JP3667572B2 - プラスチック製の球状容器を具備するエアロゾルディスペンサー - Google Patents

プラスチック製の球状容器を具備するエアロゾルディスペンサー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、推進剤ガスを用いて分配に処される液体製品を実装することを目的とした容器を具備するエアロゾルディスペンサーに関し、該容器は、使用者が作動させることにより定量の製品を放出可能な分配バルブを具備してなる。一般的にこうしたディスペンサーは、バルブに接合され、スプレーノズル等の分配口を具備してなる、例えばプッシュボタン等のバルブを作動させる手段を具備する。
【0002】
【従来の技術】
慣例として、こうしたディスペンサーの容器は、円筒状の一体型形状であり、従来より、その壁面はスズまたはアルミニウム製の単一部品である。一般的にこうした容器は、バルブ支持皿が上部に固定されてなる首部を有する。
【0003】
金属容器には、容器内部の圧力に、特に日光が降り注いでいる場合等の環境温度が過剰に高度である場合にも耐えるという優れた性能を有するという利点がある。
【0004】
しかしながら、金属容器には、収容した製品がしばしばその内壁に腐食作用を及ぼすという欠点がある。これらの原因に対し、該内壁に不活性の保護層、例えばラッカーの層または熱可塑性プラスチック製のフィルムを適用する必要がある。さらにまた、スズまたはアルミニウムの容器の場合、その製造は高価な製造工具の準備を伴い、その費用は、多数のユニットを製造した場合にのみ経済的に見合うことになる。さらには、現時点では、円筒型形状、または円筒型形状に僅かに変形を加えた形状のみが工業的に製造可能である。
【0005】
金属容器をプラスチック容器に置き換えることが、既に提唱されている。このように、仏国特許出願2,567,851号公報には、加圧内容物の実装を目的とするプラスチック容器が記載されている。このプラスチック容器は、二つの部品からなり、第一部品が円筒状の側壁を形成し、付属する底部を成す第二部品は該円筒状の壁に接合される。この組立方法では、適切に密閉するためには、組み合わせようとする二部品が接合部分において非常に精密に適合する必要があり、これは現行の成形技術では達成が困難である。さらにまた、こうした接合部分は依然として弱い箇所となり、該容器が高い内部圧に耐え得る必要があることを考慮すれば、これは一層問題であった。
【0006】
エアロゾルディスペンサー用の、ブロー成形/引張り成形により製造される円筒形状の容器もまた既知である。こうした熱可塑性プラスチック容器は、例えば仏国特許出願2,724,588号公報に記載されており、特に、多種の熱可塑性プラスチックの中でも、ポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレンナフタラートが推奨されている。
【0007】
一般に認められるように、熱可塑性プラスチック容器の使用には、前述のような金属容器に対して多くの利点がある。しかしながら、その工業的応用には、二つの主要な問題がある。第一の問題は、技術的な性質のものであり、ひ変形もしくは亀裂を生じることなく、特に高温、例えば70℃または80℃程度において十分な強度を与えることである。この程度の値の温度は、例えば日光が照りつける下に駐車された車に起こりうる。ほとんどの熱可塑性プラスチックは、こうした温度にさらされた場合、著しい軟化を呈するため、実際に1.8×105から10×105Pa程度の内部圧に耐える必要のある容器の製造には使用不可能である。
【0008】
さらにまた、エアロゾルディスペンサーの分野では、推進剤気体の導入前に容器中に内部真空(partial vacuum)を創り出すのが一般的である。したがって、空気の存在に妨げられずに、より多量の推進剤気体を噴霧に使用可能である。しかしながら、こうした内部真空を利用するには、該容器は特に強い物である必要がある。容器がそれだけの強度を有しない場合は、こうした内部真空に対する反応として変形あるいは収縮の危険性が生じる。この理由により、円筒状の容器については、容器の壁厚を増大させて内部減圧に対してより抵抗力を高めることができる。しかしながら、熱可塑性プラスチックにより提示される第二の問題が経済的なものであるため、この解決策は短絡的である。特に、比較的高温に耐えうる所定の熱可塑性プラスチックの費用は、非常に高く、こうした材料製の厚壁の容器を工業的に使用することは、これらの販売価格が相当に引き下げられない限り、考え難い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の特定の目的の一つは、エアロゾルディスペンサー、特にそのプラスチック容器が内部真空に好適に耐えうるエアロゾルディスペンサーを提供することである。こうした内部真空により、空気の存在に妨害されることなく該容器に液化推進剤気体を充填することができる。
【0010】
また、本発明の別の主題は、原価ができる限り低い、プラスチック容器を具備するタイプのエアロゾルディスペンサーを提供することである。
【0011】
本発明の更に別の主題は、そのプラスチック容器が、特に高温で高い内部圧に好適に耐え得るエアロゾルディスペンサーを提供することからなる。
【0012】
本発明の更に別の主題は、こうした容器の製造に要するプラスチックの量を最少化することからなる。
【0013】
本発明の他の主題は、以下の記述を読むにつれて明らかになるであろう。
【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
したがって、本発明は、推進剤ガスを使用して製品を分配するためのエアロゾルディスペンサーに関し、これはおよそ球の形状の容器を具備し、この容器は分配バルブを取り付けた開口部を有し、前記容器がガラス転移温度が約80℃より高温の熱可塑性プラスチック製である。“およそ球の形状の容器”との表現は、本質的に完全に一続きの、特に円筒、凹、または円錐台形状の半値幅のない容器として理解される。
【0015】
好ましくは、原料はガラス転移温度が約105℃より高温、特に約115℃以上のものを選択する。
【0016】
望ましくは、容器開口部は首部の開放端によって区切られ、前記首部が前記分配バルブを支持する皿部を固定するための圧縮縁を有する。しかしながら、首部のない容器を使用することも可能である。この場合は、主要部が弾性体製のバルブを開口部に固定することができる。首部のない容器に取り付けるこの種のバルブは、例えば仏国特許出願2,741,933号公報及び同2,757,488号公報に記載されている。
【0017】
好ましい実施態様によれば、およそ開口部と対向して、該容器は底部を有し、これにより前記ディスペンサーをほぼ平坦な表面上に安定に静置可能である。この目的のため、底部は環状の縁で形成されることが望ましい。
【0018】
本発明の望ましい態様によれば、該ディスペンサーの容器は、壁(首部及び底部以外)からなり、その厚さは0.15mmから0.5mmである。この厚さは十分に厚く、製品と推進剤気体、特に液化プロパンガス、特にイソブタン、ブタン、ペンタンまたはイソペンタンまたはこれらの混合物等の推進剤気体が容器内に実装可能である。このような厚さにより、容器製造中の原料物質の浪費が最少化される。
【0019】
好ましい実施態様によれば、該容器は50cm3から280cm3の体積を有する。好ましくは、該容器は透明または半透明である。これにより容器が製品によりどの程度満たされているか確認可能である。
【0020】
容器の製造のためには、適切な形状のパリソンのブロー成形/引張り成形を含む方法を利用することが望ましい。こうした方法は、当業者にはよく知られている。このように、ブロー成形/引張り成形の方法は、例えば仏国特許出願2,386,407号公報に記載されている。
【0021】
既述のエアロゾルディスペンサーは、特に、スプレーまたはムース/フォームの形状の分配化粧品の実装に使用可能である。
【0022】
本発明の主題についてよりよく理解されるために、添付の図面に示した本発明の一実施態様を、純粋に例示のため、非限定的な例としてここに説明する。
この図面中:
・図1には、閉位置における本発明によるディスペンサーの軸方向の断面図が示されている。
【0023】
この図はまた、1を参照すればディスペンサー全体を示している。該図は縦軸をXとしておよそ球の形状である容器2を示し、これは円筒形状の開口首部4を具備する。球の形状は若干平坦でも、軸に沿って拡張されてもよく、美観上も望ましいことは明確に理解される。
【0024】
該容器は、液体製品P、例えばヘアコンディショナー、及び液化可能ガス、例えばプロパン/ブタン混合物を収容してなる。首部4の開放端に形成された開口部には、バルブ支持皿8が固定される縁6が圧縮によって設けられている。一般的に、バルブ支持皿8は、金属製である。皿の装着を容器上に密着させるために、弾性体環状シール10が縁6と皿8との間に挿入されてなる。従来の方法によって皿8の中央に取り付けられているのは、分配バルブの本体16である。このバルブの底部末端は、浸液チューブ18に接合され、容器2の底部22にほぼ達するまで延びている。
【0025】
バルブ16に取り付けられているのは、バルブを作動させるように設計され、スプレーノズル26が設置されてなり、製品を細かい飛沫のスプレーの形態で分配するためのプッシュボタン22である。
【0026】
首部4に対向する端部では、容器2は厚さを増大させた環状縁20を備えた基部を成し、これにより該ディスペンサー1は作業面上で安定な位置に静置可能である。縁20の中央は、底部22によって閉鎖され、この底部は容器内部へ向かうドーム状(凸形)の形状である。
【0027】
容器2は、透明であり、このため容器がどの程度満たされているか見ることができる。本発明の好ましい実施態様によれば、首部4及び基部20を含む容器2は、ポリエチレンテレフタラート(PET)とポリエチレンナフタラート(PEN)とのユニットからなる熱可塑性プラスチックコポリマー製であり、前記コポリマー中のPET/PENモル比は約10/90である。このコポリマーは、約115℃のガラス転移温度を有する。
【0028】
容器2は、当業者にはよく知られたブロー成形/引張り成形によって得られる。
【0029】
【実施例】
出願人は、PET/PEN(10:90)製の適切な形状のパリソンのブロー成形/引張り成形の方法を利用して、体積214mlのほぼ球形の容器を製造した。この容器は透明で、重量が19gであった。壁部は0.45mmの平均厚を有していた。分配バルブを取り付けた後、約100mlから135mlの量の液状のヘアーコンディショナー容器内に導入した。−0.6×105Paの内部真空とすることによって、容器から空気を除去した。分配しようとする製品の性質に従って容器を加圧するため、バルブ幹部を約15gから約50gの液化推進剤の注入に使用した。20℃において、容器中の内部圧が1.8×105Paに達した。内部真空とした場合、容器のいかなる変形も認められなかった。同様に、75℃の温度まで徐々に加熱しても、容器が目に見えて変形することはなかった。
【0030】
比較試験の例として、出願人は、前記球状の容器と同体積で、直径55mmの円筒状容器を製造した。上述の圧力に耐え得るために、壁には0.55mmの厚さを持たせることが必要であった。熱可塑性プラスチック26gが、こうした円筒状容器の製造に使用された。
【0031】
こうして、本発明によれば、円筒形状の容器に比べて、約25%から30%の原料物質が節約できる。
【0032】
前述の詳細な説明には、本発明の特定の実施態様が参照される。以下に記載した本発明の思想から外れることなく、多様な変形が可能なことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の容器を示す図である。
【符号の説明】
1…エアロゾルディスペンサー、P…製品。

Claims (8)

  1. 球の形状の容器を具備し、該容器が分配バルブを取り付けた開口部を有し、前記容器がガラス転移温度が約80℃より高温の熱可塑性プラスチック製であり、前記熱可塑性プラスチックが、ポリエチレンテレフタラート(PET)とポリエチレンナフタラート(PEN)のコポリマーを含み、前記コポリマー中のPET/PENモル比が約10/90であることを特徴とする推進剤ガスを使用して製品(P)を分配するためのエアロゾルディスペンサー(1)。
  2. 前記熱可塑性プラスチックのガラス転移温度が約105℃より高温、好ましくは少なくとも約115℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のエアロゾルディスペンサー。
  3. 前記開口部が首部の開放端によって区切られ、前記首部が前記分配バルブを支持する皿部を固定するための圧縮縁を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載のエアロゾルディスペンサー。
  4. 該容器が、開口部に対向して、前記ディスペンサーをほぼ平坦な表面上に安定に静置可能な底部を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾルディスペンサー。
  5. 底部が環状の縁の形状に形成されてなることを特徴とする請求項に記載のエアロゾルディスペンサー。
  6. 該容器が、適切なパリソンのブロー成形/引張り成形により得られることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾルディスペンサー。
  7. 該容器(首部及び底部以外)が、厚さ0.15mmから0.5mmの壁面から形成されてなることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾルディスペンサー。
  8. 50cmから280cmの体積を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾルディスペンサー。
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