JP3668008B2 - ストレプトミセスの新規株及びその利用 - Google Patents

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    • C12R2001/465Streptomyces
    • C12R2001/51Streptomyces candidus

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007-2と称されるストレプトミセス種(Streptomyces sp.)の新規株、該株の調整培地、該培地の用途、該株を使用するボレリジンの製造法、およびボレリジンの新規用途に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】
真菌(Fungal)植物病原体は、農業および園芸業において深刻な経済的損失を引き起こす原因因子の1つである。感染植物は、発芽および成長の抑制ならびに軟腐または枯死を示す。さらに、植物病原性真菌で汚染された土壌は、ある種の作物の成長に適さない場合がある。
【0003】
エキビョウキン(フィトフトラ)種(Phytophthora spp.)は、広範な宿主域に対して疾患(例えば、メロンおよび果実の茎および葉の病変)を引き起こす重要な土壌伝染性真菌植物病原体である。植物の感染部分は、初期段階では水浸潤性病変を示す。その病変は、急速に褐色になり腐敗する。湿気が高く維持されると、多量の白色真菌体が増殖し、その結果、褐色の斑点を有する腐敗した中空の果実が生じる。植物の苗は、エキビョウキン種(Phytophthora spp.)に感染するとたちまち枯死する。地上の前記植物の茎および葉は、一旦感染すると、黄変し、硬化するか又はしおれる。
【0004】
フハイカビ種(Pythium spp.)は、アブラナ種(Cruciferae spp.)およびメロンの苗に疾患を引き起こすもう1つの重要な土壌伝染性真菌植物病原体である。この病原体に感染した出芽段階の種子は、出芽しないか又は腐敗する。感染した苗は、感染部分に水浸潤性病変を示し、しおれ、枯死する。立枯れ苗の場合には、感染組織が褐色になり、乾燥し、細くなり、矮化する。
【0005】
現在のところ、エキビョウキン(Phytophthora)およびフハイカビ(Pythium)の感染症を治療するのに広く使用されている殺真菌剤(Fungicide)は、エトリジアゾール(Etridiazole)(テラゾール(Terrazole)としても公知である)、プレビクル(Previcur)N(塩酸プロパモカルブ(Propamocarb hydrochloride)としても公知である)、メチラム(Metiram)(リンクロゾリン(Rinclozolin)としても公知である)、リドミル(Ridomil)(メタルザキシル(Metalzaxyl)としても公知である)、メルテクト(Mertect)(チアベンダゾール(Thiabendazole)としても公知である)、オキシン−コパー(Oxine-Copper)(キノレート(Quinolate)としても公知である)、ダイセン(Dithane)M-45(マンコゼブ(Mancozeb)としても公知である)、ダイセン(Dithane)Z-78(ジネブ(Zineb)としても公知である)などの化学物質である。
【0006】
それらの集中的な使用が原因で、前記化学殺真菌剤のいくつかに対する耐性株、例えば、リドミルに耐性のフィトフトラ・メガスペルマ・エフ・エスピー・メジカギニス(Phytophthora megasperma f. sp. medicaginis)が報告されている(R. M. Hungerら, Plant Dis. 66:645-649 (1982)を参照されたい)。
【0007】
さらに、環境保護に国際的な関心が寄せられている。化学殺真菌剤の乱用が生態学的に有害であることを考慮して、環境上許容される生物農薬の開発が必要とされている。
【0008】
ボレリジンは、Bergerらによりストレプトミセス・ロチ(Streptomyces rochi)の培地から1949年に初めて単離されたマクロライド糸抗生物質であり、回帰熱スピロヘータであるボレリアに有効であり、梅毒スピロヘータに対するペニシリンGの活性を増強しうると報告されている(J. Bergerら, Arch. Biochem. Biophys. 22:476-478 (1949))。
【0009】
当該技術分野においては既に、ボレリジン産生株および該抗生物質の新規用途が次々と確認されている。例えば、M. Lumbら, Nature 206:263-265 (1965)は、ストレプトミセス・グリセウス(S. griseus)C2989株により産生されるボレリジンを、細菌に対して不活性な抗ウイルス剤として記載しており、V. Prikrylovaら, Physiological Aspects 34:422-423 (1989)は、植物種子の発芽を抑制する物質としてのボレリジンを産生するストレプトミセス・ロチの(Streptomyces rochi)新規株を報告しており、DE 36 07 287A1は、新規ストレプトミセス・グリセウス(S. griseus)株により産生されるボレリジンを殺虫剤および除草剤として開示している。
【0010】
米国特許第4,759,928号は、テレポネーマ・ヒオジセンテリアエ(Treponema hydysenteriae)に有効なストレプトミセス・アルボビナセウス(S. albovinaceus)により産生される抗細菌物質を開示している。この抗細菌物質は、後にボレリジンであると確認されている。H. Maehrら, The Journal of Antibiotics, Vol. XL No. 10, pp.1455-1456 (1987)を参照されたい。
【0011】
ボレリジンは、式:
【0012】
【化1】
Figure 0003668008
【0013】
で表される2−[7−シアノ−8,16−ジヒドロ−9,11,13,15−テトラメチル−18−オキソオキサシクロオクタデカ−4,6(E,Z)−ジエン−2−イル]シクロペンタカルボン酸として化学的に特徴づけられ同定されている。M. Kuoら, The Journal of Antibiotics, Vol XLII NO. 6, pp.1066-1077 (1989)を参照されたい。
【0014】
しかしながら、前記の文献および特許(それらを参考として本明細書に組入れる)はボレリジンの抗真菌活性を開示していない。
【0015】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに、ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007-2と称される新規ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)株が見出された。該株の調整培地は、真菌に対して有効であり、種子の発芽を促進しうることが判明している。
【0016】
したがって、本発明の第1の態様では、新規株ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007-2を提供する。
【0017】
本発明の第2の態様では、該新規株の調整培地を提供する。
【0018】
本発明のもう1つの態様では、殺真菌剤として、および種子発芽刺激剤としての前記調整培地の用途を提供する。
【0019】
ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007-2の調整培地中の有効成分は、ボレリジンと同定されている。
【0020】
したがって、本発明のさらにもう1つの態様では、新規株ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007-2を培養することを含んでなる、ボレリジンの製造法を提供する。
【0021】
また、本発明は、殺真菌剤として、および種子発芽刺激剤としてのボレリジンの新規用途を提供する。
【0022】
微生物の同定および特徴づけ
新規Y21007-2株は、台湾ポンフー列島(Peng-Hu, Taiwan, ROC)で採取された土壌サンプルから分離された。該微生物は、Food Industry Research and Development Institute, Shin-Chu, Taiwan, ROCによりストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)の株と同定されている。その方法および結果は以下のとおりである。
【0023】
ストレプトミセス(Streptomyces)種の特徴づけのための国際ストレプトミセスプロジェクト(International Streptomyces Project; ISP)により推奨されている方法を用いて、分類学的および形態学的特徴づけが行われた。
【0024】
1.細胞壁の分析
培地から採取した細胞(1〜2mg)を、1滴の6N HClを含有する試験管に入れ、121℃で15分間加熱した。メタノール−H2O−濃HCl−ピリジンで薄層クロマトグラフィー(TLC)を行なった。ついでニンヒドリンを適用した。ジアミノピメリン酸(DAP)は黄緑色を呈し、他のアミノ酸は赤紫色を呈する。T. Hasegawaら, “A Rapid Analysis for Chemical Grouping of Aerobic Actinomycetes”, J. Gen. Appl. Microbiol. 29:319-322 (1983)を参照されたい。
【0025】
2.全細胞糖の分析
培地から採取した細胞(1〜2mg)を、0.25N HClを含有する試験管に入れ、121℃で15分間加熱した。n-ブタノール−H2O−ピリジン−トルエンでTLCを行なった。アニリンフタラートを適用して、糖を発色させた。T. Hasegawaら, (1983)(前掲)を参照されたい。
【0026】
3.培養特性の分析
細胞を、それぞれ酵母エキス−麦芽エキス寒天培地(ISP #2培地)、オートミール寒天培地(ISP #3培地)、無機塩デンプン寒天培地(ISP #4培地)およびグリセロール−アスパラギン寒天培地(ISP #5培地)上で14日間培養して、栄養体(vegetative mass)、気生体(aerial mass)、胞子産生および色素産生を観察した。E. B. Shirlingら, “Methods for Characterization of Streptomyces Species”, Int. J. Syst. Bacteriol., 16:313-340 (1966)を参照されたい。
【0027】
4.メラノイド色素産生の分析
細胞を、それぞれトリプトン−酵母エキスブロス(ISP #1培地)、ペプトン−酵母エキス鉄寒天培地(ISP #6培地)およびチロシン寒天培地(ISP #7培地)上で14日間培養して、メラノイド色素の産生を観察した。E. B. Shirlingら, (1966)(前掲)を参照されたい。
【0028】
5.形態学的特性の分析
細胞を寒天と共にISP #3培地およびISP #4培地から切り出し、オーブン中で1日間脱水し、イオンコーター中で金でコーティングした。走査電子顕微鏡(SEM)を用いて形態を調べた。E. B. Shirlingら, (1966)(前掲)を参照されたい。
【0029】
6.糖利用の分析
細胞を、それぞれ1%D−グルコース、L−アラビノース、D−キシロース、スクロース、D−フルクトース、ラフィノース、ラムノース、I−イノシトール、D−マンニトール、セルロースおよびサリシンを含有するISP #9培地上で14日間培養して、細胞増殖を観察した。D−グルコースを含有するか又はいずれの糖も含有しない培地を対照として使用した。E. B. Shirlingら, (1966)(前掲)を参照されたい。
【0030】
結果を表1および図1〜3に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003668008
【0032】
細胞壁アミノ酸および全細胞糖の分析
Y21007-2の細胞壁アミノ酸および全細胞糖含有物は、それぞれLL-DAPおよび少量のキシロースである。M. P. Lechevalierら, “The Chemotaxonomy of Actinomycetes.” In: Dietz, A.およびD. W. Thayer(編) Actinomycete Taxonomy. SIM Special Publication No. 6 USAの分類によると、該株は化学型ICに属し、ストレプトミセス(Streptomyces)属に帰属される。
【0033】
培養特性
Y21007-2は、ISP #2〜5培地中で良く増殖する。胞子の産生は、ISP #5培地上では不十分であるが、他の培地上では良好である。気生体の色は灰色を帯びた白であり、栄養体の色は黄色から黄色を帯びた褐色である。可溶性色素もメラノイド色素も産生しない。
【0034】
形態学的特性
Y21007-2の胞子鎖は直鎖状(図1)であり、担胞子体1個当たり7〜50個の胞子を有する(図2)。胞子の表面は平滑であり、粘着物質を有さない。
【0035】
生理学的特性
Y21007-2は、D−グルコース、D−フルクトース、D−キシロース、L−アラビノース、ラムノース、D−マンニトールおよびサリシンを利用するが、スクロース、ラフィノース、セルロースおよびI−イノシトールを利用しない。
【0036】
種の同定
Y21007-2の同定には、H. Nonomura, “Key for Classification and Identification of 458 Species of the Streptomycetes Included in ISP.”J. Ferment. Technol. 52:78-92 (1974)に記載されている分類を用いる。該微生物は、ストレプトミセス・カンジダス(S. candidus)およびストレプトミセス・アルボビナセウス(S. albovinaceus)の両方に類似している。該株を標準分離株と比較することにより(E. B. Shirlingら,“Cooperative Description of Type Cultures of Streptomyces. II. Species Descriptions from First Study.”Int. J. Syst. Bacteriol. 18:69-189 (1968);およびE. B. Shirlingら,“Cooperative Description of Type Cultures of Streptomyces. III. Additional Species Descriptions from First and Second Studies.”Inc. J. Syst. Bacteriol. 18:279-393 (1968))、Y21007-2がストレプトミセス・カンジダス(S. candidus)に最も関連していることが明らかになった。該株は、該種の新規株と同定されている。
【0037】
寄託の情報
ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007-2の1つの培養が、ブダペスト条約に従いアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, USA)に1998年7月2日に寄託されており、受託番号ATCC
202148が割り当てられている。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明は、第1の態様において、ストレプトミセス・カンジダス(S. candidus)Y21007-2の生物学的に純粋な培養を提供する。
【0039】
微生物の特性を改変することなく該微生物の突然変異体を得ることは、当該技術分野で公知である。例えば、突然変異体は、物理的または化学的突然変異誘発因子(例えば、紫外線、X線、ガンマ線、およびn−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジンなどの化学物質)での処理により得ることができる。また、例えば、親株の培養のスクリーニングにより天然変異体を得ることは、当該技術分野で公知である。したがって、本発明はまた、ストレプトミセス・カンジダス(S. candidus)Y21007-2の特性を保有している該株の突然変異体または変異体に関する。
【0040】
本発明のY21007-2は、ストレプトミセス(Streptomyces)種を培養するための当該技術分野で公知の任意の方法(例えば、寒天上での好気培養または発酵槽中での液内好気発酵)で培養することができる。好ましくは、該株を液内発酵する。
【0041】
増殖または発酵用の培地は、同化しうる炭素源および消化しうる窒素源を含有することが可能である。適当な炭素源には、グルコース、ラクトース、マンニトール、デキストリン、コーン、スターチ、キシロース、フルクトース、ラクトースなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
適当な窒素源には、窒素含有天然物質およびその産物、例えば、肉エキス、ペプトン、コーン浸潤溶液、酵母エキス、大豆かす、トリプトン、綿実かす、小麦かすなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。また、有機または無機窒素含有物質、例えば尿素、硝酸塩およびアンモニウム塩(例えば、硝酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなど)を使用することができる。
【0043】
所望により、Y21007-2を培養するための培地はまた、無機塩、微量元素および増殖刺激剤を含有することが可能である。
【0044】
Y21007-2を培養するための培地中で使用するのに適した無機塩には、亜鉛、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、塩化物塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩などを与えうる塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
さらに、該生物の増殖および成長に必要な必須微量元素を培地中に加えることも可能である。そのような微量元素は、一般には、該生物の増殖要件を満たすのに十分な量で培地の他の成分中の不純物として存在する。
【0046】
本発明で使用するのに適した増殖刺激剤には、グリセロールおよびナトリウム塩(例えば、酢酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムなど)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本明細書中で用いる「調整培地」なる語は、濾過、分離または精製に付すことなく適当な培地中でのY21007-2の発酵から直接生じた、細胞成分および非細胞成分の両方を含むフラスコまたは発酵槽中の全含有物を意味する。
【0048】
一般には、フラスコ中および発酵槽中の両方における発酵により、十分な量のY21007-2調整培地を得ることができる。好ましくは、該発酵を発酵槽中で行なう。
【0049】
本発明では、十分な量の調整培地を得るための発酵は、約15℃〜約45℃、好ましくは約25℃〜約35℃、最も好ましくは約30℃の温度の好気条件下で行なう。
【0050】
通常の好気培養法の場合と同様に、該培地を通常のタービンインペラーで攪拌しながら、無菌空気を容器内に底から吹き込む。一般には、通気速度および攪拌速度は、0.2barの容器内圧で空気飽和の少なくとも30%の溶存酸素レベルを維持するのに十分なものとなるべきである。
【0051】
発酵槽中のpH値は、培地および使用する接種物の量によって異なる。典型的には、該pH値は、弱酸性から塩基性に維持する。必要に応じて、接種前または発酵中に、発酵槽中のpH値を、弱酸性から塩基性(例えば、pH約6.0〜pH約9.0)に適宜調節することができる。好ましくは、接種前に該pH値を、pH約6.5〜pH約8.5、最も好ましくはpH約7.5〜pH約8.5に調節する。
【0052】
pH値を調節するためには、当該技術分野で公知の任意の塩基性物質(例えば、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩)を使用することができる。
【0053】
原則として、ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007-2の培養時間は、所望の活性を有する十分な量の調整培地を得るのに十分なものとなるべきである。一般には、培養を約24〜約144時間、好ましくは約60〜約120時間、最も好ましくは約72〜約96時間行なう。
【0054】
さらに、過剰な泡の生成を抑制するために、発酵中に消泡剤を適宜加えることができる。例えば、分子量約2000のポリプロピレングリコールを、培地1リットル当たり約0.2gの量で培地に加えることができる。
【0055】
ボレリジンは、本発明のストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007-2の調整培地から単離されている。したがって、本発明は、さらにもう1つの態様において、本発明のストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007-2またはその突然変異体もしくは変異体を培養することを含んでなるボレリジンの製造法に関する。
【0056】
大きな発酵槽に胞子形成生物を接種する場合には一般に時間遅れを伴うため、活発に増殖する該生物の新鮮な培地を得るために、小容量の培地に胞子形態またはその菌糸断片を接種することにより調製した栄養(vegetative)接種物を使用するのが好ましい。ついで該栄養接種物をより大きな容器に移し、ついで所望の抗生物質の製造工程を開始する。
【0057】
Y21007-2ストック培養を培養するのに適した培地には、ジャガイモデキストロースブロス(PDB)、栄養ブイヨン(NB)、NGY培地(8g/リットルのNB、10g/リットルのグルコースおよび5g/リットルの酵母エキスを含有)およびSL培地(10g/リットルの大豆タンパク質および5g/リットルのラクトースを含有)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
発酵槽中でY21007-2を培養するのに適した培地には、NGYおよびSS培地(30g/リットルの大豆タンパク質および30g/リットルのデンプンを含有)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本発明に従いY21007-2を発酵させた後、その調整培地を生物殺真菌剤として直接使用したり製剤化することができる。
【0060】
あるいは、当該技術分野で公知の方法により、該調整培地からボレリジンを回収することができる。例えば、該有効成分を溶媒で抽出し、クロマトグラフィーで精製することができる。本発明に従い該有効成分を分離するのに適した溶媒には、メタノール、酢酸、アセトン、水および無水酢酸(acetic acetate)またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、無水酢酸(acetic acetate)を使用する。適当なクロマトグラフィーには、薄層クロマトグラフィーおよびシリカカラムクロマトグラフィーが含まれる。
【0061】
施用の目的においては、本発明の調整培地または精製されたボレリジンを直接使用するか又は噴霧、霧化、散粉、塗布または注入に適した組成物として製剤化することができる。例えば、該組成物を、噴霧用(ready-to-spray)溶液、散剤、懸濁剤、水性、油性またはその他の高濃縮懸濁剤または分散系剤(dispersions)、乳剤、油性分散系剤、糊状剤、粉剤または顆粒剤として製剤化することができる。
【0062】
該組成物は、農業的に許容される担体、助剤または希釈剤(例えば、溶剤、乳化剤および分散剤または界面活性剤)で該有効成分を増量することにより公知方法で製造することができる。
【0063】
本発明での使用に適した溶剤には、芳香族化合物(例えば、キシレン)、塩素化芳香族化合物(例えば、クロロベンゼン)、パラフィン(例えば、鉱油画分)、アルコール(例えば、メタノールおよびブタノール)、ケトン(例えば、シクロヘキサノン)、アミン(例えば、エタノールアミンおよびジメチルホルムアミド)および水が含まれるが、これらに限定されるものではない。水を使用する場合には、他の有機溶剤を共存溶剤として使用することも可能である。
【0064】
本発明での使用に適した担体には、天然または合成無機物、例えば、カオリン、白土、タルク、チョーク、シリカ、シリカートなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
本発明での使用に適した乳化剤には、非イオンおよびアニオン乳化剤、例えば、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、アルキルスルホナート、アリールスルホナートなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
本発明での使用に適した分散剤には、リグノ亜硫酸塩廃溶液(lignosulfite waste liquros)およびメチルセルロースなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
適当な界面活性剤には、リグノ−、フェノール−、ナフタレン−およびブチルナフタレンスルホン酸、および脂肪酸の界面活性剤、アルキル−およびアルキルアリールスルホナート、アルキルラウリルエーテルおよび脂肪族アルコールスルファート、および硫酸化ヘキサ−、ヘプタ−およびオクタデカノールの塩、および脂肪族アルコールグリコールエーテルの界面活性剤、スルホン化ナフタレンおよびその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチル−、オクチル−またはノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルラウリルポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪族アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシ化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸塩廃溶液(lignosulfite waste liquros)またはメチルセルロースが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
本発明の殺真菌組成物は、エキビョウキン(フィトフトラ)(Phytophthora)およびフハイカビ(フィチウム)(Pythium)に特異的であるため、それら2つの属が引き起こす疾患、例えばフィトフトラ・カプシシ(phytophthora capsici)、フィトフトラ・シンナモミ(Phytophthora cinnamomi)、フィチウム・アファニデルマトゥム(Pythium aphanidermatum)、フィチウム・スプレンデンス(Pythium splendens)、フィチウム・スピノスム(Pythium spinosum)およびフィチウム・シルバチクム(Pythium sylvaticum)が引き起こす、例えばコショウの疫病(Phytophthora blight of pepper)(P. capsici Leonian)、キャベツのフハイカビ作物腐敗(Pythium fruit rot of cabbage)(P. aphanidermatum Fitzpatrick)、フラセレイガーベラ(flaceray gervera)(Gerbera jamesonii)およびランの疫病(Phytophthora blight)の治療および予防に使用することができる。
【0069】
真菌性疾患の治療および予防のため及び種子発芽の刺激のために本発明に従い使用するのに適した作物には、トマト、ナスビ、ピーマン、キュウリ、スイカ、カボチャ、キャベツ、エンドウ、フラセレイガーベラ(flaceray gervera)、ランなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
一般には、真菌に感染した又は真菌感染症に感受性の種子、植物または土壌を、殺真菌的または発芽刺激的に有効な量の該有効成分で処理する。例えば、本発明の調整培地または組成物を、処理すべき植物、種子または土壌上に噴霧、塗布または注入したり、あるいは処理すべき土壌と混合することができる。
【0071】
本発明の組成物は、一般には、約0.01〜約1重量%、好ましくは約0.05〜約0.1重量%の有効成分を含む。真菌感染の治療および予防には、該組成物を、約1〜約20Kg/エーカー、好ましくは約5〜約10Kg/エーカーの薬量で施用する。種子の発芽の刺激には、該組成物を、約5〜約10Kg/エーカーの薬量で施用する。
【0072】
施用効率を増加させるために、本発明の殺真菌組成物は、除草剤、殺虫剤、成長刺激剤、肥料などの他の有効成分を含むことも可能である。
【0073】
殺真菌効果を増強するために、本発明の殺真菌組成物は、殺真菌作用スペクトルを広げる他の殺真菌剤を含むことも可能である。あるいは、本発明の殺真菌組成物を、殺真菌作用スペクトルを広げる他の殺真菌成分を含む殺真菌剤と交換することができる。
【0074】
本発明の殺真菌組成物との併用またはその代用に適した有効成分には、アニリンピリミジン、アゾール、モルホリン、ストロビルリンズ(strobilurins)、シアノピロールフェニルカルバメート、ピリジンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
【実施例】
Y21007-2 のフラスコ発酵
発酵前に、Y21007-2ストック培養をPDA上で30℃で3週間培養した。
【0076】
PDAから1白金耳の微生物を採取し、100mlのNGYまたはSLを含有する500mlフラスコに接種した。該微生物を30℃、200rpmで48時間培養した。該培養を、100mlのSS培地を含有する別の500mlフラスコに8%の接種率で移し、72時間培養した。HPLCで分析したボレリジンの量(A)を表2に示す。
【0077】
【表2】
Figure 0003668008
【0078】
実施例2
Y21007-2 のタンク発酵
該培養を、SS培地を含有する20リットルのチェマップ(Chemap)発酵槽に移し72時間培養すること以外は実施例1と同様にして、該微生物を培養した。HPLCで分析したボレリジンの量(A)を表3に示す。
【0079】
【表3】
Figure 0003668008
【0080】
実施例3
刺激剤を用いる発酵
0.1%酢酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウムまたは酒石酸ナトリウムを添加したSS培地中、Y21007-2を30℃、200rpmで72時間培養した。添加物を含まない同様の培地を対照として使用した。ボレリジンの量をHPLCで分析した。結果を表4に示す。
【0081】
【表4】
Figure 0003668008
【0082】
実施例4
発芽刺激活性試験
エンドウ(種子15個/鉢)およびキャベツ(種子200個/鉢)を含む植物を試験した。#4メッシュで篩にかけた土壌を、肥料と40:1の比で十分に混合した。各鉢に200gの土壌を入れた。風乾し1%NaOClで消毒した種子を、各鉢に均等に入れた。実施例1で得たY21007−2調整培地のストック溶液、1.5および3希釈物で各鉢を処理した。未処理の鉢を対照として使用した。該処理は3重に行なった。温室内で7日間栽培した後、発芽率を記録した。結果を表5に示す。
【0083】
【表5】
Figure 0003668008
【0084】
表5に示すとおり、Y21007-2はエンドウおよびキャベツの種子の発芽を促進しうる。
【0085】
実施例5
Y21007-2 調整培地の広域スペクトル活性試験
Y21007-2ストック培養を、使用前にPDA上で30℃で3日間培養した。
【0086】
該コロニーをホモジナイザーでホモジナイズし、NGY培地を含有するフラスコ中に接種した。該培養を30℃、200rpmで72時間行ない、SSMを含有する20リットルの発酵槽に10%の接種率で移し、さらに88時間培養した。
【0087】
該調整培地を13000rpm、40℃で15分間遠心分離し、0.2μmの膜で濾過した。25%、10%、5%および1%の濾液を含有するPDA培地を調製し、24ウェルマイクロタイタープレート中に0.7mlの量で入れた。試験する真菌体を乾燥培地上に直径2mmで接種した。該処理は3重に行なった。該真菌を適当な温度で培養した。対照群が真菌体で覆われた後、真菌体で覆われた直径を記録し、活性抑制率(%)に換算した。結果を表6に示す。
【0088】
【表6】
Figure 0003668008
【0089】
前記表に記載のとおり、Y21007-2の調整培地はエキビョウキン(フィトフトラ)(Phytophthora)およびフハイカビ(フィチウム)(Pythium)に特異的である。
【0090】
実施例6
エキビョウキンおよびフハイカビに対する Y21007-2 の活性抑制試験
実施例5と同様にして、Y21007-2の調整培地を10×、20×、40×、80×、160×および320×希釈に調製し、フィチウム・アファニデルマトゥム(P. aphanidermatum)、フィチウム・スプレンデンス(P. splendens)、フィチウム・シルバチクム(P. sylvaticum)、フィトフトラ・カプシシ(P. capsici)およびフィトフトラ・シンナモミ(P. cinnamomi)に対する活性抑制を試験した。結果を表7〜11に示す。
【0091】
【表7】
Figure 0003668008
【0092】
【表8】
Figure 0003668008
【0093】
【表9】
Figure 0003668008
【0094】
【表10】
Figure 0003668008
【0095】
【表11】
Figure 0003668008
【0096】
実施例7
コショウの疫病に対する活性
篩にかけた150gの土壌を含有する鉢にコショウの苗を植えた(10苗/鉢)。各鉢に10mlのフィトフトラ・カプシシ(P. capsici)溶液を注入し、該鉢を更に50gの土壌で覆った。実施例5で得た調整培地を5に希釈し、30mlを試験群に注入した。該処理は3重に行なった。該かび溶液を加えなかった鉢を陽性対照として使用し、処理を受けていない鉢を陰性対照として使用した。1週および2週の時点で生存率を記録した。結果を表12に示す。
【0097】
【表12】
Figure 0003668008
【0098】
前記表に示すとおり、Y21007-2調整培地の5×希釈は、フィトフトラ・カプシシ(P. capsici)に感染した試験植物の生存率を少なくとも有意に30%増加させる。
【0099】
実施例8
Y21007-2ストック培養を、使用前にPDA上で30℃で3日間培養した。
【0100】
該コロニーを滅菌ホモジナイザーでホモジナイズし、NGYを含有するフラスコ中に接種した。該微生物を200rpm、30℃で72時間培養し、SS培地を含有する20リットル発酵槽に10%の接種率で移し、さらに72時間培養した。
【0101】
篩にかけた土壌150gを含有する各鉢に10mlのフィチウム・アファニデルマトゥム(P. aphanidermatum)溶液を注入した。Y21007−2の調整培地および濾液を共に、5×および20×に希釈した。各鉢に30mlの該希釈液を注入した。該希釈液を均等に分散させるために、いくつかの鉢を攪拌し、残りのものは攪拌しなかった。キャベツの種子を鉢に入れ(種子200個/鉢)、各鉢を更に50gの土壌で覆った。該処理は3重に行なった。エトリジアゾール(2000、約175ppm)を薬剤処理対照として使用し、処理を受けていない植物を陽性対照として使用した。生存率を2週の時点で記録した。結果を表13に示す。
【0102】
【表13】
Figure 0003668008
【0103】
実施例9
ボレリジンの単離および同定
方法
1.調整培地の濾液(10リットル)に、無水酢酸(acetic acetate)(10リットル)を加えた。該混合物を一晩、磁気で攪拌した。有機物を無水酢酸(acetic
acetate)相中に抽出した。
【0104】
2.4℃で、該混合物を8Krpmで15分間遠心分離して、該無水酢酸(acetic acetate)相を水相から分離した。
【0105】
3.該無水酢酸(acetic acetate)相を合わせ、濃縮して、所望の物質を得た。
【0106】
4.工程3で得た物質を少量のCHCl3に溶解した。該溶液を濾過して、不溶性高極性物質を除去した。
【0107】
5.該濾液を濃縮乾固し、メタノールに溶解した。該溶液を濾過して、低極性物質を除去した。
【0108】
6.該濾液を濃縮乾固した。該粗製物を少量のメタノールに溶解した。
【0109】
7.工程6からの粗製物をSephadex LH-20(メタノール)のクロマトグラフィーに数回付した。少量の精製物を更に、C18カラム(メタノール:1%酢酸=3:1;0.9ml/分;UV257nm;保持時間:6.300)のHPLCで精製した。反復注入により約8mgの化合物を得た。
【0110】
結果
得られた生成物は、それぞれ図4および5に示すH1-NMRおよびIRスペクトルを有する。融点78℃;Rf:0.58(メタノール:CHCl3=1:9;シリカ);MS:489(M+ FAB)。
【0111】
実施例10
単離されたボレリジンの抗真菌活性
方法
1.単離されたボレリジンの抗真菌活性を、フィチウム・アファニデルマトゥム(P. aphanidermatum)、フィチウム・スプレンデンス(P. splendens)、フィチウム・シルバチクム(P. sylvaticum)、フィトフトラ・カプシシ(P. capsici)およびフィトフトラ・ウルチムム(Phytophthora ultimum)に対してインビトロで試験した。
【0112】
2.単離されたボレリジンをメタノールに溶解した。低温殺菌した溶融PDA(50ml)を50℃に冷却し、0.1mlのボレリジン(メタノール中)と混合した。各真菌株は、特定の濃度(最大0.2mg/リットル)または希釈濃度で試験した。一連の5個の濃度を用いて、EC50(真菌の増殖が50%抑制される濃度)を決定した。
【0113】
3.PDA培地(50ml)を、0.1mlのボレリジン(メタノール中)と混合した。
【0114】
4.病原性真菌(2mmの真菌体)を接種した。メタノールを加えたマイクロタイタープレートを対照として使用した。対照が真菌体で完全に覆われた時点で抑制率(%)を計算し、EC50を決定した。
【0115】
結果
【0116】
【表14】
Figure 0003668008

【図面の簡単な説明】
【図1】ストレプトミセス・カンジダス(S. candidus)Y21007-2の胞子柄の走査電子顕微鏡写真。
【図2】ストレプトミセス・カンジダス(S. candidus)Y21007-2の胞子鎖の走査電子顕微鏡写真。
【図3】ストレプトミセス・カンジダス(S. candidus)Y21007-2の胞子表面の走査電子顕微鏡写真。
【図4】単離されたボレリジンの1H NMRスペクトル。
【図5】単離されたボレリジンの赤外(IR)スペクトル。

Claims (21)

  1. 微生物ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007−2またはボレリジンを生産することのできるその突然変異体もしくは変異体の生物学的に純粋な培養産物。
  2. 受託番号ATCC 202148を有する、請求項1に記載の微生物。
  3. 請求項1に記載の微生物ストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007−2またはボレリジンを生産することのできるその突然変異体もしくは変異体の調整培地。
  4. 該微生物が受託番号ATCC 202148を有する、請求項3に記載の調整培地。
  5. 請求項1に記載のストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007−2またはボレリジンを生産することのできるその突然変異体もしくは変異体を適当な培地中で好気条件下で培養することを含んでなる、殺真菌剤の製造法。
  6. 該微生物を15℃〜45℃の温度で培養する、請求項5に記載の製造法。
  7. 該温度が25℃〜35℃である、請求項6に記載の製造法。
  8. 該温度が30℃である、請求項7に記載の製造法。
  9. 該微生物を6.0〜9.0のpHで培養する、請求項5〜8のいずれか1項に記載の製造法。
  10. 該pHが7.5〜8.5である、請求項9に記載の製造法。
  11. 請求項1に記載のストレプトミセス・カンジダス(Streptomyces candidus)Y21007−2またはボレリジンを生産することのできるその突然変異体もしくは変異体を適当な培地中で好気条件下で培養し、該培地からボレリジンを回収することを含んでなる、ボレリジンの製造法。
  12. 該微生物を15℃〜45℃の温度で培養する、請求項11に記載の製造法。
  13. 該温度が25℃〜35℃である、請求項12に記載の製造法。
  14. 該温度が30℃である、請求項13に記載の製造法。
  15. 該微生物を6.0〜9.0のpHで培養する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の製造法。
  16. 該pHが7.5〜8.5である、請求項15に記載の製造法。
  17. 請求項3または4に記載の調整培地の有効量を含んでなる殺真菌剤。
  18. 農業的に許容されるその希釈剤を所望により含む、請求項17に記載の殺真菌剤。
  19. 請求項17または18に記載の殺真菌剤を施用することを含んでなる、真菌の防除方法。
  20. 請求項3または4に記載の調整培地の有効量を含んでなる生物学的発芽刺激剤。
  21. 農業的に許容されるその希釈剤を所望により含む、請求項20に記載の発芽刺激剤。
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