JP3670339B2 - 実体顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は手術用顕微鏡として多く用いられる実体顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より実体顕微鏡は外科手術に多く用いられ、術部の拡大観察を可能にし、手術の効率向上などの重要な役割を果たしている。しかしながら、手術用顕微鏡として用いられる従来の実体顕微鏡の接眼レンズの射出瞳径は非常に小さいため、観察中に観察者の頭が動くと、像のケラレが発生する。このため、観察者は手術その他の作業中に常に頭を一定の位置に置かねばならず、作業が長時間にわたるときには観察者に強度の疲労感を与えた。
【0003】
この点を解決するために、特公昭50−19936号公報に記載の拡大射出瞳形成用光学装置は、空中像位置に透過型光拡散デバイスを設け、瞳を拡大している。しかしながら、この装置は顕微鏡によって得られる空中像を拡大観察するための接眼レンズを有していないため、観察像を大きくするために光学装置鏡体内に巨大な空中像を形成する形式のものである。このため、光学装置鏡体は非常に大きいものにならざるを得なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
手術用顕微鏡においては、作業性向上のため顕微鏡鏡体の小型化は必須条件であるが、上述の従来の実体顕微鏡は小型化が非常に難しかったため、手術用顕微鏡に用いることが不可能であった。
さらに、従来の実体顕微鏡においては、右眼で見る空中像と左眼で見る空中像がある位置において互いに重なり合っているため、この重なり合った空中像から観察者の眼までの距離を十分に取らないと、本来右眼に入射すべき光束が左眼に入射してしまうというクロストークの問題が発生し、観察像の融像が不可能になるという問題が発生しやすい傾向にあった。
【0005】
また、従来より手術用顕微鏡によって得られる互いに視差を有する左右の観察像をテレビカメラで撮像し、その観察像を二つの液晶モニターその他の電子画像表示デバイスに表示し、左右二つの接眼レンズでこの電子画像を拡大立体視観察することを可能にする顕微鏡が望まれていた。しかしながら、通常の手術用顕微鏡などで用いられている顕微鏡像を拡大観察するための接眼レンズは、液晶モニターその他の電子画像表示デバイス上の電子画像の拡大観察に用いると、液晶モニターの電子画像表示デバイスから射出する光束のNAが比較的大きいため、射出瞳径が拡大してしまっていた。これに対して、通常の接眼レンズは数mmの射出瞳を想定して設計してあるため、観察者の瞳孔が、設計上想定した数mmの射出瞳以外の位置にあるときには観察像のケラレはないが、良好な観察像を観察者に提供することは不可能であった。このため、各々の用途に応じて接眼レンズを別々に用意することが必要であり、さらに、システム的に二つの接眼鏡筒を用意しなければならなかった。
【0006】
本発明は、上述の従来の実体顕微鏡の問題点に鑑みてなされたものであり、一つの接眼鏡筒を用いて、顕微鏡像の良好な拡大観察と、電子画像表示デバイスに映し出された電子画像の良好な拡大観察を切り替えにより任意に選択することができる実体顕微鏡を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、上記のような顕微鏡像と電子画像の切り替えが可能な手術用顕微鏡その他の実体顕微鏡の鏡体の小型化を可能にし、さらに、観察時のクロストークの発生をなくすとともに、接眼レンズからの射出瞳を拡大し、手術用顕微鏡による観察時に観察者の疲労感を低下させることができる実体顕微鏡を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】
この目的を達成するため、本発明に係る実体顕微鏡は、顕微鏡像を拡大観察するための観察光学系を、電子画像表示デバイスに映し出した電子画像を拡大観察するための観察光学系と共通化し、この共通化した観察光学系を接眼鏡筒部ハウジングの内部に配置し、前記接眼鏡筒部ハウジングの内部には、顕微鏡像観察と電子画像観察の切り替え機構が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る実体顕微鏡においては、前記接眼鏡筒部ハウジング内部の、観察者の眼の最も近くに結像された左右二つの空中像の位置又はその付近に透過型光拡散デバイスを設けたことを特徴とする。
また、本発明に係る実体顕微鏡においては、前記透過型光拡散デバイスが移動可能に形成されており、かつ、該透過型光拡散デバイスが電子画像表示デバイスと切り替え可能であることを特徴とする。
【0009】
例えば、本発明に係る実体顕微鏡は、前もって射出瞳を大きく設定した左右二つの接眼レンズを有し、さらに、顕微鏡像と、電子画像表示デバイス上の電子画像とを良好に拡大観察することができる光学系を備えている。顕微鏡観察像と電子画像観察像の切り替え機構は接眼鏡筒内に設けられる。かかる構成により、一つの接眼鏡筒ユニットを用いるだけで、顕微鏡像の拡大観察と電子画像の拡大観察の双方が可能になる。
【0010】
ここで、透過型光拡散デバイスとは、例えば、平行光束を透過させた場合、形状は平行平板であっても、光束を発散させることができる光学素子をいう。この透過型光拡散デバイスを空中像位置又はその付近に備えることによって、手術用顕微鏡観察光学系内の光束は透過型光拡散デバイス内で発散され、最終的に接眼レンズからの射出瞳が拡大される。
【0011】
また、この透過型光拡散デバイスを透過した光束は発散されているため、光束径が従来よりも太くなっており、透過型光拡散デバイスよりも後に位置する光学系はこの太くなった光束を取り込むためにレンズ径を大きくしなければならず、光学系の大型化を招いてしまうおそれがある。そこで、本発明においては、観察光学系の内部において観察者の眼の最も近くに結像された左右二つの空中像の位置又はその付近に透過型光拡散デバイスを設けることにより、透過型光拡散デバイスよりも後に位置する光学系を少なくし、実体顕微鏡鏡体の大型化を防止している。このように、本発明に係る実体顕微鏡は左右二つの接眼レンズを備え、観察光学系の内部において観察者の眼の最も近くに結像された左右二つの空中像の位置又はその付近に透過型光拡散デバイスを設けることにより、鏡体の小型化を実現し、拡大射出瞳を得ている。
【0012】
また、本発明に係る実体顕微鏡においては、透過型光拡散デバイスよりも前に位置する光学系は普通の手術用顕微鏡の光学系と全く同じものを使用できるため、射出瞳を拡大するための特別な光学系を用意する必要がなく、通常の手術用顕微鏡の光学系を用いることができる。
さらに、本発明に係る実体顕微鏡においては、左右の空中像が異なる位置に互いに独立して存在するため、結像レンズから観察者の眼までの左右の光束を互いに完全に独立させることができ、クロストークを完全になくすことができる。
【0013】
また、本発明に係る実体顕微鏡において、透過型光拡散デバイスが移動可能であり、かつ、透過型光拡散デバイスと電子画像表示デバイスとの切り替えが可能であるように構成すれば、観察者は、瞳拡大による疲労感の少ない顕微鏡像の拡大観察と電子画像表示デバイスに映し出された電子画像の拡大観察との間の切り替えを容易に、かつ、任意に行うことができる。
【0014】
以下、図面に基づいて本発明に係る実体顕微鏡の実施例を説明する。
【0015】
図1は実体顕微鏡の第一実施例を示している。この第一実施例は接眼レンズからの射出瞳を拡大することにより観察者の疲労感を減少させ、顕微鏡鏡体の小型化を図るとともに、クロストークを発生させないことを目的とするものである。
実体顕微鏡は本体ハウジング10と接眼鏡筒ハウジング11とから構成され、接眼鏡筒ハウジング11は主観察者用ハウジング11Aと補助観察者用ハウジング11Bの二つからなる。
【0016】
本体ハウジング10は、対物レンズ6を内蔵する対物レンズ部12と、ズームレンズ7を内蔵する変倍部13と、ハーフミラー8を内蔵する光路分割部14とに分かれている。対物レンズ6とズームレンズ7は立体観察のための左右の光路に共通な同軸光学系になっている。
各接眼鏡筒ハウジング11A,11Bは、一対の結像レンズ1と、透過型光拡散デバイス3と、接眼レンズ4とを備えている。
観察対象物15から発した光は対物レンズ6によりほぼ平行な光束となり、ズームレンズ7を介してハーフミラー8に入射する。光束は、ハーフミラー8で光量的に2分割され、分割された各々の光束は光束分割部に設けられた一対の孔(瞳)を通って接眼鏡筒ハウジング11A,11Bに入射する。
【0017】
結像レンズ1はズームレンズ7を射出したほぼ平行な光束から左右の物体像を形成する。空中像の位置には透過型光拡散デバイス3が配置されており、像の光は透過型光拡散デバイス3で拡散され、大きな開口数(NA)を得て、接眼レンズ4に入射する。接眼レンズ4はその射出側のアイポイント位置に拡大された瞳を形成し、観察者は眼9をこの瞳位置に置いて物体像を観察することができるようになっている。
【0018】
本実施例においては、左右の結像レンズ1から出射された光束を空中像位置2の付近に配置した透過型光拡散デバイス3の作用によって発散させ、その発散光束を接眼レンズ4で受けることにより拡大射出瞳5を得ている。さらに、本実施例においては、観察光学系内において観察者の眼9に最も近い結像位置2に透過型光拡散デバイス3を配置しているため、透過型光拡散デバイス3により発散され、太くなった光束を受けるために従来は大型化せざるを得なかったレンズ枚数は最小限に抑えられている。図1で示すと、大型化する光学系は接眼レンズ4のみである。
また、本実施例においては、空中像をある程度の倍率を有する接眼レンズ4で拡大観察するため、観察像のみかけの大きさは大きくても空中像は小さくてすみ、空中像の位置に配置する透過型光拡散デバイス3もこれに応じて小型化することができるため、顕微鏡鏡体の大幅な小型化が可能になる。
【0019】
さらに、空中像が小さくてすむことから、結像レンズ1の焦点距離を短くすることができ、ひいては、観察光学系の全長を短くすることができ、顕微鏡鏡体の大幅な小型化を行うことができる。
また、本実施例においては、接眼レンズ以外の光学系は全て通常の手術用顕微鏡の光学系と同じものを使用できるため、特別な観察光学系を用意する必要がない。
以上のように、本実施例においては、手術用顕微鏡鏡体の小型化が実現でき、接眼レンズからの射出瞳が拡大しているため、観察者にとっては頭が多少動いても観察像がケラレることがなく、疲労感の少ない観察を行うことができる。また、本実施例によれば、接眼鏡筒部が小型となるため、一つの手術用顕微鏡本体に主側用と副側用の二つの接眼鏡筒部を取り付けることができる。
【0020】
本実施例における透過型光拡散デバイス3としては、図2に示すようなマイクロレンズアレイなどの光の回折作用を利用した素子を用いることができる。マイクロレンズアレイとは、微小なマイクロレンズ(直径数ミクロン)16を平面板上に規則的に敷き詰めたものである。平面板上に敷き詰められた隣接するマイクロレンズのピーク間の距離をピッチと定義すると、ピッチやマイクロレンズの配列を変えることによって、光束を透過させたときに得られる配光形状を任意に整形でき、さらに、断面形状を滑らかにすることができるので、スリガラスのような他の透過型光拡散デバイスと比較して、拡散面のザラツキを大幅に減少させることができる。これによって、観察像上の不要なザラツキ感がなくなり、良好な観察像を観察者に提供することができる。
【0021】
さらに、マイクロレンズアレイのマイクロレンズの配列を四角形格子状にした場合、ピッチPを下記の式(1)が満足されるように設定すると、拡大射出瞳上に強度むらが生じにくい。
Figure 0003670339
さらに、マイクロレンズアレイのマイクロレンズの配列を六角形格子状にした場合、ピッチP′を下記の式(2)が満足されるように設定すると、拡大射出瞳上に強度むらが生じにくい。
Figure 0003670339
上記式(1)及び(2)において、ASMAX は実体顕微鏡の明るさ絞り開放時の直径、fB1は接眼鏡筒部結像レンズの焦点距離である。
また、マイクロレンズアレイとして、拡散面を対向させた2枚のマイクロレンズアレイを一組としたものを用いることもできる。このような構成を採用することにより、一枚の平面板上にランダムにマイクロレンズを敷き詰めたものと同様になるため拡大射出瞳に光の強度むらが生じにくくなる。
【0022】
また、本実施例における透過型光拡散デバイス3として、米国POC (Physical Optics Corporation)社が製造販売しているビーム整形デフューザーを用いることもできる。ビーム整形デフューザーとは、ポリカーボネートやアクリル素材からなる平行板などの表面に、光を屈折作用によって特定範囲に拡散する拡散面を加工したものであり、光束を透過させたときに得られる配光形状を任意に整形することができる。さらに、透過率が良いという優れた性能を有している。
さらに、ビーム整形デフューザーは光の屈折を利用しているため、マイクロレンズアレイのような光の回折を利用しているものと比べて色むらが発生しない。よって、色むらのない拡大射出瞳を得ることができ、不要な色付きのない明るい観察像を観察者に提供することができる。
【0023】
また、本実施例においては、図3に示すように、互いに異なる位置に独立して存在する左右空中像位置2の付近に透過型光拡散デバイス3を1個ずつ配置しているが、図4に示すように、透過型光拡散デバイスは、左右の空中像位置2の付近にまたがるような一枚の長板状の透過型光拡散デバイス17として構成することもできる。
本実施例における透過型光拡散デバイス3は接眼レンズ4の前の空中像位置付近に配置されているが、内焦点式接眼レンズを用いる場合には、接眼レンズ内の空中像位置付近に透過型光拡散デバイスを配置することが必要である。以下に、本実施例に用いた接眼レンズの詳細の一例を示す。
【0024】
Figure 0003670339
【0025】
図5は、実体顕微鏡の第二実施例を示す。本実施例においては、結像レンズ1から接眼レンズ4までの、透過型光拡散デバイス3を含む接眼鏡筒部光学系を一つのユニット19として構成し、このユニット19を本体ハウジング10に対して着脱可能としたものである。このように構成することにより、ユニット19と通常の手術用顕微鏡用接眼鏡筒ユニット20をシステム的に相互に交換することができ、瞳を拡大した接眼鏡筒による観察を必要としない観察者には、手術用顕微鏡本体は同じままで通常の接眼鏡筒による観察を提供することができる。
【0026】
さらに、上述の第二実施例に示した構成のように、透過型光拡散デバイス3と接眼レンズ4を一つのユニットとして構成し、これを接眼鏡筒部ハウジング11Aに代えて本体ハウジング10に対し着脱可能であるように形成しても同様な効果を得ることができる。
【0027】
図6は、実体顕微鏡の第三実施例を示す。本実施例においては、互いに異なる位置に独立して存在する左右の空中像位置2の付近に配置された透過型光拡散デバイス3が移動可能に、かつ、着脱自在に構成されている。かかる構成によって、使用する観察光学系は同一のまま、観察者は瞳拡大による疲労感の少ない観察と、射出瞳を拡大しない通常の観察の双方を行うことができるとともに、その切り替えも容易に、かつ、任意に行うことができる。
【0028】
図7は、本発明に係る実体顕微鏡の第四実施例を示す。本実施例においては、透過型光拡散デバイス3が移動可能であり、かつ、透過型光拡散デバイス3と液晶モニター21との間の切り替えが可能であるように構成されている。本実施例によって、観察者は瞳拡大による疲労感の少ない顕微鏡像の拡大観察と液晶モニター21上に映し出された電子画像の拡大観察との間の切り替えを容易に、かつ、任意に行うことができる。
【0029】
図8は、実体顕微鏡の第五実施例を示す。本実施例においては、透過型光拡散デバイス3がその軸線を移動させることなく高速回転することができるように構成されている。透過型光拡散デバイス3は接眼鏡筒部ハウジング内に設けられたモーター22によって回転駆動される。
本実施例によれば、拡散面にザラツキのある透過型光拡散デバイス3を用いたとしても、高速回転させているため、観察者が像を観察するときのザラツキ感は低下する。高速回転に代えて、透過型光拡散デバイス3を高速微振動させることによっても同様の効果を得ることができる。また、回折を利用した透過型光拡散デバイスを前述の第一実施例に用いると、拡大射出瞳に色むらが発生しやすい傾向にあるが、本実施例では、透過型光拡散デバイス3は高速回転しているため、拡大射出瞳の色むらは低下する。このように、本実施例によって、ザラツキ感が少なく、かつ、拡大射出瞳に色むらが少ない観察像を観察者に提供することができる。
【0030】
図9は、実体顕微鏡の第六実施例を示す。本実施例においては、左右の接眼レンズ4の光軸23が、観察光学系の内部において観察者の眼9に最も近く結像された左右空中像の心24に対して、相対的に左右外側に平行に移動して配置されている。このため、左右空中像の心24から発した光束25は左右接眼レンズ4を通過し、光束26のように互いに左右外側に発散して射出している。
本実施例によれば、観察者の瞳孔9が拡大射出瞳5の内部の何れの位置にあっても、視野中心に向かう観察者の視線27は互いに観察者の眼よりも前方で交わる。このため、観察者が左右の互いに視差を有する観察像を融像し、立体視観察しようとするときの観察者の左右の視線27に輻輳角が付き、融像を極めて容易に行うことができる。
【0031】
図10は、実体顕微鏡の第七実施例を示す。第七実施例においては、透過型光拡散デバイス3の光束を透過させたときに得られる配光形状が楕円形状となり、さらに、その楕円形状の長軸方向が水平方向を向くように配置してある。透過型光拡散デバイス3を透過した光束は発散され、その配光形状が楕円形状となり、この光束を接眼レンズ4が受けることにより、楕円形状拡大射出瞳28を形成する。
この楕円形状拡大射出瞳28は長軸方向が水平方向を向いており、さらに、その長軸方向の長さは人間の眼幅のばらつきをカバーするために必要な15mm以上の長さに設定されている。また、この拡大射出瞳28は短軸方向にもある程度の長さを有している。かかる構成によって、観察者は眼幅調整にかかわらず、頭が多少動いてもケラレることなく、観察像を観察することができる。
【0032】
図11は、実体顕微鏡の第八実施例を示す。本実施例においては、透過型光拡散デバイス3上に形成されている空中像29に重なるように、透過型光拡散デバイス3の一部に透過面30が形成されている。結像レンズ1より射出した収束光束31のうち透過面30を透過した光束の一部は、拡散面を透過したその他の光束と異なり、発散することなくそのまま接眼レンズ4を透過し、拡大されない射出瞳32を形成する。この無拡大射出瞳32は、他の部分の光束が接眼レンズ4を透過し形成する拡大射出瞳5の位置と同じ位置に、かつ、拡大射出瞳5の中心に形成される。
この観察像が観察者にとってどのように見えるかについて述べると、観察者の瞳孔9が拡大射出瞳5の中心の無拡大射出瞳32上にあるときだけ、透過面30と重なっている観察像の一部と、透過型光拡散デバイス3の拡散面と重なっている観察像とを同時に見ることができる。観察者の瞳孔9が拡大射出瞳5内にあり、無拡大射出瞳32上にない場合には、透過型光拡散デバイス3の拡散面と重なっている観察像を見ることはできても、透過面30と重なっている観察像の一部は見えないようになっている。このため、観察者は自分の瞳孔が拡大射出瞳中の中心にあるか否かを確認することができる。
【0033】
眼幅調節が可能な瞳の大きい手術用顕微鏡においては、図12に示すように、射出瞳が大きいので、多少眼幅調節が合っていなくても観察像はケラレなく見えるので、観察者はこの状態で眼幅が合っていると誤認するおそれがある。この状態における観察者の頭が振れる範囲は図13の斜線の範囲33でしかなく、拡大射出瞳5の一部しか利用できていない。このため、上述のように確認することにより、観察者自身で必ず自分の瞳孔が拡大射出瞳5の中心に位置するように眼幅を調節することができる。
これにより、図14に示すように、拡大射出瞳5の中心に観察者の瞳孔9が位置するため、観察者が頭の振れる範囲は図15に示す斜線範囲34となり、拡大射出瞳5の全幅を十分に利用することができるようになる。このため、観察者は射出瞳が拡大した分だけ、頭を振ってもケラレのない観察像を得ることができる。
【0034】
図16は実体顕微鏡の第九実施例を示す。本実施例においては、接眼鏡筒部35の観察者が眼を近付ける部分36がそれぞれ独立しておらず、接眼鏡筒部のレンズのうち最も観察者の眼9に近いレンズを直径40mm以上に形成し、右眼を近付ける部分と左眼を近付ける部分が一平面上で連続するように配置されている。本実施例によれば、観察者に視野以外にのぞき込む枠がないと感じさせることができ、観察者は手術などの作業に集中することができる。
【0035】
図17は本発明に係る実体顕微鏡の第十実施例を示す。本実施例においては、手術用顕微鏡接眼鏡筒部ハウジング37の内部に、透過型光拡散デバイス3又は液晶モニター38をスライドさせる機構が設けられている。すなわち、透過型光拡散デバイス3はつまみ39をA1方向に動かすことにより、液晶モニター38はつまみ40をA2方向に動かすことにより、それぞれA1、A2方向にスライドさせることができるようになっている。かかる構成により、観察者は、空中像位置以外の位置41から接眼鏡筒内の空中像位置2に透過型光拡散デバイス3又は液晶モニター38を移動させることができる。
さらに、本実施例において用いられている接眼レンズ4は瞳拡大した手術用顕微鏡であり、観察者の瞳孔が拡大瞳中の何れに位置しても良好な観察像を得られる性能を有している。
【0036】
本実施例によれば、観察者が任意に接眼鏡筒内の切り替え機構39,40を操作することにより、顕微鏡像観察と液晶モニター上に映し出された電子画像観察とを任意に選択することができる。さらに、顕微鏡像観察から液晶モニター上の電子画像観察に切り替えた場合、図7に示すように、液晶モニター21から射出する光束の射出NA42はある程度大きいので、電子画像観察に切り替えた瞬間に接眼レンズ4からの射出瞳43は大きくなる。この場合でも、接眼レンズ4の性能は既に上述のように設定してあるため、接眼レンズを別個に用意する必要もなく、観察者の瞳孔9が拡大された射出瞳43内の何れの位置にあっても、液晶モニター21上の電子画像を良好に観察することができる。このように、観察者は一つの接眼鏡筒で顕微鏡像も液晶モニター上の電子画像もともに良好に拡大観察することができる。
なお、上述の第二乃至第十実施例において、説明されていない構成要素は第一実施例と同様である。
【0037】
以上の説明から明らかであるように、本発明に係る実体顕微鏡は、前述の特許請求の範囲に記載した実体顕微鏡の他に、以下のように構成することも可能である。
(1)左右二つの接眼レンズの光軸が、前記左右二つの空中像の心に対して、相対的に左右外側に平行移動した位置にあることを特徴とする請求項2に記載の実体顕微鏡。
(2)前記観察光学系の明るさ絞りが楕円形状であることを特徴とする請求項1に記載の実体顕微鏡。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、一つの接眼鏡筒を用いて、顕微鏡像を拡大した観察像と、電子画像表示デバイスに写し出された電子画像の拡大観察を切り替えにより任意に選択することができる。
さらに、本発明によれば、手術用に用いられる実体顕微鏡の鏡体の小型化を達成し、さらに、観察時のクロストークの発生をなくすことができる。また、接眼レンズからの射出瞳を拡大することができるので、顕微鏡観察に起因する観察者の疲労感を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 体顕微鏡の第一実施例の概略構成図である。
【図2】 透過型光拡散デバイスとして用いるマイクロレンズアレイの斜視図である。
【図3】 第一実施例における透過型光拡散デバイス及び接眼レンズの位置関係を示す斜視図である。
【図4】 透過型光拡散デバイスの変形例を示す斜視図である。
【図5】 体顕微鏡の第二実施例の概略構成図である。
【図6】 体顕微鏡の第三実施例における透過型光拡散デバイスを示す斜視図である。
【図7】 本発明に係る実体顕微鏡の第四実施例の概略構成図である。
【図8】 体顕微鏡の第五実施例における透過型光拡散デバイスを示す概略斜視図である。
【図9】 体顕微鏡の第六実施例における透過型光拡散デバイスを示す概略図である。
【図10】 体顕微鏡の第七実施例における透過型光拡散デバイスを示す概略図である。
【図11】 体顕微鏡の第八実施例における透過型光拡散デバイスを示す概略図である。
【図12】 観察者の眼幅と射出瞳との位置関係を示す概略的平面図である。
【図13】 射出瞳中における観察者の眼の位置を示す概略的平面図である。
【図14】 第八実施例における観察者の眼幅と射出瞳との位置関係を示す概略的平面図である。
【図15】 第八実施例における射出瞳中における観察者の眼の位置を示す概略的平面図である。
【図16】 体顕微鏡の第九実施例における接眼鏡筒部の斜視図である。
【図17】 本発明に係る実体顕微鏡の第十実施例の部分断面図である。
【符号の説明】
1 結像レンズ
2 結像位置
3 透過型光拡散デバイス
4 接眼レンズ
5 拡大射出瞳
6 対物レンズ
7 変倍レンズ群
8 ハーフミラー
9 観察者の瞳孔
10 本体ハウジング
11 接眼鏡筒部ハウジング
12 ハーフミラー保持用枠
13 変倍レンズ群保持用枠
14 対物レンズ保持用枠
15 被観察物体
16 微小マイクロレンズ
17 長板状透過型光拡散デバイス
19 拡大射出瞳形成用接眼鏡筒ユニット
20 通常の接眼鏡筒ユニット
21 液晶モニター
22 モーター
25 光束
26 光束
28 楕円形状拡大射出瞳
29 空中像
30 透過面
31 集光光束
32 無拡大射出瞳
35 接眼鏡筒
37 接眼鏡筒
39,40 つまみ
42 NA
43 射出瞳

Claims (3)

  1. 実体顕微鏡において、顕微鏡像を拡大観察するための観察光学系を、電子画像表示デバイスに映し出した電子画像を拡大観察するための観察光学系と共通化し、この共通化した観察光学系を接眼鏡筒部ハウジングの内部に配置し、
    前記接眼鏡筒部ハウジングの内部には、顕微鏡像観察と電子画像観察の切り替え機構が設けられていることを特徴とする実体顕微鏡。
  2. 前記接眼鏡筒部ハウジング内部の、観察者の眼の最も近くに結像された左右二つの空中像の位置又はその付近に透過型光拡散デバイスを設けたことを特徴とする請求項1に記載の実体顕微鏡。
  3. 前記透過型光拡散デバイスは移動可能に形成されており、かつ、該透過型光拡散デバイスは電子画像表示デバイスと切り替え可能であることを特徴とする請求項2に記載の実体顕微鏡。
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