JP3667838B2 - コンクリート打設用パネル、それを用いたコンクリート壁面の内面更生方法およびコンクリート構造物の製造方法 - Google Patents

コンクリート打設用パネル、それを用いたコンクリート壁面の内面更生方法およびコンクリート構造物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断面が四角形状のボックスカルバート、断面円形状や断面卵形状の下水管等のコンクリート壁面を更生する際に、あるいは、コンクリート構造物を製造する際に、型枠を構成するために使用されるコンクリート打設用パネル、そのコンクリート打設用パネルを使用したコンクリート壁面の更生方法およびコンクリート構造物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
断面四角形状のボックスカルバートは、長期にわたって使用すると、内部を流れる下水によって、内面が腐食した状態になる。このために、ボックスカルバートの内面を更生することが試みられている。
【0003】
ボックスカルバートの内面は、通常、コンクリートによって更生されている。コンクリートによって更生する場合には、まず、ボックスカルバートの腐食した内面を洗浄、あるいは面荒らしした後に、合板等によって構成された型枠を、ボックスカルバートの内面に対して適当な間隔をあけた状態で設置する。型枠は、支保工によって支持された状態とされ、型枠とボックスカルバート内面との間に、コンクリートをグラウト充填して養生、および硬化させる。その後に、型枠を取り外すことにより、ボックスカルバートの内面は、コンクリートによって更生された状態になる。
【0004】
このようなボックスカルバートの更生方法では、ボックスカルバート内面は、コンクリートによって更生された状態になるが、コンクリートの表面が、ボックスカルバート内に露出した状態になっているために、経時的に腐食するという問題がある。また、下水が流れるボックスカルバート内に型枠を搬入し、さらに、コンクリートが硬化した後に型枠ボックスカルバートから搬出しなければならず、その作業に多大な労力を要するという問題もある。
【0005】
特開平6−49971号公報には、下水処理槽等のコンクリート壁面の防食工法が開示されている。この防食工法では、表面に防食シートが固着され背面にアンカーが設けられたプレキャスト板によって内外の型枠を形成し、それら内外の型枠内にコンクリートを打設して硬化させるようになっている。隣接するプレキャスト板の防食シートの側縁部同士は、防食シートと同材質の樹脂によって溶接される。
【0006】
さらに、ポリ塩化ビニル(PVC)等によって引き抜き成形された成形体(プロファイル)を、コンクリート壁面から適当な間隔をあけた状態で配置して、隣接する成形体同士をシールした状態で、根太材等によって構成された支保工によって支持し、成形体とコンクリート壁面との間にコンクリートをグラウト充填して養生および硬化させた後に、支保工を取り除くことにより、コンクリート表面に成形体が一体的に取り付けられたコンクリート壁面の更生方法も開発されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記工法に開示された防食工法では、プレキャスト板に防食シートを取り付けなければならず、その作業が煩わしいという問題がある。
【0008】
また、成形体によってコンクリート壁面を更生する方法では、成形体の強度が小さいために、充填されるコンクリートによって破壊されないように、高強度の支保工を構築する必要がある。また、成形体は衝撃に弱いために、使用中に衝撃によって破壊するおそれがあり、破壊された場合には、補修することが困難であるという問題もある。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、軽量であるために取り扱いが容易であり、しかも、打設されるコンクリートに対して高強度に係合され、かつ耐磨耗性に優れたコンクリート打設面とすることのできるコンクリート打設用パネルを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、コンクリート壁面の更生、およびコンクリート構造物の製造が容易であるコンクリート打設用パネルを提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、コンクリート壁面の更生およびコンクリート構造物の製造を容易に行える方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のコンクリート打設用パネルは、コンクリートを打設する際の型枠を形成するために使用されるコンクリート打設用パネルであって、比重が0.3〜0.8、曲げ強さが300〜1200 kgf/cm2、曲げヤング係数が3.5 × 10 4 10 × 10 4 kgf cm 2 であるウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した発泡体からなるガラス繊維強化プラスチック発泡体によって平板状に構成されており、背面にコンクリートが打設される面板と、この面板の背面に設けられており、硬化したコンクリートと係合状態となるアンカー部と、この面板の表面に貼り付けられた耐磨耗性に優れたプラスチックシート製の表面材と、を具備することを特徴とする。
【0013】
前記アンカー部は、面板のガラス長繊維の繊維方向に対して略垂直の繊維方向のガラス長繊維によって補強されたガラス繊維強化プラスチック発泡体からなり、面板背面から直線状に突出しているか、面板の背面に直線状に設けられた蟻溝である。
【0014】
前記面板の背面には、適当な間隔をあけた状態で補強鉄筋が配置されていてもよい。
【0015】
本発明のコンクリート壁面の更生方法は、このようなコンクリート打設用パネルをコンクリート壁面に対して適当な間隔をあけた状態で固定して型枠を形成し、その型枠とコンクリート壁面との間にコンクリートを充填して硬化させることにより、硬化したコンクリートとコンクリート打設用パネルのアンカー部とを係合状態で一体化させることを特徴とする。
【0016】
本発明のコンクリート構造物の製造方法は、このようなコンクリート打設用パネルによって、所定形状の型枠を形成して、面板の背面にコンクリートを充填して硬化させることにより、硬化したコンクリートとコンクリート打設用パネルのアンカー部とを係合状態で一体化させることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の一例を示す正面図、(b)はそのA−A線における断面図、(c)はそのB−B線における断面図である。
【0019】
このコンクリート打設用パネル10は、例えば、断面が四角形状になったボックスカルバートの内面を更生するために使用され、長方形の平板状をしたガラス繊維強化プラスチック発泡体製の面板11と、この面板11の表面に貼り付けられたプラスチックシート製の表面材12とを有している。
【0020】
表面材12は、面板11と同様の長方形状をしており、面板11に対して、長手方向および幅方向に若干ずれた状態で、面板11の表面に貼り付けられている。従って、面板11の表面は、長手方向に沿った一方の側縁部と、幅方向に沿った一方の側縁部とが、表面材12によって覆われずに露出した状態になっており、また、表面材12は、面材11表面における露出した各側縁部とは反対側の各側縁部に沿って、面板11表面から延出した状態になっている。表面材12は、超高分子量ポリエチレン、MCナイロン等の耐磨耗性に優れた材料によって構成されている。
【0021】
面板11の背面には、複数のアンカー部13が取り付けられている。表面が露出した面板11の長手方向に沿った一方の側縁部の背面には、その側縁部に沿った複数のアンカー部13が、相互に等しい間隔をあけて、直線状に設けられており、直線状に並んだ各アンカー部13の間には、直交する幅方向に直線状に延びるアンカー部13が、それぞれ設けられている。幅方向に延びる各アンカー部13は、長手方向に延びるアンカー部13の間に位置する端部が、面板11の側縁とは近接して配置されているのに対して、他方の端部が、面板11の側縁から若干突出した状態になっている。さらに、面板11の背面における幅方向に延びる各アンカー部13の間、および各端部には、幅方向に延びるアンカー部13がそれぞれ設けられている。これらの各アンカー部13も、それぞれの端部が、面板11の側縁から若干突出した状態になっている。
【0022】
各アンカー部13は、それぞれの断面が、面板11から離れるにつれて幅寸法が広がった台形状になっている。各アンカー部13は、面板11と同様のガラス繊維強化プラスチック発泡体によって一体に成形されている。
【0023】
面板11および面板11と一体となった各アンカー部13は、例えば、ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した発泡体(積水化学社製、商品名「エスロンネオランバー FFU」)によって、比重が 0.3〜 0.8程度の軽量に構成されている。このように比重が 0.3〜 0.8のガラス長繊維によって補強されたウレタン樹脂発泡体は、曲げ強さが 300〜1200 kgf/cm2 程度になり、また、曲げヤング係数は 3.5×104 〜10×104 kgf /cm2 程度になって、木材と同等以上の曲げ強さおよび曲げヤング係数を有している。
【0024】
面板11を構成するガラス繊維強化プラスチック発泡体は、ウレタン樹脂が使用され、また、ガラス繊維は長繊維(ロービング)が使用される。
【0025】
コンクリート打設用パネル10は、ボックスカルバートのような既設管の内面を更生するために使用され、通常、内径が 600mmのマンホールから搬入されるようになっているために、幅寸法は 550mm以下とされ、また、長さは、取り扱いが容易になるように、2000〜4000mm程度に構成される。各コンクリート打設用パネル10の幅方向寸法および長手方向寸法は、更生すべきボックスカルバートの内面の大きさ、形状等によって、適宜設定される。
【0026】
幅方向寸法が大きくなる場合には、長手方向に沿った両側縁部にアンカー部13が、適宜、配置される。また、幅方向寸法が小さくなる場合には、幅方向に沿ったアンカー部13の数が少なくされる。
【0027】
このようなコンクリート打設用パネル10は、図2に示すように、断面正方形状のボックスカルバート20の内面を更生するために使用される。ボックスカルバート20は、水平状になった下側の内面20aおよび上側の内面20cと、垂直になった各側方の一対の内面20bと、各側方の内面20bと上側の内面20cとの間にそれぞれ設けられた傾斜面20dとを有している。
【0028】
ボックスカルバート20の各内面20a〜20dは、各コンクリート打設用パネル10によって更生するに際して、ウォータージェットによって、内面腐食層が洗浄または面荒らしされる。そして、洗浄または面荒らしされた各内面20a〜20dに、直線状に延びるアンカー材21がアンカーボルト22によって取り付けられる。各アンカー材21は、ボックスカルバート20の軸方向に対して直交する方向に沿った状態で、ボックスカルバート20の軸方向に対して所定のピッチで配置され。各アンカー材21は、コンクリート打設用パネル10の面板11と同様に、ガラス繊維強化プラスチック発泡体によって構成されている。
【0029】
各コンクリート打設用パネル10は、面板11の長手方向がボックスカルバート20の軸方向に沿った状態で、表面材12がボックスカルバート20の内側を向くように、各アンカー材21に取り付けられる。ボックスカルバート20の各内面20a〜20bは、順次、配置されるコンクリート打設用パネル10によって、アンカー部13の厚さに相当する間隔をあけた状態で覆われて、表面材12の表面からねじ込まれてアンカー部13を挿通する取付ボルト24によって、アンカー材21に一体的に取り付けられる。
【0030】
ボックスカルバート20の側方の内面20bと上側の内面20cとの間には、傾斜面20dが設けられているが、この傾斜面20dは、幅方向寸法が短いコンクリート打設用パネル10によって覆われている。このコンクリート打設用パネル10の面板11の表面を覆う表面材12は、長手方向に沿った各側縁からそれぞれ突出した状態になっている。
【0031】
隣接するコンクリート打設用パネル10同士は、図3に示すように、一方のコンクリート打設用パネル10における面板11の露出した各側縁部に、他方のコンクリート打設用パネル10の表面材12の面板11から延出した各側縁部が重ねられるように配置される。そして、面板11から延出した各コンクリート打設用パネル10の表面材12は、隣接する面板11の各側縁部に重ねられて、そのコンクリート打設用パネル10の表面材12の側縁部にも重ねられる。そして、相互に重ねられた表面材12と、その近傍部分とが、直線状に延びる表面材カバー31によって覆われる。表面材カバー31は、その表面から挿入されてコンクリート打設用パネル10の面板11にねじ込まれた木ネジ32によって一体的に取り付けられている。
【0032】
ボックスカルバート20の傾斜面20dを覆うコンクリート打設用パネル10の表面材12は、このコンクリート打設用パネル10に隣接する各コンクリート打設用パネル10における面板11の露出した表面にそれぞれ重ねられて、直線状に延びる表面材カバー31によってそれぞれ覆われているが、各表面材カバー31は、傾斜面20dを覆うコンクリート打設用パネル10に沿うように、屈曲した状態になっている。
【0033】
ボックスカルバート20における下側の内面20aを覆うコンクリート打設用パネル10と、各側方の内面20bを覆うコンクリート打設用パネル10とが、直角に突き当てられたコーナー部には、両コンクリート打設用パネル10の表面材12の表面間にわたるように配置された直線状に延びるコーナーカバー材33によって覆われている。このコーナーカバー材33は、両コンクリート打設用パネル10の各表面材12の表面に当接するとともに、両コンクリート打設用パネル10によって形成されるコーナー部を間隙をあけた状態で覆うように、屈曲された状態になっており、その間隙内に、両コンクリート打設用パネル10によって形成されたコーナー部をシールする断面円形状の直線状に延びるシール材34が配置されている。
【0034】
このように、ボックスカルバート20の各内面20a〜20dが、コンクリート打設用パネル10によって構成された型枠により覆われた状態になると、必要に応じて、型枠を支持する支保工が構築される。そして、各コンクリート打設用パネル10とボックスカルバート20の内面20a〜20dの間に、コンクリートがグラウト充填されて、コンクリートが養生および硬化される。これにより、各コンクリート打設用パネル10のアンカー部13が、硬化したコンクリート内に埋設された状態になり、各コンクリート打設用パネル10は、硬化したコンクリートと一体化した状態になる。その結果、ボックスカルバート20の各内面20a〜20dは、ガラス繊維強化プラスチック発泡体によって構成されたコンクリート打設用パネル10によって更生される。
【0035】
隣接する各コンクリート打設用パネル10同士は、例えば、図4に示すように、一方のコンクリート打設用パネル10の側縁から突出した表面材12の側縁部を、他方のコンクリート打設用パネル10の露出した面板11表面の側縁部に重ねて、各コンクリート打設用パネル10の表面材12同士を相互に重ね合わせることなく相互に突き合わせるようにしてもよい。この場合、各表面材12の相互に突き合わされた側縁部が、表面材カバー31によって覆われる。表面材カバー31は、突き合わされた表面材12の間に挿入される木ネジ32によって、コンクリート打設用パネル10の面板11に取り付けられる。
【0036】
また、図5に示すように、各コンクリート打設用パネル10の表面材12を、面板11の各側縁から突出しないように配置して、相互に突き合わされる各面板11の側面にシール材35をそれぞれ配置するようにしてもよい。各シール材35は、相互に突き合わされた状態になる。そして、突き合わされた各表面材12の側縁部が、表面材カバー31によって覆われている。この表面材カバー31は、各面板11の間を挿通して、各面板11の背面に係止される係止部31aを有しており、この係止部31aによって、表面カバー材31が、両面板11の間に支持される。
【0037】
図6(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の他の例を示す正面図、図6(b)は、そのコンクリート打設用パネルの横断面図、図6(c)は、その縦断面図である。このコンクリート打設用パネル10は、ガラス繊維強化プラスチック発泡体によって構成された長方形の平板状をした面板11と、面板11の背面に、各側縁に沿って枠状に配置された補強枠14とを有している。補強枠14は、幅方向に沿って配置された桟材15によって、長手方向に複数に分割されている。そして、長手方向に分割された補強枠14内には、幅方向に沿って直線状に延びるアンカー部13が、それぞれ設けられている。各アンカー部13は、面板11の背面から離れるにつれて幅方向寸法が広がった断面台形状になっている。
【0038】
面板11と各アンカー部13とは、ガラス繊維強化プラスチック発泡体によって一体に成形されているが、補強枠14および桟材15は、角材等によって、面板11とは別に構成されており、接着剤等によって面板11に取り付けられている。
【0039】
面板11の表面には、前述したコンクリート打設用パネル10のような表面材12は取り付けられずに、強化層として、ガラス繊維強化プラスチックの無発泡層11aが設けられている。
【0040】
面板11の長手方向に沿った一方の側縁に沿った補強枠14の枠材14aと、その枠材14aに隣接する幅方向に沿った枠材14bとの外側面には、シール体16が取り付けられている。シール体16は、各枠材14aおよび14bの外側に延出して、面板11の外方に突出した状態になっており、その突出した表面および面板11の側面にわたって水膨張ゴムによって構成されたシールゴム16aが設けられている。
【0041】
このような構成のコンクリート打設用パネル10は、例えば、図7に示すように、断面四角形状のボックスカルバート20の内面に沿うように、予め、複数が角筒状に組み立てられて型枠ユニットとされ、各型枠ユニットがボックスカルバート20内に搬入されるようになっている。そして、ボックスカルバート20内に搬入された型枠ユニット同士が相互に接合される。
【0042】
型枠ユニットにおけるボックスカルバート20の各側方の内面20bを覆う最下側のコンクリート打設用パネル10は、下側の側面にシールゴム35が設けられており、このシールゴム35がボックスカルバート20の下側の内面20aを覆うコンクリート打設用パネル10の表面に当接している。そして、両コンクリート打設用パネル10によって形成されたコーナー部が、図2に示す実施の形態と同様に、シール材34によって覆われて、このシール材34が、各コンクリート打設用パネル10に各側縁部が取り付けられるコーナーカバー材34によって覆われている。
【0043】
型枠ユニットを構成するコンクリート打設用パネル10のシール体16が突出した部分は、隣接するコンクリート打設用パネル10のシール体16が設けられていない側縁部に係合されて、係合された部分同士が木ネジ36によって連結される。
【0044】
ボックスカルバート20における傾斜面20dを覆うコンクリート打設用パネル10は、面板11が、傾斜面20dを覆い得る幅方向寸法を有するとともに、各側縁部が、ボックスカルバート20の側方の内面20bおよび上側の内面20cに平行になるように屈曲されている。そして、各屈曲された側縁部に、側方に突出するシール体16がそれぞれ設けられている。そして、このコンクリート打設用パネル10は、ボックスカルバート20の側方の内面20bおよび上側の内面20cを覆うコンクリート打設用パネル10に突き当てられて、木ネジ36によって、各コンクリート打設用パネル10にそれぞれ連結されている。
【0045】
この場合、ボックスカルバート20の下側の内面20aを覆う型枠ユニットにおけるコンクリート打設用パネル10には、図6に示すように、面板11におけるシール体16が取り付けられていないコーナー部と、その長手方向に対して反対側のコーナー部には、アジャストボルト17が、それぞれ挿通されている。各アジャストボルト17は、面板11の背面に設けられたナット部材18にネジ結合されて、面板11に取り付けられている。各アジャストボルト17の先端は、ボックスカルバート20の下側の内面20aに当接されるようになっており、各アジャストボルト17を回転操作して、面板11とボックスカルバート20の内面との間隙を調整することにより、角筒状に構成された型枠ユニットのレベル合わせが行われる。
【0046】
図7に示すように、ボックスカルバート20の下側の内面20aには、角筒状に組み立てられた型枠ユニットを搬送するための複数のレール23が、ボックスカルバート20の軸方向に沿って配置されており、各レール23は、アンカーボルト22によって固定されている。そして、各コンクリート打設用パネル10によって角筒状に構成された型枠ユニットが、ボックスカルバート20内に挿入されて、各レール23上に載せられて、順次、ボックスカルバート20の軸方向に搬送される。
【0047】
各レール23に載せられて搬送される先頭のコンクリート打設用パネル10は、図8に示すように、ボックスカルバート20の端部における下側の内面20aに、アンカーボルト22によって取り付けられた位置決め用枠材24に突き当てられる。この位置決め用枠材24は、各コンクリート打設用パネル10と同様に、ガラス繊維強化プラスチックの発泡体によって枠状に構成されており、コンクリート打設用パネル10から突出するシール体16が係合する係合部24aが内周部に設けられている。また、その表面には、ガラス繊維強化プラスチックの無発泡体層24bが設けられている。レール23上を搬送される各型枠ユニットは、各コンクリート打設用パネル10のシール体16が、先行するコンクリート打設用パネル10のシール体16が設けられていない端部に係合されるように、ボックスカルバート20内を搬送される。そして、型枠ユニット同士が係合されると、隣接する各型枠ユニット同士の面板11表面のレベルが、下側に位置する各コンクリート打設用パネル10の面板11に設けられたアジャストボルト17によって調節される。
【0048】
このようにして、ボックスカルバート20の各内面20a〜20dがコンクリート打設用パネル10によって構成された各型枠によって覆われた状態になると、必要に応じて、各型枠ユニットの内部に支保工が設けられて、各型枠ユニットが支持される。そして、各型枠ユニットのコンクリート打設用パネル10と、ボックスカルバート20の各内面20a〜20dとの間に、コンクリートがグラウト充填されて硬化される。これにより、各コンクリート打設用パネル10のアンカー部13がコンクリート内に一体的に係合された状態になり、ボックスカルバート20の各内面20a〜20dが、コンクリート打設用パネル10にて更生される。
【0049】
図9は、図6に示すコンクリート打設用パネル10に、ボックスカルバート20の内面との間に充填されるコンクリートの補強となる補強鉄筋19を設けたものであり、図9(a)は、そのコンクリート打設用パネルの正面図、図9(b)は、その横断面図、図9(c)は、その縦断面図である。このコンクリート打設用パネル10は、枠状に配置された補強枠14に、長手方向に沿った一対の補強用鉄筋19と、幅方向に沿った複数の補強用鉄筋19とが、それぞれ架設されている。補強枠14内に設けられた桟材15の各端部には、スペーサー15aがそれぞれ設けられている。面板11の表面には、超高分子量ポリエチレン、MCナイロン等の耐磨耗性に優れた材料によって構成された表面材12が取り付けられている。その他の構成は、面板11には、アジャストボルト17が設けられていないことを除いて、図6に示すコンクリート打設用パネル10と同様の構成になっている。
【0050】
このようなコンクリート打設用パネル10は、図10に示すように、ボックスカルバート20内に順次、搬入されて、ボックスカルバート20の内面を覆う型枠に形成される。この場合、図11に示すように、ボックスカルバート20の一方の端部内に、位置決め用枠材24が予め設置されており、その係合部24aに、コンクリート打設用パネル10のシール体16が係合される。位置決め用枠材24の表面には、プラスチックシートによって構成された表面材24cによって覆われている。位置決め用枠材24に係合されたコンクリート打設用パネル10は、幅方向に沿った補強用鉄筋19が外された状態とされており、位置決め用枠材24に補強用鉄筋19の一方の端部が取り付けられた状態とされている。そして、コンクリート打設用パネル10が位置決め用枠材24に係合状態とされると、位置決め用枠材24に一方の端部が取り付けられた補強用鉄筋19が、コンクリート打設用パネル10の補強枠14に設けられた貫通孔に挿通される。そして、その補強用鉄筋19の他方の端部が、L字状に構成された固定具28に係止されて、固定具28がアンカーボルト29によってボックスカルバート20の下側の内面20aに固定される。
【0051】
このようにして、コンクリート打設用パネル10がボックスカルバート20の下側の内面20aに固定されると、後続のコンクリート打設用パネル10がボックスカルバート20内を搬送されて、先行するコンクリート打設用パネル10のシール体16が設けられていない端部に係合される。そして、後続のコンクリート打設用パネル10における幅方向に沿った各補強用鉄筋19の各端部が、固定具28に係止されて、固定具28がアンカーボルト29によってボックスカルバート20の下側の内面20aに固定される。
【0052】
このようにして、各コンクリート打設用パネル10は、ボックスカルバート20の下側の内面20aに固定されることにより、ボックスカルバート20内を下水が流れていても、側方の内面20b、上側の内面20c、および傾斜面20dを覆うように、コンクリート打設用パネル10によって型枠を容易に形成することができる。
【0053】
各コンクリート打設用パネル10の表面材12は、面板11から延出した側縁部を、隣接するコンクリート打設用パネル10の表面材12上に重ねた状態で、表面材カバー31によって覆われた状態とされる。そして、表面材カバー31が、木ネジ32によってコンクリート打設用パネル10の面板11に取り付けられている。
【0054】
ボックスカルバート20の各側方の内面20b、上側の内面20c、傾斜面20dも、同様にして、各コンクリート打設用パネル10によって形成される型枠により覆われた状態とされて、各コンクリート打設用パネル10がそれぞれの内面20b〜20dに固定される。
【0055】
そして、必要に応じて、各コンクリート打設用パネル10によって構成された型枠を支持する支保工が構築され、各コンクリート打設用パネル10と、ボックスカルバート20の各内面20a〜20dとの間に、コンクリートがグラウト充填されて硬化される。これにより、各コンクリート打設用パネル10のアンカー部13がコンクリート内に一体的に係合された状態になり、ボックスカルバート20の各内面20a〜20dが、コンクリート打設用パネル10によって更生される。
【0056】
図12(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの他の例を示す正面図、図12(b)は、そのコンクリート打設用パネルの側面図、図12(c)は、その底面図である。このコンクリート打設用パネル10は、ガラス繊維強化プラスチック発泡体によって構成された長方形の平板状をした面板11の背面に、長手方向に等しい間隔をあけて幅方向に沿って配置された複数の縦桟14cが配置されるとともに、各縦桟14cの背面に、長手方向に沿って延びる3本のアンカー部13が、幅方向に等しい間隔をあけて配置されている。各アンカー部13は、各縦桟14cを補強する横桟としても機能している。
【0057】
面板11は、ガラス繊維強化プラスチック発泡体によって構成されているが、各縦桟14cおよびアンカー部13は、角材等によって、面板11とは別個に構成されて、接着剤等によって取り付けられている。
【0058】
面板11の長手方向に沿った一方の側縁部と、その側縁部に隣接する幅方向に沿った側縁部には、シール体16が取り付けられている。シール体16は、面板11の側縁から延出した状態になっている。
【0059】
図13(a)は、コンクリート打設用パネルの他の例を示す正面図、図13(b)は、そのコンクリート打設用パネルの横断面図である。このコンクリート打設用パネル10は、ガラス繊維強化プラスチック発泡体によって構成された長方形の平板状をした面板11の背面に、幅方向に沿って配置された複数のアンカー部13が長手方向に等しい間隔をあけて配置されている。各アンカー部13は、面板11の背面から離れるにつれて幅方向寸法が広がった断面台形状になっている。
【0060】
面板11および各アンカー部13は、ガラス繊維強化プラスチック発泡体によって一体に形成されている。面板11の背面における各側縁のコーナーは、切欠されて溝部11bになっている。この溝部11bには、ウレタン樹脂等の充填材11cが充填されるようになっている。
【0061】
面板11の長手方向に沿った一方の側縁部と、その側縁部に隣接する幅方向に沿った側縁部には、面板11の側縁から延出した状態のシール体16が取り付けられており、そのシール体16の表面に、水膨張ゴムによって構成されたシールゴム16aが貼り付けられている。
【0062】
シール体16は、図13(c)に示すように、表面全体にシールゴム16aが貼り付けられた状態で、木ネジ16bによって面板11の背面に取り付けられている。
【0063】
相互に隣接するコンクリート打設用パネル10同士は、図13(d)に示すように、それぞれの面板11の側面同士が相互に接触するように、一方のコンクリート打設用パネル10のシール体16上に他方のコンクリート打設用パネル10の面板11が当接されて、その面板11の側縁部が、シール体16に、木ネジ36によって取り付けられる。各面板11の側縁部に形成された溝部11b同士は相互に対向した状態になり、それらの溝部11b内に、ウレタンゴム等の充填材11cが充填されて硬化される。これにより、隣接する一対のコンクリート打設用パネル10の側縁部同士が、シール体16のシールゴム16aによってシールされるとともに、溝部11b内に充填された充填材11cによってもシールされる。
【0064】
なお、図14(a)に示すように、面板11の背面には、溝部11bを設けない構成にしてもよく、また、図14(b)に示すように、面板11の背面に溝部11bを設けることなく、シール体16を、面板11の背面に接着剤によって接着して、面板11の側縁から突出した表面にシールゴム16aを設けるようにしてもよい。また、面板11に形成される充填材11c充填用の溝部11bは、面板11の背面に形成する構成に限らず、図14(c)に示すように、面板11の側面に、全周にわたって形成するようにしてもよい。この場合には、図14(d)に示すように、隣接する一対のコンクリート打設用パネル10の各溝部11b同士が対向した状態で、一方のコンクリート打設用パネル10の面板11が、他方のコンクリート打設用パネルのシール体16に、木ネジ36によって接合され、それらの溝部11b内に、ウレタンゴム等の充填材11cが充填されて硬化される。これにより、隣接するコンクリート打設用パネル10の各側縁部同士がシール体16に取り付けられたシールゴム16aと、充填材11cとによって、二重にシールされる。
【0065】
図13に示すコンクリート打設用パネル10では、通常は、長手方向がボックスカルバート20の軸方向に沿うように配置されるが、ところによっては、幅方向が軸方向に沿うように配置される場合がある。この場合には、コンクリート打設用パネル10とボックスカルバート20の内面との間にコンクリートをグラウト充填すると、幅方向に沿った各アンカー部13の周囲に、充填されるコンクリートの気泡が巻き込まれるおそれがある。このために、図15に示すように、各アンカー部13を、面板11の幅方向に対して角度θだけ、順次、異なる方向に傾斜させるようにすればよい。これにより、コンクリート内の気泡は、各アンカー部13に沿って容易に排出される。
【0066】
さらに、コンクリート打設用パネル10は、面板11の背面に直線状に突出するアンカー部13を形成する構造に替えて、図16に示すように、ガラス繊維強化プラスチック発泡体製の面板11の背面に、幅方向に沿って延びる複数の蟻溝11dを形成するようにしてもよい。各蟻溝11dは、内奥部になるにつれて幅方向寸法が広くなっている。このようなコンクリート打設用パネル10では、ボックスカルバート20の内面との間にコンクリートをグラウト充填すると、各蟻溝11d内にもコンクリートが充填された状態になり、これにより、硬化したコンクリートが面板11と一体に係合されて、面板11はアンカー効果によってコンクリートと一体化される。図16に示すコンクリート打設用パネル10では、面板11は、背面側部分が、表面側部分に対して、長手方向および幅方向に若干ずれた状態になっており、表面側部分から突出した背面側部分がシール部11eになっている。
【0067】
このように、面板11の背面に蟻溝11dを形成する場合には、図17に示すように、各蟻溝11dを、面板11の幅方向に対して所定の角度θだけ傾斜させるようにしてもよい。この場合には、コンクリート打設用パネル10が、幅方向がボックスカルバート20の軸方向に沿った状態に配置されても、各蟻溝11d内に充填されるコンクリートから容易に気泡を排出することができる。
【0068】
各コンクリート打設用パネル10をボックスカルバート20の各内面20a〜20dに固定するためには、例えば、図18に示すアンカー部材40が使用される。このアンカー部材40は、ボックスカルバート20を構成するコンクリート内に埋設される埋設部材41を有している。この埋設部材41は円筒状をしており、周面に複数のスリットが設けられて、拡径可能になっている。この埋設部材41の一方の側部には、ネジ溝が形成されている。埋設部材41は、コンクリートに形成された凹部内に、ネジ溝が形成された側部がコンクリートから延出するように嵌入されて、打ち込み釘42が内部に打ち込まれることにより、拡径した状態になり、コンクリート内に一方の側部が埋設された状態で固定される。
【0069】
埋設部材41のネジ溝は、コンクリートから延出した状態になっており、そのネジ溝には、ナット43がネジ結合されるとともに、円筒状をして内面にネジ溝が形成されたスペーサー部材44の一方の端部がネジ結合される。そして、スペーサー部材44の他方の端部にコンクリート打設用パネル10が突き当てられて、ボルト45がコンクリート打設用パネル10の表面から挿入される。ボルト45は、コンクリート打設用パネル10を貫通してスペーサー部材44内にねじ込まれている。
【0070】
このようなアンカー部材40は、例えば、図19および図20に示すように、ボックスカルバート20の各側方に位置する内面20b、上側の内面20c、および傾斜面20dを覆うコンクリート打設用パネル10を固定するために使用される。この場合、ボックスカルバート20の下側の内面20aは、高分子ポリエチレンシート51によって覆われた状態になっている。ボックスカルバート20の各側方に位置する内面20bを覆うコンクリート打設用パネル10の下端部は、支保工52によって支持されている。
【0071】
なお、各コンクリート打設用パネル10を搬送するためには、ボックスカルバート20内を流れる下水の水位以上の高さを有する台車53が使用される。
【0072】
コンクリート打設用パネル10は、ボックスカルバート20の内面20a〜20dの各内面を更生するためにのみ使用されるものではなく、コンクリート構造物を製造するためにも使用される。
【0073】
図21は、コンクリート構造物である下水処理施設60の平断面図、図22は、その側断面図である。この下水処理施設60は、複数の下水処理槽61を有しており、各下水処理槽61の内面が、本発明のコンクリート打設パネル10によって覆われた状態になっている。
【0074】
このような下水処理施設は、次のように製造される。まず、下水処理施設60の底部62が、従来通り、通常のパネルによって形成された型枠に、補強鉄筋を配置した状態で、コンクリートを打設することにより形成される。そして、打設されたコンクリートの表面を均して、各下水処理槽61の各コーナー部に傾斜状態で隆起したハンチ部を有する底面61aをそれぞれ形成する。
【0075】
このような状態で、形成された底部62上の所定位置に、補強用鉄筋(図示せず)を配置する。その後、各下水処理槽61の壁面61bを形成するべく、本発明のコンクリート打設用パネル10によって型枠を形成し、形成された型枠を支保工によって支持する。壁面61bを形成するために使用される本発明のコンクリート打設用パネル10は、面板11の背面に、直線状に延びるアンカー部13が突出した状態で設けられており、アンカー部13が垂直状態となるように各コンクリート打設用パネル10が配置される。コンクリート打設用パネル10の面板11の各側面には、隣接するコンクリート打設用パネル10同士が相互に係合状態になるように凹凸状に形成されている。そして、隣接するコンクリート打設用パネル10が係合状態になると、その係合部分がウレタン樹脂によってシールされる。また、アンカー部13には、タールウレタン、エポキシ樹脂等の接着性充填材が塗布される。
【0076】
そして、隣接する下水処理槽61の壁面61bを形成する各コンクリート打設用パネル10同士がボルト63aおよび締め付け具63bによって、例えば、従来の下水処理施設における下水処理槽間の壁部の厚さに相当する250mmの間隔を開けた状態で固定される。隣接するコンクリート打設用パネル10の接合部の背面には、シールゴム65aが表面に設けられたシール材65がそれぞれ配置されて、各コンクリート打設用パネル10に、それぞれ、木ネジ66aおよび66bによって取り付けられている。
【0077】
隣接する下水処理槽61同士を連通する連通管71を形成する場合には、壁面61bを形成するコンクリート打設用パネル10を上下方向に所定の間隔をあけた状態で配置し、左右方向に所定の間隔をあけて配置された各一対のコンクリート打設用パネル10間に、コンクリート打設用パネル10を、支持具73によって、それぞれ水平状態で支持する。そして、各コンクリート打設用パネル10同士の当接部分をシリコーンコーキング74によってシールする。
【0078】
下水処理施設60の天井部67も、補強鉄筋(図示せず)を配置した後に、本発明のコンクリート打設用パネル10を水平状に配置して、型枠を形成して、支保工によって支持する。この場合にも、隣接するコンクリート打設用パネル10の係合部分がウレタン樹脂によってシールされる。この場合、マンホール部68を形成する場合には、コンクリート打設用パネル10を垂直状態に配置して、水平状態に配置された各コンクリート打設用パネル10に突き合わされる。そして、突き合わされた部分を、シリコーンコーキング74によってシールする。
【0079】
このようにして、各下水処理槽61の壁面61bを構成するための型枠および天井部67を構成するための型枠が、それぞれ形成されると、コンクリートが打設されて、打設されたコンクリートが養生および硬化される。その後、各下水処理槽61の壁面61bを構成するべく形成された型枠の各コンクリート打設用パネル10を支持するボルト63aが、それぞれ取り外されて、各ボルト63aに替えて、例えばステンレス製のフランジ付き埋め込みボルトが取り付けられる。これにより、コンクリート打設用パネル10の表面は、埋め込みボルトの頭部が突出しない状態になる。このとき、埋め込みボルトを取り付ける際に、ゴム、あるいはシリコンシーラント等によってボルトの周囲を確実にシールする。
【0080】
最後に支保工が解体されて取り外されることにより、コンクリート打設用パネル10が、アンカー部13によってコンクリートと一体化されて、壁面61bおよび天井部68を覆う下水処理施設60が形成される。なお、各下水処理槽61に対する空気抜き孔は、コンクリートおよび接着性充填材が硬化した後に形成される。
【0081】
各コンクリート打設用パネル10は、図23および図24に示すように、アンカー部13が水平方向に沿った状態になるように配置してもよく、また、図24に示すように、各下水処理槽61の底面61aを、後加工によって適当なパネル75によって形成するようにしてもよい。この場合、パネル75は、アンカーボルト76によって底部62に取り付けられる。
【0082】
コンクリート打設用パネル10としては、面板11の背面に直線状に突出するアンカー部13が設けられているものに限らず、面板11に直線状の蟻溝が設けられたものであってもよい。この場合には、各コンクリート打設パネル10によって型枠が形成されると、蟻溝内に、タールウレタン、エポキシ樹脂等の接着性充填材が充填されて、コンクリートが打設される。また、各下水処理槽61内のコーナー部にハンチ部が設ける場合には、そのハンチ部の形状に対応した断面形状のコンクリート打設用パネル10を使用することにより、効率よく、コンクリート打設用パネル10によって型枠を形成することができる。
【0083】
本発明のコンクリート打設用パネルは、このように、比重が0.3〜0.8、曲げ強さが300〜1200 kgf/cm2、曲げヤング係数が3.5 × 10 4 10 × 10 4 kgf cm 2 であるウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した発泡体からなるガラス繊維強化プラスチック発泡体によって構成されているために、軽量であって取り扱いが容易である。また、このコンクリート打設用パネルは高強度であり、アンカー部がコンクリートに対して一体的に係合した状態になるために、コンクリート表面の補強に好適に使用することができる。更に、パネルの面板の表面には耐磨耗性に優れたプラスチックシート製の表面材が貼り付けられているので、耐磨耗性に優れたコンクリート打設面を形成することができる。
【0084】
また、面板のガラス長繊維の繊維方向に対して略垂直の繊維方向のガラス長繊維によって補強されたガラス繊維強化プラスチック発泡体からなり、面板背面から直線状に突出するようにアンカー部が設けられているために、面板のガラス長繊維の繊維方向に対して略垂直方向への膨張率を抑制することができ、コンクリートと面板との膨張率を近似させて、コンクリートと面板との剥離を防止することができる。
【0085】
このようなコンクリート打設用パネルを使用したコンクリート壁面の更生方法およびコンクリート構造物の製造方法は、コンクリート打設用パネルによって形成された型枠を取り外す必要がなく、作業が容易であり、しかも、コンクリート壁面が耐磨耗性に優れた高強度のコンクリート打設用パネルによって補強される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の一例を示す正面図、(b)は、そのA−A線における断面図、(c)は、そのB−B線における断面図である。
【図2】そのコンクリート打設用パネルによって内面が更生されるボックスカルバートの要部の断面図である。
【図3】隣接するコンクリート打設用パネル同士の接続状態の一例を示す拡大断面図である。
【図4】隣接するコンクリート打設用パネル同士の接続状態の他の例を示す拡大断面図である。
【図5】隣接するコンクリート打設用パネル同士の接続状態の他の例を示す拡大断面図である。
【図6】(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の他の例を示す正面図、(b)は、そのコンクリート打設用パネルの横断面図、(c)は、その縦断面図である。
【図7】そのコンクリート打設用パネルによって内面が更生されるボックスカルバートの要部の断面図である。
【図8】ボックスカルバートの端部におけるコンクリート打設用パネルの接合状態の一例を示す断面図である。
【図9】(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の他の例を示す正面図、(b)は、そのコンクリート打設用パネルの横断面図、(c)は、その縦断面図である。
【図10】そのコンクリート打設用パネルによって内面が更生されるボックスカルバートの要部の断面図である。
【図11】ボックスカルバートの端部におけるコンクリート打設用パネルの接合状態の一例を示す断面図である。
【図12】(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の他の例を示す正面図、(b)は、そのコンクリート打設用パネルの側面図、(c)は、その底面図である。
【図13】(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の他の例を示す正面図、(b)は、そのコンクリート打設用パネルの側面図、(c)は、その縦断面図、(d)は、そのコンクリート打設用パネル同士の接合状態を示す断面図である。
【図14】(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の他の例を示す縦断面図、(b)は、そのコンクリート打設用パネルの実施の形態のさらに他の例を示す縦断面図、(c)は、そのコンクリート打設用パネルの実施の形態のさらに他の例を示す縦断面図、(d)はそのコンクリート打設用パネルの接合状態を示す断面図である。
【図15】(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の他の例を示す正面図、(b)は、そのコンクリート打設用パネルの側面図である。
【図16】(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の他の例を示す正面図、(b)は、そのコンクリート打設用パネルの側面図、(c)は、その一部を破断して示す平面図である。
【図17】(a)は、本発明のコンクリート打設用パネルの実施の形態の他の例を示す正面図、(b)は、そのコンクリート打設用パネルの側面図である。
【図18】本発明のコンクリート打設用パネルをボックスカルバートの内面に取り付けるために使用されるアンカー部材の一例を示す断面図である。
【図19】そのアンカー部材によってコンクリート打設用パネルが内面に固定されたボックスカルバートの横断面図である。
【図20】そのボックスカルバートの縦断面図である。
【図21】本発明のコンクリート構造物の製造方法によって製造された下水処理施設の実施の形態の一例を示す要部の平断面図である。
【図22】その下水処理施設の要部の側断面図である。
【図23】本発明のコンクリート構造物の製造方法によって製造された下水処理施設の実施の形態の他の例を示す要部の平断面図である。
【図24】その下水処理施設の要部の側断面図である。
【符号の説明】
10 コンクリート打設用パネル
11 面板
12 表面材
13 アンカー部
14 補強枠
16 シール体
16a シールゴム
17 アジャストボルト
18 ナット部材
19 補強鉄筋
20 ボックスカルバート
21 アンカー材
22 アンカーボルト
31 表面材カバー
32 木ネジ
33 コーナーカバー材
34 シール材
40 アンカー部材
60 下水処理施設
61 下水処理槽

Claims (6)

  1. コンクリートを打設する際の型枠を形成するために使用されるコンクリート打設用パネルであって、比重が0.3〜0.8、曲げ強さが300〜1200 kgf/cm2、曲げヤング係数が3.5 × 10 4 10 × 10 4 kgf cm 2 であるウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した発泡体からなるガラス繊維強化プラスチック発泡体によって平板状に構成されており、背面にコンクリートが打設される面板と、この面板の背面に設けられており、硬化したコンクリートと係合状態となるアンカー部と、この面板の表面に貼り付けられた耐磨耗性に優れたプラスチックシート製の表面材と、を具備することを特徴とするコンクリート打設用パネル。
  2. 前記アンカー部は、面板のガラス長繊維の繊維方向に対して略垂直の繊維方向のガラス長繊維によって補強されたガラス繊維強化プラスチック発泡体からなり、面板背面から直線状に突出している請求項1に記載のコンクリート打設用パネル。
  3. 前記アンカー部は、面板の背面に直線状に設けられた蟻溝である請求項1に記載のコンクリート打設用パネル。
  4. 前記面板の背面には、適当な間隔をあけた状態で補強鉄筋が配置されている請求項1に記載のコンクリート打設用パネル。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート打設用パネルをコンクリート壁面に対して適当な間隔をあけた状態で固定して型枠を形成し、その型枠とコンクリート壁面との間にコンクリートを充填して硬化させることにより、硬化したコンクリートとコンクリート打設用パネルのアンカー部とを係合状態で一体化させることを特徴とするコンクリート壁面の更生方法。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート打設用パネルによって、所定形状の型枠を形成して、面板の背面にコンクリートを充填して硬化させることにより、硬化したコンクリートとコンクリート打設用パネルのアンカー部とを係合状態で一体化させることを特徴とするコンクリート構造物の製造方法。
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