JP3669412B2 - 摩擦攪拌接合用回転ツール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦攪拌接合用回転ツールに関し、特に、上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板を備え、前記上下の面板同士を長手方向に延びるリブ材又はコア材等の連結・補強部材を介して一体に形成した中空材又はハニカムパネル等の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の幅方向端部同士又は長さ方向端部同士を突き合わせて、長さ方向に延びる突合わせ部又は幅方向に延びる突合わせ部を形成し、上下の面板の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツールに関する。
【0002】
【従来の技術】
(A)正断面図である図35(a)〜(c)に示されるように、上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板71、72又は81、82を備え、前記上下の面板71、72又は81、82同士を長さ方向(紙面に垂直な方向)に延びるリブ材73又はコア材83等の連結・補強部材を介して一体に形成した中空材70a、70b又はハニカムパネル80a、80b等の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板71、72又は81、82の幅方向の端面同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部75又は85を形成し、上下の突合わせ部75又は85を摩擦攪拌接合する際に、前記突合わせ部75又は85の各々の中空材70a、70b又はハニカムパネル80a、80bの上下の面板71、72又は81、82の間に長さ方向に延びる垂直リブ材又は垂直縁材(枠材)等の連結・補強部材がない場合には、従来、例えば以下のような手段が採用されている。即ち、特開平10−52772号公報やEP0797043A2号公報に開示され、前記図35(a)又は(b)に示されるように、攪拌ピンSPを備えた回転ツールRTを用いて、中空材70a、70b又はハニカムパネル80a、80bの上下の面板71、72又は81、82の各々の突合わせ部75又は85のそれぞれを貫通して、該それぞれの突合わせ部75又は85と前記垂直縁材74、74又は縁材(枠材)84、84の上下両端部の各々を一体として摩擦攪拌接合する方法である。
なお、図35(c)に示すように、中空材70a、70bの上下の面板71、72とリブ材73とで形成される中空部76内の前記突合わせ部75を中心とした位置に、中空部76の形状・寸法に対応した裏当部材77を配置し、上下から板部材面板71、72の各々の突合わせ部75を回転ツールRTを用いて摩擦攪拌接合した後に、前記裏当金部材77を撤去する方法もある。
【0003】
また、
(B)長さ方向(紙面に平行な方向)の断面図である図36(a)、(a)のオ−オ線矢視(幅方向)断面図である(b)に示されるように、上記のような構造をもつ中空材90a、90bからなる一対の被接合部材の、長さ方向の端部同士を突合わせて幅方向に延びる突合わせ部95を形成し、該突合わせ部95を摩擦攪拌接合により接合する際に、下記のような手段を採用することが、特開平10−76375号公報に開示されている。
即ち、突合わせ部95における上下の面板91、92とリブ93で囲まれた中空部96内に、両中空材90a、90bに跨がる状態で中子94を嵌挿し、前記上下の突合わせ部95の各々に沿って矢印tr の方向に摩擦攪拌接合を施し、両中空材90a、90bの上下の面板91と92の各々同士、面板91と92のそれぞれと中子94、及び、リブ93と中子94とをそれぞれ接合する方法である。
【0004】
さらに、
(C)長さ方向断面図である図37の(a)に示されるように、前記のような構造をもつハニカムパネル100a、100bからなる一対の被接合部材の、長さ方向の端部間を摩擦攪拌接合により接合するに際に、両ハニカムパネル100a、100bの長さ方向端部まで、コア材103が形成されている場合には、下記のような手段の採用が提案されている。
即ち、両ハニカムパネル100a、100bの長さ方向の端部間に、上下のそれぞれの端部が両ハニカムパネル100a、100bの上部面板101の上面101usと下部面板102の下面102bsの各々より、やや上下に各々突出する接合部材104を挟み、該接合部材104の幅W104 より大きな外径DRTの回転ツ−ルRTを用いて、接合部材104の上下両端部から摩擦攪拌接合を施し、前記図35(a)の摩擦攪拌接合後の断面図である(b)に示されるように、上部面板101、101と接合部材104の上端部に跨がる上部接合部WBu と、下部面板102、102と接合部材104の下端部に跨がる下部接合部WBbとを形成し、接合部材104を介して両ハニカムパネル100a、100bの長さ方向端部間を間接的に接合する方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記、従来技術(A)〜(C)には、以下に述べるような問題点がある。
(1)上記(A)の技術においては、垂直縁材74、74又は縁材(枠材)84、84等の連結・補強部材、あるいは裏当金部材77を、上記(B)の技術においては、中子94を、上記(C)の技術においては、接合部材104を、それぞれの中空材やハニカムパネルの形状・寸法に対応したものを、予め製作し、それぞれの突合わせ部75、85、95やハニカムパネル100a、100bの長さ方向の端部間に配設し、場合によっては仮固定しておく必要がある。従って、垂直縁材74、74、縁材(枠材)84、84あるいは裏当金部材77、中子94や接合部材104の製作と配設・仮固定のための工程とコストが増えることになる。
【0006】
(2)上記従来技術(A)〜(C)の何れの場合においても、上下二方向からの摩擦攪拌接合が必要であり、摩擦攪拌接合後の上下両面に、回転ツールRTの底面の回転移動軌跡あるいはアンダーカットが跡として残り、製品の化粧面としての外観性に劣るため、用途によっては、化粧面となる方の面を研磨して、前記回転ツールRTの底面の回転移動軌跡あるいはアンダーカットを除去する必要があり、研磨工程が必要となって、研磨コストだけ製品の製造コストが増加する。
【0007】
(3)上記従来技術(A)〜(C)の何れの場合においても、上下二方向からの摩擦攪拌接合が必要であり、これを一基の摩擦攪拌接合装置で行う場合、被接合部材の反転作業を含めて、摩擦攪拌接合作業時間の延長と摩擦攪拌接合装置の設備生産性の低下をもたらす。
【0008】
上記(3)項の問題点を解決する方法として、前記特開平10−52772号公報には、以下のような方法が開示されている。
即ち、正断面図である図38に示すように、押出加工法により製作した上下の面板81、82、コア材83とからなるハニカムパネル80a、80bは、上下の面板81、82の各々の突合わせ部85を中心として、縁材84、84が予め配設され、固定台SBに配置され、左右及び上下方向から固定治具STによって固定される。前記縁材84、84の部分に、上下方向から回転ツールRTに取り付けられた攪拌ピンSPを挿入する。回転ツールRTはロボットRBに取り付けられた駆動モータDMによる駆動力で回転しながら接合方向(図の紙面に垂直な方向)に移動し、ハニカムパネル80a、80bを摩擦攪拌接合する。
【0009】
上記のように上下に設けられた摩擦攪拌接合装置により、上下より同時に摩擦攪拌接合することによって、摩擦攪拌接合作業能率及び設備の生産性は大幅に向上するが、設備コストが略倍増し、経済性に問題がある。
【0010】
(1)本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板を備え、前記上下の面板同士を長手方向に延びるリブ材又はコア材等の連結・補強部材を介して一体に形成した中空材又はハニカムパネル等のそれぞれからなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部を形成し、該突合わせ部を摩擦攪拌接合するに際し、
従来のように垂直縁材や枠材を配設することが不要で、
また、設備コストの略倍増を招くことなく、
さらに、下部の面板の裏面には回転ツールの底面の回転移動軌跡あるいはアンダーカットが跡として残らないため、下部面板の裏面を何ら研磨や処理をすることなく製品の化粧面として使用可能であり、上下の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合することが可能な摩擦攪拌接合用回転ツールの提供を第1の課題とする。
【0011】
(2)本発明は、また、上記従来技術の問題点を解消し、上記のような構造を有する中空材の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の長さ方向端部同士を突き合わせて幅方向に延びる突合わせ部を形成するか、又は前記上下の各々の面板の幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部を形成し、該突合わせ部を摩擦攪拌接合するに際し、
該突合わせ部における上下の面板とリブで囲まれた中空部内に、両中空材に跨がる状態で中子を嵌挿することなく、
又は、前記上下の各々の面板の長さ方向端部同士又は幅方向端部同士の間に接合部材を介在させることなく、
前記上下の面板の各々の長さ方向端部同士又は幅方向端部同士を突き合わせて突合わせ部を形成した場合に、該突合わせ部にリブ材同士又はコア材同士の突合わせ部が形成されて、通常の摩擦攪拌接合用回転ツールでは、前記リブ材やコア材によって物理的に邪魔されて回転ツールの突合わせ部に沿った移動が不可能なため摩擦攪拌接合が不可能な場合でも、前記邪魔になるリブ材やコア材の部分を除去する機能を備え、前記摩擦攪拌接合用回転ツールの突合わせ部に沿った移動を可能とし、
さらに上記の中空材又はハニカムパネルの下部の面板の裏面には、回転ツールの底面の回転移動軌跡あるいはアンダーカットが跡として残らないため、下部面板の裏面を何らの研磨や処理をすることなく、製品の化粧面として使用可能であるように、
上下の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合することが可能な摩擦攪拌接合用回転ツールの提供を第2の課題とする。
【0012】
(3)本発明は、又、上記のような上下同時の摩擦攪拌接合において、上部面板の接合部にトンネル状空洞欠陥等の接合部欠陥を発生させることなく、又、摩擦攪拌接合用回転ツールの寿命を大幅に延ばすことができる摩擦攪拌接合用回転ツールの提供を第3の課題とする。
【0013】
(4)本発明は、さらに、前記従来技術の問題点を解消し、上記第1〜第3の課題の少なくとも一つを達成することが可能な摩擦攪拌接合用回転ツールにおいて、中空材又はハニカムパネル等の上下の面板の各々の肉厚や、上下の面板の間隔が一定範囲内で変化しても、それらの変化に対応して寸法の変更・調整・固定が容易に行え、一種類の回転ツールで、多種類の形状・寸法の中空材又はハニカムパネル等の上下同時の摩擦攪拌接合が可能であって、多種類の形状・寸法の摩擦攪拌接合用回転ツールを準備しておき、その都度取り替える必要のない摩擦攪拌接合用回転ツールの提供を第4の課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記第1の課題を解決するための手段として、
上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板を備え、前記上下の面板同士を長さ方向に延びる連結・補強部材を介して一体に形成したハニカムパネルと称するものを含む中空材の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部を形成し、上下の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツールを、
凹面の底面を備えた上部回転体と、
該上部回転体の底面に同心に設けられた上部攪拌ピン部と、
該上部攪拌ピン部の下端に同心に設けられ、凹面、平面又は凸面の上面と、凹面の底面とを備えた下部回転体と、
該下部回転体の底面に同心に設けられた下部攪拌ピン部と、
を備えてなるように構成したものである。
【0015】
本発明は、上記第2の課題を解決するための手段として、
上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板を備え、前記上下の面板同士を長さ方向に延びる連結・補強部材を介して一体に形成したハニカムパネルと称するものを含む中空材の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の長さ方向端部同士を突き合わせて幅方向に延びる突合わせ部を形成するか、又は前記上下の各々の面板の幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部を形成し、上下の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツールであって、
凹面の底面を備えた上部回転体と、
該上部回転体の底面に同心に設けられた上部攪拌ピン部と、
該上部攪拌ピン部の下端に同心に設けられ、凹面、平面又は凸面の上面と、凹面の底面とを備えた下部回転体と、
該下部回転体の底面に同心に設けられた下部攪拌ピン部と、
前記下部回転体の高さ方向の当該中空材の中空部全域にわたり、前記突合わせ部を中心として、少なくとも前記下部回転体の外周面の直径以上の幅範囲内の、前記中空材のリブ又はハニカムパネルのコア材を削除又は破砕するよう、前記下部回転体の外周方向に複数設けられた刃物と、
を備えてなるように構成した。
【0016】
本発明は、上記第3の課題を解決するために、上記の手段を採用した摩擦攪拌接合用回転ツールを、第1の手段として、
前記上部攪拌ピン部の外径が、前記下部攪拌ピン部の外径以上に、
前記下部回転体の凹面、平面又は凸面の上面の外径が、前記上部回転体の凹面又は平面の底面の外径と略等しく、
前記下部回転体の凹面の底面の外径が、前記上部回転体の凹面又は平面の底面の外径と同等又はそれ以下に、
各々形成されてなるように構成した。
【0017】
本発明は又、上記の手段を採用した摩擦攪拌接合用回転ツールを、第2の手段として、
前記上部攪拌ピンの外径Dusp(mm) が下記式1を満足するように構成した。
Figure 0003669412
ここで、
tup:上部面板の突合わせ部の板厚(mm)
Hhp:中空材又はハニカムパネルの高さ(mm)
【0018】
本発明は又、前記第4の課題を解決するための手段として、上記のいずれかの手段を採用した摩擦攪拌接合用回転ツールを、
前記下部回転体の肩を基準高さ位置とした場合に、前記上部回転体の肩の相対的高さ位置と前記下部回転体の上面の相対的高さ位置及び前記下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置の少なくとも一つが変更・固定可能に形成された変更・固定構造を備えるように構成した。
【0019】
本発明は又、前記第2の課題と第4の課題とを同時に解決するための手段として、
前記下部回転体の底面の下端(以後、下部回転体の肩と称する)を基準高さ位置とした場合に、少なくとも該下部回転体の上面の相対的高さ位置の変更・固定構造を備え、前記下部回転体の肩から該下部回転体の上面までの高さの変化に対応可能なように、
前記下部回転体の上部の外周面に所定の角度間隔で設けられ、前記下部回転体の上面の位置から下方へ伸びる上部刃物と、
前記下部回転体の下部の外周面に、前記上部刃物の取付け位置と位相差を有するように所定の角度間隔で設けられ、前記下部回転体の肩の位置より所定の高さだけ上方の位置からさらに上方へ伸びる下部刃物とを、
前記上部刃物の下部と前記下部刃物の上部とが常に上下方向に一部重複するように設けることにより、
全体として前記下部回転体の高さ方向の当該中空材の中空部全域にわたり、前記突合わせ部を中心とした、少なくとも前記下部回転体の外周面の直径以上の幅範囲内の、前記中空材のリブ又はハニカムパネルのコア材を削除又は破砕可能なように形成して構成した。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の実施の形態を、添付の図面と実施例を参照して以下に説明する。
【0021】
請求項1に係る本発明の実施の形態は、正面図である図1、斜視図である図2に示すように、
平坦な裏当て定盤64の上面に載置され、上下に所定の間隔Hubをおいて平行な一対の面板61u、61bを備え、前記上下の面板同士を長さ方向(図1の紙面に垂直な方向、図2の矢印lの方向)に延びるリブ材62、62等の連結・補強部材を介して一体に形成した中空材60A、60Bの各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板61u、61bの幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向(図2の矢印lの方向)に延びる突合わせ部63u、63bを形成し、上下の突合わせ部63u、63bを同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツール1Aを、
凹面の底面2bsを備えた上部回転体2と、
該上部回転体2の底面2bsに同心に設けられた上部攪拌ピン部3と、
該上部攪拌ピン3の下端に同心に設けられ、凹面、平面又は凸面の上面4usと、凹面の底面4bsとを備えた下部回転体4と、
該下部回転体4の底面4bsに同心に設けられた下部攪拌ピン部5と、
を備えてなるように基本的に構成したものである。
【0022】
なお、上部回転体2の底面2bsの下端(以後、上部回転体の肩2sと称する)と下部回転体4の上面4usの上端との間隔は、前記上部面板61uの厚みtup(mm)より略前記上部回転体の肩2sの上部面板61uへの押し込み深さの分だけ若干小さく形成されている。
また、下部回転体4の高さH4 (mm)、換言すれば下部回転体4の上面4usの上端から下面4bsの下端(以後、下部回転体の肩4sと称する)までの高さは、前記上部面板61uの下面と下部面板61bの上面との間隔Hub(mm)より前記下部回転体の肩4sの下部面板61bへの押し込み深さだけ僅かに大きく形成されている。
【0023】
上記のように構成された本発明の実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1Aを図2の矢印rの方向へ回転せしめながら、上部突合わせ部63uと下部突合わせ部63bに沿って図2の矢印lの方向に移動することにより、上部突合わせ部63uと下部突合わせ部63bとを同時に能率よく摩擦攪拌接合することができる。
又、摩擦攪拌接合時に回転ツール1Aを上方から上部面板61uを押圧する力Fは、下部回転体4、下部面板61bを介して裏当て定盤64で担うので、前記突合わせ部に垂直縁材や枠材を配設することが不要である。又、上下に摩擦攪拌接合装置を配設することによる設備コストの略倍増を招くことなく、さらに下部の面板61bの裏面61bsには、回転ツールの底面の回転移動軌跡あるいはアンダーカットが跡として残らないため、何ら研磨や処理をすることなく、製品の化粧面として使用可能であるという利点がある。
なお、上記の実施の形態は、上下の面板をコア材からなる連結・補強部材を介して一体に形成したハニカムパネルにも同様に適用可能で、上記と同様の作用・効果を奏する。
【0024】
請求項2に係る本発明の摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態は、正面図である図3(a)、該図3(a)のα−α線平断面図である図3(b)、正断面斜視図である図4、図4の摩擦攪拌接合用回転ツール1Bの前進方向(矢印wの方向)の前方未接合部位置βーβ線位置における一対の中空部材の突合わせ状態を示すβーβ線矢視断面図である図5、図4の摩擦攪拌接合用回転ツール1Bの前進方向(矢印wの方向)の後方の既接合部位置γ−γ線位置における一対の中空部材の突合わせ接合状態を示すγ−γ線矢視断面図である図6に示すように、
上下に所定の間隔Hubをおいて平行な一対の面板66u、66bを備え、前記上下の面板65u、65b同士を長さ方向に延びるリブ材67、67からなる連結・補強部材を介して一体に形成した中空材65Aと65Bの各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板66u、66bの長さ方向端部同士を突き合わせて幅方向(矢印wの方向)に延びる突合わせ部68u、68bを形成し、上下の突合わせ部68u、68bを同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツール1Bを、
凹面の底面2bsを備えた上部回転体2と、
該上部回転体2の底面2bsに同心に設けられた上部攪拌ピン部3と、
該上部攪拌ピン部3の下端に同心に設けられ、凹面、平面又は凸面の上面4usと、凹面の底面4bsとを備えた下部回転体4と、
該下部回転体4の底面4bsに同心に設けられた下部攪拌ピン部5と、
前記下部回転体4の高さ方向の略全域にわたり、前記突合わせ部68u、68bを中心として、少なくとも前記下部回転体4の外周面の直径D4(mm) 以上の幅範囲内の、前記中空材65Aと65Bのリブ67を削除又は破砕する、前記下部回転体4の外周方向に複数設けられた刃物6と、
を備えてなるように基本的に構成されている。
【0025】
上記の刃物6は前記下部回転体4の外周面の高さ方向に伸びる刃物保持溝4gから略等角度ピッチで複数(例えば、図3では8枚)放射状に外方へ突出した刃物基部6bsと、これら刃物基部6bsの先端部から前記下部回転体4の矢印rで示す回転方向の接線と略平行な方向もしくは接線より前記下部回転体の外周面に接近する方向に鍵形に屈曲した刃先部6egよりなる。
【0026】
なお、上部回転体の肩2sと下部回転体4の上面4usの上端との間隔は、前記上部面板66uの厚みtup(mm)より略前記上部回転体の肩2sの上部面板66uへの押し込み深さの分だけ若干小さく形成されている。
また、下部回転体4の高さH4(mm) 、換言すれば下部回転体4の上面4usの上端から下部回転体の肩4sまでの高さH4(mm) は、前記上部面板61uの下面と下部面板61bの上面との間隔Hub(mm)より略前記下部回転体の肩4sの下部面板66bへの押し込み深さだけ僅かに大きく形成されている。
【0027】
上記のように構成された本発明の実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1Bを図の矢印rの方向へ回転せしめながら、上部突合わせ部68uと下部突合わせ部68bに沿って中空材65Aと65Bの幅方向(図4の矢印wの方向)へに移動することにより、前記下部回転体4に装着された複数の刃物6によって、前記下部回転体4の矢印wの方向への移動の妨げとなるリブ67の前記突合わせ部68rの周囲を切削・破砕しながら前記摩擦攪拌接合用回転ツール1Bを幅方向(矢印wの方向)へ移動せしめることが可能となる。
その結果、図6に示すように、図5に示した一対の中空材65A、65Bの各々のリブ67、67がそれらの突合わせ部68rから刃物6の刃先部6egの回転半径ずつ前記の刃物6により切除されて、摩擦攪拌接合用回転ツール1Bの下部回転体4が支障なく前進し、上下の接合部WBu、WBbが同時に形成される。
【0028】
上記の作用の結果、中空材65Aと65Bの長手方向端部を突き合わせた上部突合わせ部68uと下部突合わせ部68bとを同時に能率よく摩擦攪拌接合することができる。
又、前記突合わせ部における上下の面板66u、66bとリブ67で囲まれた中空部内に、両中空材に跨がる状態で中子を嵌挿することなく、また、上記のような構造を有する中空材やハニカムパネルの各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の長さ方向端部同士の間に接合部材を介在させる必要もない。
さらに、下部の面板66bの裏面には、回転ツールの底面の回転移動軌跡あるいはアンダーカットが跡として残らないため、何らの研磨や処理をすることなく、製品の化粧面として使用可能であるという利点がある。
【0029】
なお、請求項2に係る本発明の実施の形態における摩擦攪拌接合用回転ツール1Bの下部回転体4に装着される刃物6は、前記のような実施の形態に限られず、例えば、刃物基部の先端部を下部回転体4の外周面の接線に略平行に鍵形に屈曲せしめて刃先を形成した複数の帯状刃物を、下部回転体の外周面の上端から下端までらせん状に装着してもよい。
【0030】
請求項1、請求項3に係る本発明の実施の形態は、前記図1に示されるように、上部攪拌ピン部3の外径D3(mm) が、前記下部攪拌ピン部5の外径D5(mm) 以上に、前記下部回転体4の凹面、平面又は凸面の上面4usの外径D4us(mm) が、前記上部回転体2の凹面または平面の底面の外径D2bs と略等しく、前記下部回転体4の凹面又は平面の底面4bsの外径D4bs(mm) が、前記上部回転体2の凹面又は平面の底面2bsの外径D2bs(mm) と同等又はそれ以下に、各々形成されてなるように基本的に構成される。
【0031】
つぎに、請求項4、請求項5に係る本発明の実施の形態を以下に具体的な実施例を参照して説明する。
「実施例1」
「JIS H 4100」に規定されるアルミニウム合金押出形材6061−T6材で、コの字形状の押出形材の上下の面板同士を突き合わせて、摩擦攪拌接合を行った。図7に示す一対のコの字形押出形材の高さHhp(mm)を50mm、100mm、150mmの3水準に、上下面板の板厚tp(mm) を1.5mm、3.0mm、6.0mmの3水準に設定した。また上下面板の板厚tp (mm)の各々に応じて、図1に示す摩擦攪拌接合用回転ツール1Aの下部攪拌ピン部5の外径D5 (mm)、下部回転体4の凹面の底面4bsの直径D4bs (mm)、上部攪拌ピン部3の外径D3(mm) 、上部回転体2の底面2bsの直径D2bs(mm) のそれぞれを下記表1に示すように選んで、摩擦攪拌接合実験を行い、接合部上端の溝状欠陥や接合部上部のトンネル状空洞欠陥等の接合部欠陥の有無と、回転ツール1Aの寿命(所定の長さを摩擦攪拌接合した際の変形・破損の有無)を調査し、各々の判定定結果を下記表2、表3に示す記号で表示し、前記のコの字形押出形材の高さHhp(mm)のそれぞれについて、下記表4〜表6の各々に示した。
【0032】
【表1】
Figure 0003669412
【0033】
【表2】
Figure 0003669412
【0034】
【表3】
Figure 0003669412
【0035】
【表4】
Figure 0003669412
【0036】
【表5】
Figure 0003669412
【0037】
【表6】
Figure 0003669412
【0038】
上記表4〜表6から下記のことがいえる。
(1)摩擦攪拌接合用回転ツール1Aの上部攪拌ピン部の直径D3(mm) が、前記式1を満たす場合は、前記のような接合部欠陥を生じることなく上部面板を問題なく接合できるとともに、上部攪拌ピン部の寿命も長い。
(2)摩擦攪拌接合用回転ツール1Aの上部攪拌ピン部の直径D3(mm) が、下記式1の下限より小さい場合は、接合部欠陥は生じないが、上部攪拌ピン部の寿命が短く実用的ではない。
Figure 0003669412
ここで、
tup:上部面板の突合わせ部の板厚(mm)
Hhp:中空材又はハニカムパネルの高さ(mm)
(3)摩擦攪拌接合用回転ツール1Aの上部攪拌ピン部の直径D3(mm) が、上記式1の上限より大きい場合は、上部攪拌ピン部の寿命が非常に長いが、塑性流動化(可塑化)固相で直径の大きな攪拌ピンの移動後の空間を満足に埋める能力が不足して、接合部上部の溝状欠陥やトンネル状空洞欠陥等の接合部欠陥が発生する。
【0039】
請求項6、請求項7に係る本発明の実施の形態は、図1に付した記号を用いて説明すると、前記下部回転体4の底面4bsの下端即ち下部回転体の肩4sを基準高さ位置SVPとした場合に、前記上部回転体2の底面2bsの下端即ち上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sと前記下部回転体4の上面4usの相対的高さ位置P4us 及び前記下部攪拌ピン部5の下端の相対的高さ位置P5bのうちの少なくとも一つを変更・固定自在に形成される変更・固定構造を備えて、基本的に構成される。
【0040】
以下に、添付の図面を参照しつつ、請求項6、請求項7に係る本発明の実施の形態を、A.上部回転体の肩2sの相対的な高さ位置P2sの変更・固定構造B.下部回転体4の上面4usの相対的な高さ位置P4us の変更・固定構造C.下部攪拌ピン部の下端5bの相対的な高さ位置P5bの変更・固定構造D.上部回転体の肩2sの相対的な高さ位置P2sの変更・固定構造、兼、下部回転体4の上面4usの相対的な高さ位置P4us の変更・固定構造E.上部回転体2の肩2sの相対的な高さ位置P2sおよび下部回転体4の上面4usの相対的な高さ位置P4us の変更・固定構造、兼、下部攪拌ピン部の下端5bの相対的な高さ位置P5bの変更・固定構造をそれぞれ備える摩擦攪拌接合用回転ツールに分けて、具体的な実施の形態の構成とその作用について説明する。
【0041】
A.上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造を備える摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態
図1で付した符号を用いて説明すると、中空形材やハニカムパネルの上面板の板厚tup(mm)の変化に対応して、上部回転体の肩2sと下部回転体の上面4usとの間の間隔を変化させることが可能な摩擦攪拌接合用回転ツール1の摩擦攪拌接合用回転ツール1 の実施の形態について以下に説明する。
【0042】
A−1.第1の実施の形態
本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、立断面図である図8(a)、(a)のA−A線矢視平断面図である(b)、(a)のB−B線矢視平断面図である(c)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の外径D3 よりも僅かに大きな内径で、前記上部回転体2の底面2bsから上方へ所定の高さに穿設され、少なくとも上部に回転ツールの回転方向とは逆方向が締め込み方向である雌ネジ部2hscを設けた上部攪拌ピン螺挿用孔2hを備える上部回転体2と、
前記下部回転体4の上面4usから同心に所定の高さだけ上方へ突出し、上部に前記上部攪拌ピン螺挿用孔2hの前記雌ネジ部2hscに螺合する雄ネジ部3scを備えた上部攪拌ピン部3と、
螺合した前記上部攪拌ピン螺挿用孔2hの雌ネジ部2hscと前記上部攪拌ピン部3の雄ネジ部3scとの間の緩み防止手段として、前記上部攪拌ピン螺挿用孔2hの螺挿された前記上部攪拌ピン部3の上端面より上方に配設されたコイルスプリング2spを備えて、基本的に構成されている。
【0043】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記上部回転体2に対して前記下部回転体4を相対的に正・逆回転させることにより、前記下部回転体の肩4sの高さ位置を基準高さ位置SVPとした場合の、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sを上下方向に変更することができる。
又、前記コイルスプリング2spが前記上部攪拌ピン部3を常に下方へ付勢しているため、又、上部攪拌ピン螺挿用孔2hの上部雌ネジ部2hsと前記上部攪拌ピン部の上部の雄ネジ部3sのネジが、回転ツール1の回転方向とは逆方向が締め込み方向であるように刻設しておけば、摩擦攪拌接合中の螺合した前記上部攪拌ピン螺挿用孔2hの雌ネジ部2hscと前記上部攪拌ピン部3の雄ネジ部3scとの間の緩みが効果的に防止される。
さらに、上記のネジのピッチをネジの強度や刻設の精度の観点からみて可能な限り小さくし、又ネジの傾斜角を可能な限り小さくすることにより、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sの上下方向への変更を極めて精度よく行うことができる。
上記の作用の総合的な結果として、本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、中空形材やハニカムパネルの上面板の板厚tup(mm)の変化に対応して、上部回転体の肩2sと下部回転体の上面4usとの間の間隔を非常に精度よく変化させることが可能であり、又、安定した摩擦攪拌接合を行うことが可能である。
【0044】
A−2.第2の実施の形態
本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、立断面図である図9(a)、(a)のC−C線矢視平断面図である(b)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の外径D3 よりも僅かに大きな内径で、前記上部回転体の底面2bsから同心に上方へ所定の高さに穿設された上部攪拌ピン挿入用孔2hを備える上部回転体2と、
前記下部回転体4の上面4usから同心に所定の高さだけ上方へ突出し、前記上部回転体2の前記上部攪拌ピン挿入用孔2hにその上部が挿入された上部攪拌ピン部3と、
前記上部回転体2の前記上部攪拌ピン挿入用孔2hの側方の外周面から上部攪拌ピン挿入用孔2hの内面までに貫通するネジ孔2bhと、
該ネジ孔2bhに螺挿され先端が前記上部攪拌ピン部3の上部の外周面に当接して、該上部攪拌ピン部3と前記上部回転体2との間の相対的回転及び相対的上下摺動を防止するボルト2sbと、該ボルト2sbの緩み防止用手段としてのナット又はスプリングワッシャー2snと、を備えて基本的に構成されている。
【0045】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、前記ボルト2sbを緩めてから、前記上部回転体2に対して前記下部回転体4を相対的に上下方向にシフトさせることにより、前記上部攪拌ピン挿入用孔2hとこの孔に上部を挿入された上部攪拌ピン部3の上部とを、相対的に上下方向に摺動させ、前記下部回転体の肩4sの高さ位置を基準高さ位置SVPとした場合の、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sを上下方向に変更することができる。
又、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sの変更後に、前記ボルト2sbを締め込み、該ボルト2sbの先端を、前記上部攪拌ピン挿入用孔2hに挿入された上部攪拌ピン部3の上部の外周面に当接させ、上部攪拌ピン部3の上部の外周面を前記上部攪拌ピン挿入用孔2hの内周に押し付けることにより、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置を固定できるとともに、上部攪拌ピン部3と前記上部回転体2の相対的回転を防止できる。
【0046】
A−3.第3の実施の形態
本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、立断面図である図10(a)、(a)のD−D線矢視平断面図である(b)、(a)のE−E線矢視平断面図である(c)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の外径D3(mm) より僅かに大きな内径で、前記上部回転体の底面2bsから同心に上方へ所定の高さに穿設された下部孔2hbと、該下部孔2hbの上端から同心に上方に穿設された前記下部孔2hbの直径以下の円に内接する断面多角形の上部孔2huとからなる上部攪拌ピン部挿入用孔2hを、備える上部回転体2と、
前記下部回転体4の上面4usから同心に所定の高さだけ上方へ突出し、前記上部回転体2の前記上部攪拌ピン挿入用孔2hに挿入され上部に前記断面多角形の上部孔2huに挿入される多角柱部3sqを備えた上部攪拌ピン部3と、
前記上部回転体2の前記上部攪拌ピン挿入用孔2hの側方の外周面から上部攪拌ピン挿入用孔2hの内面までに貫通するネジ孔2bhと、
該ネジ孔2bhに螺挿され先端が前記上部攪拌ピン部3の外周面に当接して、該上部攪拌ピン部3と前記上部回転体2との間の相対的上下摺動を防止するボルト2sbと、を備えて基本的に構成されている。
【0047】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記ボルト2sbを緩めてから、前記上部回転体2に対して前記下部回転体4を相対的に上下方向にシフトさせることにより、前記上部攪拌ピン挿入用孔2hとこの孔に上部を挿入された上部攪拌ピン部3の上部とを、相対的に上下方向に摺動させ、前記下部回転体の肩4sの高さ位置を基準高さ位置SVPとした場合の、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sを上下方向に変更することができる。
また、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sの変更後に、前記ボルト2sbを締め込み、該ボルト2sbの先端を前記上部攪拌ピン挿入用孔2hに挿入された上部攪拌ピン部3の上部の外周面に当接させ、上部攪拌ピン部3の上部の外周面を前記上部攪拌ピン挿入用孔2hの内周に押し付けることにより、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sを固定できるとともに、上部攪拌ピン部3と前記上部回転体2の相対的回転を防止できる。
さらに、前記上部攪拌ピン挿入用孔2hの上部の前記断面多角形の上部孔2huに上部攪拌ピン部3の上部の多角柱部3sqが嵌合しているため、上部攪拌ピン部3と前記上部回転体2の相対的回転を完全に防止できる。
【0048】
A−4.第4の実施の形態
本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、立断面図である図11(a)、(a)のF−F線矢視平断面図である(b)、及び(a)のG−G線矢視平断面図である(c)に示されるように、
前記上部回転体2の外径よりも小さな外径で、少なくとも下部に回転ツールの回転方向とは逆方向が締め込み方向である雄ネジ部6sを備え、前記上部攪拌ピン部3が下端面に同心に連結された中心円柱体6と、
該中心円柱体6の雄ネジ部6sに螺合するネジ孔7sを有する円筒部7と、
該円筒部7の下端に一体をなすように形成され、前記上部攪拌ピン部3が相対的上下摺動自在に貫通する中心貫通孔8hを備え、その下面が前記上部回転体の底面2bsとされる環状体部8と、
螺合した前記中心円柱体6の雄ネジ部6scと前記円筒部7のネジ孔7shとの間の緩み防止手段としてのナット6snと、からなる上部回転体2を備えて、基本的に構成される。
【0049】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記ナット6snを緩めて前記中心円柱体6の雄ネジ部6scの上部へ退避させた後に、前記円筒部7を中心円柱体6に対して相対的に正・逆回転させて、上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sを上下方向に変更することができる。その後、前記ナット6snを下方へ移動するように締め込んで、該ナット6snにより、前記円筒部7の上端面を下方に押圧し、螺合した前記中心円柱体6の雄ネジ部6scと前記円筒部7のネジ孔7shとの間の緩みを防止することができる。
又、前記中心円柱体6の下部の雄ネジ部6scのネジと、これに螺合する前記円筒部7のネジ孔7shのネジが、回転ツール1の回転方向とは逆方向が締め込み方向であるように刻設しておけば、螺合した前記中心円柱体6の雄ネジ部6sと前記円筒部7のネジ孔7sとの間の緩みをさらに効果的に防止することができる。
さらに、上記のネジのピッチをネジの強度や刻設の精度の観点からみて可能な限り小さくし、ネジの傾斜角を可能な限り小さくすることにより、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sの上下方向への変更を極めて精度よく行うことができる。
上記の作用の総合的な結果として、本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、中空形材やハニカムパネルの上面板の板厚tp(mm) の変化に対応して、上部回転体の肩2sと下部回転体の上面4usとの間の間隔を非常に精度よく変化させることが可能であるとともに、安定した摩擦攪拌接合を行うことが可能である。
【0050】
A−5.第5の実施の形態
本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、立断面図である図12(a)、(a)のH−H線矢視平断面図である(b)、及び(a)のI−I線矢視平断面図である(c)に示されるように、
前記上部回転体2の外径よりも小さな直径の円に内接する多角形断面を備え、前記上部攪拌ピン部が下端面に同心に連結された中心多角柱体9と、
該中心多角柱体9の挿入される中心多角形孔10hを有する外筒部10と、
該外筒部10の下端に一体をなすように形成され、前記上部攪拌ピン部3が相対的上下摺動自在に貫通する中心貫通孔8hを備え、その下面が前記上部回転体の底面とされる環状体部8と、
前記外筒部10の外周面から前記中心多角形孔10hの内面まで貫通するネジ孔10bhと、
該ネジ孔10bhに螺挿され先端が前記中心多角柱体9の外周面に当接して該中心多角柱体9と前記外筒部10との間の相対的上下摺動を防止するボルト10sbと、を備えて基本的に構成される。
【0051】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記ボルト10sbを緩めて、前記中心多角柱体9と前記外筒部10及び環状体8を上下方向へ相対的に摺動させることにより、上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sを上下方向に変更することができる。
その後、前記ボルト10sbを締め込んで、該ボルト10sbの先端を前記中心多角柱体9の外周面に当接させ、該外周面を前記外筒部10の中心多角形孔10hの内周面の一部に押し付けることにより、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置を固定できる。
さらに、前記外筒部10の中心多角形孔10hに前記中心多角柱体9が嵌合しているため、前記外筒部10及び環状体8と前記多角柱体9との間の相対的回転を強固に防止できる。
【0052】
A−6.第6の実施の形態
本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、立断面図である図13(a)、(a)のJ−J線矢視平断面図である(b)、及び(a)のK−K線矢視平断面図である(c)に示されるように、
前記上部回転体2の外径よりも小さな直径を有し、その外周面に1乃至複数のスプライン11spを備えるとともに、前記上部攪拌ピン部3が下端面に同心に連結された中心円柱体11と、該中心円柱体11の挿入される中心円形孔12hを有し、該中心円形孔12hの内周面に前記スプライン11spの各々と係合する1乃至複数のスプライン溝12hgを備えた円筒部12と、
該円筒部12の下端に一体をなすように形成され、前記上部攪拌ピン部3が相対的上下摺動自在に貫通する中心貫通孔8hを備え、その下面が前記上部回転体の底面2bsとされる環状体部8と、
前記円筒部12の外周面から前記中心円形孔12hの内面まで貫通するネジ孔12bhと、
該ネジ孔12bhに螺挿され先端が前記中心円柱体11の外周面に当接して該中心円柱体11と前記円筒部12との間の上下摺動を防止するボルト12sbと、を備えて基本的に構成される。
【0053】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記ボルト12sbを緩めて、前記中心円柱体11と前記円筒部12び環状体8を上下方向へ相対的に摺動させることにより、上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sを上下方向に変更することができる。
その後、前記ボルト12sbを締め込んで、該ボルト12sbの先端を前記中心多角柱体9の外周面に当接させ、該外周面を前記外筒部10の中心円形孔12hの内周面の一部に押し付けることにより、前記上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sを固定できる。
さらに、前記円筒部12の中心円形孔12h の内周面の1乃至複数のスプライン溝12hgに前記中心円柱体11の外周面の1乃至複数のスプライン11spの各々が係合しているため、前記円筒部12及び環状体部8と前記中心円柱体11との間の相対的回転を完全に防止できる。
【0054】
A−7.第7、第8の実施の形態
本二つの実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、
立断面図である図14(a)、(a)のL−L線矢視平断面図である(b)、(a)のM−M線矢視平断面図である(c)、及び(a)のN−N線矢視平断面図である(d)と、
立断面図である図15(a)、(a)のO−O線矢視平断面図である(b)、(a)のP−P線矢視平断面図である(c)、及び(a)のQ−Q線矢視平断面図である(d)と、
にそれぞれ示されるように、
前記上部回転体2の外径よりも小さな外径を有する断面円形状か又は小さな外径の円に内接する多角形断面形状を備え、前記上部攪拌ピン部3が下端面に同心に連結された中心回転軸体13と、
該中心回転軸体13の下部外周面に沿って上下方向摺動自在に、かつ、該中心回転軸体13との間の相対回転不可能に外嵌された外筒部14と、
該外筒部14の下端に一体をなすように形成され、前記上部攪拌ピン部3が相対的上下摺動自在に貫通する中心貫通孔8hを備え、その下面が前記上部回転体の底面2bsを形成する環状体部8と、
前記中心軸体13に外嵌された前記外筒部14の上端面より上方の中心回転軸体13の外周面に外嵌固定、又は、上下位置調節自在に外嵌固定され、前記外筒部14の外径と略等しい外径を有するストッパ15と、
前記外筒部14の上端面と前記ストッパ15の下端面との間の前記中心回転軸体13の周囲に配設され、前記外筒部13を常時下方に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング16と、を備えて基本的に構成される。
【0055】
第7の実施の形態においては、さらに具体的には、前記図14に示されるように、
前記中心回転軸体13の下部外周面に1乃至複数のスプライン13spが設けられ、前記外筒部14の内周面に前記スプライン13spに係合するスプライン溝14spgを設けるとともに、
前記中心回転軸体13の上部13uの外周面に雄ネジ部13scが刻設され、前記ストッパ15に該雄ネジ部13scに螺合する雌ネジ15scが刻設されている。
【0056】
第8の実施の形態においては、さらに具体的には、前記図15に示されるように、
前記中心回転軸体13が多角柱体であり、前記外筒部14は該多角柱体に外接する多角形中心孔断面13hを備えており、
前記ストッパ15は前記多角柱体に外接する多角形断面中心孔15hを備えており、該ストッパ15の外周面から中心孔内面に貫通するネジ孔15bnが設けられるとともに、
該ネジ孔15bnに螺挿され前記多角柱体の外周面に先端が当接して該多角柱体に前記ストッパ15を固定するボルト15sbと、該ボルト15sbの緩み止めナット15snを備えている。
【0057】
上記のように構成された第7の実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記中心軸体13と外筒部14がスプライン13spとスプライン溝14spgとの係合により相対的上下摺動自在に、かつ、相対的回転不可能に保持されている。
また、上部面板UPを上部回転体2の底面2bsと下部回転体4の上面4usで挟んだとき、前記コイルスプリング16により、前記外筒部14とその下端に一体をなすよう形成された環状体部8とが常に下方へ付勢されているので、前記上面板UPの板厚tup(mm)に応じて、上部回転体の肩2sの相対的高さ位置が自動的に調節される。
また、前記中心回転軸体13の上部13uの外周面に雄ネジ部13scに螺合したストッパ15を中心回転軸体13に対して、相対的に正逆回転させることにより、その位置を上下方向に移動させることができ、上部面板PUの板厚tup(mm)やその他摩擦攪拌接合時の設定条件に応じて、前記付勢手段としてのコイルスプリング16の付勢力を自由に変えることができ、安定した摩擦攪拌接合が可能になる。
【0058】
上記のように構成された第8の実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記中心軸体13が多角柱体であり、前記外筒部14は該多角柱体に外接する多角形断面中心孔14hを備えているので、両者は相対的上下摺動自在に、かつ、相対的回転不可能に嵌合している。
また、上部面板UPを上部回転体2の底面2bsと下部回転体4の上面4usで挟んだとき、前記コイルスプリング16により、前記外筒部14とその下端に一体をなすように形成された環状体部8とが、常に下方へ付勢されているので、前記上面板UPの板厚tup(mm)に応じて、上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sが自動的に調節される。
また、前記ストッパ15を中心軸体13に固定しているボルト15sbを緩めてストッパ15を上下方向に移動し、目的の位置でボルト15sbを再度締め込んでストッパ15を固定することによって、上部面板PUの板厚tup(mm)やその他摩擦攪拌接合時の設定条件に応じて、前記付勢手段としてのコイルスプリング16の付勢力を自由に変えることができ、安定した摩擦攪拌接合が可能になる。
【0059】
A−8.第9〜第11の実施の形態
本三つの実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、
立断面図である図16(a)、(a)のR−R線矢視平断面図である(b)、(a)のS−S線矢視平断面図である(c)と、
立断面図である図17(a)、(a)のT−T線矢視平断面図である(b)、(a)のU−U線矢視平断面図である(c)と、
立断面図である図18(a)、(a)のV−V線矢視平断面図である(b)と、の各々のグル−プに示されるように、
上部回転体2の底面2bsの外径D2bs と略同じ外径の上部回転軸17と、
該上部回転軸17の下端面17bsと前記下部回転体4の上面4usとの間を同心に連結する上部攪拌ピン部3と、
該上部攪拌ピン部3の上部3uの外周に上下方向摺動自在に、かつ、相対的回転不可能に外嵌され、その下面が前記上部回転体2の底面2bsとされるとともに、前記上部攪拌ピン部3が相対的上下摺動自在に貫通する中心貫通孔18hを備えた環状体18と、
前記上部回転軸体17の下端面17bsと前記環状体部18の上端面との間の前記上部攪拌ピン部3の周囲に配設され、前記環状体18を常時下方に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング16と、を備えて基本的に構成される。
【0060】
第9の実施の形態においては、さらに具体的には、前記図16に示されるように、
前記環状体18の上端面の外周部面に複数のガイドバー19が上方へ伸びるように設けられ、前記上部回転軸体17の下部外周面には、前記複数のガイドバー19の各々と係合するガイド溝17gが設けられている。
【0061】
第10の実施の形態においては、さらに具体的には、前記図17に示されるように、
前記上部攪拌ピン部3uの上部外周面に1乃至複数のスプライン18spが設けられるとともに、前記環状体18の中心孔18hの上部の内周面に前記スプライン18spの各々が係合する1乃至複数のスプライン溝18spgが設けられている。
【0062】
第11の実施の形態においては、さらに具体的には、前記図18に示されるように、
前記上部攪拌ピン部3uの上部が多角形柱とされ、前記環状体18の中心孔18hが上記多角形柱の断面よりも僅かに大きな寸法の相似多角形断面をもつように形成されている。
なお、上記の断面多角形は、摩擦攪拌接合時の回転する上部攪拌ピン部3に対する上部面板UPからの抵抗が過大にならないように、また、塑性流動化(可塑化)した固相金属の上部攪拌ピン部での流動を円滑に保つために、六角形以上、好ましくは八角形以上で十二角形程度までの多角形であればよい。
【0063】
上記のように構成された第9〜第11の実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、
前記第9の実施の形態の場合は、前記環状体18の上端面の外周部に設けられた複数のガイドバー19の各々と、前記上部回転軸17の下部外周面に設けられた複数のガイド溝の各々との係合により、
前記第10の実施の形態の場合は、上部攪拌ピン部3の上部3uの外周面の1乃至複数のスプライン3uspの各々と、前記環状体18の中心孔18hの上部内周面の1乃至複数のスプライン溝18spgの各々との係合により、
前記第11の実施の形態の場合は、多角形柱に形成された上部攪拌ピン部3の上部3uと、多角形孔に形成された前記環状体18の中心孔18hとの嵌合により、
それぞれの上部攪拌ピン部3とそれぞれの環状体部18との間は、相対的上下摺動自在に、かつ、相対的回転不可能になっている。
又、上記のうちの何れの場合にも、上部面板UPを上部回転体2の底面2bsと下部回転体4の上面4usで挟んだとき、前記コイルスプリング16により、前記環状体18が常に下方へ付勢されているので、前記上部面板UPの板厚tup(mm)に応じて上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sが自動的に調節される。
【0064】
以上、請求項6、請求項7に係る本発明の摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態のうち、上部回転体の肩の相対的な高さ位置の変更・固定構造を備える摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態について説明したが、上記の実施の形態以外にも種々の変形例が考えられる。例えば、前記図8〜図10の各々を参照して、A−1項〜A−3項において説明した第1〜第3の実施の形態における各々の上部攪拌ピン部3を、上部回転体2の底面2sbから同心に下方へ所定の高さだけ突出するように固定し、下部回転体4側に、その上面から所定の深さに前記上部攪拌ピン部挿入用孔を穿設するようにし、各々の上部攪拌ピン部3の形状、各々の上部攪拌ピン挿入用孔の形状、各々の上部攪拌ピン挿入用孔に挿入された各々の上部攪拌ピン部3の上下方向の位置の変更・固定のための構造と、上部攪拌ピン部3と下部回転体4との相対的回転防止のための構造を、前記第1〜第3の実施の形態の各々と同じように形成してもよい。
【0065】
上記の各々の実施の形態の作用の総合的な効果として、該実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、中空形材やハニカムパネルの上面板の板厚tp(mm) の変化に対応して、上部回転体の肩2sと下部回転体の上面4usとの間の間隔を精度よく変化させることが可能であるとともに、安定した摩擦攪拌接合を行うことが可能である。その結果、それぞれの上面板の板厚に対応した摩擦攪拌接合用回転ツールを多種類用意し、その都度取り替える必要がなくなる。
【0066】
B.下部回転体の上面の相対的な高さ位置の変更・固定構造を備える摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態
図1で付した符号を用いて説明すると、中空形材やハニカムパネルの上部面板の下面と下部面板の上面との間の間隔Hub(mm)の変化に対応して、下部回転体の上面4usと下部回転体の肩4sとの間の間隔を変化させることが可能な摩擦攪拌接合用回転ツール1の実施の形態について以下に説明する。
【0067】
B−1.第1の実施の形態
本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、下部回転体の上面の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、
立断面図である図19(a)、(a)のイ−イ線矢視平断面図である(b)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の下端に同心に固定され、前記上部回転体2の底面2bsの外径に略等しい外径の上面4usを有し、少なくとも下部に雄ネジ部4uscが刻設された上部円柱体4uと、
所定の直径の底面4bsに同心に前記下部攪拌ピン部5を固定し、少なくとも上部に雄ネジ部4bscが刻設された下部円柱体4bと、
前記上部円柱体4uの下端面と前記下部円柱体4bの上端面との間隔を所定の範囲内で調節可能なように、前記上部円柱体4uと前記下部円柱体4lの各々の外周部に刻設された前記雄ネジ部4usc、4bscの各々に上部と下部の各々の雌ネジ部19scが螺合し、前記上部円柱体4uと前記下部円柱体4bとを連結する連結用円筒部19と、
螺合した前記連結用円筒部19の雌ネジ部19scと前記上部円柱体4u及び前記下部円柱体4bのそれぞれの雄ネジ部4uscと4bscとの間の緩み防止手段として、前記上部円柱体4uの下端面と前記下部円柱体4bの上端面の両面の間の、前記連結用円筒部19の内部に配設され、常に前記両面を上下方向に離隔させる方向に付勢するコイルスプリング20と、を備えて基本的に構成される。
【0068】
なお、上記の上部円柱体4u、下部円柱体4b、連結用円筒部19のそれぞれのネジ部は、摩擦攪拌接合用回転ツールの回転方向とは反対方向が締め込み方向となるように刻設した方が、摩擦攪拌接合中のネジ螺合部の緩み防止のために望ましい。
【0069】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、上記の上部円柱体4u及び/又は下部円柱体4bと連結用円筒部19とを、相対的に正・逆回転させることによって、前記上部円柱体4uの下端面と前記下部円柱体4bの上端面との間隔を所定の範囲内で調節し、下部回転体4の上端面4usの相対的高さ位置P4us を変化させることが可能である。
また、上記のコイルスプリング20により前記上部円柱体4uの下端面と前記下部円柱体4bの上端面の両面の間が常に上下方向に離隔するように付勢されているので、螺合した前記連結用円筒部19の雌ネジ部19scと前記上部円柱体4u及び前記下部円柱体4bの各々の雄ネジ部4uscと4bscとの間のネジ山の間の「がた」(空隙)が無くなって上記のネジ部同士の間の緩みを防止でき、その結果下部回転体4の上面4usの相対的高さ位置P2sが所定の位置に確実に固定される。
【0070】
B−2.第2の実施の形態
本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、下部回転体の上面の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、
立断面図である図20(a)、(a)のロ−ロ線矢視平断面図である(b)、及び(a)のハ−ハ線矢視平断面図である(c)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の下端に同心に固定され、前記上部回転体2の底面2bsの直径に略等しい上面4usを有する上部円柱体4uと、
所定の外径の底面4bsに同心に前記下部攪拌ピン部5を固定した下部円柱体4bと、
前記上部円柱体4uの下端面と前記下部円柱体4bの上端面との間隔を所定の範囲内で調節可能なように、前記上部円柱体4uの小径の下部4ubの外周面に刻設された雄ネジ部4uscと、
前記下部円柱体4bの上端面外周部に一体をなすように結合され上方へ伸びる連結用円筒部21と、
該連結用円筒部21の内周面に刻設され、前記雄ネジ部4uscに螺合するネジ孔21shと、
螺合した前記上部円柱体4uの小径の下部4ubの外周面に刻設された雄ネジ部4uscと、前記連結用円筒部21の内面のネジ孔21shとの間の緩み防止手段としての、上部円柱体4uの小径の下部4ubの雄ネジ部4uscの前記円筒部21の上端面より上に螺嵌され、前記円筒部21の上端面を常時下方に押し付けるよう、前記雄ネジ部4uscと螺合するネジ孔22shを備えたストッパ22と、を備えて基本的に構成される。
【0071】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、上記のストッパ22を緩めて上部円柱体4の小径の下部4ubの上方へ退避させておき、上部円柱体4uと下部円柱体4b及び連結用円筒部21とを相対的に回転させることにより、下部回転体の肩4sを基準の高さ位置SVPとした場合の下部回転体の上面4usの相対的高さ位置P4us を変化させることができる。
その後前記ストッパ22を締め込んで、その下端を前記連結用円筒部21の上端面に強く押し付けるによって、前記下部回転体4の上面4usの相対的高さ位置P4us を固定することができる。
【0072】
B−3.第3の実施の形態
本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、下部回転体の上面の相対的な高さ位置の変更・固定構造が、
立断面図である図21(a)、(a)のニ−ニ線矢視平断面図である(b)、及び(a)のホ−ホ線矢視平断面図である(c)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の下端に同心に固定され、前記上部回転体の底面2bsの外径に略等しい外径の上面4usを有し、下部に中心ネジ孔23uhを備えた上部カップ状体23uと、
所定の外径の底面4bsに同心に前記下部攪拌ピン部5を形成し上部に中心ネジ孔23bhを備えた下部カップ状体23bと、
前記上部カップ状体23uの下端面と前記下部カップ状体23bの上端面との間隔を一定の範囲内で調節可能なように、前記上部カップ状体23uの中心ネジ孔23uhに上部を、前記下部カップ状体23bの中心ネジ孔23bhに下部を各々螺挿される、少なくとも上部と下部に雄ネジ部24scを備えた連結用ボルト24と、
前記上下のカップ状体23u、23bの中心ネジ孔23uh、23bhの各々と前記連結用ボルト24の雄ネジ部24scとの間の緩み防止手段としての、雌ネジ25usc、25bscを各々備え、前記連結用ボルト24の上下の雄ネジ部24sc、24scの各々に螺合する上下の緩み止めナット25u、25bと、を備えて基本的に構成される。
【0073】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、上記の上下の緩み止めナット25u及び/又は25bを緩めて、各々、上方、下方に退避させておき、前記連結用ボルト24と上部カップ状体23u及び/又は下部カップ状体23bとの間を相対回転させて、これらの位置を上下方向に変化させることができる。
その後、上記の上下の緩み止めナット25u及び/又は25bを締め込んで、前記上部カップ状体23u及び/又は下部カップ状体23bの位置を固定できるとともに、前記連結用ボルト24と前記上部カップ状体23u及び/又は下部カップ状体23bとの相対回転も防止することができる。
【0074】
上記のように構成された第1〜第3の実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツールのそれぞれのネジ部は、摩擦攪拌接合用回転ツールの回転方向とは反対方向が締め込み方向となるように刻設した方が、摩擦攪拌接合中のネジ螺合部の緩み防止のために望ましい。
【0075】
又、前記の第1〜第3の実施の形態の各々のネジ部におけるネジのピッチをネジの強度等の観点から可能なかぎり小さくし、またネジの傾斜角も可能な限り小さくすることにより、極めて精度よく下部回転体4の上面の相対的高さ位置P4usを変化させることができる。
【0076】
B−4.第4〜第6の実施の形態
本三つの実施の形態における上部回転体の肩の高さ位置の変更・固定構造は、
正断面図である図22(a)及び(a)のヘ−ヘ線矢視平断面図である(b)、
正断面図である図23(a)及び(a)のト−ト線矢視平断面図である(b)、
正断面図である図24(a)及び(a)のチ−チ線矢視平断面図である(b)、
の各々のグループに示すように、
上部攪拌ピン部3の下端に同心に固定された前記上部回転体2の底面2bsの外径に略等しい外径の上面を有する上部円柱体26又は上部カップ状体27と、
所定の外径の底面4bsに同心に前記下部攪拌ピン部5を固定した下部円柱体28と、
前記上部円柱体26又は上部カップ状体27と前記下部円柱体28とを、同心に、相互の上下方向間隔を一定範囲内で自動調節可能なように、かつ、相対回転不可能なように連結する後記の連結手段と、
前記上部円柱体26又は上部カップ状体27の下端面と前記下部円柱体28の上端面との両面の間に配設され、該両面の間隔が常に大きくなる方向に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング29と、を備えて基本的に構成される。
【0077】
第4の実施の形態は、さらに具体的には、前記連結手段が、上記下部円柱体28の上端面外周部から上方へ延びる複数のガイドバー30と、上記上部円柱体26の下部外周面に、前記複数のガイドバー30の各々と係合するように複数刻設されたガイド溝26gとから構成される。
【0078】
第5の実施の形態は、さらに具体的には、前記連結手段が、上記下部円柱体28の上端面から同心に上方へ延びる多角柱体31と、上記上部カップ状体27の下部に設けられ、前記多角柱体に外嵌される多角形断面孔27sqhとから構成される。
【0079】
第6の実施の形態は、さらに具体的には、前記連結手段が、上記下部円柱体28の上端面から同心に上方へ延び、外径が上記下部円柱体28及び上部カップ状体27よりも小さく、その外周面に1乃至複数のスプライン32spを備えた円柱体32と、前記上部カップ状体27の下部に設けられ、前記1乃至複数のスプライン32spの各々に係合するスプライン溝27spgを備えた円形孔27shとから構成される。
【0080】
上記のように構成された、第4の実施の形態においては、ガイドバー30とガイド溝26gとの係合により、
第5の実施の形態においては、多角柱体31と断面多角形孔27shとの嵌合により、
第6の実施の形態においては、外周面に1乃至複数のスプライン27spを備えた円柱体32と、前記上部カップ状体27の下部に設けられ、前記1乃至複数のスプライン32spの各々に係合するスプライン溝27spgを備えた円形孔27shとの嵌合により、
上部円柱体26又は上部カップ状体27と下部円柱体28とが、相対回転不可能、かつ、相互の上下方向間隔の変化が可能になっており、また、前記付勢手段としてのコイルスプリング29により、相互の上下方向間隔が常に大きくなるように付勢されている。
その結果、中空材やハニカムパネルの上部面板の下面と下部面板の上面との間の変化に応じて、前記下部回転体4の上面4usの相対的高さ位置が自動的に変化し、下部回転体の肩4sから上面4usまでの高さが自動的に調整される。
【0081】
上記の各々の実施の形態の作用の総合的な効果として、これらの実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、中空形材やハニカムパネルの上部面板の下面と下部面板の上面との間の間隔Hub(mm)の変化に対応して、下部回転体の上端面4usと下部回転体の肩4sとの間の高さを精度よく変化させることが可能であるとともに、安定した摩擦攪拌接合を行うことが可能である。その結果、それぞれの前記間隔Hub(mm)に対応した摩擦攪拌接合用回転ツールを多種類用意し、その都度取り替える必要がなくなる。
【0082】
C.下部攪拌ピンの下端の相対的高さ位置の変更・固定構造を有する摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態
図1で付した符号を用いて説明すると、中空形材やハニカムパネルの下部面板の板厚tbp(mm)の変化に対応して、下部攪拌ピン部5の下端5bの相対的高さ位置P5 を変化させることが可能な摩擦攪拌接合用回転ツール1の実施の形態について以下に説明する。
【0083】
C−1.第1の実施の形態
本実施の形態における下部攪拌ピンの下端の相対的高さ位置の変更・固定構造は、立断面図である図25(a)、(a)のリ−リ線矢視断面図である(b)、及び(a)のヌ−ヌ線断面図である(c)に示すように、
前記下部攪拌ピン部5の上部外径D5(mm) より僅かに大きな内径を備え、前記下部回転体4の底面4bsから上方へ所定の高さに穿設され、少なくとも上部に回転ツールの回転方向とは逆方向が締め込み方向である雌ネジ部4hscを設けた下部攪拌ピン螺挿用孔4hを備えてなる下部回転体4と、
上部に前記下部攪拌ピン螺挿用孔4hの前記雌ネジ部4hscに螺合する雄ネジ部5scを備えた下部攪拌ピン部5と、
螺合した前記下部攪拌ピン部螺挿用孔4hの雌ネジ部4hscと前記下部攪拌ピン5の雄ネジ部5scとの間の緩み防止手段としての、下部攪拌ピン部5の上端面より上方の前記下部攪拌ピン部螺挿用孔4hの上部に配設されて前記下部攪拌ピン部5を常に下方へ付勢するコイルスプリング4cpと、を備えて基本的に構成される。
【0084】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記上部回転体4に対して前記下部攪拌ピン部5を相対的に回転させることにより、前記下部回転体の肩4sの高さ位置を基準高さ位置SVPとした場合の前記下部攪拌ピン部5の下端5bの相対的高さ位置P5bを上下方向に変更することができる。又、前記コイルスプリング4spが前記下部攪拌ピン部5を常に下方へ付勢しているため、又、下部攪拌ピン螺挿用孔4hの上部雌ネジ部4hscと前記下部攪拌ピン部5の上部の雄ネジ部5scのネジを回転ツール1の回転方向とは逆方向が締め込み方向であるように刻設しておけば、摩擦攪拌接合中の螺合した前記上部攪拌ピン螺挿用孔4hの雌ネジ部4hscと前記下部攪拌ピン部5の雄ネジ部5scとの間の緩みが効果的に防止される。
さらに、上記のネジのピッチをネジの強度や刻設の精度の観点からみて可能な限り小さくし、又ネジの傾斜角を可能な限り小さくすることにより、前記下部攪拌ピン部5の下端の相対的高さ位置P5の上下方向への変更を極めて精度よく行うことができる。
上記の作用の総合的な結果として、本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、中空形材やハニカムパネルの上面板の板厚tp(mm) の変化に対応して、上部回転体の肩2sと下部回転体の上面4usとの間の間隔を非常に精度よく変化させることが可能であるとともに、安定した摩擦攪拌接合を行うことが可能である。
【0085】
C−2.第2の実施の形態
本実施の形態における下部攪拌ピンの下端の相対的高さ位置の変更・固定構造は、立断面図である図26(a)、(a)のル−ル線矢視断面図である(b)に示すように、
前記下部攪拌ピン部5の外径D5(mm) より僅かに大きな内径で、前記下部回転体の底面4bsから同心に上方へ所定の高さに穿設された下部攪拌ピン挿入用孔4hを備える下部回転体4と、
前記下部回転体4の下面から同心に所定の高さだけ下方へ突出し、その上部が前記下部回転体の前記下部攪拌ピン挿入用孔4hに挿入された下部攪拌ピン部5と、
前記下部回転体4の前記下部攪拌ピン挿入用孔4hの側方の外周面から下部攪拌ピン挿入用孔4hの内面まで貫通するネジ孔4bhと、
該ネジ孔4bhに螺挿され先端が前記下部攪拌ピン部5の外周面に当接して、該下部攪拌ピン部5と前記上部回転体4との間の相対的回転及び相対的上下摺動を防止するボルト4sbと、該ボルト4sbの緩み止めナット4snと、を備えて基本的に構成される。
【0086】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記ボルト4sbを緩めてから、前記下部回転体4に対して前記下部攪拌ピン部5を相対的に上下方向にシフトさせることにより、前記上部攪拌ピン挿入用孔4hとこの孔に上部を挿入された下部攪拌ピン部5の上部とを、相対的に上下方向に摺動させ、前記下部回転体の肩4sの高さ位置を基準高さ位置SVPとした場合の、前記下部攪拌ピン部5の下端5bの相対的高さ位置P5bを上下方向に変更することができる。
又、前記下部攪拌ピン部5の下端の相対的高さ位置P5bの変更後に、前記ボルト4sbを締め込み、該ボルト4sbの先端を、前記下部攪拌ピン挿入用孔4hに挿入された下部攪拌ピン部5の上部の外周面に当接させ、下部攪拌ピン部5の上部の外周面を前記下部攪拌ピン挿入用孔4hの内周に押し付けることにより、前記下部攪拌ピン部5の相対的高さ位置P5bを固定できるとともに、下部攪拌ピン部5と前記下部回転体4との相対的回転を防止できる。
【0087】
C−3.第3の実施の形態
本実施の形態における下部攪拌ピンの下端の相対的高さ位置の変更・固定構造は、立断面図である図27(a)、(a)のヲ−ヲ線矢視断面図である(b)、及び(a)のワ−ワ線矢視断面図である(c)に示すように、
前記下部攪拌ピン部5の外径D5(mm) より僅かに大きな内径で前記下部回転体の底面4bsから同心に上方へ所定の高さに穿設された下部孔4hbと、該下部孔4hbの上端から同心に上方に穿設された前記下部孔4hbの直径以下の円に内接する多角形断面の上部孔4huとからなる下部攪拌ピン部挿入用孔4hと、を備える下部回転体4と、
前記下部回転体の底面4bsから同心に所定の高さだけ下方へ突出し、前記下部回転体4の前記下部攪拌ピン挿入用孔4hにその上部を挿入され、上部に前記多角形断面の上部孔4huに挿入される多角柱部5sqを備えた下部攪拌ピン部5と、
前記下部回転体4の前記下部攪拌ピン挿入用孔4hの側方の外周面から下部攪拌ピン挿入用孔4hの内面までに貫通するネジ孔4bhと、
該ネジ孔4bhに螺挿され先端が前記下部攪拌ピン部5の外周面に当接して、該下部攪拌ピン部5と前記下部回転体4との間の相対的上下摺動を防止するボルト4sbと、該ボルトの緩み止めナット4snを備えて基本的に構成される。
【0088】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、前記ボルト4sbを緩めてから、前記下部回転体4に対して前記下部攪拌ピン部5を相対的に上下方向にシフトさせることにより、前記上部攪拌ピン挿入用孔4hとこの孔に上部を挿入された上部攪拌ピン部5の上部とを、相対的に上下方向に摺動させ、前記下部回転体の肩4sの高さ位置を基準高さ位置SVPとした場合の前記下部攪拌ピン部5の下端5bの相対的高さ位置P5bを上下方向に変更することができる。
また、前記下部攪拌ピン部5の下端5bの相対的高さ位置P5bの変更後に、前記ボルト4sbを締め込み、該ボルト4sbの先端を前記上部攪拌ピン挿入用孔4hに挿入された下部攪拌ピン部5の上部の外周面に当接させ、下部攪拌ピン部5の上部の外周面を前記上部攪拌ピン挿入用孔4hの内周に押し付けることによって、前記下部攪拌ピン部5の下端の相対的高さ位置P5を固定できるとともに、下部攪拌ピン部5と前記下部回転体4との相対的回転を防止できる。
さらに、前記下部攪拌ピン挿入用孔4hの上部の前記断面多角形の上部孔4huに下部攪拌ピン部5の上部の多角柱部5sqが嵌合しているため、下部攪拌ピン部5と前記下部回転体4の相対的回転を完全に防止できる。
【0089】
前記第1〜第3実施の形態の各々の上記の作用の総合的な結果として、これら実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1は、中空形材やハニカムパネルの下部面板の板厚tbp(mm)の変化に対応して、上部回転体の肩2sと下部回転体の上面4usとの間の間隔を精度よく変化させることが可能であるとともに、安定した摩擦攪拌接合を行うことが可能である。
【0090】
D.上部回転体の肩の高さ位置の変更・固定構造、兼、下部回転体の上面の高さ位置の変更・固定構造を有する摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態
図1で付した符号を用いて説明すると、中空形材やハニカムパネルの上部面板の厚みtup(mm)と上部面板の下面と下部面板の上面と間の間隔Hub(mm)の変化に対応して、下部回転体の肩4sの高さ位置を基準高さ位置SVPとした場合の、上部回転体の肩2sと下部回転体4の上面4usの各々の相対的高さP2sとP4usの両方を変化させることが可能な摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態について以下に説明する。
【0091】
D−1.第1の実施の形態
本実施の形態における上部回転体の肩の相対的高さ位置の変更・固定構造、兼、下部回転体の上面の相対的高さ位置の変更・固定構造は、立断面図である図28(a)、(a)のカ−カ線矢視断面図である(b)、及び(a)のヨ−ヨ線矢視断面図である(c)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3から下方に延びる、前記上部回転体2の底面2bsの外径よりも小さな外径で、少なくとも上部に雄ネジ部33uscを備えた中心円柱体33と、該中心円柱体33の雄ネジ部33uscに螺合する雌ネジ部34uscを有する上部円筒部34uと、
該上部円筒部34uの上端に一体をなすように形成され、前記上部攪拌ピン部3が相対的上下摺動自在に貫通する中心貫通孔35uhを備え、その上面が前記下部回転体4の上面4usとされる上部環状体部35uと、
螺合した前記中心円柱体33の上部の雄ネジ部33uscと前記上部円筒部34uの雌ネジ部34uscとの間の緩み防止手段としての、前記上部円筒部34uの下面に上面が当接するように前記中心円柱体33の雄ネジ部33uscに螺合された上部緩み止めナット36uと、
前記中心円柱体33の下部の雄ネジ部33bscに螺合する雌ネジ部34bscを有する下部円筒部34bと、
該下部円筒部34bの下端に一体をなすように形成され、その下面が前記下部回転体4の底面4bsとされ、該底面4bsに同心に前記下部攪拌ピン部5が固定される下部円盤体部35bと、
螺合した前記中心円柱体33の下部の雄ネジ部33bscと前記下部円筒部34bの雌ネジ部34bscとの間の緩み防止手段としての、前記下部円筒部34bの上面に下面が当接するように前記中心円柱体33の雄ネジ部33bscに螺合された下部緩み止めナット36bと、を備えて基本的に構成されている。
【0092】
なお、前記の緩み防止手段としての上部緩み止めナット36uと下部緩み止めナット36bとの代わりに、前記上部円筒部34uの下面と下部円筒部34bの上面との間にコイルスプリングを配設して、上部円筒部34uと下部円筒部34の各々をそれぞれを上方と下方へ常に付勢しておくようにしてもよい。
【0093】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記上部緩み止めナット36uを緩めて下方へ退避させ、又前記下部緩み止めナット36bを緩めて上方へ退避させ、前記中心円柱体33と前記上部円筒部34uおよび下部円筒部34bとを相対回転させることにより、下部回転体4の肩4sの位置を基準高さ位置SVPとした場合の上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2s及び下部回転4の上面4usの相対的高さ位置P4usを変更することができる。
その後、前記上部緩み止めナット36u及び下部緩み止めナット36bを締め込んで、それぞれの上面と下面を前記上部円筒部34uの下面と下部円筒体34bの上面の各々に強く当接させることによって、上記の相対的高さ位置P2sとP4usを固定することができる。
【0094】
D−2.第2の実施の形態
本実施の形態における上部回転体の肩の高さ位置の変更・固定構造、兼、下部回転体の上面の高さ位置の変更・固定構造は、立断面図である図29(a)、及び(a)のタ−タ線矢視断面図である(b)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の下部に設けられた雄ネジ部3scを螺挿する所定の深さのネジ孔37hを上部に穿設され、その上面が前記下部回転体4の上面4usとされる上部円盤部37uと、
螺合された前記上部攪拌ピン部3の下部の雄ネジ部3scと前記上部円盤部37uのネジ孔37ushとの間の緩み防止手段としての、前記ネジ孔37ushの上部攪拌ピン部3の下端より下方の空間に配設され前記上部攪拌ピン部3の下端を常に上方へ付勢するコイルスプリング3csと、
前記上部円盤部37uの下面に同心に一体をなすように形成され、外周面に雄ネジ部38uscを備えた上部連結用円柱体38uと、
下面が下部回転体4の底面4bsとされ、この底面4bsに同心に上端が固定され所定の高さだけ下方へ突出する下部攪拌ピン部5を備えた下部円盤体40と、
該下部円盤体40の上面に同心に一体をなすよう形成され、外周面に雄ネジ部38bcsを備えた前記上部連結用円柱体38uと同径の下部連結用円柱体38bと、
前記の上部連結用円柱体38uの雄ネジ部38uscに上部の雌ネジ部39scが、下部連結用円柱体38bの雄ネジ部38bscに下部の雌ネジ部39scがそれぞれ嵌合して、上下の連結用円柱体38uと38bを連結する連結用円筒体39と、
螺合された前記上部連結用円柱体38uの雄ネジ部38usc及び前記下部連結用円柱体38bの雄ネジ部38bscと、連結用円筒体39の雌ネジ部39scとの間の緩み防止手段としての、前記上部連結用円柱体38uの下面と下部連結用円柱体38bの上面との間の前記連結用円筒体39の内部に配設され、前記上部連結用円柱体38uの下面と下部連結用円柱体38bの上面の両面を常に相互に離隔する方向に付勢するコイルスプリング41と、を備えて基本的に構成される。
【0095】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、前記回転体2と前記上部円盤部37uとを相対的回転させるとともに、前記連結用円筒体39と上部連結用円柱体38u及び/又は下部連結用円柱体38bとを相対的回転させることにより、下部回転体4の肩4sの位置を基準高さ位置SVPとした場合の上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sと下部回転体の上面4usの相対的高さ位置P4usとを変更することができる。
なお、本実施の形態においては、前記コイルスプリング3csによる上部攪拌ピン部3の上方への付勢作用と、前記コイルスプリング41による上下の連結用円柱体38uと38bの各々の上方及び下方への付勢作用とが常に期待でき、変更後の上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sと下部回転体の上面4usの相対的高さ位置P4usとがそれぞれ自動的に固定される。
【0096】
上記D−1項の第1の実施の形態と、D−2項の第2の実施の形態における各雄ネジ部及び雌ネジ部をそれらの締め込み方向が摩擦攪拌接合用回転ツール1の回転方向と逆方向になるようにネジを刻設することにより、摩擦攪拌接合中の螺合した雄ネジ部と雌ネジ部との緩み防止作用が強化される。
又、上記のネジのピッチと傾斜角度をできるだけ小さくすることにより、上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sと下部回転体の上面4usの相対的高さ位置P4usの変更が極めて精度よく可能となる。
【0097】
D−3.第3、第4の実施の形態
第3の実施の形態における上部回転体の肩の高さ位置の変更・固定構造、兼、下部回転体の上面の高さ位置の変更・固定構造は、立断面図である図30(a)、及び(a)のレ−レ線矢視断面図である(b)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の下方に延びる、前記上部回転体2の底面2sの外径よりも小さな外径を備え、外周部に1乃至複数のスプライン42uspを備えた上部中心軸体42uと、
前記1乃至複数のスプライン42uspの各々に係合する1乃至複数のスプライン溝43spgを備え、前記上部中心軸体42uの外周面に沿って上下方向摺動自在に、かつ、該上部中心軸体42uとの間の相対回転不可能に外嵌された上部外筒部43uと、
該上部外筒部43uの上端に一体をなすように形成され、前記上部攪拌ピン部3が相対的上下摺動自在に貫通する中心貫通孔44uhを備え、その上面が前記下部回転体4の上面4usとされる上部環状体部44uと、
前記上部中心軸体42uの下端に同心に連続した連結軸体45と、
前記連結軸体45の下端に同心に連続し、外周部に1乃至複数のスプライン42bspを備えた下部中心軸体42bと、
前記1乃至複数のスプライン42bspの各々に係合する1乃至複数のスプライン溝43spgを備え、前記下部中心軸体42bの外周面に沿って上下方向摺動自在に、かつ、該下部中心軸体42lとの間の相対回転不可能に外嵌された下部外筒部43bと、
該下部外筒部43bの下端に一体をなすように形成され、その下面が前記下部回転体4の底面4bsとされ、該底面4bsに同心に固定され所定の高さだけ下方へ突出した下部攪拌ピン部5を備えた下部円盤体部44bと、
前記上部外筒部43uの下面と前記下部外筒部43bの上面との両面間に、前記連結軸体45を取り囲むように配設され、前記両面が常に相互に離隔する方向に付勢するコイルスプリング46と、を備えて基本的に構成される。
【0098】
第4の実施の形態における上部回転体の肩の高さ位置の変更・固定構造、兼、下部回転体の上面の高さ位置の変更・固定構造は、立断面図である図31(a)、及び(a)のソ−ソ線矢視断面図である(b)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の下方に延びる、前記上部回転体4の底面4usの外径よりも小さな円に内接する多角形断面を有する中心軸体47と、
前記多角形断面に相似の多角形断面を有する中心孔48uhを備え、前記中心軸体47の上部外周面に沿って上下方向摺動自在に、かつ、該中心軸体47との間の相対回転不可能に外嵌された上部外筒部48uと、
該上部外筒部48uの上端に一体をなすように形成され、前記上部攪拌ピン部3が相対的上下摺動自在に貫通する中心貫通孔49uhを備え、その上面が前記下部回転体4の上面4usとされる上部環状体部49uと、
前記中心軸体47の多角形断面に相似の多角形断面を有する中心孔48bhを備え、前記中心軸体47の下部外周面に沿って上下方向摺動自在に、かつ、該中心軸体47との間の相対回転不可能に外嵌された下部外筒部48bと、
該下部外筒部48bの下端に一体をなすように形成され、その下面が前記下部回転体4の底面4bsとされ、該底面4bsに同心に固定され該底面より下方に所定の高さだけ突出する下部攪拌ピン部5を備える下部円盤体部49bと、
前記上部外筒部48uの下面と前記下部外筒部48bの上面との両面の間で前記中心軸体47を取り囲むように配設され、前記両面の間の間隔が常に大きくなる方向に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング50と、を備えて基本的に構成される。
【0099】
上記のように構成された第3と第4の実施の形態における摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、コイルスプリング46、50の付勢力を適切に選択し、下部回転体の肩4sを前記のように構成された中空材又はハニカムパネルの下部面板に上面から所定の深さだけ押し込み、下部回転体の上面4usと上部回転体の肩2sとの間に上部面板を挟むとともに、図1に示したのと同様に摩擦攪拌接合用回転ツール1を矢印Fで示すように下方へ押圧し、上部回転体の肩2sを上部面板にその上面から所定の深さだけ押し込むようにする。
その結果、上部面板の厚みtup(mm)と、上部面板の下面と下部面板の上面との間の間隔Hub(mm)の変化に対応して、下部回転体の肩4sの位置を基準の高さ位置SVPとした場合の上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2sと下部回転体の上面4usの相対的高さ位置P4us とが、コイルスプリング46、50のそれぞれの付勢作用により自動的に調節される。
【0100】
E.上部回転体の肩の高さ位置の変更・固定構造及び下部回転体の上面の相対的高さ位置の変更・固定構造、兼、下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置の変更・固定構造を有する摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態
E−1.第1の実施の形態
本実施の形態における上部回転体の肩の高さ位置の変更・固定構造及び下部回転体の上面の高さ位置の変更・固定構造、兼、下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置の変更・固定構造は、立断面図である図32(a)、(a)のツ−ツ線矢視断面図である(b)、及び(a)のネ−ネ線矢視断面図である(c)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の下端に一体となるよう形成され、前記下部回転体4の上端部を構成する上部円盤体部51と、
該上部円盤体部51の下面に同心に一体となるよう形成され、外径が前記上部円盤体51の外径よりも小さく、外周に雄ネジ部52scを刻設された上部中心円柱体部52と、
該上部中心円柱体部52の雄ネジ部52scに螺合する雌ネジ部53scを備える下部円筒部53と、
該下部円筒部53の下端に同心に一体となるよう形成され、その中心に上部雌ネジ部54scを備えた下部攪拌ピン部貫通孔54hを設けた下部環状体部54と、
前記下部攪拌ピン部貫通孔54hを貫通し、上部の雄ネジ部5scが前記下部攪拌ピン部貫通孔54hの上部雌ネジ部54scに螺合する下部攪拌ピン部5と、
前記下部環状体部54の上面より上方に突出した下部攪拌ピン部5の上部の雄ネジ部5scに、下面が下部環状体54の上面に当接するように螺合された緩み止めナット5snと、
螺合した上部中心円柱体部52の雄ネジ部52scと下部円筒部53の雌ネジ部53scとの緩み止め防止手段としての、前記上部中心円柱体部52の雄ネジ部52scに螺嵌され、下面が前記下部円筒部53の上面に当接しこれを下方に押圧する緩み止めナット55と、を備えて基本的に構成される。
【0101】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、緩み止めナット55を緩めて上方へ退避させ、上部中心円柱体52と下部円筒部53とを相対的回転させることにより、下部回転体の肩4sの位置を基準高さ位置SVPとしたときの上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2s及び下部回転体の上端面4usの相対的高さ位置P4us を変化させることができる。
その後、前記緩み止めナット55を締め込んで、その下面を前記下部円筒部53の上面に当接させこれを下方に押圧することにより、前記相対的高さ位置P2s及びP4usを固定できる。
また、下部攪拌ピン部5の上部の雄ネジ部5scに螺合された緩み止めナット5snを緩めて上方へ退避させ、下部攪拌ピン部5を下部環状体54に対して相対回転させることにより、下部回転体の肩4sの位置を基準高さ位置SVPとしたときの下部攪拌ピン部5の下端5bの相対的高さ位置P5bを変化させることができる。
その後、前記緩み止めナット5snを締め込んで、下面を下部環状体54の上面に当接させこれを下方に押圧するようにすれば前記相対的高さ位置P5bを固定することができる。
【0102】
更に上記の実施の形態において、各雄ネジ部およびこれに螺合する雌ネジ部のネジのピッチとネジの傾斜角度を可能な限り小さくすることによって、上記の上部回転体の肩2sの相対的高さ位置P2s及び下部回転体の上面4usの相対的高さ位置P4usと下部攪拌ピン部5の下端5bの相対的高さ位置P5bを非常に精度よく変化させることができる。
【0103】
E−2.第2の実施の形態
本実施の形態における上部回転体の肩の高さ位置の変更・固定構造及び下部回転体の上面の高さ位置の変更・固定構造、兼、下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置の変更・固定構造は、立断面図である図33(a)、及び(a)のナ−ナ線矢視断面図である(b)に示すように、
前記上部攪拌ピン部3の下端に同心に一体をなすように形成され、その上面が前記下部回転体の上面4usとされるとともに、内部に中心孔56hを備えた上部カップ状体56と、
該上部カップ状体56の前記中心孔56hに、上部を上部カップ状体56との相対的上下摺動自在に、かつ相対的回転不可能に嵌挿される中心軸体57と、
該中心軸体57の下端に同心に一体をなすよう形成され、その下面が前記下部回転体4の底面4bsを形成するとともに、該底面4bsの中心から上方に穿孔され、前記下部攪拌ピン部5の上部が嵌挿される下部円形孔58bhと、該下部円形孔58bhの上端に連続し該下部円形孔58bhの内径以下の直径の円に内接する多角形の断面を有する上部多角形孔58uhとを備えた下部円盤体部58と、
前記上部カップ状体56の下端面と前記下部円盤体部58の上端面との間に介挿され、これらの両面同士が上下に離反する方向に常時付勢するコイルスプリング29と、
上部に前記下部円盤体部58の上部多角形孔58uhに嵌挿される上部多角柱部5sqを備え、中部が前記下部円盤体58の下部円形孔58bhに嵌挿されるとともに、前記下部回転体4の底面4bsから所定の高さだけ下方へ突出する下部攪拌ピン部5と、
前記上部多角形孔58uhの下端部側方の前記下部円盤体部58の外周面から、前記上部多角形孔58uhの内面まで貫通するネジ孔58bshと、該ネジ孔58bshに螺挿され、先端が上部多角形孔58uhに嵌挿された前記下部攪拌ピン部5の上部多角柱部5sqの側面に当接するボルト58sbと、該ボルト58sbの緩み止めナット58snと、からなる下部円盤体58と前記下部攪拌ピン部5との間の相対的上下方向摺動防止手段と、を備えて基本的に構成される。
【0104】
なお、図33に示す上記の実施の形態においては、上部カップ状体56の中心孔56hは多角形断面(図では正方形断面)を備え、この中心孔56hに嵌挿される中心軸体57も上記の多角形に相似の多角形を備えるように構成したが、前記中心孔56hを内周面に1乃至複数のスプライン溝を備えた円形孔とし、この中心孔56hに嵌挿される中心軸体57を、その外周面に前記スプライン溝のそれぞれに係合する1乃至複数のスプラインを備えた円柱体として形成しても、同じ作用・効果が得られる。
【0105】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1においては、コイルスプリング29の付勢作用により、前記のように構成された中空材やハニカムパネルの上部面板の下面と下部面板の上面との間隔Hubの変化に対応して、下部回転体の肩4sの高さ位置を基準の高さ位置SVPとした場合の下部回転体の上面4usの相対的高さ位置P4us を自動的に変化させ、かつ固定することができる。
また、前記ボルト58sbを緩めて、前記下部攪拌ピン部5を下部円盤体58に対して相対的に上下方向にシフトさせることにより、前記下部回転体の肩4sの高さ位置を基準の高さ位置SVPとした場合の下部攪拌ピン部5の下端5bの相対的高さ位置P5bを変化させることができる。
その後、前記ボルト58sbを締め込んで、その先端で前記下部攪拌ピン部5の上部多角柱部5sqの側面を押圧することにより、前記下部攪拌ピン部5の下端5bの相対的高さ位置P5bを固定できる。
【0106】
以上、請求項6、請求項7に係る本発明の摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態について、具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られるものでなく、具体的な説明は省略するが、さらに、以下に述べるような多数の変形例が考えられる。
【0107】
F.前記A項で説明した上部回転体の肩の相対的高さ位置の変更・固定構造を有する図8〜図18の各々に示される第1〜第11の実施の形態のなかの何れか一つの構造、
前記B項で説明した下部回転体の上面の相対的高さ位置の変更・固定構造を有する図19〜図24の各々にに示される第1〜第6の実施の形態のなかの何れか一つの構造、
前記C項で説明した下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置の変更・固定構造を有する図25〜図27の各々にに示される第1〜第3の実施の形態のなかの何れか一つの構造、
の二つ以上を組み合わせた構造を有する摩擦攪拌接合用回転ツール。
【0108】
G.前記D項で説明した上部回転体の肩の相対的高さ位置の変更・固定構造、兼、下部回転体の上面の相対的高さ位置の変更・固定構造を有する図28〜図31に示される第1〜第4の実施の形態のなかの何れか一つの構造、
前記C項で説明した下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置の変更・固定構造を有する図25〜図27の各々に示される第1〜第3の実施の形態のなかの何れか一つの構造、
を組み合わせた構造を有する摩擦攪拌接合用回転ツール。
【0109】
H.前記A項で説明した上部回転体の肩の相対的高さ位置の変更・固定構造を有する図8〜図18の各々に示される第1〜第11の実施の形態のなかの何れか一つの構造、
前記E項で説明した上部回転体の肩の高さ位置の変更・固定構造及び下部回転体の上面の相対的高さ位置の変更・固定構造、兼、下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置の変更・固定構造を有する図32、図33の各々に示される第1、第2の実施の形態のなかの何れか一つの構造、
を組み合わせた構造を有する摩擦攪拌接合用回転ツール。
【0110】
上記F項〜H項にしめす実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツールの各々は、前記のようにそれぞれの組み合わせに採用された各々の実施の形態の作用・効果を併せ持つものである。
【0111】
請求項8に係る本発明の実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1Cは、立断面図である図34(a)、(a)のラ−ラ線矢視断面図である(b)、(b)のム−ム線矢視立断面図である(c)、及び(c)のウ−ウ線矢視断面図である(d)に示されるように、前記下部回転体の肩4sを基準高さ位置SVPとした場合に、少なくとも該下部回転体の上面4usの相対的高さ位置P4usの変更・固定構造を備え、前記下部回転体の肩4sから該下部回転体の上面4usまでの高さの変化に対応可能なように、前記下部回転体4の上部の外周面に所定の角度間隔で設けられ、前記下部回転体の上面4usの位置から下方へ伸びる上部刃物59uと、前記下部回転体4の下部の外周面に、前記上部刃物59uの取付け位置と位相差を有するように所定の角度間隔で設けられ、前記下部回転体の肩4sの位置より所定の高さだけ上方の位置からさらに上方へ伸びる下部刃物59bとを、前記上部刃物59uの下部と前記下部刃物59bの上部とが常に上下方向に一部重複するように設けることにより、全体として前記下部回転体4の高さ方向の当該中空材の中空部全域にわたり、前記突合わせ部を中心とした少なくとも前記下部回転体4の外周面の直径以上の幅範囲内の前記中空材のリブ材67、67又はハニカムパネルのコア材を削除又は破砕可能なように、基本的に構成される。
【0112】
上記摩擦攪拌接合用回転ツール1Cのより具体的な実施の形態は、以下に示すとおりである。
即ち、前記図23を参照して説明した下部回転体の上面の相対的高さの変更・固定構造を有する摩擦攪拌接合用回転ツール1の構造に以下のような構造を付加して、基本的に構成されている。
(1)上部カップ状体27の外周面に、例えば外周方向に45度ずつ離隔して上下方向に設けられた刃物保持溝27gに、先端が鍵型に屈曲し、刃先が摩擦攪拌接合用回転ツール1の回転方向(矢印rの方向)を向くように形成された上部刃物59uが植設され、その下端は後記下部刃物59bの上端面より下の位置まで伸ている。
(2)下部円盤体28の外周面に、例えば上記上部刃物59uの配設位置より22.5度ずつ離隔して上下方向に設けられた刃物保持溝28gに、先端が鍵型に屈曲し、刃先が摩擦攪拌接合用回転ツール1の回転方向(矢印rの方向)を向くように形成された下部刃物59bが植設され、その上端は前記上部刃物59uの下端より上の位置まで伸ている。
【0113】
上記のように構成された本実施の形態の摩擦攪拌接合用回転ツール1Cにおいては、図3〜図5を参照して説明した前記請求項2に係る本発明の摩擦攪拌接合用回転ツール1Bの場合と同様に、上下に所定の間隔Hubをおいて平行な一対の面板66u、66bを備え、前記上下の面板66u、66b同士を長さ方向に延びるリブ材67、67からなる連結・補強部材を介して一体に形成した中空材65Aと65Bの各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板66u、66bの長さ方向端部同士を突き合わせて幅方向(矢印wの方向)に延びる突合わせ部68u、68bを形成し、上下の突合わせ部68u、68bを同時に摩擦攪拌接合する際に、
前記上下の面板の間隔Hubが変化した場合に、その間隔Hubに対応するようにコイルスプリング29が伸縮し、下部回転体の肩4sから下部回転体の上面4usまでの高さが自動的に調節される。
その際に、上部刃物59uと下部刃物59bの下部回転体4の外周方向における位置が一定の角度ずつずれているので、上下の刃物同士が衝突することがなく、下部回転体の肩4sから下部回転体の上面4usまでの高さの自動調節の支障となることはない。
また、上部刃物59uの下部と下部刃物59bの上部が、常に上下方向に一部重複しているので、前記請求項2に係る本発明の実施の形態と同様に、上部面板の下面から下部面板の上面までの間の略高さ方向全域にわたり、両側のリブ材67、67をそれぞれ突合わせ部を中心とした刃先部の回転半径と同じ幅で切除することができ、摩擦攪拌接合用回転ツール1Cの中空材やハニカムパネルの幅方向への移動を円滑に行うことができる。
【0114】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られるものではなく、構成の要旨を逸脱しない範囲内で、他の実施の形態を含むことは言うまでもない。
【0115】
【発明の効果】
本発明の摩擦攪拌接合用回転ツールは以下のような優れた効果を奏する。
(1)本第1の発明によれば、上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板を備え、前記上下の面板同士を長手方向に延びるリブ材又はコア材等の連結・補強部材を介して一体に形成した中空材又はハニカムパネル等の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部を形成し、該突合わせ部を摩擦攪拌接合するに際し、
従来のように垂直縁材や枠材を配設することが不要で、
また、設備コストの略倍増を招くことなく、
さらに下部の面板の裏面には回転ツールの底面の回転移動軌跡あるいはアンダーカットが跡として残らないため、下部面板の裏面を何ら研磨や処理をすることなく製品の化粧面として使用可能であり、
上下の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合することが可能である。
【0116】
(2)本第2の発明によれば、上記のような構造を有する中空材の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の長さ方向端部同士を突き合わせて幅方向に延びる突合わせ部を形成し、該突合わせ部摩擦攪拌接合するに際し、
該突合わせ部における上下の面板とリブで囲まれた中空部内に、両中空材に跨がる状態で中子94を嵌挿することなく、
また、上記のような構造を有するハニカムパネルの各々からなる一対の被接合部材の、各々の面板の長さ方向端部同士を突き合わせて幅方向に延びる突合わせ部を形成し、該突合わせ部摩擦攪拌接合するに際し、
前記上下の各々の面板の長さ方向端部同士の間に接合部材を介在させることなく、
さらに上記の中空材又はハニカムパネルの下部の面板の裏面には、回転ツールの底面の回転移動軌跡あるいはアンダーカットが跡として残らないため、下部面板の裏面を何らの研磨や処理を施すことなく、製品の化粧面として使用可能であり、
前記上下の各々の長さ方向端部同士を突き合わせて、上下の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合することが可能である。
【0117】
(3)本第3の発明によれば、上下同時の摩擦攪拌接合において、上部面板の接合部に溝状欠陥やトンネル状空洞欠陥等の接合部欠陥を発生させることなく、又、摩擦攪拌接合用回転ツールの寿命を大幅に延ばすことができる。
【0118】
(4)本第4の発明によれば、上記第1又は第2の発明の摩擦攪拌接合用回転ツールにおいて、
中空材又はハニカムパネル等の上下の面板の各々の肉厚や、上下の面板の間隔が一定範囲内で変化しても、それらの変化に対応して寸法の変更・調整が容易に行え、一種類の回転ツールで、多種類の形状・寸法の中空材又はハニカムパネル等の上下同時の摩擦攪拌接合が可能であり、多種類の形状・寸法の摩擦攪拌接合用回転ツールを準備しておきその都度取り替えるという必要性もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態の立面図である。
【図2】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールによる中空材長手方向の摩擦攪拌接合状況を示す断面斜視図である。
【図3】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のα−α線矢視断面図である。
【図4】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールによる中空材幅方向の摩擦攪拌接合状況を示す断面斜視図である。
【図5】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールによる中空材幅方向の摩擦攪拌接合状況を示す図4のβ−β線矢視断面図である。
【図6】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールによる中空材幅方向の摩擦攪拌接合状況を示す図4のγ−γ線矢視断面図である。
【図7】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールによるC型中空材の摩擦攪拌接合状況を示す正面図である。
【図8】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のA−A線矢視断面図、(c)は(a)のB−B線矢視断面図である。
【図9】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のC−C線矢視断面図である。
【図10】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のD−D線矢視断面図、(c)は(a)のE−E線矢視断面図である。
【図11】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のF−F線矢視断面図、(c)は(a)のG−G線矢視断面図である。
【図12】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のH−H線矢視断面図、(c)は(a)のI−I線矢視断面図である。
【図13】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のJ−J線矢視断面図、(c)は(a)のK−K線矢視断面図である。
【図14】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のL−L線矢視断面図、(c)は(a)のM−M線矢視断面図、(d)は(a)のN−N線矢視断面図である。
【図15】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)の0−0線矢視断面図、(c)は(a)のP−P線矢視断面図、(d)は(a)のQ−Q線矢視断面図である。
【図16】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のR−R線矢視断面図、(c)は(a)のS−S線矢視断面図である。
【図17】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のT−T線矢視断面図、(b)は(a)のU−U線矢視断面図である。
【図18】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のV−V線矢視断面図である。
【図19】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のイ−イ線矢視断面図である。
【図20】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のロ−ロ線矢視断面図、(c)は(a)のハ−ハ線矢視断面図である。
【図21】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のニ−ニ線矢視断面図、(c)は(a)のホ−ホ線矢視断面図である。
【図22】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のヘ−ヘ線矢視断面図である。
【図23】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のト−ト線矢視断面図である。
【図24】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のチ−チ線矢視断面図である。
【図25】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のリ−リ線矢視断面図、(c)は(a)のヌ−ヌ線矢視断面図である。
【図26】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のル−ル線矢視断面図である。
【図27】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のヲ−ヲ線矢視断面図、(c)は(a)のワ−ワ線矢視断面図である。
【図28】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のカ−カ線矢視断面図、(c)は(a)のヨ−ヨ線矢視断面図である。
【図29】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のタ−タ線矢視断面図である。
【図30】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のレ−レ線矢視断面図である。
【図31】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のソ−ソ線矢視断面図である。
【図32】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のツ−ツ線矢視断面図である。
【図33】 本発明に係る摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のナ−ナ線矢視断面図である。
【図34】 本発明に係る本発明の摩擦攪拌接合用回転ツールの一実施の形態を示し、(a)は立面図、(b)は(a)のラ−ラ線矢視断面図、(c)は(b)のム−ム線矢視断面図である。
【図35】 従来の中空材又はハニカムパネルの上下面板の幅方向端部同士の突合わせ部の摩擦攪拌接合方法を示し、(a)は中空材の、(b)はハニカムパネルの、(c)は中空材の別の方法を示す正断面図である。
【図36】 従来の中空材の上下面板の長手方向端部同士の突合わせ部の摩擦攪拌接合方法を示し、(a)は正断面図、(b)は(a)のオ−オ矢視線断面図である。
【図37】 従来のハニカムパネルの上下面板の幅方向端部同士の突合わせ部の別の摩擦攪拌接合方法を示し、(a)は摩擦攪拌接合前の、(b)は摩擦攪拌接合後の正断面図である。
【図38】 従来のハニカムパネルの上下面板の幅方向端部同士の突合わせ部を上下同時に摩擦攪拌接合する方法を示す正面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C 摩擦攪拌接合用回転ツール
2 上部回転体
2bs 上部回転体の底面
2s 上部回転体の肩
3 上部攪拌ピン部
4 下部回転体
4us 下部回転体の上面
4bs 下部回転体の底面
4s 下部回転体の肩
5 下部攪拌ピン部
5b 下部攪拌ピン部の下端
6 刃物
6bs 刃物基部
6eg 刃先部
6u,59u 上部刃物
6b,59b 下部刃物
60A,60B 中空材
61u,66u 上部面板
61b,66b 下部面板
62,67 リブ材
63u,68u 上部突合わせ部
63b,68b 下部突合わせ部
64 定盤
65A,65B 中空材
SVP 基準高さ位置
P2s 上部回転体の肩の相対的高さ位置
P4us 下部回転体の上面の相対的高さ位置
P5b 下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置

Claims (8)

  1. 上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板を備え、前記上下の面板同士を長さ方向に延びる連結・補強部材を介して一体に形成したハニカムパネルと称するものを含む中空材の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部を形成し、上下の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツールであって、
    凹面の底面を備えた上部回転体と、
    該上部回転体の底面に同心に設けられた上部攪拌ピン部と、
    該上部攪拌ピン部の下端に同心に設けられ、凹面、平面又は凸面の上面と、凹面の底面とを備えた下部回転体と、
    該下部回転体の底面に同心に設けられた下部攪拌ピン部と、
    を備え
    前記上部攪拌ピン部の外径が、前記下部攪拌ピン部の外径以上に、
    前記下部回転体の凹面、平面又は凸面の上面の外径が、前記上部回転体の凹面の底面の外径と略等しく、
    前記下部回転体の凹面の底面の外径が、前記上部回転体の凹面の底面の外径と同等又はそれ以下に、
    各々形成されてなる摩擦攪拌接合用回転ツール。
  2. 上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板を備え、前記上下の面板同士を長さ方向に延びる連結・補強部材を介して一体に形成したハニカムパネルと称するものを含む中空材の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の長さ方向端部同士を突き合わせて幅方向に延びる突合わせ部を形成するか、又は前記上下の各々の面板の幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部を形成し、上下の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツールであって、
    凹面の底面を備えた上部回転体と、
    該上部回転体の底面に同心に設けられた上部攪拌ピン部と、
    該上部攪拌ピン部の下端に同心に設けられ、凹面、平面又は凸面の上面と、凹面の底面とを備えた下部回転体と、
    該下部回転体の底面に同心に設けられた下部攪拌ピン部と、
    前記下部回転体の高さ方向の当該中空材の中空部全域にわたり、前記突合わせ部を中心として、少なくとも前記下部回転体の外周面の直径以上の幅範囲内の、前記中空材のリブ又はハニカムパネルのコア材を削除又は破砕するよう、前記下部回転体の外周方向に複数設けられた刃物と、
    を備えてなる摩擦攪拌接合用回転ツール。
  3. 前記上部攪拌ピン部の外径が、前記下部攪拌ピン部の外径以上に、
    前記下部回転体の凹面、平面又は凸面の上面の外径が、前記上部回転体の凹面の底面の外径と略等しく、
    前記下部回転体の凹面の底面の外径が、前記上部回転体の凹面の底面の外径と同等又はそれ以下に、
    各々形成されてなる請求項2に記載の摩擦攪拌接合用回転ツール。
  4. 前記上部攪拌ピンの外径D3(mm) が、下記式1を満足する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の摩擦攪拌接合用回転ツール。
    2.0×tup+0. 08×Hhp≦D3≦5.5×tup+0. 08×Hhp −−−式1
    ここで、
    tup:上部面板の突合わせ部の板厚(mm)
    Hhp:中空材又はハニカムパネルの高さ(mm)
  5. 上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板を備え、前記上下の面板同士を長さ方向に延びる連結・補強部材を介して一体に形成したハニカムパネルと称するものを含む中空材の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部を形成し、上下の突合わせ部を同時に 摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツールであって、
    凹面の底面を備えた上部回転体と、
    該上部回転体の底面に同心に設けられた上部攪拌ピン部と、
    該上部攪拌ピン部の下端に同心に設けられ、凹面、平面又は凸面の上面と、凹面の底面とを備えた下部回転体と、
    該下部回転体の底面に同心に設けられた下部攪拌ピン部と、
    を備え、
    前記上部攪拌ピンの外径D 3(mm) が、下記式1を満足する摩擦攪拌接合用回転ツール。
    2.0×t up +0 . 08×H hp ≦D 3 ≦5.5×t up +0 . 08×H hp −−−式1
    ここで、
    up :上部面板の突合わせ部の板厚 (mm)
    hp :中空材又はハニカムパネルの高さ (mm)
  6. 前記下部回転体の底面の下端(以後、下部回転体の肩と称する)を基準高さ位置とした場合に、前記上部回転体の底面下端(以後、上部回転体の肩と称する)の相対的高さ位置前記下部回転体の上面の相対的高さ位置及び前記下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置の少なくとも一つが変更・固定自在に形成された変更・固定構造を備えてなる、
    請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の摩擦攪拌接合用回転ツール。
  7. 上下に所定の間隔をおいて平行な一対の面板を備え、前記上下の面板同士を長さ方向に延びる連結・補強部材を介して一体に形成したハニカムパネルと称するものを含む中空材の各々からなる一対の被接合部材の、前記上下の各々の面板の幅方向端部同士を突き合わせて長さ方向に延びる突合わせ部を形成し、上下の突合わせ部を同時に摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合用回転ツールであって、
    凹面の底面を備えた上部回転体と、
    該上部回転体の底面に同心に設けられた上部攪拌ピン部と、
    該上部攪拌ピン部の下端に同心に設けられ、凹面、平面又は凸面の上面と、凹面の底面とを備えた下部回転体と、
    該下部回転体の底面に同心に設けられた下部攪拌ピン部と、
    を備え、
    前記下部回転体の底面の下端(以後、下部回転体の肩と称する)を基準高さ位置とした場合に、前記上部回転体の底面下端(以後、上部回転体の肩と称する)の相対的高さ位置、前記下部回転体の上面の相対的高さ位置及び前記下部攪拌ピン部の下端の相対的高さ位置の少なくとも一つが変更・固定自在に形成された変更・固定構造を備えてなる、摩擦攪拌接合用回転ツール。
  8. 前記下部回転体の底面の下端(以後、下部回転体の肩と称する)を基準高さ位置とした場合に、少なくとも下部回転体の上面の相対的高さ位置の変更・固定構造を備え、
    前記下部回転体の肩から該下部回転体の上面までの高さの変化に対応可能なように、
    前記下部回転体の上部の外周面に所定の角度間隔で設けられ、前記下部回転体の上面の位置から下方へ伸びる上部刃物と、
    前記下部回転体の下部の外周面に、前記上部刃物の取付け位置と位相差を有するように所定の角度間隔で設けられ、前記下部回転体の肩の位置より所定の高さだけ上方の位置から上方へ伸びる下部刃物とを、
    前記上部刃物の下部と前記下部刃物の上部とが常に上下方向に一部重複するように設けることにより、
    全体として前記下部回転体の高さ方向の当該中空材の中空部全域にわたり、前記突合わせ部を中心とした少なくとも前記下部回転体の外周面の直径以上の幅範囲内の、前記中空材のリブ又はハニカムパネルのコア材を削除又は破砕可能なように形成してなる、請求項7に記載の摩擦攪拌接合用回転ツール。
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