JP3670741B2 - 簡易ドリップ式コーヒーメーカー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カップ状の容器の底部にコーヒー粉末を濾過可能に封入し、コーヒーカップの上に載せて湯を注ぐことによりコーヒーを抽出する簡易ドリップ式コーヒーメーカーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、このタイプのコーヒーメーカーとして、例えば、プラスチック製のカップ状容器の底に設けた小径の段部(コーヒー粉末収納部)の底面に開口を形成するとともに、この段部の底面に濾紙を貼着して開口を覆い、その上にコーヒー粉末を入れてから段部の上面にも濾紙を貼着してコーヒー粉末を上下からサンドイッチした構成のものが知られている。また、底面に開口を形成したプラスチック製のカップ状容器と、コーヒー粉末を濾過可能に封入したコーヒーパックとを別体にしておき、コーヒーを入れるときにコーヒーパックを容器の底面にはめ込んでからコーヒーカップの上に載せて湯を注ぐように構成したものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのコーヒーメーカーは、カップ状容器がプラスチック製であるため、廃棄処理に伴い、公害対策が必要であった。そこで、カップ状容器を例えば紙コップなどに用いている紙素材で形成することが考えられるが、この素材のシートを巻いて筒状にしてから底を付けてカップ状に形成したものをさらに2段に重ねるのは、製造工程が多く、コスト的に問題がある。
【0004】
したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、廃棄に伴う公害対策を不要とするために簡易ドリップ式コーヒーメーカーを紙製にし、しかもコーヒーメーカーを簡単かつ安価に製造できるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上述の技術的課題を解決するため、本発明に係る簡易ドリップ式コーヒーメーカーは以下のように構成されている。すなわち、このコーヒーメーカーは、少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層した紙基材を加熱プレスにより深絞り成形して熱可塑性樹脂層を内面にしたカップ状容器を備え、カップ状容器は、本体部と、本体部の底面から下方へ突出する小径のコーヒー粉末収納部とを有する2段形状になっている。また、コーヒー粉末収納部の底面に開口が形成されており、本体部の底面とコーヒー粉末収納部の底面に、それぞれ濾紙が貼着されている。そして、この2枚の濾紙の間にコーヒー粉末が封入されている。
【0006】
上記構成においては、カップ状容器の内面が熱可塑性樹脂層になっているので、湯を注いでも紙基材に浸透することはなく、湯はカップ状容器の本体部の底面に貼着した濾紙を通ってコーヒー粉末収納部内に入り、そこで浸出したコーヒーがコーヒー粉末収納部の底面に貼着した濾紙を通って、このコーヒーメーカーを載せたコーヒーカップの中に抽出される。
【0007】
上記構成のコーヒーメーカーは、紙として廃棄できるうえ、カップ状容器の素材を紙にしていることと加熱プレスによる一体成形としていることにより、簡単かつ安価に製造することができる。また、従来のコーヒーメーカーのカップ状容器はプラスチック製であったため、表面に模様などの表示を設けるにはインモールド転写などのコストのかかる方法を必要としたが、上記構成によれば、文字や模様は、深絞り成形前のカップ状容器の紙基材に印刷により簡単に設けることができ、また、そうすることによって簡易ドリップ式コーヒーメーカーの意匠性をコストを抑えて向上させることができる。
【0008】
上記構成においては、2枚の濾紙はカップ状容器に任意の方法で接着することが可能であるが、特に濾紙として熱可塑性樹脂繊維を含む不織布を用い、この濾紙を、それぞれ、本体部の底面とコーヒー粉末収納部の底面に加熱接着するように構成することが好ましい。そうすれば、簡易ドリップ式コーヒーメーカーの製造をより容易にすることができる。
【0009】
また、カップ状容器を、熱可塑性樹脂繊維を含む不織布基材を加熱プレスにより深絞り成形し、本体部と、本体部の底面から下方へ突出する小径のコーヒー粉末収納部とを有する2段形状としてもよい。この場合、カップ状容器には、コーヒー粉末収納部の底面の一部を除いて、加熱プレスにより熱可塑性樹脂繊維同士を結合させて非通水性を与えるとともに、本体部の底面に濾紙を貼着し、この濾紙とコーヒー粉末収納部の底面の間にコーヒー粉末を封入すればよい。このように構成しても、簡易ドリップ式コーヒーメーカーを簡単かつ安価に製造することができ、かつ、廃棄に伴う問題をなくすことができる。
【0010】
また、上記構成においては、カップ状容器の本体部を平面視大略三角形状に形成し、その三角形状を、各辺の中間部がカップ状容器を載せるコーヒーカップの上縁の径方向内側に位置し、各辺の端部がコーヒーカップの上縁の径方向外側に位置するように構成するとよい。このようにすると、本体部の三角形の各辺がコーヒーカップの上縁を横切る状態でカップ状容器をコーヒーカップに安定して載せることができるとともに、コーヒーカップの上縁とカップ状容器の本体部との間にできた隙間から、コーヒーカップの中に注出されたコーヒーの量を目視で確認することができる。なお、カップ状容器の本体部の平面視形状は、三角形以外の多角形や楕円形などにしてコーヒーカップの上縁との間に隙間ができるようにしてもよく、コーヒー量の視認が不要であれば、コーヒーカップの上縁よりも大きな任意の形状にすればよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る簡易ドリップ式コーヒーメーカーの実施の形態を、図1から図3を用いて詳細に説明する。
【0012】
まず、実施の形態の第1の例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、このコーヒーメーカーの平面図、図2は図1の中央横断面図である。このコーヒーメーカーのカップ状容器10は、少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層した紙基材を加熱プレスにより深絞り成形して、熱可塑性樹脂層を内面にしたものである。カップ状容器10は、平面から見てほぼ三角形の本体部11と、本体部11の底面11aから下方へ突出する小径のコーヒー粉末収納部12とを有する2段形状になっており、コーヒー粉末収納部12の底面12bには円形の開口12aが形成されている。
【0013】
カップ状容器10の本体部11は、底面11aの周縁から立ち上がる側壁11bと、側壁11bの上端から外へ張り出したフランジ11cとを有している。また、側壁11bの上端部分には小さな段11dが設けられており、このカップ状容器10の中へ湯を注ぐときの目安となるとともに、この段11dにより、積み重ね可能となっている。
【0014】
カップ状容器10の本体部11の底面11aとコーヒー粉末収納部12の底面12bには、それぞれ、濾紙13,14が貼着されている。この2枚の濾紙13,14は熱可塑性樹脂繊維を含む不織布により構成されており、本体部11の底面11aとコーヒー粉末収納部12の底面12bに対して加熱プレスにより接着されている。そして、この2枚の濾紙13,14の間にコーヒー粉末15が封入されている。
【0015】
上記構成のコーヒーメーカーは、カップ状容器10の内面が熱可塑性樹脂層になっているので、湯を注いでも紙基材に浸透することはなく、湯はカップ状容器10の本体部11の底面11aに貼着した濾紙13を通ってコーヒー粉末収納部12内に入り、そこで浸出したコーヒーがコーヒー粉末収納部12の底面12bに貼着した濾紙14を通って、このコーヒーメーカーを載せたコーヒーカップ1の中に抽出される。なお、このコーヒーメーカーは平面視ほぼ三角形に形成されているため、コーヒーカップ1の上に載せたときに、カップ状容器10の本体部11の側壁11bとコーヒーカップ1との間の隙間2から、コーヒーカップ1の中に注がれたコーヒーの量を確認することができる。また、カップ状容器10は、平面視三角形状に限られるものではなく、他の形状でコーヒー量が確認できるようにしてもよい。
【0016】
以上のように構成したコーヒーメーカーは、紙として廃棄できるうえ、熱可塑性樹脂層を有する紙基材を加熱プレスすることでカップ状容器10を一体成形しているので、簡単かつ安価に製造することができる。また、深絞り成形前のカップ状容器10の紙基材に印刷しておけばカップ状容器10の表面に文字や模様を表すことができるので、簡易ドリップ式コーヒーメーカーの意匠性をコストを抑えて向上させることができる。
【0017】
なお、カップ状容器10を紙基材の深絞り成形品としたため、容器10の表面には、このコーヒーメーカーに独特の意匠性を与える縦じわが生じ、容器10は、この縦じわの部分の折り癖が加熱プレス後の熱可塑性樹脂層の硬化によって固められることによってカップ形状に保持される。加熱プレスの際にこの縦じわを安定した状態で発生させるために、紙基材には、素材からの打ち抜きの際に、縦じわを発生させたい位置に押罫を設けておくとよい。
【0018】
次に、図3に示した実施の形態の第2の例について説明する。この例では、カップ状容器20は、熱可塑性樹脂繊維を含んだ不織布を基材として、加熱プレスによる深絞り成形で、本体部21と、本体部21の底面21aから下方へ突出するコーヒー粉末収納部22とから、上述した第1の例とほぼ同じ形状に形成されている。また、コーヒー粉末24が収納部22に充填され、不織布の濾紙23が本体部21の底面21aに貼着されている。
【0019】
不織布基材は、深絞り成形の際の熱プレスにより、またはその前にもう一度熱プレスをすることにより、コーヒー粉末収納部22の底面22aのφAで示した部分(濾過部)22bを除いて非通水性が与えられている。つまり、φA以外の部分(太い一点鎖線で示した部分)は、熱により熱可塑性樹脂繊維同士が溶融して結合することにより、素材がもっていた通水性が失われ、湯は、φAで示した部分22bのみを透過できることになる。
【0020】
この例においても、上述した第2の例と同様、紙として廃棄できるうえ、不織布を加熱プレスすることでカップ状容器20を一体成形しているので簡単かつ安価に製造することができる。また、この例では、製造工程において、カップ状容器20のコーヒー粉末収納部22の底面22aに穴をあけて濾紙を貼着することは不要となる。さらに、コーヒー粉末収納部の底面に開口を形成する第1実施形態では底面全体を開口にすると、不織布とコーヒー粉末収納部の底面との接着面積が小さくなり、強度が弱くなるおそれがあるが、このように構成すれば、濾過部22bの面積を任意に設定することができるので、濾過部の面積を比較的大きくしてコーヒーの抽出時間を短くし、湯温が下がるのを防止することもできる。
【0021】
【実施例】
次に、第1実施形態に対応する実施例について説明する。カップ状容器10の紙基材には、秤量が230〜300g/m2のカップ原紙に、厚さ15μmのポリエチレン層と厚さ30〜50μmの未延伸ポリプロピレン層を順に積層したものを用いた。また、濾紙13,14には、ポリプロピレン繊維を40重量%、麻パルプと木材パルプをそれぞれ30%ずつ含んだ不織布で、秤量が約50g/m2、厚さが177μm、密度が0.28g/m3のものを用い、コーヒー粉末収納部12の底面12bにこの不織布13,14を2枚重ねで貼着した。なお、カップ状容器10の本体部11は、段11dのレベルで湯が約155cc入る大きさとし、コーヒー粉末収納部12には、コーヒー豆を挽いた粉を約6〜7g収納した。
【0022】
以上のように構成したコーヒーメーカーに約85°Cの湯を注いだところ、1分半程度の時間で十分な濃さのコーヒーを抽出することができた。また、コーヒー粉末収納部12の底面12bの不織布を1枚にすると、抽出時間が短縮され、いくぶん薄いコーヒーを抽出することができた。ただし、不織布の厚みや材質を変えることにより、抽出度合いや注出時間は適宜調整できるものである。
【0023】
なお、カップ状容器10の本体部11とコーヒー粉末収納部12の大きさや形状は適宜定めればよい。また、濾紙13,14には、単層構造で全体にほぼ均一に熱可塑性樹脂繊維を含んだ不織布を用いてもカップ状容器10に加熱接着することは可能であるが、熱可塑性樹脂繊維を含んだ層と含まない層とから2層構造になった不織布を用いて熱可塑性樹脂繊維を含んだ層がカップ状容器10の内面と接触するようにすると、カップ状容器10との接触面側での熱可塑性樹脂繊維の含有密度が高くなるので特に良好な熱接着性が得られる。さらに、上記構成では不織布をカップ状容器に加熱接着しているが、熱可塑性樹脂繊維を含まない不織布を接着剤でカップ状容器10に接着するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る簡易ドリップ式コーヒーメーカーの第1実施形態を示す平面図である。
【図2】 図1のコーヒーメーカーの中央横断面図である。
【図3】 本発明に係る簡易ドリップ式コーヒーメーカーの第2実施形態を示す中央横断面図である。
【符号の説明】
1 コーヒーカップ
2 隙間
10 カップ状容器
11 本体部
11a 底面
11b 側壁
11c フランジ
11d 段
12 コーヒー粉末収納部
12a 開口
12b 底面
13,14 濾紙
15 コーヒー粉末
20 カップ状容器
21 本体部
21a 底面
22 コーヒー粉末収納部
22a 底面
22b 濾過部
23 濾紙
24 コーヒー粉末
Claims (2)
- 熱可塑性樹脂繊維を含む不織布基材を加熱プレスにより深絞り成形したカップ状容器(20)を備え、該カップ状容器(20)は、本体部(21)と、該本体部(21)の底面(21a)から下方へ突出する小径のコーヒー粉末収納部(22)とを有する2段形状であり、かつ、該カップ状容器(20)は、該コーヒー粉末収納部(22)の底面(22a)の一部(22b)を除いて、加熱プレスによる熱可塑性樹脂繊維同士の結合による非通水性を有し、上記本体部(21)の底面に濾紙(23)が貼着され、該濾紙(23)とコーヒー粉末収納部(22)の底面(22a)の間にコーヒー粉末(24)が封入されていることを特徴とする簡易ドリップ式コーヒーメーカー。
- 上記カップ状容器(20)の本体部(21)が平面視大略三角形状に形成され、該三角形状は、各辺の中間部が該カップ状容器(20)を載せるコーヒーカップ(1)の上縁の径方向内側に位置し、各辺の端部が該コーヒーカップ(1)の上縁の径方向外側に位置するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の簡易ドリップ式コーヒーメーカー。
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH09187381A JPH09187381A (ja) | 1997-07-22 |
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JP00363996A Expired - Fee Related JP3670741B2 (ja) | 1996-01-12 | 1996-01-12 | 簡易ドリップ式コーヒーメーカー |
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1996
- 1996-01-12 JP JP00363996A patent/JP3670741B2/ja not_active Expired - Fee Related
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