JP3666776B2 - 電極及びそれを用いた非水二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極及びこれを用いた非水二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化、軽量化の進歩は目覚しいものがあり、とりわけOA分野においては、デスクトップ型からラップトップ型、ノートブック型へと小型化、軽量化している。加えて、電子手帳、電子スチルカメラなどの新しい小型電子機器の分野も出現し、さらには従来のハードディスク、フロッピーディスクの小型化に加えてメモリーカードの開発が進められている。
【0003】
このような電子機器の小型化、軽量化の波の中でこれらの電力を支える電池にも、高エネルギー密度・高出力等の高性能化が要求されている。電池の種類においても、従来からあるニッケルカドミウム電池、鉛電池よりも高エネルギー密度のニッケル水素電池、リチウムイオン電池、リチウム電池の開発がなされている。特にリチウムイオン電池、リチウム電池は3V以上の高い電圧及び高いエネルギー密度を有している。
【0004】
また電池の形状においても、従来からある円筒形のものから機器の形状に合わせることができる角型電池、さらに薄い形状の薄型電池の開発が行われている。薄型電池はその電池の形状から、フレキシブルであることが望ましいが、電池をフレキシブルにするには、その構成要素である電極もフレキシブルである必要がある。
【0005】
また、電池実装においては、正極と負極を電解質を介して巻いたり、積層したりして円筒型あるいは角型電池を作製するが、電極厚みが均一で表面が平滑でないと、巻きずれ、あるいは積層ずれを生じ、短絡の原因につながりやすい。
また、正極と負極の距離が場所により異なるため、正極と負極との間のインピーダンスが場所により異なり、充放電反応の進行具合にむらが生じ易く、急速充電、急速放電時には充電不良、あるいは放電しきらない部分が生じるため、充電容量、及び放電容量の低下につながる。電極は充放電により膨張、収縮を繰り返すため、充放電のむらが生じると、むらの部分で電極にストレスが生じるため、電極活物質の脱落、電極活物質層の割れが生じ、短絡、性能低下が生じ易い。しかしながら均一で高強度の電極を作製することは難しい。
【0006】
均一な電極を作製するには、電極活物質の粒子径は小さい方がより均一になるが、電極の厚みが厚くなるに従い、電極の強度が低下し、電極の取り扱いにおいて電極活物質層の脱離、割れが生じやすくなるため、電極にストレスを与えないように取り扱う必要がある。電極活物質層の脱離、剥離が生じると、作製した二次電池の性能低下が生じるだけでなく、短絡による二次電池の発火、爆発の危険が生じる。
【0007】
電極活物質の粒子径の最適化に関しては、例えば、特開平1−304664号公報に、電極活物質の粒子径が10〜150μmの正極活物質をポリテトラフルオロエチレンを用いて加圧成形して高エネルギー密度の電極を得る方法が開示されている。
また、特開平7−142056号公報には、平均粒径が10〜35μmの正極活物質をポリテトラフルオロエチレンのバインダーとアセチレンブラック、グラファイト等の導電剤を用いて加圧成形して正極の高温保存性を高める方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、加圧成形による電極作製においては、上記粒径の正極活物質でないと、正極活物質の脱落が起き易く、また、正極活物質が絶縁体のため、正極活物質が一定以上の粒径では導電剤の量を多くしないと正極の導電性が場所により低くなるため、電極性能が低下する原因になる。
【0009】
さらに、特開平7−183047号公報には、粒子径が5〜50μmの電極活物質を用いて塗工法により電極を作製し、自己放電特性を改善する方法が開示されている。
しかしながら、上記方法には電極の厚みの開示がなく、特定の膜厚の電極を作製するには有効ではあっても、例えば膜厚が薄い電極では電極表面の荒さが大きく、電極活物質層の脱離、割れはかえって大きくなり、膜厚が厚い電極では電極の強度が十分でない欠点を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、その目的は、充放電に伴う電極の体積変化及び実装時の取り扱いに対して電極活物質層の脱落、割れが生じることのない高強度かつ平滑で、電流特性・サイクル特性・自己放電特性に優れた高性能の電極を提供すること、さらに、この電極を用いた高性能二次電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点を解決するため鋭意検討を重ねた結果、少なくとも電極活物質、バインダー及び溶媒から構成される塗工液を導電性基板上に塗布して溶媒を除去することにより作製した導電性基板の厚みを除いた電極の厚みが0.1mm以上のプレスをしていない電極において、
電極中に導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して5〜30%の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物よりなる電極活物質を含ませる(請求項1)ことにより、電極の強度を著しく向上させることができ、なおかつ電極の表面が平滑で、電流特性・サイクル特性・自己放電特性に優れた電極を提供できることを見出し本発明にいたった。
【0012】
請求項2に記載の電極は、請求項1において、導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して5〜30%の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物よりなる電極活物質を全電極活物質の重量に対して1〜50重量%、導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して5%未満の粒子径の電極活物質を全電極活物質の重量に対して50〜99重量%含み、導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して30%を超える粒子径の電極活物質を含まないことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の電極は、請求項1または2に記載された塗工後の電極をさらにプレスし、プレス後の導電性基板の厚みを除いた電極の厚みを、塗工後かつプレス前の前記電極の厚みに対して50〜90%に調整し、プレス後の導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して7〜50%の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の電極は、請求項において、プレス後の導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して7〜50%の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物を全電極活物質の重量に対して1〜50重量%、プレス後の導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して7%未満の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物を全電極活物質の重量に対して50〜99重量%含み、導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して50%を超える粒子径の電極活物質を含まないことを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の非水二次電池は、請求項1〜4のいずれか一つの項記載の電極を用いたことを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の非水二次電池は、請求項1〜4のいずれか一つの項記載の電極を正極に用いたことを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の非水二次電池(ポリマー二次電池)は、請求項5または6において、電解質に高分子固体電解質を用いたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明では、電極活物質として電極の厚みに対して5〜30%、好ましくは5〜25%の粒子径の電極活物質を含有させることにより、表面が平滑で高強度であるうえ、高性能で電極を作製することができる。また、この電極を電池に実装することで、高性能の二次電池を作製することができる。
【0021】
本発明の電極は、電極の厚みに対して5〜30%の粒子径の電極活物質が電極中で機械的な核として働き、電極の強度を著しく向上させる。本発明の電極中には、電極の厚みの30%を超える粒子径の電極活物質は存在しない。電極活物質の粒子径には、塗工される電極の厚みに対して最適値が存在し、この傾向は電極の厚みが0.1mm以上、好ましくは0.15mm以上のときに顕著である。
【0022】
電極の厚みの5〜30%の粒子径の物質は、電極活物質以外の物質であっても電極の強度に関しては十分機能するが、電極活物質以外の添加は電極のエネルギー密度を低下させることになるので、やはり電極活物質であることが望まれる。電極活物質の粒子径が電極の厚みの30%を超えると、電極表面の凹凸が大きくなり、また電極の強度も低下する。電極の活物質の最大粒子径が電極の厚みの5%以下であると、特に0.1mm以上の電極厚みになったとき電極の強度が低下し、好ましくない。
【0023】
本発明の電極には、電極厚みの5〜30%の粒子径の電極活物質が1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは7〜40重量%存在する。5〜30%の粒子径の電極活物質の量が50重量%を超えると、電極表面の凹凸が大きくなり電極の強度が低下し、好ましくない。5〜30%の粒子径の電極活物質の量が1重量%未満では電極の強度が低下し、好ましくない。本発明の電極には、電極厚みの5%未満の粒子径の電極活物質が50〜99重量%、好ましくは60〜95重量%、さらに好ましくは60から97重量%存在する。
【0024】
本発明の電極の電極活物質の最小の粒子径は0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上である。0.1μm未満ではセパレータの日詰まりの原因になり好ましくない。本発明での電極の厚みとは導電性基板上に電極活物質、バインダー、バインダーを溶解する溶媒および、必要により添加される導電剤からなる溶液を塗工法により塗布し、溶媒を除去することにより得られたものの電極活物質層の厚みであり。導電性基板の両面に塗工されたものでは、片面側の電極活物質層の厚みである。
【0025】
本発明の電極では、電極のエネルギー密度の向上、表面の平滑性を向上させるため、プレスをすることが好ましい。プレスで電極の厚みが薄くなることによって、体積当たりのエネルギー密度が向上するだけでなく、電極の導電性が向上するため急速充電特性、急速放電特性が向上する。
【0026】
しかし、プレスが強すぎると電極内に電解質を保有する量が低下するため、電極反応が電極表面でしか生じなくなるため、急速充電特性、急速放電特性は低下する。プレスの強さは、電極活物質の種類、導電性基板の種類により適宜選ばれるが、塗工後の電極厚みに対して40〜95%、好ましくは50〜90%、特に好ましくは55〜80%に調整する。プレス後の電極は、プレス後の電極厚みに対して7〜50%の粒子径の電極活物質を有していることが好ましい。
【0027】
本発明の電極は、前述のように少なくとも電極活物質、バインダー及び溶媒から構成される塗工液を導電性基板上に塗布して溶媒を除去することにより作製される。塗工液には、電極の導電性を向上させるため、必要によりアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト等の導電剤が添加される。
【0028】
前記バインダーとしてはポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピリジン系化合物、ポリフッ化ビニリデン等が例示できる。溶媒としてはバインダーを溶解あるいは分散可能な溶媒が適宜用いられる。また、導電剤及びバインダーの代わりにポリアニリン、3−アルキルチオフェン等の可溶性導電性高分子を用いることもできる。
【0029】
塗工により作製した電極は加圧成形した電極に比べ、電極活物質、導電剤、バインダーの分散状態が均一であるため、大きな電極活物質粒子を用いても電極の強度が高く、また導電性も高く、かつ生産性も高く好ましく、電池に用いた場合サイクル特性・電流特性・自己放電特性に優れている。
【0030】
本発明の電極は高強度で高性能であるため、電池以外にもセンサー,FET等の他の電気化学素子にも応用が可能である。本発明の電極を電池に用いる場合、正極、負極どちらでも効果が高いが、特に正極に用いるときに効果が大きい。
【0031】
正極活物質としては遷移金属カルコゲン化合物、導電性高分子、ジスルフィド化合物、炭素体等あるいはこれらの混合物が例示できるが、特に遷移金属カルコゲン化合物は通常、粒子状の化合物であり体積エネルギー蜜度が高く、固い粒子であるため、本発明の効果が高く、特に電極の厚みに対して5〜30%の粒子径の電極活物質としては最も好ましい。
【0032】
前記正極活物質としては下記の化合物を単独で、あるいは混合物として用いることができる。遷移金属カルコゲン化合物としてはMnO2 ,Mn2 3 ,CoO2 ,NiO2 ,TiO2 ,V2 5 ,V3 8 ,Cr2 3 ,Fe2 (SO4 3 ,Fe2 (MoO2 3 ,Fe2 (WO2 3 等の遷移金属酸化物、TiS2 ,MoS2 ,Fes等の遷移金属硫化物、これらの化合物とリチウムとの複合酸化物(例えばLiCoO2 ,LiNiO2 ,LiMn2 4 等の遷移金属カルコゲン化合物)が挙げられ、導電性高分子としてポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリカルバゾール、ポリアズレン、ポリジフェニールベンジジン等を例示できる。炭素体としては有機物を焼成したものが用いられる。ジスルフィド化合物としては2,5−ジメルカプト−1,3,4−チオジアゾールなど、S.J.Visco ,C.C.Mailhe,L.C.De Jonghe ,and M.B.Armand,J.Electrochem. Soc. 136 ,661 (1989)に示される化合物が用いられる。
【0033】
負極活物質としてはSnO2 ,TiO2 等の金属酸化物、及び天然黒鉛、石炭コークス、石油コークス、有機化合物を原料とした熱分解炭素、天然高分子、合成高分子を焼成することにより得られる炭素体等の炭素材料を例示することができる。
【0034】
本発明の電極を用いた非水電池は、少なくとも正極及び/又は負極に本発明の電極を用い、基本的には正極、負極、電解質から構成され、必要によりセパレータが用いられる。電解質としては、電解液あるいは固体電解質が用いられる。
負極活物質としては、本発明の電極を用いる以外にはリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、リチウムとアルミニウム、鉛、シリコン等とからなるリチウム合金を用いることができる。
本発明の非水電池に用いる電解液は、電解質塩と非水溶媒から構成される。
【0035】
本発明に用いる電解質塩としては通常の電解質として用いられるものであれば特に制限はないが、例えば、LiBR4 (Rはフェニル基、アルキル基),LiPF6 ,LiSbF6 ,LiAsF6 ,LiBF4 ,LiClO4 ,CF3 SO3 Li,(CF3 SO2 2 NLi,(CF3 SO2 3 CLi,C6 9 SO3 Li,C8 17SO3 Li,LiAlCl4 ,リチウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメオチル)フェニル〕ボレート等の単独あるいは混合物を例示することができる。好ましくはCF3 SO3 Li(CF3 SO2 2 NLi,(CF3 SO2 3 CLi,C6 9 SO3 Li,C8 17SO3 Li等のスルホン酸系アニオンの電解質である。
【0036】
本発明に用いる非水溶媒としてはカーボネート溶媒(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート)、アミド溶媒(N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N−メチルピロジリノン)、ラクトン溶媒(γ−ブチルラクトン、γーバレロラクトン、δ−バレロラクトン、3−メチル−1,3オキサゾリジン−2−オン等)、アルコール溶媒(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、1,2ブタンジオール、1,3ブタンジオール、1,4ブタンジオール、ジグリセリン、ポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジオール、キシレングリコール等)、エーテル溶媒(メチラール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン、アルコキシポリアルキレンエーテル等)、ニトリル溶媒(べンゾニトリル、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等)、燐酸類及び燐酸エステル溶媒(正燐酸、メタ燐酸、ピロ燐酸、ポリ燐酸、亜燐酸、トリメチルホスフェート等)、2−イミダゾリジノン類(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、ピロリドン類、スルホラン溶媒(スルホラン、テトラメチレンスルホラン)、フラン溶媒(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン)、ジオキソラン、ジオキサン、ジクロロエタンの単独あるいは2種以上の混合溶媒が使用できる。
これらのうち好ましくはカーボネート類、エーテル類、フラン溶媒である。
【0037】
セパレータとしては、電解質溶液のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ、溶液保持性に優れたものが用いられ、例えば、ガラス、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の1種以上の材質から選ばれる不織布又は織布が挙げられる。
【0038】
電解液に替わる電解質として固体電解質を用いることができる。固体電解質を用いることにより、液漏れがなくなり信頼性が向上し、また電解液の偏り・移動がなくなるため、薄い形態の電池を作製することが可能となる。
本発明に用いる固体電解質としてはポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフツ化ビニリデン、ポリアクリルアミド等をポリマーマトリックスとして前記電解質塩をポリマーマトリックス中に溶解した複合体、あるいはこれらのゲル架橋体、低分子量ポリエチレンオキサイド、クラウンエーテル等のイオン解離基をポリマー主鎖にグラフト化した高分子固体電解質あるいは高分子量重合体に前記電解液を含有させたゲル状高分子固体電解質を挙げることができるが、特にゲル状高分子固体電解質がイオン伝導度が高く、電極との界面抵抗を小さくすることができ好ましい。
【0039】
ゲル状高分子固体電解質は、少なくとも重合性モノマーあるいはオリゴマーと電解質塩から作製される。また、重合性モノマーあるいはオリゴマーと電解質塩に非水溶媒を添加し作製した高分子固体電解質ゲルは、電解液に匹敵するイオン伝導度を有するため、内部抵抗の低い電気化学素子を作製するのに最も好ましいものである。本発明の高分子固体電解質は、単独で電気化学素子に用いても何ら問題はないが、短絡を完全に防止するためにセパレータと複合化して用いても良い。前記組成物には必要により重合開始剤、貯蔵安定剤あるいはチクソ剤を添加することができる。
【0040】
本発明に用いる重合性モノマーあるいはオリゴマーとしては、その分子内に酸素原子、窒素原子、イオウ原子等の炭素以外のへテロ原子を含むものである。これらのヘテロ原子を含有する重合性化合物を非水電解液に溶解させ、重合反応させて得られる固体電解質(粘弾性体)においては、その炭素以外のヘテロ原子は電解質塩のイオン化を促進させ、固体電解質のイオン伝導性を向上させるとともに、固体電解質の強度を向上させる働きもあると考えられる。
【0041】
また、本発明で用いる重合性化合物の種類は、特に制約されず、熱重合及び活性光線重合などの重合反応を生起して得るものが包含されるが、特に活性光線による光重合性を示すものが好ましい。熱重合反応としては、ウレタン化反応の他、エポキシ基やアクリレート基による重合反応等が挙げられるが、ウレタン化反応が好ましい。また活性光線重合反応としては、不飽和カルボン酸エステル、ポリエン/ポリチオール混合物及び架橋性マクロマー(有機シラン、ポリイソチアナフテン等)による重合反応が挙げられるが、好ましくは不飽和カルボン酸エステル、ポリエン/ポリチオール混合物による反応である。
【0042】
以下特に電解液中の重合反応として優れている不飽和カルボン酸エステルの重合反応、ポリエン/ポリチオール混合物の重合反応、ポリウレタン化反応について詳述する。なお、本明細書における(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタアクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を意味する。
【0043】
本発明の固体電解質を得るための非水電解液中における重合反応は、電解質の熱分解を避けるために低温プロセスである活性光線重合反応が好ましい。
活性光線重合性化合物としては(メタ)アクリレートや、ポリエンとポリチオールとの組合せ等が挙げられる。(メタ)アクリレートとしては単官能及び多官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。単官能アクリレートとしては、アルキル(メタ)アクリレート〔メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等〕、脂環式(メタ)アクリレート〔テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等〕、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート〔ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等〕、ヒドロキシポリオキシアルキレン(オキシアルキレン基の炭素数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート〔ヒドロキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等〕及びアルコキシ(アルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート〔メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等〕が挙げられる。
【0044】
多官能(メタ)アクリレートの例としては、UV、EB硬化技術((株)総合技術センター発行)142頁〜152頁記載の光重性モノマー及び光重合性プレポリマーのうち3官能以上のモノマー、プレポリマー〔トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ぺンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0045】
アクリレートのうち、一般式が下記[化1]で表わされる、分子量500未満の化合物及び、一般式が下記[化2]で示されるものが特に好ましい。
【0046】
【化1】
Figure 0003666776
【0047】
(式中、R1 は水素原子又はメチル基、R2 は炭化水素基、又は複素環を含む基、nは1以上の整数を表す)
【0048】
【化2】
Figure 0003666776
【0049】
(式中、 R3 は水素原子又はメチル基、R4 は複素環を含む基を表わす)
【0050】
前記[化1]において、R2 は炭化水素基又は複素基を含む基を示すが、この場合、炭化水素基としては、脂肪族系及び芳香族系のものが含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等の炭素数1〜10、好ましくは1〜5のものが挙げられる。また、芳香族炭化水素基としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。複素環を含む基としては、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を含む各種の複素環基が包含され、このようなものとしては、例えば、フルフリル、テトラヒドロフルフリル等が挙げられる。
【0051】
前記[化1]で示されるアクリレートの具体例としては、アルキルエチレングリコールアクリレート〔メチルエチレングリコールアクリレート、エチルエチレングリコールアクリレート、プロピルエチレングリコールアクリート、フエニルエチレングリコールアクリレート等〕、アルキルプロピレングリコールアクリレート〔エチルプロピレングリコールアクリレート、ブチルプロピレングリコールアクリレート等〕、複素環を有するアルキレングリコールアクリレート〔フルフリルエチレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルエチレングリコールアクリレート、フルフリルプロピレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルプロピレングリコールアクリレート等〕が挙げられる。[化1]で表わされるこれらのアクリレートの分子量は通常500未満であるが、300以下がより好ましい。分子量が500以上のアクリレートでは得られる固体電解質から非水溶媒が滲出しやすい。
【0052】
前記[化2]で示される(メタ)アクリレート中に含まれる複素環は特に限定はされない。この場合、複素環を含む基としては、酸素や、窒素、イオウ等のヘテロ原子を含む複素環の残基、例えば、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基等が挙げられる。前記[化2]で示される(メタ)アクリレートとしては、例えば、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうちフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートが好ましい。
[化1]あるいは[化2]で表わされる化合物は単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用することもできる。
【0053】
前記[化1]あるいは[化2]で示される化合物には、多官能不飽和カルボン酸エステルを併用することにより、弾性率、イオン伝導度とも理想的な固体電解質を得ることができる。多官能不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものが挙げられる。
このものの好ましい具体例としては、「UV、EB硬化技術」((株)総合技術センター発行)142頁〜152頁記載の光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーのうち2官能以上のモノマー、プレポリマー、〔ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等〕が挙げられるが、3官能(メタ)アクリレートが、保液牲、イオン伝導度、強度にすぐれた固体電解質を与える点で最も好ましい。
【0054】
前記[化1]または[化2]で示される化合物又はこれを主成分とする不飽和カルボン酸エステルの使用割合は、非水電解液に対して50重量%以下、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%が良い。この範囲外では固体電解質のイオン伝導度及び強度が低下する。[化1]または[化2]の化合物に多官能不飽和カルボン酸エステルを併用する場合、その多官能不飽和カルボン酸エステルの添加量は、非水電解液に対して4重量%以下、好ましくは0.05〜2重量%であり、特に3官能不飽和カルボン酸エステルを併用する場合には、2重量%以下、好ましくは0.05〜0.5重量%という少量の添加量でイオン伝導度や強度の点で優れた固体電解質を得ることができる。
【0055】
このような多官能不飽和カルボン酸エステルの併用により、イオン伝導度や強度の点でよりすぐれた固体電解質を得ることができる。また、多官能不飽和カルボン酸エステルの併用量が多すぎると、得られる固体電解質は粘弾性体としての性状を示さず、柔軟性に欠け、特に外部応力に対してクラックを生じやすくなる。
【0056】
[化1]または[化2]で示される化合物又はこれを主成分として含む不飽和カルボン酸エステルの重合開始剤としては、カルボン化合物、べンゾイン類(べンゾイン、べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、エチルエーテル、べンゾインプロピルエーテル、べンゾインイソプロピルエーテル、べンゾインイソブチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フエニルべンゾイン等)、アントラキノン類(アントラキノン、メチルアントラキノン、クロルアントラキノン等)、その他の化合物(べンジル、ジアセチル、アセトフェノン、べンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート等)、硫黄化合物(ジフェニルスルフィド、ジチオカーバメート等)、多縮合環系炭化水素のハロゲン化物(α−クロルメチルナフタリン等)、色素類(アクリルフラビン、フルオレセン等)、金属塩類(塩化鉄、塩化銀等)、オニウム塩類(P−メトキシベンゼンジアゾニウム、ヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルアイオドニウム、トリフェニルスルフオニウム等)などの光重合開始剤が挙げられる。これらは単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用できる。
【0057】
好ましい光重合開始剤は、カルボニル化合物、硫黄化合物及びオニウム塩類である。必要により熱重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、べンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、エチルメチルケトンペルオキシド等)を併用することができるし、また、ジメチルアニリン、ナフテン酸コバルト、スルフィン酸、メルカプタン等の重合開始剤も併用できる。
【0058】
さらに、増感剤、貯蔵安定剤も必要により併用できる。増感剤及び貯蔵安定剤の具体例としては、「UV、EB硬化技術((株)総合技術センター発行)」158頁〜159頁記載の増感剤、貯蔵安定剤のうち、前者としては、尿素ニトリル化合物(N,N−ジ置換−P−アミノベンゾニトリル等)、燐化合物(トリ−n−ブチルホスフィン等)が好ましく、後者としては、第4級アンモニウムクロライド、べンゾチアゾール、ハイドロキノンが好ましい。重合開始剤の使用量は、全不飽和カルボン酸エステルに対し、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%である。この範囲外では適度な反応性が得られない。増感剤及び貯蔵安定剤の使用量は、全不飽和カルボン酸エステル100重量部に対し、通常0.1〜5重量部である。
【0059】
本発明による電解液の固体化は、前記した[化1]または[化2]で示される化合物又はこれを主成分とする不飽和カルボン酸エステルを含む非水電解液を密封容器に注入するか、あるいは支持体(例えばフィルム、金属、金属酸化物、ガラス等)にコーティングした後、熱又は活性光線で重合することにより達成される。活性光線としては、通常、光、紫外線、電子線、X線が使用できる。これらのうち、好ましくは、100〜800nmの波長を主波長とする活性光線である。
【0060】
ポリエン/ポリチオールの混合物の重合反応は、基本的には下記[化3]に示す通りである。
【0061】
【化3】
RSH→RS・+H・
RS・+CH2 =CH−CH2 R’
→RS−CH2 −CH−CH2 R’
RSH→RS−CH2 −CH2 −CH2 R’+RS・
【0062】
(前記式中、R及びR’はアルキル基等の有機基である)
【0063】
ポリエンとしては、ポリアリルエーテル化合物、ポリアリルエステル化合物があげられる。ポリアリルエーテル化合物の例としては、置換、未置換のアリルアルコールにエポキシ化合物(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、プチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピハロヒドリン、アリルグリシジルエーテル等)を付加した化合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、置換、未置換のアリルアルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを付加した化合物である。
【0064】
ポリアリルエステル化合物としては、アリルアルコール又は上記のポリアリルエーテル化合物とカルボン酸との反応生成物が挙げられる。カルボン酸の例としては、脂肪族、脂環式、及び芳香族系のモノ及びポリカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、安息香酸などのモノカルボン酸、(炭素数1〜20);アジピン酸、フタル酸などのジカルボン酸等)が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ポリアリルエーテル化合物とポリカルボン酸の反応生成物である。
【0065】
ポリチオールとしては、液状ポリサルファイド;脂肪族、脂環式及び芳香族系のポリチオール化合物;メルカプトカルボン酸エステルが挙げられる。液状ポリサルファイドとしてはチオコールLPシリーズ(東レチオコール(株))が挙げられる。このうち好ましいものは平均分子量が400以下のものである。
【0066】
脂肪族、脂環式及び芳香族系のポリチオール化合物の例としては、メタン(ジ)チオール、エタン(ジ)チオールが挙げられる。メルカプトカルボン酸エステルとしては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応又はメルカプトカルボン酸アルキルエステルと多価アルコールとのエステル交換反応により得られる化合物が挙げられる。
【0067】
メルカプトカルボン酸の例としては、2−メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸が挙げられる。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ショ糖及びこれらのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物、ブチレンオキサイド付加物)等が挙げられる。多価アルコールとして好ましいものは3価以上の多価アルコールでアルキレンオキサイド付加物を含まないものである。
【0068】
メルカプトカルボン酸アルキルエステルの例としては、2−メルカプト酢酸エチルエステル、3−メルカプトプロピオン酸メチルエステル等が挙げられる。ポリチオールのうちで好ましいものは、液状ポリサルファイド及びメルカプトカルボン酸エステルである。ポリエチレン/ポリチオールの反応混合物の重合開始剤としては、不飽和カルボン酸エステルの重合について示したものと同様のものが用いられる。
【0069】
【実施例】
実施例1〜4、比較例1
粒子径が10〜35μmのLiCoO2 (活物質)、粒子径が7μm以下のLiCoO2 (活物質)、ポリフッ化ビニリデン(バインダー)およびグラファイト(導電剤)を[表1]の割合で混合し、N−メチルピロリドン(溶媒)を加えてペースト状にしたものを、厚み20μmのアルミニウム箔上に塗布し、乾燥することにより、厚み150μmの活物質層の電極を作製した。そして、この電極を正極とし、リチウムを負極とした。電解液としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒(体積比1:1)に1.5MのLiPF6 を溶解したものを用いた。ポリプロピレン製微多孔質フィルムをセパレータに用いてコイン型電池を作製した。
作製したコイン電池を4.2Vまで充電し、各電流で3.2Vまで放電させて充放電試験を行った。[表2]に塗工後の電極の表面状態、180度折り曲げを行ったときの電極活物質層の状態および、充放電試験結果(放電電流別の容量)を示す。
【0070】
なお、上記電極は厚みが150μmであるから、電極の厚みに対して5〜30%の粒子径は7.5〜45μmとなる。したがって、上記粒子径10〜35μmは、本発明の範囲内にある。また、[表1]に示すように、実施例1〜4では粒子径10〜35μmのLiCoO2 を5〜45重量%の割合で含んでいるのに対して、比較例1ではこれを全く含んでいない点で大きく相違している。
【0071】
【表1】
Figure 0003666776
【0072】
【表2】
Figure 0003666776
【0073】
[表2]から、(1)比較例1では、放電電流の値を5mA〜30mAと大きくするに伴って電池容量が大きく低下するのに対して、実施例1〜4では電池容量の低下が小さいこと、(2)電極の表面状態に関しては、実施例1〜4と比較例1とで差がないものの、180度折り曲げ時の強度は、実施例1〜4が比較例1よりもはるかに優れていることが分かる。
【0074】
実施例5,6
実施例2においてロールプレスにより、電極の厚みを塗工後の電極の厚みに対して65%(実施例5)、80%(実施例6)に調整した以外は実施例1と同様にして充放電試験を行った。結果を[表3]に示す。
【0075】
【表3】
Figure 0003666776
【0076】
[表3]の結果から、プレスにより電極の厚みを、塗工後の電極厚みに対して65%または80%に調整することにより、エネルギー密度が高く、電流特性に優れた電極が得られることが分かる。
【0077】
比較例2,3
粒子径45〜55μmのLiCoO2 を10重量%と、粒子径が45μm以下のLiCoO2 を75重量%と、ポリフッ化ビニリデンを8重量%と、グラファイトを7重量%とを混合し、N−メチルピロリドンを加えてペースト状にしたものを、厚み20μmのアルミニウム箔上に塗布し、乾燥することにより厚み150μmの活物質層の電極を作製した。この電極を正極、リチウムを負極とした。電解液としてエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒(体積比1:1)に1.5MのLiPF6 を溶解したものを用い、コイン型電池を作製した。作製したコイン電池を5mAで4.2Vまで5時間定電流定電圧充電を行い、各電流で3.2Vまで放電させて充放電試験を行った(比較例2)。
【0078】
また、この正極をロールプレスにより、塗工後の厚みに対して80%の厚みに調整した電極についても同様にコイン型電池(比較例3)を作製し、充放電試験を行った。結果を[表4]に示す。
なお、比較例2,3では、電極の厚み(150μm)に対して30%を超える粒子径(45〜55μm)のLiCoO2 を含んでいる。
【0079】
【表4】
Figure 0003666776
【0080】
[表4]から明らかなように、比較例2の電極はもちろん、ロールプレスにより塗工後の厚みに対して80%の厚みに調整した比較例3の電極も、高強度かつエネルギー密度が高く、電流特性に優れた電極とはならなかった。
【0081】
実施例7,8
2500℃で焼成した粒子径5〜30μmのフリュードコークスを30重量%と、粒子径6μm以下の天然黒鉛を60重量%と、ポリフッ化ビニリデンを10重量%とを混合し、N−メチルピロリドンでペースト化した塗工液を、厚み10μmの銅箔上に塗布し、乾燥して厚み150μmの炭素電極を作製した。この電極を正極、リチウムを負極として実施例1と同様のコイン型電池を作製した。このコイン型電池を5mAで0Vまで6時間定電流定電圧充電を行い、0.8Vまで各電流で放電を行った。また、この電極をロールプレスにより90μmまで厚み調整した電極についても同様にコイン型電池(実施例8)を作製し、充放電試験を行った。結果を[表5]に示す。
【0082】
【表5】
Figure 0003666776
【0083】
実施例9
高分子固体電解質プレ溶液としてエトキシジエチレングリコールアクリレートを14重量%と、トリメチロールプロパントリアクリレートを0.3重量%と、ベンゾインイソプロピルエーテルを0.1重量%と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートを5:2:3の体積比で混合した混合溶媒に1.8MのLiPF6 を溶解した電解液を85.6重量%とを混合した。高分子固体電解質プレ溶液を、実施例2で作製した正極及び実施例8で作製した負極に含浸させ、超高圧水銀灯で紫外線を照射することにより、正極及び負極上に高分子固体電解質を作製した。この正極及び負極を張り合わせ、アルミラミネートフィルム外装を用いて真空封止して薄型電池を作製した。
この薄型電池を90°に折り曲げた後、30mAで4.15Vまで4時間、定電流定電圧充電を行い、各電流で放電させ電池特性を測定した。結果を[表6]に示す。
【0084】
比較例4
比較例1で作製した正極を用いる以外は実施例9と同様に薄型電池を作製し、電池特性を測定した。結果を[表6]に示す。
【0085】
【表6】
Figure 0003666776
【0086】
[表5]、[表6]の結果から、本発明によればエネルギー密度が高く、電流特性に優れた電極が得られることが明らかである。
【0087】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように請求項1、請求項2の発明によれば、電極表面が平滑で高強度であり、かつエネルギー密度が高く、電流特性に優れる電極を提供することができる。
【0090】
請求項3、請求項4の発明によれば、プレスで電極の厚みが薄くなることによって、体積当たりのエネルギー密度が向上するだけでなく、電極の導電性が向上するため急速充電特性、急速放電特性が向上する。さらに、電極表面の平滑性が向上し、かつ電極表面が高強度となる。
【0093】
請求項5〜請求項7の発明によれば、高容量で、電流特性の優れる非水二次電池を提供することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも電極活物質、バインダー及び溶媒から構成される塗工液を導電性基板上に塗布して溶媒を除去することにより作製した導電性基板の厚みを除いた電極の厚みが0.1mm以上のプレスをしていない電極において、
    電極中に導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して5〜30%の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物よりなる電極活物質を含むことを特徴とする電極。
  2. 請求項1において、導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して5〜30%の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物よりなる電極活物質を全電極活物質の重量に対して1〜50重量%、導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して5%未満の粒子径の電極活物質を全電極活物質の重量に対して50〜99重量%含み、導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して30%を超える粒子径の電極活物質を含まないことを特徴とする電極。
  3. 請求項1または2に記載された塗工後の電極をさらにプレスし、プレス後の導電性基板の厚みを除いた電極の厚みを、塗工後かつプレス前の前記電極の厚みに対して50〜90%に調整し、プレス後の導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して7〜50%の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物を含むことを特徴とする電極。
  4. 請求項において、プレス後の導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して7〜50%の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物を全電極活物質の重量に対して1〜50重量%、プレス後の導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して7%未満の粒子径のリチウムを吸蔵可能な遷移金属カルコゲン化合物を全電極活物質の重量に対して50〜99重量%含み、導電性基板の厚みを除いた電極の厚みに対して50%を超える粒子径の電極活物質を含まないことを特徴とする電極。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つの項記載の電極を用いたことを特徴とする非水二次電池。
  6. 請求項1〜4のいずれか一つの項記載の電極を正極に用いたことを特徴とする非水二次電池。
  7. 請求項5または6において、電解質に高分子固体電解質を用いたことを特徴とする非水二次電池。
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