JP3666589B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、転写媒体に沿って並列配置された複数の像担持体と、画像信号により変調されたレーザビームを前記各像担持体上に偏向走査して潜像を形成する露光手段とを備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記タンデム型の画像形成装置には大別して、
各画像形成ステーションを列状に複数配置しておき、記録紙を搬送ベルトに静電吸着させ、記録紙を順次、各ステーションへ当接させて搬送しながら、ステーションと記録紙の間へ静電転写力を印加して、複数色のトナー像を記録紙へ直接転写しながら色重ねを行う紙搬送方式と、
各画像形成ステーションを列状に複数配置しておき、各ステーションへ誘電体で形成された中間転写ベルトを当接させて搬送しながら、各ステーションで形成したトナー像をステーションと中間転写ベルトの間へ静電転写力を印加して順次、1次転写させて中間転写ベルト上で色重ねを行い、さらに中間転写ベルトから記録紙へ一括して2次転写する中間転写方式と、
の2通りの方式が採用されている。
【0003】
上記紙搬送方式では記録紙を搬送ベルトへ吸着させるための手段(ローラやブラシ)と高電圧供給電源が必要であるが、中間転写方式ではこれらの手段や電源が不要であると共に、紙搬送方式では記録紙のサイズ、厚さ、種類に応じて各画像転写部へ印加する転写バイアスを厳密に制御する必要があるが、中間転写方式では、記録紙のこうした要因とは無関係に抵抗や厚さ、表面粗さが一定の中間転写ベルトに対してトナー像の1次転写を行い、その後、一括して記録紙へ2次転写を行う際にのみ転写電圧または転写電流や当接圧といった転写条件の管理を行えば良く、したがって中間転写方式には優れる点が多い。
【0004】
一方、各画像形成ステーションの配置方式で分けると、各ステーションを水平方向に配置する方式と、各ステーションを垂直方向に配置する方式がある。これらの装置では、例えば米国特許第5278589号明細書で提案されているように、画像信号によって変調された複数のレーザビームを平行に偏向して走査する露光手段構造にし、平行に偏向走査された複数のレーザビームは、対応する像担持体に対して所定の入射角度を成して照射される。しかし、いずれの装置においても前者は設置面積が大きいという欠点があり、後者は装置の高さが高くなり机上への設置が困難であるという欠点を有している。
【0005】
そのために、従来、特開平11−95520号や特開平8−305115号において、各画像形成ステーションを斜め方向に配置させる方式が知られている。前者は、各画像形成ステーションに対応して露光装置を備え、後者は、各画像形成ステーションに共通に露光装置を備えたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなレーザ走査光学系を用いる画像形成装置の場合、像担持体の回転軸と直交する断面(軸断面)方向から観て、像担持体へ入射する入射ビームは、像担持体の入射位置での法線に対して、角度(通常2〜10°)をもって入射する。光学では、一般的にこの角度を入射角と呼び、このような入射角をとるのは、以下のような理由による。
【0007】
像担持体の軸断面での入射角が0°の場合、走査中心のビームは、像担持体へ垂直に入射することになるため、入射したビームの反射ビームは、露光装置内部に戻ってくることになり、その反射ビームは、像面と共益関係になるレーザ光源(レーザダイオード)へ戻る。その結果、レーザの発信を乱して、レーザ光源からの発光が不安定となり、画像を劣化させてしまうことから、これを防止するために上記入射角をとっている。
【0008】
しかし、複数のレーザビームをそれぞれ平行に偏向走査する構造では、複数の像担持体の配置間隔に相応した間隔の平行な複数のレーザビームの偏向走査になるため、露光手段が大型化するだけでなく、高価なものになる。さらに、露光手段の大型化及び高価な構成は、必然的に当該露光手段を搭載した画像形成装置も大型化及び高価な構成となる。
【0009】
また、副走査方向のビーム径は、大きいと像担持体や転写ベルトの速度ムラに起因した画像ジッタ(主走査方向の筋状に発生する画像の濃度ムラ)を軽減させることができる。これは、同じドット位置誤差であっても、ビーム径が大きくなるとビーム径と比較した相対的な位置誤差が小さくなり、視覚的にその誤差が認識されにくくなるためである。しかし、あまりビーム径を大きくしすぎると、画像の解像度が悪くなり、かえって画像を劣化させてしまう。そのため、副走査方向のビーム径には、最適値が存在しその最適値は色によって異なる。これは、同じジッタ量であっても色によって人間の目に目立ったり目立たなかったりするためである。この最適値に露光装置内部で像担持体表面での副走査方向のビーム径を各色毎に変えることも可能であるが、この場合には、部品、例えばコリメータレンズや走査レンズ等を全色で共通化することができなくなり、露光装置の大型化やコスト高を招くという問題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、簡単な構成により色に応じた最適なビーム径を設定でき、装置の小型化、コストの低減を可能にするものである。
【0011】
そのために本発明は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色別に転写媒体に対向して並列配置された4つの像担持体と、画像信号により変調されたレーザビームを前記各像担持体上に偏向走査して潜像を形成する露光手段とを備えた画像形成装置において、前記露光手段は、前記各像担持体に対応して画像信号により変調される4つのレーザ光源と、該各レーザ光源に対し共通の反射面で各レーザビームを偏向走査する単一の回転多面鏡と、該回転多面鏡の共通の反射面から前記各像担持体までの各レーザビームの光路を構成する光学系を有し、前記光学系は、前記各像担持体に対して前記各レーザビームの入射面において法線となす入射角がそれぞれ前記各色別に異なり、かつ前記並列配置された両端の前記像担持体に対する入射角を内側の前記像担持体より大きくしたことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の1実施の形態を示す全体構成の模式的断面図、図2は色毎の各像担持体表面での入射角を示す図、図3はレーザビームの平行移動により入射角を変える例を示す図である。図中、1は画像形成装置、2はハウジング、3は扉体、6は露光ユニット、7は画像形成ユニット、9は転写ベルトユニット、10は給紙ユニット、11は紙搬送ユニット、15はクリーニング手段、17は像担持体、18は中間転写ベルト、20は現像手段、21はスキャナ手段、21bは回転多面鏡、40は定着手段を示す。
【0015】
図1において、本実施形態の画像形成装置1は、ハウジング2と、ハウジング2の上部に形成された排紙トレイ2aと、ハウジング2の前面に開閉自在に装着された扉体3を有し、ハウジング2内には、露光ユニット(露光手段)6、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット9、給紙ユニット10が配設され、扉体3内には紙搬送ユニット11が配設されている。各ユニットは、本体に対して着脱可能な構成であり、メンテナンス時等には一体的に取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0016】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する画像形成ステーション、本実施形態ではY(イェロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)からなる4つの画像形成ステーションを備えている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kには、それぞれ、感光ドラムからなる像担持体17と、像担持体17の周囲に配設された、コロナ帯電手段からなる帯電手段19および現像手段20を有し、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、転写ベルトユニット9の下側に斜めアーチ状のラインに沿って像担持体17が上向きになるように並列配置されている。なお、各画像形成ステーションY,M,C,Kの配置順序は任意である。
【0017】
転写ベルトユニット9は、ハウジング2の下側に配設され図示しない駆動源により回転駆動される駆動ローラ12と、駆動ローラ12の斜め上方に配設される従動ローラ13と、バックアップローラ(テンションローラ)14と、これら3本のローラ間に張架されて図示矢印方向(反時計方向X)へ循環駆動される中間転写ベルト18と、中間転写ベルト18の表面に当接するクリーニング手段15とを備えている。従動ローラ13、バックアップローラ14および中間転写ベルト18は、駆動ローラ12に対して図で左側に傾斜する方向に配設され、これにより中間転写ベルト18駆動時のベルト搬送方向Xが下向きになるベルト面18aが下方に位置し、搬送方向が上向きになるベルト面18bが上方に位置するようにされている。
【0018】
したがって、各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ローラ12に対して図で左側に傾斜する方向に配設されることになる。そして、像担持体17は、アーチ状のラインに沿って中間転写ベルト18の搬送方向下向きのベルト面18aに圧接され、図示矢印に示すように中間転写ベルト18の搬送方向に回転駆動される。可撓性を有する無端スリーブ状の中間転写ベルト18は、像担持体17に対して上側から被せるように圧接させるため、像担持体17と中間転写ベルト18との間の圧力やニップ幅は、テンションローラ14により中間転写ベルト18に付与される張力、像担持体17の配置間隔、アーチの曲率などを制御することにより調整することができる。
【0019】
駆動ローラ12は、2次転写ローラ39のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ12の周面には、例えば厚さ3mm程度、体積抵抗率が105 Ω・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、2次転写ローラ39を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ12に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、2次転写部へ記録媒体が進入する際の衝撃が中間転写ベルト18に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。また、駆動ローラ12は、その径を従動ローラ13、バックアップローラ14の径より小さくすることにより、2次転写後の記録紙が記録紙自身の弾性力で剥離し易くすることができる。また、従動ローラ13を後述するクリーニング手段15のバックアップローラとして兼用させている。
【0020】
なお、中間転写ベルト18を駆動ローラ12に対して図で右側に傾斜する方向に配設し、これに対応して各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ローラ12に対して図で右側に傾斜する方向に斜めアーチ状に沿って、つまり、図1と左右対象に配設してもよい。
【0021】
クリーニング手段15は、搬送方向下向きのベルト面18a側に設けられ、二次転写後に中間転写ベルト18の表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレード15aと、回収したトナーを搬送するトナー搬送部材15bを備えている。クリーニングブレード15aは、従動ローラ13への中間転写ベルト18の巻きかけ部において中間転写ベルト18に当接されている。また、中間転写ベルト18の裏面には、後述する各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に対向して1次転写部材16が当接され、1次転写部材16には転写バイアスが印加されている。
【0022】
露光手段6は、斜め方向に配設された画像形成ユニット7の斜め下方に形成された空間に配設されている。また、露光手段6の下部でハウジング2の底部には給紙ユニット10が配設されている。露光手段6は、全体がケースに収納され、ケースは、搬送方向下向きのベルト面の斜め下方に形成される空間に配設されている。ケースの底部には、ポリゴンミラーモータ21a、ポリゴンミラー(回転多面鏡)21bからなる単一のスキャナ手段21を水平に配設されるとともに、画像信号により変調されるレーザ光源23からのレーザビームをポリゴンミラー21bで反射させ偏向走査する光学系には、単一のf−θレンズ22および各色の走査光路y、m、c、kが像担持体17へ色毎に異なる光路Bの入射角でそれぞれ非平行になって折り返すように複数の反射ミラー24を配設している。
【0023】
図2に示すように像担持体17へ入射するレーザビームBの入射面において法線となす入射角θを変えると、入射ビームの副走査方向のビーム径を変えることができる。つまり、入射角θを大きくすると、副走査方向のビーム径は、その1/cosθの比で大きくなる。一方、先に述べたように同じジッタ量であっても、色によって人間の目に目立ったり目立たなかったりし、具体的には、ブラックやマゼンタは目立ちやすく、イエローやシアンは目立ちにくいという特性がある。そこで、本実施形態では、図2に示すように各像担持体17Y,17M,17C,17Kへ入射するレーザビームの入射角θy ,θm ,θc ,θk を色毎に変えるようにする。
【0024】
露光手段6は、共通のポリゴンミラー21bの共通の反射面からのレーザビームを複数の反射ミラー24で折り返しながら放射状に反射させることにより、非平行になったレーザビームで各像担持体17を偏向走査する構成である。この場合、中央に位置する像担持体17へ入射するレーザビームの入射角θより端部に位置する像担持体17へ入射するレーザビームの入射角θを大きくすることにより、光学系をコンパクトに構成することができ、さらに露光装置を小型化し、画像形成装置を小型化することが可能となる。
【0025】
更に、共通のポリゴンミラー21bの共通の反射面の共通位置から複数のレーザビームを反射して各像担持体17を偏向走査する構成にすると、反射面の精度及びポリゴンミラー21bの回転精度がキャンセルされて、複数のレーザビームは均一に偏向走査され、偏向走査による画像ジッタの軽減が可能である。
【0026】
また、上記特性から、例えばブラックの像担持体17Kへ入射するレーザビームの入射角θk は、他の色の像担持体17Y,17M,17Cへ入射するレーザビームの入射角θy ,θm ,θc より大きくする。あるいは、イエローの像担持体17Yへ入射するレーザビームの入射角θy は、他の色の像担持体17M,17C,17Kへ入射するレーザビームの入射角θm ,θc ,θk より小さくする。勿論この場合、入射角の大小に従い図2に示すような色の像担持体の順に配置してもよいし、入射角θを大きくする色の像担持体を端側に、入射角θを大きくする色の像担持体を内側に配置してもよい。
【0027】
上記のように入射角を変える方法としては、レーザビームの入射位置を固定してその位置で入射角θを変える方法のほかに、図3に示すようにレーザビームを平行に移動させてその平行移動距離dに対応して入射角θを変える方法などもある。図3では像担持体17の回転軸と転写位置とを通る線からの距離dで表している。本実施態様のように複数の反射ミラー24を設けることにより、走査光路y、m、c、kを屈曲させ、ケースの高さを低くすることが可能となりコンパクト化が可能となるだけでなく、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17への入射角が異なるようにも、走査光路長が略同一の長さになるようにも複数の反射ミラー24の配置により設定することができる。
【0028】
上記構成からなる露光手段6においては、ポリゴンミラー21bから各色に対応した画像信号が、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成されたレーザビームで射出され、f−θレンズ22、複数の反射ミラー24を経て、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に照射され、潜像が形成される。このように各画像形成ユニット7に対する露光手段6のポリゴンミラー21bから像担持体17までの光路の長さ(光路長)が略同一の長さになるように構成することにより、各光路で走査された光ビームの走査幅も略同一になり、画像信号の形成にも特別な構成を必要としない。したがって、レーザ光源は、それぞれ異なる画像信号によってそれぞれ異なった色の画像に対応して変調されるにも関わらず、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成可能であり、共通の反射面を用いるため副走査方向の相対差から生じる色ずれを防止し、構造が簡単で安価なカラー画像形成装置を構成できる。
【0029】
また、本実施形態においては、装置下方に走査光学系を配置することにより、画像形成手段の駆動系が装置を支持するフレームへ与える振動による走査光学系の振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。とくに、スキャナ手段21をケースの底部に配置することにより、ポリゴンモータ21a自身がケース全体に与える振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。また、振動源であるポリゴンモータ21aの数を一つにすることによりケース全体に与える振動を最小限にすることができる。
【0030】
本実施形態においては、各画像ステーションY,M,C,Kが斜め方向に配設され、かつ像担持体17が斜めアーチ状のラインに沿って上向きに並列配置されて、中間転写ベルト18の搬送方向下向きのベルト面18aに圧接される関係上、トナー貯留容器26を斜め下方に傾斜して配置している。そのため、現像手段20に特別の構成を採用している。図4は図1に示す現像手段と像担持体からなる画像形成部の拡大断面図である。
【0031】
現像手段20は、図4に示すようにトナー(図のメッシュ部)を貯留するトナー貯留容器26と、このトナー貯留容器26内に形成されたトナー貯留部27と、トナー貯留部27内に配設されたトナー撹拌部材29と、トナー貯留部27の上部に区画形成された仕切部材30と、仕切部材30の上方に配設されたトナー供給ローラ31と、仕切部材30に設けられトナー供給ローラ31に当接される可撓性ブレード32と、トナー供給ローラ31および像担持体17に当接するように配設される現像ローラ33と、現像ローラ33に当接される規制ブレード34とから構成されている。
【0032】
像担持体17は中間転写ベルト18の搬送方向に回転され、現像ローラ33および供給ローラ31は、図示矢印に示すように、像担持体17の回転方向とは逆方向に回転駆動され、一方、撹拌部材29は供給ローラ31の回転方向とは逆方向に回転駆動される。トナー貯留部27において撹拌部材29により撹拌、運び上げられたトナーは、仕切部材30の上面に沿ってトナー供給ローラ31に供給され、供給されたトナーは可撓性ブレード32と摺擦して供給ローラ31の表面凹凸部への機械的付着力と摩擦帯電力による付着力によって、現像ローラ33の表面に供給される。現像ローラ33に供給されたトナーは規制ブレード34により所定厚さのコーティング層に規制され、薄層化したトナー層は、像担持体17へと搬送されて現像ローラ33と像担持体17が接触して構成するニップ部及びこの近傍で像担持体17の潜像部を現像する。
【0033】
本実施形態においては、像担持体17と対向する側の現像ローラ33、トナー供給ローラ31および現像ローラ33と規制ブレード34の当接部がトナー貯留部27内のトナーに埋没しない構成としている。この構成によって、貯留トナーの減少によって現像ローラ33に対する規制ブレード34の当接圧力の変動を防ぐことができると共に、規制ブレード34によって現像ローラ33から掻き落とされた余剰トナーがトナー貯留部27へ落下するので現像ローラ33のフィルミングを防ぐことができる。
【0034】
また、供給ローラ31と現像ローラ33の当接位置下方に現像ローラ33と規制ブレード34の当接部を位置させ、供給ローラ31によって現像ローラ33へ供給されて現像ローラ33に移行しなかった余剰トナーと、規制ブレード34によって現像ローラ33から規制除去された余剰トナーを現像手段下部のトナー貯留部27へ戻す経路を設け、トナー貯留部27へ戻ったトナーは撹拌部材29によってトナー貯留部27内のトナーと撹拌され、撹拌部材29によって再度、供給ローラ31近傍のトナー導入部へ供給される。従って、余剰トナーを供給ローラ31と現像ローラ33の摺擦部や現像ローラ33と規制ブレード34の当接部に渋滞させずに下部へ落下させてトナー貯留部27のトナーと撹拌を行うので、現像手段内のトナーの劣化が徐々に進行し、現像手段の交換直後に急激な画質変化が発生することを防ぐことができる。
【0035】
さらに、現像手段20には、現像ローラ33近傍に現像ローラ露出部20aが形成されており、一方、帯電手段であるコロナ帯電手段19には、像担持体17に対向して上向き開口部19aが形成されている。このとき、現像ローラ露出部20aの下方にコロナ帯電手段19の上向き開口部19aが位置すると、現像ローラ露出部20aからトナーが重力によりこぼれ落ちて、コロナ帯電手段19の上向き開口部19aからコロナ帯電手段19内に入り込み、コロナ帯電手段19を汚してしまうという問題が生じる。
【0036】
そこで、本実施形態においては、現像手段20の現像ローラ露出部20aに対して、コロナ帯電手段19の上向き開口部19aが重ならないように、上向き開口部19aを中間転写ベルト18側にオフセットさせるようにしている。これにより、現像ローラ露出部20aからトナーが重力によりこぼれ落ちて、上向き開口部19aからコロナ帯電手段19内に入り込み、コロナ帯電手段19を汚してしまうという問題を解消することができる。
【0037】
給紙ユニット10は、記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35から記録媒体を一枚ずつ給送するピックアップローラ36を備えている。紙搬送ユニット11は、二次転写部への記録媒体Pの給紙タイミングを規定するゲートローラ対37(一方のローラはハウジング2側に設けられている)と、駆動ローラ12および中間転写ベルト18に圧接される二次転写手段としての二次転写ローラ39と、主記録媒体搬送路38と、定着手段40と、排紙ローラ対41と、両面プリント用搬送路42を備えていえる。
【0038】
定着手段40は、少なくも一方にハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な定着ローラ対40aと、この定着ローラ対40aの少なくも一方側のローラを他方側に押圧付勢してシート材に2次転写された2次画像を記録媒体Pに押圧する押圧手段を有し、記録媒体に2次転写された2次画像は、定着ローラ対40aの形成するニップ部で所定の温度で記録媒体に定着される。本実施形態においては、転写ベルトの搬送方向上向きのベルト面18bの斜め上方に形成される空間、換言すれば、転写ベルトに対して画像形成ステーションと反対側の空間に定着手段40を配設することが可能になり、露光手段6、中間転写ベルト18、画像形成手段への熱伝達を低減することができ、各色の色ずれ補正動作を行う頻度を少なくすることができる。特に、露光手段6は、定着手段40から最も離れた位置にあり、走査光学系部品の熱による変位を最小限にすることができ、色ズレを防ぐことができる。
【0039】
本実施形態においては、中間転写ベルト18を駆動ローラ12に対して傾斜する方向に配設しているため、図で右側空間に広いスペースが生じその空間に定着手段40を配設することができ、コンパクト化を実現することができると共に、定着手段40で発生する熱が、左側に位置する露光ユニット6、中間転写ベルト18および各画像形成ステーションY,M,C,Kへ伝達されるのを防止することができる。また、画像形成ユニット7の左側下部の空間に露光ユニット6を配置することができるため、画像形成手段の駆動系がハウジング2へ与える振動による、露光ユニット6の走査光学系の振動を最小限に抑えることができ、画質の劣化を防止することができる。
【0040】
また、本実施形態においては、球形化されたトナーを用いることにより、1次転写効率を高め(略100%)、各像担持体17には、1次転写残りトナーを回収するクリーニング手段を設置していない。これにより、30mm径以下の感光体ドラムからなる各像担持体17を近接して配置することが可能となり、装置を小型化することができる。
【0041】
また、クリーニング手段を設置しないことに伴い、帯電手段としてはコロナ帯電手段19を採用している。帯電手段がローラである場合は、微量ではあるが像担持体17上に存在する1次転写残りトナーがローラ上に堆積して帯電不良が発生するが、非接触帯電手段であるコロナ帯電手段19はトナーが付着しにくく、帯電不良の発生を防ぐことができる。
【0042】
以上のような画像形成装置全体の作動の概要は次の通りである。
(1)図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置1の制御ユニットに入力されると、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17、現像手段20の各ローラ、および中間転写ベルト18が回転駆動される。
(2)像担持体17の外周面が帯電手段19によって一様に帯電される。
(3)各画像形成ステーションY,M,C,Kにおいて一様に帯電した像担持体17の外周面に、露光ユニット6によって各色の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、各色用の静電潜像が形成される。
(4)それぞれの像担持体17に形成された静電潜像が現像手段20によりトナー像が現像される。
(5)中間転写ベルト18の1次転写部材16には、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、像担持体17上に形成されたトナー像が一次転写部において中間転写ベルト18の移動に伴って順次、中間転写ベルト18上に重ねて転写される。
(7)この1次画像を1次転写した中間転写ベルト18の移動に同期して、給紙カセット35に収納された記録媒体Pが、レジストローラ対37を経て2次転写ローラ39に給送される。
(8)1次転写画像は、2次転写部位で記録媒体と同期合流し、図示省略した押圧機構によって中間転写ベルト18の駆動ローラ12に向かって押圧された2次転写ローラ39で、1次転写画像とは逆極性のバイアスが印加され、中間転写ベルト18上に形成された1次転写画像は、同期給送された記録媒体に2次転写される。
(9)2次転写に於ける転写残りのトナーは、従動ローラ13方向へと搬送されて、このローラ13に対向して配置したクリーニング手段15によって掻き取られ、そして、中間転写ベルト18はリフレッシュされて再び上記サイクルの繰り返しを可能にされる。
(10)記録媒体が定着手段40を通過することによって記録媒体上のトナー像が定着し、その後、記録媒体が所定の位置に向け(両面印刷でない場合には排紙トレイ2aに向け、両面印刷の場合には両面プリント用搬送路42に向け)搬送される。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来公知または周知の技術を必要に応じて置換または付加することが可能である。例えば、本実施形態においては、レーザービームBの像担持体17の入射位置での法線Cに対して入射角0°を避ける場合、レーザービームBの入射の方向は、法線Cに対して帯電側と現像側のいずれかになり、実施の形態では入射の方向を現像側にしたが、反対の帯電側にしてもよい。斜めアーチ状のラインに沿って複数の像担持体17を並列配置し、これらと中間転写ベルト18とを圧接させたが、縦型のアーチ状、横型のアーチ状のラインであってもよいし、ラインは直線であってもよい。この場合にも、ポリゴンミラーモータ21aの位置は、折り返しミラー24の配置により熱的に有利な位置を選択することは可能である。また、バックアップローラ14を省き、駆動ローラ12と従動ローラ13だけで、つまり少なくとも2本のローラで中間転写ベルト18を張架するものであってもよい。さらに、駆動ローラ12を下方に従動ローラ13を上方に配置しているが、従動ローラ13を下方に駆動ローラ12を上方に配置するようにしてもよい。なお、本発明においては、中間転写ベルトおよび紙搬送ベルトを総称して転写ベルトとして定義している。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色別に転写媒体に対向して並列配置された4つの像担持体と、画像信号により変調されたレーザビームを各像担持体上に偏向走査して潜像を形成する露光手段とを備えた画像形成装置において、露光手段は、各像担持体に対応して画像信号により変調される4つのレーザ光源と、該各レーザ光源に対し共通の反射面で各レーザビームを偏向走査する単一の回転多面鏡と、該回転多面鏡の共通の反射面から各像担持体までの各レーザビームの光路を構成する光学系を有し、光学系は、各像担持体に対して各レーザビームの入射面において法線となす入射角がそれぞれ各色別に異なり、かつ並列配置された両端の像担持体に対する入射角を内側の像担持体より大きくしたので、それぞれの像担持体の色に応じた入射角で副走査方向のビーム径を変えることができる。したがって、光学系により個別にビーム径の最適値を選択することができ、簡単な構成で副走査方向のビーム径を各色に最適化することができ、それぞれの色にあったビーム径で画像の解像度を落とすことなく、画像ジッタのない画像形成を行うことができ、小型で高画質な画像形成装置を提供することができる。
【0046】
更に、上記共通の反射面の共通位置から各像担持体までのレーザビームの光路を構成する光学系にすると、反射面の精度及び回転多面鏡の回転精度がキャンセルされて複数のレーザビームは均一に偏向走査され、偏向走査による画像ジッタのない画像形成を行うことができ、小型で高画質の画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像形成装置の1実施の形態を示す全体構成の模式的断面図である。
【図2】 色毎の各像担持体表面での入射角を示す図である。
【図3】 レーザビームの平行移動により入射角を変える例を示す図である。
【図4】 図1に示す現像手段及び像担持体からなる画像形成部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1…画像形成装置、2…ハウジング、3…扉体、6…露光ユニット、7…画像形成ユニット、9…転写ベルトユニット、10…給紙ユニット、11…紙搬送ユニット、15…クリーニング手段、17…像担持体、18…中間転写ベルト、20…現像手段、21…スキャナ手段、21b…回転多面鏡、40…定着手段
Claims (1)
- イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色別に転写媒体に対向して並列配置された4つの像担持体と、画像信号により変調されたレーザビームを前記各像担持体上に偏向走査して潜像を形成する露光手段とを備えた画像形成装置において、
前記露光手段は、前記各像担持体に対応して画像信号により変調される4つのレーザ光源と、該各レーザ光源に対し共通の反射面で各レーザビームを偏向走査する単一の回転多面鏡と、該回転多面鏡の共通の反射面から前記各像担持体までの各レーザビームの光路を構成する光学系を有し、前記光学系は、前記各像担持体に対して前記各レーザビームの入射面において法線となす入射角がそれぞれ前記各色別に異なり、かつ前記並列配置された両端の前記像担持体に対する入射角を内側の前記像担持体より大きくしたことを特徴とする画像形成装置。
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