JP3668181B2 - 電子レンジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子レンジに関し、特に、マイクロ波を拡散させるために回転するアンテナを搭載したタイプの電子レンジに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来の電子レンジには、マグネトロンの発振するマイクロ波を、加熱室内に拡散させて供給するために、回転可能なアンテナ(以下、「回転アンテナ」という)を備えるものがあった。図9に、従来の電子レンジの、回転アンテナの取付けられている部分を示す。なお、図9に示す電子レンジは、加熱室の下方に、回転アンテナが取付けられるタイプのものである。また、図9では、部分的に、電子レンジの断面が示されている。
【0003】
図9を参照して、加熱室の底面99の下方には、電子レンジの本体枠98の一部に、回転アンテナ90が取付けられている。
【0004】
詳しくは、回転アンテナ90は、まず、アンテナ軸93の上端に嵌込まれ、ナット94によりアンテナ軸93に固定される。そして、アンテナ軸93は、アンテナ軸受け91に嵌込まれ、該アンテナ軸受け91は、その外周部を、本体枠98に、複数のピン92で、固定される。なお、アンテナ軸受け91が本体枠98に固定される際、アンテナ軸93の下部は、モータ軸95に嵌込まれる。
【0005】
ここで、アンテナ軸受け91が本体枠98に固定される際、ピン92を本体枠92に嵌込むが、このピン92の嵌込みは、煩雑な作業であった。図9に示すように、アンテナ軸受け91の上方には回転アンテナ90が位置するため、この嵌込み作業は、本体枠98と回転アンテナ90とに挟まれる比較的狭い空間で行なわれることになるからである。つまり、従来の電子レンジでは、回転アンテナを搭載させる場合、該回転アンテナを取付けるために、煩雑な作業が必要とされるという不都合があった。取付け作業を容易にしようとすると、電子レンジ自体の構成が複雑化することが予測される。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、種々の利点を有しながらも容易に構成できる電子レンジを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のある局面に従った電子レンジは、外装の内部に備える本体枠と、該本体枠内部に備えられ、食品を収容する加熱室と、マイクロ波を供給するためのマグネトロンと、前記加熱室の底部に備えられ、周囲がシールされている食品載置用底板と、該底板と前記本体枠との間に備えられ、前記マグネトロンの発振するマイクロ波を撹拝するために回転可能に構成される回転アンテナと、該回転アンテナ下方に備えられ、前記回転アンテナを回転させるためのモータ軸を有するモータと、前記回転アンテナが上端に固定され、前記モータのモータ軸と接続されるアンテナ軸と、筒形状を有して内側に前記アンテナ軸を収容し、前記本体枠に固定される軸受けと、を含む電子レンジであって、前記アンテナ軸と前記モータのモータ軸とは重ねて嵌め込まれるとともに、前記アンテナ軸と前記モータ軸との重なる距離は、前記回転アンテナの上面と前記底板との距離より大きくしていることを特徴とする。
【0008】
これにより、回転アンテナが回転してもアンテナ軸がモータのモータ軸から外れることはない。
【0009】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下に、本発明の一実施の形態である、回転可能なアンテナを備えた電子レンジについて、図面を参照しつつ説明する。図1は、電子レンジの斜視図である。
【0010】
図1を参照して、電子レンジ1は、主に、本体2と、ドア3とからなる。本体2は、その外郭を、外装部4に覆われている。また、本体2の前面には、ユーザが、電子レンジ1に各種の情報を入力するための操作パネル6が備えられている。なお、本体2は、複数の脚8に支持されている。
【0011】
ドア3は、下端を軸として、開閉可能に構成されている。ドア3の上部には、把手3aが備えられている。図2に、ドア3が開状態とされたときの電子レンジ1を前方より見た、電子レンジ1の正面図を示す。
【0012】
外装部4の内部には、本体枠(後述する本体枠5)が備えられている。本体枠5の内部には、加熱室10が設けられ、また、本体枠5の前面には、前板50が備えられている。加熱室10の右側面上部には、孔10aが形成されている。孔10aには、加熱室10の外側から、検出経路部材40が接続されている。加熱室10の底部には、底板9が備えられている。底板9上には、食品を載置できる。そして、底板9の周囲は、シリコン99でシールされている。
【0013】
図3は、電子レンジ1の、外装部4を取外した状態での、正面図である。前板50には、加熱室10を開放するための開口51と、操作パネル6を嵌込むための孔52が形成されている。
【0014】
また、本体枠5の、加熱室10の右隣には、マグネトロン12が取付けられている。また、加熱室10およびマグネトロン12の下方には、導波管19が取付けられている。マグネトロン12は、導波管19の一端に接続されている。導波管19の他端は、本体枠5の底面であって、加熱室10の下方に接続されている。マグネトロン12は、マグネトロンアンテナ12aを備え、該マグネトロンアンテナ12aは、導波管19の内部に位置している。
【0015】
また、加熱室10の下方には、回転アンテナ15が備えられている。回転アンテナアンテナ15は、複数の孔を形成された円盤形状を有している。図3では、その側面が示されている。回転アンテナ15の下方であって、導波管19の下方には、モータ17が備えられている。モータ17と回転アンテナ15は、導波管19を貫通している軸16によって接続されている。軸16は、後述するように、複数の部材により構成される。
【0016】
モータ17が駆動することにより、軸16によって動力が伝えられ、回転アンテナ15が回転する。そして、電子レンジ1では、マグネトロン12の発振するマイクロ波は、導波管19を介し、回転アンテナ15により拡散されるように、加熱室10内に供給される。また、該マイクロ波を加熱室10内でさらに拡散させるため、加熱室10の後面には、複数の凸部45が形成されている。
【0017】
加熱室10の孔10aには、検出経路40の一端が接続されている。検出経路40の他端には、赤外線センサ7が取付けられている。赤外線センサ7は、検出経路40を介して加熱室10内の食品の発する赤外線を検出することにより、該食品の温度を検出できる。なお、検出経路40の側面には、食品の発する蒸気で赤外線センサ7のレンズ部分が曇らないように、複数の小孔が形成されている。
【0018】
次に、軸16の構成について、説明する。図4は、図3の電子レンジ1の回転アンテナ15付近の拡大図である。図4を参照して、軸16は、アンテナ軸20と、軸受け22により構成されている。図4では、アンテナ軸20および軸受け22は、その縦断面が示されている。アンテナ軸20は、その側面に、凸部21を有する。凸部21は、軸受け22の上端に接している。軸受け22は、その上端で凸部21を支持することにより、アンテナ軸20を支持する。
【0019】
アンテナ軸20は、その上端を、回転アンテナ15の円盤の重心に、接続されている。なお、回転アンテナ15は、アンテナ軸20との接続部を、ネジ15aでネジ止めされることにより、アンテナ軸20に固定される。また、アンテナ軸20は、その下端を、モータ軸17aに接続されている。モータ軸17aは、モータ17が駆動することにより回転する部材である。これにより、モータ17が駆動すると、モータ軸17aおよびアンテナ軸20を介して、回転アンテナ15が回転する。なお、回転アンテナ15は、図4の紙面に垂直な平面上を回転する。
【0020】
図5(A)は、軸受け22の側面図であり、図5(B)は、軸受け22の平面図である。また、図6は、図4のVI−VI線に沿う、矢視断面図である。
【0021】
まず、図6を参照して、軸受け22およびアンテナ軸20は、本体枠5に形成された孔5aの内部に位置している。そして、アンテナ軸20の凸部21は、軸受け22の上端に位置している。
【0022】
図5を参照して、軸受け22は、筒形状を有するが、その上端は、傾斜を有している(特に、図5(A)参照)。したがって、回転アンテナ15の回転に伴って凸部21が回転した場合、凸部21の高さが変化することになる。凸部21の高さが変化することにより、アンテナ軸20および回転アンテナ15の高さも変化する。このことから、回転アンテナ15は、モータ17が駆動することにより、高さを変化させながら、回転することになる。
【0023】
電子レンジ1では、このように、回転アンテナ15が、その高さを変化させつつ回転することにより、加熱室10に、より多くのモードで、マイクロ波を供給することができる。
【0024】
つまり、本実施の形態では、軸受け22により、回転アンテナの回転角度に応じて、アンテナ軸の高さが変化するように該アンテナ軸を支持する、アンテナ軸受けが構成されている。
【0025】
なお、回転アンテナの回転に応じてアンテナ軸の高さを変化させる態様は、本実施の形態における態様に限定されない。
【0026】
ただし、本実施の形態では、軸受け22の形状を工夫することにより、上記のようにアンテナ軸20の高さを変化させている。具体的には、軸受け22は、アンテナ軸20を凸部で支持し、該凸部を支持する部分である上端において、アンテナ軸20の回転方向に傾斜を有することにより、アンテナ軸20の高さを変化させている。電子レンジ1がこのように構成されることにより、より容易に、回転アンテナの回転に応じてアンテナ軸の高さを変化させることができる。
【0027】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態の電子レンジについて説明する。なお、本実施の形態の電子レンジは、第1の実施の形態として説明した電子レンジ1の、回転アンテナ15およびその付近の構造のみを変更したものであるため、重複する説明は省略する。
【0028】
図7に、本実施の形態の電子レンジの回転アンテナ付近の拡大図を示す。
【0029】
図7を参照して、回転アンテナ35は、大まかには、鍋蓋を裏返しにしたような形状を有している。つまり、円盤形状を有する円形部35aと、該円形部35aの中央部に接続された、筒状部35bを有している。これにより、回転アンテナ35は、筒状部35bを軸として、紙面に垂直な方向に回転する。回転アンテナ35は、たとえば、円盤状の板体の中心部を引っ張るように変形させることにより、構成することができる。
【0030】
筒状部35bの上端は、円形部35aに接続されている。一方、筒状部35bの下端は、底を有しているが、該底には、円形の孔が形成されている。そして、該円形の孔には、モータ軸17aが嵌込まれている。なお、該円形の孔は、モータ軸17aの断面形状に合わせた形状を有している。これにより、モータ17が駆動することにより、その動力が、モータ軸17aおよび筒状部35bを介して伝えられることにより、回転アンテナ35が回転できる。
【0031】
筒状部35bの下端は、導波管19内に位置している。そして、導波管19の底と筒状部35bの下端との間には、軸受け31が備えられている。軸受け31の上端は、筒状部35bに接している。また、軸受け31の下端は、導波管19に接している。軸受け31は、筒状部35bと導波管19との間の、スペーサとしての機能を有する。
【0032】
また、円形部35aの上面には、スペーサ32が取付けられている。詳しくは、円形部35aの外縁部分の複数の箇所に、直径5mm程度の円筒状のスペーサ32が取付けられている。スペーサ32の上端は、底板9に接している。スペーサ32の高さ方向の寸法(Ls)は、回転アンテナ35の中央部付近と底板9の高さ方向の距離(Lc)よりも、長くなっている。これにより、回転アンテナ35は、中央部から外縁部に向けて、たわむようになる。
【0033】
回転アンテナ35は、スペーサ32と底板9が接した状態で、回転する。このことから、スペーサ32は、耐摩耗性に優れた材質、たとえば、シリコンから構成されることが好ましい。
【0034】
以上説明した本実施の形態では、回転アンテナ35は、軸受け31とスペーサ32によって、電子レンジ内の所定箇所に、上下方向について、固定される。つまり、本実施の形態の電子レンジでは、回転アンテナ35を固定する際、煩雑なネジ止等の作業を必要としない。
【0035】
なお、スペーサ32の高さ方向の寸法(Ls)は、回転アンテナ35の中央部付近と底板9の高さ方向の距離(Lc)と同じであれば、回転アンテナ35を軸受け31とスペーサ32によって固定できる。ただし、本実施の形態のように、LsをLcよりも長くすることにより、より安定して、回転アンテナ35を固定できる。
【0036】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態の電子レンジについて説明する。なお、本実施の形態の電子レンジは、第1の実施の形態として説明した電子レンジ1の、回転アンテナ15およびその付近の構造のみを変更したものであるため、重複する説明は省略する。
【0037】
図8に、本実施の形態の電子レンジの回転アンテナ付近の拡大図を示す。
【0038】
図8を参照して、回転アンテナ45は、複数の孔を形成された円盤の形状を有している。回転アンテナ45の中央部には、アンテナ軸44が接続されている。アンテナ軸44は、その上端を、回転アンテナ45の中央部に嵌込まれた後、回転アンテナ45に向けて折返されている。これにより、回転アンテナ45は、アンテナ軸44に固定されている。そして、回転アンテナ45は、アンテナ軸44を軸として、紙面に垂直な方向に回転する。
【0039】
アンテナ軸44の外側には、軸受け41が備えられている。軸受け41は、筒形状を有し、内側にアンテナ軸44を収容している。軸受け41には複数の突起42が取付けられており、当該突起42を本体枠5の所定の位置に形成された孔に嵌込まれることにより、軸受け41は、本体枠5に固定される。
【0040】
本実施の形態の電子レンジは、本体枠5に軸受け41を固定する。その一方で、アンテナ軸44に回転アンテナ45を固定した後、アンテナ軸44を軸受け41およびモータ軸17aに嵌込み、回転アンテナ45の上から、底板9を設置する。これにより、回転アンテナ45の取付けに際し、図9を用いて説明したような煩雑なネジ止等の作業が必要とされることがない。
【0041】
なお、アンテナ軸44は、モータ軸17aに対して、高さ方向にRaだけ重なるように、嵌込まれている。また、回転アンテナ45の上面には、凸部45aが形成されている。凸部45aは、たとえば、回転アンテナ45を座押しすることにより、形成することができる。凸部45aの最上部と底板9との、高さ方向の距離は、Rbとされている。そして、本実施の形態では、Ra>Rbとなっている。これにより、回転アンテナ45が回転しても、アンテナ軸44がモータ軸17aから外れることはない。
【0042】
回転アンテナ45がRb以上上方向に移動しようとすると、底板9により、下方に押し戻される。そして、アンテナ軸44は、モータ軸17aとRaだけ重なりを有しているので、Ra以下の長さだけ上方に移動しても、モータ軸17aから外れることはないからである。
【0043】
本実施の形態では、凸部45aにより、回転アンテナの回転方向と交わる方向について電子レンジの中のいずれかの壁面との隙間が所定の長さ以下となるようなスペーサが構成されている。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態である電子レンジの斜視図である。
【図2】 図1の電子レンジのドアが開状態とされた場合の正面図である。
【図3】 図1の電子レンジの本体枠部分の正面図である。
【図4】 図3の電子レンジの回転アンテナ付近の拡大図である。
【図5】 (A)は図4の軸受けの側面図であり、(B)は平面図である。
【図6】 図4のVI−VI線に沿う、矢視断面図である。
【図7】 本発明の第2の実施の形態である電子レンジの、回転アンテナ付近を示す図である。
【図8】 本発明の第3の実施の形態である電子レンジの、回転アンテナ付近を示す図である。
【図9】 従来の電子レンジの回転アンテナ付近を示す図である。
【符号の説明】
1 電子レンジ、5 本体枠、10 加熱室、15,35,45 回転アンテナ、20,41 アンテナ軸、21 凸部、22,44 軸受け。
Claims (1)
- 外装の内部に備える本体枠と、該本体枠内部に備えられ、食品を収容する加熱室と、マイクロ波を供給するためのマグネトロンと、前記加熱室の底部に備えられ、周囲がシールされている食品載置用底板と、該底板と前記本体枠との間に備えられ、前記マグネトロンの発振するマイクロ波を撹拝するために回転可能に構成される回転アンテナと、該回転アンテナ下方に備えられ、前記回転アンテナを回転させるためのモータ軸を有するモータと、前記回転アンテナが上端に固定され、前記モータのモータ軸と接続されるアンテナ軸と、筒形状を有して内側に前記アンテナ軸を収容し、前記本体枠に固定される軸受けと、を含む電子レンジであって、前記アンテナ軸と前記モータのモータ軸とは重ねて嵌め込まれるとともに、前記アンテナ軸と前記モータ軸との重なる距離は、前記回転アンテナの上面と前記底板との距離より大きくしていることを特徴とする電子レンジ。
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