心側に寄せ、なおかつ上向きに引き上げることにより、めりはりのある豊かな胸に仕上げようとするものである。
【0004】
しかしながら、肩ひも6,7による引き上げ力を強くするために、肩ひも6,7の圧縮力を高くすると、肩ひも6,7が肌に食い込んで圧迫感が強くなり、着用感が悪くなるという問題がある。また、従来のブラジャーは、図4に示すように、肩ひも6,7の長さ調節のために、肩ひも6,7を部分的に二重に保持する部分Pを、カップ1,2のすぐ上側部分に設けているが、上記のように、肩ひも6,7の圧縮力を高くすると、肩ひも6,7を二重に保持するための切り替え金具8が、胸の敏感な肌に押し付けられることになるため、肌がかゆくなったり痛くなったりするという問題もある。
【0005】
そこで、肩ひも6,7を二重に保持する部分を背中側に配し、背中側に切り替え金具8がくるよう設定することが提案され、一部で実用化されているが、これによっても、肩ひも6,7による圧迫感は殆ど改善されていないのが実情である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、カップによる充分な引き上げ効果を備え、しかも肩ひもによる圧迫感のない、優れた着用感を有するブラジャーの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、着用時に乳房を被覆する2個のカップと、これらのカップを横一列につなぐ連結部と、上記カップの左右の縁部からそれぞれ横方向に延びる左右一対のサイド部と、上記各カップの上縁部の一個所と上記各サイド部の上縁部の一個所とをそれぞれつなぐ左右一対の肩ひもとを備えたブラジャーであって、上記左右一対の肩ひもの各カップ上縁部から所定長の部分が、長手方向に沿って並ぶ少なくとも4本の伸縮性紐体で形成されており、上記少なくとも4本の伸縮性紐体が、いずれも伸度1.5〜2.0に設定され、外側の2本の伸縮性紐体が、残りの内側の伸縮性紐体よりも0.3〜5mmだけ長い自由長に設定されているブラジャーを第1の要旨とする。
【0008】
また、上記ブラジャーのなかでも、特に、上記少なくとも4本の伸縮性紐体で形成される部分の長さが、自由長で、12〜15cmに設定されているものを第2の要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態を示している。このブラジャーは、肩ひも10,11以外の部分は、図4に示すブラジャーと同様であり、同一部分に同一番号を付して、その説明を省略する。なお、12は左右のサイド部4,5を係合させるためのホックである。
【0011】
このブラジャーの肩ひも10,11のうち向かって右側の肩ひも11を例にとって説明する(肩ひも10は肩ひも11と左右対象である以外は同一構造)と、この肩ひも11は、図2に示すように、カップ2の上端部を折り返して縫合することにより形成された中空部20に、2本の伸縮性紐体21が挿通され、折り返した2本と、もとの2本の計4本が、長手方向に沿って並ぶことにより形成された複数紐体部分22と、従来の帯状伸縮テープからなる単一テープ部分23とで構成されている。
【0012】
上記複数紐体部分22において、4本の伸縮性紐体21は、カップ2上端部の近傍において、4本が横一列に平面的に並んだ状態でミシン止めされている。そして、このミシン止めの縫い目Qを隠すように、飾りリボン24が縫い付けられている。また、4本の伸縮性紐体21の上端縁は、単一テープ部分23と連結するためのリング状金具25に挿通され、折り返されて裏側で縫合されている。
【0013】
なお、上記複数紐体部分22を構成する各伸縮性紐体21は、ナイロン93%とポリウレタン7%を組み合わせたカバリング糸(70デニール)を外径3mmの筒状にループ編したもので、伸度1.7の伸縮性を備えている。そして、この複数紐体部分22の自由長Lは、13cmに設定されている。ただし、4本のうち、外側の2本(図において*印で示す)の自由長は、ともに13.2cmに設定されており、自由長Lが13cmに設定された内側の2本に比べて、心持ちだぼついた感じになっている(図では4本とも直線的に示している)。このように、外側の2本を長めに設定すると、横一列に並ぶ4本の伸縮性紐体21が、肌に沿って伸縮する際、常に平面性を保った状態となるのであり、本発明において、この構成が必要である。なお、上記外側の2本を長く設定する場合の長さは、内側の他の伸縮性紐体21よりも、0.3〜5mm長くすることが、平面性を保つ上で必要である。
【0014】
一方、単一テープ部分23を構成する帯状テープは、従来からブラジャーの肩ひもとして用いられているどのような種類の帯状テープであってもよいが、通常、伸縮性を備えたストレッチテープが用いられる。そして、上記帯状テープは、上記リング状金具25と切り替え金具26の間の部分Pが二重に保持されており、この部分で、従来と同様、肩ひも11の長さ調節ができるようになっている。なお、上記リング状金具25と切り替え金具26は、背中側にくるよう設定されている。
【0015】
この構成によれば、肩ひも10,11の、カップ1,2の上から肩にかかる部分が、長手方向に沿って並ぶ4本の伸縮性紐体21になっているため、この部分が、4本の線となって肌に当接するのであり、従来の帯状テープが接する場合に比べて、接触面積が非常に小さくなる。したがって、肩ひも10,11全体がある程度圧縮力を有していても、この部分から肌が受ける圧迫力は弱くなり、心地よい着用感が得られるのである。しかも、上記4本の伸縮性紐体21からなる複数紐体部分22が当接する胸の上から肩までの部分は身体のなかでも発汗しやすい部分であるが、上記4本の伸縮性紐体21がこの部分に接した状態によれば、各伸縮性紐体21の間から蒸気や水分が放出され、表面積の大きい4本の伸縮性紐体21に吸湿・吸汗されるため、従来にない爽快感が得られるという利点を有する。さらに、背中側に、連結用のリング状金具25と切り替え金具26が位置するため、敏感な胸の上の肌がかゆくなったり痛くなったりすることがない。
【0016】
なお、上記の例では、複数紐体部分22を、2本の伸縮性紐体21をカップ1,2の上端部に挿通して折り返して4本にしているが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、上端部の処理と同様、図3に示すように、4本の伸縮性紐体21を、カップ1,2の上端部に取り付けたリング状金具25′に、折り返してミシン止めするようにしてもよい。
【0017】
また、上記の例では、複数紐体部分22の自由長Lを13cmに設定しているが、この長さは、上記値に限らず、適宜に設定することができる。ただし、この複数紐体部分22が、肌の敏感な胸の上から肩にかけての領域に接することが好適であり、そのためには、カップ1,2の形状にもよるが、複数紐体部分22の自由長を12〜15cmに設定することが好ましい。
【0018】
さらに、上記複数紐体部分22を構成する伸縮性紐体21の本数は、4本以上でなければならない。すなわち、3本以下では、肌に対する圧迫感の改善効果に乏しいからである。そして、本数を多くすると、肩ひも10,11が嵩張るため、各伸縮性紐体21を細くせざるを得ず、その場合、伸縮性紐体21の伸度や強度を確保することが困難になる。したがって、伸縮性紐体21の本数は、4〜10本程度に設定することが好適である。そして、このように本数を増やす場合も、前述のように、外側の2本を、残りの内側のものより、自由長を心持ち長く設定することが、全体を平面的に保つ上で必要である。
【0019】
なお、各伸縮性紐体21の太さは、複数紐体部分22に用いる伸縮性紐体21の本数により適宜の太さに設定されるが、伸度は、本数に関わらず、1.5〜2.0程度に設定することが必要である。
【0020】
また、本発明のブラジャーは、上記の例のように、バックホックタイプのみならず、フロントホックタイプにも適用することができる。また、カップの形状等によっても何ら限定されるものでもない。
【0021】
つぎに、実施例について説明する。
【0022】
【実施例1〜4、比較例1,2】
図1に示すブラジャーを作製した。ただし、複数紐体部分22の条件を、下記の表1に示すように変えて、5種類のものを作製した(実施例1〜4と比較例1)。また、比較例2として、図4に示すブラジャー(肩ひもの構造以外は実施例1〜4と同一)を用意した。そして、各ブラジャーを、専門パネラー10名に試着させ、2種類の着用感(締付力と、発汗時の爽快感)について、官能評価させた。そして、最も多くのパネラーが支持した評価を表1に併せて示した。
【0023】
【表1】
Figure 0003671122
【0024】
上記の結果から、実施例品は、良好な締付力を備えており、しかも発汗時の爽快感にも優れていることがわかった。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明のブラジャーは、肩ひもの、カップの上から肩にかかる部分が、長手方向に沿って並ぶ少なくとも4本の伸縮性紐体からなり、しかも特殊な構成になっているため、従来の帯状テープが接する場合に比べ、接触面積が非常に小さい。したがって、肌が受ける圧迫力が弱くなり、非常に心地よい着用感が得られる。しかも、上記特殊な構成部分が当接する胸の上から肩までの部分は、身体のなかでも発汗しやすい部分であるが、少なくとも4本の伸縮性紐体がこの部分に接した状態によれば、各伸縮性紐体の間から蒸気や水分が放出され、表面積の大きい伸縮性紐体の列に吸湿・吸汗されるため、従来にない爽快感が得られるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す説明図である。
【図2】上記実施例の肩ひも部分の詳細説明図である。
【図3】上記実施例における肩ひも部分の変形例の説明図である。
【図4】従来のブラジャーの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,2 カップ
3 連結部
4,5 サイド部
10,11 肩ひも
21 伸縮性紐体

Claims (2)

  1. 着用時に乳房を被覆する2個のカップと、これらのカップを横一列につなぐ連結部と、上記カップの左右の縁部からそれぞれ横方向に延びる左右一対のサイド部と、上記各カップの上縁部の一個所と上記各サイド部の上縁部の一個所とをそれぞれつなぐ左右一対の肩ひもとを備えたブラジャーであって、上記左右一対の肩ひもの各カップ上縁部から所定長の部分が、長手方向に沿って並ぶ少なくとも4本の伸縮性紐体で形成されており、上記少なくとも4本の伸縮性紐体が、いずれも伸度1.5〜2.0に設定され、外側の2本の伸縮性紐体が、残りの内側の伸縮性紐体よりも0.3〜5mmだけ長い自由長に設定されていることを特徴とするブラジャー。
  2. 上記少なくとも4本の伸縮性紐体で形成される部分の長さが、自由長で、12〜15cmに設定されている請求項1記載のブラジャー。
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